侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会 (第6回) 第1 日 時  令和8年1月26日(月)   自 午前10時01分                        至 午前10時56分 第2 場 所  法務省7階会議室 第3 議 題  1 「取りまとめ報告書(案)」について         2 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○猪股参事官 ただ今から侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会の第6回会議を開催いたします。 ○橋爪座長 本日は、皆様御多用中のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は、前回会議でお伝えしたとおり、取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。   取りまとめに向けた議論を行うに当たり、本日お配りしております配布資料7「取りまとめ報告書(案)」を事務当局に作成してもらいましたので、まず報告書案の構成等について、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○猪股参事官 「取りまとめ報告書(案)」は、前回会議において座長からお話があったとおり、本検討会におけるこれまでの御議論を踏まえ、座長の御指示の下、事務当局において作成したものです。   まず、全体の構成としては、「第1 はじめに」で本検討会の設置経緯や取りまとめ報告書作成の経緯等について記載した上で、「第2 本検討会の開催趣旨及び開催状況」で本検討会の開催趣旨や開催状況等について記載しています。そして、「第3 各検討事項についての議論の結果」で検討事項ごとに委員の皆様からの御意見を要約して記載し、「第4 終わりに」で本検討会の総括的所見を記載しております。   「取りまとめ報告書(案)」に関する事務当局からの説明は以上です。 ○橋爪座長 それでは、本日はこの報告書案に沿って、取りまとめに向けた議論をお願いいたします。   本日の会議では、新たな観点からの御意見を頂くのではなく、これまでの御議論を前提にした上で、報告書案の記載等に関し、より適切なものにするという観点から御意見を頂きたいと考えております。   具体的な議論の進め方ですが、まず、報告書案全体の構成や「第1 はじめに」、「第2 本検討会の開催趣旨及び開催状況」の記載についてまとめて御意見を頂き、次に、「第3 各検討事項についての議論の結果」の記載については項目ごとに順次御意見を頂き、最後に、「第4 終わりに」の記載について御意見を頂くという形で進めていきたいと思います。   それでは、報告書案についての議論に入ります。   まず、報告書案全体の構成、「第1 はじめに」、「第2 本検討会の開催趣旨及び開催状況」の記載について御意見や御質問がございましたら、いずれの項目についてのものであるかを明らかにした上で御発言をお願いいたします。   よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 特段御意見がないようですので、全体の構成等についてはここまでとさせていただきます。   次に、「第3 各検討事項についての議論の結果」の記載についての議論を行いたいと思います。   まずは、「1 「侮辱罪の規定がインターネット上の誹謗中傷に適切に対処することができているか」について」の記載につきまして御質問や御意見がございましたら御発言をお願いいたします。 ○柴田委員 (2)のアについてですが、最初の1つ目の○に関して、侮辱罪の法定刑を更に引き上げる必要性が高い理由として、民事上、行政上の対応が事後的なものであるということや、プロ責法改正による効果が出ているとは考えられないことを述べたので、それも追加していただきたいと思います。侮辱罪の一般予防効果に期待しなければならない状況があって、初めて侮辱罪の法定刑の引上げということになると思うので、ぜひ付け加えていただきたいと考えております。   もう一つ、2つ目の○ですが、侮辱罪の法定刑の上限を拘禁刑2年とするという私の意見は、名誉毀損罪の法定刑の上限が拘禁刑3年のままであった場合という前提が付いているので、その一言を入れていただきたいと考えております。名誉毀損罪の法定刑の上限を拘禁刑5年、侮辱罪の法定刑の上限を拘禁刑3年に上げてもいいぐらいだという意見を述べた上で、名誉毀損罪の法定刑の上限が拘禁刑3年のままであればという前提での意見だったので、趣旨が正確に伝わるよう、先ほど申し上げた名誉毀損罪の法定刑が拘禁刑3年のままであった場合という趣旨の一言を加えていただきたいと考えております。 ○橋爪座長 御指摘の点につきましては、事務当局で具体的に御検討いただけますでしょうか。 ○猪股参事官 はい。御意見として承りまして、座長とも相談しながら、対応を検討したいと思います。 ○柴田委員 また、(2)のイですけれども、1つ目の○に「現在の法定刑で」と記載されているのですが、これを申し上げた根拠として、デジタルタトゥーになってしまうとか拡散性があるとか、インターネット上の誹謗中傷は被害が大きくなりやすいという理由を述べており、それも付け加えていただかないと意見の根拠が不明確になると考えておりますので、そういった文章を付け加えることを検討していただければと思います。 ○橋爪座長 柴田委員に確認したいのですが、原案では「被害者の受ける精神的苦痛が十分に評価し尽くされているかという点については議論があり得」という形で、御指摘のあった点も含めて理由付けは示されているようにも思うのですけれども、これでは不十分という御趣旨でしょうか。 ○柴田委員 そうですね、少々弱いかと思います。インターネット上の誹謗中傷の被害の重大性というところをもう少し正面から言及していただきたいという気持ちがあります。 ○橋爪座長 今の点も、事務当局で御検討いただけますでしょうか。 ○猪股参事官 5ページ○4つ目の「インターネット上の誹謗中傷には、匿名性・持続性・拡散性という特徴があり、その危険性に着目して加重することが考えられる」といった意見が示され、それに対する御議論があったことは記載されていますが、これでは不十分という御趣旨でしょうか。 ○柴田委員 そうですね。4ページ(2)イ1つ目の○の「被害者の受ける精神的苦痛が十分に評価し尽くされているかという点については議論があり得」との記載の意味内容が正確に伝わるように、ここに記載してもらいたいという趣旨です。 ○橋爪座長 御趣旨は十分承りましたが、同じ内容が重複して記載されないように配慮した方がよいようにも思われますので、事務当局と相談の上、対応について検討したいと思います。 ○柴田委員 重複になるのかどうかは御検討いただく必要があるのかもしれませんが、5ページウの○の1つ目に、多数の匿名や偽名のダイレクトメッセージによる深刻な被害が実際に生じているにもかかわらず、これに対する刑法的な対応ができていないという指摘を加えていただかないと唐突な感じがしますので、これを付け加えていただきたいと思っております。 ○橋爪座長 ありがとうございます。事務当局と相談した上で検討したいと思います。   そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 特にそれ以外に御意見はないようですので、この「1 「侮辱罪の規定がインターネット上の誹謗中傷に適切に対処することができているか」について」の記載についての議論はこの程度とさせていただきます。   続きまして、「2 「表現の自由その他の自由に対する不当な制約となっていないかどうか」について」の部分につきまして、御質問や御意見がありましたら御発言をお願いいたします。 ○趙委員 (1)の3つ目の○に「危惧がある」との記載がありますが、私は第4回、第5回会議において、正に現在進行中の案件でも、侮辱罪と表現の自由との関係が問題になっている事案があるようであり、今後も表現の自由の不当な制約となっていないかについて運用を注視していく必要があるという趣旨のことを発言しました。これは現状についての評価なのか、具体的な措置の必要性についてなのかというのは微妙なので(1)でも(2)でもいいのですが、表現の自由に対する不当な制約となっていないか、侮辱罪の適用範囲が不当に拡大していないかについて、今後も注視する必要があるという趣旨のことを加えていただきたいと考えます。 ○橋爪座長 事務当局と相談した上で、御指摘の趣旨を反映する方向で検討したいと思います。   そのほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 それでは、ほかに特段御意見はないようですので、「2 「表現の自由その他の自由に対する不当な制約となっていないかどうか」について」の記載についての議論もこの程度とさせていただきます。   それでは、「3 その他の検討事項」の記載についての議論に移りたいと存じます。   まず、「(1) 「インターネット上の匿名での誹謗中傷による侮辱罪に関し、被疑者の特定に係る被害者の負担を軽減すること」について」の記載について、御質問又は御意見がありましたら御発言をお願いいたします。   よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 それでは、特に御意見がないようですので、この論点につきましては、ここまでとさせていただきまして、(2)の論点に移りたいと存じます。   すなわち、「(2) 「損害賠償命令制度の対象事件を拡大すること」について」の記載につきまして、御質問又は御意見がありましたら御発言をお願いいたします。 ○柴田委員 (2)の一番最後の○ですが、「被害者に対する補償を充実させるべきである」というまとめ方をしているのですけれども、私は、被害者に対する補償を充実させるため新たな補償制度を創設すべきであるという、新制度の創設に言及したつもりだったので、その旨の修正を希望いたします。 ○橋爪座長 御指摘の点につきましては、事務当局で御検討いただけますでしょうか。 ○猪股参事官 御趣旨を踏まえ、座長とも相談しながら、対応を検討したいと思います。 ○笹倉委員 2つ目の○の最初の行で、損害賠償命令制度について、現在、対象となっている犯罪は「一般的・類型的に被害が大きく」と記載されています。それはそのとおりですけれども、この文面だけを一読した場合、あたかも侮辱は被害が大きくないと言っているかのように受け止められる可能性がありはしないでしょうか。それは、もちろん私たちの認識とは異なります。そこで、そういう誤解を招かないような修文をしていただきたいです。   また、2つ目の○の3行目の終わりの方から、「侮辱罪による損害は、一般的・類型的に判断ができるものではないため、因果関係やその範囲等が深刻な争点になり」と書かれています。「一般的・類型的に判断ができるものではない」がどういうことを意味するのかについて、法律家は分かるでしょうけれども、報告書をお読みになる方は、必ずしも法律家だけとは限らないところ、非法律家には少し分かりづらいのではないかと思いました。   損害について「一般的・類型的に判断ができるものではない」のは、その直後に書いてあること、つまり、因果関係やその範囲等が事案によって様々になり得ることによるのだと思います。ついては、そこも修文していただくと、より分かりやすい文章になるのではないかと考えます。 ○橋爪座長 2点御指摘を頂きました。   1点目の御指摘は、2つ目の○の「一般的・類型的に被害が大きく」との記載について、侮辱罪の被害が大きくないかのような誤解を招かない表現にすべきという御提案かと思います。   これは、損害賠償命令制度の対象事件となる殺人や傷害致死事件では、人が亡くなっている以上、一律に重大な被害が生じているわけですが、侮辱罪の場合は、被害が甚大な場合もあれば、それほど被害が大きくない場合もあり、言わば類型的被害といったものを捉え難いという御趣旨でよろしいでしょうか。 ○笹倉委員 報告書案は、そのような趣旨で記載されているのだと私は理解していますが、いろいろな方がお読みになるであろうことからすると、今、橋爪座長がおっしゃったような趣旨だということが分かるように書いていただいた方がいいのではないかと思います。 ○橋爪座長 笹倉委員の御趣旨を十分に踏まえて、具体的な修文については事務当局と検討したいと思います。   2点目につきましては、これは確かにおっしゃるとおり、特に一般の国民の方にはこれだけでは趣旨が伝わりにくいところがありますので、侮辱行為によって生じ得る具体的な被害の実態といったものは、類型的な判断になじまず、個別の事件ごとに判断しなければならないという趣旨が十分伝わるように、表現ぶりについて事務当局と検討したいと思います。 ○長戸委員 今の御指摘はそのとおりで、法律の専門家でない者から見ますと、確かにこの文章は読解しにくいと思いまして、同じ言葉が出てくるのは正確性を期す上で仕方ない部分もあるのでしょうけれども、もう少し分かりやすくしていただけると有り難いと思います。 ○橋爪座長 ありがとうございます。法律家ではない方も平易に理解できるような形で、修文について検討したいと思います。   そのほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 一通り御意見をいただけたようですので、(2)については議論が尽きたものといたしまして、続きまして、今度は「(3) その他」の記載につきまして、御質問や御意見がありましたら御発言をお願いいたします。 ○田山委員 アの4つ目の○について、「死者の法主体性をどこまで認めるかの問題と関係する問題であり」という記載がありますが、むしろ「死者に対して法的保護をどこまで及ぼすかという一般的な問題に波及する可能性があり、侮辱罪の検討にとどまらない」という趣旨の表現にしていただいたほうが穏当かと思いました。 ○橋爪座長 御指摘の方向で、具体的な修文については検討させていただきます。 ○佐藤委員 アの6つ目の○にドイツ刑法に関する記載がありますが、可能であれば若干の加筆をお願いします。   前回の会議での私の発言が言葉足らずだったのが原因ではありますけれども、ドイツにおいては、ここに挙げられている罪の実行行為は特に重大な侮辱や誹謗中傷に限られているというのが通説のようですので、例えば1行目の末尾のところに、「同罪の実行行為は特に重大な侮辱や誹謗中傷を加えたものに限られる」といった趣旨の表現を加えていただけますと幸いです。 ○橋爪座長 分かりました。ありがとうございます。 ○趙委員 アに関しまして、この検討会は、改正後の侮辱罪の規定がインターネット上の誹謗中傷に適切に対処できているか、表現の自由等に対する不当な制約となっていないかというのが改正法の附帯決議等にあったということを受けての会議であり、なぜこの会議で死者に対する侮辱罪を検討したのか、もともと予定されていたものとの関連性が正直分かりにくい気がしておりますので、どういう理由で、あるいはどういう観点からこのことを議論したのかということを入れて、なぜこの議論をしているのかが分かるようになっていた方がいいと思います。 ○橋爪座長 ありがとうございます。検討させていただきます。 ○柴田委員 アの1つ目の○の冒頭に入れていただくのがいいのかなと思っているのですが、私は、現行刑法では十分に捕捉できない死者に対する誹謗中傷が散見されるにもかかわらず、これに対して適切な対応がなされていないという趣旨の発言をしましたので、それを入れていただきたいと思っております。 ○橋爪座長 御提案の御趣旨を踏まえて、具体的な修文について検討させていただきます。 ○柴田委員 イの1つ目の○で、「アンケート調査や面接調査を行うなど」という形で記載されていますが、例示として世論調査の調査事項に加えるとの提案もしたので、その趣旨を加えていただきたいと思っています。 ○橋爪座長 承知いたしました。検討させていただきます。   そのほか、イについてもよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 それでは、これで(3)につきましても一通り御意見をいただけたようですので、これに関する議論は終了とさせていただきます。   最後になりますが、「第4 終わりに」の記載につきまして、御質問や御意見がありましたら御発言をお願いいたします。 ○趙委員 「終わりに」についての意見ですけれども、今の案では、インターネット上の誹謗中傷等は深刻な状況にあるので、「今後も不断に検討していく」、あるいは表現の自由等々についても、「より一層の適切な運用がされることを期待したい」という結論となっていますが、会議の中でも発言させていただいたとおり、私の意見としては、侮辱罪と表現の自由との関係が問題になる事案について、裁判所による現行法の解釈に委ねるだけではなく、改めて違法性阻却事由の規定等を設ける必要がないかどうかというのを今後も注視する必要がある状況にあると考えますし、やはりそのためには、本会議から一定期間経過後にインターネット上の誹謗中傷への対処とともに、この侮辱罪の適用状況について改めて検証する場を設けるべきだと考えます。 ○橋爪座長 今の趙委員の御発言の趣旨を確認をしたいのですけれども、「終わりに」の原案では、インターネット上の誹謗中傷については、政府に対して「今後も不断に検討していくことを求める」とした上で、表現の自由とのバランスについては、「より一層の適切な運用がされることを期待したい」というように、若干違ったニュアンスで記載されていることから、表現の自由に配慮することについても不断に検討することを求めるという形でまとめることを御提案されているのか、さらに、不断の検討についても、将来的に検討・検証の場を設けるなど、具体的な内容の追加を御要望なさっているのか、いずれの御趣旨で理解すればよろしいでしょうか。 ○趙委員 表現の自由についても不断に検討すべきであり、一定期間経過後に、改めてその時点におけるインターネットの誹謗中傷に対する対処とともに、表現の自由等との関係についても検討する場を設けるべきだという両方の趣旨で申し上げました。 ○橋爪座長 分かりました。   議論の前提として、まずは原案の趣旨につきまして、事務当局から御説明を頂けますでしょうか。 ○猪股参事官 本検討会におきましては、インターネット上の誹謗中傷の被害の深刻さについて認識が共有された上で、更なる法改正の必要性を見極めるには、表現の自由の点も含めて事例の集積等が十分ではなくて時期尚早であるという意見が示されたことから、今後もインターネット上の誹謗中傷をめぐる状況を注視して、政府が行っている施策の効果等を踏まえつつ、刑事上の対応についても不断に検討していく必要がある旨の記載をしているところでございまして、「取りまとめ報告書(案)」には御指摘の趣旨も盛り込まれているものと認識しています。 ○柴田委員 同じような意見ですが、今回の議論の中で、改正後3年では、一般予防効果が生じているのかどうかの評価が短かすぎてできないという御発言等もあって、今回は法定刑の更なる引上げは見送りということにもなっていますので、不断の検討は分かるのですけれども、ぜひ3年後ですとか、そういう具体的な年限を設けて再度見直しをするという提案を入れていただきたいと思っております。 ○橋爪座長 事務当局から、原案では、具体的な年限が記載されていない理由につきまして、御説明をお願いいたします。 ○猪股参事官 先ほども申し上げましたが、柴田委員の御指摘の趣旨も盛り込まれているものと認識しておりまして、その上で、具体的な年限が記載されていないことについては、更なる事例の集積等を踏まえて本格的な検討を行う時期というのを具体的に示すことは困難であると思われることから、御指摘のような記載はしなかったところです。 ○橋爪座長 今、趙委員、柴田委員から2つの論点について御指摘があったところかと思います。   1つ目の、表現の自由に関する配慮についても、不断の検討に含めるべきではないかという御提案については、事務当局から、その前段落のインターネット上の誹謗中傷への対処についても、不断の検討の対象には含まれているという御説明を頂いたところですが、ここは表現の問題でございますので、そのような趣旨が明確に伝わるような表現があるならば、表現方法については更に修正する余地があると思います。この点については、更に検討させていただきます。   第2に、趙委員からも、「不断に検討」に加えて、更に具体的な検討の場を設ける旨を記載すべきとの御提案があり、柴田委員からも、その時期を具体的に記載すべきではないかという御提案があり、いずれについても「不断に検討」する内容を更に具体化して提示すべきという御提案と承りました。 ○赤羽委員 本検討会におきまして、インターネット上の誹謗中傷がなお深刻な状況にある中で、直ちに措置を講じることが難しいとの意見が大勢を占めた理由は、今、事務当局からの御説明にもありましたように、実務における事例の集積が必ずしも十分でないということや、政府が行っている施策の効果がまだ十分に現れていない状況を踏まえたものであったと理解しているところでございます。   このうち事例の集積という点につきまして、実務に携わる者としての意見を申し上げますと、侮辱罪の事案というものは必ずしも多くなく、かつ、裁判において表現の自由との関係が争われる事案ということになりますと更に少ないという状況でございます。   したがいまして、例えば、3年後に、あるいは一定期間が経過すれば十分な事例が集積するのかという点につきましては、やはり疑問なしとしないところでございますし、また、事例の集積に要する期間をあらかじめ見通すということも難しいのではないかと感じるところでございます。 ○笹倉委員 ただ今柴田委員から具体的に時期を書くべきだという御指摘があり、それに対して赤羽委員から、それは必ずしも適切でないという御意見があり、いずれもなるほどと思ったところです。   具体的な時期を明記すべきだという御主張は、そうしないと、結局いつまでもやらないだろうという御懸念によるものでしょうし、そうであるとすれば、それはごもっともだと思います。他方で、今はっきりと結論を出すことのできない理由が、実務上の事例の集積が足りないということであるとすると、赤羽委員の、具体的に時期を切ることは実際上なかなか難しいという御指摘ももっともだと思われ、悩ましいところです。   その上で、あえて私の考えを申し上げますと、具体的な検討時期を明記することについては消極に傾きます。時期を明記しないということは決して後ろ向きであるわけではなく、むしろ機が熟したらいつでもやるということを意味するわけです。最も肝腎なことは、侮辱罪をめぐる情勢の変化とか、あるいは社会の意識の変化、そして、もちろん実務における事例の集積の度合いもですけれども、それらを不断に検討し、時機が来たら適時に適切に対処にすることです。そのような認識のもとに、私たちの一致したメッセージとして、正に絶えず状況を注視し続けるべきだということを打ち出すことこそが重要なのではないかと考えるところです。 ○橋爪座長 ほかに御意見はいかがでしょうか。   私自身、この点は大変悩んだところですが、確かに3年なり5年という具体的なめどを明記した方が、より積極的で前向きになるということは、委員の皆様の御指摘のとおりかと思いますが、では具体的に3年か5年かというと、明確な見通しや決め手があるわけでもないような気もいたします。   また、今回、具体的な結論に至らなかったのは、更なる事例や学説上の議論の集積がなお十分ではないことが影響しておりますので、逆に言いますと、将来、議論をするためには、その契機として、事例や議論の集積が必要になるように思われます。先ほど、赤羽委員からも御指摘がありましたように、では具体的にいつ侮辱罪に関する事例が十分に集積するかというと、それほど公判請求されるケースが多いわけでもない点に鑑みますと、現時点においては3年間経過したらこれだけ事例が出てきますという確証があるわけではなく、そのような意味では、3年なり5年という具体的な年限を記載することについては、かなりちゅうちょがあるところです。   私としましては、この「不断の検討を求める」というのは、かなり強いメッセージが含まれているように思いますし、このような形でメッセージを示せば、これは当然将来における検討の契機になり得ると考えておりますので、表現ぶりについては多少修正する余地があるかもしれませんが、3年なり5年という具体的な数値については記載しない方向で進めてはどうかと考えております。 ○柴田委員 事例の集積という点について、裁判例などがそれほど増えるとは思えないというのはそのとおりだとは思いますけれども、相談件数等が右肩上がりでずっと増加し続けているという現状を踏まえると、やはり裁判例の集積だけではなくて、被害実態の調査ですとか相談件数の増加、あとは学説の議論の状況については、こういった検討会があったということも弾みになって、今後また活発になっていくことは期待できるので、あまり件数が伸びないということを理由に、年限に言及しないという理由にはならないと思っております。   一般論として、年限がないと、実現されないというのが実態だと思っております。   ぜひ、ここは年数を入れていただいて、例えば3年後に開いて、まだまだ足りないとか、議論が進んでいないということであれば、それはそれで仕方がないかなと思っております。被害実態をもっと調査して、真摯に向き合っていく姿勢をきちんと示すべきではないかと私は考えております。 ○橋爪座長 もう一点申し上げますと、政府の施策についての効果を待つ必要があるというところも重要だと思います。つまり、仮に柴田委員が御懸念のように、インターネット上の誹謗中傷の被害が更に拡大し、悪化していく状況が続くならば、それはしかるべき時期に新たな施策について検討しなければいけないと思うのですが、現在の施策の効果についても、これから注視していく必要があるわけですので、その状況がある程度見えてこないと、いつ具体的に検討をするかということも見えてこないように思われます。  いずれにしましても、ただ今の御指摘は十分に受け止めた上で、事務当局と具体的に検討し、御提案のような形で修文できるかについて更に検討したいと思います。 ○長戸委員 柴田委員の問題意識は私も大切に受け止めたいと思っております。   この不断に検討していくという「不断」という言葉によって、誹謗中傷を許さないという決意が示されていると思います。ここで「不断かつ柔軟に」という言葉を入れると、かえってニュアンスは弱まりますかね。時期を決めないと、ずっとそのままになってしまうのではないかという懸念を柴田委員もおっしゃっているので、あえて3年とか5年といった年限を入れないのであれば、「不断かつ柔軟に」と入れたらどうかと思ったのですが、ただ、そうすると、文章全体が柔らかくなってしまって、かえってその決意が弱まるようにもも思いまして、御検討いただければと思います。 ○橋爪座長 今の御趣旨は、不断と柔軟という言葉の併用によって、強い決意を示しつつも、ただ漫然と検討するわけではなく、何か具体的な状況の変化があった場合には臨機に対応するというメッセージも含ませるべきということかと理解いたしました。   今の御指摘を踏まえて、表現ぶりについては更に事務当局と検討をしたいと存じます。将来について強いメッセージを示した上で、漫然と時間を費やすのではなく、具体的な状況に応じて臨機な対応をすべきということを適切に伝えられるような形で検討をしたいと思いますし、委員の皆様も、良い表現がありましたら、ぜひ御教示いただけますと幸いです。 ○長戸委員 確かに座長がおっしゃるように、「柔軟」より「臨機応変」とか、そういった言葉のほうがよいかもしれません。 ○趙委員 具体的な年限のところは、もう今の議論で尽きているかとは思うのですけれども、その前提として、インターネット上の誹謗中傷については、なお深刻な問題であるということは書かれていると思うのですが、侮辱罪の適用範囲とか表現の自由との関係については、この検討会の中でも、無罪の事例が1件あったということが報告されたり、あるいは私からも、報道等によれば、今、裁判で侮辱罪と表現の自由が問題になっている事案があるらしいということは少し紹介させていただきました。そのように表現の自由との関係が問題になる事案が現に裁判となって進行中であるというニュアンスをどこかに入れていただきたいと思います。   だからこそ、注視しなければいけない、更に検討しなければいけないというところにつながると思うので、その表現の自由との関係についても、今いろいろ動いているという趣旨のことを前提として入れていただきたいという提案を申し上げます。 ○橋爪座長 個別事件について具体的に言及することは難しいと思うのですが、一般論としましても、誹謗中傷の処罰と表現の自由の保護の間には、ある種の緊張関係があることは御指摘のとおりですので、そのような観点から、この問題については今後も不断に状況を注視した上で、状況によっては具体的な方策についても検討するといったニュアンスが伝わる形で、事務当局と相談しながら修文については検討させていただきます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 いろいろ貴重な御指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。   それでは、十分御議論いただいたものと存じますので、「第4 終わりに」についての議論はここまでとさせていただきます。   「取りまとめ報告書(案)」の内容についての議論は以上となりますが、そのほかに、この機会に御発言されたい点などがある方はいらっしゃいますでしょうか。   よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 それでは、以上で本日の議論を終了とさせていただきます。   「取りまとめ報告書(案)」につきましては、本日頂きました御意見を踏まえて、更に改訂の要否を検討し、その必要性がある場合には次回会議で改訂版をお示ししたいと思います。検討結果につきましては、次回会議までの間に事務当局を通じて皆様に御連絡させていただければと思います。   そのような進め方とさせていただくことでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。   次回は、再度取りまとめに向けた議論を行い、できれば次回で最終的な取りまとめをしたいと考えております。   本日の議事につきましては、これで終了いたしました。   本日の会議の議事につきましては、特に公表に適さない内容に当たるものはなかったと思われますので、発言者名を明らかにした議事録を公表することにさせていただきたいと思います。また、配布資料につきましても公開したいと思いますが、そのような取扱いでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。   それでは、本日の会議はここまでといたします。   次回の予定につきまして、事務当局から説明をお願いいたします。 ○猪股参事官 次回の第7回会議は、令和8年2月9日月曜日午前を予定しております。  詳細につきましては、別途御案内いたします。 ○橋爪座長 ありがとうございます。   それでは、本日はこれで閉会といたします。   どうもありがとうございました。 -了-