法制審議会 民法(遺言関係)部会 第17回会議 議事録 第1 日 時  令和8年1月20日(火) 自 午後1時31分                      至 午後2時30分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(修正案) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 予定をした時間になっておりますので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第17回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   本日の審議に入ります前に、配布資料についての説明を事務当局からお願いをいたします。 ○大野関係官 配布資料として、部会資料17-1「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(修正案)」、17-2「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(修正案)についての補足説明」がございます。また、席上のタブレットには委員等名簿及び議事次第を格納しております。   本日の配布資料は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   本日は部会資料17-1の要綱案(修正案)の内容について御議論を頂き、議論の状況を見定めた上で取りまとめをするということを念頭に置きつつ審議を進めてまいりたいと思っております。その上で、部会資料17-2では、前回会議で御議論いただいた内容を踏まえまして、部会資料16-1で示された要綱案の原案から修正した部分及び修正をしなかった部分について、理由等が記載されておりますので、まずは事務当局から、この部会資料17-2の内容について御説明をお願いいたします。 ○宮村関係官 部会資料17-2を御覧ください。「第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等に関する規律」について、前回会議において保管証書、保管証書遺言書といった文言の使い分けに関する御指摘を頂いたことを踏まえ、本文1(2)エ(ア)の(注3)として、保管証書遺言書の定義を新たに記載しております。補足説明では、上記の点に加え、前回会議における御指摘を踏まえ、保管証書遺言に関する省令、通達等を定めるに当たって考慮すべき点や、その内容について十分な周知広報が必要であることなどを記載しています。   「第2 自筆証書遺言の方式要件に関する規律」及び「第3 秘密証書遺言の方式要件に関する規律」について、変更はございません。   続いて、「第4 特別の方式の遺言の方式要件に関する規律」につきましては、変更箇所が3点ございます。1点目は、8ページの33行目であり、船舶遭難者遺言における新たな方式においては、証人一人以上の立会いが必要な方式と証人の立会いが不要な方式のいずれにおいても、口がきけない者が遺言する場合における通訳人の通訳につき、ウェブ会議を利用することができることとするよう記載を修正しております。2点目は、9ページの34行目であり、船舶遭難者遺言における新たな方式においても、現行の船舶遭難者遺言と同様、共同遺言の禁止等の普通の方式の規律を準用することとしているところ、それに伴う読替規定を設けることとする旨を追記しております。3点目は、10ページの10行目であり、保管者の一人が検認請求をした場合に他の保管者が検認義務を負わないこととする規律は、遺言の趣旨等が電磁的記録に記録された場合に限り適用され、書面に記載された場合には適用されないことを明らかにする旨の修正をしたものです。   補足説明では、本文の修正箇所に関する記載に加え、前回会議における御指摘を踏まえた考え方について記載をしております。具体的には、本文では録音・録画に係る電磁的記録については「録音及び録画を同時に行う方法により記録」と記載して、文字情報に係る電磁的記録とは区別した記載をしており、死亡危急時遺言においては遺言の趣旨等が文字情報に係る電磁的記録に記録されることを想定していること、保管者の一人が検認の請求をしたことを他の保管者が確知できるための明示の規律を設けてはいないものの、保管者間のやり取りや検認期日の通知を受ける相続人に確認する方法も考えられること、検認義務違反による過料の規定の適用場面や損害賠償責任の生じる範囲が過度に広がるとは考えにくいことなどを記載しております。   また、検認済み証明書の交付に関する現行実務との関係については、電磁的記録は複製が容易であり、原本と写しの区別が困難であることなどを踏まえ、検認済み証明書に代わるものがなお必要かどうか、必要とされる場合に家庭裁判所においてどのような対応が可能なのかについて、令和10年6月までに家事事件手続のデジタル化に係る改正家事事件手続法が施行されることも踏まえ、家庭裁判所における今後の実務運用を検討することになると考えられる旨記載しております。   部会資料17-2の13ページ33行目以下の「第5 その他」を御覧ください。本文について、「2 遺言の証人及び立会人の欠格事由に関する規律」の③の記載のうち、一つ目の括弧書きから「以下③において同じ。」の記載を削除しておりますが、そのほかに変更はありません。   続いて、補足説明について御説明いたします。14ページ30行目以下を御覧ください。1では、本文の記載の変更の理由等について記載しております。前回の部会では、受遺者が法人である場合には、受遺者が遺言者の推定相続人に該当することはない以上、本文③の一つ目の括弧書きの「以下③において同じ。」の記載は不要ではないかという旨の御指摘を頂きました。検討の結果、御指摘のとおり、受遺者が法人である場合には、その受遺者が推定相続人に該当することはないと考えられることから、今回この記載を削除しております。なお、15ページ9行目以下に記載のとおり、前回の部会においては、本文③の二つ目の括弧書きの記載が直前の被用者のみに係るものであるか否かを明らかにしてはどうかという御指摘も頂いたところですが、この括弧書きは、「受遺者並びにその配偶者、直系血族及び被用者」という文言を、受遺者の被用者及び役員と読み替える意図であることを補足説明に記載し、本文の修正はしておりません。   次に、16行目以下の2(1)では、前回の部会における、推定相続人ではない受遺者についてのみ、その被用者を欠格事由に追加することの理由付けに関する指摘について、改めて検討したところ、推定相続人でない受遺者については、不当な内容の遺言となるおそれが高いというよりも、むしろ、元々遺言者との関係性を有しない場合も多く、受遺者だけでなくその被用者を通じて不当な働き掛けがなされるおそれが受遺者が推定相続人でもある場合と比べて類型的に高く、これを欠格事由とする必要性が高いことに求めることが相当であると考えられます。そこで、前回の部会資料で整理したその余の事情も踏まえ、推定相続人である受遺者については、その被用者を欠格事由とすることは相当ではないという考え方を記載しております。   16ページ以下の2(2)では、前回の部会における、受遺者が地方公共団体や公益法人である場合のその被用者等については欠格事由への適用範囲から除外すべきではないか、遺言により信託を設定する場合や公益信託に遺贈する場合の受託者の被用者は欠格事由の適用範囲から除外すべきではないか、公正証書遺言の場合は受遺者の被用者を欠格事由とする規定の適用範囲から除外すべきではないかという三つの指摘について検討しております。   アでは、受遺者の被用者等を欠格事由とすべきかについては、受遺者の性質等のみによって判断されるのではなく、被用者等を通じて遺言の内容に不当な影響を及ぼすものかどうかという観点から判断されるものであるから、受遺者が地方公共団体や公益法人であっても、そのことを理由として適用範囲から除外することは相当ではないと考えられることを記載しております。   イでは、遺言により信託を設定するなどの場合において、実務上受託者となる信託銀行の従業員が証人となることについては、弁護士や信託銀行が遺言書作成の支援等を行うことで遺言者の意思に沿った遺言がされることが期待され、その他の者が証人となる場合には、その者にも遺言の内容を知られることになるところ、遺言の内容を理解する従業員が証人となることでこれを避けられる点で遺言者にとっても有益であり、一定の合理性があると考えられる一方で、受託者自身が受遺者に該当するか否かについては、現行の民法第974条第2号においても既に解釈上の問題があり、この点について明示的に判断した裁判例や通説的な見解がないことを、まず記載しております。その上で、17ページの5行目以下の段落で、証人等の欠格事由という場面における受遺者については、財産の法的な帰属主体が受託者であることから、受託者が受遺者に該当するとも考えられる一方、関連する遺留分という遺言とは別の場面に関しては、受託者が遺留分侵害者であるとの見解と、信託財産について固有の利益を有しない受託者ではなく実質的な利益が帰属する受益者が遺留分侵害者に該当するという見解とがあることを記載しております。   以上を踏まえた上で、16行目以下の二つの段落で、証人等の欠格事由を定める第974条においては、その趣旨が受遺者又はその被用者が遺言者に不当に働き掛け、その遺言の作成に不当な影響を及ぼすことを防止することにあることから、受遺者とは遺贈された権利が実質的に帰属する者、実質的に利益を受ける者を指すとの考え方も成り立ち得るところであり、その判断に当たっては、同条が受遺者とその被用者を欠格事由とする趣旨に基づく解釈と適用が行われることが想定されることを記載しています。そして、32行目以下の段落において、遺言により信託の設定等がされた場合について、受託者を証人等の欠格事由としての受遺者から法律上除外することについては、信託という法律関係に関する他の論点等にまで影響が及び得ることや、個別の事案において受託者が受遺者に当たらないと直ちにはいえない場面があると考えられることから、慎重な検討が必要と考えられることを記載しております。   18ページのウにおいては、公正証書遺言を適用範囲から除外することについて、受遺者の被用者が証人として立ち会うことにより遺言者に一定の影響を及ぼすことを免れることができず、公証人による抑止には限界もあり、また、証人の立会いが方式要件とされる遺言の中では作成件数が多い公正証書遺言を適用範囲から除外することとすると、規律を設ける意義が大きく失われることになることからも、公正証書遺言を適用範囲から除外することは相当ではないと考えられることを記載しております。   (3)においては、前回の部会における、受遺者の被用者に該当するかどうかを事前に確認する公的資料がないという指摘について、公的証明書がない場合はあるものの、証人に勤務先を確認することなどにより判断することが可能であると考えられる旨を記載しております。   部会資料についての説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。前回の資料から変更があった点、具体的には下線を引いたところが第1と第4、第5に合計5か所あったかと思いますが、これらについての御説明と、それから、前回御議論があって、なお検討を要するのではないかとされた点について、それに答えるような補足説明の内容について御説明があったものと受け止めました。中でも、最後に御説明があった17-2の16ページ以下につきましては、前回幾つかの御意見がありましたので、事務当局の方で更に検討していただいて、このように説明をしていただいたということであろうと理解をしております。   これらを踏まえまして御質問、御意見をお伺いしたいと思います。御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。また、御意見を頂く場合には、17-1のゴシックの部分についての実質的な修正を求めるものであるかどうかという点について明らかにしていただいた上で、御意見を述べていただければ幸いに存じます。どなたからでも、あるいはどの点でも結構ですので、御発言を頂きたいと思います。いかがでしょうか。 ○入江委員 信託協会の入江でございます。まず私からは、今もお話のありました第5、その他の2の、特に16ページから18ページで記載していただいている補足説明についての意見になります。結論といたしまして、ゴシック部分の要綱案について修正をお願いするというものではございません。その前提でお話をさせていただきたいと思います。   まず、これまでの私の発言でありますとか、前回の会議後に事務局の方にお示しさせていただいた意見を、こちらの16ページから18ページのところでアからウまで整理して記載を頂いておりまして、御礼申し上げます。その上で、2点なのですけれども、まずアとウについては特にございません。   1点目は、イの先ほどもありました信託の受託者がここでいう受遺者に該当するかどうかについてでございます。17ページの22行目のところに、遺贈の対象となった権利が実質的に帰属し又は遺贈の対象となる相続財産により実質的に利益を受ける者のことを指すとの考え方も成り立ち得ると御記載を頂いております。この考え方に立ちますと、一般的な受託者については受遺者には該当しないと、一方で、例えば受託者が帰属権利者になっているとか受益権の一部を保有している場合などは、これは該当するということになるかと思います。この考え方は今回、欠格事由を拡大する趣旨にも合致している考え方だと思いますので、ここは是非、この考え方が成り立つということについて、法施行までに周知を頂きたいというお願いでございます。   2点目は、被用者の範囲とその確認方法の明確化、これの必要性についてです。言わずもがなで恐縮ですけれども、無効となる可能性のある遺言をわざわざ作りたいとは誰も考えないと思います。ですので、通常は欠格事由に該当しない証人を立てるはずだと思われますところ、遺言者にとって想定外の事情、例えば証人の勘違いであるとか確認不足、あるいは遺言を作成した後に被用者の解釈が変わって、そのために遺言全体が無効となってしまう、こうなりますと結果的に遺言による財産処分権が時に不当に奪われることにもなりかねないということがあるかと思います。取り分け今後、第三者への遺贈というのも一定程度見込まれると思いますので、遺言者等にとっての予見可能性が確保されるということは重要だということを改めてお伝えさせていただきたいと思います。   また、もちろんのことながら、相続人や他の受遺者にも影響が生じ、さらに、裁判によらなければ決着しないということになると、これも相応な負担になるかと思います。ですので、今回の議論の背景にあります、遺言に関する権利義務を早期に確定させ、相続登記の促進を含む相続手続の円滑化を図るということからも、今申し上げたような事態が起きれば合致しないと思われますので、これも重ねてですけれども、可能な限り被用者の範囲については明確化を頂くとともに、その具体的な確認方法、どこまで確認すればよいのかということを明示いただければと思います。実務の観点から、今申し上げたことが実現されることを強く期待しておりますので、結論として、要綱案については異存ないことを申し上げさせていただきます。   長くなりましたが、以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。入江委員からは、結論としては要綱案の内容に異論はないということで、補足説明に関連する御要望という形で、その解釈の明確化、安定化について、更にその努力をしてほしいという要望を2点について伺いました。ありがとうございます。   そのほか、いかがでございましょうか。 ○相原委員 要綱案について修正を求めるものではありません。その上で、これは今回の修正でお示しされたところではなくて、2ページのいわゆるウェブで遺言書保管官が申請人からの申出によって、映像と音声の送受信により相手方の状態を相互に認識しながら通話することができる方法というところについて、これまでのところの確認の趣旨で発言させていただきます。   つまり、何回も申し上げてきているところで恐縮なのですが、要綱案としてはこういう文言になるということに異論のあるものでありません。ただ、これまで繰り返し、どういう場合に認められるのかというところでかなり御議論がありました。利便性という趣旨からは利用したいというところになるでしょうけれども、一方ではリスクが高齢者の問題としてはあります。そこで、相当と認めるというところがどのぐらいの範囲なのかとかいうところは、今後の検討として丁寧にしていただきたい。恐らくこれが公表されたとすれば、ウェブで申し立ててできるのだというところが意外と注目される可能性もございますので、今後、御説明のときにはそこら辺は丁寧にしていただきたいということを要望として申し上げさせていただきたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。相原委員からも、要綱案そのものについてはこれでよいということを前提とした上で、ウェブ会議の利用について、相当性という要件につきまして様々な御意見を頂戴し、この内容を明確にしていく努力を更に続けるとともに、広報の際に御注意を頂きたいという御要望を頂きました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○柿本委員 私も要綱案に賛成の立場で発言いたします。16ページのアのところでございますが、このとおり、受遺者が地方公共団体ですとか公益法人であることを理由に適用範囲から除外するということは相当でないと考えておりますので、結構でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からも、結論としてはこれに賛成であるという御意見を頂戴した上で、16ページの先ほど申しました(2)のア、イ、ウと三つの問題がございましたが、そのうち特にアについて、これに賛成であるという御意見を頂戴したということかと思います。ありがとうございます。   ほかはいかがでございましょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。少なくともこの要綱案、この内容については全て異論はございません。結論はそういうことになります。2点だけ申し上げます。   1点は、相原先生の御指摘がありましたリモートの点でございます。現在、リモートによる公正証書の作成を始めておりまして、公証人がパソコンの画面で、相手が自分のパソコンの画面に呈示する身分証明書を拝見して本人を確認するという形になるわけですが、先だっても報道でありましたように、マイナンバーカードも、そういった身分証明書に別人のシールを貼るというか、これが面前で手に取って見れば分かるかもしれませんが、リモートの画面の向こうで確認し、確かに御本人に間違いありませんねと、それで本当に、読み上げていただいて、分かりました、この遺言は保管いたしましょうとして、果たしてそれで大丈夫なのかというのは、やはり懸念されるところでございます。これは公証人自身も今、補助的な本人確認資料をどうするかというのは検討を続けているところでございます。今後リモートで確認する場合は、その身分証明書を画面で確認する以外の、あるいはもっと今後、科学的な確認手法ですね、こういうものが見い出せるようであれば、特に対面の場合でなくリモートの場合の確認方法については十分、今後の規則や通達において御検討いただき、適正な保管事務をやっていただけるようにお願いしたいというのが1点でございます。   もう1点は、先ほど入江委員からのお話もありましたとおり、入江委員の御指摘については私も賛成でございます。公証人の立場で、もしも現段階で言わせていただくならば、そういう、特に遺言信託の場合、万が一欠格事由に該当するということになりましたら大変であると、こういう認識を公証人が持っているとなると、これは受益者であれ受託者であれ、遺言に記載されたそういう方々に関しては、これは受遺者に該当するという解釈の下に、証人になっていただくのは控えていただくようにお願いすることになると思います、現状におきましては。ですから、そういう点も踏まえまして、別な形での明確化ができるならば、それは大変よろしいかと思います。やはり先ほど入江委員も言われましたとおり、裁判手続で欠格事由の有無を争うということのないようにお願いできればと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からも、結論には賛成という御意見を頂いた上で、2点、ウェブ会議の際の本人確認、これも前から御指摘いただいているところですけれども、なかなか難しい問題があるので、補助的な手段も考えていく必要があるのではないか、それから、2点目は先ほど入江委員から御発言があった点ですけれども、受遺者の被用者というものについて解釈の明確化が図れるものならば、それを追求してほしいという御意見を伺いました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 戸田でございます。私もこの要綱案については全く異論ございません。ただ、今後規定類や省令等を定めていく上で重要と思われる点を3点指摘させていただきたいと思います。   1点目は今、萩原先生がおっしゃったウェブ方式の場合に、現時点で一番安全性の高い本人確認は是非やっていただきたいと思います。オンラインでの電子署名、顔認証、それから生きた人間かどうかチェックするライブネス認証、といったものは最低限お願いしたいと思います。また、今後、現時点では想定し得ないようないろいろな脅威が次々に出てまいりますので、そういったものに機動的に対応できるように、告示あるいはガイドライン等の改定をスムーズに行えるような枠組みを作っていただきたいと思います。ITに関する脅威は世界中で起きてくるわけですから、そういった情報を広く収集し、対策を講じ、是正措置を打って、規定類の改定を行う。こういったことを恒常的に行えるように、いろいろな関係機関とも連携しながら進めていくような体制整備も是非お願いしたいと思います。   それから、2点目なのですけれども、ウェブ方式に限らず全般的に、遺言書保管官の方の実務に真意性・真正性の担保を負っているところがかなり大きくなっております。ただ、現場の遺言書保管官の方の判断だけに頼るということでは保管官の方の負担も大きくなりますし、リスクもまた大きくなるということになってまいりますので、可能な限りできるところはシステム的にやっていく。例えば、ウェブ方式の場合ですと通信ダウンというのが結構起きますけれども、通信ダウンを隠れみのにディープフェイクに切り替えるですとか、あるいは不当な介入を行うといったことは十分あり得る話です。ただ、それを保管官の方が画面を通じて見分けるということはまず不可能に近いわけですから、そういった場合には、再接続したときに自動的に認証を掛けるようシステムが補助をするとか、あるいは一定程度のリスクが検知された場合には対面に切り替えるといった判断を行えるようアラームを上げるなど、そういったシステムでの補助を考慮頂ければと思います。   3点目は、認知機能に不安をお持ちの方に対する合理的な配慮という観点からです。部会資料17-2の15~17ページに、不当な働き掛けを防止する目的で、と書かれていますが、正当なコミュニケーション支援とか機器操作の補助は、やはり必要になってくるケースがございます。こういったものと排除すべき代理応答などとは明確に区別して、排除の論理が先行しないような配慮も是非やっていただきたいと思います。   あわせて、成年被後見人の遺言の方式がございますけれども、これも、認知機能に不安をお持ちの方イコール成年被後見人ということでは必ずしもございません。開かれた制度にするために、将来的にはより利用しやすくするとか、あるいは保管証書遺言において遺言書保管官の方が、認知機能に疑義を生じた場合にはこちらの方式にエスカレートするといった、総合的な運用も是非考慮していただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からも、結論には賛成という御意見と、それからウェブの利用、保管官の実務、そして正当な補助者、支援者、この3点につきまして、システム的な対応が必要なのではないか、また、技術の進展に伴ってそれをフォローしていくという体制を構築することが望ましいのではないかという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。 ○日比野委員 まず、要綱案のゴシック部分について何か修正を求めるような意見ではございませんということを最初に申し上げます。その上で、13ページの(4)検認済み証明書の交付に関する現行実務との関係について、に関する発言です。   補足説明でも言及されているとおり、執行を受ける金融機関の側では、検認が必要な遺言については、提示された遺言が検認済みであるということを確認の上で払い戻しに応じるというのが一般的な実務と認識しております。電磁的記録により検認の申立てがなされる場合、現行の書面による遺言を前提とする実務では対応できないというのはそのとおりでして、そこに何か申し上げるということではないのですけれども、今後、遺言が電磁的記録で作成された場合において、どのような形で検認済み証明書を提供いただくことができるのかという点につきましては、円滑な遺言執行の実現という観点から引き続き議論をさせていただきたいと考えております。   少なくとも現時点で認識していることの課題の一つとしては、そもそも検認がされているということもさることながら、検認がされている遺言が、執行のため面前に提出されたこの遺言と同一であることがどのように確認できるのか、ということだと理解しておりますが、これ以外の更なる論点の有無も含めまして、課題について今後、具体的な議論とか検討の中で我々も整理していきたいと考えております。これは意見というよりは今後の御協力のお願いということになるかと思いますけれども、私からの発言は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。日比野委員からも、結論について御異論はないということで、しかし、補足説明に出てくる検認済み証明書の交付に関連して、検認済みの確認の方法をこれから更に詰めていく必要があるという御指摘を頂きました。ありがとうございます。   ほかに御発言はありませんでしょうか。 ○小粥委員 委員の小粥です。まず、ゴシック部分、つまり部会資料17-1については特段意見はございません。その上で、これまで各委員が御指摘くださったこと、いずれも私としても共感するところが多く、もっともなことであると存じました。   そのこととはやや別に、入江委員御指摘の第1点についてですけれども、入江委員の御指摘は、受託者が受遺者に当たり得るということを確認していただきたいという趣旨だと受け止めましたけれども、それでよかったのでしょうか。 ○入江委員 どちらかというと、私の意見としては、本来信託の受託者は信託財産から直接利益を受ける者ではありません、役務の提供部分は別として、ですので、基本的には受託者は当たらない、ただし、一部信託契約によっては受遺者に当たり得るものもあり得るというところは、そこはここに記載のとおりかなという意見でございます。 ○小粥委員 私、言葉遣いを間違えました。入江委員のおっしゃるとおりだと思います。形式的には受託者が受遺者に当たるけれども、しかしそうでない可能性があるということを入江委員はおっしゃっていると受け止めまして、それはそれで私も理解できるところで、この補足説明の説明ぶりで私も了解できるところでありますので、そこだけ確認したかったということでございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員は、結論はこれでよいということと、あとは先ほどの入江委員の御発言の御趣旨の確認ということでよかったですね。ありがとうございます。   ほかにはいかがでございましょうか。オンラインの方、何か御意見はございますか。 ○小原委員 まず、要綱案の取りまとめに当たりまして、これまでの事務局の皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。本日お示しいただいた要綱案に異論はございません。   その上で1点、最後だと思いますので、意見を述べさせていただきたいと思います。今回この部会に参加させていただきまして、最後の意思を間違いなく残す遺言というものの大切さを毎回感じながら参加させていただいたところでございます。新たな方式や方法を知らないケースもたくさんあるかと思いますので、周知を丁寧にお願いできればと思います。   それから、第14回部会におきまして、普通方式における新たな遺言の方式として、遺言者が全文などを朗読して、その様子を録音・録画などにより記録する方式、いわゆる甲案が、「執行を円滑に行うことができる方式を実現することは現時点では容易ではない」として採用が見送られた際に発言させていただいた内容の繰り返しになりますけれど、本法施行から一定期間経過後に、本部会の目的に照らしまして、デジタル技術、情報通信技術の発展、今回新しく作られます保管証書遺言の方式や死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言における新たな方式の運用状況などを踏まえて、いわゆる甲案に限らず、遺言制度を国民にとってより一層利用しやすいものとする本部会の目的に沿って、改めて検討できる余地を残していただけるようにお願いし、最後の発言としたいと思います。どうもありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。小原委員からも、要綱案そのものについては賛成であると、周知の徹底ということと将来の見直しということについて御留意を頂きたいという御発言を頂きました。ありがとうございます。   そのほか、いかがでございましょうか。 ○隂山委員 この度の部会資料のゴシック部分につきまして、異論ございません。当部会においては、デジタル社会における新たな遺言の在り方について検討してきたものと理解しています。今後、デジタル社会において、遺言という極めて機微性が高く、また、重要な意思表示をどのように成立させ、いかにして将来的な検証可能性を高めていくのかという観点から、一言述べさせていただきます。   デジタル技術を活用した新たな遺言の方式に関し、出発点としては、自筆証書遺言と同程度の信頼性確保をどのようにしていくのかというものであったかと認識をしています。これまでの自筆証書遺言が持っていた機能を改めて考えてみますと、全文の自書、押印という行為による本人性の特定、また、成立の真正性や改ざんされていないという意味での真正性、遺言書原本の適切な管理などと結び付いて導かれる検証可能性、自書による熟慮の促進等を通じた本人の意思としての真意性などが束ねられていたのではないかと感じています。今般お示しを頂いている保管証書遺言に関しましては、遺言書保管官等を通じた本人性の確認、電子署名技術などを活用した成立の真正性や電磁的記録が改ざんされていないという意味での技術上の真正性、法務局で保管することにより将来的な検証・監査可能性を高める信頼性、デジタル社会における最大の難所だと考えられる真意性については、これらの相互補完作用によって確保することを目指すものであり、大変意義深いものであると捉えています。   新たな方式の遺言が創設された際、利用者の皆様が直ちに新たな方式の遺言について適切な使い分けをすることができるかという点につき、困難な側面もあろうかと存じます。私ども司法書士会といたしましても、積極的に周知広報を行っていき、利用者の方々に適切に理解され、円滑に運用されていくことが重要であると認識しています。そのため、実務の側面から継続的に関与していくことで、新たな制度が社会に定着し、利用者にとって利便性が高く、かつ、信頼できる制度となるよう努めていきたいと考えています。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からも、結論には賛成ということで、これまでの経緯を振り返っていただいて、また、できた制度についての位置付けをしていただきました。その上で、先ほども出ましたけれども、周知徹底ということについて改めて御注意があったと受け止めさせていただきます。   ほかはいかがでございましょうか。 ○中原幹事 私もゴシック部分に特に異論はございません。証人及び立会人の欠格事由に関して、もう反対される方はいらっしゃらないかと思いますので、余り詳しく述べる必要はないのかとも思いますけれども、やはり信託の受託者が「受遺者」に当たるかは悩ましい問題であると思います。   「信託と遺留分の関係」という部会資料にも記載されている論点との比較で言いますと、当該論点では遺留分侵害額請求権の性質や共同相続人間の利益調整の在り方とか、複雑多様な考慮をする必要があるのに対して、証人、立会人の問題は、遺言によって利益を得る者が遺言者の意思決定に不当な影響を与え得るような状況を排除するという1点に問題の本質がありますので、信託においては、遺言によって利益を得る受益者こそが受遺者に当たるというような解釈はたしかに成り立ちやすいのだと思います。   しかし、信託の受託者を「受遺者」から一律に排除してしまうというのは、なおためらわれるところでありまして、一つには、既に御指摘があったように、信託には多様なものがあり得て、必ずしも受益者のみが実質的な利益の完全な帰属主体であるとはいえない場合も存在するということが挙げられます。その例として、すでに受託者が帰属権利者を兼ねる場合が例示されていましたけれども、そうでなくとも、民事信託ではいろいろとおかしな信託が現実にはあり得るものと思います。   裁判例で問題になったもので言えば、受託者が信託財産たる不動産の無償使用権限を持つ、しかも当該不動産の売却、賃貸による利益が受益者に分配されるのだけれども、売却、賃貸をするかの決定権限は受託者が持つ、しかも受益者の死亡に際しては受託者の子供らが受益権を取得するというような、受託者に実質的な利益の大部分が集中的に帰属するというような信託が設定された事例というのが問題になったことがあります。   もちろん裁判所は、当該信託は遺留分制度の潜脱だと言って公序良俗違反を理由に無効としましたし、学説では、そもそも当該信託は受託者の利益享受の禁止を定めた信託法第8条に違反して無効だとする見解もあります。しかし、いずれにせよ重要なのは、信託だからといって、その細部において受益者に実質的な利益が集中するよう設計がされるとは限らないということであり、先の事案がもし遺言信託だったとして、受託者やその被用者が証人を仮に務めていたという場合に、現行第974条第2号や、新たな被用者に関するルールとかを適用する可能性は、あって然るべきではないかと思います。信託銀行が受託者となるようなクリーンな信託でこういうことは起きないのだと思いますけれども、どのような信託ならば大丈夫なのかを類型的に定めることもできないわけですので、やはり受託者を一律に排除することは適切ではないのだと思います。   もう一つには、信託の受託者を「受遺者」から除外すべきだという議論の根拠は、受託者は名義上、財産の帰属者ではあるけれども、実質的な利益の帰属主体ではないという点にあると思われますが、そのように名義と実質が乖離するというような状況はほかにも存在し得るのではないかと思います。例えば、遺贈がされた、しかし当該遺贈には、その受遺者は遺贈目的物を処分してはならない、専ら特定の第三者の利益に資するよう管理しなければならないという負担が付けられていた場合に、欠格事由のルールが当該受遺者やその被用者について適用されるというのは必ずしも適切ではないかもしれなくて、そうした場合には、当該受遺者が欠格事由のルールにいうところの「受遺者」に該当するかどうかが解釈問題となるように思われます。こうした一般的状況の中で信託の状況についてのみ条文で除外するというのは、ルールの作り方として適切であるとはいえず、さりとて適用範囲から除外すべきであるような、名義と実質が乖離する状況を網羅的に記述することも、現時点では困難であろうと思います。   結論として、今までの委員の先生方の御指摘のとおり、立案担当者による解説等において受遺者の概念をできる限り明確にするということはたしかに大事であると思いますけれども、他方において、「受遺者」や「被用者」のような抽象的な言葉遣い、文言を採用するにとどめることによって妥当な解決を実現する余地を残しておく必要性は、そもそも残るのだろうと思います。したがって、部会資料の提案について賛成であります。   それから、第1についても発言させていただきたいと思います。保管証書遺言という新たな方式というのは、我々としてはもちろん簡素化に努めたのですけれども、そもそも一連の手続を要するものなので、どうしても込み入ったものとならざるを得ませんでした。これまでも種々議論されたように、運用面で様々なルールを定める必要があるほか、利用者目線でもいろいろと誤解が生じる点が多々出てくるのではないかと思います。今回の部会資料に記載のある「保管証書遺言と自筆証書遺言との関係」はその典型ですが、そういう込み入った話よりも、もっとプリミティブなそもそもの手続についても、例えば全部オンラインでやる場合には申請と口述の間にタイムラグが多分生じると思うのですけれども、その間に遺言の表現を少し変えたくなった、しかしそれはできるのだろうかとか、あるいは法務局で保管してもらっている遺言について、ちょっとした表現修正をお願いすることぐらいはできるのだろうかとか、利用者は様々な素朴な疑問を持つと思います。この遺言の方式については、公的サービスの提供という面があると思いますので、法的知識のない利用者がどのような点につまずきやすいかを精査して、手続そのものの流れや注意点がきちんと伝わるように、恐らく手引のようなものが作られるのだと思いますけれども、分かりやすい周知をお願いしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からも、結論については異論がないということで、欠格事由について信託の場合に限らない解釈の問題があり得るという御指摘、それから周知ということについて、より立ち入った具体的なイメージを示された形での御指摘を頂いたと、このように受け止めました。   ほかにいかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。ありがとうございます。今のところ要綱案について御異論はなかったと理解をしております。そこで、これからの手続の問題になりますけれども、その点を確認させていただきたいと思っております。ウェブ会議を併用して議事を進行しております関係上、まず念のため、ウェブ会議を利用して出席されております委員の皆様方と適時意見表明が相互に可能な状態にあるということを確認させていただきたいと思います。お手数をお掛けいたしますけれども、ウェブ会議の方法で出席されている委員の方々は、私の声が聞こえていらっしゃるようであれば、手を挙げる機能を押すという方法によって知らせていただきたいと思います。これは要綱についての賛否というのではなくて、聞こえているか聞こえていないかということについてですので、手を挙げるというボタンを、まず押していただきたいと思います。事務当局においては、各委員と意思疎通が可能な状態になっているかどうかということを、この挙手の状況を確認するということで確認をしていただきたいと思います。   では、挙手のボタンを、すみませんが、お願いをいたします。   ありがとうございます。ウェブ会議の方は、手を挙げる機能をオフにしていただいて結構でございます。ウェブ会議で出席されている委員の皆様とも相互に意思疎通が可能であるという状況を確認いたしました。   それでは、これから民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案について、最終的にお諮りをしたいと存じます。   本部会といたしましては、部会資料17-1で提示されている内容で民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案を取りまとめるということにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。もし御異議等がございましたら、会場の方は挙手で、オンラインの方は挙手のボタンあるいは身振り等で示していただければ幸いです。いかがでしょうか。御異論ありませんでしょうか。   ありがとうございます。それでは、御異論はないということで、この案で確定をさせていただきたいと存じます。   要綱案につきましては、これまでも字句あるいは表現の修正がなされてまいりましたけれども、今後、総会での答申に至るまでの間にも、法制的な観点等から字句等の修正があり得るかと考えております。このような技術的な修正につきましては、部会長であります私と事務当局に御一任を頂ければと思いますが、この点もよろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。   ただいま御了承いただきました要綱案の今後の取扱いにつきまして、事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○齊藤幹事 齊藤でございます。要綱案をお取りまとめいただきまして、ありがとうございました。   今後についてですが、2月に法制審議会の総会が開催される予定であり、本日お取りまとめいただいた要綱案を御審議いただく予定でございます。総会の了承が得られましたら、その後、法務大臣に答申されるという流れになります。答申がされた場合には、その答申に基づき法律案の策定作業を行い、速やかに法案を提出させていただくべく準備をしたいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   以上ですけれども、全体を通じて何か御発言等がございますでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、これで部会の議論を終えることにしたいと思います。   部会の議論を終えるに当たりまして、事務当局を代表いたしまして民事局長の松井委員に御挨拶をお願いしたいと思います。 ○松井委員 本部会の御審議の終了に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。   本日、この部会としての要綱案の取りまとめをしていただきました。担当部局の代表者として、委員、幹事の皆様のこれまでの御尽力、御協力に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。   この部会では、デジタル技術を活用した新たな遺言の方式に関する規律を整備することを中心として、遺言制度の多岐にわたる論点について御審議いただきました。この部会における審議は令和6年4月の第1回会議から本日まで計17回に及びましたが、この間、委員、幹事の皆様におかれましては大変密度の濃い御審議をしていただき、よりよい制度の実現に向けた積極的な問題提起や御提案を頂きました。その結果が、国民にとってより一層利用しやすい遺言制度として、遺言の真意性・真正性を担保し、かつデジタル技術を活用することにより円滑な執行にも資する新たな遺言の方式を創設することなど、本日お取りまとめいただいた要綱案に結実したものと考えております。また、この部会の取りまとめ役を担っていただきました大村敦志部会長におかれましては、豊富な御経験に基づく卓越した御見識と周到なお心配りにより、適切かつ迅速な議事の運営に当たっていただきました。厚く御礼を申し上げます。   この間の議論におきましては、最終的には要綱案には盛り込まれなかった論点も含め様々な案が検討されてきましたが、この部会において展開されてきた議論は、今後の実務の発展や残された課題の検討にも大いに寄与するものと確信をしております。   2月12日に開催されます法制審議会総会で要綱が採択され、答申がされましたら、私どもといたしましては、法案を速やかに国会に提出するとともに、早期に法律として成立するように全力を尽くしてまいります。委員、幹事の皆様方には、今後とも様々な形での御支援、御協力を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。   これまでの皆様の熱心な御審議に重ねて御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。 ○大村部会長 それでは、私からも最後に皆様に一言御挨拶をさせていただきます。すみません、座ったままで失礼いたします。   今、松井委員からお話がありましたように、2024年4月から本日まで17回、2年近くにわたる審議を重ねて、要綱案を決定していただくことができました。委員、幹事におかれましては、それぞれのお立場から様々な御意見を御披露いただいた上で丁寧に議論を進めていただき、よりよい案を得るという観点から意見を集約していただいたものと受け止めております。この間の御尽力に対しまして改めて御礼を申し上げます。   本部会の主要な課題であった、いわゆるデジタル化による新しい方式に関しましては、中間試案まで3案併記だったものを、甲案は採らず乙案と丙案とを統合するという形で取りまとめを行いました。この間、遺言の方式の簡略化のメリット、デメリットを検討してまいりましたが、これまでにもあった偽造・変造や本人以外の者の干渉のリスクはデジタル化によって格段に大きくなるのではないかという認識に立って、今回の案に至ったものと考えております。この点において、今回の案は全体としては慎重なものとなっておりますけれども、その一方で、船舶遭難者遺言については証人も保管も要しない新たな方式を導入いたしました。まずは必要性が高いと思われる限られた場面で簡略化を進め、運用の中で出てくるであろう問題点に対応しようというプラグマティックな発想によるものと理解をしております。こうした例外を開きつつ、基本的にはデジタル技術の今後の進展を見守りながら他の領域で検証された確かな技術を導入していくということが、遺言という重要な法律行為については望ましいことであろうと考えております。もっとも今後、遺言についてデジタル化への要請が飛躍的に高まってくるということも考えられないではありません。いろいろな意味でこの問題については状況の変化に応じた再検討が必要になってくるかもしれません。   最後に少しだけ個人的な所感を述べさせていただきます。私は2010年に児童虐待防止関連の親権法改正のための部会で部会長代理を務めた後、2014年から始まりました一連の改正、相続法改正、特別養子法改正、実親子法改正、離婚後養育法の改正、そして今回の遺言法の改正まで、五つの改正につき部会長として議事を預かってまいりました。その過程では、何度か困難な問題に直面することもありましたけれども、全体としては委員、幹事の皆様、関係官庁、事務当局の御尽力により、協力してよりよい制度を作り出すべく意見を闘わせた上で、集約を図ることができたものと受け止めております。   1990年代前半の婚姻法改正案、2000年代初頭の生殖補助医療関連の親子法改正案が成案には至らなかったということを思うと、感慨深いものがございます。広い意味での家族法に関しましては、かなりの問題につき法改正を重ねてまいりましたが、なお残っている問題も幾つかございます。またこの先も新たな問題が現れることと思います。私自身はこの部会を最後に法制審からは退きますけれども、この15年の経験、取り分け今回の部会の経験をいかして、今後も社会の変化に応じた法改正がなされていくことと確信しております。   長い間、この席にはいらっしゃらない方々も含めて、皆様には大変お世話になりました。この場を借りて改めて御礼を申し上げます。   それでは、これをもちまして民法(遺言関係)部会の審議を終えることといたします。長期間にわたりまして熱心な審議を賜りまして、ありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。閉会をいたします。 -了- -48-