法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第28回会議 議事録 第1 日 時  令和7年11月4日(火)自 午後1時15分                     至 午後5時57分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  1 要綱案のたたき台作成に向けた検討(1) 2 要綱案のたたき台作成に向けた検討(2) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第28回会議を始めます。   本日も御多用の中、御出席を頂きありがとうございます。   前回欠席なさっておられた新任の林委員におかれましては、簡単な自己紹介をお願いいたします。 (委員等の自己紹介につき省略) ○山野目部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   続きまして、会議の出欠の状況についての案内を差し上げます。本日は櫻田委員、家原幹事及び海老名幹事が御欠席と伺っています。   本日の審議に入ります前に、配布資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○木田関係官 本日は新たな部会資料として部会資料26及び27を配布しております。資料の内容については、後ほどの御審議の中で事務当局から御説明差し上げます。   また、本日は厚生労働省より「社会福祉法の見直しに向けた検討状況について」と題する資料を御提出いただいておりますので、こちらを参考資料17として配布しております。   さらに、本日は常岡委員から「成年後見制度の見直しと未成年後見について」と題する資料及び佐野委員から「金融機関が考える「本人による預金の払戻しが行えなくなる懸念」について」と題する資料をそれぞれ御提出いただいており、こちらにつきましても配布しております。   本日の配布資料は以上でございます。 ○山野目部会長 審議を進めます。この部会におきましては主に民法に規定されている成年後見制度の見直しについて審議をお願いしてきたところでございます。成年後見制度利用促進基本計画の第二期計画におきましては、成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実が並列して記されてございます。ここにいう総合的な権利擁護支援策の充実につきましては、厚生労働省において検討が進められております。その状況につきましては、既にこの部会におきましても第10回会議において当時の火宮幹事から御紹介の説明を頂きました。本日は前回の説明以降の検討状況につきまして、厚生労働省において社会福祉法の見直しに向けた検討状況について資料の準備を頂いておりますから、占部幹事から参考資料17の説明をお願いしたいと考えます。   占部幹事、どうぞよろしくお願いいたします。 ○占部幹事 部会参考資料17に沿いまして、社会福祉法の見直しに向けた現在の検討状況について御報告をさせていただきます。   2ページを御覧ください。こちらは成年後見制度利用促進法に基づき閣議決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画の概要につきましてはでございます。現在は令和8年度までの第二期計画期間の中でございまして、左下に記載してございますとおり、成年後見制度の見直しに向けた検討と併せて総合的な権利擁護支援策の充実についても検討を進めることとされているところでございます。   続いて、3ページです。こちらが本年5月に取りまとめを行った地域共生社会の在り方検討会議の中間取りまとめの内容でございます。こちらは元々は人口減少、単身世帯の増加等の社会構造の変化など、前回の令和2年に社会福祉法を改正した際の検討規定等を踏まえて、地域共生社会の進化を図るための提言ということで取りまとめているものであり、包括的な支援体制の整備を通じた地域共生社会の実現という文脈の中で、身寄りのない高齢者等への対応ですとか成年後見制度の見直しへの対応についても議論をしたというところでございます。   成年後見制度の見直しへの対応について、右側の赤囲いの部分でございますけれども、①の判断能力が不十分な方の地域生活を支える事業の新設と併せまして、いわゆる中核機関について名称も含めた検討を行い、法定化するという方向性を示しているところでございます。あわせて、真ん中の赤枠の部分ですけれども、身寄りのない高齢者等への対応というのが一つの課題として掲げてございまして、日常生活支援、入院入所手続支援、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業を新設するとしているところでございます。これは、判断能力が不十分な方に対する福祉サービスの利用援助や金銭管理等を行っている現在の社会福祉法上の福祉サービス利用援助事業について、予算事業として実施している日常生活自立支援事業について拡充を行うということと併せて、事業の対象者と機能を広げる形で新たな第二種社会福祉事業として見直すということを念頭に置いているものでございます。   この内容を踏まえ、現在、社会保障審議会福祉部会におきまして、社会福祉法の見直しに向けた議論を行っており、4ページ以降に9月の第29回福祉部会に提出した資料をお付けしています。先ほどの新たな第二種社会福祉事業については6ページ以降に具体的な制度設計の内容を記載してございます。6ページを御覧いただきまして、まず事業の趣旨でございますが、現行の日常生活自立支援事業が対象としている判断能力が不十分な方に加えまして、頼れる身寄りがいない高齢者等を対象としつつ、資力が十分でない方でも利用できるように、事業の利用者のうち一定割合以上が無料又は低額で利用できるようにする、いわゆる無低事業としてはどうかということを記載しています。事業の対象者について、特に身寄りがいないということに関しては、家族、親族関係が多様であることを踏まえて、一律に身寄りがある方を対象外とすることはできないのではないかということについて記載をしております。   続いて、7ページが事業の内容でございます。現在の日常生活自立支援事業では、定期連絡等の定期的な見守りや一定額の預貯金出し入れ、福祉サービスの利用料や公共料金等の支払いなどの日常的な金銭管理、福祉サービスの利用料や公共料金等の支払いなどの日常的な金銭管理、福祉サービス利用の手続支援等の福祉サービスの利用援助、それから通帳、年金、保険証書等の重要書類等の預かりなどのいわゆる日常生活支援を実施しています。こちらに加えまして、入院入所等の手続支援と死後事務の支援の少なくとも一方を実施するという形で事業を実施することとしてはどうかとしています。また、現在の日常生活自立支援事業につきましては、地域住民が生活支援員として本人に寄り添いながら見守りや意思決定支援を行い適切な金銭管理等を支援することで、尊厳のある御本人の生活の安定を図る互助の仕組みでありまして、これにより地域福祉を推進しています。新たな事業につきましても、事業者において利用者本人の意思決定支援を適切に確保することを求めることとしています。   続いて、8ページです。新たな事業につきましても、現在の日常生活自立支援事業と同様に契約に基づく事業であるということ、それから、利用料については原則として利用者が負担し、要件を満たす方については減免をするということ、ただし、葬儀、納骨、家財処分等の実費相当分については利用者負担とすること等について記載をしてございます。この事業は第二種社会福祉事業でございますので、実施主体に制限は設けないということと、都道府県知事への届出制であるということについても記載をしています。   最後に、社会福祉協議会がこの事業を実施する場合については、現在の日常生活自立支援事業と同様に、都道府県の区域であまねく事業が実施されるようにするため、都道府県社協、指定都市社協において事業の実施を行うことが想定されるということについて記載をしています。   以上が新たな事業についてでございます。   次に、司法と福祉の連携強化を図り、現在の権利擁護支援の地域連携ネットワークを強化するという観点から、市町村の役割、あるいは中核機関の位置付けについて法令上明確にするということを念頭に置きながら議論を進めているところでございます。これが9ページ以降でございます。第二期成年後見制度利用促進基本計画におきまして、成年後見制度の見直しに対応して中核機関の位置付け等についても検討を行い、所要の措置を講じることとされています。   現在の中核機関の整備状況ですけれども、全市町村のうち7割程度にとどまること、あるいは現状の中核機関の権限等が曖昧であること、法制審議会民法(成年後見等関係)部会の中間試案におきまして、家庭裁判所は市町村等に対し、本人の保護の状況その他必要な事項につき意見を求めることができる旨の規律を設けるとの考え方が示されたことを踏まえまして、現在検討している方向性が11ページ以降でございます。   まず、市町村が行う業務や果たすべき役割につきまして明確化することを検討しております。11ページの①が運用面の考え方の整理でございますが、成年後見制度の見直しの結果として、市町村が家庭裁判所から後見人等の選任、交替、終了の判断に当たって意見を求められた場合には、必要な範囲で適時適切に応答を行うこととしてはどうかとしています。   ここでいう適時適切とは何かという点につきましては、家庭裁判所からの意見照会を契機として市町村が状況を把握し、本人を支えるための家族や専門職等によるチームの形成につなげるという場合もございますが、地域において本人を支える支援が見込まれない、あるいは市町村で有意な情報を把握していないという場合につきましては、その旨を家庭裁判所に対して回答すれば足りるということで、照会を契機として都度、調査を実施するというところまでは要しないという取扱いとすることを想定しているところでございます。この部分につきましては福祉部会におきましても自治体を代表する委員から、『照会の基準等を明確なものにするとともに、制度だけが先行して地方公共団体に過度な負担が生じてしまうことがないように』といった意見もあったところでございます。   また、②のところですが、成年後見制度も含めた権利擁護支援策を適切に利用できるように、第二期基本計画において示している権利擁護支援の地域連携ネットワークが有する機能を市町村の業務として法令上位置付け、これを市町村が実施するよう努めることとしてはどうかと考えているところです。   続いて、12ページですけれども、基本計画におけるいわゆる中核機関につきまして、先ほどの市町村の業務を実施する機関として権利擁護支援推進センターという名称を定め、これを市町村が設置することができるものとするとともに、職員の守秘義務を課すことを明確にすること、また、個別事案に係る支援方針の検討を行うための会議体の設置についても制度上位置付けるということについて検討しているところです。   このような形で権利擁護支援の地域連携ネットワークを構成する市町村の役割や中核機関の法的位置付けを明確にするとともに、引き続き成年後見制度の見直しに向けた議論の状況を注視しながら、基本計画に基づき地域における権利擁護支援の推進に向けた取組を引き続き進めてまいります。社会保障審議会福祉部会における検討につきましては今後、年内を目途に取りまとめに向けた議論を進めていく予定ですが、その結果を踏まえ、所要の措置を講じることになるものと考えているところです。   私からの説明は以上でございます。 ○山野目部会長 委員、幹事から御発言がありますれば承ります。いかがでしょうか。   特にありませんでしょうか。よろしゅうございますか。   占部幹事におかれては、社会保障審議会福祉部会における調査審議の状況などにつきまして簡潔、丁寧な御報告を頂きまして誠にありがとうございました。引き続き同審議会における検討が進められていくものと予想いたします。この部会におきましても、社会福祉法の改正の動きに十分に留意をしながら引き続き調査審議を進めてまいりたいと考えますから、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。   本日は常岡委員から「成年後見制度の見直しと未成年後見について」と題する資料及び、佐野委員から「金融機関が考える「本人による預金の払戻しが行えなくなる懸念」について」と題する資料の提出を頂いています。お二人の委員におかれましては資料を御準備いただきありがとうございます。佐野委員におかれて資料に関する簡単な説明を頂きたく存じます。常岡委員から頂いた資料につきましては、部会資料26についての審議をする際に常岡委員から簡単な御説明を頂きたいと考えておりますけれども、常岡委員、そのような進行でよろしいですか。   ありがとうございます。   それでは、佐野委員、お話を頂きたいと存じます。お願いします。 ○佐野委員 ありがとうございます。第25回部会などでも発言させていただいておりますが、金融機関が考える本人による預金の払戻しが行えなくなる懸念について、資料に沿ってお話しさせていただきます。   事理弁識能力が不十分であることに加えまして保護の必要性が法定後見開始の要件となった場合において、保護の必要性がなくなったとして法定後見が取り消された方については、事理弁識能力が不十分にもかかわらず保護者による支援を受けることができなくなります。そのような場合、金融機関での預金の払戻し等の生活の基本に関する取引が行えなくなるなど、日常生活に支障を来すことが懸念されております。   具体的なケースとしては、資料内に囲みの中で記載しているようなものになりますが、例えば、高齢のお客様が金融機関に来店されて日常の生活費に充てるための預金の払戻しを希望されましたが、窓口の手続においてその方の判断能力に疑義があると思われたために出金をお断りしました。ただ、金融機関から御御本人に対しまして法定後見を利用いただきたい旨を御案内して促したものの、御本人は法定後見が必要性がなくなったということで取り消されたばかりであるから、一人で払戻しができるはずだと、なので再び法定後見を利用することは考えていないと断られた場合というものを想定しております。   このケースにおきまして、金融機関の通常の手続といたしましては、事理弁識能力が不十分な方に対する預金の払戻しはお断りをしておりますので、御本人は日常生活に必要な資金の払戻しを受けることができなくなり、日常生活に支障を来すことが懸念されます。このような場合には、再び法定後見の開始を請求すれば解決できるという考え方もあり得ると思いますが、これでは保護の必要性を新たに法定後見の開始の要件とした終われる後見を新設する今回の法改正の趣旨に必ずしも沿わないものになると考えております。   ですので、今お話しした想定ケースのような場合において、金融機関として御本人からの預金の払戻しに安心して応じることができるような預金商品の設計を検討する必要があると考えております。検討する論点といたしまして、まず1番のところに記載しておりますが、預金取引の無効であるとかトラブル発生の懸念に関してです。これまで部会等の議論におきまして、本人による預金の取引が民法3条の2により無効であると判断されるリスクは僅少であろうということが、こちらに記載したような意見を基に示されたと認識しております。ですが、このような指摘が想定ケースにおける前段の出金の手続のような場合においても妥当するものかは判然としないと考えております。実務上、実際トラブルが発生するのは、本人よりも家族などの周囲の人間による主張が起点となることが多いというのもあります。また、仮に裁判になった場合に敗訴の懸念があるかないかという点もちろんのこと、トラブルの発生であるとか応訴自体が金融機関にとっては大きな負担となりますので、そもそもこの負担を回避するという観点から預金取引自体を見合わせる金融機関が出てくる可能性はあります。そうしますと、御本人による円滑な預金の払戻しができなくなり、御本人の日常生活に支障を来すということが懸念されます。   項番2に記載しておりますのが、こういう事態に対応するために特定の預金商品というのを考えたらいかがかという観点で、特定の預金商品と日常生活に関する行為、民法9条ただし書に関する内容です。このような懸念を解消しまして金融機関が安心して本人からの払戻し請求に応じることができ、本人の自由な意思決定を尊重するためのものとして、保護の必要性がないとして法定後見が終了した御本人を預金者とする特定の預金商品を設けることが案として考えられるのではないかとしております。   (1)番の特定預金商品に係る口座からの本人による払戻しの効力に関してです。この特定預金商品は、本人が日常生活を営む上で通常必要な資金の払戻しのみに用いられると定めることなどにより、特定預金商品に係る口座からの本人の払戻しは民法9条ただし書で規定されている日常生活に関する行為に当たると整理することが考えられます。この点は、民法9条は成年被後見に関する規定でありまして、法定後見が取り消された方に直接には適用されないものではありますが、民法9条の対象となる成年被後見人も想定ケースにおける本人も、事理弁識能力が不十分であるという点においては共通しておりますので、事理弁識能力が不十分な方の日常生活に支障を来さないようにするという民法9条ただし書の趣旨は想定ケースの本人についても妥当するといえます。   そうだといたしますと、特定預金商品に係る本人の払戻しが日常生活に関する行為に該当すると整理できる場合には、この規定の趣旨とか法意や項番1で記載しておりました考え方を踏まえますと、特定預金商品に係る口座の払戻しが民法3条の2により無効であると判断されるリスクというのは、より少ないのではないかと考えております。このように考えることができましたら、金融機関としては特定預金商品に係る口座からの本人の払戻しについては安心して応じることができるようになり、事理弁識能力が不十分であるものの保護の必要性がなくなったとして法定後見が取り消された方の安定的な日常生活を確保することができると考えております。   この特定預金商品が日常生活に関する行為というところにどこまで該当するのかという点に関しては、このように整理するためには、払戻し金額など、どのような要件が必要かという点を踏まえて商品設計をする必要があると考えております。   項番3のところなのですが、これを実現するための手当てに関して記載させていただいております。今申し上げました預金商品を設けるに当たりまして、この取引が日常生活に関する行為に該当すると示すためには、金融機関において約款等にその取引の性質を規定するのみでは不十分ですので、何かしらの手当てが必要であると考えております。具体的には、この法制審部会での協議、動向を踏まえまして関係省庁などから示していただく考え方であるとか、業界団体による申合せなどに沿った対応を行うとすることも想定されると考えております。もっともこのような場合でありましても、どのような要件、中身とするべきなのかというところはやはり検討が必要となります。   ここまで資料内で申し上げました考え方自体でありましたり、預金商品の要件であるとか手当てなどに関して、御参加の皆様から御意見などがあれば頂けますと幸いです。私からの説明は以上です。 ○山野目部会長 佐野委員から頂いたお話につきまして、委員、幹事から御意見やお尋ねがありますれば承ります。いかがでしょうか。 ○根本幹事 ありがとうございます。まず、佐野委員を始め資料を取りまとめていただきました皆様には感謝を申し上げたいと思います。その上で内容についてですけれども、9条ただし書においても民法3条の2は越えられないものの、小口預貯金取引についても日常生活に関する取引という観点からは9条ただし書に引き付けて議論することはできると私自身も考えておりますので、今回の整理の内容について賛同するところであります。   その帰結として、後見制度利用終了後の取引についての法的効果ということになりますので、民法に規定するということはなかなか難しいとしても、先ほど佐野委員から御紹介を頂きましたような金融機関側の事情、つまり本人による預貯金取引に関する社会的な要請には金融機関としては応じたいというお気持ちはあるけれども、他方で金融機関としての事実上のリスクにも配慮しなければ実務上支障が生じてしまい、結果的に今回の改正の運用が円滑に行われないということで、結果的には利用者である国民の皆さんに不利益が生じてしまうということについての配慮も必要だというところも、そのとおりだと思っております。   このことを考えますと、金融機関の預貯金約款だけで対応を迫るということは金融機関にとっては酷ではないかと思うところもありますので、今回の民法改正に伴う社会的要請に対して、金融機関だけではなくて関係省庁も含めた、ソフトローを含めた対処によってこたえていくべきではないかと私自身としては考えています。   佐野委員が最後におっしゃっておられたように、今回の商品の設計については引き続き部会の内外を通じて検討を続けていき、実際にサービス提供に至るということによって、国民の皆さんにとっても金融機関にとっても終われる後見が実現されていくことにつながるのではないかと思いますので、引き続きの部会内外での検討を強く望むというのが私の意見となります。 ○山野目部会長 引き続き、いかがでしょうか。 ○星野委員 御説明ありがとうございます。実務をしている観点で少し気になるところが、この想定事例は金融機関の窓口に本人が来て、窓口での手続ということで想定されていると思うのですが、現に現在、保佐、補助あるいは後見類型の方でも自身でキャッシュカードを使って日常的な少額のお金の出し入れをする方がいらっしゃいます。金融機関のお立場で、成年後見制度の利用が終わったときにこれまで保護者が管理していた口座を改めて本人がキャッシュカードを持つというようなことについての想定といいますか、その辺りについては何かお考えがあれば教えていただきたいと思いました。 ○山野目部会長 佐野委員からお話がありますれば、承ります。 ○佐野委員 キャッシュカードを用いて手続ができるようにするかというところも、先ほど申し上げた今後の要件の検討というところに入ってくるかと考えております。 ○山野目部会長 今のやり取りは、キャッシュカードの問題があるということが認識として共通になればよろしいという話でしょうね。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○青木委員 佐野委員にはおまとめをいただきありがとうございました。質問になる点もありますけれども、幾つか今後の検討として、既に検討いただいているとは思いますけれども、幾つかお伝えしたいということでお話をいたします。   まず、ご報告では制度の終了の場合を念頭に置いて御説明いただきましたが、こういった商品が開発された場合には、想定事例として1ページに書いているような場合に、つまり日常の生活について御本人で取引さえできれば、それ以外には特に成年後見制度を使う必要がない方というような、いまだ成年後見制度を使っていない人についても、そうした日常生活上の金銭管理をご自身でできる商品としても利用が可能になるのだろうかと期待していますが、そういった場合も想定されているかどうかという点です。是非そういう場合も想定した商品の設計をお願いできればと思うところです。   もう1点は、本人さんの判断能力というのは一人一人違いますので、中にはしっかりと丁寧に説明をすれば本人が成年後見を利用終わった後の方であっても、普通の預金商品を利用することができる方もおられると思っておりまして、金融機関の皆様が丁寧に御説明することによって、こうした終了後の特別の商品を使わなくても、日常の金銭管理であれば通常の預金商品に基づいてできる方もいると思われますので、銀行の実務においてその方策も併せて確認を頂くという実践のためにガイドラインなりが求められると思っておりまして、その点も併せて御検討いただければ幸いです。   以上2点、よろしくお願いいたします。 ○山野目部会長 二つおっしゃったうちの前の方は、ややお尋ねでありましたし、後半は要望ないし意見であるかもしれません。佐野委員におかれて、現時点でお話がありますれば承ります。 ○佐野委員 まず1点目にお話しいただいた点に関しましては、この預金商品という点に関しては、まずは法定後見が終了した方についてどのように円滑にできるようにするかという観点で考えておりますので、まずは終了した人というのを念頭に置いてはいるのですけれども、今おっしゃっていただきましたとおり、その他のパターンという方にも適用できるような商品にしていくような検討は進めていきたいと考えております。   2点目の方に関しても、必ずしも全員が全員この商品を使わねばならないという仕組みになる必要はないと思っておりますので、御本人の状態に合わせて金融機関と関係機関とで調整しながら、どういう商品を提供していくかというのを判断することになるのかなと考えております。 ○山野目部会長 青木委員、よろしいでしょうか。   引き続き、いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、佐野委員を始め全国銀行協会、それから関連する諸団体の皆様におかれましては、本日御提出いただいた資料に至るまでの検討をなさっていただき、ありがとうございます。3条の2と9条ただし書との関係を中心に丁寧な検討の深掘りをしていただいたと感じます。この部会においてこのような御努力を今後、要綱案を作成していくに当たってどのように受け止めて反映させていったらよいかということについても考えてまいりたいと思います。引き続き佐野委員のお手許におかれても、本日お出しいただいた御意見を更に深めるための検討なさっていただけると有り難いと要望いたします。   それからあと、特定金融預金口座、特定預金商品、これが本当に動くときにはもう少し柔らかい何かニックネームがあるといいですね。お年寄りとか障害のある方々が、よし使ってみようという気分になるような何かラベルがあると、そのときには大変リアルなものとして動いていくであろうと予想します。佐野委員、どうもありがとうございました。   本日の調査審議に進みます。部会資料26を取り上げます。部会資料26につきましては全体をまとめて審議をお願いすることにいたしますから、この全体につきまして、まず事務当局から資料説明を差し上げます。 ○木田関係官 部会資料26について御説明いたします。   まず、1ページからの「第1 任意後見制度における監督に関する検討事項」の「1 任意後見人の事務の監督の在り方」では、中間試案の本文の甲案、乙案及び(注)に関して寄せられた意見に関する御議論に加えて、8ページに記載している任意後見監督人の選任の考慮要素として、本人の意向が含まれることを明確化することについても御議論をお願いしたいと思います。   また、第1の「2 任意後見人の事務の監督の開始に関する検討」では、ゴシックにおいて、開始の要件については現行の規律を維持するものとすること、申立権者については、後ほどの論点の結論を先取りしていますが、任意後見制度と法定後見制度とが並存することを前提に、法定後見の保護者を申立権者とすることや、本人が公正証書によって指定した者を申立権者とすること、申立義務については、申立義務の規律を設けないものとすることを記載しております。本人が公正証書によって指定した者を申立権者とすることについては、登記の要否や指定された者への通知の要否についても御議論いただきたいと思います。   次に、17ページからの「第2 任意後見制度と法定後見制度との関係」では、任意後見制度と法定後見制度との並存を可能とする方向とした上で、並存を可能とする場合の任意後見人と法定後見制度の保護者との権限の調整のために、任意後見人の代理権の停止の規律の在り方などについて記載しております。任意後見人の代理権の停止の制度を設ける場合の要件、停止期間、裁判手続を含めて御議論いただければと思います。この点について、法定後見の保護者によって任意後見契約の一部を解除することにより権限の調整ができるのではないかという点も踏まえて御議論を頂きたいと思います。   また、26ページからの「第3 任意後見制度に関するその他の検討」の1では、任意後見契約の一部の解除等について記載しております。これらについては、ゴシック部分に記載されているものを中心に御議論をお願いしたいと考えておりますが、例えば、任意後見契約の一部の解除及び当事者の合意による事務の委託の追加(変更)では、一部の解除した場合の登記手続や任意後見契約の発効後についても変更することを認めるのかについても御議論をお願いしたいと考えておりますし、予備的な任意後見受任者の制度を設ける場合については、契約の個数や、第1順位の任意後見受任者が欠けたときに第2順位の任意後見受任者が任意後見人として事務を開始するための手続や、予備的な任意後見受任者の登記の在り方について御議論いただければと思います。   最後に、37ページからの第3の「2 その他」については、ゴシック部分に記載した四つの項目について、新たな規律を設けないことを提案しています。 ○山野目部会長 部会資料26につきましては、冒頭にも御紹介を致しましたとおり常岡委員から資料の提出を頂いておりますから、常岡委員におかれて簡単な御説明を頂戴することができれば幸いでございます。   常岡委員、どうぞよろしくお願いいたします。 ○常岡委員 資料の提出について、今回、成年後見制度の見直しということでありますが、ただ、民法の現在の親族編第5章の後見の章では成年後見と未成年後見が混在しているというか、両者を必ずしも明確に区別しながら条文が置かれているわけではないのですけれども、今回のこの見直しの経緯を見ていますと、成年後見制度が改正された後には、やはりそれと切り離して未成年後見についてどこかで考える必要がある、民法の規定の整備も含めて検討する必要があるように思いましたので、意見書を提出いたしました。   その中で、何点か検討することが必要なものを挙げてありますし、そこに記載していないものにつきましても、例えば親権者になっている親が成年後見等の審判を受けて、改正後は呼び方が変わることになると思いますけれども、現在でいうと成年被後見人に当たるような状況になった場合、乙1案の場合にはそういうものは想定されていないかと思いますけれども、乙2案の場合に、事理弁識能力を欠く常況にあると判断された場合における親権者としての権限の調整等についてもやはり検討が必要になってくるかと思います。そういうことも含めて、未成年後見について今後見直しが必要になってくるだろうと私自身は考えております。ただ、それが具体的にどこで今後検討されていくかということはまだ全く分かりませんし、恐らくそのような予定も現時点では考えられていないと思いますけれども、ただ、必要性があるということについては指摘しておきたいと思っております。   それから、本部会と関係しますところでは、従前から議論されていました任意後見契約を親権者が締結できるのかという論点がございます。実務としては、意見書の中にも書きましたが、公証人による公正証書作成の実務において、特別代理人の選任を受けて締結を認めるということが行われていますけれども、親権者が未成年者に対して持つ法定代理権との関係で、それが果たして理論的に可能なのかという論点があることは十分承知しておりますが、問題の本質は恐らく任意後見契約を親権者が結べるかということを含めた、未成年者から成年者の後見への移行をどのように整備していくかということにあるように思っています。   意見書の中ではユース・トランジションという言葉を使っていますが、適切な日本語があればそちらでと思いますけれども、アメリカでこの考え方は非常に重視されていますし、そのようなものも含めて、親権と未成年後見制度を併せた今後の検討の中で、法定後見制度以外の選択肢を障害をお持ちの未成年者が成年になった後に選択できるのか、そういう可能性があるのかということについて検討が必要なように思っております。   もちろんこの部会で必要な範囲で、また、関心のある先生方もたくさんいらっしゃると思いますから、御意見を交わしていただくことは非常に重要だと思いますけれども、ただ、本格的に審議するためにはやはり別途の場を設ける必要があるのではないかと思っております。   以上のことから意見書を提出いたしました。私からは以上になります。 ○山野目部会長 この部会に与えられました諮問は、皆様方に御理解いただいているとおり成年後見制度の見直しでございまして、未成年後見の規律の内容に立ち入るということにはなっておりませんし、そのような態勢にもなっておりません。そうは申しましても、成年後見制度の見直しの立案を進めるに際しては未成年後見に係る規定との整理が必要になってくる部分がございます。そのような悩ましい場面について、たくさんの示唆を含む意見をただいま書面にまとめて常岡委員から頂戴することができました。常岡委員におかれては、どうもありがとうございました。   部会資料27について、この全般につきまして委員、幹事からのお話を頂きます。委員、幹事におかれては御随意の発言をなさってください。いかがでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。では、部会資料26、第1の任意後見制度における監督に関する検討事項について、まずもって事務局の皆様におかれましては、この要綱案の取りまとめに向けた多くの論点の整理をする中、私たちが提案した任意後見における監督の在り方について整理を頂き、ありがとうございました。   これまで私たちは実務における問題点や部会資料3ページに記載されている法務省の任意後見制度の利用状況に関する意識調査の結果を踏まえ、任意後見制度の利用促進のためには、利用者が負担と感じている監督の負担を軽減する仕組みが必要だと考え、柔軟、簡易な監督について幾つかの提案をさせていただきました。任意後見制度の利用促進のために柔軟、簡易な監督という方法について引き続き検討していきたいとは考えておりますが、第25回部会で頂いた御指摘を踏まえて内部で検討した結果、現段階では新たな規律を設けることまで求めていくのは時期尚早との結論に至りましたので、現行法の規律を維持する甲案を含めて検討していくことに異論はございません。私たちとしましては、これからもリーガルサポートとも協力しながら、この柔軟、簡易な監督の在り方について検討を行うとともに、任意後見に関する実務を積み重ねることによって任意後見制度の利点や問題点などの検討を深め、任意後見制度の改善につなげていきたいと考えています。   改めまして、部会資料26の第1について意見を述べさせていただきます。部会資料8ページに記載がある任意後見監督人の選任の考慮要素に、任意後見契約の際に本人が公証人に対して示した任意後見監督人になる者に関する意向を明確化することにつきましては、制度の理念に沿った運用を確立する上で極めて意義深いものと考えていますので、不適任な任意後見監督人が選任されないよう、家庭裁判所の判断事項であることを前提として、本人の意向を尊重する観点からも、是非このような仕組みを設けていただきたいと考えています。   任意後見制度は、本人が将来の生活や療養看護、財産管理についてあらかじめ意思や希望を明確にしておくことによって、これを持続的、継続的に実現していくための制度と承知をしています。ここに事後的に支援体制を整える法定後見とは異なるこの任意後見制度の本質的な意義があると考えています。一方、現行法は法定後見の規律をそのまま準用しているため、家庭裁判所が法定後見と同様に利害関係のない公正な第三者専門職を選任する傾向があり、本人の御意向が十分に反映されにくい状況にあると考えています。こういった状況を踏まえて、任意後見監督人の選任に当たって、本人が公証人に対して表明した意向を家庭裁判所が考慮すべきことを法律上明確に位置付けることは、制度の理念に沿った運用を確立する上で極めて意義深いものと考えています。家庭裁判所の裁量を損なうことなく、任意後見制度の本質をより適切に制度運用に反映させることができるものと考えています。   取り急ぎ、以上です。 ○根本幹事 多数にわたりますので、まず第1のところについての意見を2点申し上げたいと思います。   まず、1点目が監督の在り方についてです。部会資料4ページのウの乙説に対しての懸念点を御記載いただいていますが、あくまでも乙説に対しての懸念点は、私的自治に対する介入として必要最小限の範囲にとどめるのが相当であるということではなく、理論的な根拠とはならないことは、第16回会議において私や佐久間委員などからの発言にも同様の趣旨のことは申し上げてます。あくまでも、第16回会議のときに佐久間委員からも、最終的には家庭裁判所の人的・物的体制との関係で難しいのではないかということが理由として適切で、理論的に私的自治への最小限の介入ということで導かれるものではないという御指摘を頂いているかと思いまして、私もそのとおりだと思っております。部会資料を拝見すると、今回の改正では難しいということになるのかもしれませんが、そうだとしても理論的に困難なのではないということはしっかりと明確にしておく必要があると思っております。   その上で、例えば、これまでも前回会議などでも家庭裁判所の御負担を考えた上での方策は、できるだけ例外的にするなど御提案をしているつもりではありますが、それでもやはり家庭裁判所の御負担との関係で難しいということなのであれば、例えば当初1年間は監督人を必須にするなど、更に要件を絞ることも選択肢かと思いますので、それらの選択肢も検討した上で、現在の家庭裁判所の体制では難しいというのが今回の部会での議論の帰すうということになるのであれば、その点は明確にしていただきたいと思います。   2点目が申立権者の拡大との関係で、公正証書による指定のところです。恐らく部会資料27の法定後見においても同様の指摘になるのではないかと思います。一つは、法的な性質としては、いわゆる単独の意思表示として構成していくことが望ましいのではないかと考えております。通知をするというのは慎重な検討が必要ということになってはいるわけですけれども、他方で、単独の意思表示として構成する場合には、指定された側の方が自らが指定されているということを認識されていなければ、指定をされたところで意味はないということになりますので、法制上の位置付けとするのか、若しくは運用上の位置付けとするのかはともかく、指定をする際には、例えば公証役場で公正証書で指定をするということでしたら、公証人の先生におかれて指定をされた者の例えば同意書などを確認していただくなど、指定を受けた側が一方的に指定をされてしまわれないようにする方策も同時に必要ではないかと思っております。   部会資料を拝見しておりまして更に検討が必要ではないかと思うことが2点ございます。1点目は、指定を解除する、指定された御本人が解除したいと思われた場合に、公正証書で行うということでよろしいのかどうかということは検討していただいた方がよいと思っています。なお、同意との関係で、指定を受けた側の立場で見たときに、指定されたくないと思ったとしても、単独の意思表示として構成するのであれば、何か法的な義務を課せられているということではないということになるかと思いますので、指定を受けたままでも指定を受けた者が何か不利益を被るということではないと思います。申立てをしなければよいということだとは思いますが、関係性などが変わる中で指定をした側が指定をやめたいと思った場合には、撤回という対処する方策は定めておく必要があるのではないかと思います。   2点目です。部会資料27とも関係する話にもなりますが、申立権者が申し立てることができる範囲については、特に開始の場面に限定はせず、申立権者が法律上できるものは認めていくということで規律を考えているのだと思います。しかし、開始後に、任意後見なり法定後見という枠組みが既に始まっているにもかかわらず、介入をするための根拠としてこの制度が濫用されないようにするという仕組みは同時に必要ではないかと思います。開始する前に関係性ができていて指定をされるということは、今回の創設される制度に合致したものということになるわけですけれども、制度が開始された後に何らか本人と任意後見人ないしは本人と法定後見人との関係性に介入するための濫用的な手段として使われないようにするという観点への配慮は、必要ではないかと思っております。その観点から、例えば、公正証書で指定することができるのは飽くまでも開始の前に限定するなどの方策を考えるべきではないかとは思います。   その上で、一度終了して再度の申立てのときに公正証書で指定された方が再度申立人になれるかといえば、それはなれるということにもなろうかとは思っておりますので、指定された申立権者が行使できる範囲として、公正証書で指定された以降に制度が利用されているという場合に限定をするという限定をしていただくと、今申し上げた濫用的な介入ということも防止できるのではないかと考えておりますので、是非その方向で御検討いただければと思っております。   まず、第1の点については以上です。 ○佐久間委員 第1の1について今、根本幹事がおっしゃった点で、私も確かにそう申しまして、そのこと自体は違ってはいないのですけれども、乙案に関しましては、改めて考えますと、物的・人的制約ということを除いても、今のままでは裁判所にとって負担ではないかと心配しました。特に、直接監督をするかしないかというのを家庭裁判所に判断を任せるという丸投げを致しますと、家庭裁判所が直接監督で行きましょうとなった場合に、その任意後見人が不正、不適当な事務処理をしたとすると、裁判所は法的責任はもちろん負わないでしょうけれども、一定の非難の声を免れないのではないか、そのような立場に裁判所を置くのはよろしくないのではないかとも思いましたので、物的・人的資源の面以外からも、今のままでは直接監督をする方がよいというような意見を申し上げるつもりはないということをお伝えしておきたいと思います。   次に17ページからの第2の1に関して、任意後見人の権限の停止についてです。まず、私の基本的な立場は、任意後見人というのは本人が選んで代理権を与えておりますので、停止であっても好ましくはないと考えております。その上で実際上の不都合をどう考えるかというと、これは資料にも書かれておりますけれども、まず家庭裁判所が法定の後見人を、取りあえず後見人と呼んでおきますけれども、法定の後見人を選任するときに無用の権限重複を避けていただくということと、それでも重複が生じた場合は、これは保護者というか任意後見人と法定の後見人の間で調整をするというのが基本だろうと思います。   その際に、法定の後見人がむちゃを言っているということもないとはいえないとは思うのですけれども、そこは少し置いておきまして、任意後見人が本来応じるべき調整に応じないということになりますと、程度がひどければ解任をする、あるいは一部解除というのが今後あり得るとしたら、一部権限解除をするということを考えるべきなのではないかと思います。と申しますのは、権限が重複している二人の保護者がいるという状況で、本人の利益に鑑みて権限調整すべきであるというときに、特段の理由もなくというか合理性のない拒否をするというのは不適任であることを表す一事由だと思いますので、解任ないしはその権限の剥奪というのでしょうか、でよろしいのではないかと思っています。   最初に木田関係官が、法定の後見人による解任が可能かどうかとか何とかも御議論をとおっしゃった点なのですけれども、まず、本人がこの解任について申し立てる、あるいは同意をするということができるのであれば、任意後見は本人の意思に基づいて始まったものですので、そこで現在の正当な事由もあるということから、法定の後見人にそのための代理権を本人の請求または同意により与えて解任させることは何ら問題ないと思っています。他方、本人が事理弁識能力を欠く常況にあるときにはどうかということですけれども、これも任意後見の事務というのは少なくとも現在は本人の財産上の事務の委任の一種ですから、財産上の事務の委任の解除は一身専属的な性格のものとはいえないと思います。   私が前に別の脈絡で申し上げたこととの関係で申しますと、一旦権限を取り上げるということ、解任するということになりますと、法定後見が終わった後にもその効果が及ぶことになりますけれども、それは法定後見の事務を進めるために必要な行為をした結果でありまして、法定後見の権限が本来及ばないところについて何か本人の法律関係を左右するというものではないということから、本人が事理弁識能力を欠く場合でありましても、法定の後見人の代理権として、要件を満たすのであれば付与するということができると思います。以上から、そのような措置をもって対応すればよく、停止という仕組みは要らないのではないかと思います。停止という仕組みを設けますと、いろいろ制度が複雑にもなりますし、また、無権限取引がどうしても起こりやすくなるおそれがあるのではないかと思います。典型的な例を考えますと、停止に必ずしも納得していない人の権限を停止するということになると、その人が停止されたことを無視してそのまま行為をするということだってあり得て、そうすると無権代理ではないか、相手方保護をどうするのかが問題となりかねません。そこで、一旦停止というのではなく、必要であれば解任ということにするのが適当ではないかと思っています。   次は、26ページの第3の1に関しまして、一部発効と予備的受任者についてです。まず、一部発効に関しましては資料33ページの2行目から9行目辺りに書かれていることが、そのとおりではないかと思いました。つまり、一部発効の規律を設けたにいたしましても、結局発効させるに当たっては新たに開始の審判と同様のことをしなければいけないのではないかということです。そうであるとすると、契約書は先に作っておいても構わないと思うのですけれども、仕組みといたしましては随時の権限の追加とか人の追加とか、そういう仕組みで運用するというか、そういう仕組みとして整理するのが法的には適切ではないかと思いました。   次に、予備的受任者についてでありますけれども、これは前回申し上げたところと同じことを申し上げることになるのですが、それしかないと考えているわけでありません。私の理解はこうだということでありますけれども、例えばAという本人がB、C、Dという3名に、Bを1番、Cを2番、Dを3番ということで受任者を頼みたいと思っていた場合です。この場合につきまして、契約としては1通の公正証書でするということも、公正証書の作成の在り方として問題がないのであれば、私は行われてよいと思っています。ただ、そうでありましても、ここからはこれから御意見を伺って考えなければいけない点だとは思っているのですけれども、B、C、Dそれぞれの間で何らか法律関係、権利義務関係が生じないのであれば、契約としてはAとB、AとC、AとDの契約であって、B、C、Dの間には法律関係が生じない以上は契約関係はないと理解するのが適切ではないかと思います。そうだとすると、AB間、AC間、AD間の三つの契約において、AB間の契約が第1順位、第1順位というと少しおかしいかもしれませんが、次のAとCの契約はBが欠けたときに、欠けたということを前提として効力を生ずる停止条件付きのもの、DはB、Cが欠けたときに生ずる停止条件付きのものと理解することで足りるのではないかと思います。また、そうしませんと、飽くまで仮にの話ですけれども、B、Cでそれぞれの間に法律関係が何らないにもかかわらず、これは全員の四者間の契約であるということになりますと、AがBとの間の法律関係だけ解消したいと思うときにもC、Dの同意が要る、承諾が要るということになり、関係が複雑になるだけではなく本人の意思を拘束することになってしまいますので、適切ではないと思います。   少し先周りするようなことを申しますけれども、B、C、Dの間に何らかの法律関係を見付けるということはあり得るとは思います。あり得るとは思うのですけれども、それは今最後に申し上げた本人の契約自由をそのように拘束するに足るだけの本人にとって意味のある関係がB、C、Dの間で認められることが必要なのではないかと考えています。   最後、37ページからの2、その他(1)の解除の要件に関してです。前も申し上げて、またかと言われるのは重々承知の上で申し上げますと、私はここは何としても変えるべきだと思っています。なぜかといいますと、法定後見の方はものすごく柔軟化されることになるわけです。終了について、本人の意向ももちろん尊重しながら、なるべく早く制約はなくそうということにしているにもかかわらず、任意後見の方は一旦発効すると、確かに正当な事由があり裁判所が認めてくれれば終われますけれども、そうでない限りは委任契約なのに終われないということになっています。そうだとすると任意後見の不自由さが際立つというふうにどうも思えてしまいます。任意後見の不自由さが際立つと、任意後見の利用が敬遠されることになりかねず、私は本人が請求又は同意することができる人であるならば、なるべく法定の制度ではなく任意の制度を活用していただいた方がいいのではないかと思っていることもあり、そのような任意後見の使いにくさが際立つことは適当ではないと思っています。   また、任意後見の見直しのほかの部分では本人の意思の尊重をなるべく図ろうという観点から議論をしてきているはずだと思うのです。だとするならば、終了の場面も本人の意思の尊重というのをもう少し、どういう形でかは、少しこの後、私の考えを申しますけれども、どういう形にせよ、少しやはりそこを酌んだということにしていただけないかと思っています。   その上でどう考えるかということなのですけれども、私は、要するに任意後見というのは本人の意思の尊重と本人の利益の保護を図るという制度だと思っています。そうだとすると、本人が自ら請求し又は同意することができるのであれば、要するに本人が自ら解任、解除を望むのであれば、それは本人の利益を害するという事情が認められない限りは認めてよいと考えてはどうかと思っています。したがって、本人が請求をした場合に、今のように正当な事由がなければ駄目だというのではなくて、本人は裁判所の許可を得て、受任者の方も同じようなことを申しますので本人又は受任者は裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができる。ただし本人の利益のためとか本人保護のために必要というか、本人の利益を害すると認められるなど解任について相当でない事由があるときは裁判所はその許可をすることができない、というような形にできないかと思っています。   受任者の辞任の方も同じでよいと考えておりまして、本人にとって不利益な解任がされないということは、立て付けとしては本人の意思、受任者の意思に基づく解除請求を裁判所が許可をすることによって、まずは認めることを原則としつつ、しかし裁判所の後見的役割はあるので、今は本人の利益保護に差し支えなければ許可しますという立て付けになっているところを、差し支えがあったら許可しませんという規定ぶりにでもしていただけるといいかなと思っています。ちなみに今申し上げたのは全部解除の話でしたけれども、もし一部解除を認めるとしたら、一部解除も同じだと考えています。   長くなりまして申し訳ありません。以上です。 ○山野目部会長 佐久間委員から多岐にわたるいずれも重要な御指摘を頂戴いたしました。佐久間委員におっしゃっていただいたいずれの点も、これからこの部会で立案の方向を決めていくに当たっての有力なヒントに当たるものを御提示いただいたと受け止めます。お話を伺っていて一点一点大変に説得力があると感じました。   その上ででございますけれども、最後に力説なさった点について、引き続き検討してまいりますけれども、この段階で1点、お話を差し上げておきたいと考えます。佐久間委員が複数回にわたって熱っぽく今のように力説していただいたところは、本当に伺っていてそうであると感じます。それとともに、正当な事由という文言がこれまでの法制で用いられているところが幾つかありまして、ここで扱っている事項と全然無関係な距離のある事項もありますけれども、このような委託に係る契約関係のところについて用いられているもの、その他類似のものもございまして、そのようなものとにらんだ上で、法制的なチェックといいますか精査をしなければなりません。佐久間委員の御趣旨は承りますから、引き続き事務当局においてその観点からの精査を致しますけれども、容易でないかもしれません。それで一、二、佐久間委員に御案内を差し上げますと、一つは、正当な事由となっておりますから、やむを得ない事由ではありません。そのことを御案内するとともに、もう一つ何よりも、この部会においてこれだけ佐久間委員が説得力のある正当な事由の解釈、運用を変えなければいけないということをおっしゃっていただいたこと自体が議事録に残されるものでありまして、仮に正当な事由という文言が保たれたという場合であったとしても、恐らくここの解釈、運用は新しい制度実施後大きく改まっていく、今この部会において佐久間委員がおっしゃっていることに対して、ほかの委員、幹事からこれまで異論が出されていなかったものでありまして、そのように内容面で受け止め、ここでの調査審議が行われたという経過そのものが貴重であろうと感じます。お話しいたしましたように、引き続き検討してまいりますから、また佐久間委員におかれても引き続き御助言を頂きたいと望みます。どうもありがとうございます。 ○竹内委員 私からは、何点かあるのですけれども、まず任意後見制度の監督に関するものについては現行の規律維持で賛成です。ただ、任意後見契約についてどうして利用がしにくいのだといろいろな人に聴いたときに、誰がなるか分からないというところの意見が、報酬等もさることながら、そういった意見も多かったものですから、8ページにあります選任の考慮要素として、もちろんこれは家事事件手続法には本人の陳述を聴くということもあるのですが、改めて定めてはどうかと思った次第です。   また、小澤委員がいろいろお考えくださって、これは任意後見制度とは別のものとして私は考えていかれればいいと思っています。なぜなら家族の問題というのはこれからますます個々のニーズに合わせてバリエーションを与えていくという視点が大事だと思いますので、それはそれで別の制度として必要なことかもしれないとは考えております。   次に、9ページなのですけれども、申立権者の部分でございます。こちらについては私自身も公正証書で申立権者を指定することについては賛成です。私も根本幹事と同様に、この指定を撤回するときのことが気になっておりまして、契約締結時に指定するのであれば、それはまた公正証書でということになりましょうし、後から指定する場合も、これもやはり公正証書になるのではないかというところです。この部会資料では、通知や登記については慎重に検討すべきと御提案いただいているのですけれども、仮に指定を撤回した場合に、場合によっては撤回された方が家庭裁判所に申し立ててしまうということが生じてしまうのだろうかと少し懸念しました。特に、御本人が同意、意思表示できないような場合、撤回が分からないままという事態が生じるのか生じないのか、家裁が公証役場に確認して、撤回された申立権者であれば却下するとか、そういうことができるのかというようなところが少し気になったところです。   あと細かなところで、申立てを指定をする者、これについて指定する者ということですと、自然人もあれば法人も入るのではないかと思いまして、もちろん後見人や監督人を選任する場面ではないので、法人の適格性についてどこまで考えるかという問題はあると思うのですけれども、任意後見であれば開始を申し立てればそれで終わってしまうかもしれませんが、後ほど法定後見の場合、開始審判のみならず代理権付与であるとか取消権付与まで申立権を認めるかという議論がありましたので、法人の適格性といいますか、特定の事業者が何か出てくるような、そういった事態がやや気になったところでございました。   そして、先ほど佐久間委員もおっしゃっておられました権限の停止についてのところなのですが、私も前々回か、これまで権限停止ということでいいのではないかという意見を差し上げていたところなのですけれども、今回一部解除を認めてもいいのではないかという提案が出てきて、そうしますと比較的、先ほどの家庭裁判所の工夫であるとか解任、一部解除、一部解除については賛成です、を認めることによって、代理権の停止までする場面というのは少なくなるのではないかと思いまして、であれば、複雑な制度を設けるよりは、今部会資料にあるような方策をもって権限の重複に対処するということは、その方がよいのではないかと思いました次第です。   取りあえず以上で、お願いいたします。 ○山野目部会長 竹内委員に一つお尋ねを差し上げます。小澤委員が表明した意見について御意見を頂いた部分でございます。小澤委員がおっしゃったことは、成年後見制度の見直しではない別なところで検討することでよいとおっしゃいました。小澤委員の意見というものは、本日、小澤委員が撤回した部分でしょうか、それとも小澤委員が今日新しくおっしゃった部分でしょうか。いずれのことをおっしゃったものでしょうか。 ○竹内委員 任意後見制度に組み込むことは撤回するという意味では、その撤回に賛成です。今後引き続き検討していきますとおっしゃったことについては賛成をしますと、別の制度として、ということです。別の制度といいますか、別の何か方策でという趣旨で申し上げました。 ○山野目部会長 分かりました。小澤委員、何かありますか。よろしいですか。   余りよろしくないと考えます。つまり、任意後見契約を結ぶときに本人の意向を聴き、それを任意後見契約にとどめるという部分を新しく強調しておっしゃっておられて、それは任意後見制度と別なところで検討するという話には論理的にはならないはずです。そのことを念押しておきますとお述べにならなければいけないものではありませんか。 ○小澤委員 そこの点については部会長のおっしゃるとおりで、今日申し上げたところは今回の制度に盛り込んでいただきたいという趣旨でございます。 ○山野目部会長 承りました。   引き続き御意見を伺います。 ○根本幹事 第2以降のところについて5点申し上げます。一つ目が権限の停止のところです。部会資料20ページの23行目のところで、②の場面については解任の申立てと任意後見人の職務執行の停止によっても対応することが可能と思われるという御指摘があり、また、先ほど佐久間委員や竹内委員からも、解任や特に一部解除ができるのであれば、それでよいのではないかという御指摘がありました。職務執行の停止というのは当然解任に至るということを前提とした制度になっているかと思いますので、解任事由とひもづいているということになるかと思います。一部停止は、正に先ほど、佐久間委員からも、程度が特にひどければという御指摘があったかと思いますが、一部解除や解任に至らないのだけれども、一旦その任意後見人の権限を少し控えていただくという場面があるのではないかという発想に基づいています。職務執行の停止によっても対応することができない場面があるので一部停止が必要だと思っております。   特に、法定後見の場面においても今回、解任事由を1号解任事由、2号解任事由という形で二つの段階ないしはグラデーションで分けていく議論にもあったとおり、解任は、監督人においても家庭裁判所においても一般的には、権限を持っているとしても実際に行使するという場面では非常にちゅうちょを覚えるところになります。任意後見において本人が指名した者であり、本人がこの人にお願いをしたいという意向が強く働いて、任意後見契約を結ばれていますので、法定後見のように裁判所が選任した場合と比べると、解任のしにくさは実務上、顕著に表れている場面ではないかと思っています。一部解除や解任になりますと実務的には非常に慎重になります。他方で、任意後見人に権限行使していただくのをお控えいただきたいという場面はあるだろうということで、一部停止を導入はするべきだとは思っております。   21ページにあります取引の相手方等との関係です。部会資料にもあるとおり、登記をすれば対抗できるということにしてしまうと、若しくはそれがあるがゆえに、登記をしなければという逆の側面もあるわけですけれども、取引の相手方に個々に通知をお出しするということになるのではないかと思っております。実務上も、職務執行停止の場面など、登記を待っているまでもなく、若しくは登記を確認すればよいではないかという議論ではなくて、個々に選任された者が通知を出す中で対応していただいているということにはなると思います。登記事由にはするべきだとはもちろん思いますけれども、ただ、対抗要件と位置付ける、11条との関係での適用をする、させるというところまでは必要なく、個々にきちんと通知をお出しするということで取引の相手方の保護を図っていくということになると思っております。   2点目が変更についてのところです。30ページのエ以降のところで2点ございます。一つは、必要があれば木田関係官から補足を頂ければと思っているところでもありますが、現在の任意後見人と任意後見監督人とが契約を結ぶということが行われているという実務の取扱いについて、31ページの8行目から9行目に掛けては、変更することはできないと思われるという御記載も頂いているところです。ここは望ましくないという趣旨で理解をしてよいのかどうか、本当に変更することが法的な理解としてできないというところまでおっしゃっておられるのかどうかというのは、念のため確認をさせていただければと思います。現在の実務の理解で言えば、望ましくはないということで、法的に不可であるということではないということかと思っていますけれども、仮にその前提に立ったとして、30ページに戻りまして、27行目のところで、任意後見人と任意後見監督人とが契約を結ぶということが、今回のこの変更という概念が認められた後においても、特に、発効前は変更すればよいわけですし、発効後においても本人が変更をするための契約締結能力があれば、それも問題ないということになるわけですが、ここで問題になっているのは本人が契約締結能力がなくなった場合ということになるかと思います。引き続き任意後見人と任意後見監督人とが結ぶということが解釈に委ねられるという整理をされているのか、それとも、任意後見立人と任意後見監督人が結ぶ前提には当然、本人が任意後見人に権限を付与している、代理権が付与されているということが前提になるわけですけれども、本人意思に基づいて任意後見人と任意後見監督人とが変更の契約を結ぶということがどこまで許されるのか、一切許されないのかは、解釈問題なのか、法制上の事項に引き上げるべきことであるのか、まだ御検討がないように思いますので、次回に向けて、どのように整理をするのかということをお願いしたいと思っております。   3点目は予備的なところです。予備的な契約の法的な性質については佐久間委員からもお示しがあったところだと思います。私としては、例えば3人なり4人なりを一つの契約であると構成することももちろんできるのだとは思いますが、他方で佐久間委員のおっしゃるような個々の、それぞれのAとB、AとCとの契約であると構成した場合には、例えば、Bが任意後見契約を解除しますということをAにしか通知をしないということになるわけで、そうしますとAとしてはCに対して、AとBとの契約を欠いたので発効させたいと思っているので、あなたとの契約を発効させたいですというイニシアチブといいますか主導権をAに持っていただくということになるのだろうと思います。   他方で、基本的にはAとB、AとCとの契約ではあるのだけれども、BC間に法的な何か拘束力を及ぼせるものが存在するとは私も思わないわけですが、他方で、前回手続のところでも申し上げましたように、Bが欠けたときにはCが就任をする関係性にはあるのだと思いますので、契約の性質としては基本的にはAとB、AとCとの契約でよいとは思いますが、BとCとの関係性を何も生じないということでもなかろうとも思っており、複合的な性質を持っているとしてAとB、AとCの契約を捉えるということが適切なのではないかと思っています。そうすれば、BがAとの契約を解除したいというときにもBがCにも通知をするということがあり得るということになると思いますし、前回の手続との関係でも、Bが欠けているかどうかについて自分が就任するのだということでCが争いたいという、それを利益と見なすのかどうかというところは議論があるかもしれませんが、そのような場合にもCに意見を聴くことにもつながってくると思っております。複合的な性質という整理ができないかと思っています。   4点目が終了の関係です。佐久間委員と部会長とのやり取りを踏まえてもなお、39ページについて佐久間委員がおっしゃるところに私としても賛同するところでありまして、従前から申し上げている、正当な事由がある場合に限りというところについては、そもそも辞めたいと思っておられるのであれば、辞任をしていただくことが本人にとっての利益でもあると思われますので、辞任することが相当でない場合を除いて辞任を認めると規律を緩めていただく必要があるとも思います。あわせて、監督人が監督を終了するという場面がいつなのかを明確にしていく必要があると思いますので、監督終了の審判との関係でもそのような規律にしていただくのが望ましいのではないかと思います。   最後、5点目は代理締結です。代理締結については今回、常岡委員から御提案を頂いており、この部会で議論するべき範ちゅうを越えているので別の機会でというところの結論については私も賛同するところではありまして、ただ、従前から申し上げている、親権の範囲を越えるということの中で、任意後見の代理締結によって解決するべき問題ではなく、常岡委員が御紹介していただいたような別の制度を設けていくということで解決していく問題であるということは繰り返し申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 部会資料の作成意図についてお尋ねにわたる部分がございましたから、木田関係官に発言をお願いし、その後で私から根本幹事に御相談したい事項もございます。 ○木田関係官 根本幹事がおっしゃっていた変更の代理権を与えた場合というのは、代理権の範囲自体を変更する代理権を与えているということでございますでしょうか。 ○根本幹事 はい。 ○木田関係官 その場合というのは、代理権の変更として公正証書がもう1回作成されているというイメージでしょうかか。 ○根本幹事 はい。 ○木田関係官 それは、新たな公正証書を任意後見人と任意後見監督人が契約して、公正証書で嘱託をする登記をされるということでしょうか。 ○根本幹事 はい。 ○木田関係官 その場合において、今契約ごとになっている登記の関係で、どういう整理で運用がされているのかなと思ったので、前提として少し確認したかったところでございます。 ○根本幹事 おっしゃられるとおりだと思います。現行法上は変更という概念は認められていませんので、新たな任意後見契約を後見人と任意後見監督人との間で締結をされているということを前提として、そのような代理権を代理権目録に書かれるという実務が行われていると承知をしています。 ○木田関係官 少し検討させていただければと思います。 ○山野目部会長 今の点は事務当局において引き続き検討するというお話でした。   別な点について、根本幹事にお声掛けがあります。停止の概念でありますけれども、根本幹事が今日の回に限らず、停止の概念が有用で必要であるという御意見を開陳いただいていて、相応の説得力があると感じ、お聴きしてきました。半面、本日も、一部解除、それから任意後見人の解任といったような従来からの法的概念ないしその応用で類似の状況に達するのではないかという御指摘もあって、それにも相応の根拠があると見受けます。整理をしていかなければならない段階ですから、根本幹事のおっしゃるように、停止であると審判実務が垣根が低くて運用してもらえるでしょうし、一部解除や任意後見人の解任というものは重いですよというお話も分かりますけれども、審判実務から見たときに停止が軽いかという点もよく分からなくて、これから新しく導入される概念ですから、そういったことをにらみ、かつ法制的に、あるいは法論理的にどの概念が一番円滑に法制化が可能であるかということも考えなければいけません。常にその背景に、法定後見制度と任意後見制度の併存ということを認めたというこの局面の社会的実態が、そういう社会的実態は今ないですけれども、どのように展開されるかということを想像した上で改めて整理しようと考えますし、そのうえで主として法制的な側面からの整理を進めようと考えますから、また見守っていただければ大変有り難いと感じます。ありがとうございます。   引き続き御意見を伺います。 ○野村(真)幹事 ありがとうございます。何点か申し上げます。   まず最初の監督の在り方ですが、リーガルサポートとしては簡易な監督等の提案をしてまいりましたが、今回の改正では監督の主体及び具体的内容について見直さないという点については承知いたしました。ただ、部会資料の8ページのウの17行目以下に記載のとおり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任するに当たって、本人があらかじめその意向を示していた場合には、その意向を考慮要素とする旨の規律を任意後見契約法に定めておくことは、本人の自己決定を尊重する今回の改正の趣旨に合致いたしますので、是非要綱案に記載をしていただきたいと考えます。任意後見契約において本人が任意後見監督人を指定した場合に、家庭裁判所が本人の意向を考慮しつつ、その事案に適した任意後見監督人を選任することで、任意後見監督人の中立性、公平性を維持することができると考えます。   なお、部会資料の3ページ記載のとおり、法務省調査では制度利用者が任意後見監督人の報酬が負担である、監督が負担であると感じていることが明らかとなっています。実務においても、特に報酬の負担感、具体額の予測が付かない不安感によって制度を利用することをちゅうちょして、結局は法定後見を申し立てている事例が散見されます。任意後見制度をより使いやすくなるような運用をする必要があると考えます。今後、利用者の意見を受け止めて、より幅広い国民が制度を使うことができるよう、任意後見監督人の受皿を整えて、監督の在り方や報酬について利用者が選択できる仕組みを作ることが望まれます。また、監督事務の在り方は、専門職、個人だけではなく団体も含めて、事案に応じたガイドラインを作成するなど、継続して検討する必要があると考えます。   続いて、11ページの申立権者ですが、公正証書によって本人が指定した者について登記事項としないこと、公証役場や法務局から通知する規律を設けないことに賛成します。登記や通知をするためには、公正証書作成時に申立権者の実在性の証明が必要になると思われますが、実際性の証明には申立権者の協力が必要となると思われます。本人の事理弁識能力が不十分な場合に監督人選任の申立てがなされないことが問題であって、申立権者の間口を広げるという趣旨からすると、申立権者の実在性の証明まで必要とするのは慎重に考えるべきです。   それから、28ページ以下の当事者の合意による事務の委託の追加については、公正証書によりその変更をすることができる規律を設けることについて賛成いたします。任意後見監督人が選任され任意後見契約の効力が生じた後については、現在でも代理権を追加する必要が生じたときに、更に任意後見契約を締結するということがあります。この点を踏まえますと、本人に契約締結能力がある限り、効力発生後に変更を制限することは適当ではないと考えます。その場合、家庭裁判所や任意後見監督人が変更したことを把握する必要があると考えますので、変更がされた際に公証人から裁判所や監督人に通知することなどの手続が必要と考えます。   最後に、予備的な受任者ですが、33ページ以下の予備的な受任者については、35ページの33行目からの記載にあるとおり、後順位受任者が任意後見人になる場合の手続については、選任障害の有無を審査する必要がありますので、何らかの裁判手続が必要であると考えます。この予備的受任者の規律を設けることの目的は、先順位受任者がその職務を遂行することが困難になった場合に備えて後順位受任者との予備的な契約を行っておくことにありますので、後順位受任者に対して代理権が付与される裁判手続の中で審査されるのが適当ではないかと思います。   35ページのオで整理されている①から③の検討場面に分けて検討しますと、①の場面においては、36ページ1行目以下で例示されているいずれの考え方も採り得ると思います。②の場面においては、後順位受任者に対して代理権を付与する裁判手続の中で、後順位受任者の手続が開始するための要件や後順位受任者の選任障害事由を審査することが適当と考えます。③の場面については、監督人の選任申立ての手続において後順位受任者の選任障害事由についても審査することが適当と考えます。この場合は、受任者の死亡による以外は、先順位受任者に陳述聴取等の手続保障も必要と思われます。また、後順位受任者について選任障害事由のほか、親族や専門職など受任者の属性の違いによる監督人の選任も考慮される余地はあると思います。   37ページのカの登記ですけれども、契約時に本人、任意後見受任者、予備的受任者の全員で合意をする場合は1個の契約であると考えて、登記も数人の任意後見人が共同して代理権を行うべき事務を定めた場合と同様に、後見登記をなすことは可能であると考えますが、当事者の合意を明確に示すためには、その順位についても公示することが必要であると考えます。 ○青木委員 まず、任意後見の監督の在り方ですが、この議論は、そもそも利用促進の観点から、先ほど野村幹事もおっしゃったように、監督人がつくことの負担ということをいかに軽減するかということで始まった議論でありますが、これまでの議論によれば、それについて何らの方策が講じられないということになりそうであります。特に、裁判所による直接監督が難しいということについては、そもそも任意後見制度は、私的な自治に対して監督をすることによって公的介入をするという任意代理を修正する制度でありますから、監督の在り方について、私的自治が理由になることはあり得ないわけでして、むしろ政策的な判断として、監督の在り方をどのようにするかという観点から議論を進めるべきことでありますから、事務局資料には、私的自治を理由にした消極的な理由が幾つか書かれていますが、それらは全く説得力を欠くものではないかと思います。解任についても、現行制度が家裁による職権の解任を設けていないのは、任意後見監督人が監督を常時しているために、何らかの解任事由があったことも第一次的には任意後見監督人が発見をすることになることから、そうしているわけでありまして、家庭裁判所が直接監督をする選択肢を設けるということになれば当然、家庭裁判所による職権による解任という制度に改めるということは、特にこれも私的自治との関係の問題ではなくて、監督の在り方の政策的な判断だと思われます。   したがって、今回もし家裁の直接監督の選択肢を見送るということであれば、その理由は裁判所の人的体制の問題、物的体制というのは何を意味するのかよく分からないのですが、人的体制の問題であるということだと思いますので、人的体制の問題で難しいとのことであるということを国民に分かりやすく示していただく必要があると思っています。現在、任意後見契約の契約件数は毎年新規に1万件程度でありますが、令和6年についても任意後見監督人の選任は870件の新規申立てにとどまっており、令和6年度における全国の任意後見監督人選任件数で動いている総数は2,700件程度にすぎません。今後、任意後見契約の利用促進があったとして、あるいは親族による任意後見受任者が減って第三者による受任者が増えたとしても、今よりそう飛躍的に増えることではないと見込まれる中で、動いている総数が25万件の法定後見事案に比して、その総数が2,700件しかない任意後見監督事案について、裁判所の人的体制の問題で負担が大きいという説明は、一般的には国民には理解しにくいところだと思います。具体的にどういう事情があって、家裁としての対応が人的に難しいのかということを明らかにしていただく必要があるのではないかと思います。   また、佐久間委員が、家庭裁判所が任意後見人が何か不正をしたときの責任を問われるリスクもあるのではないかとおっしゃいますが、それは任意後見監督人が今はその不正のリスクも含めてやっていることについて、個人である任意後見監督人が任意後見人の不正の責任を負うのはよくて、家庭裁判所がその責任を負うリスクは気の毒であるという議論は、本末転倒ではないかと思います。我々専門職は、そういったリスクを抱えながら任意後見監督人としての職務を全うさせていただいていまして、そうした議論というのは筋違いではないかということを申し上げたいと思います。   続きまして、任意後見受任者の申立義務について、この点についても、様々なパブリックコメントに寄せられた意見もあってのことでしょうけれども、資料では申立義務とするのは難しいのではないかというまとめになっています。ただ、パブリック・コメントにおいても、申立義務化には賛成しない皆さんも、任意後見受任者が申立てを適切にする必要はあることを前提に、周知も足りないし、制度理解も十分ではないことが原因ではないかという意見があったと思います。これにつきまして、前回も申し上げましたが、現時点において、任意後見受任者が申立権を適切に行使するための周知や啓発の方策というのは、法務省の様々な施策の中でも具体的には何らとられていないということです。第二期基本計画の議論の中でも、特段その点についての施策について提案も、検討もなされていません。しかしながら、もし今回、任意後見受任者の申立義務化を見送るのであれば、任意後見受任者に対する周知や啓発の施策、また、定期的に申立ての注意喚起の通知をするとか、公証役場において任意後見契約を締結する際に必ず公証人からその点に関しての説明をした上で、必要に応じて契約書の中に義務の規定を入れるなどの方策をとっていただく、などの対応策を具体化することなしに、申立義務化は見送るというだけの結論では、適切な監督人選任申立ての確保という今回の課題について、何らこたえることにはならないのではないかと思っているところです。   続きまして、法定後見と任意後見の併存に伴う、一時停止や一部解除の点なのですけれども、これにつきましては、仮に一部解除という方策でいくとすれば、必ず法定後見の保護者となる方に、本人の一部解除権の代理権を付与するということがなければならないと思いますので、そこが速やかにできる仕組みにしていただく必要があります。この権限は、資料でも整理いただいているように一身専属的ではないと思いますので、佐久間委員のご意見と同様に、ここは代理権を付与できるという整理でいいのではないかと思っています。加えまして、若干気になりますのは、解除権を与えたとしても、その法定後見の保護者の持つべき解除権というのは、法定後見として御自分の持っている代理権と重複する範囲の任意後見人の代理権に関して限定したものになるのではないかと思っていまして、その辺りの代理できる解除権の対象となる範囲等は運用で図ることなのかどうかというのは、解除の代理権付与の必要性の判断に諮るのかも分かりませんけれども、運用か法制かではっきりさせる必要があるのではないかと思っています。   それから、申立権者に関する通知の件ですけれども、公正証書で申立権者を指定する以上、指定される方の住所、氏名、本籍、生年月日等、特定に必要な資料を出せない限り作成はできないということになるかと思いますので、その指定される方については、少なくとも公証役場は把握をしており、その実在性について確認した上で、公正証書で指定することにならざるを得ないと思っております。その上で、公正証書を作成した時点で指定された方に通知をして、間違いなく指定されましたという案内をしていただくということは、申立権者に指定された方に自覚を持っていただく意味でも重要なことではないかと思います。任意後見の委任者である本人さんから通知してもらえるのがいいというのはそうではありますけれども、さらに公的な役割を担うという意味で、公証役場が締結時に1回通知を行うということは、制度としても十分ワークするものではないかと思っております。   それから、予備的な受任者の契約の構成ですけれども、私は四者とか五者になった場合でも一つの契約として、確かに任意後見受任者であるB、C、D相互間には直接の権利義務関係は生じないのですけれども、少なくとも主位的な人が何らかの事故が起きない限りはBもCもDも就任することはないという意味では、相互関連性がある立場に置かれるという意味で言うと、四者や五者間での一体の契約とする方が自然だとは思います。その際に、一部の受任予定者が離脱する際には、その離脱するという一方的な意思表示を当事者全員にすることによって離脱するということは、そうした契約形式であったとしても可能であると思いますので、必ずしも委任者と受任者の一対一契約が複数存在するものという構成をとる必要があるのかはなお疑問に感じているところになります。   それから、任意後見契約の解除のところで、先ほどから議論があった「正当な事由」に関することについてなのですけれども、現行では、法定後見の方の後見人等の辞任については「正当な事由がある場合」ということになっていますが、この「正当な事由」というのは、相当幅広く解釈されていると考えております。その解釈が任意後見の解除のときにも、同様の趣旨で「正当な事由」として勘案されるのであれば、佐久間委員がおっしゃっているような場合については多くの場合、正当な事由あり、と認められることになるのではないかとも考えております。少し気になりますのは、任意後見契約法の記載ぶりは「正当な事由がある場合に限り」となっておりまして、法定後見の方は「正当な事由があるときは」となっていて、なぜ規定の表現が違うのか私には分からないのですが、法定後見の方にそろえていただくことによって、共通の解釈指針に基づいて柔軟な辞任ができるようになるのであれば、それも一つの考え方ではないかと思ったというところがございます。 ○山野目部会長 必ずしも弁護士の先生方は意見が同じわけではないですね。少し楽しいです。 ○佐野委員 私からは、任意後見制度と法定後見制度の関係で、並存のところにおける権限の調整のところについて発言させていただきます。   任意後見人の権限について、停止又は契約の一部解除等、いずれの方法をとるにしても、取引の相手方などの第三者が明確に確認できる形式としていただきたいので、登記がされる方向との検討はよいと考えております。その一方で、こちらは法定後見の終了に関する議論の中でも申し上げている点と同様になるのですが、取引の相手方が任意後見人に権限がないことを知らずに、本人の代理として任意後見人と取引をしてしまう場面が発生すると考えております。また、任意後見人に権限がないことを認識する方法については、法定後見の保護者であるとか任意後見人などから登記情報を提示いただくしかないと考えております。   部会資料の21ページの25行目以降のウに記載いただいている内容も踏まえますと、取引の相手方としては取引の都度、最新の登記事項証明書によって権限の確認をすべきということになりますが、反復継続で日々大量の取引を受け付けている金融取引におきましては、取引の相手方としましては、やはり最新の登記情報を見ることとなりまして、それは法定後見の保護者であるとか任意後見人であるとか金融機関にとって大きな負担となりまして、現実的ではないものとなります。非対面のキャッシュカードを使ったATMであるとかインターネットバンキングの取引まで想定いたしますと、この確認は不可能なものとなります。   法定後見の終了に関する議論で申し上げているものと同様になりますが、仮に保護者の代理権消滅を把握できていない状態で無権限者と取引を行った場合は、預貯金の払戻しに関しては預金規定にて、後見等の届出がなされなかったことにより生じる損害につき免責される旨の定めを置くことや、民法478条の規定により免責を受けられるのではないかという論点が引き続きあるかと思いますが、家庭裁判所や法定後見の保護者の方などから取引の相手方に対して通知を出す運用とするといった点も含めまして、引き続き課題として認識していただきまして、取引の相手方の保護についても検討していただきたいと考えております。 ○林委員 事務局の方で検討事項を整理していただきましてありがとうございました。パブリック・コメントも含めて熟考を重ねて方向を示していただいたのだろうと思っていまして、大きく何か異論があるわけでありませんけれども、主に両論併記とか検討必要とされていることについてコメントさせていただければと思います。   一番最初の任意後見の事務の監督のところですけれども、前任の佐保委員の方からも現行法の規律の維持でいいのではないかと申し上げさせていただいておりまして、本日の資料の8ページの小括にもありますけれども、甲案を採用するということで特に異論はないと思っていますのが一つ目です。   もう一つが、11ページです。任意後見人の事務の監督の廃止要件のところですけれども、こちらも11ページの方に記載されていますけれども、現行の規律の維持をするということで提案に異論はございません。その方策のところですけれども、法定後見の保護者及び公正証書によって本人の指定した者を加えることについては、利用促進の観点と本人意思尊重の観点からも、よいのではないかと思います。   最後、一部発効のところで、33ページですかね、制度が複雑になることを踏まえて慎重に検討する必要があると思われるということで、制度が結果的に複雑になって利用が進まなくなるというのは元々の目的からすると本末転倒だろうと思っていまして、今回利用促進に資する方向で検討することはやむを得ないだろうと思っています。ただ、前任の佐保からも、より本人の意思を尊重できる選択肢の一つとして、制度の簡略化も含めた検討の必要性ということで申し上げてきたと思っていますので、そのことが踏まえられるように、これからの検討課題としても認識していただければと思います。   以上、3点です。 ○山下幹事 ありがとうございます。任意後見の予備的な受任者について1点、ややテクニカルかもしれませんが、申し上げておきたいことがあります。今まで佐久間委員や青木委員から契約をどのような構成にするかということについて御議論がございましたが、いずれの構成をとるにしても、順位を決めた場合に、その権限に停止条件的なものが恐らく付くということには変わりないのだろうと思います。そのときに、順位を決めた後で、その受任者が受任者としてふさわしくないということになったり、死亡したり、あるいは辞任の申出があったりといった事情があったときに、順位がその後どうなるのかということについて解釈の問題が生じるという可能性がないのかという点を少し検討しておく必要があるかと思います。   そのときに、単純に任意後見契約の解釈の問題で代理権の付与の順番が決まるとしますと、正に後から実はこの受任者には代理権がなかったのだというようなことが起きかねないということになるのではないかと思いまして、結局のところ、やはり順位を決めた場合については、裁判所が最終的にはどの人間を受任者にするかということの判断を行って、その人を受任者として指定した以上は、その人が任意後見人として活動するということになるということで制度を作っていかないと、後から任意後見契約の解釈問題という形で紛争が起きかねないのではないかという点が少し気になっておりました。   ですので、任意後見契約は飽くまでも委任契約であると従来考えられていると思いますけれども、やはり最終的な代理権を誰に与えるかということについての判断を裁判所に任せるというような、少し今までにない考え方を導入しておかないと、制度の安定が図れなくなるのではないかという点を指摘しておきます。 ○小澤委員 第3の任意後見制度に関するその他の検討のうちの(1)の任意後見契約の一部の解除及び当事者の合意による事務の委託の追加(変更)について、アの任意後見契約の全部又は一部を解除することができると改めることに異論はありませんし、イの公正証書により任意後見契約を変更することができる規律を設けることについても賛成します。   その上で、部会資料29ページから30ページに掛けて記載のある任意後見監督人が選任された後の事務の委託の追加についてですが、事務の委託の追加が実際に必要となるのは事務が開始した後に運用していく上で不都合が生じた場合であることが多いと思われますし、せっかく任意後見契約の変更という仕組みを設けるのであれば、発効後でも新たな任意後見契約を締結することなく事務の委託の追加ができることとするのがよいのではないかと考えます。発効後は変更を認めないとするのであれば、一度発効した任意後見契約について事務の委託の追加を望む場合、新たな任意後見契約により追加した事務について改めて任意後見監督人選任の申立てをして発効させるという非常に迂遠な手続をすることになるため、公正証書によって任意後見契約を変更し、発効後でも事務の委託の追加ができる規律とした方が望ましいと考えています。   なお、この場合には代理権が追加されたことを任意後見監督人が適切に把握することが必要だと考えますので、任意後見監督人が選任された後に事務の委託の追加をする公正証書による変更契約をするには、任意後見監督人の同意を要するとか、変更契約には任意後見監督人の立会いを要するといった規律を設けるのが分かりやすく、運用も容易になるのではないかと考えています。   (2)の任意後見契約の一部の発効については、任意後見契約の発効の要件や発効している代理権が分かりにくくなるという問題点もあるのではないかと考えますので、消極の意見を持っています。   (3)の予備的受任者についてですが、本人と全ての任意後見受任者との間で任意後見となるべき者の順位を合意することができる規律を設けることには賛成をします。一つの公正証書で主位的受任者、予備的受任者が契約を締結している場合には、一つの任意後見契約であると考えています。予備的受任者の登記の規律については、一つの公正証書で任意後見契約を締結した場合は一つの契約として、全ての任意後見受任者を一つの登記として嘱託することとしてはいかがかと考えます。別の公正証書で契約が締結された場合は、飽くまで別契約として各別に嘱託をして登記をすることが契約の趣旨からは適当だと考えます。   また、どのような順序で任意後見人に就任するかは契約の重要な要素になりますので、登記上で順序が分かるようにすべきと考えますが、この順序を番号などを付して登記することにより、その変更の規律も考慮する必要があるなどの問題が生じてしまうことであれば、就任の順序は特約として、契約された内容をそのまま別紙として登記することとしてはいかがかという意見を持っています。任意後見契約の中に順序に関する特約がある場合には、任意後見監督人選任の請求を受けた家庭裁判所は、任意後見契約書と登記事項証明書を確認することで、いずれの任意後見受任者を任意後見人として契約を発効すべきかを判断すればいいのではないかと考えます。したがいまして、どの任意後見受任者を任意後見人として契約を発効するかは、家庭裁判所が登記された特約の内容により判断することとし、法務局は嘱託された内容について登記するという規律であれば、登記事務を行う法務局が判断に迷ったりすることもなく、負担も軽減できるのではないかと考えています。 ○山城幹事 部会資料の第3の1(1)、(2)と、それから付随的に(3)につきまして発言申し上げたいと思います。前提として、部会資料での説明に基本的に沿う立場からの御発言であることと、任意後見が私的自治の原則に基づくものであり、当事者がその内容を基本的には自由に決定することができ、条件等も付することができるという理解を念頭に置いていることをお断りしました上で、3点について御発言申し上げます。   1点目は、一部解除についてです。これから申し上げることと少し違った文脈ですけれども、部会資料30ページ26行以下には、任意後見人と任意後見監督人との間で、例えば報酬額が不相当となった場合に協議の上でこれを変更することができるといった条項が設けられるという実例が引かれております。そのようなニーズがあるのであれば、変更について、同じページの4行目以下では基本的にはその代理権を加えることのみを見込んだ形で議論がされることになっていますけれども、それよりも広い範囲の契約の変更を想定しなくてよいのかが少し気に掛かっています。   また、代理権の範囲を縮減する場合は一部解除に委ねるという御提案ですけれども、双務契約一般を考えますと、契約の一部が解除されると反対給付も縮減されることがあります。それは一部解除をした場合の必然的な帰結ではないかもしれませんが、任意後見契約の場合も一部の権限が解消されたことに伴い、報酬に関する定めを調整することがあり得るのではないかと思います。そのようなケースでは、代理権や報酬額の縮減も変更という概念の中でカバーしていくことになるのではないかと思います。権限の内容を縮減することを全て一部解除に解消することができるのか、あるいは権限の付加のみを想定するので足りるのかという点については少し検討が必要なのではないかと感じました。実務上のニーズがあるのであれば、そういった点についても御検討いただければと考えたというのが1点目でございます。   2点目は、一部の発効についてです。部会資料の32ページから33ページに掛けて、以前に議論になったように、大きく分けて二つの構成があるという分析が示されているのではないかと思います。一つは、広範に代理権を与えておいた上で当事者間で合意して代理権の範囲を限定するという方向性であり、もう一つは、申立て自体を段階化することによって文字どおり段階的に発効させるという方向性です。前者につきましては、委任、あるいは契約の一般的な理解として、そのような取扱いをすることができるのではないかと考えますが、後者につきましては、先ほどの青木委員の御発言を聞き漏らしたかもしれませんが、申立てを段階化することも、なお検討する余地があるのではないかと感じます。   と申しますのは、3点目として(3)にまたがる話題ですが、予備的受任者の選任につきまして、35ページから36ページに掛けて、種々説明がされています。その場合には、後順位の任意後見受任者を選任する際には家庭裁判所が関わらなければならない、この点は先ほど山下幹事からも御指摘があった点かと思います。そして、36ページには、そこに申立てをかませて、家庭裁判所が権限を発動することも想定し得るとの記述があります。予備的な受任者の選任も、ある意味では当初契約の中で決めていた事柄が段階的に効力を生じる場面ですから、受任者については段階的に申立て等をかませて選任することができるのに対して、委任事項についてはそれができないと考えることに必然性があるのかという疑義が生じ得るように思います。そういう意味では、確かに制度が複雑になるという懸念はありそうですが、申立権者から段階的に、当初発効していなかった事務について代理事項の定めを発効させるという取扱いをすることも理論的には可能ではないかと考えました。 ○青木委員 先ほど一部発効について発言するのを忘れまして、追加での発言をさせていただきます、申し訳ありません。一部発効については、今回の資料で消極的なまとめを頂いていますが、複雑な制度になるという懸念につきまして、何をもって複雑になるとされているのかが分からないのですが、パブリック・コメントをまとめたものを拝見しますと、参考資料16でいいますと121ページになるのですけれども、いずれも一部発効ということのイメージをそれぞれの皆さんが作られた上で、それは複雑だとおっしゃっているのではないかと思います。つまり、いちいちまた診断書を出すとか、いちいちまた代理権付与の申立てをして、資料を提出した上で審査をする、などという想定していない前提をいろいろ想定した上で、複雑になるとおっしゃっているのではないかと受け取りました。   かねてから私が申し上げているのは、一部発効というのは、本人さんが本人の意思に基づいて、任意後見契約で付与した代理権目録記載の代理権のうち、現時点において発効させてもらいたいと思っている代理権について、あえていえば、主観的な必要性とでもいいましょうか、本人さんとして、現時点で任意後見人に代理権行使をしてもらいたいという項目について、本人さんの意思に基づいて発効させることであるというものです。ですから最初の監督人選任申立ての段階で、家庭裁判所は本人に対し監督人選任による契約の発効に関する意思を確認しますが、その際に、併せて、どの代理権を発効させますかということにつき本人さんに意思を確認して、本人さんが最初から全てですと言えば全てが発効しますし、そうでなく具体的な代理権を指定すれば、その範囲で発効する、という、シンプルな仕組みのことです。その後、追加で代理権の付与を増やしたいとなれば、本人さん若しくは任意後見人から追加の代理権発効の申立てがあって、本人の意思が確認できれば発効する、あるいは本人がそのことを判断できなくなりましたので全部発効してくださいと任意後見人から申立てがあれば全部発効すると、こういう制度だということです。これについて、複雑だとおっしゃるかのは、どうしてなのかは本当に分からないと思っています。   もし一つ懸念があるとすれば、代理権目録のうち発効しているものと発効していないものの区別が明確にできるかという御心配があるのかもしれません。それは後見登記の制度に影響するものですが、後見登記において明確に発効した代理権と未発効の代理権を区別して表示さえしていただけるようになれば、解決できる問題ではないかと思っております。こうしたことは結局、本人の意思を尊重しつつ、現に本人さんが必要と思われているものを法定後見とは違った形で、必要性の確認といいますか、厳密な意味での必要性はありませんが、本人の意思に基づく発効の範囲を確認した上で制度を運用していくことによって、本人さんにとって柔軟な制度利用につながり、ひいては、そういう制度だったら利用して少しずつ援助してもらうようにしたいという人が制度利用に結び付くということにもなると思っております。ここは是非一部発効を制度化していただけるといいなと強く思っているところです。 ○山野目部会長 部会資料26の審議を終局に向けていきたいと考えております。ほかに御意見は。 ○星野委員 すみません、終局に向かっているときに、また少し分からない発言になってしまって申し訳ないのですが、社会福祉士として、福祉関係者として、少しやはり発言しておきたいと思っております。   今回まとめられた部会資料については、内容に異論はございません。ただ、今、青木委員からもありましたとおり、やはり分かりづらくなっているかなというところは否めないと思っていて、その分かりづらさがどうすれば今のような本人の意思に沿った形で契約に結び付けるものに変わるのだということを伝えられるのかというところを、この資料を見ていると、福祉関係者がどのようにこれが理解できるかがとても懸念があります。   それからここに参加されている実務者の方は恐らく高額財産といいますか、資産管理が相当に見込まれて任意後見契約を結んでおきたいという方が多いと思いますが、私ども社会福祉士は、先ほど前段で厚生労働省の方からお話もありましたけれども、身寄りがない方であるとか親族に頼れないという方で、資産はそれほど多くなくても、今自分の意思で任意後見という契約をやりたいという方が、まだ本当に少ないですが、やはりいらっしゃるということを考えますと、前段でお話があったこれからのいろいろな仕組み作りの中で、この任意後見制度という制度が新しく改正されて、本当に使えるものになるのかというのは、私は今非常に大きな局面に来ていると思っている中で、発言をしています。   中身についての異論はないです。ただ、やはり先ほど、受任者に順位を付ける話であるとか予備的なというところで、これを一人一人に対して契約書を作るというのは、これはまず私たちが想定しているような方は、複数の方と契約したいという希望があったら使えないと思われると思います。ですから、できるだけ簡便というか、可能な限り修正がしやすく、そして内容についても、先ほど山城幹事がおっしゃったように、もっと広い意味での修正、変更というような視点で伝えていただきたいなと思います。   すみません、具体的なことは申し上げられないのですが、発言しておきたいと思いました。 ○山野目部会長 上山委員の御意見を伺った後、木田関係官の発言をお願いし、その後私から四つ御相談ないし御案内を申し上げる事項があり、その後、久保委員、花俣委員の順番でお話を伺っていくというふうに進めたいと考えますが、そのほかに御意見の御希望がおありの方がおありでしょうか。よろしいでしょうか。 ○上山委員 ありがとうございます。私からは部会資料26の37ページ、その他の(4)にある任意後見人による医療同意に関する事務について、これらに関する規定を設けないとの提案に最終的には反対しないことを申し上げた上で、任意後見契約の中で医療に関する選択に関わる本人の意向の表明に関する事務を後見受任者に委託できる旨の規律を設けることに賛成の観点から、少し意見を述べておきたいと思います。   まず、第三者による医療同意の法的性質に関する議論が未成熟である現状を考えると、今回の改正でいわゆる医療同意権それ自体の任意後見人への授与を正面から認める規律を置くことは確かに難しいかもしれません。しかしこの一方で、医療に関する選択に関わる本人の意向の表明に関する事務を任意後見受任者に委託できる旨の規律を設けることによって、事案の状況に応じて、任意後見人が医療代理人としての機能を事実上果たせるようにすることには、なお一考の余地があるように思います。任意後見受任者に医療契約についての代理権を授与する場合において、当該契約における医療の受給について、例えば、本人が望まぬ親族らの介入を排除して、本人の意向に沿った医療の受給をより強力に担保するための仕掛けとして、医療契約の代理権と併せて医療選択に関する本人の意向表明の事務を任意後見受任者に明示的に委託できることには一定の意義があるように思います。また、政策論的な観点からすれば、今回の改正でこうした事務の委託を認めることは、一般市民にとって分かりやすいニーズにこたえるという意味で、任意後見契約に対する需要喚起の起爆剤となり得るように感じます。   最後に、現状の対応策として示されている人生会議のスキームの有用性を完全に否定するわけではありませんが、この運用には一定の課題もあるように感じます。特に、このスキームの基本形とは異なり、患者本人の判断能力が既にある程度以上低下した段階で人生会議が始まった場合、運用次第ではむしろ本人の意向が脇に置かれてしまい、周囲の家族や医療者側の都合に沿った形で話合いが進んでしまうリスクを完全には否定できないように思います。また、家族の間で意見の大きな食い違いがある場合の実効性にも疑問は残りますし、現在の医療現場のリソースがこうしたスキームの適切な運用を担保するに足りるかという点も少し心もとないところがあるように思われます。   こうした事情を踏まえるならば、仮に今回の改正では任意後見人に医療代理人の機能を与えることは見送るとしても、第三者による医療同意一般に関するルールの法制化の議論それ自体は、民法典の外で特別法を制定することなども視野に含めた上で、今後もしかるべき場において続けていくとともに、何らかの形でできる限り早急な立法的解決が図られるべきであると考えます。少し時機を逸した発言となり恐縮ですけれども、議事録にとどめていただければ有り難く存じます。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。 ○木田関係官 3点か4点ございます。   まず1点目が、佐久間委員に少し御質問というところでございますが、停止は好ましくないというところの発言の中で、解任によって対応することが可能ではないか、代理権を付与して、という御発言あったと思いますが、部会資料の中では解除の方を記載させていただいたところもございますが、これを一部解除等で対応することについて、もし御意見がございましたら教えていただきたいと考えたところでございます。 ○佐久間委員 確かに私はそう申しました。一部解除でもいいとも申し上げたのですけれども、ついでに発言させていただければと思いますが、青木委員は一部解除に限られるのではないかとおっしゃいましたけれど、私は解任請求自体もできていいのではないかと思っております。論理必然ではないのですけれども現在のところ法定後見が開始すれば任意後見は終了するということになっておりますよね。今後は当然にはそのようにはしないのだけれども、事案によってはそのようになる場合があるとしてよいのではないかと思っています。そこで、事後的に権限の調整を法定の後見人というか保護者と任意後見人が行った結果、任意後見人に不適任事由が認められるということになったら、法定の保護者に解任請求権を持たせてもいいのではないかと私は考えています。解任でもいいし、一部解除、一部解除の方が望ましいことは望ましいとは思っておりますけれども、そのような趣旨で先ほどは発言いたしました。 ○木田関係官 ありがとうございます。   あと2点ほど皆様にお伺いしたいところでございまして、先ほど小澤委員からは明確に発言があって、野村幹事の発言が少し聞き取れなかった部分がございまして、野村幹事がもしかしたら発言しているかもしれませんが、変更の時期を限るかどうかにつきまして、任意後見契約発効後についても変更を認めるか否かについて、小澤委員から明確に発言があったところでございますが、ここについて何か御意見があれば教えていただきたいというところが1点と、予備的受任者の関係で、契約を1個と考えた場合に、Bさん、Cさん、Dさんがいる場合の解除を、一部の解除という形を認めてよいのかという点について、佐久間委員の意見は前提として多分、認めないべきだということを前提としているのかと思いまして、順位を付けた一つの契約というところが本質的なところにあるとき、可分なものと考えて一部的な解除を認めていいのか、それとも認めずに、やはり1個と考えるなら全部巻き直す必要があるのではないかというところにつきまして、もし御意見があれば教えていただきたいと思います。 ○山野目部会長 ただいまの2点について、御意見があれば承ります。いかがでしょうか。 ○根本幹事 2点目のところについて、私は可分だと考えて、ただ、そうしますと三者契約として法的性質はどうなのだという御指摘があろうかと思いましたので、複合的という表現を用いたのは、可分と捉えるのだけれどもという御趣旨で申し上げたつもりであります。   もう1点が、これも変更の時期については発効後かどうかというところがメルクマールになるというよりは、私自身が考えているところとしましては結局、本人がその変更を含めた契約締結能力をお持ちの間は当然変更はできるが、発効後であろうと何だろうと、変更できるという構成でよいと思っていますけれども、契約締結能力を失われた後であっても、任意後見人と任意後見監督人との間でなおそれを許容するのかどうかというのが、現行の実務ではそれが許容されているという前提に立っていますけれども、それが果たしてよいのかということについては、きちんと整理をすることが必要ではないかと思っております。   それは以前、代理締結のお話をさせていただいたときに、未成年の親権に基づくことに話がいっておりましたが、当初は佐久間委員と議論させていただいたときでも、代理締結を、親権に基づかずに、今回のように任意後見人と任意後見監督人が行うというのも、本人の契約締結を監督人が代理締結しているわけですから、代理締結を認めるかどうかという議論は関係するのだろうと理解をしているので、整理が必要ではないかということを思っております。 ○山野目部会長 ほかにいかがでしょうか。木田関係官、よろしいでしょうか。   私から四つお話を差し上げるうちの1番目が、佐久間委員にお声掛けをして確認でございます。法定後見の保護者に選任された者が法定後見に係る事務を続けていて、多くの場合、終了が見通せる時期になってきた状況においてであると考えられますけれども、代理権付与の審判を受けて、本人に代わって任意後見契約を代理して締結するということは認めてもよろしいものでしょうか。本日、常岡委員から意見書を頂戴しているお話は、未成年者の親権者又は未成年後見人が代理して任意後見契約を締結するということは慎重に考えるべきであるし、そもそもこの部会のミッションを越えるであろうというお話であったと思われ、それはごもっともなお話です。それと隣接しているという側面もありますけれども、恐らく状況は本質的に異なると思われますから、ここについて佐久間委員の御意見を確かめておきたいと考えます。お願いしてよろしいでしょうか。 ○佐久間委員 私はそのような権限行使はできないと考えております。というか、そのような権限付与ができないと考えております。それは、任意後見というのは本人の意思に基づくというところに意味があるのであって、ただ、部会長がおっしゃったのは、本人が請求又は同意をすることができるときをお考えになっておりますか。 ○山野目部会長 言葉が足りませんでした。そうです。 ○佐久間委員 そこは私は認めてもいいと思っています。本人が請求又は同意をすることができるというか、特に本人の請求によるのであれば、それは本人の意思に基づいているので、先ほど任意後見契約について一身専属的なものではないと思うと何かの脈絡で申し上げましたけれども、私は、そんなことをするかどうかはともかくとして、有効な委任をして、その人に任意後見契約を締結してもらうということも可能だとは思っておりますので、それの法的保護利用バージョンだと思っております。 ○山野目部会長 肝腎なことを明確に申し上げなくて、抜かりがありました。 ○佐久間委員 発言し出すときに一定の前提に立っていましたので、すみません。 ○山野目部会長 おわびします。おわびしますし、佐久間委員のお答えを聴いて安心いたしました。ありがとうございます。それが1点目です。   2点目は、この部会に委員をお出しいただいている三つないし四つの士業の団体の先生方にお勧めがございます。今般この改革が進められて実施の見通しが得られる段階において、恐らく先生方の団体や公証人の先生方の団体が協力して、望ましい任意後見契約の条項の詰め合わせによって構成されたモデルの契約書を作って社会に提示していくという営みは、かなり有益なことではないでしょうか。もちろん任意後見契約に関する法律に十分な、一所懸命頑張って法制上の措置を講じ、入れます。もちろんこれは国会が制定する法律になります。それから、公正証書をどのような形式で作るかということは法律の委任によって法務省令で定めることになりますし、それも一所懸命ここの部会の調査審議を顧みて適切な法務省令の規律の内容を整えていくことでしょうけれども、それらのことというものには限界もある。限界があるというよりは、恐らく政府が主導してする進め方がむしろふさわしくないと思われる事項もあるでありましょう。本日お話を聴いていても、小澤委員や野村幹事がおっしゃった任意後見契約時の本人の希望の表明、それから青木委員のお話に出たこと、申立義務の関係、それから上山委員がおっしゃった医的侵襲に関する本人の意向をどのように契約ないし意向確認の態勢を整えて記録にとどめていくかといったようなお話は、このようなモデルでこういう実務は考えられますということを専門家の先生方が主導して、むしろ民間のそうした専門職能のお働きによってこそ形作られていくことが望ましいとも申すことができると考えますから、お考えおきいただき、何かできそうであるということがありますれば、四つの団体と公証人の先生方の団体で御考案いただければ有り難いと考えます。これは希望でございます。これが2点目です。   それから、3点目は予備的後見受任者のことについて、次回までに方向を次第に絞ってまいらなければなりませんから、次回に向けてお考えくださいというお願いを差し上げます。お考えくださいというのは、改めて問いますけれども、委員、幹事の皆様はこれを本気でやろうというお考えでしょうか。つまり、その需要があるということは分かります。再三この部会のここの審議に至るまで、需要があるということは承ってまいりました。しかし、委員、幹事の皆様のおっしゃることを伺うと、一つ一つは論理的に成り立っていますけれども、しかし、それはここにいる主として法律の専門家が見れば、それは間違っていないですよねということになるとしても、星野委員が御心配なさったように、現場に行って、そこでしている人たちに対してこういう制度ですと告げ、聞いて了解しましたと応えてもらえるでしょうか。私は、次回までに事務当局も検討しますし、皆様にも考えていただきたいこととして何点か申し上げておきますから、参考にしていただきたいと望みます。   1点目は、任意後見監督人の選任に関する本人の請求又は同意は、定められた順位に従って任意後見受任者を想定する前提でのみ許されるのでしょうか。もしそうでないとすると、本人が次順位の任意後見受任者を指定して任意後見監督人の選任を請求するなどする場合の法律関係がどうなるのでしょうか。   2点目が、先順位の者が死亡や解散でない事由により任に適さないと認められる支障が生じる場合において、支障がある旨の認定判断は誰がどのような手順、手続でするのでしょうか。山下幹事がほかの観点も含めて御心配なさって発言いただいた点です。   3点目は、任意後見監督人が選任される前に既に先順位の者に支障が生ずる場合において、本人が補充的に別意の新しい指図をして順位を変更することを認めてよいでしょうか。認めてよいとする場合に、前後の順位にある任意後見受任者の承諾を得なければならないでしょうか。   4点目、選択的でかつ予備的な順位の定めが許されるでしょうか。例を挙げますと、長男に支障が生ずるならば長女又は次女とし、その際に娘たちの協議により後任を定めるといった順位の定めはあり得るでしょうか。   5点目、そもそも順位の定めは本人と各任意後見受任者との間の放射状の各別の契約であると理解をされるか。それとも全ての任意後見受任者と本人が当事者となる1個の法律行為であるとされるか、これは佐久間委員、根本幹事、青木委員の間で御議論になった事柄でありますが、これだけ基本的なことが今この段階になっても御意見の交換の段階になっているということを皆様方に少しお考えいただきたいと望みます。   予告しますが、全部で10個ありまして、次は6点目ですが、全ての任意後見受任者と本人が当事者となる法律行為であるとすると、社団法人設立行為と同じような合同行為とよばれているものであると理解してよいでしょうか。その際、一人の法律行為当事者に詐欺、錯誤、強迫のような権利障害事実が存在する場合において、法律行為の効力が全体として否定されるのでしょうか。この錯綜する法律関係を明瞭にするために、会社法や民法上の組合契約のような規律を装備するということになるでしょうか。   7点目、同様の問題として、一人の当事者からする任意後見契約の解除の意思表示を許してよいでしょうか。一人の解除により想定が異なることになる他の任意後見受任者が誘発されて契約解除を主張する事態はどのように処理されるでしょうか。   8点目、後発的な順位の変更はどのような規律によりされるか、順位の変更は抵当権の順位の変更のように全員の承諾が要るか、それとも特定の任意後見受任者らの間において、言わば内部的、債権的にされる順位の譲渡などの合意を外部的、物権的に是認してよいか。   9点目、委任事務の種類に応じ仕分けをする主観的、客観的かつ予備的な順位の定め、例を挙げますと、不動産の売却や施設の入居契約について長男がするものとするが、長男に支障が生ずる際、不動産の売却を長女が担うのに対し施設の入居契約は次女がするといった定めをしてもよいでしょうか。これが許され、かつ段階的発効ないし一部発効が組み合わされるということになりますと、ひどく複雑な法律関係の処理を審判実務や福祉の現場に課することになりますが、これでいいとお考えでしょうか。   10番目、そもそも順位を与えられる者の人数に制限があるかないか、50人まで指定できるのでしょうか、100人もあり得るのでしょうか。常識で言ってそういうことはないでしょうというお話かもしれないですけれども、第11代将軍徳川家斉には50人を超える数の子供がいまして、1番、2番、3番と子供の順番をくっつけるというのを、もしかしたら11代将軍ならしたかもしれません。もちろん一夫一婦制がなかった時代のお話で今日と状況が異なりますが、今日であれば、むしろ法人を10個とか20個とか30個とか挙げて順番を付けて、順位を指定するようなことだってあるかもしれません。   10個申し上げましたが、実は附録でもう一つあって、以上を通じ、これらのどこまでが後見登記の制度で対応されるかというところは甚だ心もとないものがあります。委員、幹事からもお話があったように、全部1枚にまとめてくださいという公正証書を1回嘱託していただくならば、できないことはありません。ばらばらになったり、後で一部が変更されたりするものを嘱託又は申請で後見登記に反映させてくださいという御要望まで承るということになると、不可能か著しく困難です。それは、やってくださいというお話もあるかもしれないですけれども、この予備的任意後見受任者ということについての需要があるということは理解いたしますと共に、コストパフォーマンスがそこまでしなければいけないことでしょうか。   作った方がいいと専門家の議論がどんどんエスカレートしていきますけれども、最後には一方で今のように後見登記の制度に負荷を掛けるし、他方では星野委員が御心配になったように、現場ではよく分からないですという問題が生ずるかもしれません。   いろいろ申し上げたものは、賢明なる先生方から言えば、あなたが言った何番と何番はこう解決するのだよと、ここで直ちにすかさず出てくると思いますけれども、それもしかし、先ほど申し上げたような専門的な議論でありまして、需要とそれに要する専門的な精緻な議論とのバランスを、次回までに事務当局も考えますけれども、委員、幹事の皆様においても熟考いただきたいと考えます。これが3点目でございます。   4点目は、一部発効の問題でありまして、これも少し似たところがあります。林委員から、需要があるから受け止めてあげるべきであるが複雑な制度にならないよう御注意くださいという要望があったところが正にこの論点の性格を集約していると思います。パブリック・コメントでいろいろな心配が出されているというのは、青木委員が分析なさったように、こちらが制度像を明確に示していなかったからそういう心配が出るという部分もあるのであろうと思います。ただし、意見を寄せてくれた人が一人一人心配したことは、それぞれに根拠があることでもあるわけであり、やはりここも複雑さと需要の大きさとの両方のバランスを見ながら、どのような出口が得られるかということを次回までに事務当局も委員、幹事の皆様におかれてもお考えいただきたいと望みます。   久保委員にお声掛けをします。部会資料26の議論を御覧いただいて、御意見を頂きたく存じます。 ○久保委員 今の議論を聞いておりまして、とても難しくて分かりにくいな、本当に私たち、私なんかは素人ですので全く分からないのですが、今、山野目部会長がおっしゃったような、幾つものことを考えてくださいねとおっしゃったことも、言われてみればそうかなと思うのですけれども、それでもよく分かっていないというのがあります。   ただ、私は親として思うのは、どの場合も今一番よくみんなから、会員さんから聞こえてくるのは、結局費用はどうなるのということと、そして結局本人の意思はどうなるのというところが一番聞こえてくることなのです。いろいろ難しいことは私たちはよく分からないし、でも、久保委員が一生懸命私たちの思いを伝えてくれているのだから、それに沿って皆さん一生懸命議論を積んでいただいているということは私も説明していますので、そのことはみんなよく分かってくれているのですけれども、結局そこが大事で、我が子はきちんと安心して自分たちがいなくなっても暮らしていけるのだろうかというところがすごくみんな心配していまして、いい制度になればいいなと思ってすごく期待はしているのですけれども、見えてこないのが、費用は結局どうなるの、本人が払って利用し続けられるのだろうか。任意後見とか法定後見とかなくなったときに、地域の中でどのようにして本人を支えていただけるのだろうか、それが親としては見て取れないから、すごく不安に思っているというのが一つあります。それと、その場合もどの場合も、本人の意思はどうなるのだろう、本人の思いをきちんと酌み取ってくださるだろうかというのが親の心配事でありまして、その大きく分けて2点が、いろいろなところで皆さんの声を聴きますけれども、心配事として大きく聞こえてくるところでございますので、どうぞお酌み取りいただきまして、引き続きよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○山野目部会長 キーワードは費用と意思ですね。承りました。引き続き心してここでの取りまとめに向かっていきたいと考えます。ありがとうございます。   花俣委員、お願いします。 ○花俣委員 今、久保委員がおっしゃったように、任意後見制度のメリットというのは、やはり自分自身の意思が非常に重んじられるというところだと思います。この制度に関して様々な具体的な実務面での御意見を今、先生方から伺うことができましたが、やはり非常に整理が難しかったという感想を持っています。星野委員がおっしゃったとおり、私も同様の感想を持っております。厚生労働省の社会・援護局から今後の取組等々についての御説明がありました。そこでも身寄り問題の辺りが非常に大きなキーワードになっているなと思っていて、新たな仕組みであるとか、第二種社会福祉事業であるとか、新日自といわれていたようなもので幅を広げてというお話がありました。そこと関連付けて、上山委員の方から医療に関する同意、あるいは医療行為に関する意向の表明の委託というような、そのポイントについてのお話もありました。   法定後見が本当に柔軟に対応してくれるような制度になって、終われる後見になったときに、私たちが一番心配しているのが社会・援護局から示された資料の中にある幾つかのポイントだと思うのです。そのことと任意後見制度というのは近い位置にあるというか、近い関係にあるというか、もし福祉的な視点でこの仕組みを作っていただくのであれば、その間に、もしかして任意後見制度というのが大きな役割を果たすのではないかと感じています。本当に法定後見が緩やかになって任意後見の姿がもう少し私たちに分かりやすく伝わってくれば、身寄りのない方たちにとっての選択肢が広がるのではなのかと思った次第です。 ○山野目部会長 花俣委員のお話は、いつも勘所を突いていますよね。法定後見が終わることのできる後見にするという理念と、社会福祉法を改正して第二種社会福祉事業の新しい出発をビジョンとして打ち立てるというところの中間にいろいろなものが存在しているのですけれども、一つの有力なヒントが任意後見契約でしょう。ですから、先ほど直前に佐久間委員に、法定後見の終了時でトリガーとして任意後見契約を用いる可能性というものが法理論的にあり得ますよねという確認をし、あり得ますという御確認を頂き、それは福祉的な観点からも大事ですよと今、花俣委員におっしゃっていただきましたから、お2人のリレーのプレーはすばらしかったと感じます。どうもありがとうございます。   16時15分までの休憩を御案内するに先立ちまして、まだ御出席でいらっしゃる加毛幹事におわびがあります。部会資料26の審議が御覧いただいたとおり延びまして、加毛幹事の部会資料26及び27についての御意見を承るチャンスがありませんでした。御案内をいろいろ差し上げておりますとおり、様々なチャンネルで加毛幹事の御意見を伺ってまいりたいと考えますし、引き続き事務当局から御相談を差し上げますから、よろしく御協力方、お願い申し上げます。   それでは、休憩をお願いいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開いたします。   休憩前に差し上げた進行の御案内を若干改めます。加毛幹事がお発ちになる時刻を調整していただきましたから、僅かな時間しか差し上げられませんけれども、加毛幹事から部会資料26及び27についての御意見を頂きます。お願いいたします。 ○加毛幹事 ありがとうございます。部会資料27について発言をしたいと思います。   まず、第1の1についてですが、9ページ10行目において「現行法上列挙されている行為をベースとして、各号の規定ぶりの見直しにとどめることが適するように思われる」とされています。前回の部会審議において、民法13条1項各号の行為に関して、いかなる点に着目をして行為能力が制限されるのかを類型化する形で整序できないかという発言をしました。しかし、直ちに依拠できる学説上の議論の蓄積がない中で規定の整序を図るのは難しいという事情に鑑みれば、現行13条1項各号の規定ぶりの見直しを行うことは現実的な選択肢なのだろうと考えます。そのことを前提として、二つのことを申し上げたいと思います。   第1に、各号の規定ぶりについて、部会資料で指摘されている以外にも、見直すべきところがあるように思われます。例えば、13条1項5号に「贈与」が規定されています。そして、無償行為については、この規定に該当するものと解釈するという理解が一般的ではないかと思います。しかし、全ての無償行為が贈与に該当するという解釈が妥当であるのかには検討の余地があるように思われます。また、この点にも関係するのですが、権利の放棄については、明示的な規定として遺贈の放棄があるだけであり、遺贈の放棄に限られない権利の放棄一般について規定を設ける必要がないのだろうかと思います。   さらに、13条1項3号の「重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」に関して、平成11年改正の立案担当者の解説では、相当の対価を伴う有償契約であれば、雇用、委任等の役務提供契約も同号に該当するという考え方が示されています。しかし、少なくとも法律の文言上は、「財産」に関する権利の得喪を目的とする行為について、本人が役務の提供を負担し、それが本人にとって大きな負担になるという行為が、13条1項3号に該当すると解釈するのは難しいように思われます。役務の提供に関連する規定としては、13条1項7号に、負担付き贈与の申込みの承諾と負担付き遺贈の承認が挙げられており、その手掛かりが示されているのですけれども、現行規定を見直すのであれば、本人による役務の提供行為について明文の規定を設けることができないのかについて検討するのがよいのではないかと思います。   第2に、6ページの13行目において、部会資料24に関する審議内容をまとめる形で、現行規定の「第8号及び第9号を削除することについては、特段反対する意見は見られなかった」とされています。前回の部会審議の際に、私も反対する意見を述べなかったのですが、現行規定を維持することを前提として規定ぶりの見直しにとどめるのであれば、この点も再考すべきではないかと考えます。現行8号及び9号は、保佐に関して、行為能力の制限の範囲を画することを明示するという点で、重要な意義を有するからです。例えば、9号については、その反対解釈として、民法602条の範囲内であれば、被保佐人は保佐人の同意なしに有効に賃貸借契約を締結できると解されています。そして、そのことを前提として、現行13条1項1号の「元本の利用」に関しても、管理行為に該当するような元本の利用であれば、被保佐人が保佐人の同意なしに有効にできるという解釈が学説上有力に主張されています。つまり、9号は、保佐に関して、行為能力を制限できない行為があることを裏から明らかにするという性格を有するわけです。   現行8号についても、「大修繕」という文言は、小規模の修繕であれば、保佐人の同意なしに被保佐人が請負契約を締結できることを意味するものと解することもできます。民法起草以来、いわゆる管理行為については、保佐人の同意なしに本人が有効に行えることを原則としつつ、一定の管理行為についてのみ、13条1項による行為能力の制限の対象になると説明されてきました。そのため、現行8号及び9号を削除してしまいますと、現行規定以上に行為能力制限の範囲が広がってしまうのではないかという危惧を覚えます。そこで、現行8号及び9号を維持することを検討する必要があるのではないかと思います。   以上のような見解に対しては、行為能力の制限に対する限定は、現行民法9条1項ただし書の「日常生活に関する行為」によって実現されるのではないかという考え方が主張されるかもしれません。しかし、民法は、9条1項ただし書の「日常生活に関する行為」については、行為能力の制限を一般的に否定するとともに、保佐との関係で、13条1項において管理行為を原則として本人が単独で有効に行うことができるとしています。つまり、2段階で、行為能力の制限に対して限定がされているのであり、9条1項ただし書があることによって、先ほど申し上げた懸念を払拭することは難しいのではないかと思われます。   なお、以上に関連するのが、本日の佐野委員の御報告です。3ページ脚注1では、民法9条1項ただし書の「日常生活に関する行為」が民法761条の「日常の家事」と同様であるとする立案担当者の見解が紹介されています。しかし、この見解に対しては、相当に批判が強いように思われます。9条1項ただし書の「日常生活に関する行為」は、761条の「日常の家事」よりも限定されるという見解が学説上は有力であると思います。   そして、そのような9条1項ただし書の理解が、佐野委員が問題とされる意思能力の欠缺との関係でも意義を有すると考えられます。9条1項ただし書を厳格に解する反面として、それに該当する限りにおいては、意思能力の欠如を理由とする無効主張を制限するという考え方が、学説上主張されているわけです。そうすると、佐野委員の御懸念との関係でも、9条1項ただし書は厳格に解するべきように思われます。   以上は派生的な話でして、主として申し上げたいのは、現行13条1項8号及び9号を削除すると、管理行為が原則として行為能力制限の対象とならないことを明示する規定を失ってしまうことへの危惧ということになります。これが第1の1に関する意見です。   なお、非常に細かい点なのですが、今回の提案の2号の括弧書きにおいて「前号に規定する行為を除く」とされているのですが、この括弧書きが法制上必要であるのかについては検討が必要であるように思います。   次に、27ページから始まる「法定後見の規律に係る取消権者及び追認」についてです。最初に私自身の見解を申し上げておきますと、35ページ22行目から始まる二つの段落の記述が説得的であると思われ、甲案でよいように思います。また、前回の部会審議において甲案を支持された青木委員の御見解も説得的であると考えています。   他方、乙1案や修正乙1案を採用する場合には、部会資料に書かれているとおり、相手方の保護が重要な課題になるように思います。その方法としては、部会資料で取り上げられている相手方の催告権と消滅時効のほか、制限行為能力者の詐術も問題となります。   仮に乙1案を採る場合には、例えば、相手方が本人に対して取消権の行使を催告し、相当期間内に取消権の行使がなければ取消権が消滅するという規律を設けることが考えられるかもしれません。解除に関する民法547条のような規律です。また、消滅時効については、起算点を追認をすることができる時とする規律を維持すると、保護の審判が取り消されない限りは消滅時効が進行しないということになりますので、起算点を早めるような改正が必要になるのではないかと思います。   他方、修正乙1案については、相手方の催告権に関して、「保護者が『追認しない』と明確に表示した場合の法律関係」について検討が必要であると指摘されているのですが、修正乙1案を前提とすれば、取消権を有しない保護者が確答を行うことになりますので、「追認をしない」と述べたとしても、それは法的効果が認められる確答にあたらないと考えるべきように思います。   この場合に、確答がないことの効果をどのように考えるのかが問題となりますが、取消しの擬制とする場合には、相手方が催告を行うと、取消権を有しない保護者は、確答をしないことにより、法律行為を取消しできることになります。そのような帰結が、果たして修正乙1案が前提とする立場と整合的であるのか疑問に思われます。   他方、不確答の効果を追認擬制とする場合には、相手方としては、催告を行い、保護者が追認をしてくれれば法律行為の有効性が確定することになりますし、確答がない場合にも、やはり法律行為の有効性が確定することになります。そのような規律を採用した場合、問題となる法律行為を取り消すべきであると考える保護者としては、本人に対して取消権を行使するよう働き掛けることになるのではないかと思います。このような保護者の対応を想定するのであれば、修正乙1案を採用することも不合理ではないだろうと思います。   他方、修正乙1案につきましても、消滅時効の起算点に関しては、乙1案と同様に、立法による対処が必要であると考えらます。   以上を申し上げた上で、ここで述べたような複雑な議論をする必要性があるのかには、やはり疑問があります。それゆえ、冒頭に申し上げたとおり、甲案でよいのではないかと考えている次第です。   長くなりまして申し訳ございません。ありがとうございました。 ○山野目部会長 加毛幹事におかれては仔細な御検討を頂きまして、ありがとうございました。   通常の進行に復します。部会資料27については、こちらも全体をまとめてお諮りすることにいたします。部会資料27の全体につきまして事務当局から資料説明を差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料27について御説明いたします。   まず、1ページからの第1の1(1)では、現行民法第13条第1項を取り消すことができる行為の範囲の基準とした上で、その内容をゴシック部分のとおりとすることを提案しています。ゴシック部分のうち10月7日の第26回会議からの変更箇所には下線を引いております。   また、10ページからの第1の1(2)では、本人同意の要件について、その位置付けと保護の必要性の要件との関係などを整理し、本人が同意の意思を表示することができない場合には代替要件を設けないことを提案しております。   21ページからの第1の1(3)では、追加を予定している申立権者について、任意後見監督人であった者に関しては、任意後見契約終了からの期間制限を設けるかどうか、本人が公正証書によって指定した者に関しては、その指定の方法などについてどのように考えるかを整理しています。   さらに、27ページからの第1の2では、同意権者と取消権者を分離するかどうか、追認との関係をどう考えるかについて改めて整理しております。この部分に関しては、部会資料27の別紙として横向きの一枚紙をお配りしており、そちらを御覧になりながら御議論いただきたいと考えています。   最後に、37ページからの第2では用語に関して、保護の枠組みの呼称を補助とすること、精神上の障害との用語を精神上の理由とすることを提案しています。 ○山野目部会長 資料説明を差し上げました部会資料27について御発言を頂きます。 ○小澤委員 ありがとうございます。まず、部会資料3ページ(2)に記載されているとおり、本人の自己決定が必要以上に制約されることを防ぐために民法第13条第1項の規律を残すことについては賛成します。部会資料4ページの(3)に記載されている、例外として行為能力制限の範囲を拡張することの適否につきましては、提案されている民法第13条1項各号のリストはかなり網羅的に記載をされており、ここから漏れることがほとんど考えられないと思いますし、このリスト以上の範囲の行為を要同意事項や取り消すことができるとすることは今回の法改正の趣旨とは合わず、また、少なくとも現行の保佐類型を設けることは予定されていませんので、その拡張の要件を設定することも複雑になり困難と考えますので、消極に考えています。   次に、(2)の法定後見に係る審判をするための要件としての本人同意等でございます。部会資料10ページの(2)につきましては、今回の部会資料で保護の必要性や同意の要件などについて詳細に整理をしていただきました。これまでは本人の同意がない場合の代替要件として高度な必要性を要件とすることを提案していましたが、実際の実務や運用を考えると御提案された内容に合理性があると考えましたので、この御提案で異論はございません。   部会資料21ページの(3)アの任意後見人が欠けたことにより任意後見契約が終了したときに、任意後見監督人であった者に申立権を付与すること及び申立てに期間を設けることについて賛成いたします。申立てができる期間については、1年では任意後見契約の終了から近接した時期としては長いとも考えられるので、具体的な期間とするのではなく、例えば、任意後見人が欠けたことにより法定後見開始の申立てを行わないといけない急迫な事情があるときなどといった要件とすることも考えられるのではないかという意見を持っています。   最後に、部会資料37ページ第2のその他、用語の検討について、保護の仕組みの呼称については、後見という用語は社会的にも定着をしており、これを変更することは大きな混乱を招くのではないかとも考えますので、残した方がいいという意見を持っています。我々の実際の業務の場面でも、保佐や補助はなかなか十分に理解されていないこともあり、保佐人や補助人に就任している場合でも周りの支援者や関係者からは後見人と呼ばれることがほとんどであります。   精神上の障害について、精神上の理由とすることについても異論はありませんが、未成年者であることでこれに該当するのではないかとの疑義が生じる可能性があるかもしれませんので、未成年者であることのみをもって精神上の理由には該当しないことを何らかの方法で明らかにする必要があるのではないかと考えております。 ○佐久間委員 2項目について意見を申し上げます。   一つ目は、10ページにあります(2)本人の同意等のところで、また必要性の要件についてですが、申し上げるのは今日が最後、そのつもりで申し上げます。先ほどの任意後見と同じで、法定後見におきましても制度の根幹にあるのは本人の意思の尊重と本人の利益の保護であると考えています。裁判所は、その本人の意思の尊重を図りつつ本人の利益を保護する最後の砦というと少しおかしな言い方かもしれませんけれども、その保護について後見的な役割を担うということが求められているのであり、積極的に本人の生活関係について、そのようなことが本当に考えられているかどうか知りませんが、これがよいことだとか、こうすることが望ましいというような判断を裁判所がすることは求められていないのではないかと私は思っております。   そこで、まずは本人に同意能力、請求能力があるという場合を念頭にお話しさせていただきますけれども、請求能力がある、意思能力のある方が、しかし事理弁識能力において不十分な状態にあり、そうであるからこそ一定の事務についてサポートしてほしいと望む場合には、これはひとまず当該事務の必要性は満たされていると考えてよいのではないかと私は思っています。ただし、本人の意思があるといいましても、その本人の意思がどのように形成されたかということは分からないと言わざるを得ず、場合によっては他人の意思によって事実上支配されているということもあれば、本人が最終的には意思を表明しているのだけれども、それがゆがめられた意思であるということもないとはいえない、当然そういうこともあり得ると思っております。そのような場合には、本人の意思に見えるものはあるけれども、尊重すべき意思はあるとはいえないし、本人の利益保護の観点からも、それをそのまま認めることは適当でないと思います。私は、前回も少し申し上げましたが、そのような事例に当たると見得る場合に、裁判所は審判をしないという決定をすべきだと思っており、例えばとして前回挙げましたのが、「請求が本人を害する目的である」、あるいは「請求が本人以外の利益を図る目的であると認められる」ということですけれども、あるいは「その他相当でないと認める事由があるとき」は審判はしないとすることが適当だと思っています。   何度か部会でも話題に上がりました、普通には想定し難い事務のための権限付与の申立てがあるということも、普通に想定し難い事由について申し立ててくるということは真意性が疑われるということだと思いますし、また、真意であるかもしれないけれども、それは制度趣旨を理解しない請求あるいは本人の意思の表明であって、いずれにせよ尊重すべきものとはいえないし、本人の利益保護の観点からも不適当であるということから、そのような場合も、先ほどの言葉で言うと「相当でない」と、法制上その言葉が使えるかどうかは分からないことは理解していますが、「相当でない事由がある」として裁判所は審判をしないということにすることがよいのではないかと思っています。   事理弁識能力を欠く常況にある方についても高度の必要性とか、あるいは緊急事務管理に当たるような事情は求められず、今と同じ判断でいいのではないかと思っています。そこでは本人の意思というものが認められるわけではありませんけれども、しかし請求権者とされている方々は本人の周囲にいて、本人の意向を少なくとも酌んで請求をすることができるだろう、そういう地位を認めていいだろうという人たちであると思いますので、まずはその人たちの判断を信頼するということから出発して、同じ枠組みでいいのではないかと思っています。   特に、この場合、高度の必要性とか緊急事務管理的状況にあることを求めますと、ほとんどの場合において本人の財産の現状が維持されることになるのではないかと思います。本人の財産の現状を維持するというのは、特に高齢の方を考えますと、それは亡くなったときに相続財産となるものを十分残しておくということにつながるのでありまして、それが本当に本人の幸福につながるのかどうかは怪しいと思っています。本人の幸福が何かは本人が意思を表明できない以上、はっきりは分かりませんけれども、周囲の人たちが、例えばですけれども、本人がずっと海外旅行に行きたいと言っていたと、そうすると、もう今では付添いの人が何人も行かなければいけなくなって費用がたくさん掛かるというような状況でありましても、それは本人の意向がきっと変わっていない、行かせられるものだったら行かせてやろうという判断を仮にしたといたしますと、これは高度の必要性があるともいえないし、緊急事務管理的ではないですけれども、私はそういうのを認める制度である方がよいと思っています。ただ、そのようなことにいたしますと、周囲の者がむしろ自己の利益を図るために何らか権限付与を申し立てるということはあり得るので、それは裁判所がきちんとチェックしていただくということを期待したいと思っております。これが、1点目の同意、要するに審判の要件についての意見です。   2点目は、先ほど加毛幹事がおっしゃったところで、大方加毛幹事の意見と同じなのですけれども、同意権者をどのように扱うかということについてです。論理的には確かに、同意権者は追認はできるけれども取消しはできないという考え方は十分成り立つと思います。と申しますのは、同意をすることができるという場合、ある人の同意を得て行為をしなさいということになっている場合に、その同意なしに本人が行為をしますと取消し可能となりますが、それはなぜかというと、当該行為を完全に有効なものとするために正に必要とされる同意権者の同意が欠けているからです。そうだとすると、取消しがされる前にその欠けていた同意を与えるということにより取消しの原因をなくするということは、これは同意権者に認められて全く問題ないと思います。それを追認というかどうかはさて置きまして、取消しをすることが以後できなくなるという意味での同意を与えるということは、これは取消権を与えるかどうかとは別個に、可能であると思います。   他方、取消権を与えることにつきましては、これも論理の話ですけれども、同意権者は飽くまで契約を確定的に有効にするための同意を与えることができる、そういう地位にあるだけでありまして、法律行為をさせないという地位を元々与えられているわけではありません。ですから、法律行為をさせなかった、しなかったのと同じ状態になる取消権を当然に与えるということには必ずしもならないと思っています。   しかしながら、ここからが先ほど加毛幹事がおっしゃったのは正にそのとおりだと思うことでありまして、ではその場合に、相手は不安定になりますので、どのように地位の不安定さを解消していくかといいますと、催告に関してもろもろ難しい問題が出てくると思います。それを乗り越えるほどの実益があるのかと言われると、私はよく分かりません。あるのであれば、それを教えていただければ考えますけれども。   あともう一つ、加毛幹事がおっしゃらなかったことで少し心配いたしますのは、次の点です。乙1案か修正乙1案のような立て付けで行った場合、どのような人が一体、本人の契約相手方となるのだろうかと考えますと、要同意事項というか、本人は同意を得なければ行為をすることができないということを知らない人は、それは相手になるだろうと思います。しかしその人については、先ほどの催告の話ではありませんが、相手方の地位を今以上に不安定にすることは、適切とはいえないと思います。もう一つ、本人は同意を得て行為をしなければいけない人だということを知っている相手方に関しましては、普通に判断したら、本人との取引には応じないのではないかと思います。それでも応じる人には、全ての人だとは言いませんけれども、一定の思惑がある場合がそれなりに存在するのではないかと思います。一定の思惑というのは、要するに本人さえ丸め込めば、ほかに取消しをすることができる人がいないので、うまく自分が利益を得られるというようなことを、立派な事業者がそんなことをするとは思いませんけれども、親族だとか友人関係だとかの人でそういうことをする人だって出てき得るのではないかと思います。そういった人からの被害を防止するためには、本人以外の者が当然に取消権を有しているという状態がむしろ望まれるのではないかと思います。   これは飽くまで一つの事象としてそういうことが起こるというだけで、それだけで決定ということではありませんけれども、そのようなことも考えますと、いろいろ論理的には考えられるけれども、法制度上難しいところもあると思いますし、実際上弊害に当たるようなものが出てき得るのではないかということから、私も加毛幹事と同じように、甲案がよいと思っています。 ○青木委員 まず、13条1項に関係するところですが、私は、事理弁識能力を欠く常況に関する仕組みを設けること自体について反対ですので、あくまでもそれを設けない制度であることを前提にお話をさせていただきます。   その場合においても、資料に書いてある趣旨のとおり、同意権というのは、制限行為能力制度を今後はできるだけ少なくしていく、権利条約が廃止を求めているということも含めて、他の法制度の拡充等の中で、できるだけ制限行為能力制度をなくしていくという趣旨からしても、13条1項といった枠組みを設けて、制限できる行為を制限する、ということについては必要だと思います。ただ、これに対して、柔軟に本人さんのニーズに基づいて必要な事項の同意権の付与ができなくなることを懸念もしていたわけです。これにつきましては、13条1項の中に、新しい提案における5項のような、様々な新しい取引についても包摂し得るようなバスケット条項のようなものにつき、運用上において、同意権目録などで対象とできるように充実させることによって、現代的な被害に対する保護の要請に応えるようにしていくという道筋があるのではないかと考えています。また、1号から何号というように、類型的な法律行為を定めることにするということが必ずしも必要なのかということはありますが、やはり一体どういったものが同意権付与の対象になり得るかということを法制度上も明らかにした上で、さらに同意権目録において家庭裁判所が詳細な取引類型を掲げることによって安定的な運用につなげるという意味では、一定の項目を法制化することはあってもいいのではないかと考えています。   次の論点として、いわゆる身上保護に関して、同意権付与による制限を設ける必要があるかということについては、具体的な例が思い浮かぶものがありませんので、事務局の御提案のとおり、基本的な財産の維持という趣旨で規定をすることでいいのではないかと考えています。   では、具体的な個別の項目についての意見ですけれども、まず1号の金融機関の関係につきましては、この規定で定期預金の開始とか、あるいは解約とか、定期預金以外にも銀行にある金融商品について、どこまでの射程となるかということがこの規定ぶりで一義的に明確であるのか、金融実務との関係で大丈夫なのかということは、なお検討を要するのではないかと思います。一方で、1号についての同意権付与をしないで、預貯金についての代理権だけを付与しているというような方について言いますと、その反対解釈として、本人さんも同意なく金融機関の取引ができるという扱いになるというところも、金融実務との関係でも重要な論点になるのではないかと思っています。   それから、最近は様々な決済手段がありまして、クレジットカードによるキャッシング契約とかショッピング契約とか、従来からのローン契約に加えまして、携帯電話の携帯電話キャッシングサービスとか、いろいろな立替え払い契約が出てきていますが、これが果たして5項の中で全て取り込めるのかとか、3項の借財に取り込むことになるのかということが、うまく判断できるかという問題はあるように思います。そういった新しい決済手段について、同意権の付与をしたいという必要性はあるとは思っていまして、そうなりますと、この借財という言葉が果たして適当か、むしろ金銭消費貸借契約とか立替払い契約等も含むようなことが理解できるようなものにしていく必要はないかということが、3号については考えるところになっています。   それから、4号につきましては、従来の議論において療養看護についても入れた方がいいというご意見があったのは、13条1項を代理権目録との関係でも使うかもしれないという文脈だったように思います。同意権付与との関係では、重要な財産の契約に伴う療養看護に関する契約ということですから、5号の中に包摂することで十分で、4号で特出しをする必要があるのかどうかは疑問です。   それから、5号については、この規定は全体を集約、包摂する規定になるのだろうと思いますが、「権利の得喪」ということでいいのか、変動とか変更の場合は含まれるのかというようなことも気になるところであります。また、従来の13条1項にあった請負契約と賃貸借契約が5号に含まれるものという趣旨で削除された関係について、5号に請負も賃貸借も全て入るということがうまく改正の前後を通じて理解できるようになるのかというところについて検討が必要ではないかと思っているところになります。   続きまして、必要性についてですけれども、最初におまとめいただいた定義はそのとおりであるのですけれども、具体的必要性と抽象的必要性を比べていただいている項目の中で、具体的必要性の方が、その事務をすることが適当であることを裁判所が判断して必要性を認定するかのようにまとめていただいていますけれども、具体的な必要性を支持する私も含めての意見というのは、あくまでも、その事務を「検討する必要」があるということを「事務の必要性」といっているのであって、売買契約をしなければないことを裁判所が判断するとか、金銭管理事務を任せないといけないということを確定的なものとして裁判所が判断するということを意味するものではない、というのが共通の理解だったと思います。ここのところの資料のまとめについては、その意味でどうなのだろうかと思っているところです。   その上で、「事務を検討する必要」があるかどうかについては、資産がある人と資産に余裕がない場合では、なけなしの不動産を売ってでも生活資金を確保するなど、それをするかどうかに関する検討の必要性については差があるだろうとか、その他についても様々な事務ごとに差があるということはあるので、やはり必要性というのにはバリエーションがあって、必要性の程度についてもバリエーションがあるということを前提にして、検討していくものではないかと思います。必要性という概念については、絶対的な必要性と相対的な必要性とか、客観的な必要性と主観的な必要性とか、いろいろなバリエーションを示す対比が使われています。論理的には必要だけれども、現実的・物理的には必要がないとか、必要不可欠というのもあれば、重要な必要性だとか、ある程度の必要性ですねとか、いろいろな程度の必要性があるわけです。そういった必要性の程度を、本人の同意がある場合と本人の同意の意思が表明でいない場合では、必要性を吟味するというときには、必要性の程度を十分に様々な観点から考慮して、必要性があるかどうかを吟味して認定していくという問題ではないかと思います。   そういった意味で、本人が同意の意思を表明することができなかった場合について、厳密に必要性を認定していくというために、別々の必要性に関する基準を法制上設けてはどうかということを、これまでも提案しているということになると思います。確かにいろいろな必要性の程度があって、特に本人が同意を表明できない場合には、本人が同意をした場合に比べれば、正当化根拠というのか、本人の意思の尊重というのかという説明の仕方の違いはあるとしても、いずれにしても、必要性をよりしっかりと認定していくという点については共通の認識があるのではなかろうかと思います。逆に言うと、先ほど佐久間委員も言われたように、本人の同意がある場合には、ある程度の必要性が含まれてくるのではないかという考え方にもなるのではないかと思っています。   そういう意味で言いますと、本人が同意の意思を表明することができない場合の必要性については、今までは、「著しい不利益」などという高度の必要性の基準の規定などを提案してきましたけれども、例えば、「特に必要がある場合」とか、「特に必要が認められる場合」という法制上の文言は、他の法文でもいろいろ使われているところでありますから、そうした文言によって、限定を掛けることによって、必要性の認定を厳格にしていくということができるのではないかと思います。ここでは、本人に不利益になる場合だけではなくて、本人からすれば、旅行に行くために前から期待をしていて、そのための資産も残していて、エンディングノートには人生の最期には旅行にも行きたいみたいなことが書いてあり、本人の意思を実現する必要があるとなれば、そういったことも「特に必要がある場合」に含まれる余地があるのではないかとも考えます。   それから、同意権者と取消権者のところについては、資料の三つの場合に分けた一覧表の整理はありますが、私はこの論点についてこれまであまり発言をしてきませんでしたが、私の基本的な発想としては、同意権・取消権というのは制限行為能力制度なので、できるだけ本当に必要な場合だけに限定して付与するようにしていこうという発想があり、かつ、付与した場合であったとしても、第三者が取消権を行使するには、本人の意思に反する場合には、本人に重大な不利益がある場合に限って行使できるようにしようという制限を課し、この二つのこととセットで、同意権と取消権は実効性の観点から同じ人に同時に付与することがいいのではないかということになります。同意権と取消権を分ける、分けないだけを切り取って議論をするということではないのではないかと考えてきたところであります。   そうした前提の上で、実務的な感覚で言いますと、保護者に同意権が付与されて取消権が付与されない状態のものになった場合に、現実に取消しの必要が生じた時には、本人さんを説得しても本人さんが取り消さないというようなときに、新たに保護者に取消権の付与の申立てをして、それを待ってから取消しをするということでは、果たして取消権行使による救済ということについて実効性に欠けるのではないかという不安があります。   一方で、同意権だけを付与して取消権は本人しか行使できないという制度にした場合は、要は本人さんが失敗したなと自ら思ったときだけ取消しができるという制度になるわけですが、そういう制度利用のあり方を望む人はいるかもしれません。そういう制度でも本人の意思尊重の観点からはありえますよね、というのが今回の改正の趣旨なのかもしれません。それは、同意権付与の趣旨を、失敗する権利を保障すること、あるいは同意権者とよく相談をして正しい決定をしようとする寄り添い型支援を求めることだと思います。けれども、前にも申し上げましたけれども、意思決定支援として本人さんの意思をしっかりとしたものにしようという寄り添い型の支援というのは、本来、強制的権限を持っている人が、同意するかしないかはわからないけれどもまずは一緒に話し合おうといって、権限を前提にして話し合うことではないと思っています。あくまでも権限のない支援者の皆さんで、本人が望む契約をしていいかを本人と一緒に考えて支援をしていくというところで果たされるものではないかと位置付けなければならないと思います。本人さんに思い直しの機会を保障するということについても、本人さんにだけ取消権があることで果たして果たされるのか、取引の相手方との間での大きな心理的圧力も含めて考えると、本人が取り消すべきだと思い直した後も本人では取消権行使ができないということも生じるのではないか、というようなことも考えますと、実効性の観点からは十分ではないのではないかと思っておりまして、私としては、同意権者が取消権も持つという従来の甲案でいいのではないかと現時点でも考えているということになります。   次に、申立権者についてですが、任意後見監督人については1年の期間にしていただくのがいいのではないかと思っています。近接した時点でなければ任意後見監督人には権限付与の必要性の事情が把握できないですね、というのはおっしゃるとおりです。ただ一方で、監督人終了から数年後に申し立ててと支援者などから頼まれることが絶対ないかと言われると、他に適当な申立権者がなく、やむをえずあるとは思っているのです。なかなか市町村長申立てをしてくれないような地域において、元監督人以外に申立て権者がないから3年前に監督人をしていた方に申立てをしてくれとしたい事案もあるとは思うのです。けれども、元監督人の立場からすると、その時点で申立てをするには、負担が大きく、医師の診断書を含めてもう1回本人さんにかかる状況に関する情報や資料を集めた上で申立てをし、かつその申立て費用は元任意後見監督人の負担になることも考えると、元監督人にとって過剰な負担になるのではないかということも心配をしますので、実務的な観点からは、1年で区切っていただきたいと思うところがあります。 ○根本幹事 私からは3点申し上げます。   1点目は、先ほど佐久間委員から御提案がありました、申立てが本人の利益を害し又は本人以外の利益を図る目的でされたものと認められるとき、その他審判をすることが相当でない事由があるときは審判できないとするという規律についてです。まず、佐久間委員が前提とされている本人の請求若しくは同意があるということと必要性要件は、別の判断であるというところでは佐久間委員とは考えが違うということになるわけですけれども、他方で先生が意図されている、不当な影響で本人意思がゆがめられるという点について問題意識を持っているという点では共通をしますので、その意味で佐久間先生が示された考え方については賛同ができると思っております。   ただ、細かいところを見ますと2点気になることがございまして、一つは結局、不当な影響で本人意思がゆがめられているかどうかというところについて、本人の同意の確認方法、つまり裁判所が想定されている調査官調査等で確認をされるというところの運用上の問題でクリアにしていくのか、それとも不当な影響は排斥をするのだということで法制上の位置付けにまで引き上げていくのかというところについては議論が必要ではないかと思うというのが一つです。   もう一つは、本人の利益を害し又は本人以外の利益を図る目的というところなのですが、仮に法制化する場合には、私としては専ら本人以外の利益を図る目的という形で絞ることが望ましいのではないかとは思っております。恐らく佐久間委員のお立場からすると、絞りすぎではないかという御意見もあろうかと思うのですが、他方で、例えば虐待事案などの対応の際に首長申立てなどを想定した場合には、養護者側の御親族から申立てそのものについてこの規定に基づく御主張がされるということも想定されるところではあります。専らと絞るということも一つの案ではなかろうかと思っています。   2点目が、同意がない場合に必要性をどのように考えるかという点についてです。部会資料の中で丁寧に御解説を頂いていて、必要性はありかなしかということであって程度はないというのは私としても理解ができるところです。前回、部会長からは少し現場の裁判官のことを考えてという御発言も頂いたところではあるのですが、必要性をやはりここは少し中身を丁寧に見ていく必要があると思っておりまして、従前、事務の必要性と保護の必要性という二つで必要性というものは構成されるというところはおおむね部会内でもコンセンサスがあるところだと思いますが、事務の必要性を分析的に見ていきますと、前回も申し上げましたように、対象事務の存否ないし対象事務との時間的近接性という要素と、もう一つは対象事務が本人にとって利益又は不利益であることだと構成できるのではないかと思われます。これは現行法でいうところの申立ての動機として本人の背景事情を見るということにしていたもので、先ほど青木委員からもありましたが、当該法律行為をするか否かは、それはもちろん後見人の裁量であって、事務の必要性とは関係ないということで整理ができるのだと思っています。   もう一つの保護の必要性、若しくは代理行使する必要性についての構成要素を見ますと、一つは、本人が当該法律行為を行う能力があるかどうかという点ですとか、他者に委ねることを基礎付ける事情があるかどうか、それから、いわゆる補充性といわれるような他に代わる手段を現に利用又は利用が相当程度見込まれる状況かどうかという内容かと思いまして、現行法でいうところの能力論と結び付くものだと思います。このときに、本人の同意ないし本人の請求又は同意というのは、これは主観的要件であって、保護の必要性というのは客観的要件ですので、双方で基礎付ける事情が重なる部分もあるかとは思いますが、法制上は別要件であると区分けをすることになるのだと思います。   このことを前提に考えますと、同意が介入の正当化根拠であるという点については、本人の請求又は同意を独立した主観的な開始要件として介入の正当化根拠であるということとイコールだろうと思っています。同意能力がないということについて保護の抽象的な必要性があるということにしてしまいますと、必要性要件を能力論とは別に客観的な要件であると位置付けたことと整合しないように思いますし、例えば、法定後見の代理権で任意後見契約を締結することができるかどうかについて、本人の請求又は同意があれば代理締結を認めるという議論が交わされたかと思いますが、本人の請求又は同意に手続上の意味以上に法的な意味付けをさせるものということになるのだろうと思いますので、本人の請求又は同意というのは正当化根拠であると整理をするべきだと思います。   本人同意がなくても、欠いていたとしても、なぜ開始ができるのかということになるわけですけれども、そうなりますと別の正当化根拠を要するということに理論上なるかと思いまして、本人の同意がなくてもなお公益的に保護すべき許容性があるといえる場面だということが導き出されるのではないかと思います。具体的には本人の生命、身体、財産、生活に著しい不利益が生じる場面と価値判断をすることができるのではないかと思います。そのように考えますと、必要性要件との関係では、必要性はありなしという話になるわけですけれども、その判断過程においては、先ほど整理をしたような種々の要素を総合的に考慮して、家庭裁判所として必要性の有無を判断しているということになるのだろうと思います。   例えば補充性についても、支援内容によっては親族支援の内容が不十分なので、保護の必要性があると判断されるのと同じように、本人にとっての不利益性についても、本人にとってさほど不利益でなくても、必要性要件との関係では必要性ありと判断されることはあると思われますが、介入の正当化根拠との関係では、必要性がある場合であってもなお、本人同意がない場合にはそれだけでは足りず、必要性の考慮要素として一要素であった本人の不利益性について、これに着目をして、それを取り出す形で判断するということは可能であると思います。切り出した要素として再評価することで介入の正当化根拠になるのではないかと思っております。   したがいまして、提案内容としましては、部会資料27の11ページのところにあります本人以外の請求により法定後見に係る審判をするには本人の同意がなければならないというところはそのままにした上で、ただしのところについて、本人の生命、身体、財産、生活に著しい不利益が生じるおそれがあるときであって本人がその意思を表示することができない場合はこの限りでないと規律をするということは考えられるのではないかと思っております。   3点目は、申立権者、公正証書で拡大するという点についてです。任意後見のパートのところでも少し申し上げましたが、公正証書で拡大をするに当たって、法定後見と任意後見の公正証書による指定を分けるのかということが、部会資料26、27を架橋する形で議論がされるべきだとは思っております。私個人としては、これを区別するとなると、それぞれ別々の公正証書を作るのかというような話にもなりますので、任意後見と法定後見が併存していくという世界を考えていくのであれば、区別することなく一本化した形で公正証書によって指定ができるとするのが、シンプルな制度ということとの関係でも望ましいのではないかと思います。   そうなりますと、任意後見のパートでも申し上げましたように、濫用防止措置としての必要性というのが非常に出てまいりますので、締結後に開始された審判についてでしか申立権者としての地位は得られないのだと整理していただくことが望ましいのではないかと思っております。 ○遠藤幹事 遠藤でございます。佐久間委員、青木委員、根本幹事から御発言がありました、10ページ以下の法定後見に係る審判をするための要件としての本人同意及びその必要性について、今の御議論に関連して若干御意見を申し上げたいと思います。   御本人の能力と申立てがあったことのみをもって必要性を認めるという理解は、この部会においてはないと理解をしているところでございますが、その上で、必要性の中身をどう考えるかという御議論がありましたので、これまでの議論を聞いていて、今考えているところを申し上げます。これは青木委員がおっしゃったことに近いのですけれども、当該個別の事案において、保護者をして特定の法律行為について権限行使の要否を検討させるべき具体的な見込みの有無ということになるのだろうと考えております。   部会資料記載の不動産売却の例を前提とすると、直ちに処分を検討する必要があるとまではいえないとしても、例えば施設入居の予定があって、今後不動産を処分しないと管理費用だけが掛かるので売却を検討する必要があるといったような客観的な状況があれば、その具体的な権限行使の見込みはあるものと捉えるというような考え方になると考えております。他方で、今申し上げたような事情がなくて、単に不動産を有しているという程度で必要性が認められるということには、逆にこれはならないのではないかと思います。また、不動産を売却することが本人の経済状況等に照らして適当であることまで必要かという点、実際にこのような見解をとっていらっしゃる方はいないということではありましたが、仮にそういうことを裁判所は考えるべきだという御指摘があるとするならば、そういった点は、まさに代理権を付与された保護者において、その裁量によって一次的には判断をされるべきものと理解をしておりまして、少なくとも代理権付与の必要性を判断する際に裁判所として常に考慮しなければいけない事項ということにはならないのだろうと考えているところでございます。   これを具体的というか抽象的というかはさておき、ただいま申し上げたような枠組みを基に必要性の有無を考えていくことになると思われたところでございまして、御本人が意思表示できない場合には、そういった形で意思表示ができないことも踏まえて、先ほどと同様の枠組みを基に慎重に判断をしていくということになると思われるところであり、これは、法律上の要件としては単に必要があるときというものであったとしても、裁判所としては当然そのように判断をしていくことになるのではないかと考えられたところでございます。   また、これに関連して同意との関係で申し上げますと、前々回の部会にて私が申し上げた虐待が疑われるようなケースにつきましては、ケースによっては御本人が瑕疵のない形で意思を表示することができないものと整理して、必要があれば法定後見を利用できると、そういったような整理もあり得るとも考えられたところでございまして、いずれにしても見直し後の制度における同意の位置付けについては、これまでの部会の御議論なども踏まえて考えますと、自己決定の尊重の観点から、本人の同意が確認できる場合には、制度利用の必要性を肯定する重要な要素の一つと位置づけられるものと思われ、そうであるならば、本人の同意がない場合には、そのような同意がないことを前提に必要性を慎重に検討していくといった考え方も成り立つのではないかと思ったところでございます。 ○山下幹事 ありがとうございます。3点ほどですかね、1点目は非常に簡単ですが、第1の1ページの預金のところの1号の話ですが、預金若しくは貯金の預入れ又は払戻しとなっているところですが、預入れが必要なのかという点について、つまり財産を単に預金口座に預け入れて管理するという行為について、取り消す必要性というのがどういう場合にあるのかという点を少し御検討いただきたいと思ったという点でございます。   2点目は、申立権者の追加のお話に関係して、これは任意後見の方でも発言するべきだったかと思ってはいるのですが、申立権者の追加を公正証書で認めるということ自体は、私もよいのではないかと思うのですが、仮にその後で本人の気が変わった場合に撤回等ができるのかという点で、撤回ができるとすると、撤回の要件や手続をどのようにするのかという点をあらかじめ検討しておく必要があるかなと思っております。というのは、申立権者であるということを公正証書等をもって証明するというような手続になるかと思いますが、その前に本人が撤回の意思を表示していた場合にどのような扱いになるのかというようなこと、あるいは撤回しているということがはっきり分かるようにするにはどのような制度を用意する必要があるのかといった点について御検討いただきたいという点でございます。   3点目は、取消権と同意権のお話についてですけれども、私も特に定見がそれほどあるわけではないですが、仮に同意権者に取消権を与えないとした場合については、現在の13条の3項の、要するに家庭裁判所による同意に代わる許可の規定のようなもので、その同意に代わる許可の請求を相手方の方から申し立てられるようにするというような仕組みにしてはどうかと。つまり、家庭裁判所の判断に任せた上で、仮にそこで同意に代わる許可が得られなければ、それはもうその取引はふさわしくないということですので、取消しの効果を与えるとして、同意に代わる許可が与えられるような、正にここに書いてあるような被保佐人の利益を害するおそれがないと、今度、被補助人になるのかもしれませんが、という場合については取引の有効性を維持するというような手続は考えられるかなと思いました。 ○山城幹事 今、山下幹事から御発言がありました後ろの二つ、つまり部会資料21ページの1(3)と27ページの2(1)、(2)について御発言申し上げます。   1点目、つまり申立権者を公正証書によって指定することができるという規律に関しましては、私も方向性としては賛成いたしますけれども、二つほど付言したいことがございます。1点は、山下幹事から御発言がありましたけれども、指定が撤回されることがあり得るとしますと、公正証書の記載だけからは誰に申立権があるかを判断することができない場合が生じ得る点が、やはり懸念されるところかと感じます。   そこで、難しかろうとは思うのですが、この申立権者を登記することはできないものでしょうか。法定後見が始まっているわけでもありませんし、任意後見と同じ要領で公正証書を作成するといたしましても、任意後見契約ではありませんから、登記は難しいとは思うのですけれども、現行法上も、任意後見契約が登記されることの意義として、法定後見が申し立てられた段階で裁判所が任意後見契約の存在を確知することができるようにするという機能があることが、立案担当者の解説等でも言及されるところです。そういった考慮が申立権者の指定についてもあり得るかとは思いましたので、難しいだろうと承知しつつ申し上げております。これが一つです。   また、申立権者を指定することができることになりましても、一方的に指定されたというだけで申立てをする等の義務が生じることはない、これは法定後見の場合も任意後見の場合も同じであろうと思います。その上で、申立権者を付与された人に対して、将来制度利用を予定している本人が、しかるべき状況が生じたときには申立てをしてほしいと委任することはできるのだろうと思います。任意後見の場合には、任意後見受任者に対して、しかるべき時期には申立てをしてほしいと委託することで、ある種の申立義務を基礎付けていくという発想もあり得るかと感じます。以上が1点目でございます。   2点目につきましては、追認権あるいは同意権の問題ですけれども、部会資料2(1)、(2)のそれぞれにつきまして、(1)については取消権者と同意権者は分離して規律をすべきではないかとなお考えており、(2)については追認権は同意権者に与えるのが望ましいのではないかと考えております。そのように考える理由につきましては、佐久間委員がそれぞれ先ほど御説明になられたことといずれも同様です。   その上で、具体的な規律として甲案が提示しているのは、同意権者は常に取消権を有するというものです。私はそれは避けた方がよいのではないかと思います。前回この問題を議論した際にも話題に上った点ではありますけれども、取消権の行使は、やはり一つの代行決定ですので、代行の可能性に関して一定の権限が付与される必要があるのではないかと考えるからです。甲案は、言わば同意権が与えられればそれに関して取消権の行為を代行することができるという権限が定型的に与えられるという仕組みだと説明することになるのかと思いますが、定型的に与えられるということをどう評価するのかという問題が残るだろうと感じます。   その上で、取消権が定型的に与えられるのはやはり望ましくない、取消権の行使についても代行的な決定を保護者がすることを認めるかどうかを個別に判断すべきだと考えるとしますと、取消権は同意権者とは全く別の人にも与えることができるとするのか、あるいは同意権者にのみ与えることができるとするのかが次の分岐点となるかと思います。この点につきましては前回議論がありましたとき、佐久間委員から御指摘がありましたとおり、取消権の行使と追認との先後で法律関係が不明確になることを避けたほうがよいという問題がありそうですので、そのためには、取消権は同意権者にのみ与えることができるとするのがやはりシンプルではなかろうかと感じます。   そのような方法をとるのが修正乙1案ですが、しかし、甲案とは違って同意権はあるけれども取消権がない保護者が存在することになりますと、この者に対して催告がされたときの効果をどのように考えていくべきなのかという問題が生じるということかと理解しております。催告の相手方としては、部会資料でも整理されているとおり、保護者と本人が考えられるわけですが、本人に対して催告がされた場合は、実際に追認を得て、その通知が相手方にされない限りは、法律行為は取り消されたものとみなすほかないのではないかと感じます。と申しますのは、本人には追認をする権限がないからです。   それに対して、保護者に対して催告をした場合の規律につきましては、先ほど加毛幹事から分析が示されましたとおり、論理的には取消しを擬制するか追認を擬制するかが考えられ、追認を擬制するという考え方をとりますと、本人に対して催告後の期間、取消しをするかどうかについての再考を促したうえで、本人からアクションがなければ追認したものとみなされると、そのような説明がされるのであろうと思います。しかし、この考え方によりますと、法律行為を取り消した方がよいと保護者が考える場合には、本人に対して取消しをするようにとの働き掛けがされることになりそうです。また、相手方としては本人と保護者のいずれに対して催告をするかで、催告期間を経過した後にどのような効果が得られるかを選択して追認の相手方を決めることになるのではないかとも思います。現行規定でもそうなってはいるわけですが、それは保護者が取消権を行使することもできることを前提とする規律であるようにも感じられます。   そこで、3点目なのですが、次のような理由から、取消しが擬制されるという考え方にも一定の合理性があるのではないかと考えております。つまり、保護者に対して催告をした後、一定の期間が経過したときに、取消しという効果が擬制されるという規律は、同意を得て行為するという仕組みを、一定の行為については本人と保護者とが共同して決定することを求める仕組みとして理解することを意味するのだと考えることが、この制度に対する意味付けの仕方としてあり得るのではないかと思います。共同で決定するというのは、双方がオーケーだと言わない限りは有効な法律行為ができないという趣旨です。そうすると確かに本人自身による決定ができる場面は狭められますが、それは同意権を与えることの必然的な帰結であって、保護者の同意を得て意思表示がされなかった以上は、本人の法律行為に確定的な有効性を認めることはできない、そこで、それによって不安定な立場に置かれる相手方のイニシアチブで法律行為を失効させることが許されるのだ、こう説明することは、制度の意味付けとしては理解可能ではないかと考えます。   その際、追認しないと確答することがどういう意味を持つかにつきましては、こちらも加毛幹事から分析が示されたとおり、追認をすることについて確答を求められるわけですから、追認しないと確答すること自体には意味はないのだろうと思います。ただ、追認はしないと保護者が述べたときに、催告期間の経過を待たずに取消しの効果を発生させられるかという問題は残るかと思います。この点につきましては、本人との間で一定の期間、どのような形で法律行為の効果を確定させるかについて協議する機会を設けることは望ましいことであると思われますから、その場合にも直ちに法律効果が確定するとはしないことが望ましいのではないかと考えました。   最後に、青木委員から、意思決定支援とは決定権者が本人の決定に携わるというものではなく、決定権限のない者が本人に寄り添って、思い直しの機会を与えることが主であるという御発言がございました。そのこと自体には私も全く異存がございませんけれども、ただ、ここで考えなければならないのは、そういう支援の傍らで、本人の意思とは無関係に取消権を行使することができる者がいてよいのかという問題だと思います。つまり、意思決定支援に携わる人が取消権なり同意権を持っているべきかということではなく、意思決定支援とは切り離して、本人の処遇を同意なり取消しという形で決めることができる人がいてよいのかを検討すべきではないかということです。そのような観点からいたしますと、取消権を行使する際に本人の意思が尊重されれば足りるというものではなく、取消権の行使自体がある種の代行であるという本質に即した形での規律を設けることが望ましいのではないかと考えた次第でございます。   すみません、長くなりましたが、以上です。 ○久保野委員 ありがとうございます。私は申立権者の指定についての法律構成に関わる部分について発言させていただきます。26ページに代理の可否や指定に必要な能力についての議論がございます。これらにつきまして、結論から申しますと、身分行為に準じる性格であると積極的に位置付けるかどうかはともかくとして、代理になじまないものと捉え、意思能力があれば足りると解するのは、あり得る考え方ではないかと思います。この申立権というのは、恐らく特殊な権限なのだろうと思います。特殊性を明確に分析するのは難しいところがあると思うのですけれども、次のような点から、先ほどのような結論があり得るのではないかと思います。   一つには、特殊性の中身に関わりますが、裁判所が本人の利益の保護について後見的な作用を行うことを促す、そのきっかけを与える権限なわけであり、それは、義務とまでは言わないにしても、本人の生活状況をよく把握しているということが期待され、本人の状況を配慮し得るような人が行うことが予定されているということを、まず、指摘することができると思います。また、代理の可否のところの記述の中で、行為能力の制限は基本的には財産上の行為についてなされるものだという指摘もあるのですけれども、他方で、後見等の制度というのは、本人の心身の状態や生活の状況に配慮する立場の保護者を設ける仕組みという側面もあり、このような側面は、家族や身近な者が置かれている立場、あるいは身分的な関係と、親和的なものだという指摘が学説においてなされているということが、二つ目として指摘できると思います。   さらに、これも学説の議論ではありますけれども、近時の学説の議論では、この申立権について、親族等がお互いに有している配慮し合う関係とに一定の法的な意味を与えて、それに伴う権限を与えているという趣旨の説明をするものも出てきております。 このような諸点から考えますと、申立権者を予め指定しておくということを、純粋な財産上の行為とは区別できるものと位置付けることが考えられるのではないかと思う次第です。 ○竹内委員 私の方は2点でございます。   まず1点目が、1ページの13条1項ですが、先ほど青木委員がおっしゃられたことではありますけれども、4号、これは元々代理権の根拠規定ということで出てきた療養看護というところだと思いますので、取り消すことができる行為の範囲として特出しするのはやや違和感があります。そして、8号を削除して、かつ5号について権利の得喪、変更は入れないということが提案されているのですが、現にリフォーム詐欺というのはございます。ですので、ここがなかなか読み取れないと思います。あと、現代の経済といいますとサービスの提供というのは非常に大きな地位を占めていると思います。ゆえに、例えば、重要な役務提供契約を締結し変更することのような、役務提供という言葉は、特に8号を削除するのであれば、入れた方が私もよいのではないかと考える次第です。   あと、2点目ですけれども、部会資料の21ページ、佐久間委員が御提案された規律ということについては、確かに中間試案の段階では示されていません。ですが、私はこれはあり得ると思いますし、賛成をしたいと思います。といいますのは、部会資料の21ページの5行目から10行目にわたって、それによってどういったことが対処できるかもしれないということが書いてあるのですが、正にこのことは、先ほど最高裁の方からも少し言及がありましたけれども、実務上非常に悩ましく感じているところでございまして、そういう意味でも、それに対処し得る規律としてあり得るのではないかと考えた次第です。 ○野村(真)幹事 ありがとうございます。3点申し上げます。   まず、10ページの本人の同意等についてですが、事理弁識能力を欠く常況にあって同意の意思表示をすることができない場合は代替要件を設けないという仕組みとするのであれば、要同意事項については必要な事項を特定して個別に権限を付与する仕組みとするべきだと考えます。同意の意思表示をすることができない場合に、一定の要同意事項についてパッケージで権限を付与する仕組みを想定しているのであれば、制度利用に当たっては、より慎重な検討が必要ではないかと考えます。   続いて、2点目は21ページの申立権者ですが、任意後見監督人であった者の申立権については、契約の終了から期間を限定することに賛成です。任意後見監督人であった者に申立権を付与する趣旨は、任意後見人が欠けたことを理由として本人保護が失われることへの対応であって、応急的な対応が終わった後は申立権を付与する必要はないと考えます。期間については1年では長すぎるので、3か月程度がよいのではないかという意見が多数でした。実務の担い手の立場から考えますと、終了後に継続的に本人の状況を把握することは難しいですし、また、申立事務に関する報酬をどのように担保するかという懸念があります。任意後見監督人の終了の事務の一環として法定後見の申立てを検討するという制度が実務の観点からは望ましいと考えます。   公正証書による申立権者の指定については、今後身寄りのない人への支援等において活用されるものと思われますので、なるべく利用しやすい制度とする必要があると思います。この指定は、本人のために選択肢を増やすためのものですから、指定された者が申立義務を負わない単独行為として、方式については厳格な方式としないことに賛成いたします。   それから3点目ですが、37ページの保護者の呼称については、小澤委員の御発言にもありましたが、後見人とするのがいいのではないかと思います。後見という語句は成年後見制度という語句とともに広く社会に浸透し、定着していると感じています。保佐人や補助人と言っても通じないけれども、後見人と言うと通じるというのは実務上経験しているところです。後見という語句は、本人の後ろに控えていて手助けをするという意味と思われますので、本人の主体性を尊重する制度の理念にも反しないと思います。 ○星野委員 ありがとうございます。2点申し上げます。   まず、1ページの取り消すことができる行為の範囲の4番の療養看護に関する契約、ここに例示として説明の10ページのところに、本人がサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームという例を出されているのですが、これは解約をして新たな契約をするという代理権の考え方で実務的には可能なのではないですかというところの意見です。   それから、今、野村幹事もおっしゃっていましたけれども、37ページの呼称、用語のところです。私どもは補助という言葉を使うことに対して反対まではないのです。この部会において今までずっと補助の類型をベースに考えてきたというところで、補助という言葉を使うことに反対はないです。ただ、その場合、法定後見とか成年後見とか任意後見、あるいは未成年後見というところで使われている後見という用語はどうなるのかを、もし事務局の方でお考え、見解があれば教えてほしいというところです。 ○山野目部会長 今、部会資料作成の意図についてお尋ねがありますから、事務当局からの発言をお願いしますが、私から一つ御案内があります。部会資料27の第2のところで用語の検討という項目を立てて委員、幹事の御意見をお願いしています。ここのところは本来は、法律案を立案して衆議院又は参議院に提出する事務を行うところの政府において検討、決定すべき事柄であります。部会としては要綱案を示し、そこに新しい成年後見制度の見直しの中味をどうするかということを提示していくことがミッションであります。ですから、法制事項としてこの後に政府が検討する進め方が基本になるということを委員、幹事にも御理解いただいておいた上で、しかしながら、顧みますとこの部会においても御議論いただいた機会がありますから、改めてここまで調査審議が到達した段階にあって、参考となる御意見を伺っておこうという趣旨でお尋ねをしています。事務当局からの発言をお願いします。 ○波多野幹事 仮に補助という言葉を使うときに、未成年後見がどうなるのかということと、任意後見がどうなるのかということだったと思いますが、未成年後見については特段、今回何か変えるということではありませんので、それによって名前が変わることには普通はならないのではないかという気がしております。   任意後見はどうするか、いろいろまた考え方があり得るのかと思いますが、任意後見は任意後見で、委任契約について公的な保護があるということを任意後見と呼んでいるということですので、それが余り変わらないのであれば、呼称は変わらないということもあり得るのではないかという気もいたしますし、法定後見制度の方の呼称が変われば変わるという考え方もあるのだとは思いますけれども、特段そこで何か決め打ちをして我々の方が今の段階で何か申し上げるという状況ではないのかなと思っておりますが、変えなくてもいいのではないかという気もしているところではございます。 ○山野目部会長 星野委員、お続けください。 ○星野委員 ありがとうございます。そうすると、法定補助制度とかそういうことではなくて、呼称が補助人ということになったとしても、法定後見とかそういう名称は残るという理解、ここで説明ということではないとは思うのですが、そういうお考えということですか。 ○波多野幹事 法定後見という言葉は、民法の条文には出てこない、講学上の概念ではないかという気がいたしますので、そこについて我々が何か申し上げることはないのかなと思います。法文に使われておりますのは多分、成年後見という言葉が使われている部分があるのかなと思いますが、そこは未成年後見との対置でありますとか、今回、任意後見が仮に残るのだとしますと、任意後見というような概念が残ることとの関係で、どう整理するかということかなとは思っています。 ○山野目部会長 よろしいでしょうか。   上山委員の御意見を伺った後、ほかに特段の御意見がなければ、小松原関係官から御発言があれば承りますし、その後、花俣委員にお声掛けをしようと考えております。部会資料27を締めくくる段階での私から差し上げるお話はありません。なお、会議の最後のところで、次回会議に向けて御案内を差し上げておく事項がございます。 ○上山委員 ありがとうございます。先ほど部会長から御案内がありましたとおり、用語の問題についてはここで決定できる話ではないということを承知の上で、飽くまで参考意見として2点申し上げておきたいと思います。   先ほど来、現行法における後見という言葉に寄せるか、あるいは参考資料で御提案されている補助という言葉に寄せるかという見方の違いがあったかと思うのですが、私個人としては、むしろ今回の法改正の趣旨は現行の補助の仕組みに寄せていくということが議論の方向性であるように感じていますので、むしろ部会資料御提案の補助と呼ぶことに賛成したいと思います。その上で、被補助人の呼称についても、私もできる限り「被」という文言の利用は避けることが望ましいと思っていますので、例えばそれに代わる用語としては、補助利用者あるいは補助受益者とするような考えも一案かなと思いました。   もう一つ、同じく用語に関してで恐縮ですけれども、精神上の障害という文言についても新しい制度の要件としてはふさわしくない表現であると感じています。部会資料御提案の精神上の理由という表現への変更も一案かなと思いますが、私としては、新しい保護制度の要件に関する規定ぶり次第では、この文言それ自体を全面的に削除することもできるのではないかと感じます。というのも、課題となる未成年であることのみを理由とする制度利用開始を排除することについては、保護の開始要件となる制度利用による保護の必要性の評価の中で受け止めることができるのではないかと考えるからです。   例えば、既存の親権者による保護で足りると思われる通常の場合については、この必要性の判断を通じて未成年者に対する補助の開始を不要とすることで対応できますし、他方、知的障害のために成年年齢到達後も継続的に保護者が必要であり、この人に切れ間のない支援を担保するために、未成年の時点で親権による保護と補助の利用による保護を併存的に認める必要があるような場合についても、未成年であること以外に起因する本人の判断能力の不十分性と補助利用による保護の必要性の判断によって十分な対応が可能ではないかと思います。   したがいまして、あえて精神上の障害あるいは精神上の理由という言語を民法典に置かなくても、未成年を理由とする保護の制度との切り分けは十分にできるのではないかと考えます。本筋と異なるところで時間を浪費して申し訳ありません。 ○青木委員 用語の問題ですけれども、やはり今回、包括的代理権を廃止して大きく制度を変えるというメッセージを伝えるために、どういう用語を使うかというのは非常に重要だと思っておりまして、従来使っている呼称は使わないことにすると、そういう意味で言うと、補助よりも本当は何か別の言葉がいいと思っておりますが、結局のところ今日まで私からも新しい提案ができていない中で、補助という用語にするのが現行の御提案の中では最善ではないかと思います。新しい用語には慣れればいいわけです。逆に慣れないから違和感があるわけですが、今から補助という言葉を10年間使えば、皆さん慣れると思うのです。昔、痴ほうを認知症と言い換えるときにも抵抗感があったわけですが、しかし皆さんが使う中で、今や、痴ほうという言葉を使うことに抵抗感が生まれるようになったという歴史を振り返るだけでも想像が付くことだと思います。我々も、新しい言葉に慣れる、その先頭に立つということではないかと思っています。 ○山野目部会長 何か言語、文化の深みに関わるような発言ですね。   ほかにいかがでしょうか。 ○根本幹事 法制事項ではないということは承知の上で、経過規定等について議論する機会があれば、結局、法定後見にせよ任意後見にせよ、現行制度との連続性がある移行ということについて、現行法と新法が併存するのであれば、任意後見についても任意後見という言葉を使い続けると、現行法における任意後見なのか新法における任意後見なのかというところの区別が付にくいという意味で、任意補助という用語の選択肢もあり得るのではないかと思っております。現行法と新法との関係性を整理した上で、任意後見についても同一の言葉でよいかどうかということは御検討いただければとは願っております。 ○山野目部会長 御意見を承りましたとともに、経過措置を公式の議題とする場面はありません。経過措置は要綱の中には盛り込まれないからです。これは法制事項の一角をなしておりまして、政府において検討されます。しかしながら、本日、用語についてお諮りしているところと同様に、これは社会的にも関心が向けられている重要な事項ですから、委員、幹事に御議論いただく機会は可能であれば設けたいと考えますけれども、それはもう少し今後の部会の運営全体を考えた上でお諮りをしていきたいと考えます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   小松原関係官から御発言があれば、お願いします。 ○小松原関係官 何点かお尋ねしたいことがあります。まず、第1の1(1)取り消すことができる行為の範囲に関して、御意見の中で、まず1号の預貯金の預入れが不要ではないかという御意見と、また、4号の療養看護に関する契約、これらは元々代理の範囲としても考えられていたところで候補に挙がっていたものなので、不要ではないかという御意見があったところですけれども、こちらについては取り消すことができる行為の範囲としては入れないということでよろしいのかどうかということについて、少し皆様にお伺いしたいと思います。   また、取り消すことができる行為の範囲に関しまして、小澤委員から、各条についてはもう不要ではないかと御意見いただいているところです。これは現行の保佐、後見に相当する方については、この範囲以上の行為についても取り消すことができるようにはなっているわけですけれども、今後その見直しをしていくに当たって、これ以外の範囲についてはもうニーズがないのだというふうな理解をしてよいのかというところについてもお伺いしたいと思っております。   また、第1の1(2)の本人同意の要件のところに関しまして、保護の必要性に関するところですけれども、佐久間委員や根本幹事から、例えば、普通は考えられない権限の申立てがあった場合や、専ら本人以外の利益を図ると認められるときには与えないとする、審判をしないこととするというような御提案があったところだと思うのですが、それらは保護の必要性の要件では読み切れ得ないというお考えなのかどうかというところについて、お伺いしたいと思っております。   また、根本幹事から、本人の生命、身体、財産等に著しい不利益があることを要件とすることを本人が同意の意思を表示することができない場合には加えるということについて、御意見いただいたところなのですけれども、要同意事項の必要性についてはどのような判断をされるのかというところについてお伺いしたいと思います。   また、根本幹事から、申立権者について権限の濫用が考えられることから、その範囲について絞ることがよいのではないかというような御提案があったところですけれども、こちらもやはり保護の必要性では読み込めないのかどうか、申立権者は飽くまでも申立てをするにとどまるものであって、必要性の審判はまた別途されるのだと思うのですけれども、そちらで読むことができないのかどうかというところについては、どのようにお考えかというところについてお伺いしたいと思います。   取消権者と同意権者を分離するかどうかというところに関しまして、山城幹事から、分離するということも考えられるのではないかという方向の御意見もあったところです。これは実務上のニーズとしてはあるのかどうかというところについて、是非実務御経験の方から御意見を頂戴できればと思います。   まとめて申し上げましたが、私からは以上でございます。 ○山野目部会長 現時点で御意見のある方の御意見を伺いますが、簡潔に御発言いただきますようにお願いいたします。いかがでしょうか。 ○佐久間委員 私が申し上げた点で、普通に認定し難い事務のための権限申立てがあった場合に、必要性の要件の中で読めるのではないかとおっしゃったと思うのですが、私は必要性の要件を積極的に立てないという立場を主張しておるわけでして、必要性を立てず、そのような権原は不要だ、あるいは相当でないから審判しないということにする、という立場です。小松原関係官が今おっしゃった例はそこに含められる、だから私の意見は、青木委員や根本幹事、根本幹事ではないかもしれない、どなたかがおっしゃったようなことについて、ほぼ同様の判断はできるけれども、積極的に必要性要件を表に出すのではなく、審判をしない要件という形で立てた方が望ましい、ということです。 ○根本幹事 私からは3点です。端的に申し上げます。佐久間委員御提案の除外との関係で、私は必要性要件を立てるという立場になるわけですけれども、保護の必要性の中で読み込めると思っています。ただ、更に本人に対して不当な影響がある場合というところについて、より慎重な判断を裁判所に法制上促すという考え方もあってもよいのではないかということで申し上げています。指摘の中で申し上げたとおり、運用上の問題として裁判所が慎重に判断をされるということも、それはあり得るとは思っています。   2点目の要同意事項との関係につきまして、本人の同意がない場合に、13条のリストの全てを付与するのかどうかという議論とも関係するのだろうと承知をしておりまして、全ての13条のリストを付与するという場面がどういう場面なのかというのが、恐らく次回の部会で議論されることだとは承知をしていますので、そこでの議論になると思っています。   申立権者の濫用のところにつきましては、おっしゃるように実体的には保護の必要性で判断をされるところだとは思うのですが、関係者も御本人も含めて、審理負担を掛けるということ自体が濫用だと思っておりまして、実体上、させないということが必要ではないかということで申し上げています。 ○青木委員 同意権だけを付与して取消権を付与しないでほしいというニーズがあるかどうかは、これまではそういう制度ではなかったので、実務的なニーズがあるかについては何とも言えませんけれども、支援者の中には、そうした制度にして、本人によく考えてもらい、本人が自ら取り消すというだけで第三者は取消しはできないとする方が本人さんの支援としてはいいのではないかという御意見があるのは事実だとは思っています。   それから、要同意事項に関する必要性については、言葉を言い換えますと危険性だと思うのですけれども、本人さんが既にだまされた経験があったり、だまされそうになったりということがある場合に、現実的にその事項については今後も繰り返す危険性が高いといいますか、特に必要な場合に当たると思っていますが、一方で御本人さんがこれから施設から出て地域で暮らしますといった場合に、まだだまされた経験はないのだけれども、今後はそういうリスクがあるかもしれないから、念のためにそういうリスクに備えておきましょうという、そういったレベルの必要性というのもあると思いまして、その違いに基づき、本人の同意がある場合と同意の意思が表示できない場合では、区別できるのではないかと考えています。 ○星野委員 同意権と取消権が同一の人であるのか分けるか、そのあたりの議論のところで、社会福祉士が関わっている事案というのは財産額が多額であるというケースはもちろんあるのですが、実務上で考えると、先ほど本人の意思決定支援のところにどう関わるかという話もありましたけれども、前回の議論で民法858条に本人の意思を尊重するというところのかなり強い義務を検討しているところから発言します。取消しについても、やはり本人の同意があるのかないのかというところは十分に判断されるべきところであり、私の個人的な見解ですが、会の中で合意しているわけではないのですが、権限行使する人を分けるという必要性がそれほどあるのかどうかは実務的にそこはよく分からないところです。そういった本人の意思を尊重するチームとして意思決定支援に関わっていく、本人の同意を基盤にしながら取消しをすることも当然あると思いますけれども、そういうことを現在でも行っているのではないかと思っています。 ○山城幹事 1ページ目のリストにつきまして、次回以降また検討する機会があるということであればよいのですけれども、ここにあるもののほかに取消しをすることができる行為を加えることは、必要性があるのであれば妨げられないのではないかと思います。先ほど来の議論で、このリストには読み込めないけれども取消しの対象としなければならない行為もあるのではないかという御指摘もありましたので、その点について、実務的なニーズがあるかという観点からの御発言をお聞きしたいと感じました。 ○山野目部会長 ほかにいかがでしょうか。預入れについて御発言がありませんでした。普通預金と当座預金の預入れは、それほど神経質になる必要がないとも感じますが、定期預金の解約は法律行為であることに加え、お金の動きを止めて固定するという、経済的にも重い側面がありますから、何か考えなければならないかもしれません。山下幹事からも、会議の外でもよいですから事務局の方に御意見をお寄せいただきたいと望みますし、事務当局の方でも検討します。また、山下幹事以外の委員、幹事からも御意見お寄せくださるようにお願いいたします。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは、花俣委員にお声掛けをします。 ○花俣委員 ありがとうございます。要綱案のたたき台作成に向けた検討、後半の議論に関しては、非常に先生方、熱心な御議論を続けていただきました。拝聴するだけで精一杯というところですので、私の方から建設的な意見等を申し述べるには至りません。御容赦ください。 ○山野目部会長 花俣委員、長時間お付き合いいただいてありがとうございます。   それでは、部会資料27についての審議をお願いいたしました。   次回の会議などにつきまして波多野幹事から案内を差し上げます。 ○波多野幹事 波多野でございます。本日も長時間にわたって御審議いただきましてありがとうございました。   今後の予定について御説明いたします。次回日程は、令和7年11月14日金曜日、午後1時15分から午後6時まででございます。場所は東京地方検察庁の総務部教養課会議室1531号です。   次回は、パブリック・コメント後のこれまでの部会での御議論を踏まえまして、要綱案のたたき台に向けた検討として、法定後見の開始の要件及び効果、法定後見の終了、保護者に関する検討事項、法定後見制度に関する訴訟法及び手続等の規律について取り上げた部会資料を作成してお送りする予定でございまして、それらの事項について御議論をお願いしたいと存じます。 ○山野目部会長 波多野幹事からも案内を差し上げましたけれども、次回会議の調査審議において、本日までお願いしている調査審議よりも深度の段階を上げることになります。段階を上げることによって、更に要綱案の姿に近付いていくということになります。第26回会議で私から発言をして御案内を差し上げたとおり、事理弁識能力を欠く常況にあるということを要件として包括的あるいは広範な代理権を与えるという仕組みは採用しないという方向を示唆申し上げて、これについて委員、幹事から特段の御異論がなく、あるいは賛同を頂いている状況でここまで調査審議が進んできております。その方向で法定後見の制度の全般を見直すという内容のものを次回部会資料に盛り込んで皆様に御提示申し上げ、改めてそれを手にして御審議をお願いするという段取りになります。   本日の会議から間が10日間しか空いていない中で、内容的にも重いことですし、恐らく部会資料としてもたくさんのページ数を要するものになり、委員、幹事にも御負担をお掛けいたしますけれども、重要な段階に向かってきておりますから、何とぞこれまでにも増して委員、幹事の御協力、御支援をお願い申し上げるものでございます。   本日予定された調査審議に係る事項の全てを了しました。   法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第28回会議を散会といたします。どうもありがとうございました。 -了-