法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第32回会議 議事録 第1 日 時  令和8年1月13日(火)自 午後1時15分                     至 午後4時44分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱案(案)(1)          第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第32回会議を始めます。   本日も御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございます。   会議の出欠関係について御案内を差し上げます。本日は佐久間委員、櫻田委員及び松井委員並びに家原幹事、海老名幹事及び山下幹事が御欠席でいらっしゃいます。   本日の審議に入ります前に配布資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○波多野幹事 本日は新たに部会資料としまして部会資料33-1及び部会資料33-2を配布しております。資料の内容につきましては後ほど御審議の中で事務当局から御説明を差し上げます。   審議に先立ちまして若干御説明申し上げますと、部会資料33-1は、最終的にこの部会で要綱案として取りまとめをしていただく対象となる部分でございます。いわゆるゴシック部分でございます。部会資料33-2は、部会資料33-1の本文、(注)、いわゆるゴシック部分に主に部会資料31、32からの変更部分について説明を付したものでございます。部会資料33-1及び33-2について本文、(注)、ゴシック部分に下線を引いている箇所は、基本的に前回の資料からの修正、変更をした箇所でございます。 ○山野目部会長 本日の審議に入ります。お配りしているものは部会資料33-1及び33-2でございますけれども、部会資料33-2の方をお取り上げいただいて議事を進めることにいたします。部会資料33-2の方に説明が付されておりますから、そちらの方を用いることにいたします。   初めに、部会資料33-2の第1の1及び2の部分につきまして審議をお願いいたします。事務当局からこの部分についての資料説明を差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料33-2、第1-1及び2について御説明いたします。   部会資料33-2、第1の1では、法定後見制度に関し、補助の開始の要件及び効果等について、1ページから4ページまでに掛けてゴシック体のとおりの提案をしています。部会資料31からの変更箇所には下線を引いており、内容面での修正としては、5ページから7ページに掛けての説明部分のとおり、補助人の同意を要する旨の審判をすることについて同意の意思を表示することができない者を対象として提案していた、取り消すことができるものとする旨の規律を設けないという修正がございます。修正の理由としては、この規律を設けることによって制度が複雑となり、審判実務において複雑な手続となることが想定されるとのデメリットについての指摘を踏まえたものです。この修正に関連し、2ページの(3)補助人の同意を要する旨の審判について、③にただし書を加える修正を行い、補助人の同意を要する旨の審判の対象者に、当該審判をすることについて同意の意思を表示することができない者も含むこととしています。   そのほか、補助開始の審判と、これと同時になされるほかの審判との関係の明確化、審判の時点に応じた規律の書き分け、特定補助人の地位の取得方法の明確化の観点から、形式的な修正を行っています。   また、ゴシックの修正には関連しませんが、7ページからの3では、事理を弁識する能力を欠く常況にある者の概念の整理の補足として、当該能力を判断する際に着眼する事務について、部会資料30では、社会生活上、人が通常経験する事務のうち主要なものについてとしていたところ、主要なものについてとの語を含めない整理を改めて提案しています。   9ページからの4では、特定の行為の特定の方法と保護の必要性について、現行制度の下において実務でも用いられている目録の程度には特定する必要があると考えられること、保護の必要性について、改正後は本人が審判をすることについて同意の意思を表示することができない場合にも特定の行為について保護の必要性の判断が必要になることを踏まえ、保護の必要性を検討する際のアプローチとして考えられる方法を各審判ごとに記載しています。   17ページの5では、特定補助人を付する処分の審判を設ける場合には、実際の利用実績について確認することができる必要があるとの前回の部会における指摘を記載しています。   17ページ以降の第1の2、審判等の取消しの規律は、形式的な修正のほか修正はございません。 ○山野目部会長 説明を差し上げた部分について御意見を承ります。 ○小澤委員 ありがとうございます。御提案のとおりで異論はありません。取り消すことができるものとする旨の審判の規律を設けないことで御整理を頂き、実務における取扱いも分かりやすくなったと思っています。ありがとうございました。   1点だけ、御要望ということになりますが、特定補助人については、これまでになかった概念になりますので、制度理解のためには分かりやすい説明が必要だと考えております。特に補助人と特定補助人の関係性についてもう少し説明を加えることで、制度利用者を含め、広くこの制度を御理解いただけるようにお取りまとめいただければと思っています。 ○竹内委員 33-2の1ページ目ですけれども、(2)の①で表現ぶりとして、「本人が、特定の者を補助開始の審判をすることができる者として指定する」とあるのですが、ここは審判を請求することができる者を指定するということなのではないかと思います。審判をするのは家庭裁判所なので、請求をする人を指定するのではないかと気になったところです。   もう1点、次の2ページの④で、補助人が同意をしないために家庭裁判所に同意に代わる許可を求める場合に「補助開始の審判を受けた者の請求により」とありますところ、今回、補助人の同意を要する旨の審判に統一したということで、その場合、補助開始の審判を受けた方というのは意思を表示することができない方も含まれ得るということになります。そのため、④の請求権者を補助開始の審判を受けた者だけにしてしまって問題が生じないかどうか、生じなければよいのですが、というところが気になりました。   以上、2点です。 ○山野目部会長 文言の整理に関わる御指摘を竹内委員から頂きました。事務当局から所見があれば伺います。 ○波多野幹事 1点目に頂きました(2)①の書きぶりについては、今の竹内委員の御指摘を踏まえて、修正するかどうかも含めて検討させていただきたいと思っております。   (3)④の御指摘につきまして、どちらかというと書きぶりの部分もありますが、恐らく実質面も含んでいる部分かなという気もいたします。ここは飽くまでも補助開始の審判を受けた者が行為をするについて、補助人の同意を求めたときに、補助人が同意をしないときの手当てをしている規律だと思いますので、少なくともそのやり取りができる場面が想定されていることは変わっていないのかなと思っていまして、特段前回から、取り消し得る審判をやめて、こちらの補助人の同意を要する旨の審判の方に、いわゆる審判開始についての同意の意思表示をできない方を含めるとしても、ここの規律の実質を変えるということではないのかなと思って、修正はしなかったというところでございます。 ○山野目部会長 引き続き伺います。 ○上山委員 ありがとうございます。基本的に御提案には反対しないという前提で、2点申し上げたいと思います。   まず、第1点目ですが、2ページ、ゴシック部分の②、13条1項各号の第4号に関してですけれども、この文言として居住建物の大修繕という表現が用いられているかと思います。現行の民法859条の3、いわゆる家庭裁判所の許可に関する規律の中で、居住の用に供する建物という、非常に似通ったというか同質と受け取られ得る文言がございますので、この点との関係で文言の整理について御検討いただいてもよろしいのかなと感じました。859条の3については、本条が本人の身上面の保護の観点に基づく代理権の制限であるという趣旨から、基本的に本人の生活の本拠という要素が必要であるとされていて、例えば、本人が常時住むわけではない別荘などについては家庭裁判所の許可の対象にならないという理解が一般的かと思います。それに対してこちらの4号については、必ずしも別荘等を排除するという趣旨ではなかろうと思いますし、その辺りの射程も含めて、少し文言の整理について御検討をお願いできればと感じました。規定の内容自体に反対するという趣旨ではございません。   2点目ですが、少し飛びまして17ページ、18ページで記載されております補助開始の審判等の取消しについてです。これも御提案に反対ということではないのですが、このゴシック部分だけの表現からすると、いわゆる特定補助から通常の補助に移行するということは恐らく御提案としても排除されていないかと思うのですけれども、この部分についてやや不明瞭なところがあるのではないかと感じました。具体的には18ページの⑥のところで、特定補助人を付する処分の審判及び代理権を要する旨の審判を全て取り消す場合には、家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければならないという書きぶりになっていて、御趣旨は理解できるわけですが、仮に特定補助人を付する処分がなされていて、それ以外に特定の法律行為に関する代理権の付与についての審判がなされていないという事案において、特定補助人を付する処分の審判を取り消した場合、この文言だけから見ると、補助そのものが終了してしまうという可能性があるようにも読める気がいたします。この辺り、そういう趣旨ではないということであれば、ゴシックではなく説明の部分で差し支えないかと思いますが、その旨を明らかにされた方が誤解を生まないのではないかと感じました。 ○山野目部会長 上山委員からお話しいただいた二つの点のいずれも、最終的には文言の整理の問題でありまして、事務当局の方において次回までに検討することと思われますけれども、その検討を進める上でも、上山委員の内容についての御意見を承っておきたいと考えます。前者の方は、別荘であってもリフォームの契約をする取引は大事な事項であり、やはりいわゆる13条1項各号リストに含まれるという実質的意味で理解します、というアプローチで上山委員から御意見を頂いたものと響きましたけれども、この理解で誤りはありませんでしょうか。 ○上山委員 はい、私はそのように理解しております。新4号の力点は重要な法律行為といえるかどうかにあり、必ずしも本人の身上面の保護の観点は必須の要素ではなかろうと思いますので。 ○山野目部会長 ありがとうございます。それから後者の点は、特定補助人を付する処分の審判を取り消した後、同一の機会に要同意事項を定める審判及び代理権を付与する旨の審判の双方又は一方の審判をする場合には、補助開始の審判を取り消す必要はなく、実質的には特定補助人を付する処分を受けていた状態から、そのような特殊な状態ではない通常の補助の状態に移行するという進行があってよいというお考えでお話しいただいたものと理解しますけれども、この理解で誤りはないでしょうか。 ○上山委員 はい、今の部会長の整理のとおりでございます。   第1点目について補足を致しますと、居住建物という、例示だとは思うのですけれども、そこにそもそも限定的な意味合いがあるのかどうかというのは少し気になるところでございます。ここは元々現行法における大修繕の文言をいかそうという形で入れられたところかと思いますので、仮に重要な法律行為について同意が必要なのだという趣旨にとどまるのだとすると、必ずしも建物について居住建物の大修繕に限定されるのかという点も一つ議論の余地があるのかなと、今お話を伺って感じたところでございます。 ○山野目部会長 よく分かりました。上山委員の御意見を踏まえて、事務当局において実質にわたる観点も含めながら文言の整理をすることにいたします。お寺の庫裏を大修繕するなどという話が出てくると、あれは居住の用に供する建物であろうと理解していますが、見方によってはお坊さんの事務所という側面があり、難しいという気がしますけれども、恐らく民法の法文に庫裏をどうするとは書けませんから、ここでの議論などを参考にしながら最終的に文言を整理した上で、あとは事案と向き合った裁判所、関連する実務関係者がその処理に当たってもらうことになるでありましょう。上山委員、どうもありがとうございました。   引き続きお話を承ります。いかがでしょうか。 ○野村(真)幹事 部会資料で御提案いただいている案に賛成です。1点申し上げますと、部会資料17頁に記載があるとおり、特定補助人を付する処分の審判については、事理弁識能力を欠く常況にある者との認定を厳格に行い、かつ必要性を要件とすることから、現行の後見類型とは異なり、この制度が利用されるのは例外的かつ限定的な場面であるということを利用者に周知することが必要と感じております。 ○根本幹事 上山委員からの1点目の御指摘との関係で、4号に居住という文言をなぜ入れたのかのこの部会での審議の経過が私も全て追い切れていないのですけれども、平成11年の立法担当を見ても、居住用不動産等のという形で解説も書かれておられて、請負契約を締結することをいうと整理をされていまして、例えば、上山委員から御指摘があったような別荘もそうかもしれませんし、若しくは、例えば収益不動産をお持ちの御本人であれば、その収益不動産の修繕などを何かなさったりするということも、もちろんあり得るということだとは思います。居住という文言をもし削っても差し支えないのであれば、逆にここは居住と限定をする必要はないと私自身も思いますので、御検討いただければと思うというのが一つです。   それから、部会資料33-2の7ページ以降の事理弁識能力を欠く常況にある者についての概念整理の内容については、この整理で私もよいのではないかと思うということを申し上げた上で、これは部会ではなくて今後の学術的な検討ということになるのかもしれませんけれども、事理弁識能力を欠く常況という概念については今後も非常に重要な点になると思いますので、念のため申し上げておくということにいたします。今回の解説の中にもありますように、日常生活に引き付けていくということについてはこの整理のとおりだと思う一方で、平成11年との比較で考えた場合に、いわゆる法律行為、あらゆる法律行為について意思無能力であるという解釈では文言上はないということも今回の整理ではいえるのだと思います。それが実質的にどの程度違いがあるのかということはさて置き、そこに違いがあるということで、その違いが何であるのかということについては引き続き、実務もそうかもしれませんし、学術的にも検討されることが必要であると思います。そのことを前提として、今回の解説の内容でよいのではないかと思うということになります。   あわせて、解説の中でもそのような観点で記載していただいているとは思いますけれども、平成11年のときのように、元々法制上予定されていた範囲と実務上の適用範囲が徐々に拡大されてきたという今回の改正に至る経緯に照らせば、今回についてはこの事理弁識能力を欠く常況という概念について、今後はその広がりがあるような運用にはしないということは、これは家庭裁判所、我々実務家、双方含めて、この部会のコンセンサスとして強調されるべきことであるということは是非確認をしておきたいと思っています。 ○山野目部会長 根本幹事が前半でおっしゃった事項は、上山委員のさきの御発言で1点目にお話しを頂いた点と共通の論点でございます。お話ししているように、いわゆる13条1項リストの4号の居住建物の概念につきましては、事務当局において引き取った上で、文言の精査の観点から改めて次回の部会資料として調えてお諮りをすることにいたしますけれども、大きな心構えとして、いわゆる13条1項各号のリストの扱い方というか、部会の段階でいうとあれをどのような心構えで作るか、また、法律になった段階においてはどのような理解で運用していくかということに関して申し上げれば、これは1号、2号、3号と挙がっておりますけれども、概念の重複を厭わないという前提で書いております。法制的には、このような書き方ではなく、重複するときには括弧で何号に当たるものを除く、というふうな厳密な文言の注意書きを入れて、重複がないように調えるというふうな法制表現の仕方もあります。ここはその方法を採っておりません。したがって、ある行為がどれか一つの号にのみ当たるという意味合いでお出ししているものではなく、複数の号にまたがることが十分に考えられますという前提で御理解を頂きたいと考えます。   なぜそのようなものとしていわゆる13条1項各号リストを出しているかといいますと、これはもちろん、特定補助人を付する処分がされたときにはリストに挙がっているものはすべからく取消し可能な行為になるという効果に結び付いているということもありますけれども、そのほかに、特定補助人を付する処分の局面でなくても、このリストを用いながら、さらに、本日の部会資料に入れておりますけれども、個別の事案において補助人、特定補助人ではない漢字3文字の補助人に、要同意事項の定めをする場合にも、このリストを用いながら、あるいは参考にしながら実務を運用してもらうということが分かりやすいという局面があるものではないか、実務上実地に用いる場合の道筋を与える機能としてもこのリストが用いられるということが想定されています。   その観点を意識しながら委員、幹事においてもここまで御議論を頂いてきたと理解しておりますけれども、今、根本幹事から記憶が少し薄れてきていてというお話でありました。私もそれほど記憶が明瞭なわけではありませんけれども、想い起こすと、恐らく林委員が、業者がやってきてリフォームに誘われ、その契約をするという話題を御提供なさって、それはきちんと注意して見ておかなければいけないではないかというお話を頂いたところを踏まえ、ここのところの議論が進んでまいりました。あのときの林委員の御発言の中で、厳密に居住用建物でなくてはいけないというふうな限定をおっしゃっていたものではありませんけれども、お話の雰囲気が消費者被害事案的といいますか、そのような背景を連想させるようなお話しぶりで、この論点を提起していただきました。そうだとすると恐らく、別荘をどうするかはともかくとして、普通に住んでいる自分の家にやってきた業者がインターフォンをピンポンと鳴らして、お宅の屋根は相当傷んでいますよと言われて、傷んでもいないのにリフォームの契約をしてしまうというようなイメージで、そのような事態は何か対処しなければいけません、というようなお話があったわけで、これから新しい制度が始まっていくときに、そういう行為は問題であるから、そこを少し重点的に見ていこうという観点が、林委員のみでなくて恐らく委員、幹事、皆さん共通しておられるでしょうから、そのような観点は少し注意していこうということであったものと感じます。想定されている建物は普通に言うと居宅でしょう、ということになりますから、居住建物という言葉がここで限定的な意味合いで用いられていると思われます。   しかし、お話ししているように、居住建物のことだけ注意して、ほかのものはどうでもよいという含意まであるものではありません。事業用の建物を所有している本人がうっかり不適切な請負契約を結んでしまうということだって、それは問題だということになるわけでありまして、それはむしろ5号の不動産に関する権利の得喪に関わる行為に当たったり、それから役務の提供に関しての4号の後半の部分に該当する可能性があったりして、そこは全然網が掛かっていないというわけではありませんから、このような振合いに留意して引き続きそこは見ていくということになります。   ここまでの理解のところを共有しておいていただいた上で、あとは事務当局の方において文言を考えてもらいましょう。この居住と建物という概念の繋ぎ方は、本気で考え出すと煩わしいです。上山委員に既に御注意いただいたように、今までの居住用建物の処分の家庭裁判所の許可のところの文言との関係をどうするかというようなこともありますし、それから、一番難しさがよく分かる局面は、ここから少し距離がありますけれども、借地借家法の23条の文言です。あそこに専ら事業の用に供する建物、括弧して居住の用に供するものを除く、という文言が出てきます。その文言が伝えようとした内容はかなり含蓄があるわけでありまして、ああいう難しい局面まで念頭に置きながら、ここの4号をもっと精密に書いていこうというようなことをあとひと工夫してみてもいいですけれども、そこまでぎりぎり精密にする話か、というところもよく分からない部分があります。結局漏れてしまったとしても4号の後半で受け止めたり5号で受け止めたりすることが可能でありますから、むしろここは実務上使いやすいように、イメージしやすいような、余り複雑でない文言にしておくというのも一つの行き方であるかもしれません。   それから、根本幹事が後半の方でおっしゃった、事理弁識能力を欠く常況という観念の意義がどのようなものであるか、ということについての問題提起を頂いておりまして、前回部会の審議を受け、ここのところはゴシックの文言は改めておりませんけれども、説明ぶりについては今、根本幹事に確認していただいたような変更をしております。説明ぶりの変更をしましたけれども、部会資料としては特段、前回から考えを変えたものではありません。前回の議論が、御記憶だと思いますけれども、事理弁識能力を欠く常況とは何かということをめぐって、取り分け人が社会生活上、通常経験する事務のうち主要なものという、主要なものという言葉が入っているところをめぐって若干蛇行、ジグザグの論議が交わされた経緯がありました。あそこのところの実質内容は委員、幹事の間で念頭に置いているものに本質的な隔たりはないし、部会資料を提示している事務当局の理解との間においても隔たりがなく、前回審議の際もなかったと理解していますけれども、ただし、主要なものという言葉が、恐らく理解の隔たりということではなく、誤解を招くものであったと考えます。   主要なもの、プリンシパルな(principal)ものなのですけれども、プリンシパルなものという言葉を聞いて人々が何を思い浮かべるかというと、前回の典型的には山下幹事の御発言でしたけれども、人が暮らしていく上でごく普通に行われる事務を指すものでしょう、暮らしは大事ですら、それが主要なものでしょうという感覚の御披歴がありました。ところが、この主要なものという言葉のところについて、ここは少し批判しなければなりませんという御意見をおっしゃった委員、幹事は、むしろ大事なもの、重い(heavy)取引であるというふうな意味合いで理解したと思われます。言葉は難しくて、主要なという言葉で、一方では外来語というか英語の表現に直せばデイリー(daily)になりますけれども、そういうものを伝えたかったところが、デイリーでは通じていませんでした。仏教の言葉に日日と書いてにちにちという言葉がありますけれども、まさに日日の日日の事柄がほとんど理解してできなくなってしまったような状態がほぼずっと続いているという状態が事理弁識能力を欠く常況ですと伝えたかったものです。主要なという言葉が入ったことによって、議論の錯綜が生じました。   そうであるとすると、主要な、の文言が、誤解を招いてまで絶対になくてはいけない言葉ではありませんから、主要な、という語を外し、今日改めて御議論いただいているような仕方で、事理弁識能力を欠く常況とは何かということについて、なるべく委員、幹事の間に理解の齟齬、行き違いがないように調えていこうということで、部会資料として説明ぶりの書き方を改め、本日お諮りしているということになります。根本幹事におかれてもそこのところをお読みいただき、前回からここのところの書き方が変わっていますねということで御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。   引き続き御発言を承ります。いかがでしょうか。   33-2の第1、1及び2の部分については、ひとわたり御意見を頂いたと受け止めてよろしいでしょうか。それでは、ひとまず先に進めます。   続きまして、部会資料33-2の32ページ以降、第1の3以降の部分について御審議をお願いします。この部分についての部会資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料33-2、第1の3以降について御説明します。   18ページから24ページ目までは、ゴシック第1の3から9、第2の1から4についての説明であり、法定後見制度の補助人の規律等に関するものですが、部会資料31からの内容面における修正は基本的にはございません。   23ページの第2の3として、相続の承認又は放棄をすべき期間の規律を新たに記載しておりますが、内容は従前部会において議論されていたとおり、事理を弁識する能力を欠く常況にある者との概念を維持し、その者について保護の規律を設ける場合には、現行の成年被後見人について設けられているものと同様の規律を設けると整理されていたことを、改めて要綱案の中にも入れることとして記載しているものです。なお、当該期間については熟慮期間の伸長の規律において対応することとし、現行の規律と異なる期間とはしないことを提案しています。   部会資料33-2の25から26ページに掛けて、意思表示の受領に関する規律については形式的な修正のみです。   26ページからの「第4 任意後見制度」では、これまでの部会における議論を踏まえ、28ページの(2)任意後見監督人の選任の項における④のゴシック部分記載のとおり、例外的に任意後見監督人を選任しないことを認めることにより、任意後見開始の審判を設けることとし、ゴシック第4の「1 定義」では、任意後見契約の定義をそれに対応して定めることとし、27ページからの「4 任意後見開始の審判及び任意後見監督人の選任」以下においても同様に、任意後見開始の審判を設けることに伴う規律の整理をしております。   27ページの第4の3では、予備的な任意後見受任者の規律に関し、ゴシックのとおり、これまでの部会における法的問題の整理を踏まえ、不開始の合意や任意後見開始の審判の障害事由を規律することによって対応することを提案しています。   32ページからの「第5 成年後見制度に関する家事審判の手続」は、基本的に修正点はありませんが、24ページの23行目の6、32行目の10、35ページの16行目の4及び20行目の7は、いずれも取り消すことのできる行為の定めの審判という記載としておりますところ、この審判は部会資料33-2の3ページ19行目、ゴシック第1の1(4)③における特定補助人を付する処分の審判を受けた者についてされる審判を意味するものですので、この点を補足いたします。   そして、37ページからの「5 任意後見契約に規定する審判事件に係る家事審判の手続」についても、任意後見開始の審判を設けることに伴う規律の整理をしております。   なお、前回部会において、事理を弁識する能力を欠く常況にある者の認定に際して鑑定を必須とすべきであるとの御意見や、それに対して鑑定を必須することに対する反対の御意見があったことに関して、32ページから33ページのとおり、規律として鑑定を必須とすることではなく、医師二人以上の意見を聴いて、明らかにその必要がないと認めるときとの鑑定例外の要件についての運用上の工夫によって、認定の正確性を担保することを提案しています。 ○山野目部会長 御説明を差し上げた部分について御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。いずれも御提案のとおりで異論はございません。これまでの議論を丁寧に御整理いただき、ありがとうございました。 ○青木委員 19ページの解任の点なのですけれども、ここで解任の請求をできる者には、補助開始や補助取消しのことができる、いわゆる公正証書で指定された者は含まれていないということになると思うのですが、指定された者がここには含まれない趣旨について、改めて事務当局としてのお考えがあれば確認をさせていただければと思います。ご本人が補助開始の請求権者を親族以外の第三者に指定をしたいという際のご本人の意向の中には、補助の開始だけでなく、必要がなくなったときの取消しも検討してほしいという趣旨や適切な補助人が担当してもらえることも注視してほしいという趣旨も含まれる場合があるは思いますところ、それらについては、指定する者は権限がないことにするということについて説明が必要だと思ってるためです。 ○波多野幹事 青木委員から御質問というかお話があった点につきましては、恐らくこれまでの部会で、開始の場面というのは、少なくとも私の理解では職権で開始をするというものが法定後見はありませんので、そういう意味では親族とか一定の請求権者しかないという世界の中で、御本人を取り巻く状況を踏まえて、本人が指定する者に法定後見の開始やほかの代理権付与等の審判をする契機としての者を認めていこうというお話で議論がされてきたのかなという理解をしておりました。解任の請求に関しては、現行法上もいわゆる職権という規律が入っておりますので、場面が必ずしも一緒ではないのかなと思っておりまして、その議論が解任の場面まで及ぶというふうな理解まではしていなかったというのが現時点での我々の理解でございます。 ○山野目部会長 青木委員、お続けください。 ○青木委員 もう1点、確認なのですけれども、いわゆる市町村長による開始請求の根拠が福祉三法に規定をされておりますが、必要性がなくなった場合の取消しの申立てや、交代することが本人の利益になる場合の解任の申立てについて、民法では規定はおかないわけですけれども、福祉三法において、市町村長に、必要性解消の取り消しや交代の趣旨での解任の請求の権限を盛り込むか否かについては、民法としては、判断はしていないという理解でよろしいかということについて確認させていただければと思います。 ○波多野幹事 私が答える立場なのか、若干難しい質問のような気もいたしますけれども、少なくとも民法の中にその部分の規律はされておりませんので、御質問されている点について民法側で何かというものではないのかなというのが私の理解ではありました。 ○山野目部会長 青木委員の御質問は、要綱案が現在お諮りしているゴシックの文言のとおりにこの部会の決定となったときに、市町村長の申立てによる補助の終了等を肯定もしていなければ否定もしていないという理解ですね、とお尋ねいただいたものと理解します。それについては波多野幹事がお答えを頂いても別に越権ではないと考えます。そこで、特に肯定も否定もしていないということをおっしゃったものです。青木委員、お続けください。 ○青木委員 そうであれば、必要性解消による取消し、及び交代の趣旨での解任についても、別途、市町村長請求を規定する福祉三法において検討していただくということが可能という理解で受け止めておきたいと思っております。 ○山野目部会長 今の論点について、青木委員におかれて何か御意見があれば、どうぞ。御案内しているように、ここで決定する事項の範囲に入りませんけれども、しかし意見をおっしゃっていただくことは妨げられませんし、議事録に残れば、それは関係する政府の部門や審議会等において参考にしてもらえますから、御意見があったら、どうぞおっしゃってください。 ○青木委員 他にも、福祉関係法規について意見がありまして、後で申し上げようと思っていましたが、この論点に限って申し上げておきます。市町村長申立てのきっかけが、他に申立権者がいないということで申立てをするのですが、それは「福祉のために特に必要がある」として申立てをするわけですから、現在の第二期基本計画において運用として求めらテイル後見人等が選ばれた後の本人に対する支援についても、チーム形成支援、チーム自立支援ということも含めて、市町村・中核機関を中心とした権利擁護の地域連携ネットワークの中で見ていこうという考え方からすれば、制度利用の必要性がなくなったという場合に関しても、市町村長申立てに基づいて開始した事案については評価をして場合によっては取り消しの申立てができるようにすることが望ましいのではないかと思います。また、交代の趣旨での新たな解任事由につきましても、市町村長申立てをして選任された補助人が必ずしも現在の本人のための利益になっていないような場合について、市町村長から申立てをして解任の検討を頂くということができるようにすることも、本人の福祉のためという観点では望ましいのではないかと思っております。したがいまして、福祉三法において、この二つの場面について、市町村長に申立て権限を与えることについては積極的に検討いただいてはどうかというのが私の意見になります。   特に、身寄りがない方を想定しますと、身寄りがなく、本人申立てもできないために市町村長申立てをすることが多いわけですけれども、その後に、必要性の解消や交代の趣旨の解任の必要性が生じたときに、本人自ら申立てをする力がある方についてはそれを支援すればできるのですけれども、そうでない方の場合については職権を促す以外には方策がなくなるということになりまして、そういった観点からも市町村長に権限を付与しておく必要性があるのではないかと思っています。 ○山野目部会長 重要な御意見をお述べいただいて、随時の意見交換をお願いするという趣旨で青木委員に御案内しましたから、今の御意見を承って、関係方面において参考にしてもらえると期待しますとともに、自由な議論ですから、私から少し青木佳史委員にお声掛けをしますけれども、恐らく市町村長申立ては、今お話しいただいたように現行法は一方通行になっていて、往復でいうと往路のところだけ、開始のところだけ申立てができますとなっていて、現在の制度において復路といいますか終了のところの申立て、解任も含めてですけれども、それは市町村長の権限とはされていません。それは現時点において既に論点ですけれども、ただし、その論点が余り顕在化してこなかった事情は、現時点においては終了という場面がそれほどなかったからでしょうだ。私たちがこれから向かっていこうとしている改革は、その終了が重要な局面になってきますから、そこで市町村長はノータッチですか、始めるところだけして終わりにはタッチしない、一方通行ですかという観点をおっしゃっていただいた観点は、正にそのとおりでありまして、それは青木委員がおっしゃった方向で議論が進むとよいと概括的には感じます。   その上で、考え始めると結構細かいことを考えなければいけないというところもあって、一つ二つ申し上げますと、一つは、やはり始めるときには結構本人が緊急な状況だったりするような場合も含め、おっしゃったように身寄りがない人がいるところを誰も地域でケアしないではないか、それでは困るから市町村長が取り急ぎ、かなりの緊急があると見えるからするということで、するわけですけれども、終わるところはもう少し、それほど時が切迫していない事例が多いでしょうし、市町村長の判断で、いわば形としては本人から保護を取り上げるような形になるというなりゆきを、市町村の現場としてはもしかしたらしにくいという側面があるかもしれないというようなことをいろいろ想像したりすると、そこはまた、恐らくそちらの方の法制を所管している政府の部署においては、市町村の現場の意見も聴かないと、そこの法制の作り込みができないという側面があるかもしれません。   それから、もう一つ挙げると、開始のときと終了のときの市町村長がいつも同じとも限らないかもしれないという論点も気になって、例を挙げますと、甲町に住む身寄りのないお年寄りが、誰もケアしてくれないから甲町の町長が申し立てて補助が始まりました、やがて衰えが更に進んで施設を探したけれども、甲町には施設がなく、隣の乙市の施設に入って、そこで結構長く暮らすことになったところ、施設の暮らしが安定して補助を続ける必要がもうないではないかとなった際、補助開始の審判の取消しの申立てをしてもいいと思われますけれども、それを甲町の町長が申し立てるか、乙市の市長が申し立てるかということが問われ、現場がさて困りましたということになって、しかもこれが単なる権限の問題ではなくて、それが甲町とか乙市の補助といいますか、いろいろな市町村の要綱等で行われている支援事業の実施の対象でお金が入っていたりすると、それとの関係はどのように整理しますか、というような論点を考え始めると、実務的には悩ましいという気分になってきます。青木委員におかれて何か現時点でアイデアはお持ちでいらっしゃいますか。 ○青木委員 ありがとうございます。前者につきましては現在、第二期基本計画の下で運用体制を進めようとしていますのは、チームの形成支援機能だけではなくて、チームの自立支援機能も含めて支援をしていくことについては権利擁護の地域連携ネットワークの中で中核機関が中心になってそれをコーディネートしていくこととし、場合によっては、直接に個別のケースのチーム支援のあり方についてスーパーバイズに入っていくということも想定されています。   したがいまして、ある市町村の選任案件の全ケースについて市町村が責任を持つということは困難であると思いますけれども、具体的にチームの自立支援や形成支援をすることで関わっている事案について、これについては必要性がなくなったから終了することができると考えるのだが、ということが支援チームの皆さんから中核機関や市町村担当者の方に申出があった場合が想定される。あるいは何らかの支援者と補助人との間に問題が生じて、苦情などの形で補助人の交代等が中核機関や市町村の方に課題として上がってきている場合に、中核機関を経由して市町村長の方から交代の趣旨の解任申立てを家裁に提案をしましょうかという事案が想定される。そういう場合に、チームの自立支援機能、チームの形成支援機能の一つとして、市町村長による申立てを行う出番がやってくる場合があると考えております。そういった位置付けで、市町村長の権限を福祉三法に規定をして頂くということではないかと思っております。   加えまして、次の居住する市町村を移転した場合についてですけれども、これも同じように、居住する市町村が変わったとしても、補助人を選任してもらったら市町村の職務が終わりになるわけではなく、選任された補助人について市町村の方で選任後に課題が生じた場合には対応する責務があるということであれば、甲町から乙市に移ったとして乙市において課題が生じれば、それについては乙市が現在必要な援護を実施しておる機関として、申立てができるというふうに事務調整規定をおいて頂く工夫をしていただくように要望したいとの意見となります。 ○山野目部会長 ありがとうございます。このくらいここで議論しておいて議事録に残せば、またいろいろなところで参考にしてもらえるでしょう。   引き続き、順次伺います。 ○野村(真)幹事 部会資料の29ページですが、任意後見監督人の選任については、当初監督人を選任していない場合でも後から監督人を選任することも可能ということですが、逆に当初監督人を選任している場合でも後から監督人の監督が不要になるといったケースも実務上あると思います。例えば、親族が任意後見人の場合で、当初は監督人の監督や支援を受けながら事務を行っていましたが、資産も少額で後見事務の内容も複雑でないケースなどです。御提案の規律では、そのような場合は、家庭裁判所が明らかに監督人による監督の必要がないと認めたときは、監督人が辞任をし、後任の監督人を選任しないことも可能な規律のようにも思われます。任意後見制度の利用者が利用しやすい柔軟な運用を期待したいと思います。 ○根本幹事 青木委員からありました解任のところについては、以前の部会で私が申し上げたところかもしれませんのでと思いまして、今回の部会資料の整理のとおりで、結論として私はよいと思っています。今回、例えば取消しのところについては、17ページのところで、1(1)①に規定する者ということで、取消しのところは公正証書で指定されている方についてもここは取消権者になるということになるわけです。他方で19ページの解任若しくは交代、交代という概念は法制上はありませんが、実質的には交代を含むということになると思いますので、その交代のところにおいては申立権者にしないという整理で今までいたようにも思っております。御本人の生活等にいろいろ関わってくださっている方ということが、法制上元々予定されている申立権者の方とは少し性質は異なるということでこれまで議論してきたように理解をしておりますし、あとは職権発動ということを促すということは、その方も含めて当然できるということだとは思いますので、そのような整理でよいのではないかということを思っています。   その上で、2点目が首長申立てとの関係です。少なくとも仮に今の民法の整理を前提にするのであれば、解任や交代についてどのように考えるのかについてはともかく、少なくとも制度を開始するところについての申立権者の方については取消しについての申立権者にもなっていただくというのは一つ、すっきりした考え方ではないかとは私自身も思っています。解任と交代のところについて首長をどう考えるかについては、関係省庁で御検討されるということだと私も理解はしていますが、今回、首長については家庭裁判所からお尋ねを頂くルートというのを手続法上明記をしていただくということになっています。申立権者ではなかったとしても、規定されたルートでお伝えをしていただくと、もちろん家裁から照会して答えるというのが手続法上の規定なので、家裁から首長宛てに問合せが来ないと首長から答えられないわけですが、ただ、別に職員発動を促すということは首長もできるということではないかと思いますので、そのような観点を踏まえて御検討いただくということではないかと思っております。   それから、二つ目に、任意後見のところについてです。結論としては今回の整理のとおりで私もよいと思っていますが、その上で、繰り返しになりますが、2点ほど注意的に申し上げておきたいと思っていることがあります。一つは前回、座長からの議論の整理の中で、任意後見の性質について二つの見解があり得るということで分析をしていただいたところではありますが、飽くまでも今回、監督人を置かないことができる場面というのは、明らかに必要がないときという形で限定をされています。これは私の理解ですけれども、それを限定している法制上の意味としては、従前から任意後見で指摘をされている公的な監督付きの任意代理であるということ、それから、任意後見人の選任は飽くまで本人に限られていて、監督を外す場面というのは明らかに必要がないということでかなり限定的であり、いつでも家庭裁判所は監督人を再び付することもできることになっています。特に、監督人の機能を活用するべきであると家庭裁判所が判断すれば、それは原則どおり監督人を選任して、家裁の監督ということではなくて後見人による監督に付していくという改正だと理解をしていますので、そうしますと、性質論においては変更は生じないと考えるべきだと思います。そのこととの関係から見ても、明らかに必要がないということについては、これは前回や前々回も申し上げていますが、非常に大事な点なので繰り返しますけれども、専門職だからとか、御親族の方で1年間問題がなかったからというようなことだけで外せるというようなことではなくて、今回の改正の趣旨に照らせば、監督人が持つ機能を家裁へ転嫁するというわけではありませんので、事案の内容や監督人による監督対象事務の報告状況から見て、例えば実質的にも不要であると、当面そのような対象事務が生じる見込みもないということで、かつ家裁の体制とか地域の体制なども考慮して限定的に判断されるということで理解するべきだと思っていますので、そこは強調させていただきたいと思います。 ○山野目部会長 先ほどの青木委員の御発言と併せて、根本幹事がおっしゃった前半の御意見を承りました。後半の任意後見契約に関する御意見も承りました。おっしゃっていることがごもっともであると感じますとともに、任意後見監督人の選任については、明らかに必要がないときに選任しないという規律の導入に意義があると思われますし、しかしそれは注意して用いましょうという今の根本幹事の御注意が、なるほどと感じます。任意後見監督人の選任の在り方について、あらかじめ任意後見契約において本人の希望、意向を述べ、それを公正証書にとどめておくことができるという制度も入りますから、そちらの意義も併せて強調しながら、新しく採用される運びとなるいろいろな工夫を組み合わせて、任意後見契約が全体として意義を発揮していくようになればよろしいでしょう。 ○竹内委員 私は部会資料28ページについて、今後説明を要するであろうということについて2点述べます。   28ページの任意後見の部分のゴシック体を読みましたときに、任意後見監督人が例外的に付かない場合の家裁の監督の内容は一体何なのだということが、ゴシック体だけを見ただけではよく分からないので、恐らくこれは現行民法の863条を準用すると思うのですが、そういうものだということを説明した方が分かりやすいのではないかと思われたのがまず1点です。そして、今の根本幹事の御意見に続けてのことなのですけれども、28ページの(3)の19行目に任意後見監督人を選任する際の考慮事項について書かれています。その19行目に「本人の意見」があるのですけれども、任意後見監督人を選任しない場合というのが例外的、明らかに必要がないと認めるときというように限定的に解釈するのであれば、ここの本人の意見には、監督人の選任は不要であるという意見は含まれないのだということも明確に説明をしておく必要があるのではないかと思われた点が2点目です。   続いては、確認事項でして、私が整理し切れていないのかもしれませんが、同じ28ページの(2)②の任意後見監督人が欠けた場合の請求権者なのですが、法定代理と任意後見とが併用ということになった場合、補助人や補助監督人は含まれなくてよかったのだろうかが少し気になったというところと、そして最後の1点ですけれども、ページを戻っていただいて、意思表示に関する特別代理人の25ページです。25ページの2の④で、①に規定する原因が消滅したときの手当てがあり、ここには特別代理人の選任審判を取り消すことができる方について、「特別代理人の請求により又は職権で」とあります。ここについて、事理弁識能力を欠く常況にあるという原因が消滅した御本人を請求権者に加える必要はなかったのかというところが気になりました。ただ、④には職権も含まれていますので、職権発動を促せばよいのかもしれません。後半2点は、確認しておきたいというものです。 ○山野目部会長 これからの立案の作業において参考となる意見を今、竹内委員がたくさんおっしゃってくださったと感じますから、事務当局の方で現時点で持ち合わせておられる所見を伺っておくことにします。 ○波多野幹事 2点頂いたうちの1点目の任意後見監督人が欠けた場合の請求権者について、法定後見と併存するのでというところについて、少し改めて検討して確認したいと思います。   もう1点、意思表示の受領の特別代理人の関係も、今の規律では、いわゆる選任された特別代理人だけの請求がトリガーになっていて、御指摘のあった本人でありますとか、この間、我々としても少し問題意識を持っておりますのは、意思表示をしようとしている側とかも、職権では最後受け止めますけれども、請求権者に掲げておいた方がいいのかとか、少し書きぶりも含めて、ここは更に検討しなければいけないかなと認識しているところでございます。ありがとうございます。 ○山野目部会長 竹内委員に少し御意見をお伺いしておきたいと考えます。任意後見契約を締結する際に本人が述べる意見、任意後見監督人となる者に関する意見を述べてもらって公正証書に記しておくという制度が導入されようとしておりますけれども、できれば任意後見監督人はなしにしてほしいけれども、もしあるとしたら弁護士の竹内先生にお願いしますとか、そのような述べ方を本人がしたときに、そのとおり公正証書に書くのですかね、どうなるでしょうか。 ○竹内委員 なかなか複雑になりますね。ただ、両方の趣旨を活かそうと思ったら、記載は認める規律を足す、ただし、余りに拡大解釈といいますか、広がるようなことに運用としてなり得ないということと両立させようと思うと、そのような書き方も、みもしかして選択肢になり得るかもしれないとは思いますが、どうなのでしょう。 ○山野目部会長 そこは恐らく今後の検討課題であるとして、竹内委員のお考えでは、私は任意後見監督人なるものは一切要りません、以上、と述べたときには、それは公正証書には残さないということを先ほどおっしゃったと聞いてよろしいですか。 ○竹内委員 任意後見監督人は要りませんということですね、裁判所としてはそこは考慮はできないと思いますので、書けないのではないでしょうか。 ○山野目部会長 分かりました。竹内委員も今悩んでおられるところで、問題提起を頂いたと聞きました。   今の点について何か御意見がおありの方がいらしたら承っておきますけれども、いかがでしょうか。   ゴシックで示している文言で法文の案を起草していくことになりますから、これが実施されるまでの間に運用としてどのような姿が望ましいかということを、少しさきの会議でも話題といたしました任意後見契約のモデル条項みたいなものが今後実務上研究されていく中で、今、竹内委員が御注意いただいたことも忘れないようにしておいて、さあ、どう考えようかということを研究を深めていくということにしましょうか。ここの研究が深められていないと、現実にそれなりに需要があって出てくるでしょうから、公証人の先生方が、これはどう書けばいいかという話になります。法制審議会で悩ましいという議論はあったけれども、その後は研究されていないのですかということになると困ります。この後の研究をきちんと続けていくということが大事ですというお話を今頂いたと受け止めます。   引き続き承ります。 ○河村委員 ありがとうございます。今のところで質問させていただきたいのですけれども、まとまったところで申し訳ないのですけれども、本人が監督人は必要ないですという意見を残すことはできないと思うとおっしゃったと思うのですけれども、賛成、反対ではなくて、なぜできないのかということの理由を説明していただけたらと思います。 ○山野目部会長 河村委員、お尋ねを頂いてありがとうございます。どなたがお答えすべきであるか分からないし、竹内委員も悩んでおられる途上であるとおっしゃいましたから、御発言は無理強いしませんし、事務当局がこの文言の解釈について述べるという立場でもないと思いますから、私がつぶやいて、河村委員と御話を続けていくことにしますけれども、恐らく該当の場所というのは、本人の意見の後に括弧書きが入って、任意後見契約の締結の際に本人が公証人に対して任意後見監督人となる者についての希望を申述した場合とある、この文言の解釈、理解ですけれども、任意後見監督人となる者についての希望というものは、これまでの部会審議の積み重ねから素直に出てくる考え方としては、任意後見監督人に誰がなるかということについての意見であると考えられてきていて、任意後見監督人を置くか置かないかということについての意見ということにはならないのではないかという観点から、つい先ほどまでの議論はされていました。   ただし、河村委員がお話ししてくださったように、日本語の理解として、任意後見監督人となる者についての希望という文言が、自分は任意後見が始まってもおよそ任意後見監督人というものは要らないという希望を持っています、これも任意後見監督人についての希望ではありませんか、と本人が粘り強く述べたときに、それは日本語の理解としてはあり得ませんと必ずしも言い切れないようにも感じますから、ここは少し考え込んでいかなければいけません、というところまで話をしてきました。河村委員におかれて、何か御意見などがおありでしたら承っておきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。 ○河村委員 ありがとうございます。私が本人の立場になったときのことをいろいろ考えながらご議論を聞いているのですけれども、監督人となる者は必要ないと言える選択肢もあったらいいなと思ったということだけコメントしておきます。 ○山野目部会長 お考えはよく理解することができますから、御意見として承っておくことにいたします。ありがとうございます。   引き続き伺います。   御希望がなければ、林委員にお声掛けをしますけれども、午後3時頃に御退出の御予定がおありだという報告を受けておりますけれども、部会資料33-2の全般について何か特段あれば、お話しをください。御意見がない際には無理にはお願いいたしません。いかがでしょうか。 ○林委員 特にはございませんが、この間の議論経過を踏まえてまとめていただいたものと受け止めております。ありがとうございます。 ○山野目部会長 どうもありがとうございます。   引き続き御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○青木委員 後見登記の部分もよろしいですか。 ○山野目部会長 その他の部分も含まれておりますから、どうぞお話しください。 ○青木委員 後見登記につきましては、これまでの部会でも様々に要望などが出てきていたと思いますけれども、改めて、特定補助人を付する処分も含めて現在の要綱案がまとまった時点で、再度、後見登記の見直し、改正についての要望を出しておきたいと思います。   まず1点は、今回、開始審判とともに、代理権目録あるいは同意権目録が添付されるのが基本的な形になるところですので、後見登記には、現時点で補助人に付与されている代理権が何であるか、要同意事項が何であるかということが取引の相手方に明瞭に分かるような登記というのをお願いしたいと思っています。具体的には、代理権も要同意事項も、追加をされたり一部取消しになったりすることもありますが、現行の後見登記ですと、おそらく追加をした代理権は、当初のものとは別の目録が別の頁に記載され、削除されたものも削除した目録が別の頁に記載されるとなっているのではないかと思いますけれども、そういう経過を追った登記自体も必要だと思いますけれども、それとは別に、現時点で付与されている代理権や要同意事項だけを、一つずつの目録で一覧できる、取引の相手方はその目録だけを見れば明瞭に確認できるという、現在登記事項証明書としての登記事項証明をできるようにしていただくと取引の相手方にとっても、本人及び補助人にとっても、間違いのないことになるのではないかと思います。   もう1点は、任意後見と法定後見が併存することになりますので、ご本人さんにどういった法定後見あるいは任意後見が付いているかということを、本人の人単位で名寄せができるような仕組みというものも是非お願いをしたいと思っています。   3点目は、運用上の問題にもなりますけれども、今後、登記事項証明書を取る必要が生じる頻度が現在に比べて増える可能性があるので、日本全国どこからでも、オンラインで速やかに登記事項証明が取れるようにする制度の普及に努めていただきたいという点です。また、現在大きな問題となっておりますが、後見登記がされるまでにかなりの時間がかかっており、実務に影響が出ています。家庭裁判所から東京法務局に登記嘱託をされからて3週間から1か月以上しないと後見登記が出来上がらないということになっておりまして、改正後にこのようなことでは柔軟な運用への大きな支障となります。その点についても体制整備を含め迅速化をお願いしたいと思っております。 ○山野目部会長 青木委員から御要望として後見登記に関して頂いた各事項は、どれも実際上の需要を考えたときにごもっともなことであると聞きました。青木委員自身がお話しいただいたように、検討してみなければ分かりませんから、その他のところはそういう事項が多くなってきてしまいますけれども、御希望の御意見として承らせていただきます。ありがとうございます。   引き続き伺います。いかがでしょうか。 ○星野委員 ありがとうございます。今の登記のところの代理権とか要同意事項の権限が大きく動くというところについて、従前、住所が変わったときに、その変わった住所が全部出てきてしまっていたのが、数年前から現住所だけになっています。必要があるときはその履歴を求めるということができる形になっていると思いますので、そのような運用というのも是非考えていただければと思います。 ○山野目部会長 御意見、御希望を承りました。   引き続き伺います。 ○青木幹事 第6でもよろしいですか。 ○山野目部会長 お願いします。 ○青木幹事 部会資料の御提案に疑問があるということではなくて、3点、いずれも関連する事項について内容の確認をさせていただければと思います。   第1に、御提案の部会資料33-2の39ページ第6の1(2)補助開始の審判を受けた者の訴訟行為の特則ですが、②の特別の授権が必要となるその他の法定代理人には、訴訟行為について代理権付与の審判を受けた補助人も含まれ、補助人が訴えの取下げなどの訴訟行為をする場合には特別の授権が必要ということになるでしょうか。そうだとすると、補助監督人がある場合にはその同意が必要ということになるのか、あるいは家庭裁判所の代理権付与の審判により特別の授権も与えられるということになるのかということが一つ目です。   第2に、部会資料33-2の40ページ以下、第6の3、手続法上の特別代理人の(1)の④で、特別代理人が訴訟行為をするには、特定補助人と同一の授権がなければならないとされています。現行民事訴訟法の35条の3項は、後見人と同一の授権がなければならないとされていて、主として民法864条の後見監督人の同意が想定されているかと思います。特定補助人については現行の成年後見人とは異なり、代理権付与の審判により代理権が付与されるので、恐らくこの民法864条の規律は妥当せず、訴訟行為をするのに補助監督人の同意は必要ないということになるでしょうか。これが二つ目です。   第3に、特別代理人について、第1の質問と同じ質問になりますが、第6の3(1)④によると、特定補助人を付する処分の審判を受けた者のために選任された特別代理人が、訴えの取下げなどの訴訟行為をする場合にも、特別の授権が必要ということになるかと思います。そうすると、補助監督人がある場合にはその同意が必要ということになるのか、あるいは特別代理人を選任した受訴裁判所の裁判長が授権をするということになるのかというのが三つ目の質問になります。   以上です。よろしくお願いします。 ○山野目部会長 いずれも立案の趣旨のお尋ねです。波多野幹事、お願いします。 ○波多野幹事 一つ目が、補助人が訴訟行為をするときに、監督が付いたときの監督人の許可が要るかというお話だったと思いますけれども、我々の理解としては、補助人は各個別行為について裁判所から授権されていますので、個別行為の代理権付与に基づく訴訟行為については、監督人の許可が要るという規律は及ばないというような整理になるのかなと思っていたところでございました。   それとの関係もあるのかもしれませんが、手続上の特別代理人のところの書きぶりで、41ページの7行目、8行目辺りの、特別代理人が訴訟行為をするには特定補助人と同様の授権がなければならない、が一体何を意味するのかというところかと思いますけれども、ここは基本的に特定補助人が訴訟行為をする場面と同じ、今の後見人と同じような形で書いておりましたけれども、この書きぶりでいいのかどうかは、なお引き続き検討しなければいけないという、今、問題意識を持ったところでございます。   三つ目は、追いつけませんでしたので、もしよろしければ、もう一度質問を頂ければと思います。 ○青木幹事 二つ目にお答えいただいたのが三つ目に対する質問かと思います。三つ目に対する質問は、第6の3(1)④の「特定補助人と同一の授権がなければならない」のところで、特別代理人が訴えの取下げをする場合に特別な授権が必要だということだとすると、それはどのようにその授権が与えられるのかという質問だったのですが、恐らく、今お答えの中で御検討の必要があるとおっしゃったところだと思います。二つ目の質問の現行の民法864条の規律が妥当しないというのは、先ほどお答えいただいたとおりかと思いますが、妥当しないということでよろしいですね。分かりました、ありがとうございます。 ○山野目部会長 ありがとうございました。   引き続き伺います。   差し当たり御意見の希望はありませんか。よろしいですか。そうしましたら、それほど時間が経過していませんけれども、休憩を挟んだ上で再開後に何をするかということの御案内を今ここであらかじめ差し上げておくことにいたします。   再開後に、実は部会資料33-2の第7のその他のところでございますけれども、それについての御議論を中心にお続けいただきたいと望みます。その他のところは、具体的な題材は後見登記等に関する法律のみが挙がっていますけれども、実はこれは民事法制の中で代表的なものを挙げているにすぎないものでありまして、関連する法制の整備等についての御意見や御要望のほか、新しく民法が改正される段になったときに附則で経過措置を設けることになります。経過措置は、この会議の席上において何度も御案内しているとおり、部会で決定して提案する事項の範囲には含まれておりませんで、政府において諸要素、諸事情を勘案の上、立案をすることとされておりますけれども、しかし部会の会議において要望を中心に御意見を頂いておくということは妨げられず、むしろ委員、幹事におかれて関心が深い事項ではないかと考えられますから、その点などを含めて、その他のところについて委員、幹事において述べておきたい意見、お尋ね、要望等を承るということにいたします。それらをしながら、久保委員と花俣委員にもこの順番でお声掛けをしたいと考えております。その上で、本日の会議が終わる段に際して、次回の第33回会議の進め方について波多野幹事や私から御案内しておく事項もございます。それらのことを休憩を差し上げた上で委員、幹事にお願いをするということにいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開を致します。   休憩前の御案内を重ねて申し上げます。部会資料33-2の全般について、既に御意見を頂いてきているところでございますけれども、改めて部会資料33-2の全体を見渡して、言い漏らし、その他新しくお気付きの点などについて委員、幹事の御意見を承ります。   加えて、33-2の一番最後に「第7 その他」というものを掲げておりまして、ここに多様な事項が含まれると理解しておりますけれども、その他の御議論の中で、併せて経過措置についての御要望を中心とする意見があれば承っておきたいと考えます。これらの点を含めて、随意にお気付きのことをお話しいただくようにお願いします。いかがでしょうか。 ○上山委員 前半部の言い漏らしということになります、恐縮です。特定補助の例外性について、文言上もう少し強く表現することができないかという観点から意見を申し上げたいと思います。   特定補助人が付かない通常の補助の対象者の中に、今回の部会資料で提案されている事理弁識能力を欠く常況にある方も含まれるということが、まず大前提になります。この方たちについて、特定補助ではなく通常の補助のかたちでも、今回御提案の13条1項各号の要保護事項の全てについて取消権を付与するという運用が可能であり、かつ、同様に特定補助人が付された場合に自動的に付与される、意思表示の受領と保存行為に関する二つの代理権についても通常の代理権を付与する旨の審判の手続をもって付与することができることになっているかと思います。そうすると、能力的にも抽象的なニーズとしても非常によく似た状態にある方が、二つの違うルートに進む可能性がある、つまり片方は特定補助人が付され、もう片方は通常の補助で行くということがあり得ることになります。しかし、これまでこの部会の中では、特定補助というのは飽くまで例外的にのみ動かすという認識で議論が進んできたかと思います。   この部会の議論の趣旨を活かすためには、特定補助の必要性判断のところ、部会資料で申し上げますと3ページの(4)①の補助開始の審判を受けた者が精神上の理由により事理弁識能力を欠く常況にある者であり、かつ、必要があると認めるときという書きぶりですけれども、この必要があるときというのをもう少し強めることが文言上できないかと思います。より具体的に申し上げますと、現在の任意後見契約法4条あるいは10条などで使われているように、本人の利益のため特に必要があると認めるときというような文言にすることによって、この特定補助の運用の例外性、あるいは通常の補助の下で補助人に多数の権限を付与するだけでは駄目で、飽くまでも特定補助でなければならないという必要性の判断をそこで評価することができないかということを考えています。   こうしたことを申し上げた背景の一つは、御本人の現実の判断能力の状況を考えた場合に、実際に二つのルートのうちどちらのルートに行くのかというのが、実際には御本人の意思よりも周囲の支援者の方、特定補助人を付する処分の申立てをする方などにイニシアチブが握られてしまうおそれがなくはないのかなと感じておりまして、そういう意味でも、この要件に関してもう少し強く例外性を打ち出せるような表現がとれたらよいと感じたということでございます。   すみません、長くなりました。 ○山野目部会長 上山委員から頂いた御意見について、その点に関して何か御発言があれば承りますが、いかがでしょうか。波多野幹事からも御遠慮なくどうぞ。 ○波多野幹事 上山委員から頂きました点につきまして、なおどこまでできるかというところがございますので、それも踏まえて検討かなという気もいたしますけれども、趣旨としましては、この特定補助というものがこの部会においては基本的には例外的な場面で使われるのだろうということが部会の先生方の中ではある程度共通の認識になっている部分があるのかなということは、この部会資料でも17ページ目にそこは記載をしたところでございまして、それを法文上をどのように表すかという問題と、他方で、代理権の付与とか、要同意の審判との関係で、ここだけ必要性を表す文言としての必要があると認めるときとの文言をここだけ変えることによって、本当に整合が取れるのかどうか、穴が空かないのかという辺りについても少し慎重に考えなければいけないのかなという気がいたしますので、少しそこは慎重に検討させていただきたいと認識しているところでございます。 ○上山委員 もちろんそれで結構です。一言だけ付加しておきますと、恐らく現実的には、3ページ(4)③ですかね、特定補助を使った場合には、13条1項各号のリストにプラスアルファして、いわゆる中間領域的な部分についても、その場合にだけ取消し事項とすることができると、この辺りが特定補助を動かす必要があるのかどうかという判断に実質的には関わってくるとは思うのですが、それが文言だけで読み取れるかというと、なかなか難しいところもあるような気がしますし、本当に取消し事項の拡張だけがファクターになるのかというところも、私もまだ精査し切れていないところがございますので、その辺りを含めて御検討を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○山野目部会長 御意見を承りました。事務当局において検討いたします。   あわせて、上山委員から問題提起を頂いたことを機会に、少し上山委員を始め委員、幹事と意見交換をしておきたいと考えます。現在のゴシックの文言ですと、必要があると認められるときは、という文言がずっと用いられており、特定補助人を付する処分の場合もこの文言であるし、加えて要同意事項を定める審判のときも、代理権を個別に付与する審判のときも、この文言が用いられております。その上で、必要があるということの意味合いについては、この部会でもいろいろな機会に議論がされていて、必ずしも委員、幹事の間でぴったり意見が一致していませんけれども、今までの御議論を顧みると、少なくともこういうことは指摘することができるような気がします。それは、特定補助人を付する処分をするときの必要性の要件の程度、量というよりも、その質の問題と、個別の要同意事項を定め、あるいは代理権を付与する審判をするときの必要があると認めるとき、は、要件の性質、構造が本質的に異なるものではないかと感じられるところがあって、それは恐らく委員、幹事におかれても、意識するにせよしないにせよ、そのように考えておられるのではないかと想像いたします。   上山委員が分かりやすい例を挙げていただいたように、特定補助人を付する処分の審判がされていない場合でも、個別事項の累積積み上げみたいにして、たくさんの要同意事項を定め、代理権を付与していく審判を重ねていくと、0.8、0.9、0.99となってくるみたいにして、だんだん1に近付いていくではないかという感覚が理解できる半面、しかし個別事項を累積していくときには、一つ一つについてかなり具体的な必要性が認定されなければならず、それらを全部きちんと具体的に必要性を検証した結果、改めて見てみたらかなり事項が多くて、13条1項リストのかなりの部分になっています、となる、その思考過程と、いや、この人は活動性を保っているけれども事理弁識能力を欠く常況にあって、具体的なこれこれの危険ということは言えないけれども、予測不可能な部分が大きく危険ですという判断をし特定補助人を付する処分の審判をする際の、そのような意味で必要性がありますというときの必要性があるという言い方は、質が異なることは、恐らく皆さんそのように理解していて、今、上山委員もその理解を前提とした上で、更に、特に必要があるという量的水準の語感の観点も含め、考えを重ね、更に、それが可能であれば文言上も表現ができるようになっているといいだろうという意見を更におっしゃってくださったと聞きました。上山委員におかれては、こういう理解でそれほどお話しになろうとしたことと乖離がないと理解してよろしいものでしょうか。いかがですか。 ○上山委員 その2種類の必要性でしょうか、それは部会長が今的確におまとめになったような認識を私は基本的には共有しています。この部会の中では、特定補助についてはパッケージ化された保護の必要性という基準も出てまいりましたし、その質的な違いというのはあり得る話であろうと理解しています。   その上で、今回先ほどのような発言を申し上げましたのは、家庭裁判所を信用していないというわけでは全くないのですけれども、申立人側にとっては、正に部会長がおっしゃったとおり、個別積み上げ型というのは非常にコストが掛かるというか手間が掛かる話だと思うのです。それもありまして、結局特定補助人を付けてしまった方が楽なのではないかというような運用に流れるおそれが全くないとはいえないのではないかと危惧しているわけです。そこを、いや、そうではないのだ、やはり特定補助というのは例外的に慎重に使わなければいけないのだということを、もし文言的にも明確にできれば、それはより望ましい話ではないかと感じているということでございます。 ○山野目部会長 お考えを更によく理解することができました。ありがとうございます。 ○青木委員 今の上山委員の御意見につき、私もそういう方向で調整ができればと賛同するものです。具体的な考え方としましては、今、部会長からも御説明がありましたが、必要性の少し質が違うということなのだと思いますけれども、部会資料31とか、部会資料33-2でもそうですけれども、必要性として基本的に要求される内実はかなり具体的な必要性であるということでおまとめを頂いていると思います。そして、そうした具体的な必要性に基づき、補助制度における要同意事項の個別の積み上げでは保護が不十分であるという場合に、特定補助人を付する処分の必要性が認められるという関係に立つのではないかと考えますと、補助制度の要同意事項の定めでは保護が十分でない場合に限り特定補助人の必要性があるとして、一種の補充性的な発想を入れられるのではないかと考えます。   そうしますと、先ほど上山委員が例示されました任意後見と法定後見の従来の「特に必要があるとき」というのは、任意後見では賄えないときに限り法定後見を発動させるという趣旨で使っている用例に倣いますと、同じようにここでも「特に必要があるとき」というのを用いることによって、補充性としての必要性を考慮する趣旨を読み込むことが可能になるのではないかと思います。上山委員のご提案について、ご検討いただけると有り難いと考えます。 ○竹内委員 今の点について意見なのですけれども、必要があると認めるとき、また、上山委員がおっしゃられた、本人の利益のため特に必要なとき、ここで検討すること自体は反対はしません。ただ、実務的には、本人の利益のため特にと付くことによってどれだけ解釈が異なってくるのか、そこが果たして明確になるのか、運用のところでそこがはっきりできないのであれば、余りここで文言を変える必要はないのではないかとも少し思いました。むしろ、部会資料17ページの13行目から書いてあるとおり、実際の今後の利用の実績がどのようなものなのかという検証を踏まえた上で検討していくべき事柄なのかもしれないという感想を抱きましたので、申し上げます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。ここの部会の場所ではなくて、これから新しい制度が運用される段になったときの個別の事案に向き合っていく、裁判所もそうかもしれませんけれども、裁判所に行く手前の、地域における福祉の関係者や身の回りの人たち、親族などの人たちにどのように響くかということを考えたときに、本人の利益のために特に必要があるとき、と書いたとしても、ということが今の竹内委員の御心配で、それもよく分かるとともに、私の取り越し苦労かもしれないけれども、書いたらかえってというところがないだろうかという点も少し心配です。本人はもうかなり認知症が進行していますよ、本人の利益のために特に必要がありますよね、と、もう認知症になったら特定補助人ですよ、みたいな形で、それは理論的には誤った理解ですけれども、ただ、非常に情緒的、感覚的な受け止めをする現場があったとして、これと結び付いたときに、何かそういうおそれも、杞憂かもしれないけれども、なくはないと感じます。文言の選択がどのような影響を与えるかということと、それから併行してこれから運用に当たる各界、各方面にどのように周知していくかという話、双方を一所懸命に考え込み、努めていくほかないということでしょうか。 ○河村委員 ありがとうございます。今のところなのですけれども、今、部会長がおっしゃったことも、そのこともあるなと思った次第なのですが、私はこういう文言ならいいという意見はないのですけれども、波多野幹事がこの場にいる部会の人たちは特定補助人という制度は例外的な使い方をするのだということは共通認識だと言われたのを受けて、例外的というのが共通認識であるならば、その例外的ということが伝わる言葉にしておかなければ、ここで共通認識でも、誰が読んでもそういうニュアンスであるということを受け取ってもらえるということにはならないかもしれないので、その共通認識を表せるような文言であったらいいなと考えています。   今の後見類型と特定補助人は全く違うということはもちろん理解していますけれども、今の制度は後見類型が例外的というニュアンスは全くないと思うのです。それと同じような感じで受け止められる、内容が違ったとしても、例外的という意味合いが受け取れないのは、ここでの長い議論とかいろいろな意見に対して、このままでいいのかと感じておりますということです。 ○星野委員 論点について少し別の視点から、先ほど休憩前に言われた、民法の法文のことだけではなく他法ということがあったので、発言したいと思います。   今、河村委員が言われたように、後見や保佐という言葉がなくなったとしても、特定補助に流れてしまう危険性を私も今、議論の中ですごく感じております。例外的、限定的だと言っても、特定補助人が付いている方がたくさん出てしまうのではないかと思います。それについては、民法の中の規定だけではなくて、やはりこれまでもこの部会でも資料を提出させていただいたり、厚生労働省の専門家会議でも発言をしておりますが、周辺の関連法の中で、現行法で成年後見人や保佐人に権限、義務として他法において規定されているものの見直しというものを絶対しなければならないと思っています。   大きく言えば二つあると思います。一つは、虐待に関わるものです。虐待を受けている方が明確に自身の言葉で、この制度を使うことについて同意しないということになったときに、事理弁識能力を欠く常況にあるという判断にならない方も当然いらっしゃる。でも、今の議論でいうと特定補助に該当するのではないかというような、福祉の現場であったり地域の中の考え方というところで動いてしまうことが起こり得ます。これは、これまでの部会の中でも、全てのことを民法の法定後見、今後は補助ですかね、補助で賄えないということが、この部会の中ではもう皆さんの共通認識なのですが、この議論を聞いていない多くの方々はそう思わないと思います。ですので、虐待対応における本人の意向に沿わない介入的な対応が必要になるということについて、しっかりと社会福祉法、関連法の中で整理をする必要があるのが一つ目です。   あと2点目、これも非常に大きな問題として日々、私も過去にも経験しているのですが医療保護入院における後見人、保佐人の同意です。後見人、保佐人には医療保護入院における同意権者ということが精神保健福祉法で例示として表記されております。このことを特定補助に置き換えるようなことになってはいけないと思います。この民法改正の議論の中では、法律が変わるとともに、これまで後見人、保佐人に当たり前に求められてきたような内容が特定補助人にすり替わって、置き換わってはいけないということを実現するためには、周辺の関連法の見直し、改正というものが本当に重要になってくるということを改めて発言しておきたいと思っております。 ○山城幹事 上山委員から問題提起がありました一連の議論につきまして、特定補助人を付する処分の審判について合理的な抑制の利いた運用がされるべきだという点に、私も賛成いたします。したがって、規定の文言に関する御発言につきましても賛成するのですけれども、その一方で定式化の難しさもあるかと感じています。三点ほど感じることがございます。   一点目は、必要性というものが、要件として見たときに、その程度を観念し得るものなのか、あるいは、あるなしという形で判断されるものなのかという問題があるかと思います。部会長から御整理いただきましたが、量的な意味で、他の場合に比べて高度の必要性というものを要件論の平面で観念する余地があるのか、それとも、必要性というのは常に厳密に判断されるべきであって、程度に差はなく、有無のみが問題となるにすぎないのかということです。後者の考え方からは、特定補助人を付する処分の審判における必要性の特性は、量的に高度である点ではなく、パッケージ化された必要性である点にあるのであって、そのことを考慮して慎重な判断がされるという説明になるのではないかと思います。私自身は、要件としての必要性には軽重を認めないほうがよいのではないかと感じています。   しかし、そのように考えましてもなお、上山委員の御提案は非常に重要であると思います。それが第二点です。と申しますのは、青木委員からも御指摘がありましたけれども、上山委員から御指摘があった任意後見法4条や10条は、法定後見との関係での任意後見の位置付けとして、正にその補充性を示している規定であろうと思います。したがって、それらの規定で用いられている文言を、特定補助人を付する処分の審判との関係でも、能力制限の程度がより謙抑的な制度を使うべきだという思想を示す文言として活用することは可能ではないかと感じました。   ただ、その上で、星野委員の御発言とも関わるかもしれませんが、ほかに利用可能な手段があるのであれば必要性は否定されるという考慮は、通常の補助の場合であっても、他の支援制度との関係でそのように判断される場合はあるはずですから、特定補助人を付する処分の審判に限って補充性を強く打ち出すことで良いのかは、難しいところだと感じます。上山委員のお考えを非常によく理解することができたのですけれども、どのような文言が適するかについては難しさを感じます。   その上で、3点目のような形になりますけれども、部会資料33-2の16ページから17ページに掛けて、特定補助人を付する処分の審判の必要性に関する考え方について一定の御示唆が示されていますが、そこには非常に重要な観点が示されていると感じます。それと申しますのは、必要性というのは、制度利用を開始する段階ではある種の蓋然性に基づいて判断されることもあるだろうと思うのですが、仮にパッケージ化された必要性を認めて特定補助人を付する処分の審判をしたときでも、それを利用していく過程で、一定の事項については必要性がないという見極めができたときは、特定補助人を付する処分の審判から通常の補助へと移行していくことが望ましいのだろうと思います。そのような、いわば動態的な必要性の把握の仕方がここでは示唆されているように思いまして、この点は、今後の運用を考えていく上で非常に重要であると感じました。この御指摘がいかされるような運用が目指されると良いのではないかと感じたことを付言いたします。 ○山野目部会長 冗談を述べると、法文が起草されて国会で議決されたときに発行される六法に、必要があると認めるとき、というものが色を分けて印刷することができるようならば、それが理想です。特定補助人を付する処分のときには赤い色で、必要があると認めるときは、と書いてあるけれども、要同意事項のときと代理権付与審判のときは青色で塗ってある、と、これは元々性質が全く異なるものですということをお分かりいただけますね、というようなことができれば便利であります。色刷りができないとすると、結局、色刷りで理解するものです、ということを先ほどから何度も、この会議の中では一致しているけれども、というお話が出ていますけれども、この会議の中で一致していることが大事であって、その上で、もう既に段階はこの会議の外の皆さんに、国民各層、各方面に対して、ここにいる皆さんがもう説明に当たっていっていただかなければならない段階に移りつつあります。その場面で大変な御苦労をお願いしていくことになります。実はここが恐らく実質の課題であろうと感じます。   私自身もこの3月までの間に地域社会福祉の関係者の皆さんに、まだ最終のゴールではないけれども、大体こうなるかもしれませんということをお話ししなければならない場面があり、もう現場に行った瞬間、これまでであれば、少し難しくなってきたね、認知症の程度が重くなってきたねというと、これはもう後見に移行しましょうという手順でしてきた皆さんに対し、そうではありません、簡単に後見に行くという発想ではありません、後見というものはなくなるでしょうし、一番分かってもらわなければいけない点は、重くなってきたからそちらに回しましょうとして何でもしてくれる人というものが後見の制度とともにやってきたという場面がなくなります、しかも、その限定された事項について始まった手続は、終わるということが容易に考えられる制度になっていきます、これらのことを新しく理解してもらわなければいけません、ということを述べていきますけれども、そのこと自体を理解してもらうのに相当なエネルギーを要する上に、では、今まで頼り切ってきていた従来の後見類型に代わるものがないとすると、私たちは何を頼ってしていけばいいですかというお話になったときに、それに対してもある程度の答えは差し上げなければいけませんけれども、分野のある部分から先は、社会福祉事業が、現在の日常生活自立支援事業に相当する事業が今後どのようになっていくかということを中心として、新しい工夫に待たれている部分がありまして、現場に行ったときに100%の完全な、よくできた答えですというものを話すことがすぐにはできません、だんだんにそれができていくようになるであろうけれども、これからそこのところについては、この会議に参加して趣旨をよく理解していただいている皆さんに、いろいろな場面で御苦労をお願いしていかなければならないことになります。   引き続き、今の点でもよろしいですし、ほかの点でもよろしいです。ほかの点の中には、お声掛けをしているように、新しい制度がどのように用いられるかという関心も大事ですけれども、今ある後見をやめさせる、終了させるというところも大事であって、そのような観点についての要望の御意見もここで伺っておきたいと考えますから、その点も含めてお気付きのことを仰せくださるようにお願いいたします。いかがでしょうか。 ○根本幹事 ありがとうございます。経過措置との関係で、これから具体的なところは御検討されるということを前提にですけれども、今回、途中でやめる、終われることができるようになるということについては、これまでも久保委員や花俣委員などからも度々そのことへの期待というのは述べられてきたかと思います。そういったことに鑑みれば、現行制度を利用されている方についても、具体的な方策については法務省においてということだとは思いますが、新しい制度に移行したいという御希望があれば移行していただくことができるようにするという方向性での経過規定を設けていくということは、これは必須であろうと思っています。   そこから先は更に、経過規定の問題ではなくて実務上の運用の問題ということにもなるわけですけれども、では、その希望というのは、もちろん御本人がその希望を示すことができていれば、御本人の希望という形で御意見なり陳述を聴取していくということでいいかと思いますが、では、御本人がそのような希望を自ら表明することが難しい方についての意向をどのように考えていくのかということは、これは非常に難しい問題であると思っています。   移行するかどうかも選択できることになっていくわけで、現行制度を利用されている方が、現行制度のままでよいという御希望も、当然それはかなえる必要があり、御本人が意見表明することが難しい方の場合に、ではその選択や判断というのを後見人だけが行うのか、若しくは後見人以外のチームでそれをどのように行っていくのかということは、経過規定という法制上の問題ではなくて、実務においてどのような検討をしていくのかということは、非常に難しく、かつ重要な問題になると思っています。経過規定との関係では大きな問題になるということを、取りあえず申し上げておきたいとは思います。 ○加毛幹事 経過規定に関することではないのですが、三点申し上げたいことがあります。   第1に、特定補助人を付する処分の審判における必要性についてです。これまでの部会資料において繰り返し指摘されているところですが、必要性の判断においては、まず、本人が第1の1(3)②に列挙された行為の相当部分を行う可能性があることが前提になるものと思います。もし本人が行う可能性のある行為が特定できるのであれば、特定補助人を付する処分の審判を行う必要ないことになります。例えば、本人の財産状況等に鑑みて、想定される行為が限定されるケースでは、特定補助人を付する処分の審判における必要性は認められないことになるのだろうと思います。   その上で、補助人の同意を要する旨の審判について、行為の特定性が要求されていることとの関係で、行為能力を制限すべき行為を特定することが難しいという事情が存在することが、特定補助人を付する処分の審判における必要性を基礎付けるのだろうと思います。対象行為の特定が難しいことを基礎づける事情としては、本人の財産状況のほか、精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にあることがあるように思います。法律の規定として、いかなる文言を採用できるのかについては、法制執務上の制約があるのだろうと思いますが、条文の解釈としては、今申し上げたような思考のプロセスを踏むことになるのではないかと考えています。以上が1点目として申し上げたいことです。   2点目と3点目は、前半の竹内委員への御発言に関わるものです。竹内委員の御発言は、とても重要なものであり、事務局の御見解を確認しておきたいと思います。   まず、第1の1(3)④において、「補助人の同意を得なければならない行為について、本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、補助開始の審判を受けた者の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる」とされているところ、竹内委員から、補助人の同意を要する旨の審判を受ける本人については、精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であるものの、必要性の要件を充足しないために、特定補助人を付する処分の審判を利用できない者が含まれており、そのような本人が家庭裁判所に補助人の同意に代わる許可を請求をすることが想定できるのかという問題が提起されました。   それに対する波多野幹事のお答えは、④の規律は、本人が同意を得て法律行為をすることができる場合を念頭に置いたものであるというものでした。このお答えは、精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にある者は補助人の同意を得ても有効な法律行為をすることができないことを想定するように思われます。そのような者は、補助人の同意を得ても有効に法律効をすることができないのだから、家庭裁判所に対して許可を請求することを認めなくても困らないだろうという理解があるのではないかと思った次第です。まず、このような考え方が波多野幹事のお考えを正しく理解するものであるかどうかを確認させていただければと思います。   また、以上の考え方によるとすれば、特定補助人を付する処分の審判が下されていないものの、精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、補助人の同意を得たとしても、法律行為を有効に行うことができないという余地を認めることにならないのかが気になりました。もちろん意思能力の欠如を理由として法律行為が無効になる可能性はあると思いますが、意思能力の欠如とは関係なく、補助人の同意を要する旨の審判により、一定の法律行為について同意を要するものされている本人が、補助人の同意を得ても単独で有効に法律行為をすることができない場合を認めるのかが問題となります。その点についても、波多野幹事のお考えを教えていただけないだろうかと思った次第です。   次に、25ページの第3の2「意思表示の受領の特別代理人」についてです。④に関して、竹内委員から、「①に規定する原因が消滅したとき」には、本人による取消しの申立てを認めてよいのではないかという御指摘がありました。部会資料では、「その他」と「その他の」という文言を厳密に使い分けようとされているように思われ、ここは「その他」なので、その前後が並列される別の事柄を意味することになります。そうすると、「①に規定する原因が消滅したとき」というのは、本人の事理弁識能力が改善した場合を意味することになりますので、やはり本人による取消しの申立てを認めるのが筋ではないかと思いました。   また、この点に関連して、④では、家庭裁判所が職権で審判を取り消すことが認められているのですけれども、どのようにして家庭裁判所が「①の特別代理人が②及び③に規定する行為をする必要がなくなった」と判断することができるのかが気になりました。このことは、特別代理人の選任に際して、意思表示をしようとする者が、申立てに際して、対象となる意思表示をどの程度特定する必要があるのかという問題に関わるように思います。第1の1の(3)や(4)で要求される必要性が、第3の2の①においては要件とされていないこととの関係で、受領対象となる意思表示の特定がこの申立て時点で要求されるのかが判然としないように思います。仮に対象の意思表示が特定される必要があるのであれば、家庭裁判所としても、当該意思表示がなされたか否かを判断しやすいだろうと思います。   更に、特別代理人が家庭裁判所に報告を行うことは想定されないのだろうかということも気になりました。例えば、特別代理人が、意思表示を受領したうえで、このような判断に基づいて補助の審判の申立てまでは必要ないと判断したという報告を行うのであれば、家庭裁判所も、特別代理人を選任しておく必要性がなくなったと判断できるだろうと思います。これに対して、特別代理人からの情報提供がない中で家庭裁判所が取消しの判断を適切に行うことができるのかが良く分かりません。特別代理人が適切に取消しの申立てをする場合には問題がないのですが、特別代理人が何らかの事情で適切に取消しの申立てをしないような場合こそ、家庭裁判所による職権での取消しが重要な意味を有するものと考えられるので、家庭裁判所が情報収集を行うための規律は必要ないのだろうかということが気になった次第です。 ○山野目部会長 加毛幹事から3点頂いたうちの第1点は、何か所かに出てくる、必要があると認めるとき、の要件の理解のうち、取り分け特定補助人を付する処分の際の必要があると認めるときの概念理解についての有益なお話であったと感じます。先ほどの山城幹事に整理していただいた、やはり必要があると認めるときはの理論的な整理と併せ、次回の部会資料の調製を進めるにあたり、これら両先生のお話を十分に咀嚼した上で、それらの御発言を頂くまでに本日委員、幹事から頂いたところを踏まえ、改めて、特定補助人を付する処分の場合の必要性の要件理解について説明を調えた上で、お諮りをすることにいたします。   加毛幹事から2点目と3点目についてお話のあった事項について、波多野幹事に御発言をお願いします。 ○波多野幹事 2点目の2ページの(3)の34行目辺りの④の規律との関係かと思います。先ほど私が竹内委員からの御質問との関係でお答えいたしましたのは、元々この規定ないし規律が機能する場面といいますのは、本人が法律行為をしようとして補助人に同意を求めたというときに、補助人側が本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないという場面なのだろうということを想定しているということからしますと、そのような行為ができる方ということかと思われ、本人の代わりに誰か第三者において補助人が許可をしないので裁判所に補助人の同意に代わる許可を下さいという申立てをするような場面というのは想定しなくてもいいのではないかということをお答えをしたつもりでございました。その意味では、補助開始の審判を受けた者が補助人から同意を得ていながらも、行為をしたことについて意思無能力以外の何かの無効、取消権があるということを想定して何かお答えしたつもりではなかったところではございます。お答えになっているかどうか分かりませんが、そのつもりでした。   2点目の、意思表示の受領の特別代理人の申立てに当たってどのぐらいの特定が必要かというところは、なお今後の実務の問題かとは思いますけれども、資料を作成した側からしますと、基本的には、意思表示をしようと試みて、受け取る方がいないという場面を想定していたものですから、何らかの特定の意思表示というものがあって、それを受領する方に受け取ってもらおうと思ったら受け取ってもらえないという場面なので、当然その対象となる意思表示は特定されているものと認識していたところでございます。その上で、この規律によって選任された特別代理人がどのような事務を行ったかを家庭裁判所とどのようにやり取りするかというのは、今後の実務の運用なのかなと思っておりまして、特定の意思表示を受け取るという場面に機能する特別代理人かと思っておりましたので、何か重厚な規律を用意するようなものではないのかなと思っていたところでございます。 ○山野目部会長 加毛幹事、お続けください。 ○加毛幹事 まず、二つ目の点について、波多野幹事のお考えを御説明いただき、ありがとうございました。御説明によると、法的に行為能力が制限されておらず、理論的には単独で有効に法律行為ができるのだけれども、事実上は法律行為をすることができないような場面を想定して、④の規律で問題が生じることはないということになるでしょうか。意思能力を有することが疑わしい場合には、補助開始の審判に加えて補助人に代理権を付与する旨の審判を行うことにより、本人のために補助人が法律行為をすることが想定されるのだろうと思うのですが、質問を差し上げた背景には、資料5ページ以下で、取り消すことができるものとする旨の審判を設けないこととした結果として、補助人の同意を要する旨の審判を受ける本人に、様々なタイプの人が含まれることになったという事情があります。従前の被保佐人や被補助人よりも判断能力が相当に低下した方も含まれることになるわけでして、そのような方は単独でどのような行為をできるのかについて、説明の仕方が難しくなるように思います。その問題が、この④の規律にも関わってくるのではないかと思う次第です。   次に、三つ目の点に関して、私は、意思表示の受領の特別代理人という制度が、補助人に代理権を付与する旨の審判を付与される権限の点で極小化したものであるように理解しています。そのうえで、本人の同意を必要とせずに、意思表示をしようとする相手方が特別代理人を選任できるという点に、特別代理人制度の特徴があります。あまり重い手続を設けないという考え方があり得ると思う一方で、特別代理人の権限が限定されているのであれば、特別代理人に報告などを求めたとしても、それほど重い負担を特別代理人に課すことにはならないように思われます。そうだとすれば、特別代理人という制度が悪用されないよう、家庭裁判所が特別代理人をコントロールするという観点から、特別代理人に家庭裁判所に対する報告義務を課してもよいのではないかと思った次第です。   この点は、家庭裁判所における実務の運用でも対応できるのかもしれず、そうであれば、要綱案に規律を設ける必要はないとも思うのですが、今申し上げたような懸念を有していおり、それに対処するための規律があることが望ましいのではないかと考えていることを申し上げておきます。ありがとうございました。 ○山野目部会長 加毛幹事に補足で御意見をこの機会に伺っておきたいと考えます。今引き続きの御発言でおっしゃっていただいた二つのうちの前の方については、これは2ページの一番下の④のところが話題となっているものでありますけれども、本人の意思能力がかなり不安視されるというような状況で、特定補助人ではない補助人がその同意を与えないという態度をとったときに、ここに④を置く限り、家庭裁判所の許可が問題になるのではないですかとお話が進展していく論理的可能性はあり得るとは思われます。ただし、恐らく波多野幹事が述べているように、本人がその請求してくるということは余り考えられないのではないですかということが一つあるでしょうし、仮に何らかの契機があって、本人が補助人が同意してくれないと述べてきたときに、家庭裁判所は、他の類似事案よりも殊更に慎重に許可を与えるかどうかを恐らく判断するという実務になっていくとも想像ができます。というのは、補助人であれば体が動かせますから、場合によっては本人と一緒にくっついていって臨場性、詳細性を持った同意を与えるという仕方で、ここまでしておけば意思無能力無効で後で否定されることはないであろうというふうな仕方で同意を与えることがあるし、いや、そこまでしてもこの人はもう分かっていないから、結局において同意はできませんということになったときに、本人が家庭裁判所にとにかく努力をして行って、許可を与えてくださいというときに、家庭裁判所は、家庭裁判所はその取引の現場に一緒にくっついていくわけにいかないから、どうしてもある程度、同意に代わる許可といっても、許可の方が抽象性が高くなるし詳細性は低くなります。その違いがあるからには、許可はかなり慎重になりますという対応をとるというところ辺りまでは想像ができて、そうなるとすると、一件一件について家庭裁判所がそういうふうに悩みながらの判断をしてもらう事項として、④を運用していってもらうことになるであろうというところまでが、この規律の文言を整理した部会のここまでの次元で精一杯言えるところであって、そこから先は、今、話題にしているような趣旨の少し不安定さというか、そういうものが、補助に一元化したことに伴って出てくるところの一つがこれであると思いますけれども、そのような仕方で運用されていくことになるくらいの話であろうとも思われますけれども、加毛幹事として更に深められたお考えがあれば、更に伺っておきたいと考えます。 ○加毛幹事 議論を深めるような見解を持ちあわせてはおりませんが、先ほど若干言及したように、補助人に代理権を付与する旨の審判との関係が問題となるような気が致します。山野目部会長がおっしゃったように、家庭裁判所が同意に代わる許可を与えることができないものの、問題となる法律行為をすることに合理性が見いだされるのであれば、代理権付与の審判で対処するのが一つの方策なのだろうと思います。もっとも、この場合、同意をしない補助人は、当該法律行為を行うことに反対の態度をとっていることも多いと思います。そのような場合に、本人からの働きかけを受けて、家庭裁判所が補助人を説得したうえで、代理権付与の審判を行うというような実務があり得るのかが問題となるように思われます。 ○山野目部会長 分かりました。それから、加毛幹事が引き続きおっしゃった特別代理人のことでありますけれども、加毛幹事の御心配をよく理解することができます。規律の密度の問題かもしれないと感じるところがありまして、民法の規定としては、特別代理人を置いてこういうことができるということを非常に簡単に書くのみであるとしても、多くの場合において、特別代理人は何らかの法律専門職種が任命される運用になっていくでしょうし、その人は仕事をした後、意思表示を受領したから終わったというふうに本当に終わるという進め方は現実的には想像ができなくて、報酬付与の審判ももらわなければいけないし、報酬付与を相談された家庭裁判所が、特別代理人に対し、あなたは仕事はきちんとしたすかと問えば、これこれこういう仕方で意思表示を受領しましたという報告をするでしょうから、家庭裁判所への報告やそれを契機とする報酬付与のところは当然あり得るという想定の下で、民法の規律はこういう簡素なものとして置いておこうということかもしれず、そうであるとすると加毛幹事が心配しておられるところは、そこはそういう仕方で実務が対処していくであろうと思われます。   加えて、加毛幹事がおっしゃったように、意思表示受領の特別代理人というものは、補助人の極めてミクロなというか、どう言えばいいか分かりませんけれども、そのようなものではないかという側面があるし、あるいは見方を改めると、多くの事例において補助開始の前駆事象として機能するかもしれないと思われます。そうすると、先ほどお話ししたように、事実上行われるであろう家庭裁判所への報告を契機に、これは意思表示を受領しただけで終わりですか、本人の財産について放っておいてもいいですかねとなったときに、そこから先は申立権を有する人に補助開始審判を促すということにしますか、というような実務運用が、またこれも実務の知恵として行われていくかもしれません。そこは分かりませんけれども。   このように少し思い描いてみても、確かに意思表示を受け取っただけで任務完了というなりゆきは余りなさそうで、受け取ったら、仮に本人の一方的利益になるようなものであったとしても、利益を受け取った後どのようにするかということについて若干の附随事務が付いて回りますから、そうすると、受け取りっ放しという経過は余り起きなくて、何かストーリーが続いていくであろうと思われますけれども、どんなストーリーをどのように続けていくかという点は民法の規定としては少し書き切れない部分があって、こういうことであろうと思われますけれども、ここも今のお考えとして加毛幹事におかれていかがでしょうか。 ○加毛幹事 ありがとうございます。おっしゃるように、特別代理人にどのような人が選任されるのかが重要であると思います。特別代理人として選任されるのが弁護士や司法書士などに限られ、弁護士会や司法書士会による監督が機能するのであれば、私の危惧は杞憂であるように思われます。そのような制度的な保障があるのかということが、特別代理人の制度を運用していく上で重要なポイントであると考えるところです。   公正中立な第三者が特別代理人に選任をされ、その職務が、波多野幹事がおっしゃられたように、特定の行為に限定されており、また山野目部会長がおっしゃられたように、意思表示の受領に行為がある場合にも、特別代理人は公正中立な立場から適切に判断してくれるというのが、望ましい在り方なのだろうと思います。そして、そのような特別代理人であれば、どこまでの行為が必要であるかを事前に予想することができ、それに基づいて報酬額も定まるので、申立人に対して適切な金額の予納が求められることになるのではないかと思います。   このような実務運用が確立するのであれば、法律において特別代理人の報告義務が規定されていなかったとしても、家庭裁判所に対して適切に情報が提供され、それに基づいて、家庭裁判所が、特別代理人が不要であるという判断をすることもできるのではないかと思います。ここで申し上げたような実務運用の確立が期待されるということを申し上げておきたいと思います。   ○上山委員 先ほどの加毛幹事の2点目の御発言に関連して少し申し上げたいと思います。   結論的には、先ほど部会長がまとめられましたように、現実の家庭裁判所の許可の実務の中で問題は解消されるのだろうと私も理解いたします。ただ、その一方で理論的には、御本人の判断能力の状況を鑑みた場合に、家庭裁判所の許可を得て行った御本人の意思表示が意思無能力、民法3条の2によって無効になるという可能性は、恐らく論理的にはゼロではないのだろうと思います。というのも、この場合において、家庭裁判所の許可という要素は補助人の同意と同様に本人の制限行為能力性を治癒するものではありますが、本人の意思無能力性までをも当然に治癒するものではないと思うからです。したがって、この点について少し解釈を考えておく必要があるのかなと感じます。   一つは単純に、家庭裁判所の許可を得てまで行っている行為ですから、正に禁反言あるいは権利濫用のような形で本人側からの意思無能力無効の主張を回避するということは一般論としてあり得るでしょう。もう一つは、本人の利益を害するおそれがないという文言の解釈について、現行法は被保佐人と被補助人という基本的には一般的な意思能力があるという人を前提にしての規定なので、飽くまでも当該法律行為の利害得失、主に経済的な利害得失の面で本人にとって不利益になっていないだろうという点に解釈の焦点が当たっているのだろうと思うのですけれども、新法の下では御本人の意思能力、判断能力の状況も踏まえて、ここに法律行為の安定性の観点を含めて、つまり、家庭裁判所が許可をした場合に、御本人が意思能力のある状況で有効な法律行為を行えるだろうということまで含めて、この本人の利益を害するおそれがないという解釈の中で評価をしていくというようなかたちとすれば、家庭裁判所の許可の裁量の中で問題を実質的には吸収できるのかなと感じたという次第です。 ○山野目部会長 理論的に綺麗な整理をしていただきました。ありがとうございます。   引き続き御意見を伺います。いかがでしょうか。 ○青木委員 今までのお話と全く違う論点になります。まず全体としては部会資料33-1でまとめていただいた要綱案について、その方向性について反対をするものではありません。ただ、これまでの議論、あるいは今日の議論でも、特定補助人の制度が本当に必要なのかどうかということについて、私自身はなお疑問を持っておりまして、つまり、事理弁識能力を欠く常況にある方について個別の特定の要同意事項の定めでは難しいものがあって、そのために特定補助人を付することが必要なのだという具体的なニーズがあるかについては引き続き懐疑的であります。   そういう意味で言いますと、この特定補助人を付することが制度としてニーズがあり、今後の制度の中で定着するものなのかどうかということにつきましては検証をしていく必要があるのではないかと思っています。具体的には改正法の施行後、例えば5年なら5年をめどにして、特定補助人を付する処分の利用状況、あるいはそれがどのようなケースで使われているかというようなことを、最高裁判所の統計上のデータも含めてしっかりと実情を把握をした上で評価をすることが必要ではないかと思っているところです。この検証には、今日も意見が出ていますように、特定補助人が部会で議論した趣旨とは違った形で使われるのではないかという危惧も示されているところですので、その点についての検証も含めて行うということになると思います。こうした検証する機会というのを、この部会の要綱案をまとめるに当たって、附帯決議などとして出していただく、あるいは、法務省が出される法律案の中に附則などの形で出していただくということを求めたいと思っています。   もう1点は、今回の要綱案の特定補助人を付する処分を設けることとした民法の制度上の理由として、民法の各規定においてこれまで後見人あるいは法定代理人として定めていたところを特定補助人に置き換えるために必要であるということがあり、その必要性を根拠にして特定補助人の処分を支持をされる委員もおられたと思います。しかしながら、この間議論した中で、委任にしても、遺言にしても、人事訴訟にしても、本来はそれぞれの制度趣旨に基づいて事理弁識能力を欠く常況の人にどういう手当てをするかという問題であると思いますので、遺言能力についてはどう考えるか、人事訴訟についてはどう考えるか、委任が当然取消しにならない場合に委任の規律をどうするかにつき、それぞれに検討して新たな手当を設けるべきものであって、事理弁識能力を欠く常況にある者であることを事前に認定している特定補助人を利用するというのは、本来の姿ではないと思っています。   そこで、これにつきましても、今回の部会の議論だけでは十分な時間がなかったのかもしれませんし、あるいは、この部会だけでは決めることができない分野でもあったのかもしれませんので、今後、それぞれの論点を検討する機会を法務省において具体的に設けて、それぞれの責任ある部署で検討して代替策を考えるということについてこの部会として提案をすることができないかと思っております。これらについては、単に議事録に残していただくだけではなくて、部会全体の意見として、あるいは法案の附則みたいなことで出していただくことをお願いできないかと思っているというのが第1点になります。   それから第2点は、先ほど星野委員からも御発言がありまして、私は第21回の部会で資料を提出をしまして、民法改正に伴い、関連する福祉法制その他の分野における成年後見人、保佐人を利用しているものについての見直しを並行して行うべきであるということを意見しました。当時はまだ特定補助人という考え方はなかったわけですけれども、今回、特定補助人を付する処分ということが明らかになり、これは全般的に重要な事項を取り消すことが必要な方について、取消権を付与するために設けられる制度でありますから、それが関連諸規定においてそのまま転用されることが相当なのかについては今まで以上に疑問が出るものになると思います。そうしますと、成年後見人、保佐人と規定しているものはまず削除する、あるいは削除だけでは制度運用が難しいものについては代替する制度を設けるということについて、この民法が施行されるまでの期間に各分野で必ず検討いただく必要があると思っております。厚労省の利用促進専門家会議を担当される占部幹事も来ておられますから、厚生労働省に関するものだけではなく、各省庁にまたがる分野についても、その対応を速やかに行うということを是非始めていただきたいと思います。   3点目ですけれども、ここで申し上げることが必ずしも適切ではないかもしれませんが、大きく法定後見制度が変わる中で、今後改正法が施行されるまでの間に、各地で新しい制度をしっかりと運用していただけるような運用体制の整備というのをしていただく必要があると思いますし、家庭裁判所の職務体制や専門職団体の対応体制その他、様々な体制整備が必要だと思いますところ、これを全体として推進していくためには、省庁の壁を越えて、法務省や厚労省や内閣府で挙げて推進すべき機関というものを作っていただき、準備をしていく必要があるのではないかと思っています。成年後見制度利用促進法もこのままの位置付けでいいのかということも含めて検討していただいて、次年度は第三期基本計画を検討することになっていますが、それにとどまらない法律の枠組みの変更や推進する体制について、省庁間での連携も含めてた対応の検討を始めていただくということが是非必要ではないかと思っています。 ○山野目部会長 青木委員から幾つか大事な御提案、御要望の意見を頂いたことを踏まえて、私から大きく分けて2点の御案内を差し上げておきます。   1点目は、特定補助人を付する処分の審判の制度が仮に設けられるということになった場合において、どのような運用になっていくかということを検証してほしいというお話を頂いていて、そのこと自体は前回会議で山下幹事が同旨のことをおっしゃいました。そのことを受けて本日の部会資料に、これは検証していかなければならないという発言を盛り込んでいます。今、青木委員からは、趣旨としてはそれを念押しする発言をしていただいたと聞きました。   その上で、最高裁判所の統計などによって、という例示も検証の方法としておっしゃってくださいましたけれども、しかし私の見るところ、数字だけ集めても余り意味がないと感じます。特定補助人を付する処分が何件ありましたと示されても、何件ありますかというものを見て、人によって結構多いですねと言ったり、それほど出ませんでしたねと述べたりして感想を言い合って終わりになります。検証をする際にはそのような、1年に何件出ましたという数の検証というか定量的な検証のほかに定性的な検証が要るでしょう。つまり、全件について詳細に見ることは、その労力からいっても難しいですし、局面によっては個人情報の保護に心配が生ずる場合もありますから、全件についてすることは難しいかもしれないですけれども、ピックアップをして、どのような経緯があって特定補助人を付する処分がされたかという話の中味というか、ストーリーの中味を見るという検証をしないと、数だけ集めてもほとんど意味をなさない、その後の制度の発展的な検討につながっていきません。   ですから、1点目として御案内しておきたい事項は、定性的検討を含めた検討がされるとよいということを御案内し、その上で2点目に移りますけれども、定性的検討と定量的検証を総合的にしようとすると、検討の体制ということも丁寧に考え込んだ上で、していかなければいけません。青木委員は5年という期間をお出しになったけれども、早く検証せよ、という気持ちが急く感覚が分かるとしても、5年はあっという間に経ちます。そうすると、最初の1、2年は皆、慣れないからこんなふうに、特定補助人ってよく分からないけれども使っていました、というような事例が混じり、それで5年目にもう調査の結果が出ていなくてはいけません、というような進め方を求めると、慌ただしく不安定だった時期を描写した調査の結果しか出てきません。5年という数字を一つの目安にする見通しは構わないですけれども、5年経ったときに出来上がった結果を見せよと要求されてした作業というものは大抵、検討の中味は杜撰になりかねません。期限に間に合わせるためだけのことで行われたものになってしまいます。ですから、それを目安としながら、その前後どの程度の幅を持たせた検証にするかという観点は、先ほどの検証の中味のことも関わりますけれども、体制をよく考えなければいけません。体制をよく考えるとすると、それはもしかしたら法務省がすることではない、あるいは法務省のみですることができるとも限らないものになってくるかもしれません。   ですから、検証のことを書くとすると、そのドキュメントをどの場所にどのように書くかという点は、これから事務当局も含めて十分に考えますけれども、政府は、という主語の文章にした方がいいですね。法務省は、と書かれても、法務省はそれはやり切れないですということになってしまいますから、その上で、ですから御案内を続けると、この部会や法制審議会の附帯決議にするという扱いは、その観点から眺めると余りいい手ではありません。というのは、法務大臣から諮問を受け、諮問を受けた事項についての答えを私たちは次回を目途に出そうとしていますけれども、それは当然、法務大臣の諮問の範囲内の事項を答えますし、追加でこれこれの事項に気付きましたからお願いします、と書く際も、これは法務大臣がおできになることでしょう、という仕方で附帯決議に書き込みますけれども、その幅で収まらなくて、政府として福祉行政などを担当している部局も含めて考えてもらわなければいけません、ということになるとすると、政府は、という主語で書く文章を法制審議会の附帯決議で書くことが許されるか、という課題が生じてきます。余儀ない事情があって過去の部会で附帯決議というものを用いた例はありますけれども、ほとんど願望の言いっ放しになっているのに近いような事例もないわけではありません。そうすると、結局それは附帯決議というものは、何か言っているだけですね、というよう感覚で見られるということにもなりかねなくて、かえって狙った重みの実現ができないということにもなりかねません。   この頃の例では、法制審議会の答申に付帯決議を付けた例として、会社法の改正の議論をしたときに、会社の法人代表者の住所が商業登記で常に明らかになってしまうところが、何とかならないかということが附帯決議で述べられていて、これは法務省の所管でできる事項ですから、体制さえ調えばしてもらった方がよいでしょうと記して、実際それは実現されました。そのように法務大臣に対して、貴職の手許でできますねというサイズで済むなら、それもあり得る方法ですけれども、それよりももう少ししっかりした構えのものを考えて、青木委員の要望に応えていくということが理想てあると思われますから、そこはまた事務当局においても悩んでもらえるでありましょうから、御要望を受け止めたというふうにお答えさせてください。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。経過措置についての要望、意見をお声掛けしましたけれども、根本幹事から御発言を頂いたのみです。大体このくらいでよろしいものでしょうか。 ○青木委員 経過措置について言い忘れましたので、追加で発言を致します。   この間、いろいろなところで改正法の説明をさせていただく研修に出ていますと、御質問で必ず出るのがこの問題ということになっておりまして、一つは、出し控えといいますか、もし新しい制度にならないと古い制度を使った人は移れないということになると、改正法施行まで利用を待った方がいいのかという意見が多く出されます。もう一つは、今やっている制度というのは終われるようにはならないのですかという質問というのが多くあります。裏返しますと、その二つの要望が非常にあるということだろうと受け止めておりますので、経過措置の中では、新しい制度に移れるということが明確になる、移り方の技術的な問題は検討が必要であるとは思いますが、もう一つは、現時点で終わりたいと思っている事案については何らかの形で終われるかどうか検討できるようにすることも盛り込んでいただけると、改正をしたことに関するメリットが、新しく申し立てる事案だけではなくて、現行の事案についても享受できるということで、利用している皆さんからすると歓迎されるということになります。あとは、家庭裁判所の運用体制とかいろいろなことを考えながら、具体的な方策を調整していただけるといいのではないかと思っております。 ○星野委員 根本幹事、青木委員とほとんど同じ意見なのですが、一つ事務局にお聞きしたいのが、禁治産制度、準禁治産制度から現行法に改正されたときは、利用している方が今の人数とは全然違うと思うのですけれども、その方たちというのは、その当時の新しい成年後見に移行する際には改めての申立てが必要だったですか。そうではない、自動的にもう法定後見に移ったわけですよね、その理解でいいですか、まず1点目。 ○波多野幹事 平成11年のときの改正の際は、禁治産宣告を受けていらっしゃった方は新しい成年後見開始の審判を受けたものとみなすとして、特段何か裁判手続を経ることなく、新しいいわゆる後見の仕組みが適用されるというようなことになっていた。準禁治産につきましては、保佐開始の審判を受けたものとみなすというのが基本でして、ただ、浪費者の方がいましたので、その関係だけは前のままというような扱いがされたというところで、基本的には禁治産宣告と今の後見、従来の準禁治産と今の保佐というのが対応する形の法制度になっていたものですから、そのとおり適用するというだけの手当てがされたと理解をしております。 ○星野委員 利用している方が25万人を超えているというところと、それから、この制度自体がそのときの改正とは全く違っているというのはよく理解はできます。   ただ、少し私がここで感じているのは、新しい法律に変わるというときに、従前利用していた方が何か希望や意向を、先ほど根本幹事が、周囲の人がとか、あるいは後見人、保佐人がそこをしっかり認識して、新しい制度に向き合うということができればいいのですが、もしそうでない場合は、前のときの法改正とは異なり違旧制度といいますか、従前の位置づけのままになるということは何とか避ける方法を考えていただく必要があるということは意見として申し上げたい。すべての利用者の方が新法に切り替わるには時間が掛かるということを重々承知していますけれども、やはり新しい制度に照らして見直すことができるということが基本的には必要な考え方ではないのかという意見です。 ○山野目部会長 経過措置の点でも結構ですし、そのほかの点でも結構ですが、大体よろしいですか。   そうしましたら、お声掛けをした際に御案内したように、経過措置の問題は今日、委員、幹事からお出しいただいた御意見も参考にしつつ、政府において検討するということになります。事務当局はどう考えていますかと尋ねられればそういうお答えになるというりゆはが、波多野幹事に尋ねなくてもそのようなお答えになりますから、私から話してしまいますけれども、その上で、しかし委員、幹事のお気持ちとしておっしゃっていただいたところを汲み取って一言申し上げるとすると、法制執務の現場で用いられている面白い言葉を御案内しましょうか。「なお従」という言葉がありまして、これは法制執務の現場において、附則に経過措置を書くときに、なお従前の例による、と、新しい制度はこれまでの法律関係には適用しないということを表現する際、省かないで述べると「なお従前の例による」ですけれども、現場では、そのような規定をしばしば設けることになりますから「なお従」と呼んでしまいす。刑事実体法の犯罪構成要件を定める規定は、必ず「なお従」でなければいけなくて、憲法39条の要請がありますから遡ることができないですけれども、民事に関する法令は多くの場合において「なお従」で、遡及しないで実施するということがされますけれども、しかし遡及して扱っていけないということは何もないというか、十分な理由があればそれは可能でありまして、理論的に妨げられているものではありません。   本日3人の委員、幹事からおっしゃっていただいたところは、それぞれの詳細におっしゃっていただいたところを繰り返しませんけれども、一言で申し上げれば、単純な「なお従」にしてくれるなということをおっしゃっていただいたと受け止めました。従来の後見、保佐、補助という三つの類型を大きく改めようとする提案をこれから私たちはしていこうとしていますけれども、新しい類型編成の下で現在の制度を用いる人たちが暮らしていけるような何らかの工夫をしてほしいという御意見をそれぞれ強くおっしゃっていただいたものと受け止めますから、政府において参考にしてもらえると期待します。   加えますと、それをおっしゃった方がおられませんでしたけれども、類型の問題のほかにも一つ例を挙げると、858条ですね、河村委員が御努力なさって意思尊重義務をもう少しきちんと読み取れるようにしてほしいというような提案を頂いて、それを実現していく方向に向けて話が進んだ点は、あれは別に今の規定の考え方を転換したわけではありませんから、もうすぐに用いてもよいではないかという気もしなくはありませんから、そこも政府として検討してもらえることでしょう。 ○河村委員 先に進んでいるところ申し訳ありません。直前のところの青木委員の御発言に私は賛同するものであります。それで、検証のところで、部会長からもいろいろと現実的な省庁の所掌範囲とかいうお話もあったのですけれども、どう書くとうまくいくかということは私はよく分からないのですけれども、検証すべきというところは特に、議事録にとどまらない何かを残して実現に向けてほしいと思います。また、部会長が定性的とおっしゃいましたけれども、私も本当に気になるところは件数などとは別に、更に言えば、専門家の方々の使い勝手とか手続上の不都合とかということとは別に、本当は御本人にとってどうだったのかということを知りたいわけです。しかしそれは非常に、特に特定補助の場合は難しいとは思うのですが、それでもあえて申し上げますと、本人の利害とか利益を守るとなっていますけれども、それはその人が亡くなるまでに、例えば一円も財産が減りませんでしたね、金銭的利益がありましたねということではなくて、やはりその人の人権が侵害されなかったか、その人が特定補助という制度の中にいた間、そのことによって不幸せを感じることがなかったかが最も気になります。それがなければもっと幸福だったのではないかというようなことがあってはならないと私は思っているのです。ですから、無理なことを申し上げているかもしれませんが、そういうことも含め検証するということが、何か議事録にとどまらない文言として残ったらいいなと希望いたします。 ○山野目部会長 お話はよく理解することができ、承りました。ありがとうございます。 ○久保野委員 全然また違うところなのですけれども。まず、今回取りまとめの要綱案について、ここまでまとめていただいたことにつきまして、ほかの人と同様に、大変有り難く、事務局、皆様の御努力に感謝しております。そして、発言の趣旨は、途中で、常岡委員から、未成年後見制度への影響をよく考えること、今後、未成年後見制度について整備が必要だという御意見が出されていて、そのこととの関係で、私がするのは不適切かもしれないのですけれども、発言させていただきます。部会資料の33-2の18ページの11行目の(前注)のところに、第4編第5章の規律について法定後見制度との関係では削除するということが示されていまして、これが恐らく非常に大変な作業なのだろうということを今改めて気付いたところであります。御質問として、現在定まっている範囲で結構なのですが、この第5章がどのような表題のどのような内容の章になりそうかということについて見通しを教えていただけると有り難いと思います。   同じ資料の最初のページに、859条の規律を法定後見との関係では削除するということが書かれているのですけれども、例えば他の条文で、これは削除されそうだということですとか、未成年後見制度との関係で整理が必要そうなことについて、どのような点がありそうかといったことについて、私自身が詰めないまま発言をさせていただいているので、質問自体が漠としていて申し訳ないのですけれども、第5章の有様について方向性を教えていただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。 ○山野目部会長 波多野幹事、お願いします。 ○波多野幹事 ありがとうございます。部会資料冒頭の(前注)におきまして、859条の規律を削除すると、ここで第4編第5章の規定のうち859条だけを取り上げましたのは、この開始の要件、効果の中で、開始ないしは効果として代理権ないしは要同意、同意権という関係の規定についてどのように変わるかというところをこの第1の1、2で示す必要があるということから、ここは859条だけに言及したものでございます。   今、久保野委員から御指摘ありました18ページの3の手前の(前注)のところで民法第4編第5章について言及しておりますのは、第4編第5章が現行法においては後見という章名が付されており、この中には成年後見と未成年後見が併せて規律されているということとの関係で、今回の見直しが、いわゆる後見、保佐、補助という類型との関係では後見、保佐の類型を削るということで、補助の類型に一元化するということとの関係で行きますと、現在第4編第5章に規定されております成年後見に関する規律というのは基本的に要らなくなるという関係になるものですから、その規律を削っていくと。そうしますと、イメージとしましては未成年後見だけの章になると、未成年後見に関する規律、規定だけが残っていくというようなことを想定しているものでございます。大枠はそのような御説明になります。細かいところで何か工夫をするところがないのかと言われると、ないわけではないかもしれませんが、大枠はそういうことでございました。 ○山野目部会長 久保野委員、お続けください。 ○久保野委員 ありがとうございます。今日の時点では、少しだけ気になった点は、例えば859条の2といった条文がどうなるかといったようなことなど、総則的な位置づけのものとして必要なものがあるのかないのかといったようなことが観点としてはあり得るのだろうと思いました。ただ、この作業は補助の方の876条の10と照合しながら、何がそちらの章に移り、何が残るのかということだと思いますので、その点が整理されていくということを確認させていただいたということで、私からは以上で結構でございます。ありがとうございました。 ○山野目部会長 どうもありがとうございました。   引き続き伺います。 ○常岡委員 今、久保野委員が発言されましたので、少し補足ですが、余り細かいので申し上げないでもよいかと思っていたのですけれども、例えば859条について、部会資料では法定後見制度との関係では削除すると書かれています。けれども、そもそも法定の成年後見制度ではもうこの規定は使わないけれども、法定の未成年後見制度では引き続き必要な規定なので、当然それはお分かりのことだと思うのですが、少し疑義を招くような表現かなと思ったりしています。結局、現行の民法第4編第5章の後見の規定は、未成年後見と成年後見の規律が重なっているものと分かれているものが混在していますので、正にものすごく大変な点検の作業をこの後されていく必要があるのだろうなと思っています。大変なことですので、何かお役に立つことがあればさせていただきたいと思っているのですけれども、いずれにしてもその辺りは慎重に見極めをして、個々の規定につきそれぞれ点検をやっていくということを前提でということかと、ここの法定後見制度との関係のくだりで第859条の規律を削除するというのは、そういう趣旨だと読めばよいということで理解いたしておりましたので、そこだけ確認です。   あと、これはもうこの期に及んでという気もしますけれども、先ほど青木委員から、特定補助の制度を民法等いろいろな規定との関係で安易に用いるのはどうかという御発言もあり、それは正にそのとおりかと思いますが、例えば人事訴訟について特定補助に依拠しない仕組みをどのようにするかといったことは、法務省の担当の方には少し意見を申し上げたりしておりますけれども、それもここでやるには時間的にも、また対応的にも非常に困難なことはもう想定されておりますので、今後の検討に期待したいと私の方でも思っているというところでございます。 ○山野目部会長 波多野幹事から御発言があれば、伺います。 ○波多野幹事 部会資料で法定後見制度との関係ではという言葉を使ったところが、もしかするとうまく伝わらないのではないかという御指摘かと思います。これまでの部会資料の中で法定後見制度という言葉を、成年後見と保佐と補助という、その三つの制度という定義付けをして使ってきたということがありましたので、このような使い方をしたところでございますけれども、未成年後見は残すと直接に書いた方がいいのかもしれないので、その辺りの書き方は少し検討いたします。なお、趣旨としましては、859条、今御指摘いただきました条文に沿って申し上げますと、未成年後見人は、未成年被後見人の財産を管理し、となってくるというような形で残っていくということを意図しているものでございます。 ○山野目部会長 文書の作り方について少し御案内を差し上げておきます。法制審議会で出す要綱案や要綱の言葉遣いは、なるべく法文になったときのイメージに近付けるものとして出していくようにしているものでありまして、ここまで法制執務を意識した答申の文書を作っている政府の審議会は珍しいです。ですから、ほぼ法文の姿をお見せしているというふうなことまでは、そのとおりですけれども、ただし、厳密に法制執務の言葉遣いどおりで言葉を選んでいるものではありません。例を挙げると、「削除する」と「削る」の区別はしていません。もうなくしてしまうものは全部、削除すると表現しています。その観点で行くと、お話があった、法定後見制度との関係では何条の規律を削除するという表現は、法制執務のテクニカルから見ると変な言葉遣いです。規定というものは削除するか残すかどちらかであって、何とかとの関係では削除するということはあり得ませんから、ここはは、法定後見制度との関係では859条に相当する規律を廃止するということを伝えたいものです。今までの要綱の文書の作り方の慣行で、このような局面は、今お示ししているような、規律を削除するというふうな言葉遣いも用いてまいりました。その考え方で本日お出ししている部会資料もお示ししています。もっとも、従来の言葉遣いがそうでしたという御案内にとどまるものでありまして、なるべく各方面から見て分かりやすい表現になっていた方がよいに決まっていますから、今、波多野幹事がお話しになったように、今話題にしていただいた事項は、実質は皆さんが合意していますから、あとはなるべく分かってもらえる誤解の少ない表現にするべく考えてみるというお話を波多野幹事からもらいました。事務当局において考えてもらうということにいたしましょう。 ○竹内委員 今の条文整理という観点から、前回も発言したのですけれども、未成年後見の話直接ではないのですが、民法の条文に738条の婚姻や780条の認知、794条の後見人が被後見人を養子とすることを許可するところで、ここでも未成年と被後見人が並列して規律されている条文がありますので、それぞれの条文の趣旨を鑑みて、削除するのか置き換えるのか、その点の検討も必要になってくると思います。 ○山野目部会長 波多野幹事の方で、今、竹内委員から御注意いただいたお話に相当する作業を進めていると想像しますし、また、御注意を踏まえて更に進めていくであろうと予想します。それでよろしいですか。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは、久保委員、花俣委員にこの順番でお声掛けをします。 ○久保委員 今、皆様の細部にわたるお話もお聞かせいただきまして、本当に大きな転換といいますか変更をしていただいて、本当に有り難いなと思って聞いておりました。少し前にお話しされていたように、私ども利用する側の者としましては、この前も少し私は発言させてもらったのですけれども、新しい法律になるのを待っている人が結構おられまして、いつになるのだろうと、それまではもう待っているのだというお話をされる方も結構おられますし、今もう使っているけれども新しい法律に変われるのかということも聞かれる方もたくさんおられるわけなのです。明確にお答えが今までは余りできなかったですけれども、ごく最近は、変われるようになると、ただ、いろいろ手続は必要であるというように議論は進んでいますという話はしているところなのですけれども、それでよかったのかというのが最終的な確認なのですけれども、そういう説明の仕方でよかったのでしょうか。 ○山野目部会長 経過措置については政府にこれからの検討の事項として委ねると御案内しておりますから、事務当局からはお答えを差し上げません。私から御案内を差し上げます。2点御案内します。   1点目は、久保委員が基本方向として今まで周りの皆さんにお話ししていただいてきたところで相違ございません。そのとおり引き続きおっしゃっていただいて宜しいです。更に付け加えますと、少し手続が面倒だけれども新しい制度を用いる可能性があります、とお話しいただいた、少し手続が面倒だというところを余り強調していただく必要もないかもしれません。面倒でしたら全然、新しい制度の醍醐味が皆さんに味わってもらえないことになりますから、何もしないというわけにはいかないですけれども、それほどたくさんの事務、手続をしないと駄目であるというふうなことをこれから政府が考えていくということは、今日の部会でお出しいただいた御意見の雰囲気を踏まえると、さほど考えられないことですから、余りそこは強調しないで、新しい制度の方に恐らく行けるだろう、今のところ恐らくだけれども、きっとそうなりますと御案内いただいてよろしいと考えます。これが1点目です。   それから、もう1点申し上げます。恐らくそのような方向に実質、行くでしょうけれども、いざ出てきた法律案の法文を見ると、経過措置の文章はかなりテクニカルに書き込まなければいけないものですから、読んだだけでは分かりにくいです。あのときそういう話を聞いていたのに、この日本語はそのように理解するものですかというようなものが多分出てきます。何かよく分からなくて裏切られたような気分になるかもしれませんが、余り落胆しないで、その時点で法務省がまたきれいな色刷りの絵を作ってもらえると期待しますから、その色刷りの絵などを示しながら、政府から広報、説明を受けるところを聴いていただいて、また周りの皆さんにお伝えいただければ有り難いと考えます。   久保委員、本日のところはこのぐらいの話でひとまずの御安心を頂けますか。いかがですか。 ○久保委員 はい、ありがとうございます。それが皆、今はもう、いろいろな意味で選べるようになってきて、随分と変えていただけるのだなというのは皆、大分理解をしてきていますので、ただ、今もう成年後見をうちは使ってしまっているのだけれども、みたいな人が結構いますので、そういうところが今、皆の関心事になっていますので、今お答えいただいたことで十分でございます。ありがとうございます。 ○山野目部会長 どうもありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。 ○花俣委員 久保委員のところと違って、当会では利用されている方が切実な思いを持っていらっしゃるという声はなかなか聞けないのですけれども、新しい制度の新しい姿はっきりしてきた、ここに至るまでの諸先生方の真摯な御議論に敬意を表すとともに、心より感謝申し上げたい、もちろん事務局の皆さんも同様です。   ここから後は、新法の施行までまだ時間があるのでしょうけれども、その間の経過措置というか経過規定における課題というのも大変大きいのだなということを今日の議論の中で感じました。つまり、新しい制度に生まれ変わる、新法が形として決まったのは決してゴールではなく、ここからがスタートなのだということも改めて感じた次第です。新しい制度が、新しい法律が、どのように運用されていくのか、そして、それが本来ここで長い時間を掛けて尽くした議論に沿ったものになっていくのかどうかということを見極めていくのは、むしろエンドユーザーの私たちなのではないかとも思っていますので、引き続き諸先生方を始め法務省の皆さんにも御指導いただきながら、施行までの間に更に頑張ってまいりたいと思った次第です。   以上です。本当にありがとうございました。 ○山野目部会長 ゴールではなくてスタートですというお話、皆さんの思いを集約して代表しておっしゃってくださったと感じます。ありがとうございます。   次回の会議につきまして、まず波多野幹事から御案内を差し上げ、私からも御案内を差し上げる事項がございます。まず、波多野幹事からお話を差し上げます。 ○波多野幹事 本日も長時間御審議いただきましてありがとうございます。   次回の予定について御説明いたします。次回の日程は令和8年1月27日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所はこの大会議室でございます。次回は、本日の議論も含めまして、要綱案の案を作成してお送りする予定でございまして、その資料に基づいて御議論をお願いし、要綱案の取りまとめに向けての御議論をお願いしたいと考えているところでございます。 ○山野目部会長 次回、第33回会議は、ただいま波多野幹事から御案内を差し上げた仕方で開催されます。この会議の実質的な中味の進行について、皆さんに御案内、御相談を差し上げる事項がございます。   通例これまでですと、法制審議会に設けられた専門部会、民法(成年後見等関係)部会も一つの専門部会ですけれども、専門部会の会議の最終の日というのもは、形式的な手続を執り行って、かなり短い時間で終わります。イメージとしては1時間ぐらいで終わってしまうような会議が珍しくありません。私たちの部会も特段のことをしなければ、従来の先例を履んでそのように進むことになるでありましょう。しかしながら、今、花俣委員がお述べになったことが委員、幹事の共通の思いであるであろうと想像いたします。私たちは次回の会議で、特段の躓きがなければ議事手続を行うことになりますけれども、それは正におっしゃられたようにゴールではなくてスタートであります。スタートであるとすると、今後の課題が何であるかということについてお一人お一人のお考えがあることでしょう。これまで意見交換を重ねてきましたから、課題として御指摘いただくことはかなり共通しているとは想像しますけれども、しかし、それであっても委員、幹事、お一人お一人の向き合い方、力点の置き方はそれぞれのお考えや、それから、拠っておられる立場によって必ずしも同じではありません。   そうすると、どなたか一人が、例えば私が、今後の課題はこういうものがありますというようなことをと述べて終わりにするということではなくて、委員、幹事お一人お一人に御発言を頂きたいと望みます。もちろんそうは申しましても特段その種類の発言を望まないという方に発言を強いるということまで考える必要はありません。そのようなことですから、次回会議は委員、幹事のお望みになられる方から、今後に向けての課題ということを趣旨とする随意の御発言を頂いた上で議事手続に進む段取りを考えたいところでございます。委員、幹事におかれては、御発言になられるのであれば、是非、歴史に残る演説をしてください。委員、幹事、皆さんお世話になりましたとか、事務当局も御苦労様でしたとか、そのような話は要りません。つまり、21世紀の後半の日本国民が、2026年にされるということにこれからなっていく成年後見制度改革のときに、どのようなことが議論され、後世に対してどのようなことが課題であるというふうに皆さん言い残したであろうかということを、その時代の、もしかしたら私たちが会う機会がない人たちかもしれませんけれども、その人たちが読み返してみて、このときこういう議論がされていたということを読んで、更に前に向かっていってもらうための御発言をしていただければ有り難いです。その時代の日本の国民が読んだときに、やはりこの課題はしてみたら問題だねと感ずる事項があるかもしれないし、いや、その事項は解決したから大丈夫だったけれども、異なる課題が生じてきていると受け止めるかもしれませんし、それは様々、多岐にわたるであろうと予想します。   追って事務当局から事務的な段取り等のお声掛けをするかもしれません。あらかじめ御発言の機会を得たいということをお伝えいただいた方を優先して委員、幹事の御発言を頂きます。それをお伝えいただかないと、もうその発言の機会を差し上げないというところまではしませんから、その場の時間の様子を見て柔軟に運用しますけれども、滑らかな議事の運び方を考えると、そのような段取りが考えられるところでございます。そのような御発言を承った後で、いつまでもこの部会を続けるわけにはいきませんから、法制審議会の総会の方に諮っていくための案を次回は御協議いただき、お取り決めいただくという段取りも予定しているところでございます。   波多野幹事と私から次回33回会議に向けての御案内を差し上げましたけれども、何か御意見やお尋ねがありますれば承っておきます。いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。それでは、次回に向けて、どうぞよろしくお願い申し上げます。   これをもちまして法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第32回会議を散会といたします。どうもありがとうございました。 -了- -43-