法テラスの在り方に関する有識者検討会 ~もっと利用しやすく、もっと身近な 司法アクセスを目指して~ 第3回会議議事録 第1 日 時  令和8年5月25日(月)    自 午前10時01分                         至 午後 0時28分 第2 場 所  法務省第1会議室         (中央合同庁舎6号館A棟20階) 第3 議 事  (1)「被災者支援」について     ア ヒアリング       木下健一氏(坂町地域包括支援センター長)       工藤舞子氏(法テラス山口常勤弁護士)       鹿瀬島正剛氏(弁護士(熊本県弁護士会所属))     イ 質疑応答・意見交換  (2)「民事法律扶助の諸課題」について     ア ヒアリング       原田直子氏(弁護士(福岡県弁護士会所属))       橋場典子氏(関西学院大学法学部教授)     イ 質疑応答・意見交換 議        事 青木参事官 定刻でございますので、ただいまから法テラスの在り方に関する有識者検討会~もっと利用しやすく、もっと身近な司法アクセスを目指して~第3回会議を開催いたします。   皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。   本日は川田委員が御欠席となりますが、座長を含め14名の委員に御出席いただいております。   では、ここからの議事進行につきましては、佐藤座長にお願いしたいと思います。   座長、よろしくお願いいたします。 佐藤座長 それでは、議事を進めさせていただきます。   まず初めに、本日の配布資料について事務局から説明をお願いいたします。 青木参事官 配布資料について御説明いたします。   まず、資料1は、法テラスにおける被災者支援についての資料となります。特定非常災害等の重大自然災害についてまとめた資料と、法テラスにおける被災者法律相談援助等の被災者支援施策についてまとめた資料となります。   資料2は、民事法律扶助についてまとめた資料となります。民事法律扶助の概要と実績、弁護士等の報酬基準、ひとり親支援、未成年者による民事法律扶助の利用等についてまとめております。   資料3から資料7は、本日のヒアリング報告者の皆様から御提出いただいた資料となります。ヒアリングの際に御参照いただければと思います。   資料8及び資料9は、委員御提出の資料でありまして、会議資料として取り扱ってほしい旨の御要望を受けて資料とさせていただきました。資料8は生水委員から、資料9は谷口委員からの提出資料となります。   資料等の説明は以上となります。お手元に資料はそろっておりますでしょうか。   では、座長に戻させていただきます。 佐藤座長 ありがとうございました。   確認ですが、第2回の会議において複数の委員から確認などが求められていた事項があったと思います。それらについての資料はいつ提出することになりますか。 青木参事官 第2回会議で御要望のありました事項につきましては、現在調査中のものもございまして、例えば、他省庁の予算に関するものなどにつきましては、第5回会議など関連するテーマを取り扱う回で提出させていただければと思います。 佐藤座長 分かりました。そのほか、事務局から説明がありました資料について、何か御質問等はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入らせていただきます。   本日の議題は、お手元の議事次第にありますとおりです。   まず最初の1時間で被災者支援に関するヒアリングと意見交換を行います。その後、短い休憩を挟みまして、残りの時間で民事法律扶助の諸課題についてヒアリング及び意見交換を行う予定としております。よろしくお願いいたします。   それでは、被災者支援に関するテーマから入らせていただきます。まずは被災者支援に関する関係機関連携の例として、広島県の取組を御報告いただきます。報告者は、広島県坂町地域包括支援センター長を務めておられる木下健一様と、本年3月まで法テラス広島にて常勤弁護士として在籍されていた工藤舞子弁護士です。木下様からは、平成30年7月の豪雨災害に際しての被災者支援において法曹専門職とどのように連携したのか、また、災害発生時に向けた平時からの連携の在り方などについて御説明をいただきます。続いて、工藤様からは、こうした多機関の連携の中で法テラスが果たしている役割について御説明をいただきます。なお、前回と少し異なりまして、本日は御質問や御意見につきましては、お二人のヒアリング終了後にまとめてお願いできればと思います。   では、木下様、工藤様、よろしくお願いいたします。 木下氏 広島県済生会坂町地域包括支援センター長の木下と申します。本日はよろしくお願いいたします。   それでは、平成30年7月豪雨での被災者支援における地域連携に関する報告ということで、主に司法関係者の方とどのような連携をしたか、そして、今後どのような連携が必要かというところも含めて御報告させていただきたいと思います。   我々坂町ですが、広島県の西部に位置しております。2枚目のスライドの地図で黄色が入っている場所は違うところになるのですが、下の中腹部分に赤く小さく見えるところが坂町になります。人口約1万2,000人の小さな中学校区一つの町ですけれども、世帯数が大体6,000世帯ぐらいなのですが、そのうちの約3割が平成30年7月の災害で被災をしたという状況になります。   平成30年7月6日ですが、広島県では初となる大雨特別警報、今でいうレベル5が発令されました。そして深夜から朝にかけて大規模な豪雨災害がありまして、直接お亡くなりになった方が16名、関連死の方が5名、そして今も行方不明の方が1名いらっしゃるという状況です。断水や停電など、いろいろな被害も起きました。   4枚目のスライドでは、被害の状況を記載しています。先ほど町全体の世帯数が約6,000世帯とお伝えをしましたが、そのうち、全壊の世帯が288世帯、そして罹災証明を発行したのは1,591世帯に上りますので、町全体の約3割が甚大な被害を受けてしまったという状況になります。全壊の家屋がかなり多かったので、坂町では仮設住宅と、そしてその2年後には災害公営住宅の建設に至っております。   ここで急遽、地域支え合いセンターという業務を委託され、受けることになりました。全国の多くでは社会福祉協議会がこの業務を受託されると思うのですが、坂町の場合は社会福祉法人恩賜財団済生会が受託をしております。平成30年10月1日に支え合いセンターを約3名の職員で開設したのですが、このときは災害対応や被災者支援に従事した経験がある職員は坂町にはいませんでしたので、日頃人を支援するという専門職はいるのですが、災害対応という意味では経験がない職員が担当して立ち上げることになりました。2名が1組となって世帯を訪問して、この事業は令和3年度末でセンターを閉所しております。   被災者支援スタッフの状況ですが、支え合いセンターの事業は基本的に期限付きの業務になるので、こういう仕事に興味があっても、そこでずっと働き続けることが難しいですから、どこの被災地もそうだと思うのですが、雇用に関しての問題というのは非常にあろうかなと思います。そこで、いかにこの専門性を担保していくかというところも非常に重要なのですが、相談の種類としては、まず下のところ一つ目なのですが、正解や助言、支援に対する情報だったりとか、そういうものを頂きたい、支援金や減免制度などの紹介を求める相談と、あとは喪失感とか、今の辛い思いを共感してほしいというメンタルケアに及ぶ部分の相談、こういうような大きく分けると二つあったりするのですけれども、2番のところは日頃人を支援するという部局の職員が大きく力を発揮できるところなのですが、1番の部分の相談の分野に関しては、やはり基本的な知識量というのが圧倒的に少ない状態でスタートするようになりますので、ここの部分では特に法律関係の専門職の皆さんの協力がすごく大きな支えになっていたというのも、今すごく思い出しております。   被災者の支援に係るニーズについてですが、まず、全国的に大規模な災害が各地で起きているのですけれども、被災者支援を経験したことのある地域というのは、恐らく被災された方の支援の経験値というのもある程度あったりするので、少し専門性というのは期待できるかなと思うのですが、我々のように被災者支援を経験したことがない地域への支援というところに恐らくかなりニーズがあろうかなと思います。どのような制度があって誰が対象なのか、詳細が分からない状況では、被災された方に自信を持って、こういうふうにというアドバイスだったり助言というのがなかなか難しいという状況でした。ですので、この部分に関しても司法関係者の方のサポートというのはかなり大きいなと感じております。   司法関係者の方との連携で意識したことなのですが、弁護士の先生や司法書士の先生との相談につなぐ前に、我々はやはりアセスメントというところはしっかりとできるというのが強みなので、相談に伺うときに持っていく資料であったり、その要点はどこなのかというところを我々でしっかりとまとめて、そして司法関係者の皆さんとの相談会やアウトリーチでの相談に来てもらうというところにつなぐということがありました。急遽携わる支援者にとっては、やはり十分な説明がしにくいというのも大きなポイントだろうなと思います。   専門家派遣事業というのを西日本豪雨のときには協力をいただいて実施させていただいていたのですが、多いときには月3回、これは発災から相談の件数に応じて相談会の回数というのも相談に応じて実施を協力いただいたというところですが、多いときには毎週のようにする月もあれば、このポスターは平成31年と令和2年となっていますけれども、そういうように回数もだんだんと変わってくるということはあるのですが、ただ、再建に課題がある方というのは1年、2年というスパンではなくて、もっと長く生活再建までかかったという経緯がありますので、より資力が少ない方の支援だったりとかそういうところで、やはり長期的に被災された方の支援の必要性が出てくるということもありました。ここで相談会に来られるのが難しい方に対しては、個別のアウトリーチでの対応も行っていただきました。   10枚目のスライドに書いてあるのが、大体こういうお話の相談が多かったというところで、逆にこういう心配のある方は相談に来てくださいということで紹介をさせていただいておりました。やはりアウトリーチで行っていただけるというのもなかなか平素はありませんでしたので、こういう相談の事業を使っていろいろな方の対応をしていただいたというのは、今でいう重層的支援体制整備事業にもつながってきているような取組かなと思います。   相談会等がいろいろ企画されているのですが、災害が発生した後に初めて会う司法関係者の方と、我々常勤と、あと非常勤の職員含めて、うちは13名で対応したのですけれども、いきなり密な連携を取ったりするというのは難しさを感じるということも多く伺っております。弁護士の先生や司法書士の先生のお人柄が分からなかったりすると、職員の方も萎縮とか緊張してしまったりとか、あと、この先生だったらしっかりお話を聴いてくれるかなというようなことが案内できるかどうかというところも、やはりそのお人柄が分からないときにはなかなか難しかったりしますので、この人になら相談できる、何でも相談できるというような信頼関係の構築を平時からされているということが、ひいては有事のときにも大きく力を発揮することと、効率的に相談業務を進められるということはあろうかなと思います。   今も平時から連携で取り組ませていただいていることを11枚目のスライドの下に書いていますが、債務整理であったりとか成年後見制度、金銭管理とか、そういうところも含めての相談や、あと高齢者虐待、虐待の判断も含めて、分離の要件を満たしているかどうかなどをいろいろと御助言を頂いたりとか、あと消費者被害のことであったり、最近では満期出所をされる方の再犯を防止したり、生活支援をするということで、出所前に相談に携わらせていただいたりとかいうことで、日々司法関係者の方と信頼関係も含めて密に連携を取らせていただいております。   これからの連携・協働で期待することですけれども、やはり一番初めのところは顔の見える関係の構築ということで、いろいろな仕組み的なネットワークも十分大切なのですが、やはり属人的なネットワーク、人と人とのつながりがあったからこそ迅速に相談ができたりであるとか、あと、この人はこういう分野に強いとか、いろいろなことがやはり顔の見える関係で連携が強くなっていくというようなことがあろうかなと思います。これは医療・介護連携においても同じことが言えるのですが、人と人とのつながりというのがやはり重要だなというのも改めて感じております。   また、期待することでは、やはりお互いが分かる言葉でやり取りをするということです。例えば、我々は医療・介護の専門職ですけれども、法律関係の専門職の先生方の専門用語が分からないときがあったりするのですが、やはり誰にでも分かる言葉でお互いがお話をしてくれるというのは、分野を越えた連携においてはすごく重要だなと感じております。あと、司法と福祉の協働ということで、お互いがその分野での高い支援をする力を持っておりますので、ここを結集させることが、有事だけではなくて平時の支援にも大きくつながってくるなとも感じております。   最後に、法テラス広島には行政機関の職員等を対象に、支援者の法的相談に直面した際の助言や情報を受けられる電話相談の窓口があります。支援者相談ダイヤルがあり、平時から弁護士の先生とつながりを持たせていただいております。このように平時の場面から違う専門性を持つ専門職同士が手を携えながら信頼関係を構築していくことは、有事にも大いに力を発揮するということを実感しております。   短い時間でしたが、西日本豪雨のときと、司法関係者の皆さんの連携のところを紹介させていただきました。 佐藤座長 ありがとうございました。   では、引き続き工藤様から、よろしくお願いいたします。 工藤氏 現在、法テラス山口におりますスタッフ弁護士の工藤と申します。よろしくお願いします。木下センター長から話題に出ていた地域支え合いセンターの仕組みと、法テラス広島が所属している広島県災害復興支援士業連絡会、以後は単に士業連絡会と呼ばせていただきますが、これらについて、スタッフ弁護士の工藤から補足説明をさせていただきます。   まず、士業連絡会ですが、設立は平成23年5月12日です。設立経緯としましては、広島県内にいる東日本大震災の避難者の支援のために立ち上がりました。士業連絡会には現在16団体が所属しておりまして、法律系、技術系、福祉系、医療系、そして法テラス広島が弁護士会とは別に一団体として所属して事務局機能を担っております。   さて、平成30年7月に発生した西日本豪雨災害は人的・物的に被害が多数生じ、県内各地で被害が起こりました。広域での被災ということで、被災者の支援をするために、発災から3か月後に士業連絡会が広島県・広島県社会福祉協議会と協定を締結し、地域支え合いセンターの設立に至りました。そして、被災者が専門知識の必要な困り事に直面した際に士業連絡会の専門士業に相談できる仕組みができました。先ほどの困り事相談の相談会の集合相談の形だったり、アウトリーチで個別相談だったりという形で、必要なところに必要な専門家を派遣していきました。   地域支え合いセンターの専門家派遣事業の流れですが、木下センター長は当時この市町の地域支え合いセンターのセンター長をされておりました。市町のセンターで地域の被災者から困り事を聴き取りまして、その中で専門士業に相談した方がよいというものにつきましては、県の地域支え合いセンターに相談申込みをすると、県の地域支え合いセンターから、士業連絡会の事務局である法テラス広島の方に連絡が来ます。その上で、法テラス広島が専門士業を選んで、相談内容に応じて、法律家が必要であれば弁護士だったり、司法書士だったり、反対に建築分野でしたら建築士だったり、土地・土壌の問題だったり、技術的なところになると技術士だったり、あと福祉的な相談だったら福祉士だったりという形で、相談内容に応じて必要な専門家を派遣しておりました。私も法テラス広島にいたときは、士業連絡会の事務局として、県の地域支え合いセンターから依頼を受けて、困り事の内容に応じて必要な専門家を派遣するという活動を行ってきました。   平時から士業連絡会は2、3か月に1回の頻度で定例会を開催して、親睦・懇親を深めてきたというつながりもありまして、必要な相談、困り事がありましたらメーリングリストの方に投げると、すぐにその相談は建築士がいいとか、弁護士がいいとか、司法書士がいい、土地家屋調査士がいいという形で、それぞれの専門家がすぐ手を挙げてくださりまして、必要な方がすぐに私がやりますとか、うちの団体で誰を出しますという形で連絡を頂きましたので、円滑に専門家派遣をすることができました。   補足説明は以上にさせていただきます。ありがとうございます。 佐藤座長 木下様、工藤様、御報告ありがとうございました。   ここからはお二人の御報告を受けて、質疑応答と意見交換の時間とさせていただきます。お二人の御報告内容に関する御質問や御意見がございましたら、挙手にて御発言いただければと思います。オンラインで御参加の委員の皆様は挙手機能を使って御発言ください。質疑応答及び意見交換のお時間ですが、若干報告が押しましたので、10分程度の予定をしております。なお、御質問の際にはどの方への質問であるかを明示して御質問を頂ければと思います。いかがでしょうか。   では、生水委員、よろしくお願いいたします。。 生水委員 御報告いただきましてありがとうございます。   工藤先生に質問させていただきたいのですが、木下センター長の御説明から、平時からの連携の重要性がとてもよく伝わりました。それを踏まえまして、工藤先生の方から御報告いただきました専門家派遣事業、こちらは災害時において法テラス広島さんが事務局機能を担われて、専門職を地域支援につなぐ体制が構築されておられて、本当にすばらしい取組だと思います。この仕組みは災害時だけではなくて、平時においても法テラスが地域資源をつなぐハブ機能を担って、多職種が連携して支える地域司法プラットフォームを構築することは、専門職の孤立防止・負担軽減につながる大変参考となる仕組みだと思います。   3点質問させてください。まず1点目、この仕組みはその後、災害時だけでなく平時においても機能しているのでしょうか。また2点目、法テラスが事務局を担われるのにマンパワーが重要だと思いますが、職員体制や人材育成について教えてください。3点目、この仕組みを全国の法テラスに横展開するに当たり必要なこと、また課題があれば教えていただきますようお願いいたします。 佐藤座長 それでは、工藤様、よろしくお願いいたします。 工藤氏 1点目、平時に展開はしておりません。広島県災害復興支援士業連絡会は、あくまで災害時に被災者支援をするという形で立ち上がったものになりますので、平時は、有事である災害が発生するときのために力を蓄える期間としておりまして、2か月に1回、定例会を開催して必要な信頼関係の構築はしておりますが、平時は基本的に有事に備えるということをしております。   2点目、法テラスの事務局の職員体制ですが、基本的にはスタッフ弁護士と法律事務所の職員、そして事務局長がこの士業連絡会の活動には関わっております。発災して災害が起きた場面では、スタッフ弁護士が中心となりまして、法律事務所の職員も一緒になって事務局機能を担って頑張っていきました。育成の観点に関しましては、育成はもっと充実したものができれば、職員向けにもできると思うのですけれども、全国のスタッフ弁護士に、被災者支援もスタッフ弁護士の仕事の一部だということで、チャンスがあれば、全国のスタッフ弁護士に対して私が研修の場面があればいつでも講師をしたりという形で、情報共有は緩くさせていただいているという状況になります。   3点目、横展開につきましては、各地の法律事務所において、それぞれの地域で必要なことをするというのがスタッフ弁護士の必要なことだと思っておりまして、広島は特に災害が多く発生して、平成26年にも災害が広島市内で起こっておりまして、災害が多数発生する地域だからこそ、このような士業連絡会、災害支援というところに特化した仕事をしなければいけないという地域の実状もありました。なので、横展開していくに当たっては、その地域として必要なことというのが、また少しずつ変わっていくと思いますので、その上でその地域に必要なものとして取組を続けていくのがいいのかなと思っております。 佐藤座長 それでは、猪之鼻委員、お願いいたします。 猪之鼻委員 木下センター長、また工藤先生、被災者支援の地域連携、それから多職種連携の貴重な講義をありがとうございました。詳細な説明と、また、広島県の災害復興支援士業連絡会、それから地域支え合いセンター、そして法テラスとの連携の仕組みにつきましては、大変興味深くお聞きしました。   被災者支援につきましては、日本司法書士会連合会も阪神淡路大震災を教訓に支援の在り方を検討し、資金面でも市民救援基金特別会計を設置し、発災直後の被災者への支援のみならず、復興に向けての継続的な支援も行っているところです。また、各県には、士業が連携をし、相談会や研修会等を行う士業連絡会というものが存在しているように聞いております。私が所属をしております福岡県におきましても、弁護士の先生、私ども司法書士、税理士の先生や中小企業診断士の先生など10士業が連携を取っておりますが、災害支援を軸とした士業連絡会の立ち上げというものは、災害が起きた際にも特段行われてはおりません。そして、定例会の開催や技術系・福祉系の専門職との連携にまでは至っていないというのが実状です。また、法テラスが事務局機能を担っているという点は、生水委員もおっしゃられていたとおり、大変興味深くお聞きをしたところです。   質問は2点でございます。工藤先生にお尋ねをいたします。事務局機能をどの団体が担うのかという点が士業や他の専門家との連携においてはネックとなりやすいのですが、法テラスが今回事務局機能を担うこととなった経緯が分かれば、教えていただければと思います。   また、事業を行うには予算が必要になると思っておりますが、今回の支え合いセンターの専門家派遣事業の謝金等は、広島県から相談に応じて士業連絡会の会員個人にお支払いがなされているようですが、この事業においては県の予算で行ったのかどうかというところを教えていただければと思っております。その場合、法テラスは事務局機能を担うための職員の人件費がかかるものの、事業としての特段の予算はこの事業に関しては必要なかったように思いますが、もし法テラスが負担した予算など、御存じであれば教えていただければと思っております。このような仕組みを使っていけば、今回は県社協、県との連携ということでありましたので、災害が起きた際に迅速に全国においてこういった事業の立ち上げをすることができるのではないかなと思い、お尋ねをする次第です。 佐藤座長 それでは、工藤様、よろしくお願いいたします。 工藤氏 1点目、法テラス広島が事務局機能を担うことになった経緯ですが、もともとこうした弁護士会が関わる事業の事務局というのは弁護士会の事務局にお任せすることが多かったのですが、各士業の連携のハブというところで、弁護士会の事務局ではちょっと荷が重過ぎるというところから、弁護士が事務局を置く必要性があると考えまして、最終的には法テラスも一団体として関わるという形で、是非法テラスのスタッフ弁護士に事務局機能を担ってほしいという打診が当時の弁護士会の会長からありまして、それをお受けしたという次第です。   2点目の予算につきましては、たしか県の予算でこの事業がなされたという記憶ですが、県の中でどのような形でされているかは、詳細は分かっておりません。法テラスでは特にお金は出しておりませんので、先生がおっしゃるとおり、職員の人件費だったりという部分につきましてはもらっていないという現状になります。 佐藤座長 最後の予算の点は、後日でも結構ですが、もしも追加の情報がありましたら、お願いできればと思います。   ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、ちょうど時間になりましたので、次の議題に移りたいと思います。   改めまして、木下様、工藤様、どうもありがとうございました。   それでは、次のヒアリングに移りたいと思います。   続きましては、日本弁護士連合会から御推薦をいただき、私と事務局の判断で御依頼をさせていただきました熊本県弁護士会所属の弁護士である鹿瀬島正剛様からヒアリングを行います。鹿瀬島様は平成28年熊本地震の際など、被災者に対する法的支援に長年携わっていらっしゃいました。鹿瀬島様からは法テラスの被災者法律相談援助に関する御報告をいただきます。   鹿瀬島様、よろしくお願いいたします。 鹿瀬島氏 熊本県弁護士会の鹿瀬島と申します。本日はお時間を頂きありがとうございます。私は熊本地震、そして令和2年7月豪雨の際も熊本県弁護士会で被災者支援活動に携わってまいりました。本日はそのときの経験を基に、相談ニーズと被災者の暮らしというテーマで法改正の提案を行わせていただきたいと思います。   まず結論からお話をさせていただきますが、現行の総合法律支援法第30条第1項第4号という法律は、政令で指定された災害について、発災日から1年を超えない範囲内において資力を問わない無料法律相談が実施できるということになっております。日弁連といたしましては、この上限である1年を少なくとも2年に延ばしていただきたいということと、また、上限に達した場合であっても、2年を超えて柔軟に延長できる規定の新設というものを求めております。   ところで、この総合法律支援法第30条第1項第4号が設けられた趣旨についてですが、これは、災害により一時的又は長期的に生活基盤を失った被災者の方々に対して、生活再建に必要な法的支援をその時々の適時に提供するということが主な立法趣旨だと伺っております。また、資力を問わないという点については、僕も実際に何回も被災者がいらっしゃる避難所、体育館、公民館、学校、そういうところで法律相談を行ったのですけれども、発災直後、着の身着のままでそこで暮らされている方々に対して、ちなみに去年の年収はおいくらですかとか、とても聞けません。これはもうどんな方であっても平等に、もともとお金を持っていらっしゃる方、お金に困っていた方も含めて、一律に平等に支援を行うということを目的としておりますので、資力を問わないということについてはそういう意味も含んで、現実的な配慮というのも加味されているのだと考えています。   では、現行の1年という期間が実際この制度趣旨に合致しているのだろうかということについてお話をさせていただきます。ここで示した数字は、熊本地震の際に弁護士会が主催をして受けた相談件数の総数です。これは3年間の統計を確認しました。この相談の中には電話相談、現地相談、実際に面談相談、あらゆる相談が含まれております。相談件数としては1万4,011件ということでした。ところが、よくその数字を見てみると、1年目に1万2,137件ということで、全体の86.8%が1年目に相談を受けていたということになりました。僕の感覚からしても、やはり1年目が一番、相談会に行って、1回に聞いた相談の数が多かったなとは思っています。この数字だけを見ると、1年間だけ期間を区切っているということについては合理的なのではないかなと思われる方もたくさんいらっしゃると思います。これはあくまで相談件数ということで見た場合です。   では、続いて相談の内容というところに着目してみたいと思いますけれども、この相談内容については今回、時間の関係上、資料の提供はしておりませんが、日弁連が熊本地震の無料法律相談のデータ分析結果ということで公表している、最初の1年分について内容まで検討したデータがありまして、それも参考にしつつ今回のお話をさせていただいております。   まず、2016年4月から10月というのは、熊本地震が発災してからおよそ半年経過する間、この頃の相談内容というのは、圧倒的に公的支援制度の利用に関する相談と書いておりますが、罹災証明書の、最初はこれは何ですかという話から、実際に大規模半壊、当時は中規模半壊はまだなかったのですが、半壊、その違いですね、どうやってこれが決められているのか、お隣のうちと見た目、そんなに壊れ方は変わらないのに、何でうちは一部損壊なのかとか、そういうことも含めた相談、あと公費解体、これは時期、いつまで申請できるのか、特別に延長できるのかとか、そういうことも含めた御相談、あと、仮設住宅については入居要件に関する御相談も非常に多かったです。あと、応急修理や被災者生活再建支援金等の各種公的な支援制度に関する相談が非常に多くを占めておりました。   ところが、これが発災から半年後、2016年10月以降に至っては、こういう支援制度の中身を聞きたいというよりは、もっと具体的に、今自分の置かれた状況が今後どうしたらいいのかという個別具体的な生活再建のハードル、今こういうことが障害になっている、そういうことに関する具体的な相談が増えていきました。具体的な中身としては、二重ローン、これは熊本地震が起きる前に既に住宅ローンを抱えて家を建てられた方が、その家が壊れました、家は壊れて住めなくなったのに住宅ローンは払い続けなければいけない、その家をまた建て直すとしたら、新しい家に対するローンをまた組まなければいけない、そうすると、私は二重のローンを払わなければいけないとなると、とてもじゃないが二つ目のローンは組めないので、もう諦めます、そうしたら前のローンを払うために、家はもう壊れてしまっているので住めないのに、これは払い続けなければいけないのでしょうか、というような話だったり、実際に住宅を再建しようと決めたのだけれども、それにかかる費用は何か援助・補助、そういうものはないのでしょうかということで、そもそも生活再建をどこで行うのか、熊本地震の被災地の場所に戻りたいのだけれども、本当に地盤が大丈夫なのかとか、あと、自分は戻りたいのだけれども妻や子供は反対しているとか、そういう本当に中身、個別具体的な相談というのがどんどん始まるのが半年以降ということになっておりました。   これは、どうしてこのように半年ぐらいたったらニーズに変化が起きるのだろうかということを考えましたが、恐らくこうだろうと思っております。それは、被災者が置かれた環境が変化したから、相談の中身についても変化が起きているのではないかと思っております。まず発災から半年間ぐらい、これは発災直後の混乱期と考えられますが、この時期は皆さん、まだ避難所におられたり、これは僕も経験しましたが、熊本地震のときには車中泊をされていたり、あと、自宅の修理なんかはまだできずに、壊れたままの自宅で暮らされていたりと、こういう時期です。こういう時期に必要なのは、熊本も熊本地震が起きるまでは災害がない、少ないと言われていた地域でした。地震なんて恐らく100年ぐらい大きな地震は起きていなかったということで、僕も住んでいましたが、何で熊本で地震が起きたんだというぐらい、皆さん、被災したこと自体に驚いて、自分の置かれている状況をまず確認する、今自分の置かれた状況で何か法律上支援があるのかという、そういう情報が欲しいというような時期で、だからこそ公的支援制度の情報提供というのがこの半年間というのは法律相談の中心であったのだろうなと考えています。   他方、半年経った以降は、仮設住宅が徐々に建てられ始めて、そこに実際に住むことができるようになる。入居世帯数のピークはちょうど発災から1年後ぐらいに迎えており、入居期間は原則2年間となっております。ただ、熊本地震のときにも特別な事情がある方は延長が認められていきました。さらに、自宅でまた再建をしたいと思う方にとって重要な制度は公費解体です。公費解体も徐々に進んでいっておりましたが、1年目のときはまだ進捗率は約50%で、2年後にほぼ100%になったという統計上の数字が出ております。この頃の生活の環境というのは、発災直後の混乱期で命の危険を感じられた方々にとっては、やっと命の危険はもうなくなったということで、ほっと一息ついて日常生活をやっと取り戻しつつあるという状況で、初めて生活再建に向けた具体的な悩みを解決することに目が向き始めたという時期で、そういうことから生活再建に関する具体的な課題というのが法律相談の中心になっていったのだろうと考えています。   実際に統計を折れ線グラフで表してみたいと思いますが、これは三つの数字の推移を表しています。まず赤い線、これが法律相談件数を表しています。先ほど言いましたとおり、初年度に一番高い、がっと赤い線が上がっていて、その後は1年経つ頃にはもう数が減っていって、あとは少しずつ下がる横ばいになっています。次の青い線、これが仮設住宅の入居世帯数を表しています。1年目のところでちょうどピーク、頂点を迎えて、徐々に仮設住宅から自宅の方へ戻っていかれるみたいな形で減っていく形をとっています。三つ目の緑色の線、これが公費解体の進捗率です。1年目というと、ちょうど50%ぐらいが進捗率で、その後がっと上がっていて、2年目と3年目の境ぐらいのところで大体100%に向かっているというふうになっています。   つまり、期間を1年間に区切っていますが、1年目というのはどういう状態だったかというと、仮設住宅の入居世帯数がピークを迎えているわけですから、一番仮設住宅に住んでいる人の数が多い。仮設住宅というのは、原則2年間、皆さん住まれますので、これから仮設住宅で暮らそうという時期に、もう資力を問わない無料相談が終わってしまう。次に、自宅をどうやって変えていこうかというのを決めるというのは、一つは、やはり公費解体が終わったかどうかというのが自分の中で基準になるのですが、1年目といったらまだ50%しか公費解体は終わっていない状況で、この1年という期限を迎えてしまうということになっているわけです。   最後にまとめますが、発災から1年経ったからといって、相談数は減りますが、相談のニーズがなくなるということはありません。また、その相談ニーズというのは被災者の環境により変化していくと考えられます。発災から半年経って生活再建に関する具体的な相談が増え始めているという具体的な事実があります。仮設住宅の入居期間が原則2年間で、延長も認められているという事実、また、公費解体の完了まで、これも約2年間、100%になるには必要としているという事実があります。これらの事実から、少なくとも2年間は資力不問の無料法律相談というのを継続していただきたいし、仮設住宅が2年間だけで終わらず、延長を繰り返すということもよくある話ですので、更に2年間を超えた場合でも柔軟にその期間の延長ができる規定というのを設けていただきたいと考えています。そうでなければ、被災者の生活再建に必要な法的支援を適時に提供するという、この制度目的を達成することはできないのではないかということを今日はお話したいと思って参りました。先の見えない不安を抱えた被災者の心に、それこそ明かりを照らすという、もともとこの法テラスのできた目的を正にこれを果たしてもらえる、そういうためにも法改正を強く求めたいと思っております。 佐藤座長 鹿瀬島様、御報告ありがとうございました。   それでは、ここからは質疑応答と意見交換の時間とさせていただきます。ただ今の鹿瀬島様の御報告内容に関する御質問と御意見がございましたら、挙手にて御発言いただければと思います。オンラインで御参加の委員の皆様は、挙手機能を使って御発言ください。質疑応答と意見交換の時間は10分程度を予定しております。よろしくお願いします。   川野委員、どうぞよろしくお願いいたします。 川野委員 鹿瀬島先生、御説明本当にありがとうございました。   私の協会は、消費生活センターの相談員がほとんどで、消費生活センターについて、実は熊本では災害直後、益城町とか阿蘇市とか宇土市など、10市町村の窓口が全く消費生活センターは機能しておりませんでして、それで消費者ホットライン、現在でも消費生活センターには「188」に電話をかけていただければ地元の消費生活センターにつながるのですが、そこで消費者ホットラインの「188」の接続先を県センターの方に変更して相談を受けておりました。その際にどのような相談があったかといいますと、やはり先ほど鹿瀬島先生がおっしゃったように、ローンが残った住宅とか車が被災して二重にローンを組まなければならないが、支払いはどうなるのだろうかとか、住宅や車が被災したが保険はどうなるのだろうかとか、それから、借りているマンションとかアパートが被災したことによる退去に関するトラブルとか、あと住宅の修理等に関する契約トラブルなど、やはり法律相談が必要なものばかりで、消費生活センターから法テラスの関係者の方、それから先生方に御尽力いただいたことについて本当に感謝申し上げたいと思います。   それで、先生もおっしゃったように、生活再建というのは1年ぐらいからが落ち着いて考えられる時期ではないかと思うのです。やはり借家・借地とか住宅ローン、それから保険とか、事業を再開される方もいらっしゃると思うのですけれども、債務整理などについては、罹災直後よりもむしろやはり数か月後から、かなり期間が経ってから考えて、被災された方は直後においては健康のこと、それから家族の生活再建とか、そういったことを主に考えられると思いますので、精神的に落ち着いて生活再建のことをじっくり考え始めるのは、やはり1年では足りないのではないかと思います。被災者の法律制度は、発生直後ではなく生活再建が進む段階で顕在化していくと思いますので、1年ではやはり短すぎると私も思います。できれば、ほかの制度も、住まいとか債務整理とか相続とか保険など、中長期にわたる問題を扱う制度ですから、1年の上限では被災者の実際の再建過程に対応できないと思いますので、少なくとも2年程度まで延長していただけると、被災された方に対しては十分な手当てができるのではないかと思いますので、改めてそこをお願いしたいと思います。 佐藤座長 今の御発言は、鹿瀬島様の御説明に関する賛成の御意見と承ってよろしいでしょうか、御質問ということではなくて。 川野委員 本当に賛成の意見でございます。 佐藤座長 どうもありがとうございました。   それでは、引き続きまして、諏訪委員からお手が挙がっていますので、よろしくお願いいたします。 諏訪委員 先ほどの鹿瀬島先生の説明の中で確認したいのが、総合法律支援法第30条第1項第4号の中での支援をやっているということなのですが、これは当然国から1年間についてはお金が出るという仕組みで作られているという前提でよろしいでしょうか。 鹿瀬島氏 法テラスは、もともと資力のない方については無料相談というのを常日頃から実施しておりますが、この指定災害については資力要件を問わずに無料相談をやると、もちろん国からお金が出るという仕組みになっております。 諏訪委員 ありがとうございます。その方向で話をしたときに、1年で区切っているというのは、どちらかといえば国がこれ以上お金を出したくないという意思表示でこういう形になっているかもしれませんが、例えば、高齢者の生活の見守りとかいろいろな形で、長期間にわたって国が地域の生活の再建とか人の復興のためにお金を出す制度というのも始まっていますので、やはり法律も人の復興のためには必要不可欠なものだと考えて、期間を延ばすなり、期間を定めないぐらいの仕組みを持っていないと、本当に地域の復興、人の復興にはならないと考えますので、その点について皆さんで議論させていただければなと考えています。 佐藤座長 今の点は、最後に、なぜ1年なのかというのは事務局資料の方にもありましたが、何か事務局あるいは法テラスの方から補足の御説明がございますか。その上で委員の皆様の御意見を改めて伺いたいと思います。 青木参事官 先ほどの、なぜ1年間かということに関しましては、資料1の4ページの要件③のところに、この法律改正の際の政府の説明を載せておりまして、1年の間に、必要に応じて大規模災害の被災状況等を踏まえた特別措置法の制定などをしていただこう、こういう発想に立って定めたものであることなどが当時の政府の説明として述べられているところでございます。 佐藤座長 それでは、赤堀委員、お願いします。 赤堀委員 全体的なコメントをさせていただきたいと思います。   被災者支援について、法テラスによる被災者法律相談援助は現行制度上、主に特定非常災害を対象として運用されているとのことですが、近年は豪雨や台風等の災害が各地で頻発しております。こうした災害につきましては必ずしも同制度の対象とならない中で、被災者が費用面や情報不足などにより弁護士等の専門家に円滑にアクセスできない事態も生じていることも想定されます。経団連は、国内外の被災者、被災地支援を展開する中で、NPOや社会福祉協議会等と協力して、うるうるパックという支援物資の提供スキームに関与しております。この取組は、単なる物の提供ではなく、支援ボランティアや民生委員の方々が被災者の方々を個別訪問し、戸を開けていただき、対話するきっかけを作るためのツールであります。現場では、この対話をきっかけに被災者の困り事を把握し、福祉等の支援につなげる糸口として活用されております。被災者支援の現場からは、「情報と相談相手がいないのが問題である」、「細かい支援制度はあるが市民には分かりにくい」、「制度についての助言が求められている」といった声が上がっており、利用できる制度の相談についてもプッシュ型で支援する必要があります。その意味で、被災者のニーズを必要な支援につなげる取組は法テラスのアクセスにも貢献できるものと考えております。   こうした中、広島県における取組のように、平時から多職種が連携し、災害時に速やかに法的支援につなぐ体制はとても有効であると考えます。経団連が実施した能登半島地震に関する振り返りアンケートの中でも、「平時から関係を作っておくことの大切さを改めて認識した」との声が寄せられております。こうした点を踏まえると、広島県の取組については、その成果を運営コストを踏まえつつ他地域への展開を検討する必要があると思います。また、その持続的な運用のためには、現行の枠組みによらない場合であっても、ネットワークの維持やコーディネート機能に対する財政支援の在り方が課題となります。この点、法テラスや自治体の予算のみでは限界も想定されることから、災害関連予算の中で法的支援を生活再建支援の一環として位置付け、横断的に活用する仕組みの可能性についても検討が必要であると考えます。その際には、法テラスが法務省予算以外の財源を受け入れて事業を実施することの可否や、従前から申し上げた受託業務の在り方についても併せて整理する必要があると考えております。 佐藤座長 先ほどのヒアリングの件も含めて、幅広い観点からの御意見をありがとうございました。   それでは、谷口委員、お願いいたします。 谷口委員 私が所属している法律事務所からは、東日本大震災直後に2名の弁護士が福島と釜石に行って、結局一人はそこに定住せざるを得ない状況になり、もう一人は5年間、自分の貯金をすっからかんにしてそこに滞在して、被災者支援に当たる必要がありました。やはりそれだけの長いスパンで見守らないと、法律相談を受けないと、結局はニーズに応え切れないというようなことを身をもって実証したわけです。この点、そのエビデンスとしても、総合法律支援論叢という法テラスが前に出していた論文集がありますが、それの第7号に、「宮城県東松島市被災者調査の結果の概要」という、今座長をされている佐藤岩夫先生が実証的に調査研究された論文がございます。これは震災後4年後にどのような法的ニーズがあるかというようなことを調査した論文ですけれども、先ほど鹿瀬島先生のところでは相談数が減っているというようなことがありましたが、法テラス東松島のところで行われている相談というのは、その3年間でほぼ1,500件、1,400件、1,400件というふうに件数が変わっていません。アウトリーチと無料の相談ということが確保されれば、基本的には相談ニーズというのは変わらないということがここで実証されているかなと思いますので、こうした過去の調査等も資料にしながら、この法改正はされるべきではないかなと考えております。   二つ方法があると思うのですが、この国会答弁にあるように、総合法律支援法を改正するというやり方と、それぞれの震災、それぞれの災害に応じて特別な措置法を作るという二つのやり方があると思いますが、これはまず、代理援助ではなくて無料の法律相談なので、予算規模としてもかなり小さいものです。また、災害ごとに毎回立法してというやり方については、立法というのも必ずできるわけではなくて、そのためのたくさんの努力があって、国会のスケジュールがあってという、タイミングや運も合わせてでないと成立しないというところがありますので、その意味でも、やはり総合法律支援法を僅か1年延ばし、かつ相談というそんなに予算的なインパクトがない改正であれば、是非とも実現すべきではないかなというのが私の意見になります。 佐藤座長 ほかにも御意見があろうかと思いますが、少々時間が押してまいりましたので、一旦ここで終了させていただきたいと思います。   鹿瀬島様、どうもありがとうございました。   それでは、ここで一旦5分程度休憩を取らせていただきたいと思います。再開後に次のテーマに移りたいと思います。今、午前11時5分ですので、11時10分再開のめどということで、よろしくお願いいたします。           (休     憩) 佐藤座長 それでは、会議を再開したいと思います。   議事次第について補足させていただきます。本日議事の中で「被災者支援」について、それから「民事法律扶助の諸課題」についての後に、全体に関わった自由討論の時間を設けていますので、そのように御予定をいただければと思います。   それでは、引き続きまして民事法律扶助の諸課題に関するテーマに入らせていただきます。   まず、日本弁護士連合会からの推薦を受けて御依頼させていただきました福岡県弁護士会所属の弁護士である原田直子様、それから、関西学院大学教授の橋場典子様から、それぞれ15分程度のヒアリングを行います。   それでは、まず原田様からのヒアリングです。原田様からは、民事法律扶助の中でもとりわけ離婚関連事件や未成年者の扶助利用に関する御報告をいただきます。   原田様、よろしくお願いいたします。 原田氏 福岡県弁護士会所属の原田直子と申します。今日は機会をいただきましてありがとうございます。本日は法テラスの民事法律扶助の中の代理援助について述べさせていただきます。   民事法律扶助における代理援助というのは、被援助者が裁判手続等について弁護士や司法書士から法的サービスを受けるに当たって、弁護士等への報酬や事務処理に係る実費を法テラスが立て替えて、弁護士等に払ってくれる制度です。代理援助事件の中で最も多いのは多重債務・破産事件で、次に多い事件類型が家事事件、特に離婚事件です。そして、この離婚事件の被援助者の大部分は女性です。その理由を考えますと、司法統計によれば、離婚を中心とした家事事件の申立人は妻が70%以上であり、申立てのハードルのための弁護士の支援が必要であるということ、また、女性の方が平均的に収入が少なく、また、相対的に見ればですが、社会的な経験や法律知識に乏しいことが多いために、扶助による法的援助が必要だということが考えられます。   近年、弁護士の総数は格段に増えていますが、代理援助の受け手である法テラスと契約する受任契約弁護士、以下「契約弁護士」といいますが、その数はほとんど増えていません。この左の表は、契約弁護士数と全弁護士の中に占める契約弁護士の割合を示しています。御覧のとおり数は微増であり、割合的には減っています。令和7年4月1日現在の弁護士全体のうち、約60%が新司法試験下での合格者で、右の表で分かるように、弁護士人口急増世代の人たちです。仮に新人が毎年同じ割合で契約をすれば、母数が大きいので、全体としての契約率は増加するはずですが、かえって減っています。これまでも、若いうちは法テラスと契約して国選も民事扶助もやるけれども、だんだんと忙しくなり国選や民事扶助を辞める人が増えてくるのが一般的でしたが、この大量合格の層が、初めから契約しない、あるいは早期に辞めていっていると推測されます。契約していても代理援助をやらないという意見もあります。弁護士会の法律相談センターの登録には法テラスの契約が条件になっているので、契約はするけれども、そして一応相談は受けるけれども、受任しないという回答が目立っていました。   どうして扶助離れが進んでいるのか、一番はもう報酬が低いからです。法テラス発足後20年間、代理援助の報酬基準は据え置かれていて、物価・人件費の上昇に対応していません。   2番目に挙げられるのは、手続の負担です。申込みに必要な書類がたくさんあり、着手報告書、中間報告書、結果報告書、それに添付する書類、追加の報告など、手間がかかります。さらに、被援助者のために免除申請のお手伝いをすると、もう本当に頭が痛くなるくらいです。   3番目には、被援助者あるいは事件の内容が困難な事案が含まれます。代理援助事件の中心は多重債務と家事事件と申し上げましたが、この中での被援助者の困難要因としては、これまでの困難な生活から解決能力を失っている、あるいはトラブルに巻き込まれやすい要因を持っている場合が多いことなどが考えられ、このことは受任弁護士が信頼関係を形成したり、業務を遂行する上での困難につながります。   事案別に、事件の困難さという点からいうと、多重債務のうち同時廃止が見込まれる自己破産事件は比較的業務が定型化しており、通常の訴訟事件のように何度も期日を重ねるということは基本的にはありません。しかし、家事事件は定型化できません。相手方の対応によっては業務が格段に増えることもあります。特に、扶助を利用する被援助者には多くの点で脆弱さが見られ、法的支援にとどまらず福祉的支援、ケースワーク的支援が求められることが多いのです。DV事件の場合はシェルターの紹介、あるいは子供の転校、児童手当や健康保険等の異動の手続、面会交流の調整、場合によっては引越しの立会いをする場合もあります。   4番目として、弁護士人口の増加と民事事件の減少も大きな要因で、事務所経営のために、これはあまり強調したくはないのですが、コスパを考えざるを得ないというのが正直なところです。   ここで業務量調査結果の御報告をさせていただきます。2019年4月から2022年7月まで、民事法律扶助で家事事件の代理援助を扱う弁護士に登録をお願いし、業務にどのくらい時間がかかっているか、その結果どの程度の報酬を得ているかの調査を行いました。回答が少ないのですが、この期間内に受任した事件で終わった事件に限られることや、それでなくても大変な扶助事件にそれ以上の時間を割けないなどの要因があったと思います。どのケースを見ても時間単価の中央値は1万円台で、私選で受任した場合の4割から5割という結果が出ています。特に、面会交流のみの事件が時間単価が低い傾向が顕著です。   私が取り扱った事件の資料を今日お配りしておりますけれども、時間単価が2万円を超える事件もありますが、一方、時間を計算できないほど手間がかかった事件もあります。面会交流が絡み、相手方と面会交流の実現のために努力した事件は、いずれも時間単価が1,000円を切っています。この傾向は業務量調査の結果と一致しています。すなわち、面会交流の実現のために時間と労力を取られるのは監護親ですけれども、その努力の結果、面会交流が実現しますと、申立人側に成功報酬が発生し、相手方代理人側(監護親側)には成功報酬が発生しない仕組みとなっています。申立人の主張が通ったから、申立人が勝訴したからです。このような仕組みは、今回の親子関係を中心とした民法等改正の趣旨にも反する取扱いだと思います。特別な事件だけ取り上げていると思われると思います。確かにそうなのです。大変だった事件を取り上げました。でも、事例報告の期間を見ていただければ分かるように、2件は重なっています。このように時間を取られる、しかし報酬は少ないという事件を常時抱えながらやっているわけです。スライド5枚目の右下を御覧ください。扶助事件の平均値で、業務時間の43.4%を占めているが、収入は26%であるという結果と一致していると思います。   スライド7枚目は修習終了後の進路ですけれども、女性修習生は圧倒的に裁判官・検察官が多く、割合的には弁護士への登録が一番少ない結果となっています。スライド8枚目は、企業内弁護士の割合です。企業内弁護士の4割近くは女性です。皆さん、ワークライフバランスを優先して進路を選択されていると思います。全国的に、リーガル女子といって女子高校生や中学生に法曹の魅力を語る企画を日弁連で行っていますけれども、そこでも特に保護者の方からはワークライフバランスの質問がたくさん出ます。離婚や性犯罪被害者の方などで、扶助を利用して女性の弁護士に依頼したいという女性がたくさんおられるにもかかわらず、その受け手は先細りとなっています。女性弁護士の絶対数がなかなか増えない上に、大変なので扶助事件はやらないという傾向が続いているからです。そのため、やる弁護士に事件が集中し、女性弁護士の収入低下につながっていますし、頑張ってきた弁護士も、これ以上やれないと辞めていく結果になっています。私は日弁連で全国の女性弁護士と交流がありますが、DVに理解がある弁護士でも、申し訳ないけれども離婚事案は扶助ではやらないという意見を聞きます。さらに、今年の4月1日から施行された改正民法等では、共同親権の導入により離婚事件が複雑化すると思われます。新たな事件類型も増えました。今、研修を各地でやっていますが、多くの弁護士は大変になると想像しています。   民事法律扶助制度は、全ての国民に裁判を受ける権利を認めた憲法上の権利を保障する重要な制度です。それだけではなく、借金による夜逃げやDVや家庭不和等の困難を抱えた人たちが新たな人生を歩み始めるための支援です。私たち弁護士は社会正義の実現と基本的人権の擁護のために、日本司法支援センター、法テラスが創立される前から財団法人法律扶助協会を創設し、弁護士の会費を財源にして民事法律扶助を行ってきました。現在でも、法テラスの本来事業になっていない人権侵害事件のために法律援助事業の資金を提供しています。その上に、本来事業でも低い報酬で国民の権利を守り実現するために汗を流しているのです。これは本来国が行う事業であり、法律事務を独占しているとはいえ、弁護士の犠牲の上に成り立っていては長続きしないことは目に見えています。   一方、弁護士報酬を上げると、立替制度ですから、被援助者の負担が増えるといわれます。現状のままでは確かにそうです。ですから、私たちは必要でも追加の扶助の申込みをしない、家事事件はいろいろな種類の類型の事件が一人の事件のために必要なのですけれども、その追加の扶助の申込みをしないで事件解決に努力することが多いのです。被援助者に安心して利用していただくためには給付制が不可欠です。現在の立替償還制度は、被援助者が弁護士から法的サービスを受けるに当たって弁護士に支払うべき報酬や事務処理に係る実費等の費用を被援助者が負担することを前提に、法テラスが立て替えて弁護士に支払い、被援助者は法テラスに対して立て替えてもらった費用を返済するものです。この制度で償還免除という制度もありますが、一旦立替えをして償還義務を発生させた後、事件が終了してから免除の申請をするので、受任するときに免除になるかどうか分かりません。免除があるから安心して使ってくださいと私たちも言えないわけです。ですから、被援助者は償還金を懸念して依頼をためらうことになります。   これに対して、今年の1月から始まった犯罪被害者等支援弁護士制度では、被援助者である被害者は、弁護士費用を負担することは前提となっておらず、原則無償で弁護士の法的サービスを受けることができ、弁護士等への報酬の支払いは法テラスが行います。被援助者は、加害者等から金銭の支払を受けた場合等に限って全部又は一部の費用を負担します。私たちが給付制と呼んでいるのはこれと同様の制度で、代理援助の開始決定をすれば、弁護士は被援助者に代理人として法的サービスを提供し、法テラスは弁護士にその費用を払うが、被援助者はその費用を負担する必要はないということです。全額負担の心配がなければ、被援助者は安心して代理援助を使うことができますし、私たちも必要な事件の申込みをすることができます。この場合、全面的に無償とはせずに、相手方から金銭の支払を受けた場合に全部又は一部の負担をすることは考えられ、被援助者の資力に応じて一定額の負担を求めることも考えられます。   次に、未成年者の代理援助の利用について意見を申し上げます。未成年者本人が裁判手続を利用する場合というのは、具体的には、虐待を受けた未成年者が親権喪失、親権停止、離縁等の申立てをしたり、父母の離婚紛争や親権・監護をめぐる紛争に未成年者が自らの意見を反映させるために利害関係参加をする場合です。しかし、このような手続のために未成年者が代理援助制度を利用して代理人弁護士を選任する場合、親権者の同意が必要です。その理由は、民法上、未成年者が法律行為を行うには父母の同意が必要とされており、現行の代理援助制度は被援助者が償還義務を負うことを前提としていますので、後に親権者から契約を取り消されるおそれがあるためです。そして、虐待を受けた未成年者や、父母が紛争状態にある未成年者が親権者の同意を得ることは困難であり、事実上、未成年者は代理援助制度が利用できず、扶助を利用した弁護士の援助が受けられないことになっています。   この現状は、子どもの権利主体性を認め、子どもの意思の尊重をうたうこども基本法の趣旨に沿うものではありません。特に、共同親権制度が始まり、離婚後の子の監護の在り方がより多様化する中で、未成年者の意思の反映はより重要となります。それを踏まえて、改正民法等の衆・参両院の附帯決議では、今回資料で一緒に出させていただいていますが、弁護士による子の手続代理人を積極的に活用するための環境整備をすることが求められており、対応が迫られています。この点、給付型の制度であれば、弁護士への委任は未成年者が単独で有効に行うことができます。民法第5条第1項ただし書で、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為では親権者の同意が要らないとなっていて、取消しの対象にはなっていないからです。したがって、未成年者が単独で代理援助制度を利用できるようになります。また、未成年者には資力がないのが一般的ですから、一律に未成年者に負担を課さない給付制を採用することには合理性があります。   なお、制度の検討に当たっては、弁護士の活動に見合った弁護士報酬にすること、未成年者でも履行が可能な手続とすることが必要です。こうした事件における弁護士の活動は、虐待や父母の不和状態の中で大人への不信感を抱きがちな未成年者との信頼関係の構築から始まり、大人に比べて理解力が乏しい未成年者に対して、本人が置かれた状況や裁判手続を分かりやすく説明しながら、未成年者の意向を慎重に聴き取ることが必要となります。そのために、多くの手続代理人弁護士は、学校が休みの土日や夜に子どもたちと会って、一緒にゲームをしたり食事をしたりして信頼関係を築きます。私は高齢で、子どものゲームなんか分からないのですが、孫にゲームを教えてもらって、子どもたちとゲームをしています。シェルターにいる子どもの場合、夜中に呼び出されることもあります。そうして本音を引き出す努力をしているのです。この分野においても、被援助者に負担させず、弁護士報酬を増額していくことが必要です。   ありがとうございました。 佐藤座長 ありがとうございました。   では、続きまして橋場様からのヒアリングです。橋場様からは、法テラスの利用にちゅうちょする理由などを分析した結果について御報告をいただきます。   橋場様、よろしくお願いいたします。 橋場氏 今御紹介にあずかりました関西学院大学法学部の橋場典子と申します。法社会学を専攻しておりまして、具体的には司法アクセスや法教育の研究をしております。時間も押しておりますので、お手元にあります資料7と書いたものにつきまして報告させていただきます。   では、順を追って説明させていただきます。私が分析に用いたデータは、2010年に法テラスから出されました「法律扶助のニーズ及び法テラス利用状況に関する調査報告書」という、そちらのデータを基に分析しております。もしかしたら後で質疑応答の時間で述べる機会があるかもしれませんけれども、現在2025年の新ニーズ調査の分析もされておりますが、差し当たり現時点で許可されておりますのは、既に刊行されている2010年の報告書を基にした分析ということで指示をいただいておりますので、分析対象に制限があるという点だけ注意喚起しておきたいと思います。   では、「2」のところから入っていきます。実際に法テラスを利用した方たちがどのような属性を持っているのかというところを分析した資料です。「2」を見ていただいて分かりますとおり、性別分布で見ますと、若干ですが女性の方が男性に比べ法テラスを利用する割合が高い傾向が見られました。   「(2)」の「年齢層分布」ですが、こちらも表2と表3、表2の方が法テラス利用者調査の年齢層分布で、それに比較する形で一般対象調査というものも2010年の法テラスの報告書ではされていますけれども、その比較をしますと、表2のところで、法テラス利用者は若年層と中堅層という比較的若い段階での利用が多いというところが見て取れます。年齢層分布につきましては脚注3に書きましたので、適宜御参照いただければと思います。   レジュメの2ページ目に移りまして、教育歴の分布を見ていきます。こちらも2値に変換して分析しておりますが、法テラス利用者は一般対象調査の回答者に比べまして大卒未満の割合が少し高い傾向が見られました。   「(4)」の「年収分布」のところに関しましては、下線が引いてある部分ですが、年収が300万円未満が全体の7割を超えているという結果が出ております。これに対しまして一般対象調査では年収300万円未満は全体の6割という数字が出ておりますので、法テラス利用者は一般対象調査に比べますと年収が比較的低い層が利用しているという様子が見られます。これはもちろん法テラスの設置理念にも合致しておりますが、分析上もそのような傾向が示されました。   参考までに、「(5)」のところで「配偶者・パートナーの有無」についても分析してみました。それによりますと、法テラス利用者は一般対象調査回答者に比べ、「配偶者・パートナーなし」の割合が17.6ポイント高いという形になっております。ただ、脚注7でも示しましたとおり、無回答の割合が法テラス利用者の場合は多いですので、この数字だけをもって何かしら判断するということは難しいわけですが、そういった傾向が見られました。   レジュメ3ページの小括というところを見ていただければと思います。法テラス利用者調査2010の分析から見えてきた法テラス利用者の全体像としましては、男性よりも女性の方が法テラスを利用する割合が相対的に高い点、大卒未満の割合が比較的高い点、年収300万円未満の利用が一般対象調査に比べると高い点、「配偶者・パートナーなし」の割合も高い点、という傾向が見えてきました。これらの実態から何がいえるかというところですけれども、後でもしかしたら発言する機会があるかもしれませんが、いわゆる複合的な困難を抱えやすい層なのかもしれないというところは一つ、いえるのかもしれません。   次に、「3」のところに入っていきます。「法テラス利用者の相談内容と当事者属性との関連」というところの「(1)」です。問1の「全体傾向」というところで、どのような内容で法テラスに行きましたかという点について複数回答で聞いております。それが図1の結果となっております。法テラス利用者の7割近くが「借金問題」と「離婚家族関係」に集中しているという傾向が見られました。一般対象調査では相談内容にばらつきが見られておりますので、相談内容の偏りというところも、法テラス利用者の特徴として挙げられるのかもしれません。   レジュメ4ページを見ていただければと思います。「法テラス利用者の相談内容」というところです。性別により相談内容に違いが見られましたのは「離婚・家族関係」、「家庭内暴力」、「職場問題」、「借金」というところです。傾向としましては表5にまとめましたので、適宜御参照いただければと思います。   「(3)」の「年齢層別」のところにつきましては、「離婚・家族関係」に関しましては比較的若い、若年層ないしは中堅層が選択する傾向があるのに対し、表7の年齢層と「借金」との兼ね合いで見ますと、比較的年齢の高い壮年層ないしは高齢層が借金問題で法テラスを利用している傾向がありそうだというところが示されております。   5ページ目の「小括」を見ていただければと思います。以上、「法テラス利用者の相談内容と当事者属性」というところを見てきました。まとめますと、法テラス利用者の相談内容の約7割が「借金」と「離婚・家族関係」のトラブル類型に集中していること、これは一般対象調査では見られませんでしたので、いわゆる法テラス利用者調査の独特の傾向だということができるかと思います。あとは、男女別ですとか年齢層別ですとか、個人属性によっても若干の傾向が見られたというところです。   「4」に入ります。「法テラス利用の躊躇有無とその理由」というところです。この辺りはとても重要かと、「4」と「5」が結構メインかなと思っておりますけれども、報告してまいります。「(1)」で「躊躇有無」を尋ねています。質問のワーディングとしましては、今回法テラスの法律相談に来る前に何か抵抗やためらいを感じましたかと、そういった聞き方をしております。こちらは図2に示されておりますとおり、「大いに感じた」、あるいは「感じた」というところを合算しますと、およそ回答者全体の2割を超える者が、何かしら法テラス利用に対する躊躇を感じたと答えております。   レジュメの6ページを見ていただければと思います。図3は、さきほどの図2の無回答のところを除いたものを円グラフにしております。図3で見ていただいて分かりますとおり、「法テラス利用に際する躊躇有無」としまして、無回答を除きましたら、3割以上が「躊躇あり」、ためらいを感じたと答えております。これは皆さん御存じのとおり、法テラス利用者調査ですので、既に法律相談援助を受けた人に聞いている中での3割ということです。法テラスを利用した経験を持つ人でも3割近くが法テラス利用に際して躊躇を感じていると答えていますので、法テラス利用に至る前の段階の人にとってみると更に大きなためらいが存在しているのではないかということが推測できます。もしかすると、こうした心理的なハードル、すなわち司法アクセスの障壁というものがこの調査結果から見て取れるのかもしれません。「②」の「性別」のところにつきましては、クロス集計しましたところ、女性の方が男性よりも躊躇を感じている傾向が見られました。表8は5値で尋ねた結果も求めていますけれども、男性と女性とで躊躇の傾向に違いが見られたというところです。   レジュメ7ページのところを見ていただければと思います。こちらは年齢層・性別と躊躇有無というところを見ております。こちらもどの年齢層におきましても3割程度、3割を超える割合が躊躇を感じたと答えております。とりわけ特徴的かなと考えましたのが、若年層の男性と高齢層の女性のところで躊躇傾向が強く見られました。これはあくまでも2010年のデータというところですが、もしかすると年齢層ですとか性別ですとか、そういった属性が重なることによって司法アクセス障害が顕著に出やすい、そういったインターセクショナリティがあるのかもしれないといえるかもしれません。   レジュメの8ページを見ていただければと思います。「(2)」の「躊躇理由」というところです。先ほど、ためらいを感じたかどうかというところで、ためらいを感じたと答えた方に、その理由は何ですかというところを聞いております。これも非常に興味深いデータが出たのかなと思います。図4を見ていただければと思います。こちらは「法テラス利用の躊躇理由」を聞いております。これも複数回答可の項目です。図4を見ていただいて分かりますとおり、一番多いのが「費用が分からない」というところで、これが59.3%です。約6割近くを占めております。その次に、「法専門職は近づきにくい」という、従来からいわれております法専門職に対する敷居の高さについての質問項目があるのですが、それを超える割合で、「費用が分からない」という項目が法テラス利用の躊躇理由として挙げられている点は、一つの特徴といえるのかもしれません。ちなみにというところで、「②」の「性別」との関連、躊躇理由を見てみたところ、やはり男性・女性両方とも、費用が幾らかかるか分からないというところが突出して多くなっているというところが示されております。   レジュメの9ページのところですね、こちらも年齢層で見てみました。こちらは費用が幾らかかるか分からないというところと年齢層との兼ね合いを分析したものです。表11を見ていただければ分かりますとおり、「費用がいくらかかるか分からない」に関しましては、全ての年齢層で5割を超えております。とりわけ若い層、若年層や中堅層においては70%、60.1%という数字からも見て取れますとおり、「費用面への不安から法テラス利用を躊躇した」という回答が多いという傾向が示されました。これらの結果からは、比較的若い層がアクセス障害を抱えやすいのかもしれない、そのネックとして「費用面への不安」というところが一つ、分水嶺としてあるのかもしれません。   「(3)」の「小括」のところでは「法テラス利用の躊躇有無と躊躇理由」という部分のまとめを載せております。今までのまとめなので飛ばしますが、下線部のところで、比較的若い年齢層において「費用面への不安」が法テラス利用の躊躇理由として強く作用している可能性がありそうです。特に、法テラスを実際に利用した人を対象にしている調査であるにもかかわらず、法テラスを利用した人の中の6割近くが「費用面への不安」を躊躇理由として挙げております。したがいまして、ここからは推測の域を出ませんが、法テラス利用に至らなかった暗数といいましょうか、潜在的な法テラス利用者といいますか、そういった人々にとっては、もしかすると費用面の不安がより強く存在している可能性も、これらの分析結果から得られるインプリケーションとしてはあるのかもしれません。   レジュメの10ページを見ていただければと思います。「5」のところです。こちらは「裁判費用立替制度の利用意欲と消極理由」を聞いています。「(1)」のところでは、「利用意欲の有無」ですね、何かしら「裁判の必要性が生じた場合、弁護士や司法書士に支払う費用の貸し付けの制度を使ってみようと思いますか」というところを聞いております。全体傾向を図5で見ていただければと思いますが、「消極回答(全く思わない、思わない、どちらともいえない)」を消極回答として丸めていますが、こちらが22.9%という形になっています。   レジュメの11ページに入っていただければと思います。こちらも年齢層と性別と利用意欲を聞いています。年齢層別に利用意欲を見ましたところ、「消極回答」が最も高いのは若年層で29.1%という結果が出ました。若年層と中堅層という比較的年齢が若い層において裁判費用立替制度の利用意欲が低い傾向が見られました。高齢層女性の消極割合も3割を超えているというところも一つ、特徴として挙げられるかもしれません。   レジュメの12ページに入っていただければと思います。こちらの「(2)」で、裁判費用立替制度を利用しようと思わない、いわゆる消極理由を尋ねたものがこの問7の(3)という形になります。こちらも「全体傾向」の図6を見ていただければ分かります。これも非常に重要な図かと思います。図6を見ていただいたら分かりますとおり、これは第一順位から第三順位を尋ねていますので、それの第一順位の結果だけを持ってきました。裁判費用立替制度の利用に対して消極的である理由を聞いたところ、「内容がよく分からないから」が33%でした。次に高い割合を示しましたのが、「結局は費用がかかりそうだから」というところですね。ここが21.6%であったというところが一つの特徴です。これも後ほど議論になるかと思いますけれども、償還制から給付制へという議論の一つのデータとして使えるのかもしれません。   「(3)」の「小括」のところです。今まで申し上げたところをまとめた形になりますけれども、矢印の1個前ぐらいですかね、裁判費用立替制度の消極理由として、「内容がよく分からない」が最も多かった、次いで、「結局は費用がかかりそうだから」だという点が示されました。ここから推測できることとしましては、周知度というところは今回レジュメには反映しておりませんけれども、周知度云々の話もあることに加えまして、今回この会のメインの議論としましては、費用面への不安が結果として法テラス利用者にとって裁判費用立替制度利用の阻害要因となっている可能性があるというところは、少なくともいえるのかなと思います。   レジュメの13ページの「まとめ」のところを見ていただければと思います。法テラス利用者の特徴としましては、冒頭の「2」のところで申し上げましたとおり、一般対象調査とは異なる傾向が見られました。そこでも紹介しましたが、いわゆる複合的な困難ですね、ソーシャルキャピタルも含めてですけれども、様々な形での困難が蓄積しやすい利用者が法テラスを利用している可能性があるというところが示されたかと思います。加えて、「躊躇有無と躊躇理由」というところですね、こちらに関しましては法テラス利用に際する躊躇として、利用者の約2割が躊躇を感じている点。特に「費用がいくらかかるか分からない」を挙げる者が6割を占めている点ですとか、費用についての不安面はそれぞれの年齢層で5割を超えている点、その傾向が比較的若い層において強く出ているという点が特徴的であるといえます。「裁判費用立替制度の利用意欲有無と利用に対する消極理由」というところに関しましては、裁判費用立替制度の利用に対して消極的な姿勢を示す者が22.9%おり、なぜ消極的なのかと理由を聞いたところの第2位としまして、「結局は費用がかかりそうだから」という項目が21.6%でした。   以上、2010年法テラス調査の分析結果からどのような示唆が得られるかにつきましては、矢印の部分にまとめております。分析結果からは、費用面に関する懸念がある程度示されたのではないかなと思われます。こうした費用面に対する懸念に関しては、法テラスを利用する前の段階の方々にとっても、もしかしたら大きなバリアとして存在している可能性があるのかもしれません。属性分析からも見えてきましたとおり、法テラス利用者は比較的複合的困難を抱えやすい傾向にあるということはいえるかと思います。ですので、立替制度自体の周知と並行する形で、償還制の見直し、費用面への懸念を払拭するという方向も含めて、何かしら方策を練る必要があるのではないかと考えます。   報告としては以上です。どうもありがとうございました。 佐藤座長 橋場様、どうもありがとうございました。   それでは、民事法律扶助の諸課題に関しましてお二人からのヒアリングを終えましたので、ここからは質疑応答と意見交換のお時間とさせていただきます。まずは、ただいま御報告をいただいたお二方に対して、あるいはそれに関連して、御質問あるいは御発言があれば、挙手いただければと思います。オンラインで御参加の委員の皆様は挙手機能を使って御発言ください。なお、御質問の際にはどの報告者への質問であるか明示して御質問いただければと思います。   では、まず寺町委員、お願いいたします。 寺町委員 ただいまの原田弁護士の報告に1点、補足的に発言をさせていただければと思います。離婚事件の困難性に関してですけれども、日弁連で2022年度に離婚・男女関係に係る弁護士業務妨害のアンケート調査というものを実施しております。DV・ストーカーや面会交流に関する事件は、当事者間の感情的対立が激しい事件類型となっておりまして、事件の相手方から代理人弁護士に対して暴力や脅迫、誹謗中傷などの業務妨害を受ける事案が数多く報告されております。特に、女性弁護士において一層深刻であるということが確認されております。また、2010年に横浜・秋田で弁護士が殺害された事案が相次いで起こっておりますが、いずれも加害者は離婚事件の相手方である夫ないし元夫が妻の代理人弁護士を殺害したものでした。2024年12月19日に日弁連は会長声明を発出して、これに対する対策ということを申し上げているところでございます。   このような業務妨害事案というのは、離婚事件全体の中では少数ではありましても、どの事件であってもそのような相手方に当たる可能性ということを常に考えざるを得ない、DV事案を受任する際には常に相手方からの攻撃にさらされるリスクを覚悟して臨むという非常にストレスの高い事件類型であると申し上げられるかと思います。また、DV事案に当たってしまった場合に、危険を感じて複数受任をしたいと考えたとしましても、法テラスの事案の場合に非常に報酬が安い中で、それを更に2人で割るということになり、仮に困難案件加算が入ったとしても非常に低廉であるというところは変わらないため、弁護士が受任することへの困難性を感じる一つの大きな要因になっているということを申し上げたいと思います。 佐藤座長 ありがとうございました。原田様の御報告に関する補足説明と伺いました。   では、改めまして原田様、それから橋場様についての御質問等をお受けしたいと思いますが、生水委員、よろしくお願いいたします。 生水委員 原田先生、橋場先生、貴重な御報告をありがとうございました。実は自治体の相談現場からは、法律扶助の利用を助言して相談者を弁護士につないでいるが、受任に至らないケースが増加していると深刻な訴えが寄せられています。特に、先ほど御報告がありましたDV案件が顕著に受けてもらえないと聞いています。こうした生活困窮者等の皆さんの相談を受任してもらえない、こうした現状については自治体の相談現場は非常に困っています。何としてでも改善いただきたく思っています。   そこで、原田先生にお尋ねさせてください。資料6-2のケース2のDV案件につきましては、資料にも記載がありますように、手厚いケアが必要で、個人の尊厳を取り戻す過程に寄り添うことが必要とあります。ただ、マンパワーも不足する中で、こうした単体の弁護士が自治体や地域の支援機関とつながるというのは難しいかと思います。そこで、前半に御報告があった法テラス広島の仕組みを参考に、例えば、法テラスが持ち得る自治体等のネットワークを契約弁護士・司法書士も活用できるように、法テラスが地域の自治体や支援機関につないだり紹介したりする仕組みが整備されれば、法律専門職の負担軽減につながって、それが民事扶助の利用にもつながるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。   2点目です。これは率直に伺うのですが、なぜ20年間も報酬額が上がらなかったのか、その理由があるのであれば教えていただきたいと思います。 原田氏 2番目の質問については、私も聞きたいくらいで、日弁連はずっと報酬を上げてほしいと言ってきましたが、上がってこなかった。やはりこれは償還制の問題だと思います。私たちもその意見を出すときに必ず、償還制だと依頼者の負担が増えるから、それは困るよねと、それで本当にいいのだろうかということがいつも議論になりますので、やはり償還制が大きな問題だと思います。   それから、1番目の問題でいえば、私は基本的に家事事件を中心にやっているので、それに特化して考えた場合、私どもの事務所は各自治体の女性相談員の方とか、家庭児童相談室とか、女性センターとか、そういうところとつながっていて、かなりネットワークをしたり、そこでの講演をさせていただいたりとか、相談員の方の研修に呼んでいただいて大体年に2回ぐらいは研修をやっているとか、そういうふうにしています。法テラスのスタッフ弁護士の方も全国でいろいろなところでやられているので、しかもスタッフに対して研修も行われているので、十分やっていただけると思っているのですが、先ほどの災害のときのお話にあったように顔の見える関係ということを構築していく上では、スタッフ弁護士は2年か3年で転勤していくのですね。ですので、法テラスの地方事務所なり法律事務所が事務局になってやっていただくということができれば、かなり相談員の方も安心できるかもしれませんが、相談員の方も替わる、スタッフも替わるという中で、具体的な信頼関係を作っていくという意味では、そこだけではなかなか難しいかなと思います。   特に、橋場先生の御報告にもありましたように、依頼者の方にきちんと話を理解していただく上で、私がこんなに早口で30分とか1時間でばっと話したら、分からない方が多いのです。ですので、やはりスタッフの方、相談員の方が一緒に来ていただいて、そして私が話したことを、実はこんなことなのですよと解説していただくというのが非常に重要で、そういう連携ができていると、かなりうまくいくのです。だから、その事務局として法テラスが働いていただくということは、とても意味があると思います。 佐藤座長 ほかはいかがでしょうか。   では、大屋委員、お願いいたします。 大屋委員 私が弁護する必要はないと思うのですが、償還制の関係ないところで、この20年間上がらないどころかずっと下がってきたお金というのがございまして、国立大学の運営費交付金というものです。効率化係数1%というのを掛けられて、ずっと削られてきたと、だから、財務当局の認識としては、この20年間物価は安定していて上がってこなかったと、だから一定のサービスを提供するのにかかるお金も上がらないので、報酬も上げなくていいのだという発想があったと思います。ただ、この運営費交付金についていいますと、今年度増額になりまして、要するに、ついに財政当局としても物価高と円安の影響というのを認めざるを得なくなっているということだと思います。したがって、これはやはり当然ながら民事法律扶助の報酬についても主張すべきことだと思われます。   その上でなのですが、もちろん報酬のレベル感、全体の話も大変問題だと思うのですが、どちらかというと今日、特に原田先生のお話を伺っていて問題なのは、報酬の構造にあると思いました。つまり、一定の事件のカテゴリーとか関係者の資力によって報酬額が決まってしまって、手間がかからない事件についてはさほど見劣りがしないぐらいの水準になってくるのだけれども、相手方が面倒くさかったり、関係が複雑だったり、関係者が資力を持っていなかったりすると、一気に泥沼に引きずられるように、時給的な感覚でいうと下がっていってしまう。となると、もめるなと分かっている事件は受けたくないということになると思いますし、もめるかもめないか分からないような状態では事件を受けたくないというふうにディスインセンティブが働いていくだろうと思います。   やはりこの構造を転換する必要はあって、手間がかかったらそれなりの報酬が出てくるというふうにみんなが思えないと、要するに弁護士としては到底引き受けられないだろうということになっていく。それを実現するためには、これは生水委員の資料に書いてありましたが、弁護士の側にお支払いする報酬と依頼者・利用者側の負担というものを切り離すことが必要だと私も思うところであります。ただ、原田先生の資料は給付制という言葉を結構広く使っておられますが、完全給付制は私はあまり賛成しないところではあって、というのは、医療の業界で見ると、特に典型はイギリスなのですが、完全給付制で自己負担なしにすると供給側の資源制約が非常に生じやすいのです。予算が付きましたといっても、新規案件受け付けられませんみたいなことが起きると、あるいは、それをしない場合には負担がどこまでも増えていく可能性があるということで、これは財務当局がいい顔をしない。そうすると、やはり一部自己負担を求めつつ、総額にキャップを設けて一定額以上は負担が生じないように予見可能性を高める、これは橋場先生の御研究とも一致している結論だと思うのですが、今の医療の高額療養費制度みたいなものも構想していいかなと思ったところであります。   最後に、未成年者の件ですが、これはこの問題があるということを実証していただいた日弁連の事業の価値は非常に高いと思っておりまして、やはり現行民法第5条が親は子を思いやるものであるという前提に立って構築されているところ、それを逸脱するケースがあるのだと、規模でいうと大体年間500件ということをお示しいただいたわけですよね。それがある以上、やはりこれを国費で解決する筋合いのものだと思っていまして、いつまでも弁護士たちの善意に頼ってはいけないと考えております。ただ、それは法務省がやるべきことなのか、こういうのって子ども特有の問題だから、こども家庭庁から金を引っ張れないかとか、そういうことは考えてもいいかもしれず、先ほど赤堀委員だったかな、御指摘があった他省庁からの予算というものを法テラスに入れることも是非ということも含めて、議論していくべき問題かなと思いました。 佐藤座長 多方面で有益な御指摘ありがとうございました。後ほどの意見交換の議題にもつながっていくのではないかと思います。   それでは、赤堀委員、お願いいたします。 赤堀委員 離婚関連事件に関する契約弁護士の報酬引上げについての御説明を伺いました。これらの報酬は国費を原資としていることから、財政への影響や、それに見合う効果についても併せて丁寧に検討し、立法事実を整理していくことが重要であると考えます。そのため、例えば、現状において予算全体の中で離婚関連事件に係る契約弁護士報酬がどの程度の規模となっているのか、また、報酬水準をどの程度まで引き上げることが想定されるのか、さらに、その場合に必要となる追加の予算額はどの程度となるのかといった点について、概算でも構いませんので、参考となる試算や資料をお示しいただけると、より具体的な議論につながると考えます。その上で、こうした試算を踏まえ、報酬水準の見直しによって期待される効果、すなわち担い手の確保状況の改善やサービス提供の充実といった点についても可能な範囲で整理いただき、検討会において議論を深めていくことが望ましいと考えます。 佐藤座長 ありがとうございました。   それでは、岡野委員、お願いいたします。 岡野委員 今日はいろいろお話しいただき、ありがとうございました。   一つだけといいますか、第1回のときにも私の関心事項を申し上げましたが、それは、身近な司法という観点から法テラスの認知度をどう上げていくのかという課題だと思うのです。私の理解が正しいか、橋場先生にお伺いしたいのですが、この「躊躇理由」を見ていると、相談をする前から費用が不安だと回答されています。しかし、相談は無料です。ということは、その周知ができていないということをこのアンケートは象徴してしまっているということだと思います。ですから、取りあえず相談は無料ですからとにかく来てくださいということを今後もっと展開する必要があって、その相談の過程で、その先の様々な手続とか、将来に対する手当ての仕方とかをどのように丁寧に説明していくかということを考えていくのが次のステップだと思っているのですが、そういうインプリケーションと受け取っていいかどうかというのをお聞きしたいと思って、質問させていただきました。 橋場氏 そうですね。これを私が答えていいのか分かりませんが、法テラス白書にもありますとおり、名称認知度と業務認知度がありまして、やはり法テラスという名前は知っているけれども中身が分からないという課題が指摘されております。私は法テラスニーズ調査2025を始め様々な調査に関わっておりますが、関連する複数の調査結果からも、法テラスへの期待はそれなりに高いのだけれども、何をしている団体なのかが分からないと、中身についての認知不足というところが見えてきております。今回のこの利用者調査2010に関しましても、法テラス利用者を調査対象にしておりますので、実際に法律相談に来ている人々です。それにもかかわらず、実際に法テラスを利用している人の中にも依然として一定のちゅうちょがある。いわんやその前の段階の人をや、というところが言えるかと思います。今コメントがありましたとおり、どういうことができるのか、取りあえず来てねというところのアプローチが、恐らく法テラスの今後の課題という、もちろん今も努力されていると思うのですが、更に努力していく必要があるのかなと思います。御質問どうもありがとうございました。 佐藤座長 関連の御質問はまだあるかと思いますけれども、この後の自由討議の中でも可能ですので、一旦ここで原田様と橋場様のヒアリングを終えたいと思います。どうもありがとうございました。   それでは、ここからは本日のヒアリング、それから事務局提出資料などを含めまして、挙手制にて自由に意見交換をしていただければと思います。いかがでしょうか。   谷口委員、よろしくお願いいたします。 谷口委員 資料9で提出資料を準備しております。今日ヒアリングの中で、受任したときの金額を上げるべきだということと、償還制を見直すべきだというような御趣旨のヒアリングがあったかと思います。離婚事件なども多く担当している弁護士の意見として、この点について1点ずつお伝えしたいと思いますが、一つは、先ほど複合的な課題を抱えていらっしゃる方が多いとおっしゃられましたが、全くそのとおりです。その複合的なことの要素には絶えず貧困・生活困窮というものが含まれます。これは法テラスの当然の要件からも来るところです。そうすると、処理をしてもマイナスがゼロになるだけで、決してそこから何か大きくプラスになる案件というのはほとんどないというのが私の実感でございまして、償還制というのは、マイナスがゼロになったからお金はちゃんとその後も払ってねというような話であって、もともとかなり無理がある制度なのかなと感じているところです。   もう一つ、離婚事件のことに関しての受任者側の事情をお伝えしたいと思いますが、先ほど原田先生からの提出資料のスライド4のところで、4割か5割ぐらいというようなデータが提出されていて、大屋先生の方からも、簡単な事件に関しては見劣りしないものもあるのではないかというような御指摘がございましたが、私自身の感覚としても大体そんなところなのですが、実は法テラスを受けている人しか多分このアンケートに答えていなくて、ここの会議に出席する前に離婚弁護士といってグーグルで検索をして多くヒットするところの報酬基準を見てまいりましたところ、2分の1なんかはとてもなくて、4分の1とか5分の1ぐらいの水準というのが一般的であるということが分かりました。つまり、多くの離婚が頼まれている弁護士事務所へ行ったときには、大体法テラスで支払われる金額の、5倍というのは言い過ぎかもしれませんが、3倍から4倍ぐらいを弁護士側はもらうというようなことが多いのではないかと思っております。そうすると、担い手を確保するために、当然同じような事件をやってもそれぐらいの違いがあれば、インセンティブの問題で、とてもそちらには行きませんので、これの改善の必要性はあるのかなと思っているところです。   ただ、ここの部分を改正するに当たって私が申し上げたいのは、必要性はあると、ただ、それが一部の人たちのためにとって、特に弁護士業界とかにとって必要なことだと言われても、恐らく社会はなかなか説得できないのではないかなと考えておりまして、その意味では、相当性というところについて、いかなる社会的利益があるのかということについてを出す必要があるのではないかと思います。実際、第1回目でもお話ししましたけれども、適正な紛争を処理するということは、その当事者だけではなくて、その子どもたちであったり、コミュニティであったり、職場であったり、いろいろ広く社会全体の便益になるのだということを感じています。ただ、このこと自体が見える形で実証的に示されていないという現状があるのではないかなと思っています。   なので、このようなニーズを実際に政策として実現するという過程においては、やはりそのエビデンスになる調査研究が不可欠ではないかと感じているところです。しかし、先ほど私が引用した総合法律支援論叢もかなり前に廃止をされてしまっています。かつ、法務省の司法法制部等が出す研究助成のようなものはほぼないのではないかなと思っておりまして、それは、例えば厚労省とか経産省とかがやっているような、資金を出すのでこういう調査研究をしてくださいというようなことの枠組み自身が今なくなっているのではないかなと思います。一部、委託の研究事業はあるようですが、そうではなく、広く社会的な効果などについて調査するような、そういう仕組みが設けられ、それにより例えば中長期において法律扶助等がどういう影響を与えるのかというような研究がなされるといったことが不可欠ではないかなと思っています。これなくして、なかなか財務当局や社会一般を説得するということは難しいのではないかと思っておりまして、そこについての基盤整備が必要なのかなと思っているところです。   最後に1点だけ、子どもの手続代理人の関係で少し御意見がありましたので、その点、法務省民事局が令和5年2月に「未成年期に父母の別居・離婚を経験した子に関する質的調査研究報告書」というのを出しております。ここにおいて、子どもの意見が手続の中においてどう反映されたかというのがその体験にとってどういう影響を与えているのかという調査研究がなされているので、この辺りも参照しつつ制度設計をすべきではないかなということを付け加えさせていただきます。 佐藤座長 ありがとうございました。今重要な御指摘がありましたので、今の谷口委員の御発言について何か関連の御発言等があれば、お願いいたします。   よろしいでしょうか。では、大村委員、お願いいたします。 大村委員 3点申し上げたいと思います。まず、民事法律扶助の話ですけれども、民事法律扶助への弁護士の方の扶助離れ対策として、報酬を上げていただくということは、これは必要だと思います。ただ、公共の仕事ですので、私も公務員を長くやっておりましたが、目覚ましくいきなり上がるということはなかなか容易ではないとは思います。一方、報酬は仕事との見合いですので、現在の法律扶助の仕事の困難度については、今日もいろいろな面で御指摘がありましたけれども、現状あまりにも報酬との見合いでバランスを欠いている状態ということだと思います。それは対象者が、やはり法テラス開始当初に比べても、様々なトラブルを抱えている方が増えており、経済面だけではなくて、例えば、精神面の困難を抱えていらっしゃったり、家庭内で課題があったり、福祉的なケアを要する場合も多いのではないかと思います。その全てを契約弁護士の方やスタッフ弁護士の方にお願いするのは非常に困難度が高いと思います。ですので、第1回・第2回や今日の事例にもありましたけれども、福祉面の専門家等とチームを組んで対応し、それによって弁護士の方が法律の専門的な部分に専念できるような体制を築くことが必要ではないかと思います。もちろん報酬も引き上げるべきですが、少しでも業務負担を軽減し、報酬と仕事のバランスを回復する努力が必要だと思います。   また、そうした体制を平時から築いていくことは、本日のテーマの1番目にありましたような災害時の有事の関係構築にも円滑につながっていくのではないかと思います。私も災害対策を国で担当しておりましたが、やはり平時の準備が必ず有事に結び付くと、逆にいうと、有事になって急に火事場の馬鹿力で関係が構築できるということはないと思います。その際に、今日の生水委員の資料にもありましたが、地域司法プラットフォームといった場を構築することは意義があると思います。ただ、その際に事務局が法テラスであるべきかどうかは議論を要すると思います。既にさまざまな事例があって、主体が自治体であったり、社協であったり、NPOであったり、いろいろあると思います。そういう中で体制・プラットフォーム構築の方策を現場重視で、現場が主体で考え、その取組を国として推進し支援していくという手法もあろうかと思います。また、他省庁の取組でも、例えば厚労省の重層的支援ですとか、内閣府・内閣官房の孤独・孤立対策といった政策の枠組みも現在進んでおります。そういった他省庁の枠組みを上手く使っていくということが、大屋委員からもありましたが体制・プラットフォームの構築においても、財源においてもプラスになりますし、平時・有事の関係構築においても円滑になるのではないかと思います。ただ、そうした事務局機能を誰がどう担っていくかについては議論を要するところかと思います。   二つ目でございますが、災害の関係のテーマについてです。先ほど赤堀委員からもお話がありましたけれども、災害時の法テラスの無料法律相談の支援の期間が1年に限定されていることの改善も重要ですが、それとともに、対象となる災害が特定非常災害法の適用災害に限定されていることは、やはり近年の災害の多様化・多発化に比して非常に限定的ではないかと思います。これは被災者にしてみると、全体が大きい災害であろうと中小規模であろうと、本人にとっては被災したことに変わりはないわけですから、そこに一定の配慮が必要ではないかと思います。   そこで参考になるのは、今日の事務局資料1の2ページにありますが、災害対策において被災者生活再建支援法というものがございます。これは災害救助法が適用になり、かつ全壊世帯が10世帯以上といった対象要件ですので、被害者目線という点では参考になると思います。特定非常災害は大体3年か4年ぐらいに1個ぐらいしかないわけですが、この被災者生活再建支援制度でいけば、令和7年度だけ見ても6つの災害が対象になっています。その中には地震災害・豪雨災害以外に、例えば強風による大分県佐賀関市の山林火災や、岩手県大船渡市の山林火災、こういったものも対象になっています。よりきめ細かに寄り添う観点では参考になるのではないかと思います。   3点目でございますが、災害時の相談支援対策はいろいろと各庁も取り組んでいまして、例えば、国交省の関係する住宅紛争処理支援センターでは、平時も、災害時も、さまざまな住宅関係の相談に乗っています。こういった各省庁の取組と連携していくことも、平時・有事の法テラスの相談において役立つと思いますので、検討の中には連携として含めてお考えいただければと思います。 佐藤座長 ありがとうございました。ただいまも大変有益な御指摘を頂きましたが、何か関連の発言があれば、お願いいたします。   御指摘の中にあった関係省庁との連携の在り方は、第5回でも予定しておりますので、またそこで議論を深めることができればと思っております。   では、板東委員、よろしくお願いいたします。 板東委員 今日のお話、大変有意義なお話が多かったなと、あるいは非常にいい御提案をいろいろ頂いたなとお聞きをさせていただきました。   まず、災害対策の関係でございますけれども、今日御指摘いただきましたように、生活再建ということが問題になってくるのが大体半年以降というのは、私も法テラスに関わらせていただいたときに、正に現場に行かせていただいたり、いろいろな情報を得ている中でも強く感じさせていただいたところでございます。そういう意味では、今日の御指摘のように、最大限2年というようなところは非常に説得力があるのかなという感じがいたしますが、災害もいろいろな種類、地震があり、水害があり、その他いろいろな種類のものがございますので、ここは今は1年以内といっても大体1年という上限に張り付いているのですけれども、災害によっては少しそこの幅はあってもいいのかなと思います。例えば、上限2年であっても実態に合わせながらということは考えられるかなと思いました。というのは、東日本大震災は10年という期間だったのですけれども、その最後の方になりますと、直接どこまで関係するのかというものもかなり増えてくるという実態があります。これは予算とも絡む話でございますので、そういう意味では適切な期間が設定できる若干の柔軟性があった方がいいのかなという感じはいたしました。でも、いずれにしろ2年ということの必要性というのは御指摘のとおりだと思っております。   それから、法テラスの災害における役割のところ、これは私も1回目のときにも申し上げさせていただいたのですが、やはり災害が起きた後というだけではなくて、今日のお話のように、その前から士業連絡会のようなものをコーディネートして受け皿を作っていく、言わば本番のためにもプラットフォームを作っていくという、コーディネート機能というのは非常に重要ではないかと思います。これは、例えば弁護士会にお願いするとか自治体にお願いするということも考えられるのかもしれないですが、むしろ私は司法アクセスということを考えていったときに、いろいろな分野をつないでいく、そのプラットフォームを作っていくという役割というのは非常に重要ではないかと思っておりまして、特に災害の前から、そういった実際に動き得るようなプラットフォーム作りに努め、自治体とも連携をしていく、いろいろな士業とも連携をしていく、こういったことは是非法テラスとして積極的な使命の一つとして、広げていくべきではないかと思います。   そのためにも、第1回目のときにも申し上げたのですが、やはりスタッフ弁護士を全県に配置をしていくということを弁護士会の方でも御理解いただいて、是非実現をしていく必要があるのではないかと思います。能登の地震が起きましたときに、石川県は配置をされていない県だということで、これは私が法テラスを離れてからのことではありますけれども、非常に残念な思いがいたしました。やはりそういった、どこでどういう災害が起きるか今分からない状況、非常に多発、激甚化した災害がどこで起きるか分からない状況の中で、全国的にどこも一応の受け皿を作れるような、そのためにもスタッフ弁護士の積極的な全国配置ということが是非望まれるということを改めて感じさせていただきました。   それから、民事法律扶助の関係、先ほどお話のように離婚・家事訴訟の関係というのは非常に大変だと思います。ただ、先ほども御指摘のように、仕組みをどう変えるかというのは今日もいろいろな御提案があったので、その仕組み次第によってはということになるのですが、やはり利用者の方が最終的に負担をするとなると上限というところが非常に問題になり、これは法テラスでも大変毎回悩ましく思いながらということでございました。先ほど御提案のように、例えば高額医療費的な形である程度上限のところを見通せるとか、そういう制度の在り方というのも非常に有益ではないかという感じがいたしましたし、恐らく財政当局の側から見ると、ほかの事件形態のときにはもう少し安くできるものもあるのではないかという話も出てきて、全体の見直しの議論にもなってくる可能性はあるかと思いますので、そのいろいろな必要性のところ、実際のところというのをもう少しきちんと分析をしていく必要があるのだろうと思いました。   それから、やはり社会、財政当局に納得していただくためにも、実際の運用のところについても、例えば各県ごとに少しばらつきがあるのではないかというような、そういう基準の運用といいますか、そこのところを言われないように、きちんとした公平公正な判断、運用の仕組み、運用自体のブラッシュアップということも必要になってくるのではないかと、そういうことをいろいろ併せながら、社会的な理解というのも求めていく必要があるだろうと思いました。   それから、子ども関係の御提案のところはもっともだなとお聞きをしたところでございます。 佐藤座長 ありがとうございました。多方面にわたって有益な御指摘だったと思いますが、今の御発言に関連して何かあれば、よろしくお願いいたします。   よろしいでしょうか。では、ほかの点でも結構です。   では、寺町委員、よろしくお願いいたします。 寺町委員 先ほど生水委員や大屋委員、あるいは大村委員からも御指摘を頂きました、自治体の連携機関からのバックアップという件に関しまして、1点御紹介したいことがございます。   昨年度3月に日弁連の方でシンポジウムを行ったのですが、新潟県長岡市でウィル長岡という自治体の支援団体と長岡支部の弁護士、最大10人ぐらいの方々がグループを作って、勉強会を十数年前から月1回、意見交換会を重ねて関係構築をしてきたという中で、長岡というか新潟県のDV相談の件数が人口規模に照らすと非常に多いという結果が出ております。そういう中で、先ほど原田弁護士からも御紹介がありましたけれども、支援員の方が生活面を支える福祉等の制度の利用を支援する、弁護士の方は離婚事件の対応をするという役割分担の中で、メンタル面や事務処理能力などの面で非常に弱っている依頼者の方を両面からサポートするということで、非常に有効な取組がなされているという御報告もありましたので、是非そういう仕組みを横展開、全国展開していただけると非常によいなと思っております。 佐藤座長 貴重な情報提供をありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。   では、生水委員、よろしくお願いいたします。 生水委員 1点だけ、先ほどのプラットフォームのお話もありましたが、それには原田先生がおっしゃった、スタッフ弁護士のみならず職員の方の転勤があるのですよね、2年ごとに転勤があると。それでは地域における事務局機能を担うのも含めプラットフォームを構築していく体制としてはなかなか難しいのかなと思うのです。なので、この転勤制度についても是非見直しが私は必要ではないかなと考えます。 佐藤座長 ありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。   諏訪委員、お願いいたします。 諏訪委員 最後に、この前も申し上げたのですが、今後、防災庁ができて、防災庁の仕事に復興が入っていくということになりますので、復興にとって、法テラスも含めた無料法律相談というのは必要不可欠なピースであるということを上手くアピールすることによって、災害が起きたときには必ずそういった無料の法律相談ができるような仕組みを国が作るという流れを作っていけるようなアピールをしていければいいのかなと考えていますので、よろしくお願いいたします。 佐藤座長 どうもありがとうございました。   ほか、いかがでしょうか。   それでは、今日の話はそれぞれ大変有益でしたが、私もこの分野を研究している者のひとりとして、ごく簡単に2点だけ申し上げたいと思います。   一つは、民事法律扶助について給付制の問題、それから報酬の引上げの問題が出て、その必要性については本日、多方面で御指摘を頂けたと思います。その上で、その先にまだ課題があって、これは谷口委員から御指摘があった点ですが、これを社会的に納得してもらう、あるいは財政当局を説得するという次の課題があろうかと思います。それに向けて、一方では制度設計を更に精緻にする議論を引き続きお願いしたいのと同時に、民事法律扶助の効果として、民事法律扶助というのは個々人を救済するだけではなくて、社会全体あるいはコミュニティのウェルビーイングを向上させていく効果もあるという辺りをもう少し可視化できれば良いのではないかと思いました。併せて、エピソードベースを越えて、もう少し一般化可能なエビデンスというものを考えていくことも重要なのかなということを本日、改めて感じた次第です。   それからもう1点、被災者支援についても非常に重要で、皆さまがおっしゃったように、関係士業あるいは法テラスを中核として様々な相談窓口や専門家のネットワークを組んでいくということが重要であることは、これは御指摘のとおりです。   また、被災者支援で重要なのは、実際に支援を必要としている被災者の身近に相談支援のサービス拠点を置くということだと思います。より一般的に言えば、ニーズのある人の近くにアクセスポイントを置く、サービス供給拠点とサービス利用者の地理的あるいは時間的な距離を短くすると、そういう観点からも、本日の議論を今後更に深めることができればと考えました。   本日も様々な御意見・御議論をいただきありがとうございました。本日お伺いした御意見は、座長と事務局において整理をさせていただき、本検討会において改めて深く掘り下げた議論を行う回を設けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。   それでは、おおむね時間となりましたので、本日の第3回の会議はここまでとさせていただきたいと思います。最後に事務局から今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。 青木参事官 では、事務局の方から今後のスケジュールについて説明させていただきます。   第4回会議につきましては、事前に御案内させていただきましたとおり、6月11日午後3時から午後6時に法テラス本部での開催を予定しております。よろしくお願いいたします。次回のテーマは、「中長期在留外国人に対する法的支援」、「犯罪被害者支援」及び「司法DXへの対応」を予定しております。   なお、この日は会議の開催に先立ちまして法テラス東京地方事務所の視察についても実施する予定でございます。この視察につきましては後日、詳細をお伝えさせていただきます。 佐藤座長 それでは、以上をもちまして第3回の会議を終了させていただきます。   本日もどうもありがとうございました。 ―了―