法制審議会 会社法制 (株式・株主総会等関係)部会 第13回会議 議事録 第1 日 時  令和8年4月15日(水)    自 午後0時59分                         至 午後4時10分 第2 場 所  法務省地下1階大会議室 第3 議 題  参考人からの意見聴取 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○神作部会長 それでは、予定した時刻となりましたので、ただいまから法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第13回会議を開会いたします。   本日も皆様、大変御多忙の中、御参加いただき誠にありがとうございます。本日もウェブ会議の方法を併用して議事を進めさせていただきます。初めに、事務当局からウェブ会議に関する注意事項の御案内を頂きます。よろしくお願いいたします。 ○宇野幹事 事務当局より御説明を差し上げます。ウェブ会議を通じて御参加されている皆様につきましては、御発言される際を除きマイク機能をオフにしていただきますよう、御協力をお願いいたします。御質問がある場合や審議において御発言される場合は、画面に表示されている挙手機能をお使いください。指名がされましたら、マイクをオンにして御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをオフにし、また、画面の挙手ボタンを再度押して挙手を下げていただきますようお願いいたします。なお、御発言の際はお名前をおっしゃってから発言されるようお願いいたします。会議室にお集まりの方々におかれましても、ウェブ会議の方法で出席されている皆様にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、お名前をおっしゃってからの発言に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。 ○神作部会長 御説明どうもありがとうございました。   本日の会議の出席状況について申し上げます。本日は石井委員、松井智予委員、行岡幹事が御欠席と伺っております。   続きまして、本日の審議に入る前に、事務当局から配付資料についての御説明を頂きます。よろしくお願いします。 ○宇野幹事 配付資料について御確認いただきたいと思います。本日は、参考人としてお越しいただいている皆様からの御提供資料を三つ配付しております。   まず、参考人提供資料「スタートアップ・エコシステムの真の加速に向けて『会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案』に対するスタートアップ企業からの提言」は、本日参考人としてお越しいただいた一般社団法人Fintech協会の木村様から御提出があったものでございます。後ほど木村様から御説明を頂きます。   また、参考人提供資料「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案『株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項』について」は、同じく本日参考人としてお越しいただいた日本証券業協会の森本様から御提出があったものでございます。後ほど森本様に御説明を頂きます。   最後に、参考人提供資料「開示・監査一本化に関する会員向けアンケート調査結果(概要版)及びJICPAの意見」は、本日参考人としてお越しいただいた日本公認会計士協会の小倉様、小島様から御提出があったものでございます。後ほど小倉様、小島様に御説明を頂きます。   配付資料の御紹介は以上でございます。 ○神作部会長 御説明どうもありがとうございました。   それでは早速、本日の審議に入りたいと存じます。前回の部会でお諮りいたしましたとおり、本日は今回の見直しの対象となる事項について深く関わっておられる方々を参考人としてお招きしておりますので、参考人の皆様からのヒアリングを実施したいと存じます。   本日は参考人として三つの団体にお越しいただきました。具体的には、第1に、スタートアップの方々の御意見を御説明いただける団体として一般社団法人Fintech協会、第2に、株主総会のデジタル化に関する参考人として日本証券業協会、第3に、事業報告等及び有価証券報告書の開示の合理化に関する参考人として日本公認会計士協会の皆様にお越しを頂いております。大変ありがとうございます。   まずはFintech協会からのお話を伺いたいと存じます。参考人としてお越しいただきましたのは、一般社団法人Fintech協会代表理事副会長、フリー株式会社常務執行役員CPO、木村康宏様でいらっしゃいます。   木村様におかれましては大変御多忙の中、資料を御準備いただき、また本部会に御来臨賜りまして誠にありがとうございました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。ヒアリングの進め方につきましては、初めに木村様から御説明を頂いた後、質疑応答の時間を設けたいと考えております。   それでは、早速でございますけれども、木村様、御説明をよろしくお願いいたします。 ○木村参考人 御紹介ありがとうございます。Fintech協会の木村でございます。当協会はFintechを中心にスタートアップの団体として10年ほど活動をしておりますというところで、今般の中間試案に対しての御意見というところでお話しさせていただければと思います。   お手元、1枚おめくりいただきまして、はじめにというところで、簡単に今回の資料のサマリーということで書いておりますけれども、いろいろな背景等はもう割愛いたしますけれども、大きくは、やはりスタートアップにとって最も貴重な経営リソース、人とか時間とか資金というものをきちんと事業成長に集中できるような環境を作っていきたいということが趣旨でございます。その点で今回、試案の中では攻めのデジタル化というようなところは御提案いただいているものと思って、これは強力に推進いただきたいと思いますし、一方、建設的な対話の阻害になるような事象というところは守りの規律をしていければというところは思っているところです。   少しここから具体的にそれぞれお話ししてまいるのですけれども、1点目が攻めの要素というところで、3点、バーチャルオンリー株主総会の一般法化というところと、知財出資のお話というところと、従業員への株式無償交付の解禁をするというところで、3点あると承知しておりますけれども、1点目のバーチャルオンリー株主総会の一般法化というところと、知財出資の検査役調査の不要化であるとか、責任限定を強くするというところに関しては、試案で頂いているところ、定款変更により開催可能にするであるとか、特別決議で価額を定めれば調査不要であるとか、こういったような試案で御提示いただいている内容というのはとても良い内容だと感じておりまして、是非早期実現をお願いしたいと思います。もちろん、さらに、総会に関しては定款変更しなくてもできるようにするとか、より簡便な道というのもあるのかなと思いますけれども、まず、試案で頂いているような内容を早期に実現できればというところが思っているところでございます。   3点目の従業員等への株式無償交付の解禁というところですけれども、ここに関してはA案の取締役会決議を必要とするというものと、B案の総会の枠決議が必要であるというものの2案を示されていると思いますけれども、スタートアップの実務的な立場としてはA案を強く支持したいと思っております。B案なのですけれども、B案でもできないわけではないのだと思いますけれども、実際スタートアップの事業の変化の中で採用の事情、今どういう事業がどういうフェーズでどういう人が、今このタイミングで御縁があったので、ここで入ってもらったら事業成長できるみたいな、そういうタイミングの妙みたいなものというのはすごく重要だと思っていまして、機動的に採用オファーがしづらい案というのはかなり苦しいなと感じるのが率直なところでございますし、そういった手続の中で、そういった情報というのを秘匿しながら進めていくというのも結構大変であると感じておりますので、既存の有利発行の枠組みの中で取締役会に委ねるというようなA案がよいのではないかと感じているところでございます。   ここから続いて、守りの濫用防止とか対話の質向上のテーマのところで1点ずつお話ししますけれども、1点目は株式交付制度の拡充と買取請求権の撤廃というところでございますけれども、子会社株式への追加取得の適用拡大であるとか、買取請求権に関しては撤廃すべきではないかという議論と、維持すべきという意見もあって、議論がされていると試案の中では承知しておりますというところなのですけれども、スタートアップの立場というところで申しますと、反対株主による株式買取請求権というのは撤廃してもいいのではないかと、した方がよいのではないかというところを御提案させていただいております。   理屈としては、有利発行の枠組みに近いものとして捉えて、買取請求権はそもそも不要なのではないかというような整理がよいのではないかと思っておりますし、それによっての影響というところで行くと、やはりここでこのような形にしておかないと、現金流出というところを恐れてスタートアップによる買収自体の断念ということがどうしてもリスクとしては発生してしまうのではないかというところは思っておりますし、実際、市場売却で投下資本が回収可能であったとしても、やはり市場価格を上回る価格を狙った権利行使みたいなものが常態化していくと、それはそれで、やはり事業投資に回すべき資金というのがそこに集中できないということも起こり得ると思っておりますので、実態としてM&Aの推進というのをやっていくのであれば、やはり株式買取請求権というのは撤廃すべきであろうと考えております。   2点目ですけれども、実質株主の把握というところと、今回実効性ある制裁と書かせていただいておりますけれども、試案ではこの回答拒否に対する過料というところで御提案いただいていると思いますけれども、ここはより踏み込んで、議決権行使の制限というところに踏み込んだ方がよいのではないかと考えております。やはりここはお金での少額の罰というところは実際コストとしては非常に低い、余りこれが抑止になるとは思いづらいというところと、やはりきちんと権利としてのところに制限が掛かるという形を採った方が実効性があるのではないかと考えています。   ここに関しては、もちろん権利保護に対しての懸念というのはあるかもしれないのですけれども、これを1回で制限をするのか、そこをステップを刻んで制限をするのか、あるいは制限をする判断主体というのを会社でやるのか、あるいは第三者に委ねるのかとか、いろいろな多分調整の仕方があると思っているので、議決権行使の制限による権利の制限というところは、それはそれで手当てのしようはあるのではないかと思うのですけれども、一方過料にとどめると、そもそもやりたかったことの趣旨というのはなかなか果たすのが難しいのではないかと、こういうようなことを考えている次第でございます。   続いて、株主提案権300個要件の廃止というところですけれども、こちらに関しては、試案では、個数要件を廃止するというA案と個数要件のまま引き上げるというB案が提案されていると思いますけれども、我々の立場としては個数要件を廃止して割合要件、例えば1%みたいな形で一本化したらいいのではないかと考えています。これをやはり個数の中で維持するというところは結構限界があるのではないかと感じています。   もちろんこの件も、では少数株主の方の権利はどうするのだという点もあるとは思うのですけれども、そこも救済措置というのはいろいろあり得るのではないかと思っていまして、1%、ここに仮で例として書かせていただいていますけれども、諸外国で言えばもっと高い比率というのもありますし、そこでも少数株主の方を保護するいろいろな工夫というのは実際されていると承知していますので、そのような工夫を組み合わせながら、こういったような方向で考えるのがいいのではないかと御提案させていただいております。   4点目で、臨時総会の招集要件の厳格化というところですけれども、ここもまだ試案の中では議論中というような認識でおりますけれども、我々としては現行の3%以上・6か月保有という要件から5%以上・1年間保有というぐらいに引き上げてもよいのではないかと考えています。ここは一つ、完全に同じような話というわけではないものの、大量保有報告義務の類似基準というので、こういうのが一つ考え方としてあるのではないかというところで書かせていただいておりますけれども、少なくとも現行の要件からの引上げというのは行われてもいいのではないかと感じております。いろいろ背景としては、実際これによって臨時総会を開催するというのは、一個一個のスタートアップにとっては必ずしも軽い負担ではないし、そこによって、むしろ事業成長という全株主への利益というのが毀損するリスクというのはやはりあるのではないかというところが背景としてございます。   最後に5点目、株主提案、臨時総会招集で提案できる議題範囲の適正化というところですけれども、今回、試案の中では結論というところは見送られていると認識しておりますけれども、我々の立場としては、定款変更という形式を採るとしても、取締役会の権限に属する業務執行事項というのは議題とできなくてよいと、できないという方向で明文化したらいいのではないかと感じております。   少し長くなりましたけれども、私からのお話としては以上でございまして、最後まとめとして書いておりますけれども、ここまで申してきたような、デジタル化を進めて柔軟に手続を進められるようにするというところと、スタートアップが事業成長に集中できるような建設的対話により集中できるというところを目指していければと思っております。   御清聴ありがとうございました。 ○神作部会長 どうも御説明ありがとうございました。   それでは、続きまして質疑応答の時間を設けたいと存じます。ただいまの木村様の御説明につきまして、御質問のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○北村委員 木村様、詳細なプレゼンテーションを頂きありがとうございます。私からは2点お伺いしたいと思います。   まず、3ページの従業員等への株式無償交付に関しまして、A案とB案のうち、B案については機動的に採用するのに使いにくいため、A案を強く支持されるとの御説明でございました。今回の中間試案はA案又はB案、あるいは両方という提言になっておりますので、場合によっては有利発行可能性を全く懸念することなくこの制度を使えるB案というのも必要になってくる場面があろうかと思います。このA案とB案の併用という案についてどのような御意見をお持ちでしょうか。 ○木村参考人 選択できるということであれば、特に実務上は懸念はないと思います。 ○北村委員 もう1点は、4ページの株式交付制度の拡充に関して、反対株主の株式買取請求権を撤廃してほしいという御意見がございました。部会でもいろいろ議論があったところでございますけれども、株式交付は組織再編の一環であり、ほかの組織再編と同じように、会社の基礎の変更であるから反対株主の株式買取請求権がセットされています。一方で、今回は、現物出資で検査役の調査を不要とする制度を別途設けようとしています。そうすると、株式対価M&Aをする場合、株式交付方式と現物出資方式が並列しているときに、株式交付について反対株主の株式買取請求権を撤廃するというニーズがどれほどあるのか、言い換えれば現物出資で検査役調査不要かつ反対株主の株式買取請求権もないという制度を使うという方法はかなりハードルが高いとお考えなのか、この点はいかがでしょうか。 ○木村参考人 そうですね、税制改正によるアプローチでもあるのだろうとはもちろん思うのですけれども、代替手段というのではなくシンプルに、余計なリスクがないシンプルな制度というのを欲している、会社法の中で完結できる制度の方がシンプルでいいのではないかというようなところでございますけれども、あとは、税制面というところで行くと、現物出資におけるところの課税の繰り延べというのも一定の限定要件があるとか、そちらはそちらでいろいろな議論があるのかなと思うので、そちらがまた解消できる道があるとか、そこら辺の整理も付いていくのならば、そこもまた道はあるのかなと思うのですけれども、そういったところを全部今のままだとすると、シンプルなこういう会社法で完結する制度の方が実務的には好まれやすいのではないかというのが今のところの感覚というところです。 ○北村委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松尾幹事 どうもありがとうございました。まず前提としてお尋ねをするのですけれども、貴協会の会員は上場会社、非上場会社、どちらがどのぐらいの割合でおられるのかという点と、少しそれと関連するので、もう一つ質問を続けますと、4ページのところで今御指摘があった反対株主の株式買取請求権の撤廃について、これは上場会社、市場価格のある株式についての提案について撤廃すべきであるということをおっしゃっている一方で、下の四角の三つ目のポツのところで、ユニコーンが生まれないというのがあって、ユニコーンというのは私の理解では非上場のまま企業価値が大きくなるということだとすると、仮に株式買取請求権を撤廃するとしても、上場会社に限るのであれば、ここのニーズには応えられないことになるのかなと。 ○木村参考人 おっしゃるとおりですね、すみません。ここは少し、最後のポツのところは不整合していると思います。ユニコーンというのは、ここで厳密にそう書いているというよりは、事業再編という言い方をしたところだったのです。きちんと上場後も継続してスタートアップが成長していく、その手段としてM&Aが活用できるということを実現したいという趣旨でございます。当協会の会員としては、数としてはやはり上場スタートアップはそれほど多くはないのでございます。数ベースで言えば、やはり未上場のスタートアップが多いのですけれども、上場しているところに関してはやはりこういう声を、中で議論をしていると、頂くというところです。 ○松尾幹事 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   ○矢野幹事 今の御質問の少し続きみたいなところを含めて、複数あるのですけれども、Fintech協会さんは、すみません、私は定款等を見る限りは、正会員は非上場企業であって法人会員さんは正会員ではないのではないかと思ったのですが、それは違っているのでしょうか。 ○木村参考人 総会での議決権という意味での会員資格、正会員、非正会員というところはそうなのですけれども、私も今、理事をやっておりますけれども、既に上場スタートアップというところで、意見としてはそこも含めて全て収集してお話ししているというところです。 ○矢野幹事 なるほど。すみません、今日はそれで、私は非上場関係のお話を伺いたいなと思いまして、少し聞きたいことを幾つか用意しておりまして、その辺、必ずしもこの資料とは少し関係ないかもしれないですけれども、幾つか伺ってよろしいでしょうか。 ○木村参考人 私の分かる範囲であれば。 ○矢野幹事 お話の内容としては全て非上場を前提とするということになりますけれども、まず、これは差し支えない範囲でということになるのですけれども、協会さんのベンチャー会の方の、例えば資本金の額というのは大体どれぐらいなのかといったところとか、あとベンチャー会員さんというのは抜ける、端的に言えば、例えば事業をやめることになって抜けられる会員さんというのはどれぐらいいらっしゃるのか、逆に上場するなりして法人会員になる方というのはどれぐらいいらっしゃるのかといったところを、差し支えない範囲で教えていただければと思っているのですけれども。 ○木村参考人 そうですね、資本金の額というところは、すみません、こちらの方でなかなか把握していないところですけれども、退会とか、あるいはその中でベンチャーから法人会員というふうに、要は上場するというのは数としてはそれほどやはり多くはないです。逆に、廃業するという数もそれほど多くはないと承知しています。 ○矢野幹事 ありがとうございます。その上で、もう少しだけお伺いさせてください。スタートアップだと、たくさん創業してたくさん出て行くというのが基本路線ではあるのだろうなとは思うのですけれども、やはり出ていく会社、残らない会社というのは一定程度出てくると思ってはいまして、その辺りの観点で少し、もし御認識、議論等あれば教えていただきたいと思うのが、大きく分けると二つあります。   一つ目が、スタートアップの定義というか、新しい技術やビジネスモデルを有しているというような定義が一応与えられていまして、Fintech協会さんの方も会員の定義としては、Fintech系のサービスを提供しているといったような形で一応、会員の定義を設けられているかと思うのですけれども、本当にそういったものをやっているのかとか、そういったものはどういった形で審査されているのかとか、そういったところを教えていただきたいなと思っておりまして、そういった業界団体というのがあって、審査をきちんとされているということだったらいいのですけれども、新しいビジネスモデルとかになると、なかなか本当かどうかというか、なかなか素人には区別が付かないというところがありまして、それを何か区別を付けるような視点というか、そういったものが何か議論等あるようでしたら、是非教えていただきたいと思っているのが一つ目です。 ○木村参考人 そうですね、それはもう本当に、要は理事が行って、自分でも事業やっている理事が面談をして、これは新しい事業だね、これは既に伝統のある会社が、どちらかというとそういう、伝統ある会社がそういう新規の事業を始めるというケースもありますし、そういう伝統ある会社が新しいスタートアップと一緒に何か事業をしたいので、コネクションを求めて協会に入っていただくということもあります。それは実際に事業経験のある理事が面談をしてお話を聞いて判断するという、それはもう結構、個別具体になってしまうとは思うのですけれども、そういう形で判断しております。 ○矢野幹事 ありがとうございます。もう一つが、従業員への無償交付の関係なのですけれども、こちらは今検討しているのは上場企業対象ということなのですけれども、非上場企業の場合だと、従業員としても株式をもらっても換価性がないので困るといったお話もあるかと思うのですけれども、この辺りをどうすべきかといった議論、特に実際の、例えばニーズでも、非上場企業の従業員側からどういったニーズがあるのかとか、そういったところを是非教えていただければなと思ってはおります。たまたま結果的にうまくいってIPOできれば何ということもないのだと思うのですけれども、できないとただの紙切れになってしまって、倒産した場合には特に従業員としての保障が全くない形になってしまうというところで、その辺りの従業員の保護というか、そういった観点からどういった議論がされているのかとか、そういった視点があったら教えていただければと思います。 ○木村参考人 そうですね、今のところ、ただ、そこに関してはそれほど中で非上場と分けての議論というのは余り深められていないというのが実態ですけれども、需要自体はあるのだと思いますけれども、すみません、ここで更に付け加えられるほど深い議論が中であるわけではないので。 ○矢野幹事 ありがとうございました。 ○神作部会長 よろしいでしょうか。 ○松中幹事 御説明ありがとうございました。私は二つの事項についてお伺いしたいと思います。   一つ目が、株式の無償交付のお話です。御報告資料3ページの右下の方を見ると、従業員への株式付与は職務執行の対価とされています。そのすぐ上のところを見ると、枠決議であっても、これはどの程度詳細なものを採るかによるとは思うのですけれども、従業員に察知され得るというリスクがあるとされています。これを踏まえて、従業員に株式を無償交付することについてどのように捉えているのかというのをお伺いしたいと思います。というのも、職務執行の対価ということは、株式の無償交付を給与と同じように捉えている、その一形態であると捉えているようにも思われます。他方で、従業員に察知されてしまうというのがリスクだというのは、従業員に一体どの段階で相談して、どういうプロセスでやるのだろうかというのが見えてこない。むしろ従業員はある程度は、労働組合であるとか過半数代表者であるとかと協議してやるのではないのか、この分野は素人ですけれども、このように思ったので、お伺いしたいというところであります。   もう1点は、4ページ目の株式交付の株式買取請求権の関係で、実際、上場スタートアップが現金を余り持たない段階で株式を対価にしてM&Aをして成長する、こういうニーズはあろうかと思います。他方で、どこまで株式買取請求権が妨げになっているのだろうかというのはよく分からないところです。確かに株式買取請求権を行使すると、実際上、会社が決めた対価が下限になる部分はあるのですけれども、価格決定申立てをするにもそれなりにコストが掛かるので、そうそう簡単には取りあえず行使しておけとはならないのが現状ではないかとも思えます。そういうわけで、別に株式交付でなくても、ほかの株対価の株式交換とかでも全然構わないのですけれども、株式買取請求権の行使が問題になって断念したような事例はあるのか、詳細はおっしゃれないかもしれないですけれども、その辺りについて教えていただければと思います。 ○木村参考人 承知しました。1点目のところですけれども、資料上の書き方の問題かもしれないですけれども、これは要は個別の人なり付与する対象の人に知れてしまうと困るという話というよりは、やはり大きな手続になってくるとなんやかんやいろいろなところから話が行ってというところがあるかもしれないというリスクの話をしているところであって、個別の具体的な交付対象に対して付与すること自体が難しくなるような矛盾した話をしているつもりではないので、大きな趣旨としては機動的に採用オファーをしたいというところを捉えていただければと思います。   2点目のところは、すみません、ぱっとこのケースで具体に断念したということまでは私の方で把握できていないのですけれども、中で議論をしている中で、手段としていろいろなことを考えていく中で、懸念としてこういうキャッシュというか、現金流出のリスクなりとかというところが議論としてはどうしても挙がるというところが出ているというところで、こういったお話をさせていただいております。 ○松中幹事 ありがとうございます。1点目、少し私の質問が不明確であったようにも思うのですけれども、職務執行の対価というところは、飽くまで単なる福利厚生などではなくて、働いてもらったことに対する対価だと理解されているということでよろしいでしょうか。 ○木村参考人 そうですね、ここの法律上正しい言い方というのはなかなか難しいのですけれども、おっしゃるとおり福利厚生とかそういう意味ではなく、というところです。 ○松中幹事 ありがとうございます。 ○加藤幹事 御説明ありがとうございました。私は2点質問があります。   1点目は、株式の無償交付についてです。中間試案では、非上場会社については上場会社における制度の具体的な枠組みの内容などを踏まえて引き続き検討すると提案されております。スタートアップの団体の構成員は非上場会社が多く、また、実際に従業員に対する報酬として株式が使われていると思いますが、非上場会社における株式報酬の実務において何かお困りになっている点はないのかということが1点目です。   2点目は、株式交付についてです。株式交付は、株式を対価とするM&Aの一類型ですけれども、大株主の持ち株比率の希釈化が生じます。スタートアップには、これは私の思い込みかもしれませんけれども、創業者がそれなりの株式を持っている場合が多いと思います。そういった会社の創業者の立場から見て、持ち株比率の希釈化と、株式を対価とするM&Aのメリットはどのように考えられているのか、是非御意見いただければと思います。 ○木村参考人 承知しました。前段の、非上場の場合により、どういう具体の課題があるかというところは、先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、そこについて上場会社と比べてのより格段の違いのある課題があるかというところは、まだ我々も正確に把握できていないので、少しまた協会の中で取りまとめて、お話しできるところは、また追って事務当局に御意見を提出させていただきたいと思いますけれども、需要自体はあると思います。ただ、そこに更に格段の課題があるかというところは今、正確なところは申し上げられないので、少し控えさせていただきたいというところです。   すみません、2点目がどういうお話でしたっけ。 ○加藤幹事 2点目は、創業者にとっての株対価のM&Aのメリットとデメリットについてです。 ○木村参考人 希釈化の話ですね。 ○加藤幹事 希釈化の問題があるため、創業者が存在する場合が多いスタートアップにおいて株式交付がどれぐらい使われるのかということについて、御感触を頂ければと思います。 ○木村参考人 もちろんそれはありますけれども、その中でやはり、その部分はそうなったとしても、そのために事業成長の機会を得てM&Aによって事業成長するということのメリットの比較衡量でそれは判断するものなので、その上でもやはり需要があるということで、協会の中ではそういう経営者を含めて意見が出ているところなので、そこは比較衡量の上で、やはりやりたいという人がいるということだと思っております。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○仁分委員 非常に分かりやすい御説明ありがとうございました。私の質問は、7ページの「臨時株主総会招集要件の厳格化」に関してなのですけれども、もう少しこの背景事情を御説明いただければと思いました。この場でこの論点が議論されたことはないというのもありますし、経団連の会員企業のような大きな企業よりは、どちらかというとスタートアップの企業様の方がこうしたニーズが強いのかなとも少し思ったものですから、もう少し具体的に、法改正が必要と思われる事情について御説明いただければと思いました。よろしくお願いいたします。 ○木村参考人 そうですね、時価総額が小さい企業の方がこういうことの対象にはなりやすいのかなというところで、こういった請求の増加というのは、本当に直近何年かは経営者の中でも話題にはなるところだと思っています。その上で、一回やはりこういうことがあると、それ自体の金銭的な支出というところもありますし、そこに対応している期間という間は経営者の意識とかいろいろな、結構やはり時間資源とかアテンションというのが大きな資源なので、そこの部分というのが拘束されるということはすごく、金銭的なコストだけではない、結構事業へのマイナスというのがあると感じているというところです。今時点でそういうことが懸念はされるのですけれども、それがこれからも続くとか、あるいはそれがより加速するようなことがあると、本当に事業成長の優先というのがやり切れなくて、むしろ最終的には全体の株主の価値を毀損するのではないかということを感じているというところでございます。 ○仁分委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○内田委員 御説明ありがとうございました。私も3ページの従業員等への株式の株式無償交付についてお聞かせ願いたいと思います。一つは、これはもっともだと思うところがありまして、主要な目的を優秀な個人の獲得のためのインセンティブとして付与するのであれば、株主総会枠決議では機動性はやはり損なわれると思います。つまり、不定期の優秀な人材の採用のためとか、高く評価している特定の個人向けインセンティブとして付与するということであれば、取締役会決議であるA案を支持されるのだと思います。しかし、広く一般の従業員向け報酬制度として株式を交付するということで考えた場合は、少し変わってくると思います。その場合は、特に非公開会社については、そういったニーズ、つまり、報酬制度として広く従業員の方に株式を交付するというニーズは余りないと捉えたらいいのかというところをお聞かせください。仮に広く制度として従業員に職務の対価として株式を渡すということであっても、A案、B案を比較した場合、B案はやはり弊害があり、活用しにくいということになるのか、その辺りを少し御解説願えればと思います。いかがでしょうか。 ○木村参考人 なるほど、おっしゃるとおり全体に制度として付与するということであれば、このタイミングでこの御縁でここでオファーしないといけないという性質のものではないので、別に取締役会で決議できないと困るということはないのだと思います。そういう意味で、すみません、冒頭に御質問いただいたところでも同じですけれども、A案、B案両方併用できるという形であれば、基本的にどういうシーンでも実務的に困るということはないのではないかとは思います。 ○内田委員 未上場会社から見ると、機動的にインセンティブとして株式を付与するニーズはかなり大きいけれども、それ以外のニーズは余り多くはないと考えていいですか。 ○木村参考人 そうですね、そこの程度はなかなか難しいですけれども、それ自体の需要が少ないから、元がA案という形で書かせていただいているというよりは、B案しかないとインセンティブ側のことがやりづらいという趣旨で書かせていただいているだけなので、必ずしも、先ほどおっしゃっていたような全体への交付みたいな需要がないというわけではないと思います。そちらはそちらであるのだけれども、B案しかないということだと、インセンティブ的に出したいとか採用にいかしたいというところが難しくなると、そういう趣旨でございます。 ○内田委員 了解しました。ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○藤田委員 御報告どうもありがとうございます。私も臨時総会の招集要件について質問させていただきます。今回、5%以上1年間の保有とかなり具体的な数字を含む提案がされております。その理由として、アクティビストによる臨時総会招集が増加したということが挙がっておりますが、この提案によって何か効果が生じるとしたら、3%以上持っているけれども5%未満、あるいは6か月以上保有しているけれども1年未満の株主による招集ができなくなるということにあります。そういうアクティビストによる招集というのが非常に深刻なのか、この提案によってアクティビストによる臨時総会請求の増加という懸念が少しでも解消するのかというのが質問です。なお株主提案については、300個要件しか満たさない人による提案がものすごく多く、かつそれがほとんど採択されないということから、300個要件を削除する提案には非常に大きな効果がある。効果があるからこそ反対もあり、議論があるのですけれども、臨時総会の招集権の方は、この改正で何か効果が期待できるのかなと疑問に思ったものですから質問させていただききました。 ○木村参考人 正にそこはおっしゃるとおりで、すみません、5%というのは、一つ何かの基準を置くのであれば、大量保有報告義務とか、何かしら類似のことが考えやすいものがないかというところから考えて、書かせていただいたところなのですけれども、おっしゃるとおり、ではこれで実際にどれぐらいの招集というのがされなくなるということになるのかというところは、おっしゃるとおりなので、もう少し調べるということはした方がいいかもしれないなと、御指摘いただいて少し感じました。例えばこれを10%にしたらより実効的な対策になるとか、そういったことはあり得るのだと思います。ただ、今回の提言で我々、リサーチの足りない部分もあるのですけれども、一旦類似基準というのを引っ張り出しやすいというところで5%というのを置かせていただいているというところでございまして、より実効性のある対策というのは調査を経て考えることはできると思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○青委員 本日はどうもありがとうございます。私からは株式交付と従業員等への株式無償交付のところの2点、お伺いさせていただければと思います。まず、株式交付の一番下から二つ目のポツのところで、上場会社であれば市場売却によって投下資本の回収が可能とお書きいただいているのですが、恐らくこのような買取請求がたくさん出てくるケースは、発表された段階で株価がかなり下がってしまって、その後の段階で売却しようとしても手遅れになるのではないかという気がしたのですけれども、その点はいかがでしょうか。 ○木村参考人 そこの部分は、実質としてはそのリスクはもちろんあると思います。そこがないという意味ではなく、原理原則として回収は可能ということを言っているだけで、そこのリスクはあるのは事実だと思います。それと、どちらかというと、不当なというとあれですけれども、濫用的な権利行使というものとの比較衡量で考える部分なのだとは思っていまして、おっしゃるとおりのリスクという部分があるのはそのとおりだと思います。 ○青委員 ありがとうございます。買取請求権という存在そのものに懸念があるのか、裁判所による認定のところで本来想定している価格でないものが認定されてしまうと大きなダメージがあるということなのか、あるいは両方という感じなのでしょうか。 ○木村参考人 そこはもうすごく率直には、やはりそういう資金流出のリスクがあるという時点で手段として使いづらくなるということが、どちらかというと大きいのではないかと思います。やはり手段として使いやすいものがきちんとあることでM&Aが促進されるということが重要なのではないかとは思うので、そこの裁定というか判断がより精緻なものになれば大丈夫ということではないのではないかと思います。 ○青委員 株式交換や株式移転など、ほかの組織再編スキームも同じような問題が出てくるのではないかと思うのですけれども、株式交付だけが特別なのか、全部同じように問題があるのだけれども、今回は株式交付について議論しているからここだけおっしゃっているのか、そこら辺はいかがでしょうか。 ○木村参考人 そうですね、ほかの手段についてのリサーチがすごくできているわけではなくて、ほかのところの懸念というのは言及は差し控えさせていただきますけれども、一旦は今回このテーマなのでここについてまとめているというところなので、ほかのところの懸念なしというところは精査が要るとは思います。 ○青委員 ありがとうございます。従業員等への株式無償交付のところについて、先ほども御質問が出ていたところではあるのですが、やはり趣旨としてはインセンティブとしての報酬ということで、相応の対価を、相応の結果を出した方に発行する、あるいはそのような結果を期待してあらかじめ発行するといった使い方がなされると思うのですけれども、そのようなインセンティブとしての位置付けということを考えていくと、相当程度の金額にするとか、個々の従業員の方について報酬に対する割合を結構高めにしていくというようなイメージが、本来きちんと利くインセンティブになるように思います。そういうイメージ感なのか、あるいは若干だけでも持たせておくのがいいという考えなのか、どちらの辺りを狙っていらっしゃるのでしょうか。 ○木村参考人 それは前者で、一定のやはりインパクトのある額を出さないといけないと思います。 ○青委員 ありがとうございます。最後になるのですけれども、子会社の役職員への交付について、100%子会社であれば同じように考えるというのは全然問題ないかと思うのですけれども、100%ではない場合に、この職務執行の対価というのが子会社における職務執行なのか、それが親会社にいいことがあるからなのか、利益相反の関係が少し難しくなってくると思います。その辺りについて何かいい整理の仕方などはありますでしょうか。 ○木村参考人 おっしゃるところはそのとおりなのですけれども、すみません、ここに対して何か、どういう工夫をするとよいかということは考え切れていないので、そこは、ただ、おっしゃるとおり工夫がいるところなのかなと思います。 ○青委員 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○齊藤委員 本日は貴重な実務の御様子などを御教示いただきましてありがとうございました。   2点お伺いしたく存じます。まず1点目ですけれども、この度の議論では、ある見方からすると、株主の権利を縮減するような提案がされておりますところ、株主保護や少数株主保護の規律は、閉鎖的な会社のうち、株主間契約などで株主が自分の身を守ることができる場合においては、上場会社と投資家との関係とは異なる考え方をとってもいいという考え方もあり得るのではないかと思われます。ただ、合弁会社のようなケースとは異なりまして、スタートアップの場合、起業からだんだんと大きくなっていく経路は様々だと思いまして、創生期に身近な周りの人から出資を募って少しずつ大きくなっていく過程で、株主間の将来のトラブルを回避するために洗練された株主間契約などで利害調整の仕組みを作っていくという実務が根付いているのであれば、そのようなスタートアップについて、株主が自分で自分の利益を守ることを前提に迅速性、機動性を重視するというような法制もあり得るように思うのですけれども、Fintech協会さんとして、そのように会社が大きくなって出資を募っていく過程では、将来の株主間のトラブルを回避するために、例えばこのような定款の規定が望ましいですとか、このような株主間契約を結んでいきましょうとか、そのような提言や実務の普及などをされておられたりはしますでしょうか。 ○木村参考人 そうですね、そこについては余り深く議論できていないので、そこもまた追ってになってでもお話し、事務局経由で提出できればと思うのですけれども、この場では申し訳ないです。 ○齊藤委員 ありがとうございます。2点目は、知的財産の現物出資にも関連して、今回、株主総会の決議によって検査役の調査に代えるという案が出ておりまして、これは会社の代表者の財産の評価を一定程度信頼するものともいえるのですけれども、成熟したガバナンスを備えている大きな上場会社などにおいては、取締役会などを通すためにきちんとした評価をするということをある程度期待できますので、株主総会決議によるとしても、適切な評価をしたことを前提に手続が進められるであろうと期待できます。知的財産というのは非常に取扱いが難しいもので、その会社にとっては大変大きな価値があるけれども、第三者にとって必ずしも同じような価値があるとは限らず、例えば、一般の商取引で担保に取ることもあったとしても、それは債務者への債務の履行の強制としての意味が大きくて、担保の価値はあまり期待されないとも言われています。現状、現物出資は難しいとしても、今日のスタートアップは様々な知的財産を譲り受けることをされていると思いますが、その場合に、その譲り受ける知的財産の価値を一般的にはどのように評価して代金を決めておられるか、何か御存じでしたらお教えいただけないでしょうか。 ○木村参考人 それは難しいですね。そこは、本当に上場企業でもなく、非上場のスタートアップということであれば、もうその中で、頼れる範囲の人の中で評価をしているというのが実際のところだと思いますけれども、すみません、そこについての実務についてすごく私の方に知見があるというわけではないので、これ以上のことは差し控えさせていただきます。 ○齊藤委員 ありがとうございます。そのような業務を請け負ってくれる評価機関というのがたくさんあるとか、そういったことは何か御存じでしょうか。 ○木村参考人 そういったものに頼っているというわけではないと思います。 ○齊藤委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○久保田委員 今日は御説明ありがとうございました。私は資料の8ページにある株主提案等で提案できる議題範囲の適正化について、2点ほど質問させていただきたいと思います。   1点目は、ここで記載されていることというのは上場会社についてはよく言われることなわけですけれども、これはやはり専ら上場会社を想定して今日、木村参考人はお話しされたのか、それとも非上場会社のスタートアップ企業も含めてこういう問題意識をお持ちなのかというのが1点目です。   2点目に関して、特に上場会社については、あるいは非上場会社もそうかもしれませんけれども、確かに株主が個別の業務指図をすることが企業価値の向上につながらない場合というのは少なくないように思います。ただ、そのことは株主も認識しているため、個別の業務指図のための定款変更の株主提案というのは特別な事情がなければ多くの賛成が集まらず、したがって可決される可能性は小さいのではないかと思います。そこで、2点目にお伺いしたいのが、企業価値の向上につながらないことが明らかであるにもかかわらず、個別の業務指図のための定款変更の株主提案が可決されて実際に企業価値の毀損が生じた例というのは、どれほどあるのでしょうか、ということになります。よろしくお願いします。 ○木村参考人 そうですね、1点目は、この点に関して、今回の御提案自体態というのは上場会社を中心に書かせていただいておりますけれども、必ずしもそこの上場、非上場の別というのを特に意識して提案させていただいているわけではなく、全般にというところでございます。   その上で、個別の業務指図を越権的に行うようなことが実害としてどれほどのことが引き起こされているかというのは、おっしゃるとおり、事例としてどういうものがあるかというところはあるのですけれども、すみません、ここでその具体の例というのを、どれぐらいの割合があるということを申し上げるのはなかなか難しいのですけれども、実際こういったような権限を持ててしまう状況が続くこと自体が、どうしても取締役側の経営の仕方としてやりづらいというところを感じているというのが本当に率直なスタートアップ経営者の中で話しているところの実態というところで、一旦このように書かせていただいているというところでございます。すみません、お答えになっているか分からないですけれども。 ○久保田委員 抽象的な危険を認識して、それが少し経営者の方々にとっては不安に感じるとか懸念材料になっているという御趣旨ですね。 ○木村参考人 おっしゃるとおりです。 ○久保田委員 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○臼井委員 御説明ありがとうございます。二つ質問させていただければと思います。   従業員等への株式無償交付のところで、中間試案では対象は一旦上場会社とし、非上場会社についてはニーズを踏まえて今後議論するという立て付けになっておりますが、今回そこについては特に言及がなかったかと思います。非上場会社についても上場や売却といったエグジットによりキャピタルゲインにつなげることは可能ですが、株式無償交付によるインセンティブ付与のニーズが実際はそれほど大きくないものなのか、伺えればと思います。   それから、資料の3ページで、B案は機動的に使いにくく、インセンティブ設計や人事が外部に察知され得るとあります。私どものイメージとしては、株主総会に出てくる情報は、せいぜい希釈化比率と、対象は従業員とする程度で、手の内が他社に明かされるというほどではないという理解をしていたのですが、そこについて、もし齟齬があれば御教示いただけますと幸いです。 ○木村参考人 ありがとうございます。後者の方はおっしゃるとおりで、そこがすごく大きなリスクというよりは、やはり機動性のところの方が問題として大きいと思っておりますというところと、すみません、非上場のケースというところについては言及ができていないのですけれども、先ほども問いがあられたと思いますけれども、そこも需要自体はあると思います。ただ、この掘り下げを今回しているというわけではないというだけで、今回はどちらかというと、B案のみになるとすごくやりづらいということだけが大きな主張で、それ以外の、そもそもA案、B案併用ということであれば特段実務上の懸念はないですし、その上で非上場側での需要というのを否定するものではなくて、そちらも一定あるのではないかと思っております。そこを掘り下げて言及できていないだけというところで捉えていただければと思います。 ○臼井委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   ほかに御質問はございますでしょうか。オンラインで御参加の方もよろしいでしょうか。   それでは、追加の御質問はないようですので、第1件目のヒアリングは以上とさせていただきます。   木村様におかれましては、改めて厚く御礼を申し上げます。御説明および御回答を頂き大変ありがとうございました。   それでは、続きまして、本日2件目のヒアリングでございます。株主総会のデジタル化に関して、日本証券業協会からお話を伺いたいと存じます。参考人としてお越しいただきましたのは、日本証券業協会常務執行役の森本健一様でいらっしゃいます。   森本様におかれましては大変お忙しい中、資料を御準備いただき、また、本部会に御来臨賜りまして誠にありがとうございました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。先ほどと同じく、まず森本様から御説明を頂いた後、質疑応答の時間を設けたいと考えております。   それでは、早速でございますけれども、森本様、御説明のほど、よろしくお願いいたします。 ○森本参考人 ありがとうございます。日本証券業協会の森本と申します。本日は本部会の議論に参加する機会を頂きまして誠にありがとうございます。本日は、中間試案のうち「株主総会のデジタル化に関するその他の事項」についての議論に参加させていただけるということでございますので、まず、私どもで準備してまいりましたお手元の資料を中心にお話をさせていただきます。なお、本日の私からの説明等は、証券会社の実務的な目線からの所感を申し上げるということになりますので、この点あらかじめお断りをさせていただければと思います。   資料1ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、既に御存じの方も大勢いらっしゃると思いますけれども、本協会の概要を簡単にまとめております。証券業界の自主規制機能、業界団体機能、海外との連携など、多岐にわたる活動を行っております。部会長の神作先生をはじめまして本日御参会の皆様にも私どもの活動に御理解、御協力を頂いておりますことを、この場をお借りして御礼を申し上げます。なお、詳細につきましては、本協会ウェブサイトも含めまして後ほど御高覧いただければと思います。   続きまして2ページ、個人株主の状況につきまして簡単に御紹介させていただきます。岸田政権やそれ以降の資産運用立国実現に向けた政策のお陰をもちまして、「貯蓄から投資へ」の動きが確実なものとなってきておりまして、そのことは個人株主の広がりという形でも表れてきております。御覧の2ページ目のとおり、直近2025年12月末現在の日銀の資金循環統計によれば、家計金融資産の内訳は現金・預金が5割を切って48.5%、上場株式は9.1%となっております。   3ページは証券保管振替機構から公表されております名寄せ後の個人株主数を記載しています。年々増加しており直近2024年度末には1,600万人近くに達しております。   4ページを御覧ください。新しいNISAにおける昨年1年間の買付額の内訳をみると、こちらの左下の方でございますが、35%は国内の株式となっております。   次に、現在の株主総会資料の書面交付請求制度につきまして、証券会社における実務の現状を簡単に御紹介させていただきます。5ページに書面交付請求制度のフローを簡単に図示しております。口座管理機関であります証券会社は、この図の左上に位置しておりまして、株主から上側の青い線のルートで請求があった場合、①書面交付請求の取次申出を受けまして、②で保振に取り次いでいるという形になっております。   続きまして、6ページ以降、こちらは昨年初め時点の制度の実務状況につきまして、一部証券会社にヒアリングしたものを御紹介申し上げます。まず6ページの左の方、期間が不ぞろいで恐縮ではございますけれども、年度ごとの請求件数は左から縦3列のとおり、年度を追うごとに件数は大幅に減ってきております。次に、右側の太枠で囲った中を御覧いただけますでしょうか。その中の一番左が先ほどの3年度分の請求件数の合計です。それを中列、こちらは便宜的に2024年末現在の口座数を表しておりますが、こちらで割った割合を、一番右の列で表しております。御覧のとおり、この中で一番割合が高いのは、上から3列目の中堅・地場の業態、次に高いのが一番上の大手、要するに対面対応のある業態ということになっております。なお、こちらの数字には表されておりませんけれども、これより後、足元2025年度いっぱいの請求件数は2024年度から大きく変わっていないというのが実感でございます。   続きまして、7ページを御覧いただけますでしょうか。書面交付請求の各社での受付の方法は、やはりデジタルデバイド対応ということもございますので、おのずと書面、電話、対面といったところが中心となっております。   次に、8ページで、今の書面交付請求制度の対応に伴います証券会社における状況についてコメントをまとめております。一番上にございますけれども、銘柄ごとに請求を受けて、それを管理する対応への負担がある、基準日間際の請求への対応、それから下半分のところでは、顧客、株主からの問合せや寄せられている意見を御紹介しておりますけれども、証券会社では請求の受付窓口として、こういったものにも対応しているというところでございます。   続きまして、9ページ以降で今回の中間試案の内容につきましてのコメントをさせていただければと思います。まず全般といたしまして、今回、株主の権利に配慮しつつも、株主総会の運営のデジタル化を一層進める提案がなされていること、こちらは非常に時宜にかなったものであると考えております。ただ、この中では証券会社による対応に依拠することを前提とされているように見受けられるところがございます。私からは、この点につきまして証券業界の立場から意見を申し上げたいと思います。   なお、これから発行会社を指して申し上げるところは、実際には株主名簿管理人が担われているところが多いと思いますけれども、本日は便宜上、発行会社とのみ申し上げさせていただきます。資料上の表記もそのようにお含みおきいただければと思います。   まず、9ページでは上の方で書面交付請求制度、下の方で議決権行使についてコメントを書いております。  まとめて申し上げさせていただきますと、いずれもA案の補足説明では、デジタルデバイドの株主が「サービス会社」に依頼することで、これらの株主に過度な負担が生じるものではないと考えられる、とされております。ここでのサービス会社とは、これまでの本部会における議論を拝見しますと、念頭に置かれているものの一つとして証券会社も含まれているものと推察致します。もちろん個人の株主の多くは証券会社の顧客でもありますし、証券会社は顧客に対して丁寧な対応を心掛けてきております。しかし、「株主が求めてきたら証券会社は普通手伝うものだ」という期待を前提に制度を検討されるということであれば、慎重に考えざるを得ません。サービス料の徴収を前提とされておりますけれども、今の書面交付請求制度では、証券会社が負担した実費を株主から、あるいは発行会社から全部を回収できているわけではございません。また、デジタルデバイドの株主への対応ということは、デジタル化で効率化を図るということがそもそも難しいというところでもございます。8ページでも御紹介しましたように、銘柄ごとに対応しなければならないという点は、今でも実務上の重い負担となっております。制度の中で証券会社の対応が期待されるということになりますと、株主への対応に一定の責任も生じ得るものと思われ、準備や運用に慎重さも必要になろうかと思います。さらに、議決権行使について申し上げますと、デジタルデバイドの株主が証券会社を含む「サービス会社」に依頼して議決権行使をする場合、それは委任なのか代理なのか何なのか、ミスで株主の意思とは異なる行使をしてしまった場合の「サービス会社」の責任はどうなるのか、などといった整理が必要と思われます。そうした中で、一つ目の書面交付請求も、二つ目の議決権行使も、実務負担や収益性も考慮した上で任意ということであれば、この対応を行う証券会社はかなり限られることが予想されます。   ここで、そもそも論を申し上げますと、株主の管理や株主総会の運営は本来、発行会社により担われるべき役割のはずです。にもかかわらず、デジタルデバイドの株主の利益保護を発行会社ではなく証券会社を含む第三者によるサービスや善意に依拠するというのは、制度における役割分担が違うのではないか、発行会社こそ、まず株主から困り事を聴いて、対応する手段を用意すべきではないかと感じます。   なお、一つ目の書面交付請求制度につきまして、仮にB案が採用される、すなわち廃止がされないということになるのでありましたら、既に現行の制度は安定的に運用できておりますので、現行制度を何も変更されないことを希望いたします。  繰り返しになりますけれども、株主の権利に配慮しつつ株主総会の運営のデジタル化を一層進めることは重要なことと考えますので、全ての関係者が納得でき、かつ無理のない仕組みになることを期待いたします。   続きまして10ページ、株主総会の招集方法について申し上げます。こちらの提案では口座管理機関、すなわち証券会社が株主の同意を得て株主総会の招集に用いるメールアドレスを収集し、それを総株主通知などを通じて発行会社に伝達する、とされております。  ただ、10ページの枠の中に書いておりますとおり、メールアドレスの収集につきまして、証券会社がメールアドレスを持ち合わせていない顧客は多数に上ります。また、持ち合わせているメールアドレスにつきましても、顧客による間違いがあったり、いつの間にか変更されていたりするというケースも多くございまして、そのアドレスに電子メールを送っても顧客、株主まで届かないということが多数発生することが予想されます。   さらに、昨年のフィッシング、不正アクセスの教訓で、証券会社は金融庁の監督指針や本協会のガイドラインの下、リンクを貼った電子メールは送らないことにしています。また、そういった電子メールは開かないように啓蒙もしているところでございます。  証券会社に限らず社会一般でも、なりすましメール、詐欺メール、個人情報詐取メール等を開かないよう警戒が呼び掛けられているところでもございます。3ページで御紹介しましたが、個人株主が多くなってきている状況におきましては、株主総会についてもそのような問題が懸念されます。  このように見ますと、証券会社に依拠した仕組み、また、証券会社であるかどうかにかかわらず電子メールに依拠した仕組みというのは、成り立ちにくいのではないかと考えます。   さらに、10ページの枠の下にございますとおり、まず、株主の同意を得るということにつきまして、現行の振替法の第151条では、総株主通知において株主の同意や承諾を得ることは要件とされておらず、当然、実務においても行われておりません。株主の同意を得ることにするということは総株主通知の実務に新しい手順が加わることになります。特に既存の口座の株主につきましては、この同意を取り付けるために連絡をしなければなりません。また、この種の返信が返ってくる割合も高くないのが現実であります。補足説明の77ページ10行目では、株式会社が株主の個別の承諾を得ることは煩雑であるとされておりますが、総株主通知の仕組みにおいて口座管理機関が取り付けることにすれば煩雑さが軽減できるかといえば、そうではございません。   次に、メールアドレスの収集のその他の課題としまして、異なる会社に対して別々のメールアドレスを登録する案ですけれども、仮にこれを登録するのが証券会社に期待されているとしましても、事務や管理が極めて煩雑になることが予想される上、取り違えなどのミスのリスクや責任も生じますので、証券会社はこの御期待にお応えすることはできません。また、ある一人の株主が一つの銘柄の株式を複数の証券会社の口座で保有しているけれども、それぞれの証券会社に別々のメールアドレスを登録しているという場合には、総株主通知でそれぞれの証券会社から別々のメールアドレスが一つの発行会社に集まってくるということになるかと思いますが、その場合に発行会社がどのように取り扱うのかも問題になるのではないかと思います。このほか、補足説明の79ページ2行目で御指摘いただいているとおり、この御提案を実現するためには、振替機関のみならず口座管理機関である証券会社側でもシステムの変更が必要になり、そのための手数料やコストの負担も課題となります。   もちろん株主総会のデジタル化は私どもも共有する方向であります。その立場から、僭越ながら代替案を御提案申し上げるとすれば、例えば、マイナポータルを通じて発行会社から株主に対して株主総会に関する情報や資料を届ける方法が考えられるのではないかと思います。   最後に、10ページのその他のところですが、3ページで個人株主数を御紹介しましたように、今や多くの国民が株主となっております。つまり、株主関係の制度の見直しは、それだけ多くの国民に関係するものとなっております。そのため、今回の見直しにつきましては政府広報で幅広く周知されるとともに、発行会社からも株主に直接、積極的に周知を行っていただきたいと思います。   私からの発言は以上でございます。ここまで御清聴いただきまして、ありがとうございました。 ○神作部会長 御説明どうもありがとうございました。   それでは、続きまして質疑応答の時間に移りたいと存じます。ただいまの森本様の御説明につきまして御質問のある方は、挙手あるいは手を挙げる機能を使って発言の意思をお知らせください。いかがでしょうか。 ○矢野幹事 貴重なお話をありがとうございました。最後の10ページの3のところで、少し幾つか教えていただければと思いまして、御質問させていただきます。   今回、メールアドレス等というので等が付いておりまして、この等のところについての御意見というか、教えていただければなと思いまして、等自体が一体何を指しているのか現状では余り明らかでないという問題があるかと思うのですけれども、例えばとして、携帯電話番号ごとに1アカウントでひもづいているSNSみたいなものだとどのようにお考えなのかといったところを教えていただければと思います。それが一つ目です。   もう一つが、同じ、今の最後の代替案のマイナポータルの活用の部分なのですけれども、これは、現在、証券代行さんが出しているアプリでの連携をむしろ想定されているとか、そういった御趣旨なのでしょうか。もう少し詳しく教えていただけると助かります。 ○森本参考人 まず、1点目のメールアドレス等の「等」の指すところについて、こちらも証券会社の実情から申し上げますと、メールアドレスでも持ち合わせが少ないことに更に輪を掛けるように、恐らくほとんど集めていないのではないかと思います。そのため、制度全体としてどこから持ってくるのかというのは色々な方法論や考え方はあるかと思いますが、証券会社から引っ張ってくることはなかなか現実的ではないのではないか、というのが私の実感でございます。   それから、2点目のマイナポータルの活用法については、恐縮ですが、今私の方で具体的に深掘りしたアイデアはございませんけれども、今、先生が御指摘のように、既に利用されている例というのもあろうかと思いますので、そういったところも参考になるのではないかと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤井委員 御説明ありがとうございました。私もメールアドレスの10ページのところに関連いたしまして幾つか御質問をさせていただきたいのですけれども、こちらの方で証券会社さんがメールアドレス等を持ち合わせていない顧客が多数と御記載いただきまして、先ほどの説明でも理解をさせていただいたのですけれども、一方で6ページ目に口座数というのを大手さんとネット証券さん等々で並べていただいているかと思うのですけれども、対面がある大手証券とネット証券で異なるかと思うのですけれども、それぞれどれぐらい保有されているかという比率がもし分かれば教えていただきたいのと、少なくとも一ユーザーの感覚といたしましては、ネット証券につきましてはメールアドレスを届けているような気がしておりまして、そうするとネット証券については全体の口座数としては半分程度あるので、半分というのは少なくとも、同意を取るというところは必要になってくるかと思うのですけれども、保有しているとみなしていいのかというところをまず、お聞きさせていただきたいのと、もう1点、対面対応が設けられている大手証券におかれまして、例えば口座の開設とか住所の変更の投資家、株主の方が手続をされる場面において、先ほど書面交付請求の取り次ぎの受付方法というのを7ページ目でお示しいただいたのですけれども、同じように書面と電話と対面とネットの比率というのは、こちらももし分かれば、感覚でも結構ですので、どれぐらいなのかといったところを教えていただきたいというのと、最後におっしゃっていただいたとおり、こちらの実現につきましては全ての関係者が無理のない制度にしていくといったことは私としても賛同するところでございますので、その点も付言させていただければと思います。 ○森本参考人 まず、アドレスの保有割合につきましては、申し訳ございませんが、厳密な数字は手元にございません。ただ、御指摘のとおり、ネットを前提とした取引はメールアドレスがないと始まらないというところがありますので、保有割合はほぼ100%と考えていいのではないかと思います。一方、対面を前提とした取引について、ある主要な証券会社に聞いたところでは、メールアドレスの保有割合が半分少々と聞いています。他の社も一様に同じというわけではないと思いますけれども、一例としての比率はそのように聞いているところでございます。ただ、先ほども少し申し上げましたとおり、いかんせんお客さんから届けられたメールアドレスが間違っている、例えば数字の0(ゼロ)とアルファベットの大文字のO(オー)が違っているなどといったことは往々にしてあるようです。対面だとアドレスを使う場面がないから間違いに気付かない、というところもあるようでして、手元にあるからといってそのメールアドレスが使えるというわけではない、と聞いております。   それから、住所変更等の手続方法につきましては、恐縮ですが、これも私のところでは数字がございません。先ほど7ページで御紹介したものは、あくまでも「書面交付請求の受付の方法はどうしているのか」と証券会社に聞いた数字であり、場面が少し偏っているといいますか、どうしてもデジタルデバイド対応ゆえ紙などのアナログに寄っているというところだと思いますので、その他の手続については少し様子が違うのかもしれません。 ○藤井委員 ありがとうございました。 ○神作部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。 ○齊藤委員 本日は貴重な情報や御意見をありがとうございました。2点お伺いしたいのですけれども、まずは、証券会社の善意に期待するような制度にしないでほしいというのは、そのとおりであろうと思われます。善意の搾取で成り立つようなものですと、経済は回らないと思います。この部会の議論で、証券会社等のサービスで代替できるのではないかと意見を私も申し上げたのですけれども、それは、仮に改正がされたなら、今後は、株主の権利ではなくなるので、株主は自分で手配をしなければいけないのだけれども、そのようなサービスを証券会社から受けたければ、より高い手数料を払うということなどを前提としておりました。そのような考え方では制度は成り立ちにくいのでしょうかというのがお聞きしたい一点目でございます。   確かに、メールアドレスの収集の話やお問合せに対する御対応などをお伺いしていると、新規の顧客には、契約で、こういう場合にはこのような手数料が掛かりますとお示しできるかもしれませんけれども、既存の顧客に、今まであったサービスがなくなったから、必要だったら追加の手数料を払ってくださいというようなことは難しいのかなと思ったのですけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。   2点目は、マイナポータルの活用に関するもので、なるほど考えられ得ると思われたのですけれども、そのためには証券保有に係る情報とマイナポータルが何らかの形でひもづけされていくことも必要なのではないかと思われまして、そのような動きというのはあるのでしょうかというものでございます。よろしくお願いします。 ○森本参考人 まず、一つ目の御質問の趣旨は、追加の手数料をもう少し高くすればということでよろしいでしょうか。お答えになるかどうかは少し自信がないのですけれども、今の書面交付請求制度でも全て無償ではなくて、有償、無償についてはそれぞれの証券会社に委ねられておりますので、実際に顧客、株主から徴収している例はございます。ただ、それは全てではございませんで、先ほどのヒアリングの対象社、20社余りに聞いたところ、大体3分の1ぐらいの社は無料とのことです。その理由は聞いていませんけれども、恐らく実費を回収したいけれどもお客さんなのでなかなかできない、言い出せないというところも多分にあるのかなと思います。手数料の額が高い、安いも影響するのかもしれませんけれども、そもそも証券会社がお客さんからそういった手数料を請求するというのは、理屈はあってもなかなか難しいところはあるのではないかと思います。   それから、マイナポータルの活用の際に証券の保有状況とひもづけるという点につきましては、私どもの方でどのようにすればいいというアイデアはないものですから、証券会社が持っている保有状況とひもづけにすればよいのかどうかはお答えすることは難しいです。そもそも保有状況は個人情報でもありますので、なかなか軽々には外には出せないと思いますけれども、その点も含めてマイナポータルとのひもづけについては今後の検討にお願いしたいかなと思います。 ○齊藤委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 ありがとうございました。 ○松中幹事 御説明ありがとうございました。私も2点お伺いしたいと思います。一つ目は今、齊藤委員が御質問になった1点目のところと重なるのですが、資料の9ページの書面交付請求と書面による議決権行使についてです。いずれも、A案を採った場合に、法的に別に証券会社が何か対応しなければいけないということはないかと思います。その意味で、どのように対応するかは証券会社次第で、もし、どのみちこういうものに対応して費用を徴収するとしても大して取れないし、コストがかさむだけだからやらない、どこもやらなければ、それはそれでいいという発想で制度ができるのであれば、それでも困るのかということをお伺いしたいと思います。実際には法的な義務がなくても、お客さんからいろいろと求められたりとかクレームが来たりとか、そういうことを懸念されているのかもしれません。もしそれが本当にすごく深刻であれば、一体どういう状態になったら廃止できるのだろうかというのが問題になるかなと思います。それとも法的にもう何も義務はなく、やりたいところがやればいいですというのであれば構わないということなのかという点です。   もう一つは、次の10ページのメールアドレス等の収集のところで、ここで御説明のあったメールという手段そのものに対する御懸念は、私も全くそのとおりだと思っております。それもあってメールに限らないでほしいというので等が入っているという経緯もあるのですが、少し考えてみると、これは結局、株主の連絡先の情報、どこに連絡したらいいのか、どういう手段で連絡をしたらいいのかという情報を株主から発行会社に伝える、その間に口座管理機関が入るという場合であれば、メール固有の問題はないとしても、情報を伝えていくというところの負担はどうしても生じるのかなというのは感じます。その意味で、これは具体的なイメージというのはもちろんまだこれからかもしれないですけれども、マイナポータルを使った場合にこういった問題は解決できるのでしょうか。つまり、株主から何か能動的な情報提供と、それを伝達するというプロセスを抜くことができるのかというのをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○森本参考人 まず、1点目、9ページの制度について、今の案は証券会社に義務付けがあるわけではないという点は私どもも認識をしております。なので、少し申し上げ方が難しいのですけれども、先生のおっしゃるとおり、義務付けはされていなくても、今回の御審議の中で、「身近な者」と併せて「サービス会社」という形で証券会社が取り上げられ、「頼れる人がいるならば、発行会社はペーパーレスを貫徹できるではないか」という、ある意味、事実上のバーターのような扱いになっているのではないか。そのときに、証券会社は、「できるところはやるけれどもできないところはやらない」という淡々とした対応で、果たして世論が許してくれるのかというところは非常に心配しておりまして、先生がおっしゃったように、「できないところはやらなくて結構」と割り切っていただけるのであれば、証券会社の懸念はかなり解消するというところが正直なところでございます。   マイナポータルの件については、証券会社から必ず株主への連絡先を届けなければいけないのか、今でも総株主通知という形では証券会社が持っている情報はお届けしており、それ以上に何が必要かにもよるのではないかと思いますけれども、マイナポータルにすれば、そこに証券会社が入る、入らないところも含めて、恐らくプロセスが変わるとは思います。今、私は答えを持ち合わせておりません。 ○松中幹事 ありがとうございます。すみません、2点目は私の質問の仕方も悪かったように思います。1点目は、そうすると、事実上の対応をどの証券会社もしなければいけない、こういったものではないという趣旨がいろいろな説明の中に表れてくれば、そこまで懸念はないと、こんな感じでよろしいのでしょうか。 ○森本参考人 「証券会社がやってくれるものだ」というムードにならなければいいかな、というところはあります。 ○松中幹事 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○仁分委員 御丁寧な説明ありがとうございました。非常に素朴な疑問として、10ページの代替案の「マイナポータルの活用」に関して、法人株主はどうするのかなというのが少し気になったものですから、もし何かお考えがあれば教えていただければと思います。 ○森本参考人 私の方は個人株主を念頭に置いていたもので、法人株主についての取扱いについては勉強させていただければと思います。 ○仁分委員 ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○青委員 デジタルデバイドの株主ができるだけ減っていき、最終的には全てを電子化できることがもちろん望ましく、そのような方向性を何とか考えられないかということだと思うのですが、現状、書面交付請求をされていらっしゃる方々が、実際はスマホを持っているなど、何らかデジタル情報にアクセスし得る環境にある方がそれなりにいらっしゃるのか、あるいは全く無理ですといった方が多いのか、その辺りの実際の御感触を伺えればと存じます。また、以前の議論でも、本人がデジタル情報にアクセスできないとしても、周りにどなたかがいらっしゃれば、その方の手助けによってデジタル情報へのアクセスができるのではないのかという点も議論されていたのですけれども、実際はなかなか難しいということになると、例えば証券会社の窓口や発行会社との間でいろいろトラブルも起こりかねないのではないかと、少し気になっております。その辺りについて、もし御感触などがあれば、お教えいただければ幸いです。 ○森本参考人 実際にデジタルを使えるかどうかは証券会社では把握はしていません。淡々と請求を受け付けて次に回すということをやっておりますので、その背景は聞いていないところです。加えて、周りに手助けしてくれる人がいないのかというところも、証券会社では把握できていません。 ○神作部会長 よろしいでしょうか。 ○加藤幹事 御説明ありがとうございました。5ページの図について1点質問があります。書面交付請求を株主がするルートとして、口座管理機関を経由するものと、株主名簿管理人に直接請求するものがあるわけですけれども、これらの割合は、口座管理機関経由の方が多いという理解でよろしいのでしょうか。 ○森本参考人 全体の数は証券会社側では分からないものですから、御回答申し上げることはできません。 ○加藤幹事 ありがとうございました。 ○神作部会長 ほかに御質問はいかがでしょうか。 ○田中委員 大変詳細な御報告をありがとうございました。率直な御意見をお伺いしたいのですが、例えば書面交付請求制度の見直しのところで、B案の場合なら現行制度から何も変更することがないようにしてほしいと、A案に関しては様々な課題があるというか、証券会社に負担にならないようなことにしてほしいとなっているので、感覚として、もうB案でいいのだという感覚のようにも聞こえたのですけれども、それはそうなのでしょうか。 ○森本参考人 A案、B案どちらがいいという意見は持っておりません。A案はデジタル化を一歩進めるために重要かと思いますので、私どもも同じ方向を向いております。あわせて、今、書面交付請求の実務を行っているという立場からすると、その実務が解消されるので歓迎できる部分はございます。ただ、先ほど申し上げたように、証券会社にその後も期待されるところが多いならば、もろ手を挙げて賛成とは申し上げられないところでございます。   一方、繰り返しにはなりますが、仮にB案となる場合は、証券会社は今の運用の組立ては終わっており、大きなトラブルも今まで発生していないにもかかわらず、今からまた何か制度を変えて更に続けるというのは、証券会社の実務としても少し負担が大きいということになりますので、仮にB案で継続するということであれば、今の制度をそのままでやってほしいというのが希望でございます。 ○神作部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。   ほかに御質問はいかがでしょうか。   私から一つお尋ねしてよろしいでしょうか。今の田中委員の御質問とも関連すると思うのですが、対面で主として営業している会社さんは、最近電子メール等の情報を収集することに努力しているというような傾向はあるのか、それとも、そこももう会社ごとに大分違うのか、過去の口座についてはなかなか新たに取得というのは難しいと思いますけれども、新規の開設については、これはどのように扱われているのか、御感触がありましたら教えていただけますでしょうか。 ○森本参考人 その姿勢については、私どもは何とも実感が分からないところです。社ごとの方針によりけりだろうと思います。デジタルでの情報のやり取りにシフトさせようということでメールアドレスを収集する方針の社もあるかと思いますけれども、なかなかそこまでのインセンティブがない社も当然今でもあり、そのような社ではそういった努力は余りされていないというのが実際のところではないかと思っております。 ○神作部会長 大変ありがとうございました。 ○内田委員 御説明ありがとうございました。私も5ページ目で、加藤先生の方から御質問があった点と同じところですが、信託銀行などへの書面交付請求と証券会社を経由した証券保管振替機構への問い合わせの2通りがあって、書面交付のそれぞれの比率は分からないということですが、御説明を聞いていると、やはりデジタルデバイド対応は証券会社の方に流れている部分が相当程度あるのではないかと感じました。つまり、この二つルートがあっても、信託銀行など株主名簿管理人の方に皆さんが請求してくれれば大きな問題ではなく、恐らく使い勝手とかを含めてデジタルデバイドの方々は証券会社を経由する方が実際には多く、それが業務負担となっていると受け取りました。その認識で正しいかということと、正確な数字は分からないにしても、仮に直接株主名簿管理人の方に問い合わせ先がシフトできるのであれば、証券会社経由の実務負担は恐らく徐々に減っていくのだと思いますので、そのこと自体は望ましいと考えているのか。それとも先ほどおっしゃられたように、固定費負担を含めて既存の枠組みができているので、つまりすでに一定の初期投資負担は終わっているので、例えば証券会社ルートからの流れが変わらないにしても、業務負担やその種の投資負担というのはそれほど変わらないと考えて良いのか。この辺りについて御意見や御説明をお願いできれば幸いです。よろしくお願いします。 ○森本参考人 まず1点目の、5ページのルートのどちらに寄っているかという御質問につきましては、繰り返しですけれども、私どもでは証券会社経由なのか株主名簿管理人に直接なのかという全体の数字は把握できませんので、お答えすることができません。けれども、前回、平成29年、30年頃のこちらの制度ができるときの議論では、証券会社の方が株主とのタッチポイントが多いという、ある意味、証券会社に期待されていたところもあって、証券会社ルートもできている、ということがそのまま現実になっているとすれば、証券会社ルートにおいても一定の規模で請求が回ってきているのかなとは思います。   2点目の、株主名簿管理人に直接請求に回ると証券会社の負担が減るかという点につきましては、これはもちろん請求件数が減れば事務量が減るという意味では、証券会社サイドとしては負担が減るということにはなりますが、御指摘のとおり枠組みはできておりますので、証券会社を経由する件数が増えるか減るかという問題については、それほど大きく負担が変化することではありません。ただ、仮に今の制度を存続しつつ何か実務を変えましょうということになると、再度、運用の組替えが必要になりますので、そこは証券会社としては勘弁してほしいというところはございます。もちろん証券会社のことだけではなくて全体を考えたときには、デジタル化を推進するということであれば、書面交付請求制度というものは極力もう解消するというA案のような形になるのが望ましいと、私どもも理解をしているところでございます。 ○内田委員 ありがとうございます。よく理解できました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤井委員 今の内田委員と加藤幹事の御発言に関しまして、私ども株主名簿管理人で把握している、どちらのルートかの比率というところなのですけれども、ざっくりなのですが、ざっくり半分半分で、若干株主名簿管理人経由が多いかなというところでございます。これもいろいろな背景があるのではないかと私どもとしては捉えておりまして、一つは、証券会社さん経由ですと一般的に、先ほど来お話があるとおり、少額ながらもお手数料を頂戴しているといったところが一つ。なので、株主名簿管理人の立場でお受けする場合には、株主様からは直接お手数料は頂戴しないというような、今この制度にしておりますので、書面交付請求においてはそういった現状というところではございます。   ただ、書面交付請求については銘柄ごとに指定をしてもらうというような形にはなりますので、株主名簿管理人、大手3社が務めておりますけれども、例えば3メガバンクの株主であれば、それぞれの株主名簿管理人に請求したいとなりますと、3メガバンクを持っていると、三菱、三井住友、みずほというような形でそれぞれのところにお申出いただかないと、株主さんにとっては請求をすることができないといった、少し利便性が悪いといったところは、もちろん証券会社さんも複数でお持ちになっているというところは十分にあるのだと思うのですけれども、そういった事情はあるのかなと承知しております。 ○神作部会長 大変貴重な情報をありがとうございました。   ほかに御質問、あるいは今のように御発言はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、追加の御質問はないようでございますので、ヒアリングは以上とさせていただきます。   森本様におかれましては大変お忙しいところ、誠にありがとうございました。御対応に重ねて御礼を申し上げます。ありがとうございました。   それでは、まだ3時前ではございますけれども、区切りがよいので、ここで15分ほど休憩を入れさせていただきます。大体3時少し前ぐらいにお集まりいただければと思います。それでは、前半はこれにて終了いたします。           (休     憩) ○神作部会長 それでは、皆様お戻りのようでございますので、これから後半の部を開始したいと思います。   続きまして、事業報告及び有価証券報告書の開示の合理化に関して、日本公認会計士協会からお話を伺いたいと存じます。本日参考人としてお越しいただきましたのは、日本公認会計士協会副会長の小倉加奈子様、日本公認会計士協会常務理事の小島亘司様のお二人でいらっしゃいます。   小倉様、小島様におかれましては大変御多用の中、資料を御準備いただき、また本部会に御来臨いただきまして誠にありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。ヒアリングの進め方についてでございますけれども、先ほどと同様、まず小倉様及び小島様から御説明を頂戴し、その後、質疑応答の時間を設けたいと考えております。   それでは、小倉様、小島様、早速でございますけれども、御説明をよろしくお願いいたします。 ○小倉参考人 皆様、はじめまして。私は今御紹介いただきました、日本公認会計士協会で制度整備、法改正を担当しております副会長の小倉でございます。本日は参考人としてお招きいただきましてありがとうございます。担当常務理事の小島も同席しております。私からは、今般の法制審議会における議論を踏まえ、会員向けにアンケート調査を実施いたしましたので、その結果とともに日本公認会計士協会の意見を述べさせていただきます。   スライド4ページを御覧ください。有価証券報告書の株主総会前開示については2025年3月に、総会の3週間以上前に提出することが最も望ましいとの大臣要請が出されました。これを受け当協会では、十分な監査期間の確保を前提に、制度見直しに関する意見を示してまいりました。法制審議会においても議論が進められていることから、会員の意見を的確に把握し、職業専門家団体として在るべき提言、意見発信を行うため、監査及び開示に関連する業務に従事する公認会計士を対象にアンケート調査を実施することにいたしました。   6ページを御覧ください。本アンケートは、上場会社の監査を担う監査法人における監査チーム単位、すなわち上場会社単位のほか、社外役員として活動する公認会計士、企業内の経理、財務部門などの組織内会計士として業務に従事する公認会計士を対象としました。調査期間、調査の方法は記載のとおりで、アンケート調査の回答率は、監査法人の監査チームにおいて約7割の回答が得られております。   7ページを御覧ください。こちらは監査法人に所属する会員を対象とした設問の一覧でございます。8ページを御覧ください。開示制度の見直しの方策に関して、どのような方向性が望ましいかなどを聞いております。あわせて、有価証券報告書の総会前開示を実施する場合の時期や、そのために必要となる実務対応、具体的な対応方法等についても質問をしております。アンケートの結果は、後ほどのスライドで御説明を致します。   スライド9ページから11ページは、社外役員及び組織内会計士を対象としたアンケートの設問です。本日は時間の関係もあり、監査法人向けのアンケート調査結果を中心に御説明し、社外役員及び組織内会計士向けのアンケート結果は、主なポイントのみを御紹介させていただきます。   スライド13ページを御覧ください。回答者の所属する監査法人の規模についての設問です。回答は、大手監査法人が約6割と最も多く、次いで準大手監査法人が約2割、中小監査法人が約1割強となっています。なお、上場会社の監査人の属性別のシェアもほぼ同様の割合となっております。   スライド14ページを御覧ください。回答者の監査先の市場区分については記載のとおりであります。スライド15ページは関与先の決算期であり、3月決算が約6割と、監査実務が特定の時期に集中している状況が確認できます。スライド16ページは、決算日から会社法に基づく監査報告書日までの期間と、そこから金商法監査報告書日までの期間を分析したものです。決算日から会社法監査意見表明日までの期間の中央値は49日、会社法監査意見表明日から金商法監査意見表明日までの期間の中央値は36日となっております。   スライド17ページは、直前期の会社法監査日程において、監査期間確保の観点から、監査実務の負担度合いについて質問したものです。現行の会社法監査の日程の中央値は49日でしたが、約8割の監査チームが負担を感じると回答をしております。スライド18ページは、Q7の監査の実務負担とQ5の会社法監査意見表明日までの期間のクロス集計分析になります。枠囲みのとおり、監査期間が確保されるほど、かなり負担に感じるとの回答が減少する傾向が確認できます。   スライド19ページは、現行の会社法監査の日程を前提に、監査品質への影響について質問したもので、「少し懸念がある」が多数であるものの、約7割の監査チームが懸念があると回答をしております。スライド20ページは、監査品質への懸念の具体的な内容を質問したものです。監査調書のレビューが最も多く、次いで監査調書の作成が挙げられています。監査はノーペーパー、ノーワークとされており、監査調書に記録することが求められ、監査調書に基づいて品質の検査が行われるため、その対応に実務上の負荷があることがうかがえます。また、クライアント対応も約3割を占めており、作成者側の負担が監査品質への懸念につながっていることが分かります。   スライド21ページは、開示制度の見直しの方向性についての質問であり、会社法改正による開示の一本化を求める意見が全体の7割を占めています。なお、その多くは強制適用又は段階的強制適用を要望しております。スライド22、23ページは、スライド21ページの選択の理由の記述です。強制適用又は段階的強制適用に関して、比較可能性の確保が理由になっております。なお、対応準備の観点から段階的に導入すべきという意見が見られます。いずれについても、十分な監査期間を確保することが必要であるという意見でございます。   スライド24ページは、開示書類の一本化についての監査実務への影響ですが、監査の効率化につながると期待する意見が約8割です。あわせて、作成側の業務効率化や実務負荷、作成負担の軽減につながると期待する声も約半数見られております。   スライド25ページは、有報の総会3週間以上前開示実施に向けて半数の企業が検討している状況が分かります。一方で、当年度に実施予定とする企業は約3%にとどまっており、多くの企業が段階的、中長期的な対応を想定していることがお分かりいただけます。スライド26ページは、実施予定と回答した企業の具体的な方法を見ますと、有報作成時期の前倒しが約8割と大半を占めております。一方で、株主総会の議決権基準日の変更を行うとする回答は約1割にとどまっており、監査期間を確保した上での有報の総会前開示と異なる方向にあり、この点は非常に憂慮をしております。   スライド27ページは、法改正要望書の取りまとめに向けた協会への要望の自由記述です。多くの意見として、会社法改正による開示書類の一本化を推進、実現してほしいという声が挙げられております。あわせて、監査品質を確保するためには十分な監査時間の確保が不可欠であり、株主総会の後ろ倒しと開示書類の一本化を組み合わせて検討すべきとの意見が見られます。   スライド28ページからは、社外役員及び組織内会計士として業務に従事する公認会計士を対象としたアンケート調査結果の主なものを御説明させていただきます。スライド30ページを御覧ください。開示制度の見直しの方策であり、社外役員、組織内会計士とも、会社法改正による開示一本化を支持する意見が全体の約7割を占めており、その多くが強制適用又は段階的強制適用を求めております。   スライド33、34ページは、法改正要望書の取りまとめに向けた協会への要望の自由記述です。こちらに関しても多くの意見として、会社法改正による開示書類の一本化を推進、実現してほしいという声が挙げられております。スライド33ページ、社外役員においては、監査スケジュールへの影響に配慮しつつ任意適用の柔軟性を確保した形が望ましいという意見や、監査担当者の負担削減、効率化の重要性に関する意見があります。スライド34ページ、組織内会計士においては、段階的な強制適用を前提とした現実的な制度設計、企業規模や実務負荷に配慮した移行措置や十分な準備期間を確保、開示の信頼性、整合性の向上と実務の安定的運用に関する声が挙げられております。   スライド36ページを御覧ください。会員の声を取りまとめた上で、日本公認会計士協会の意見について御説明をさせていただきます。協会は公認会計士の使命を踏まえ、日本の資本市場の信頼性向上の観点から、監査品質の確保を前提に、我が国の法定開示制度を効果的かつ効率的なものにするための会社法制について、次のとおり意見を申し上げます。   第1に、開示書類の一本化・監査の一元化に賛成します。第2に、開示書類の一本化は、情報の比較可能性を確保する観点から、全ての上場企業へ強制適用すべきと考えます。なお、企業の状況を考慮して、段階的適用を可能とすべきと考えます。第3に、情報の信頼性を確保するためには監査品質の維持が不可欠であり、有報の総会の3週間以上前開示については、議決権基準日の見直しによる総会後ろ倒しを前提としていただきたいと考えます。監査期間を十分に確保する制度設計が必要です。最後に、開示書類及び開示項目の簡素化についても要望を致します。   スライド37ページを御覧ください。最後に、今般の中間試案の規律付けを行う場合、検討していただきたい各論について3点申し上げます。1点目は、一本化書類としての有価証券報告書に対する監査役等の監査報告の取扱いについて、その監査対象の範囲はどこまでとするのか、また、その監査報告の開示媒体をどのようにするのかについて、監査役監査の実効性を担保するため明確化が必要と考えます。   2点目は、一本化書類としての有価証券報告書は、事業報告、計算書類に代わる法定開示書類となることから、各機関の責任範囲についての整理が必要と考えます。すなわち、有価証券報告書のどの部分を取締役会の承認事項とするかを明確にした上で、それを踏まえて、株主総会における承認事項又は報告事項とすることを明確化すべきではないかと考えます。   3点目は、会社法上の会計監査人による監査の通知期限の在り方です。監査品質を担保するための十分な監査期間が確保されなければならないことが重要です。現行の会社計算規則においては、会社法監査の通知期限は計算書類の全部を受領後、原則として4週間とされており、例えば、一本化後の有価証券報告書については開示の分量が増大することから、会社法監査の通知期限を長く取るなどの規律の見直しも併せて検討が必要と考えます。   本日御紹介したアンケート結果の全体像は、当協会のウェブサイトに掲載をしております。   以上で私からの御説明を終わります。御清聴誠にありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。開示・監査一本化に関して大変貴重なアンケートを実施していただき、また、その結果について詳細な御報告を頂きました。大変ありがとうございました。   それでは、続きまして質疑応答の時間とさせていただきます。ただいまの小倉様、小島様の御説明につきまして、御質問のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○小長谷幹事 私から2点、お伺いしたいと思います。   まず、資料37ページの3番目において、会社法上の会計監査報告の通知期限の在り方について問題提起を頂いております。この点について、仮に計算書類の全部を受領後原則4週間という現行の規律を維持することとした場合に、どのような問題が生じ得るのか具体的に御教示いただけると幸いでございます。   2点目ですけれども、中間試案におきましては開示書類の一本化の対象は計算書類及び事業報告並びに連結計算書類とされております。ここに計算書類の附属明細書を含めるべきかどうか、実務等の観点から御見解をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。 ○小島参考人 まず一つ目の御質問でございました、4週間とした場合ですね、これを維持した場合の影響ということですが、これは感覚ではございますけれども、事業報告等の書類のページ数、それから有価証券報告書のページ数は大きく違ってございます。イメージで申し上げれば50ページが250ページになるイメージになってございます。そうすると、この4週間というところを維持した中で、これまでどおり監査意見を形成していくというのは非常に困難ということが言えるかと思います。では、どのぐらい延ばすべきかというところに関しては、これは企業によって様々でございますので、そこについては今後、各監査法人への聴取も含めて詰めていく必要があるかと思いますが、4週間では困難ということは、これは言えるかと思います。   それから、2点目の附属明細書の件に関しては、これはもう一本化するべきと思います。一本化しないでこれを残してしまうと、せっかく一本化、一元化したのに、別途そこだけの監査は法令上残ってしまいますので、これに関してはもう一本化するという選択肢しかないのかなと思っております。 ○小倉参考人 補足をさせていただきますと、私ども、手元で調べた限りなのですが、昨年度、2025年3月期の有価証券報告書で一番ページ数が多い会社は有価証券報告書が330ページを超えておりました。そちらの会社様は事業報告については交付書面省略事項を含めまして110ページということですので、3倍ぐらいボリュームが違います。そういったことがございますので、4週間ということでは非常に難しいのではないかと考えているところでございます。 ○神作部会長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。 ○仁分委員 詳細な御説明ありがとうございます。私からは36ページの御意見②についてお伺いしたいのですけれども、任意適用であると開示書類の一本化が進まないとお考えなのだろうと拝察いたします。それは、開示書類の一本化をする方が負担が大きいと考える会社が一定数いると認識されているからだと理解いたしました。それについてどうお考えなのかということ、それから、企業の負担増と情報の比較可能性を確保するということの比較衡量の中で、後者の方が重要だと思われたということだと思うのですけれども、その理由についてお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。 ○小倉参考人 一本化の任意についてということですと負担を考えられて選択されない会社がいるのではないかというところについては、やはり任意適用になりますと、これまでもずっと一本化、一元化については議論されてきたところですけれども、なかなか進まないというところがございます。ですので、会社を後押しするためにも強制適用で法改正をしていただく方がそちらに移行しやすいのではないかということです。負担増という観点では、経団連さんからもアンケートで出ておられるように、役員人事の問題や、基準日等を2回設けるとコストが掛かるといったような問題がありますので、そういった会社さんがいらっしゃることは十分理解をしておりますし、実際にはアンケートの中でも、任意ということもあり得るのではないかという会員がいることも事実ではございます。   ただ、我々としては、2点目の質問にも関係するところですけれども、上場会社というのは情報の比較可能性ということが情報の利用者にとって非常に重要になりますので、上場会社の重要な有価証券報告書や事業報告というものが任意で、利用者の方にとってばらつきがあるという状態よりは、比較可能性を確保することによって一律にする方が利便性が高まり、結果として資本市場の発展にもつながるのではないかと考えておりますので、強制適用ということを推進していただきたいと考えております。 ○神作部会長 仁分委員、よろしいでしょうか。 ○仁分委員 ありがとうございます。 ○久保田委員 本日は貴重な調査結果を御報告いただきまして誠にありがとうございました。私は22ページについて3点ほど御質問したいことがあります。   まず、強制適用するメリットとして企業間での公平な比較可能性を担保できるという考え方が挙げられているわけですけれども、これに対して任意適用とされ、一本化された開示書類と一本化されていないこれまでとおりの開示書類が併存する場合、どれぐらい比較可能性が阻害されるのか、また、そういう比較可能性が阻害されるという問題を緩和するための方策としてどのようなものが考えられるかというのが一つ目の質問です。   次いで、段階的強制適用をすべきという考え方が挙げられていまして、ここで任意の場合、会社間での比較の観点から、ある程度共通のルールで強制適用の方がよいということが記載されているわけですけれども、ここで想定されている共通のルールの内容というのは具体的にどのようなものなのかお教えいただきたいというのが二つ目です。   三つ目は、先ほどの仁分委員の御質問とも関連することです。開示監査の一本化をするためには株主総会の開催時期の後倒しが必要であると理解していますけれども、それでは任意適用とした場合において株主総会の開催時期を後ろ倒ししてまで開示監査の一本化をしようとする会社がどれほど現れると予想されるか、これは明確な予想は難しいと思うのですけれども、現時点で感触でも構いませんので、もしお考えがあればお教えいただければと思います。よろしくお願いします。 ○小倉参考人 3点頂きましたけれども、3点目から回答をさせていただきたいと思います。現在の状況の中で、株主総会を後ろ倒ししてまで任意適用される会社がどれほど現れるかというのは、今回のアンケートでもございましたが、ほとんどないと、総会前開示を検討されている中でも10%ぐらいしかないということですし、全体として今回の会社法改正の規律付けが行われた場合に3,800の10%の380社も現れるかというと、そこまでも行くのは非常に難しいのではないのかと考えております。ただ、時期が進むにつれまして、一本化のメリットをアピールされる会社さんが出てきて、そういう一本化によって、例えばコスト削減であったり、事務、実務について重複解消ができるというようないい部分をたくさんアピールされる会社が出てきましたら、今の制度、任意適用の中でも総会を後ろ倒しされるような会社さんも増えてくるのではないかと、これは本当に推測でございますけれども、そのように考えております。   順番に遡っていく回答で恐縮でございますけれども、2点目の段階的強制適用のところの、22ページ目のところですが、任意適用の場合、会社間の比較の観点から、ある程度共通のルールで強制適用というところの共通のルールというところは、やはり開示について有価証券報告書と事業報告を一本化していただくということで今、御検討はしていただくと理解をしておりますが、開示ルールについては基本的に共通化していただくと、その上で任意適用を可能にしていただくということでございますので、ある程度と言いながら、開示について基本的には共通のルールでやっていただきたいということだと思います。   一番初めの御質問の、強制適用について企業間での公平な比較可能性を担保できるという点で、では、ばらばらとなった場合に比較可能性についてどのぐらい阻害されるのかということですけれども、恐らく今、有価証券報告書についてはEDINET等で開示をされておりますので、機関投資家の方はそういった情報データベースを用いて分析をされているケースが多いと思います。今度、議決権行使に当たっても、有報に一本化されれば、そういった有報が開示されるデータベースを使って、特に議決権行使の推奨機関等は情報を分析されたりということができると思うのですが、その辺りが皆さんが統一をされないと、一部の会社さんは有価証券報告書のデータベースから取り、統一されない会社さんは今のように各会社ごとのホームページというかウェブページを見て、総会の招集通知を分析するというようなことをされるのではないかと考えております。   そういう場合でも比較可能性について何とかできないかという方策については、いろいろなお考えがあると思いますけれども、会計士協会でいろいろ試みているところでは、情報のデータベースの共通化というところができないのかというところは研究をしたりしているところでございます。具体的にこうやったらいいというのは今現在何か、本日お示しできるようなものはございません。 ○久保田委員 大変詳細な御説明ありがとうございました。 ○森委員 会社法監査と金商法監査の違いについて少しお伺いしたいのですけれども、16ページにイメージ図があって、これは非常に分かりやすいのですが、会社法監査期間が終わって金商法の監査期間があると書かれていますけれども、仮にこれが金商法監査期間で重複作業がすごく多くて、もしも一体化されれば、これは相当ぐっと短くなるものなのか、やはり金商法は金商法でかなり監査すべきことがあって、この日数というのは一体化してもそれほど縮まらないものなのか、どれだけ縮まりそうなイメージがあるのかというのを、もしあれば教えていただきたいのと、それに加えて、仮に有価証券報告書が取締会の承認事項となった場合に、かつ株主総会の資料となっていくというようなことを想定した場合に、現状の株主総会の招集のプロセスなり期間を考えたときに、有価証券報告書を今のスケジュール感で本当に監査を終えて、招集に間に合わせるようなところまで行けるようなイメージが現実的にあるのかどうか。3週間前はともかく、それを更に前倒しにしなければいけなくなってくると思うのですけれども、取締会の承認事項、承認書類となっていった場合に、相当早くしなといけないようなイメージがあるのですが、現実的にどのようにお考えになっているか、少しイメージをお教えいただければと思います。 ○小島参考人 まず、縮まるのかどうかという点に関しては、一定程度縮まる部分はあると思います。重複している部分が解消されますので、縮まる部分はあります。一方で、有価証券報告書は開示府令によってサステナビリティの情報等、現下の環境に適合した開示も求められてきているところでございまして、その点も含めると、今の総会の日程、3か月以内でやるという日程ですね、これを維持したまま縮めて、それで3週間前を達成するというのは相当程度困難な会社が多いのではないかということがまず考えられるのと、監査サイドとしても、監査リソースの問題もありますので、全ての会社がそこに集中して、作成して、監査して、しかも利用者にとっても十分な期間を置いてというのは相当困難だと理解をしてございます。   御回答としては同じになりますが、総会のプロセスに関しても今申し上げたとおり、やはり現状の総会の3か月以内というところでこの3週間前を強制的に達成していくということは、困難であると考えているところでございます。 ○森委員 ありがとうございます。そういう意味では、25ページで3週間前実施をやろうとしているのがこれだけあるというのに少しびっくりしたのですけれども、本当にできるのかなというところもあるのですが、一応やろうと思えば、そうは言ってもできるようなものなのか、これはどう考えても無理ですよみたいな、そんなイメージなのか、その辺はどうですか。 ○小倉参考人 ここにも出ておりますとおり、3週間前以上開示については、本年度ももう幾つかの会社さんが手を挙げられているところがございます。具体的な方策は、先ほど御説明したとおり、株主総会の後倒しではなくて、26ページ目のスライドでいきますと、有報作成時期の前倒しということで対応されようとしている会社様が手を挙げられているのですが、会計士協会としては、先に手を挙げた方は早く監査リソースを確保するので、できると思うのですが、3,800社皆さんが手を挙げたら、それはできないということなので、今の有報作成時期の前倒しによる3週間以上前開示は、持続可能性というかサステナブルな制度にはなっていないと考えておりますので、そうではなくて、やはり総会後倒しという方向でやっていただきたいというところでございます。 ○森委員 ありがとうございました。 ○齊藤委員 貴重な情報提供を頂きましてありがとうございました。今、森委員が聞かれたことと重なるのですけれども、それにかかる点と、追加で1点お伺いいたしたく存じます。総会前開示を実現するために有価証券報告書の作成時期を前倒しをすることでは不十分な対応であるとお伺いしたのですけれども、それは、前倒しをすると、会社から情報を受領する時期も早くなるけれども、それでも監査の量が多いので間に合わせることが難しいという理解でよいのかというのが1点目でございます。2点目なのですけれども、少しセンシティブな話なので、お答えを仮に頂けるならという御質問ではあるのですけれども、よく監査業界というのは、欧米では寡占であると言われてはいるのですけれども、日本の特殊な事情として、日本では、たくさんの監査法人がむしろ過当競争にある状態であるので、監査法人の交渉力は欧米とは違っており、監査契約で十分な監査報酬だとか、あるいは監査の質を確保するための条件などを交渉をするのが難しいという話をかつて聞いたことがあります。そういった事情があるでしょうか。というのは、例えば、有価証券報告書の前倒しだけでは我々は十分な質の監査はできない、だからもう少し監査期間を充実するようなことを会社としても考えてくれとか、スタッフを確保するための十分な監査報酬を支払ってほしいというような交渉をする、応じられないなら我々はこのスケジュールでは監査できないと言えるような状況にあるかというところをお尋ねしたく存じます。 ○小倉参考人 監査の手続が非常に多いので、間に合わせる、総会3週間前以上開示を有報の前倒しで対応するというのは非常に難しいのかというのは、それはやはり御理解のとおりで、先ほど申し上げたとおり、有価証券報告書になりますと大きな会社さんでは200ページを超えるようなページ数になってまいりますし、開示の財務諸表の注記も非常に多いですし、先ほど小島が申し上げたとおりサステナビリティに関する情報も入ってきますので、そういう観点では、やはり情報は年々増えていっている状態で、それはそれで金融審議会等で有価証券報告書の開示についての見直しの御要望が出ているということも理解をしているところです。ただ、財務諸表について監査を行い、膨大な注記についても監査を行い、非財務情報について現在は通読を行って、何かおかしなことがあれば監査役に通知するということをするには、やはり作成時期の前倒しでは非常に難しいというのは現状です。   監査業界が寡占状態なので、会社との交渉において外国と比べて不利な状況に置かれているのかという観点では、そうした認識は持っておりません。確かに監査法人の数自体は、このアンケート結果にもありますけれども、日本では上場会社を監査する事務所というのは大体130ございます。すみません、監査法人の数はアンケートになかったですかね、130ございまして、大手監査法人、準大手監査法人が各々四つずつあって、中小監査法人というのは120ぐらいあるのですけれども、その監査法人の、例えば大手の数というのはグローバルでも同じですし、国によっては上場企業は比較的大きい事務所しか監査を担当しないというようなケースもございます。ですので、寡占状況なので監査人が非常に監査日程の交渉において外国比、不利な状況に置かれているかというと、そういうことはないと承知をしております。 ○齊藤委員 私の2点目についての質問の仕方が少し混乱を招いたようで、申し訳なかったですが、申し上げたのは、寡占状態だからではなくて、むしろ過当競争にあるので、監査業界の方がむしろ弱い立場に置かれていて、厳しい状況でも監査を受けざるを得ないような実態にあると、だから、基準日を後倒しにして十分な監査期間を確保してくださいと監査法人が要求できれば、十分な監査期間を確保できるけれども、それは難しいので、この期間でやってくださいと言われたら、それで応じざるを得ないような状況がございますかと、そういう御質問でした。 ○小倉参考人 大変失礼いたしました。今の御質問については、監査法人自体は過当競争ということであっても、それが理由で交渉が難しいということはないと理解をしております。ただ、日本の場合は非常に会社さんが横並び意識が強くて、やはり皆さん、日程を決めるにも大宗がどういう状況にあるのかというのを気にされる。その中で、例えばこの会社さんだけ基準日を後ろ倒ししてくださいと言っても、それは恐らく交渉としては成立しないので、多くの会社に株主総会を後倒しでやっていただきたいというところでは、我々としては法改正の強制適用が一番、道としては確実なのではないかということで、このような要望にさせていただいているということでございます。 ○齊藤委員 ありがとうございました。 ○小島参考人 一つだけ補足です。ミクロの視点とマクロの視点がございまして、ミクロで見ると、会社様によっては業務プロセスを大幅に改善されたり、リソースをそれこそ2倍投入したりということで作成期間を早める、監査チームもミクロで見れば、その要求を受けて個々のチームでリソースを集中投下するとか、周りの協力を仰ぐとかということで、できる場合はあるということは言えるかと思います。一方で、これが全部が全部できるのか、サステナブルな監査ができるのかというところは、これは大きな疑問で、そういう意味で今回、我々としては、ここはもう制度としてしっかり後倒しというところも含めた設計にしていただくということで、マクロとしてサステナブルな監査ということが達成できることを望んでいるということでございます。 ○齊藤委員 ありがとうございます。 ○矢野幹事 貴重なお話ありがとうございました。この2回ぐらいの御質問の関係のお話になるかと思うのですけれども、二つほど教えてください。   先ほどリソースというようなお話が少し出たかと思うのですけれども、そこはやはり3月末決算にかなり集中しているところでの人のやり繰りというか、そういった点が関係しているのかどうかといったところで、特に、例えば先ほどのアンケートのところで負担感と決算期の関係みたいなものとか、そういったものがあるのかどうかという点を教えていただければと思いまして、それが一つ目になります。   二つ目が強制適用のところで、もう少し教えていただければと思いまして、企業間での公平な比較可能性ということをおっしゃっていますけれども、仮になのですが、一本化されたといったときには、例えば、この会社さんは一本化されたけれどもやりませんと言ったときは、とはいっても、ただ、有報は有報で皆と同じものは出ているという状態なので、そこを比較検討すれば比較はできる、その上でやりませんと言って、あえて監査もお願いして、事業報告も別途作るという、やってもいいとは思うのですけれども、そこまでやる会社さんは普通はいなくて、一般株主への理解のためとかで事業報告的なものを作るとか、そういった運用になるのかなと思っていたものですから、その辺りでどういったところでその違いが出るのかというところをもう少し教えていただけると助かります。 ○小倉参考人 1点目のリソースにつきまして、3月決算への集中度合いがあるのかという御質問は、御指摘のとおり、御理解のとおり、3月決算が6割を超えておりますので、非常に3月決算の負担感が大きいと考えております。17ページスライドにおきましても、若干の違いではありますが、3月決算のみの回答が負担感については84%、3月決算以外が81%と、若干の差ではございますが、3月決算の方が負担感が大きいというようなところになっております。   2点目の企業間の比較可能性について、今回の規律付けにより一本化ができるとなった場合に、それをしないでというか、事業報告についてもそれを別々に作成される会社さんがあるかどうかというところでよろしいでしょうか。御質問の趣旨を再度御確認を、すみません。 ○矢野幹事 私もなかなかうまく表現できていないのですけれども、改正されたときには一本化されたものが1個出てくるだけで、旧法どおりのものを作るのと選択ではなくて、新しい開示府令か何かができて、それに基づいて皆行う、有報を作るので、各社同じものが出来上がるのではないかと。だから、仮に事業報告をあえてやらなくても、比較可能性という点で言えば、有報を皆さん比較するということになるのではないかと思いまして、強制だろうが任意だろうが、そこは違いはないのかなと思ったものですから。 ○小倉参考人 有価証券報告書は開示府令によりまして、新しい一本化した有価証券報告書の開示府令というものが出てくるのではないかと想定しておりまして、A、B、Cのベン図がございましたけれども、一本化したものについての開示府令と一本化しないベースのものが出てくるのではないかと少し想像しておったところなのですが、その辺りは私どもの理解が不十分なのかもしれません。   小島さんの方からありますか。 ○小島参考人 有価証券報告書は今の法令上、決算日から3か月以内ということになっていますので、それはそれでいかして、会社法の招集通知は、これは早く出す、電子開示総会3週間前というのがありますので、そこは簡便なもの、有報は300ページありますという選択をする会社が出てくるのではないかというのを想定しています。任意にしておくと、それで有報のタイミングもずれてきますし、もっと言えば総会の後ろで有報がずっと出続けるということも、今のところルール上はできるわけですから、そういったところもしっかり解消して比較可能性を担保していくというのが日本の資本市場にとっていいのではないかと思っているところです。 ○矢野幹事 なるほど、分かりました。ありがとうございます。 ○豊田委員 今日は御説明ありがとうございます。1点なのですけれども、今の規律のままで総会の3週間前ということは難しいということですけれども、実際に強制適用か段階的か分かりませんけれども、仮に規制が変わる場合に、3週間前できついということであると、実際に望ましい株主総会の時期としては、1か月後くらいであればいいというふうなお考えなのか、それとも、先ほどもおっしゃっておりました、取締役会で議案を決議するといったようなことですとか、開示事項が増えるといったようなことを考えると、もう少し先のことを考えておられるのか、その辺りの御感触はいかがでしょうか。 ○小倉参考人 そうですね、一本化後、強制適用ということで、有価証券報告書の作成期間については、今より長く頂きたいかというと、そういうことではないと思います。現在3か月頂いているわけですから、そこの期間というところを考えております。そうすると、総会が3週間前以上となると、総会はそこから3週間後ということになると考えておりまして、サステナビリティ情報の開示がありますので、金融審議会等の議論の中では3か月ではなくて4か月というような要望の声もあったと承知はしておりますけれども、諸外国でもそれほど長い期間後にアニュアルリポートを出しているということはないので、我が国においても現状の3か月というところではないかと考えているところではございます。 ○豊田委員 ありがとうございます。 ○青委員 テクニカルなところで2点だけ確認させてください。   一つは、総会を後ろ倒しすると仮定した場合の話なのですけれども、その場合、期末日というか決算の日から監査報告書を提出する日まで今よりも期間が空く形になりますけれども、後発事象とかそういったところで何か大きな問題になりそうなことがありそうかどうか、伺えればと思います。   もう1点は、金商法と会社法とで事業報告書と有価証券報告書の書類自体が一本化になった場合、監査については監査そのものを一つにするというアイデアについて、これまでも議論はしているところなのですけれども、監査について一つにするということについて、何か支障や、留意した方がいい点があるか、お教えいただければと思います。よろしくお願いします。 ○小倉参考人 総会後倒しという観点で、監査報告書と株主総会との関係でございますけれども、一本化した場合には、先ほどの例で行きますと、期末日から3か月後に財務諸表が確定し、監査報告書をお出しすると、その後3週間後に株主総会を開催されるということですと、その間の後発事象については我々の範ちゅうではなくて、基本的には監査役会が担保をされるようなケースが今でも多いと思いますし、後発事象について事業報告等で開示できない場合は株主総会で御説明されるというのが現在の実務と承知しておりますので、私どもの監査報告書との関係で、後発事象の問題というのはそれほどないのではないかと思っております。   会社法と金商法の監査の一本化、一元化については、我々としては是非そのようにしていただきたいと考えておりまして、特段の支障というのはないと考えているのですが、ただ、今、会社法の監査の結果につきましては無限定適正意見の場合には総会は報告事項となっておりますので、無限定でない意見が出た場合にどういう規律付けになるのかというところが少し、細部が明確になりませんと、何かそこで問題が出てくるのかどうかというところは十分に、我々の方でもそういうところが論点になるのではないかというところの確認ができていないところでございます。 ○青委員 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○小島参考人 後発事象のテクニカルなところだけ少し補足させていただきますと、監査報告書までの期間が延びますので、修正後発事象の期間が延びると考えてございます。一方で今、会社法と金商法と2回、監査報告書を出すことによって、日本独自のルールで、会社法から金商法までに起こった後発事象というのは開示後発事象になっていて、これはもう本当に日本独自の見せ方になっています。一方でIFRSを適用している企業は、今でもそこは金商法まで全て修正後発事象という扱いになって、結果として、これを一本化することでそこが解消されますので、実務上問題は生じておらず、むしろ日本として、いい方向に向かうと理解しております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松尾幹事 御報告ありがとうございました。大変参考になりました。答えにくい質問であることを承知でお尋ねするので、大変心苦しいのですけれども、任意か強制かというところで、段階的にせよ強制でないといけないだろうという御意見との関係で、先ほど久保田委員とのやり取りの中で、一本化を任意とした場合に、監査を受ける企業の方で一本化によるメリットがあると、コスト削減ということもおっしゃったと思うのですが、コスト削減等のメリットがあるということが分かれば、一本化に移行する会社も増えるかもしれないとおっしゃいました。仮に一本化によって監査費用が顕著に下がるのであれば、上場企業としても任意であったとしても一本化を検討せざるを得なくなる気もするのですけれども、そうでなくて、任意では駄目で強制でないといけないとおっしゃるということは、監査費用については顕著に下がることはないだろうという見通しを持っておられるという前提でしょうか。先ほどコスト削減とおっしゃったのは、専ら企業側の工夫というか、そういったことによるコスト削減という意味だったのでしょうかという御質問です。よろしくお願いいたします。 ○小倉参考人 開示監査の一本化によって監査手続が整理をされますので、重複部分が解消しますので、結果として監査工数は効率化されると考えております。その部分においては監査報酬は抑制されると私どもとしては考えているところでございます。ただ、監査報酬の総額自体は、その部分の効率化以外の要素も含めて算定されますので、実際にどうなるかというのはそのときの各社の状況によると考えておりますけれども、二つのものを一つで済むということになりますので、その部分は確実に効率化されるということで、企業側にもその部分のメリットは享受いただけるのではないかと考えているところでございます。 ○松尾幹事 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤井委員 御説明ありがとうございました。25ページ目のところで、3週間前の実施時期につきまして、実施予定の検討をされている企業さんも含めると約半数弱いるといったことは、何となく私の感覚からすると、多いのだなというようなイメージを持ちました。この実施を検討されている企業さんの特徴とか、例えば時価総額が大きい企業さんが多いとか、市場に何か特徴があるとか、何かもし分析されているようなことがあれば、教えていただければと思います。 ○小倉参考人 私どもの分析では、特にその市場について顕著な差異があるということはありませんでしたので、市場別の情報も全部取ったのですが、顕著な差異がありませんでしたので、分析の方は全部一緒になっております。ただ、金融庁さんの方で2月に出されている有価証券報告書レビューにおける調査結果の方では、プライム企業については総会前開示、3週間ではないと思いますけれども、総会前開示について非常に多くの割合の企業が検討されているということが報告されていると承知をしております。 ○藤井委員 ありがとうございました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○内田委員 私は19、20ページの監査品質について御質問させていただきたいと思います。監査品質については、資料を見る限りは、やはり正確性と時間が二つの変数になって、互いに影響しており、密接に関係していると考えます。そこでお聞きしたいのは、現在進められている東証の市場改革などを反映して、例えば上場プライムの企業数は減少していくスケジュールというか、予定になっていますが、このことが考慮されているのか。加えて、スタンダード市場の状況は流動的ですが、グローバルで見たときの上場企業数が日本は非常に多いという課題があり、中長期的には減っていくという想定も立てられます。その辺りの影響はどの程度考慮されているのでしょうか。加えて企業数もそうですが、一方では事業報告書と有価証券報告書の一体開示と一本化、これをどれだけ進められるかですが、先ほども重複部門が一定程度あるので一本化の効果はあるという御説明だったと思いますが、この部分はこのアンケートに前提として織り込まれているのでしょうか。つまり、ある程度の重複部分が解消されたベースで、監査品質や監査時間についての懸念が言及されているのか、そのようなアンケート結果として捉えて良いのかを確認させていただきたいと思います。 ○小倉参考人 1点目の、東証の市場改革との関係で企業数の減少の影響はというところですけれども、最近も報道でプライムよりスタンダードの方が数が多くなったというようなところもございましたけれども、やはり日本は上場企業の数が3,800と非常に多く、また3月決算が6割と非常に大きいので、監査品質は当然確保するように監査を進めているのですけれども、企業数が多いことが影響しているということはあるとは理解をしております。企業数が減少していけば、数が少なくなれば、十分な監査期間を掛けられるというところはあるのかなとは思います。   あと、一本化、一体化を進めていくことで、監査の品質についての影響というところは、監査品質の懸念が今あるかどうかというところは、純粋に現状の会社法の監査日程が中央値49日、約50日ということで結構きついと、それではきついという実務の負担感と、その実務のきつさは品質への影響を感じているというアンケートでして、Q9というところの20ページは一体化、一本化を織り込んでいるものではございません。ただ、24ページにありますとおり、一本化することによって監査実務への影響がどうかというアンケート結果については、監査が効率化すると期待するところが8割ございますし、監査品質が向上するという選択肢を選んでいらっしゃる監査チームも3割ありますので、この一本化、一体化によりまして、品質の向上というところも期待はされるところだと承知をしております。 ○内田委員 ありがとうございます。よく理解できました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○北村委員 詳細なプレゼンテーションをいただき、また先ほどの質疑応答でかなり実務的なことを詳細に御報告いただき、多くの知見を得ることができました。ありがとうございました。私からは、質問というよりも、今日の御報告の37ページに述べられていることの確認をさせていただきたいと思います。   開示書類の一本化・監査の一元化の会社法改正時に検討すべき各論、すなわち部会にて検討すべき各論を示されている箇所の②のところについてです。私はこれを事前に読ませていただいたときには、一体化された書類について取締役会の承認事項とすることを明確化し、それを株主総会の承認事項又は報告事項とすることを明確化すべきだというように理解したのですが、先ほど御報告いただいた際には、一体化された書類のどの部分が取締役会の承認事項とするかを明確化すべきで、それを踏まえて株主総会の承認事項、報告事項とすることを明確化すべきとおっしゃったように思われます。一体化された書類全体が株主総会の承認事項、報告事項ということになりますと、例えば事業報告ではない有価証券報告書記載事項の不備が招集手続の法令違反になったり、書類全体が取締役等の説明義務の対象になったり、あるいは定時株主総会で会計監査人の報告を求める対象が有価証券報告書の部分にも及ぶといった効果が生じると思われます。そこで37ページの②で述べられていることは、一体化された書類全体を承認事項、報告事項とすべきという意味なのか、それともそのうちどの部分がそのような事項となるのかを明確化する議論をしてほしいという意味なのか、どちらなのかを確認させていただきたいと思います。 ○小倉参考人 御質問ありがとうございます。そういう意味では全体というよりは、私どもが現在この意見を取りまとめたところでは、現行の会社法第436条第3項の計算書類の監査等では監査を受けたものを承認する、計算書類についてはそういう規律付けがございますし、それを踏まえて株主総会においては会社計算規則第135条の承認の特則要件というものがございますので、そういったものを踏まえて有価証券報告書が一本化したものになりますので、まずはそういったところについて明確化すべきではないかという意見でございます。 ○北村委員 一体化された書類全部を会社法上の承認・報告の対象にせよという意味ではないということですね。 ○小倉参考人 という意味ではございません。 ○北村委員 分かりました。ありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○田中委員 大変明快な御報告をありがとうございます。今回のアンケート調査で、多くの監査法人の方々が開示書類の一本化、それも段階的強制適用を望んでおられるということが分かりましたし、また、それを実現するとすれば、やはり株主総会の後倒しが恐らく唯一、実際上実現可能な選択肢ではないかということで、私もそういう方向性がよいと考えておりますので、今回の御報告は非常に有益で適切だったと思っております。私の方からは、36ページの御意見のところでも4番目の開示書類開示項目の簡素化なのですけれども、ここに関して、もし何か現在具体的に、この部分については簡素化できるということがあれば、是非御教示いただきたいと思います。 ○小島参考人 こちらに関して現時点で、いろいろ検討はしているのですが、今この場で御報告できるような状況にはなってございません。これに対してはディスクロージャーワーキンググループが開催されていくかと承知していますので、そこでの議論を待つということで回答させていただければと思います。もう少し申し上げれば、証券取引所の規則とか、会社法と金商法以外にもいろいろな開示を企業は作成され、作成にいろいろ御苦労されていると理解していますので、それも含めたディスクロージャーという枠組みで検討いただくのがよいかと思っているところでございます。 ○田中委員 どうもありがとうございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   ほかに御質問はございますでしょうか。オンラインで御参加の委員、幹事の先生方もよろしいでしょうか。   私から一つお尋ねさせていただいてもよろしいでしょうか。品質のところで、資料の20ページですけれども、監査時間と監査品質への懸念の主な懸念領域の一つ目と二つ目が監査調書関係のものになっております。監査調書の作成とレビューというのがかなり実務において懸念事項として挙げられているのですが、すみません、これは私が全く存じ上げない、無知なので、教えていただければと思いますけれども、監査調書の作成とそのレビューというのはどのようなものなのか。例えば、なかなか簡単には比較できないと思いますけれども、全体の監査時間の中で、これに充てられている時間というのがどれぐらいのイメージなのか等々、監査調書のイメージについて教えていただけますでしょうか。 ○小倉参考人 監査はいろいろなリスク対応手続ということで、監査手続を実施致します。例えば、イメージしていただきやすいものとしては、売掛金がありますと、売掛金について相手先に残高確認をしました、残高確認書が返ってきましたというときに、残高確認書を見て、ただ会社側の勘定残高と合っていたねというだけでは駄目で、勘定残高と確認書の照合を行って、金額ですとか相手先ですとか、いろいろな項目をチェックして、そのチェックをきちんと記すというのが監査調書ということになります。その調書の作成というのは、やはり手続をやる中では非常に時間が掛かります。いろいろな書類の照合ですとかそういったものも全て監査調書に記録をしていきますので、手続をするのがイコール監査調書を作成するということで、監査の実態は非常に調書を作成するところが大きいと御理解いただければと思います。   その上で、監査は組織で行いますので、若い経験の浅い者が作成した監査調書を上位者が査閲をするということをやります。査閲をした上で不足があれば監督をする、指示をするというようなことを行いますので、そういったことが監査調書のレビューということで、実際に監査は現場で手続をやる者は、比較的経験年数が浅い者が手続を実施したりということがあるのですが、それをレビューをするのは上位者が行いますので、上位者の時間というのはこのレビューというところに非常に時間を取られるということでございまして、このレビューについても、なかなか何%ぐらいというのは難しいのですけれども、非常に多くの時間を使います。特に、監査報告書にサインをする業務執行社員、署名者の仕事は監査調書のレビューというところが非常に重要な業務になってございます。   以上で御回答になりましたでしょうか。 ○神作部会長 大変ありがとうございました。   ほかに御質問等はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。もしよろしければ、質問も尽きたようでございますので、第3件目のヒアリングはこれにて終了とさせていただきます。   本日は大変お忙しいところ、アンケートを実施していただきまして、その結果についても本当に分かりやすく御報告いただき、大変勉強になりました。小倉様と小島様には重ねて厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。   それでは、本日予定した議事は以上でございますけれども、次回の議事日程等について事務当局から御説明を頂けますでしょうか。 ○宇野幹事 次回の日程でございますけれども、5月27日水曜日、午後1時から午後5時30分までを予定してございます。場所は未定でございますので、追ってお知らせさせていただきます。次回の会議でも引き続き、今回の見直しの対象となる事項について関係する方々を参考人としてお呼びして、ヒアリングを実施する予定でございます。 ○神作部会長 ありがとうございました。本日参考人の皆様からお伺いした内容につきましては、今後の当部会における調査審議にいかしてまいりたいと存じます。本当にありがとうございました。   それでは、予定よりも大分早いのですけれども、これをもちまして本日の法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第13回会議を閉会とさせていただきます。   本日も熱心な御議論を頂き、大変ありがとうございました。 ―了―