侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会 (第7回) 第1 日 時  令和8年2月9日(月)   自 午前 9時59分                       至 午前10時41分 第2 場 所  法務省5階会議室 第3 議 題  1 「取りまとめ報告書(案)〔改訂版〕」について         2 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○猪股参事官 ただ今から侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会の第7回会議を開催いたします。 ○橋爪座長 本日は、皆様御多用中のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は、佐藤刑事局長に御出席いただいております。   それでは、早速議事に入りたいと思います。   前回会議でお示ししました「取りまとめ報告書(案)」につきまして、皆様からいただいた御意見を踏まえて改訂し、本日配布資料8としてお配りしています。委員の皆様には、事前に「取りまとめ報告書(案)」の改訂版をお送りしておりますので、既にお読みいただいているかと思います。   まず、事務当局から前回会議でお示しした「取りまとめ報告書(案)」からの改訂内容について説明をお願いいたします。 ○猪股参事官 「取りまとめ報告書(案)〔改訂版〕」は、前回会議における御議論を踏まえ、座長の御指示の下、事務当局において、「取りまとめ報告書(案)」の内容を改訂したものです。   具体的な改訂内容について、改訂後の報告書(案)に沿って御説明いたします。   まず、報告書(案)4ページの第3の1(2)アの1つ目の「○」の冒頭に、「民事上・行政上の措置は飽くまでも事後的な対応にとどまることから、刑事上の措置には侮辱行為を抑止する効果が期待されるところ、」との記載を追加し、2つ目の「○」の記載について、改訂前は、「誹謗中傷の現状に鑑みると、侮辱罪の拘禁刑の上限を2年とすることや、罰金刑の上限を引き上げることが考えられるのではないか」としていたところ、これを改め、「名誉毀損罪の法定刑の上限(拘禁刑3年)を引き上げない場合であっても、誹謗中傷の現状に鑑み、侮辱罪の拘禁刑の上限を2年とすることや、罰金刑の上限を引き上げることが考えられるのではないか」としました。   次に、報告書(案)5ページのイの1つ目の「○」の冒頭に、「被害実態に鑑みると、」との記載を追加し、ウの1つ目の「○」の記載について、改訂前は、「SNSのダイレクトメッセージを利用した公然性のない誹謗中傷は現在は侮辱罪による処罰の対象とならないため、公然性のない誹謗中傷を処罰対象とすることも検討するべきである」としていたところ、これを改め、「侮辱罪は公然性が要件とされているところ、SNSのダイレクトメッセージを利用した公然性のない誹謗中傷の被害が実際に生じていることから、公然性のないインターネット上の誹謗中傷も処罰対象とすることを検討するべきである」としました。   次に、報告書(案)7ページの(1)の3つ目の「○」の末尾に、「状況を注視する必要がある」との記載を追加しました。   次に、報告書(案)10ページの2つ目の「○」の記載について、一文を短くするとともに、「侮辱罪による損害は、」に続く箇所を、「事案によって様々であることから、因果関係の有無や損害の範囲等が深刻な争点になり得」としました。   同じく報告書(案)10ページの3つ目の「○」の末尾に記載について、改訂前は、「被害者に対する補償を充実させるべきである」としていたところ、これを改め、「被害者に対する新たな補償制度を設けるべきである」としました。   次に、報告書(案)11ページの(3)アについて、冒頭に、「ヒアリングにおいて、事件や事故で亡くなった被害者を侮辱する投稿がSNS上で繰り返され、遺族が深く傷つく事例が後を絶たないとの指摘があったことを踏まえ、」との記載を追加し、1つ目の「○」の記載について、改訂前は、「死者に対する名誉毀損罪について、死者が生前に有していた外部的名誉が保護法益と考えられていることを前提とすると、保護法益が同じく外部的名誉であると考えられている侮辱罪についても、死者に対する類型を設けることは十分検討に値する」としていたところ、これを改め、「現行法上の罪では対応できない死者を誹謗中傷する事例が生じているところ、死者に対する名誉毀損罪の保護法益は、死者が生前に有していた外部的名誉と考えられており、侮辱罪も保護法益は外部的名誉であると考えられていることからすると、死者に対する侮辱罪を設けることは十分検討に値する」としました。   また、4つ目の「○」の記載について、改訂前は、「死者の法主体性をどこまで認めるかの問題と関係する問題であり」としていたところ、これを改め、「死者に対する法的保護をどこまで及ぼすかという一般的な問題に波及する問題であり」との記載にし、6つ目の「○」の記載について、「死者の追憶に対する不敬罪が設けられているところ、」に続く箇所に、「同罪の実行行為は重大な誹謗中傷に限定されている上、」との記載を追加しました。   次に、報告書(案)12ページの1つ目の「○」の記載について、改訂前は、「アンケート調査や面接調査」との記載であったところ、これを改め、「世論調査やアンケート調査、面接調査」とし、これに伴い、2つ目の「○」の記載のうち、改訂前は、「アンケート調査や面接調査」との記載であったものを、「アンケート調査等」と改めました。   最後に、報告書(案)13ページの一番下の段落について、改訂前は、「しかし、インターネット上の誹謗中傷は、今なお深刻な状況にあることから、引き続き、その状況を注視していく必要があり、政府に対して、民事上・行政上の様々な施策の状況や効果等も踏まえつつ、刑事上の対応について、今後も不断に検討していくことを求めたい。」としていたところ、これを改め、「しかし、インターネット上の誹謗中傷をめぐる現状は、前記のとおり憂慮すべき状況にあり、今後、インターネット上の誹謗中傷をめぐる社会の情勢が変化していく可能性もあることから、引き続き、そうした社会の情勢や侮辱罪の運用状況を注視していく必要がある。それとともに、侮辱罪による処罰は表現の自由と緊張関係に立つものであることから、侮辱罪による処罰が表現の自由に対する不当な制約となっていないかとの観点からも、その運用状況を注視していく必要がある。政府に対しては、こうした社会の情勢や侮辱罪の運用状況に加え、民事上・行政上の様々な施策の状況や効果等も踏まえつつ、刑事上の在るべき対応について、今後も不断に検討するとともに、その結果に基づいて臨機に対応することを求めたい。」としました。   そのほかの変更点として、報告書内の平仄等の観点から、形式的な修正を行っております。   報告書(案)の改訂内容に関する事務当局からの説明は以上です。 ○橋爪座長 ありがとうございます。   それでは、本日はこの改訂後の報告書(案)を基にしまして、取りまとめに向けた議論をお願いいたします。   改訂後の報告書(案)につきまして、御質問や更なる御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。 ○柴田委員 14ページの上から6行目の後半からの「刑事上の在るべき対応について、今後も不断に検討するととともに、その結果に基づいて臨機に対応することを求めたい」という部分について、意見を述べます。   世間の注目を集めるような不幸な出来事が発生してから検討を始めるのではなく、そういう不幸な出来事が発生する前に適切な対応をしてほしいという観点から、前回、3年後や5年後などの期限を設けてほしいという発言をいたしました。   そのような観点から、この部分に「迅速に」などという趣旨の表現を入れていただきたいと思っております。「臨機に」という言葉はありますけれども、「臨機」というのが、「そのときその場に応じて適切な手段を取ること」という意味のようですので、適切な対応を取っていただければいいということにはなるのかもしれませんが、時機を逃さず、迅速に検討を進め、前向きに対応していただきたいという趣旨をもう少し加味した表現にしていただければと思っております。 ○橋爪座長 柴田委員から、前回の検討会におきまして、3年後や5年後などの明確な期限を示すという御提案を頂きましたが、今回それに代えまして、そのような期限の明示が困難であるとしても、「迅速」という文言を入れて、遅滞なく検討する趣旨を明記すべきであるとの御意見を頂きました。   私自身も、検討課題が新たに生じた場合には、それを放置することなく、遅滞なく一定の対応を講ずべきことを、政府には強く求めたいと考えておりますので、そのお考え自体は全く同感です。   ただ、先ほども言及がありましたが、現在の案の「臨機」という言葉に、状況に応じて速やかに対応することが含意されている以上、御指摘のようなニュアンスは、原案においても既に含まれているようにも思われまして、更に御指摘のような修正を加える必要性は、相対的に乏しいようにも考えております。   更に申し上げますと、繰り返しになりますが、今後の状況を見据えた上で、その状況に応じて必要な対応を取ることが重要であるところ、「臨機」に加え、更に「迅速」という文言を追加的に挿入した場合には、とにかく早くやれといったニュアンスが強まってしまい、「臨機」が持つ本来の趣旨といったものが逆に減殺されてしまいかねないことを若干危惧しております。   いずれにしましても、今後の状況を注視した上で、何らかの新しい課題が生じた場合には、臨機に、正にスピード感を持って対応すべしというニュアンスが、原案の表現においても既に含まれているという点については、改めてこの機会に確認しておきたいと存じます。   そのように私なりに葛藤を重ねた結果、趣旨としては全く同感ですけれども、あえて「迅速」という文言を加える必然性は乏しいと考えたところですが、柴田委員、いかがでございましょうか。 ○柴田委員 「臨機に」という表現を普通に読むと、「迅速に」という趣旨が入っているとは私は読めなかったのですけれども、今の御説明でそういう趣旨を含んだ表現だということで理解いたしますので、その点は強く訴えていっていただきたいと思います。 ○橋爪座長 ありがとうございます。「臨機」という文言自体のニュアンスに、「機を逸せずに速やかに」という趣旨が含まれているという点については、委員の皆様にもこの機会に御確認をお願いできればと存じますが、よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、このような形で御了承いただいたということで、厚く御礼を申し上げたいと存じます。   そのほか、御質問や御意見がありましたら、いかがでございましょうか。 ○笹倉委員 4ページの第3(2)アの最初の「○」について、「民事上・行政上の措置は飽くまでも事後的な対応にとどまることから、刑事上の措置には侮辱行為を抑止する効果が期待されるところ」という文言が追加されたという御説明がございました。   実質的な内容に異存があるということではないのですけれども、念のためにお伺いします。「刑事上の措置」という言葉は、犯罪として処罰することを意味するものと読めますが、犯罪の処罰は、正に事後的な措置である一方、行政上の措置は事前にも介入できるところに違いがあると大学の授業で教わりますし、また、教科書にもそのように書いてあると思います。他方で、民事上の損害賠償も事後的な措置ですが、しかし、民事の損害賠償にも、一般論としては、抑止効果があると言われることがあります。そこで、とりわけ、刑法の研究者の方々にお尋ねしたいのですが、このような記載で特に違和感はないでしょうか。ないのであれば、もちろんそれで構いませんが、もし引っ掛かるところがあるということでしたら、適切に修文していただきたいと思います。 ○橋爪座長 これは、柴田委員の御発言の御趣旨を事務当局の方で整理いただいたものと承知をしておりますが、今の御指摘は、刑罰も、基本的には何か犯罪があった場合に、事後的にサンクションを科すものであり、もちろん、実際には刑罰の事前抑止によって、一般予防として犯罪を防止する効果があるけれども、それが刑罰の本来的な役割ではないのではないかとの御指摘かと思います。逆に言うと、民事上の措置や行政上の措置についても、事後的な対応だけではなくて、事前に働き掛けを行ったり、抑止をすることがあり得るから、このような文言でいいのかという御指摘を頂いたところでございます。   まず、柴田委員、今の御指摘を踏まえていかがでございましょうか。 ○柴田委員 まず、民事上の措置について、日本はアメリカなどと違って慰謝料が極めて低い傾向にあり、しかも、実効性にも疑問がありますので、民事上の措置が事前の抑止力になっていると言われると、それは少々違うと思いますし、現在の行政上の措置についても、表現の自由などへの配慮もありまして、事前の措置としては十分に機能していないと考えております。   刑罰が、個別の発生した事件や被告人に関しては、もちろん事後的に機能するのは確かでございますが、やはり一般予防という形で法規範を形成して犯罪を抑止することも、刑罰の重要な役割の一つだと考えておりますので、この表現に変更を加える必要はないのではないかと考えております。 ○橋爪座長 笹倉委員からは、刑法学者の方の観点から見て違和感はないかという御質問を頂きましたが、刑法学者の方はいかがでしょうか。 ○佐藤委員 一般論としては、笹倉委員のおっしゃることはよく分かるところですが、ここの記述というのは、飽くまで侮辱の場面に限定した議論、文脈の中で書かれているものかと思いますので、ここで言う行政上の措置は書き込みの削除、民事上の措置は損害賠償の話になると思うのですけれども、それらの措置は、この文脈だと事後的な対応という表現がふさわしいのではないかと思っております。他方で、刑罰についてはもちろん応報的な側面もありますが、やはり予防的な側面もあり、この文脈では、刑事法上の予防的な効果というものが正に期待されている場面だと思いますので、私は、個人的には特に違和感は感じませんでした。 ○橋爪座長 あえて申しますと、「措置」という言葉には、具体的な事実があった場合に、それに対応して科す処分というようなニュアンスがありますけれども、恐らく柴田委員の御趣旨は、そのように個別の事案に対する処罰という観点ではなくて、一般的に刑罰というものが存在していることや、あるいは侮辱に対して重たい刑罰が科されるということを前もって示すことに、事実上侮辱行為を抑止する効果があるという御趣旨だと理解しました。そう考えますと、「措置」という言葉を、例えば、「刑罰を科すことには」とか、「刑罰の事前予告には」という文言にすると、柴田委員の御趣旨が更にクリアになり、また、先ほど笹倉委員が御指摘になった御懸念も解消するようにも思いましたが、いかがでしょうか。 ○田山委員 橋爪座長から御指摘いただいたように、「刑法上の措置」という言葉が多少引っ掛かるというところは、確かにそうかと思いました。ですから、御提案のように、「措置」という言葉をなくすような方向での修文が、一番しっくりいく形なのではないかと拝聴していて思いました。 ○橋爪座長 柴田委員、「措置」という言葉は、行政上の措置と刑法上の措置で対比する観点からも、存置したほうがよろしいでしょうか。 ○柴田委員 取りまとめ報告書案のもとになった私の発言で「措置」と言っていたかどうか定かではないのですけれども、民事上、行政上の措置と刑罰規定との比較という趣旨で発言しているので、こだわりはありません。 ○橋爪座長 そうしましたら、改めて御提案申し上げますが、先ほど笹倉委員の御指摘を踏まえますと、「措置」という言葉を使わず、「刑罰には侮辱行為を抑止する効果が期待される」と書けば、それは刑罰の持つ一般予防効果を指すということが明らかになりますので、そのように、私の方から再修正をお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。では、「刑法上の措置」を「刑罰」に改めるということで、更に修文を加えたいと存じます。   それ以外に、この機会に更に御質問、あるいは修正の御提案がございましたら、お願いしたいのですが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   特になければ、この内容をもって、本検討会の取りまとめとすることでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、この内容で、本検討会の取りまとめとさせていただきたく存じます。   本検討会におきましては、昨年9月から7回にわたりまして、充実した議論を行い、本検討会の総意として、本日報告書を取りまとめることができました。まずは、委員の皆様方の御尽力に深く感謝を申し上げます。   報告書の「第4 終わりに」にありますとおり、政府には、インターネット上の誹謗中傷に対する刑事上の在るべき対応について不断に検討し、その結果に基づいて臨機に対応することを強くお願いしたいと考えております。   次に、委員の皆様方から、これまでの議論を振り返っての御感想など、どのようなことでも結構でございますので、この機会に御発言をお願いしたいと思います。御発言の希望がある方は、挙手をお願いいたします。 ○趙委員 この会議に参加させていただきまして、様々な方からのヒアリング等を通して、インターネット上の誹謗中傷の問題について、なお非常に深刻な問題であるという認識を新たにしました。   これに対する対応として、刑事上の対処ということをなお検討しなければいけないことはそのとおりですけれども、やはり民事的な手続、あるいは行政上の手続含めて、総合的に対処すべきであると改めて考えました。   また、侮辱罪というのは、表現行為そのものに対する刑罰ですので、その適用の範囲について、本来の法改正の趣旨から逸脱していないかどうか、なお慎重に今後も見ていかなければいけないということについても、思いを新たにしたところでございます。   貴重な機会を頂きましてありがとうございました。 ○嶋矢委員 まずは、誹謗中傷という、実態やその全体像が見えにくい問題につきまして、貴重な実情のお話をしてくださった参考人の方々、委員の先生方、またその資料の準備等をしてくださり、資料を取りそろえて考える素材を提供くださった座長を始め事務当局の皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。   それらを全体として見て、議論におきましては悩みながらも、今回は現状の法制度の枠内で様子を見るという慎重な意見を申し述べさせていただいたわけでございますが、報告書記載のとおり、誹謗中傷、特にインターネット上のそれが収まった、改善しているというわけではなく、今後も注視を要する状況であるということは間違いないかと思います。   今後につきましては、これらの問題は平穏な社会生活や日常生活を営む際の基本的部分に関わるものというふうに、ますますなってくると思われますところ、差し当たっての対応は、実務に携わる方々に引き続きの御尽力をお願い申し上げたいところでございます。一研究者といたしましては、比較法の総合的研究が成果として公表されつつあるなど、議論が進展しつつある状況でありますので、それらを学びながら考察を深め、議論への寄与を今後していきたいと思っている次第でございます。   改めまして、皆様、貴重な機会をありがとうございました。 ○長戸委員 専門家の皆様の方からいろいろ勉強させていただきまして、ありがとうございました。   ネット上の誹謗中傷はいまだに深刻な問題であると思います。本当に言葉というのは、使い方によっては人の心を壊してしまう恐ろしい武器にもなりますし、威力を持つものだということを改めて感じました。   私が記者としてというか、一般の者として申し上げると、精神的苦痛とか、いわゆる心の傷というものに関しては、数値では測れないため客観化が非常に難しく、客観的な評価にはなじまないものだと思っております。全治何か月といった数値化ができませんし、特に心の中の問題ですと見えないものですから、それゆえかもしれませんが、刑事司法の現場では、その人がどれだけ大変な状況にあるかというのは比較的軽く扱われてきたのではないか、評価の難しさがあったのではないかという印象を持っております。こういう検討会を通して、いわゆる人格権に関わる部分が非常に重大な問題なのだということが認識されるきっかけとなることは、よかったのではないかと思います。   それから、「不断に検討」との取りまとめ報告書の記載について、具体的な期限を入れたほうがいいのではないかと私も思ったところですが、この問題は深刻な問題であるので、引き続き社会全体で考えていくべきだと思いました。侮辱罪が本当に今の在り方でいいのかということが起きた場合、積極的に発信して問題提起をしていきたいと思っております。メディアとして不断に注視をしていくつもりです。   ありがとうございました。 ○赤羽委員 今回この検討会に委員として参加させていただきまして、委員の皆様やヒアリングに御参加いただいた方から幅広く御意見を伺い、意見交換をさせていただくことができたということは、大変有意義であったと感じております。特にヒアリングでは、被害者の方から誹謗中傷の被害の実情や、これに対処しようとした場合に被害者の方々が負う負担の重さなどについて御意見をお伺いする機会を頂きまして、その被害の深刻さを改めて認識いたしました。   また、本検討会におきましては、侮辱罪の規定の運用に関する御指摘もいただきました。実務を担う検察の立場といたしましては、誹謗中傷による被害の深刻さや被害者の方々の御負担、精神的苦痛なども踏まえつつ、本検討会において御指摘のあった運用に関する問題意識や御意見にも留意した上で、引き続き適正な処分や科刑の実現に努めてまいりたいと考えております。   ありがとうございました。 ○佐藤委員 今回は、大変貴重な勉強の機会を頂き、ありがとうございました。検討会の中では、死者に対する侮辱や死体に対するわいせつ行為といった論点も新たに出され、私としても非常に大きな気付きを得られました。   取りまとめ報告書に、社会情勢の変化等を注視するという旨の文言がありますので、それに関連してコメントをさせていただきたいと思います。   インターネット上の誹謗中傷に適切に対処するための侮辱罪の法定刑の引上げの要否という検討事項の中で、侮辱罪の保護法益について意見を若干述べさせていただきました。現在の通説は、侮辱罪の保護法益を外部的名誉と捉えておりますけれども、このような保護法益の捉え方は永遠不変のものではなく、行為に対する社会の受け止め方の変化によって流動し得るものと考えております。   昨今、生成系AIを利用したディープフェイクの登場などにより、人格権の保護に対する社会の関心は高まっており、今後もますます高まるものと考えられます。一人の研究者といたしまして、こうした意味での社会情勢の変化も注視しつつ、侮辱罪の保護法益の捉え方、また適切な処罰の在り方について、考察を続けてまいりたいと考えております。 ○内藤委員 今回の検討会では、個別事件を取り扱う裁判実務を離れまして、ヒアリングを含め、様々な立場からの御経験や御研究等に根差した御意見を伺い、議論をさせていただくという、貴重な機会を得ることができまして、インターネット上の誹謗中傷等の実情や課題について認識を深めることができました。今般の検討会やその取りまとめ報告書が、今後の運用や課題を解決するための取組に生かされることを願っております。   裁判所といたしましても、この検討会を踏まえ、引き続き適切な事実認定、法令の適用、量刑判断に努めてまいりたいと考えております。   ありがとうございました。 ○柴田委員 犯罪被害者支援に携わっている弁護士という立場から、今なおインターネット上の誹謗中傷の被害が増えていると思われる状況ですとか、ヒアリングで示された被害者の声からすれば、直ちに法定刑を引き上げてほしいという率直な気持ちを述べさせていただきました。   誹謗中傷だけでなく、性的な被害に関しても、インターネット上での被害は大きくなっていると考えていますので、総合的に検討して対応する必要があると思っております。   そういう問題意識が伝わればと思っております。 ○笹倉委員 ヒアリングに応じてくださった被害者、御遺族のお二方、専門の参考人のお二方の話を伺い、更にはそれぞれに御見識をお持ちの委員の皆様との意見交換を通じて、取り分けインターネット上の誹謗中傷をめぐる状況の厳しさ、そして侮辱罪の解釈、適用の難しさというものを、改めて認識いたしました。   私たち自身もいつ被害者になるか分からないわけでありまして、決して人ごととしてではなく、我がこととして今後も考えてまいりたいと思っております。   どうもありがとうございました。 ○田山委員 検討会の中で、誹謗中傷による被害を受けた方の心の傷が非常に大きいものであるということを、改めて認識いたしまして、とにかく被害を拡大しないためにも、民事、行政分野での迅速な対応が何より重要であることを、改めて感じた次第です。そのような中で、刑罰の持つ威嚇力に対する期待が、また非常に大きなものであることも実感いたしました。   ただ、昨今の刑罰法規のインフレ化や厳罰化という一般的な傾向の中で、刑罰の持つ感銘力の低下が、一方で懸念されるようになってきているのも事実ではないかと感じております。ですから、今後刑罰が期待に応えられるような威嚇力を持ち続けるためにも、逆説的ではありますけれども、刑罰の用い方にはより一層の慎重な検討が必要になってくるのではないかとも感じたところでございます。   今後もこの経験を是非研究に生かしてまいりたいと思っております。この度は貴重な機会を頂きまして、大変勉強になりました。御礼を申し上げます。ありがとうございました。 ○山本委員 警察の立場から申し上げます。本検討会におきます委員の皆様、それとヒアリングに出席された方々から寄せられた様々な御意見や、またこの検討会の中での活発な御議論から、侮辱罪につきまして、引き続き適正な運用が現場で行われるように、都道府県警察を指導していくことの重要性について改めて認識させていただいたところでございます。   本当にありがとうございました。 ○橋爪座長 ありがとうございました。   では次に、本検討会の終了に当たりまして、事務当局である法務省刑事局から御発言をお願いいたします。 ○佐藤刑事局長 「侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会」の終了に当たりまして、御挨拶申し上げます。   橋爪座長を始め、委員の皆様方におかれましては、昨年9月の第1回会議から本日の第7回会議までの間、大変お忙しい中、会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。皆様には、インターネット上の誹謗中傷をめぐる様々な検討事項につきまして、幅広い視点から、活発な意見交換を行っていただきました。本日取りまとめていただいた報告書や、委員の皆様方から頂いた御意見等につきましては、今後の法務省における不断の検討の重要な参考とさせていただきたいと思っております。   皆様におかれましては、今後とも法務行政に対して御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。 ○橋爪座長 最後になりますが、私の方からも一言御挨拶を申し上げたいと存じます。   本検討会におきましては、委員の先生方に大変熱心に御議論いただきまして、今後の在るべき対応について、論点を十分に整理することができました。改めて、厚く御礼申し上げます。   今回の検討会におきましては、現在においてもインターネット上の誹謗中傷が深刻な問題であることを、改めて確認いたしました。取り分け、ヒアリングにおきましては、被害当事者である松永様、木村様から具体的なお話を伺いまして、その被害の重大さ、対策の必要性を強く認識したところでございます。   誹謗中傷が個人の社会的名誉を侵害するにとどまらず、場合によっては、更に重大な被害を惹起する危険性があることを十分に認識した上で、被害状況を引き続き注視し、今後も刑事法上の在るべき対応について議論を続けることが重要であると考えております。その際には、もちろん刑事法的対応だけではなく、民事上、行政上の対応も含めて、多角的な検討が必要になると思われます。   同時に、この検討会では、侮辱罪による処罰が場合によっては表現の自由と緊張関係にあるという問題意識も強く示されました。今後の実務におきましては、このような課題を十分に意識した対応が必要になってくるかと存じますし、また、刑法の研究においても、事実関係の摘示を常に伴うわけではない侮辱罪の罪質を十分に踏まえた上で、正当化され得る言論活動の限界について、更に議論や検討を尽くす必要があることを痛感しております。   私自身、今後は一人の刑事法研究者として、本検討会の議論を踏まえて更に勉強していきたいと考えております。委員の皆様には、今後ともよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。   本日予定した議論につきましては、これで終了いたしました。   本日の会議の議事につきましては、特に公表に適さない内容に当たるものはなかったと存じますので、発言者名を明らかにした議事録を公表したいと考えております。また、配布資料につきましても公開したいと考えておりますけれども、そのような取扱いでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。   これをもちまして、侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会を終了いたします。半年間、どうもありがとうございました。 -了-