法制審議会 会社法制 (株式・株主総会等関係)部会 第16回会議 議事録 第1 日 時  令和8年7月22日(水)    自 午後0時59分                         至 午後6時01分 第2 場 所  法務省20階第一会議室 第3 議 題  会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた検討(2) 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○神作部会長 予定した時刻が参りましたので、ただいまから法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第16回会議を開会いたします。   本日も皆様、御多忙の中、また大変暑い中、御出席いただき誠にありがとうございます。   本日もウェブ会議の方法を併用して議事を進めることといたします。初めに、事務当局からウェブ会議に関する注意事項を御案内いただきます。よろしくお願いします。 ○宇野幹事 事務当局より御説明を差し上げます。ウェブ会議を通じて御参加されている皆様につきましては、御発言される際を除きマイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願いいたします。御質問がある場合や審議において御発言される場合は、画面に表示されている挙手機能をお使いください。指名がされましたら、マイクをオンにして御発言ください。御発言が終わりましたらマイクをオフにし、また、画面の挙手ボタンを再度押して、挙手を下げていただきますようお願いいたします。なお、御発言の際はお名前をおっしゃってから発言されるようお願いいたします。会議室にお集まりの方々におかれましても、ウェブ会議の方法で出席されている皆様にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、お名前をおっしゃってからの御発言に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   本日の会議の出欠についてでございますけれども、本日は小原委員及び家原幹事が御欠席と伺っております。   続きまして、本日の審議に入る前に事務当局から配付資料についての御説明を頂きます。 ○宇野幹事 配付資料について御確認いただきたいと思います。   まず、部会資料14「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた検討(2)」がございます。こちらについては、後ほど事務当局から説明をさせていただきます。   また、参考資料32「要綱案の取りまとめに向けた検討(2)について」は、経済産業省の鮫島幹事から御提出があったものでございます。この資料につきましては後ほど、審議の中で鮫島幹事に御説明いただければと思っております。   配付資料の御紹介は以上でございます。 ○神作部会長 ありがとうございました。   それでは早速、本日の審議に入りたいと思います。   初めに、事務当局から部会資料14についての御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 部会資料14について御説明を致します。   まず、1ページ目以降が「第3 株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項」でございます。   1ページ目から3ページ目の「1 書面交付請求制度の見直し」では、パブリック・コメントでは意見が分かれたものの、書面交付請求制度に対応するための株式会社の負担は、最終的には当該株式会社の株主全体で負担していることになりますが、社会のデジタル化が進展する中で、そのことの妥当性には疑義があるようにも思われること、また、インターネットの利用が高齢層を含め拡大していることを踏まえると、株主に過度な負担が生ずるものではないとも考えられることから、これまでの部会での御議論も踏まえ、中間試案のA案によることを提案しております。   また、3ページ目から4ページ目の「2 書面による議決権の行使についての見直し」でも、パブリック・コメントやこれまでの部会での御議論等も踏まえ、中間試案のA案によることを提案しております。   4ページ目から9ページ目の「3 株主総会の招集の電磁的方法による通知についての見直し」では、第13回会議における参考人である日本証券業協会からの意見聴取を踏まえ、口座管理機関や振替機関における実務上の負担を踏まえても、電磁的方法による招集通知を促すための規律の見直しとして口座管理機関を通じた仕組みによるべきか否かについて問題提起をしております。また、中間試案では提案されていなかった項目ですが、第14回会議における参考人であるみずほ銀行様からの意見聴取を踏まえ、募集事項で定めた場合には電磁的方法における社債権者集会の招集通知について社債権者の承諾を不要とするべきか否かについて問題提起をしております。   続きまして、9ページ目以降が「第4 「会議体」としての株主総会等に関する規律の見直し」でございます。9ページ目から17ページ目の1及び2の「事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化」①及び②では、パブリック・コメント等を踏まえて、基本的には中間試案のA案と(後注)の考え方に基づいて提案しておりますが、パブリック・コメントで取締役による説明義務が果たされなくなることへの懸念が寄せられたことを踏まえて、本文のゴシック体で取締役の説明義務を明確化する、(注1)において株主の反対権を提案するなどの修正を加えたほか、制度の利用対象を上場会社に限定しています。なお、(注1)の総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主については、反対通知を行った1人の株主が総株主の議決権数の10分の1以上を有するという必要はなく、反対通知を行った複数の株主が有する議決権の合計数を総株主の議決権数の10分の1に達すれば足りることとすることを想定しております。   また、18ページ目から19ページ目の「3 株主総会の書面決議制度の見直し」では、パブリック・コメントやこれまでの部会における御議論等も踏まえ、非上場会社に限定をした上で中間試案と同様の提案をしております。   19ページ目から26ページ目の「4 社債権者集会の決議があったものとみなす制度の見直し」では、中間試案のA案とB案の双方の規律を設けることを提案しております。   26ページ目から29ページ目の「5 キャッシュ・アウトの手続の見直し」については、パブリック・コメントやこれまでの部会における議論等も踏まえ、見直しをしないものとすることについて問題提起をしております。   続きまして、29ページ目以降が「第5 株主提案権等に関する規律の見直し」でございます。29ページ目から34ページ目の「1 株主提案権の議決権数の要件の見直し」については、パブリック・コメントやこれまでの部会での御議論等も踏まえ、議決権数の要件を廃止することについて問題提起しております。特に、時価総額の大きな会社における影響や株主の利益の確保のための追加的な要件の適否等について御意見を頂戴できますと幸いです。   なお、31ページ目から32ページ目の表について1点補足させていただきます。表1における投資単位の中央値や最大値に該当する会社は、表2における時価総額の中央値や最大値に該当する会社とは必ずしも一致するものではございません。それぞれ各市場における中央値や最大値であり、同一の会社間で比較しているものではないということを含みおきいただければと思います。   34ページ目から35ページ目の「2 株主提案権の行使期限の見直し」については、パブリック・コメントやこれまでの部会での議論を踏まえ、見直しをしないものとすることについて問題提起をしております。   35ページ目から41ページ目の「3 業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限」については、中間試案では提案されていなかった項目ですが、第13回会議における参考人であるフィンテック協会からの御意見やパブリック・コメント等を踏まえて、改めて問題提起させていただいております。具体的には、上場会社においては株主は一定の業務執行事項に限って株主提案をすることができないものとした上で、上場会社がこれを拒絶した場合には、その旨を株主総会参考資料に記載しなければならないものとするか否かについて問題提起するものでございます。特に、株主提案を制限する業務執行事項の具体的な内容については、会社法における業務執行に関する事項の全てではなく、取締役等がその裁量により判断することが予定されている事項であって株主提案によってその採用を拘束することが会社の利益を害するものと認められる事項とした上で、具体的内容について38ページ目の表で整理を試みております。このような整理についてどのように考えるか、また、これらのほかに株主提案の対象から除外するべき事項や、反対に株主提案の対象から除外するべきでない事項があるかなどについて、御意見を頂けますと幸いです。   41ページ目から43ページ目の「4 株主による株主総会の招集請求権の行使要件の見直し」については、中間試案では提案されていなかった項目ですが、第13回会議における参考人であるフィンテック協会からの御意見やパブリック・コメント等も踏まえ、問題提起させていただいております。具体的には、諸外国の法制度も踏まえ、現行の3%以上から5%以上に引き上げることについて問題提起をしております。   43ページ目から49ページまでの第6の「1 会社法第316条第2項に規定する調査者制度の見直し」については、パブリック・コメントやこれまでの部会の御議論等を踏まえ、中間試案のB案によることを提案しております。なお、今回の提案では制度の濫用を防止する観点から、株主に調査結果を通知することにより株主の共同の利益を著しく害する場合に、裁判所の許可を得て調査結果の全部又は一部を通知しないことができるという規律を加えることとしています。   49ページ目の「2 株主総会の招集手続等に関する検査役の選任の申立権者の見直し」については、パブリック・コメントやこれまでの部会での御議論等を踏まえ、中間試案のA案によることを提案しております。   部会資料14の御説明は以上でございます。 ○神作部会長 御説明どうもありがとうございました。   それでは、部会資料14について、三つのセクションに分けて御議論を頂きたいと存じます。   まずは、部会資料14の第2部の「第3 株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項」及び「第4 会議体としての株主総会等に関する規律の見直し」につきまして、まとめて意見交換をしていただきたいと存じます。御意見のある方は挙手等でお知らせいただければと存じます。いかがでしょうか。 ○鮫島幹事 それでは、部会参考資料32の資料に沿って御説明できればと存じます。   まず、株主総会のデジタル化につきまして、書面交付請求制度の廃止であるとか、また、電磁的方法による議決権行使のみを可能とすることについては、企業の事務負担軽減になるということで、適切だと考えております。   これに対しまして、資料14の第3の3で記載されている、メールなどの電磁的方法による招集通知を促進するための新たな規律の導入は、企業の経済的コストの削減だけではなく、社会全体での環境負荷の軽減の観点からも必要だと考えてございます。そういたしますと、誰が株主の電子メールアドレスを収集すべきかという、その主体が論点になるわけでございますが、現在の上場会社における株主情報把握の実態としては、株主が口座管理機関に届け出た情報がほふりを経由して株主名簿管理人、そして企業に伝達される仕組みであること、株主名簿管理人は基準日以外の株主情報を適時に把握できていないこと、また、株主も自らの保有銘柄の株主名簿管理人を把握していないことが多いとされております。こういった実態を踏まえますと、株主の利便性であるとか、より効果的にアドレスを収集するという本来の目的に鑑みれば、株主のアドレスを収集する主体としては、株主名簿管理人よりも口座管理機関が適切かと考えてございます。ただ、この収集に伴うコストや負担を口座管理機関だけに負わせないような配慮は当然必要だと考えてございます。   次に、会議体としての株主総会に関する規律の見直しにつきまして、事前の議決権の行使がされた場合における株主総会決議を合理化する制度において、株主に反対機会を付与することは慎重に議論すべきだと考えてございます。また、株主総会に出席していない株主による事前の議決権行使により決議要件を満たした場合に議長が可決を宣言できる旨の規定は合理的だと考えてございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤井委員 私からは、まず、株主総会のデジタル化関連につきまして、1、2、3それぞれ意見を申し述べさせていただいた後に、第4につきましては1のところにつきまして、主に意見を述べさせていただければと思います。   まず、デジタル化関連のところでございますけれども、1、書面交付請求制度の見直しにつきましては、引き続き廃止に賛成でございます。今回、周知期間というところも部会資料で触れられておりますけれども、これも以前、部会でも発言をさせていただきましたが、デジタルデバイド株主に対しての通知というのは基本的に書面で行うというところになりますので、招集通知等、会社からの通知物と併せて通知をすることが一般的には想定されると考えておりますので、1年半から2年程度は必要と考えております。また、株主への周知だけではなく、今回、書面交付請求制度を構築した際に口座管理機関とか振替機関、株主名簿管理人、上場会社、こういったところでそれぞれシステム対応等も行っておりますので、これを今回システムを閉じるというような対応も必要にはなりますので、そういった関係者の意見も踏まえてこの期間というのは決まっていくものだと認識をさせていただいております。   続きまして、2の書面による議決権の行使についての見直しでございますけれども、こちらも引き続き提案内容に賛同させていただきます。実務的には、会社法第313条の不統一行使並びにその事前通知の取扱いが、電子投票のみとなった場合に、そちらがどのようになるのかといったところは少し気になっているところでございますので、コメントをさせていただきました。   続きまして、3の株主総会の招集の電磁的方法による通知の見直しでございます。こちらにつきましては私から御提案をさせていただいている事項でもございますけれども、上場会社・株主双方にメリットのある株主総会関連の通知に関するデジタル化推進の初めの1歩として重要な改正だと考えております。この実現のためには、先ほど鮫島幹事がおっしゃっていただいたことには全て賛成させていただく次第でございまして、株主の利便性や、より効率的にメールアドレスを収集することを第一に考えて、そうしますと、やはり一般的な株主名簿の記載情報と同様に、口座管理機関を通じた収集、つまり今回規律を見直すことが必要だと考えております。   これまでの部会でもお話はさせていただいているのですけれども、改めてお時間を頂きまして、理由を簡単に述べさせていただければと思いますけれども、まず、部会資料6ページの17行目以降にも補足説明が一部ございますけれども、やはり株主にとっては自身の情報を口座管理機関に届ける、先ほど表で流れを御説明いただいたとおりなのですけれども、そちらが一般的であり、利便性の観点からも望ましいということでございますし、利便性ということでは、NISAが始まって以降、株主1名当たりの保有銘柄というのは年々かなり増加をしておりまして、直近では5銘柄を超えているというような統計も出ているような状況でございますので、やはり株主が株主名簿管理人をそれぞれ調べて、それぞれの株主名簿管理人に届けていただくといったことは株主にとっても負担が大きく、さらに、先ほど株主名簿管理人は基準日時点でしか把握ができないといったことも、部会資料でも7ページ目の19行目以降で記載はあるのですけれども、こういった株主が一定数いらっしゃるといったところは事実でございまして、直近の弊社の調査では、全体の2割程度、新しく株主名簿に記載される株主というのが存在するというような状況でございますので、こちらは無視できない数字と思います。   また、今回の部会資料で株主名簿管理人によるサービスも御紹介いただいているのですけれども、こちらは任意のサービスでございまして、これからも進化させていくということは十分にあり得るとは思うのですけれども、やはりこのデジタル化推進のためには株主名簿への記載というような形で、強制力を持った法制化といったところが必要と考えております。こちらも鮫島幹事のお話の繰り返しにはなってしまうのですけれども、株主名簿の記載事項というのは口座管理機関からほふり、株主名簿管理人、上場会社という情報の流れで連携されておりまして、今現状、例えば氏名とか住所とか、いろいろな情報が同様の流れで更新されているというような状況でございます。利便性とか効率性といったところもさることながら、将来的に、今回の中間試案で注記でも記載がされておりますけれども、株主名簿の必要的記載事項としてメールアドレス等の電磁的な窓口を位置付けられるといったことを想定するのであれば、これはもう同様の流れを構築しておくといったことが望ましいと考えております。また、部会資料でも触れられておりまして、参考人もおっしゃっていただいたとおりなのですけれども、もちろん口座管理機関の負担というところは重要な課題で、無視できないところでございますので、こちらにつきましては少しでも軽減できるよう、いい方策が出していけるよう、関係者間で引き続き議論は続けていきたいと考えています。   最後になりますけれども、第4の会議体としての株主総会に関する規律の見直しのところでございまして、事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化でございます。こちらにつきましては今回、1と2の案が提示されていると理解しておりますけれども、こちらは両案を定めることに賛成をさせていただければと思っております。こちらも前回も少し発言はさせていただきましたが、まず、1につきましては実務的に、一般的に前日に決議が成立しておりまして、非常にクリアな制度でありますので、望ましい案とは考えているのですけれども、やはり定款変更といったところが少し気になるというような事情もありましたので、1と比較しまして当日の出席機会を確保している2を選択する企業というのも一部出てくるのかなと考えております。そうしますと、より多くの企業にこの制度を使っていただくためには、今回両案を持っておくというのも一つの案かなと考えているところでございます。今回、2につきましては、元々当日出席分が考慮されることにより決議要件を満たさなくなり、総会運営がやや混乱するといったところが問題になっていたかなと思っておりましたけれども、こちらにつきましては今回、部会資料の17ページのように、委任状の取扱いとその解釈が明確化することで、そのリスクというのも少し低減されたと考えております。   ただ、一方で今回要件として新しく追加されました10分の1以上を保有する株主の反対通知というところでございますけれども、こちらの制度の導入には反対をさせていただければと思います。特に、1の案が採用される場合につきましては、事前に定款変更もできているというところでございますので、この要件を加重するというような形の合理性に乏しいように感じているところでございます。また、実務上この反対通知というところをほかの株主にどのように知らせるのかといったところが、期限も短い中で、一つ論点にはなるのかなと感じているところでございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○久保田委員 まず、1の書面交付請求制度の見直しと2の書面による議決権の行使についての見直しについては、いずれも部会資料に記載されている理由から、提案されたとおりの見直しをすることに賛成いたします。   次いで、3の株主総会の招集の電磁的方法による通知についての見直しです。部会資料に記載されていますように、口座管理機関に負担が生じるとしても、その負担がどれほど大きいものなのかが私には判断が付きにくいものですから、発言しにくいところもあるのですけれども、重要な改正事項だと思いますので、少し発言させていただきます。部会資料7ページでも示唆されていますとおり、近時は株主名簿管理人が株主向けのアプリを提供しているため、こうしたアプリを通じて電磁的方法によって招集通知を発することについての株主の個別承諾を取りやすくするという方法も考えられるとは思います。例えば、アプリの利用者である株主が株主名簿管理人に対して、このアプリを通じて、現在の保有銘柄に加えて将来において保有するであろう銘柄についても電磁的方法により招集通知を送ることについて包括的な承諾を与えることもできるとした上で、そうした包括的な承諾をもって、アプリに参加する全ての上場会社に対して個別承諾を与えたものとみなす旨を規定するといった立法などが考えられます。   しかしながら、そもそもこのような立法ですと、実際に上場会社の全ての株主が株主名簿管理人が提供するアプリを利用し、かつ全ての上場会社に対して承諾を与えることをしない限り、中間試案の(注)に記載されたような将来的な目標、すなわち上場会社の全ての株主に対する招集通知を電磁的方法による招集通知に置き換えるといった目標は達成できないことになります。私としては、今回の改正はこうした将来的な目標を達成するための第一歩になるような改正にすべきであると思いますので、このことを踏まえますと、藤井委員もおっしゃったように、可能な限り中間試案で提案されているような現在の振替制度上の仕組みに則った制度、すなわち口座管理機関が電子メールアドレスを収集した上で、それを振替機関を通じて発行会社に伝えるような制度にすることが望ましいと考えています。もちろん口座管理機関や振替機関の負担が過大になることは避けた方がよいと思いますが、今後制度の在り方を検討する際には、今私が申し上げたようなことにも御配慮いただければ大変有り難く思います。   続いて、第4の方に入りまして、まず1の①案については異存ありません。なお、今回新たに株主の反対機会の付与、すなわち10%株主の反対があった場合は事前確定型決議の制度を利用できないとすることが提案されています。この制度については今のところ反対意見が多いようでありますけれども、私は、強い意見ではないのですが、そこまで反対しなくてもよいのではないかという気がしています。といいますのも、10%株主の反対通知がされるというのは、そもそも企業不祥事が生じた場合や支配権争いが生じている場合ぐらいしか考えにくいところ、そのような場合はおのずと議案への賛否も分かれ、総株主の議決権の過半数や3分の2の賛成が集まることも少ないと考えられますので、そもそも事前確定型決議を利用できないことが多いのではないかと思います。このことは、事前確定型決議を利用できる場合において株主の反対機会の付与という制度が機能する場面というのは限定的であり、この制度は言わば万が一のための安全弁に近いものになると考えられます。そうだとしますと、この制度が実務にとって大きな妨げになるとは考えにくい一方、株主の懸念を緩和したり、株主軽視といったイメージを軽減する効果は一定程度期待できますし、また、そうした効果のゆえに、事前確定型決議を可能にするための定款変更も可決されやすくなると予想されますので、上場会社にとっても悪くないのではないかと考えています。   次いで、②案についてです。今回、①案とは別に②案も提案され、さらに、部会資料の17ページでは一方を採用するか、それとも両方採用するかという問題提起もされています。そこで、改めて①案と②案を比べてみますと、その違いは、②案だと株主は株主総会に出席することにより株主総会日でも議決権行使の内容を変更することが可能であるのに対し、①案だと事前の議決権行使期限までしか変更できないということにとどまるように見受けられます。しかも、①案を採用する場合でも、実務上は事前の議決権行使期限は総会日の前日など総会日の直近日に設定されると予想されますので、①案と②案には実質的な違いがほとんどないということになるかと思います。それにもかかわらず、①案だと定款の定めが要求され、②案だと定款の定めが要求されないことが提案されていますけれども、私はそうした違いが正当化できるかどうかは多分に疑問であると思っています。また、こうした問題は、もし①案と②案を両方設けるとした場合は、より露骨な形になって現れますので、現在の案を前提とする限りという前提条件付きですが、少なくとも①案と②案を両方設けるのは避けた方がよいのではないかと考えています。   これに対し、もしどうしても①案と②案を両方設けたい、それによって定款の定めを置くかどうかの選択を許したいということであれば、一つのアイデアとしては、例えば②案については定款の定めは不要であるとする一方、その代わりに株主の反対機会をより厚く保障する、具体的には、例えば総株主の議決権を10%ではなく5%程度が反対通知をすれば事前確定型決議の制度を利用できないことにするという形であれば、①案と②案との違いも少し広がりますので、二つの案を同時導入することもあり得る選択肢になるのではないかと思っています。   その他、3、株主総会の書面決議制度の見直し、そして4、社債権者集会の決議があったものとみなす制度の見直し、そして5、キャッシュ・アウトの手続の見直しについて、特に5のキャッシュ・アウトの手続については、見直しをしないというのは残念な気もしますけれども、見直しをしないということに異存ございません。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松中幹事 まず、第3の3の招集の電磁的方法による通知についての見直しですが、基本的な方向性としては私も今まで出てきた御意見が適切かと思います。その上で、将来に向けての一歩ですので、将来あり得る制度設計の邪魔にならないような規律にすべきなのかなと考えております。既に指摘されているとおり、メールアドレスが本当にいいのか分からない部分もありますし、いろいろなサービスも出てきますので、そういったものがきれいに将来的に組み込まれる、乗っかれるようなものにした方がいいのかなと思います。その上で、個人的には、特に個人株主を想定すると、株主は取得するときは証券会社、口座管理機関のインターフェースを使って、権利行使するときだけ別のところに行けと言われても、戸惑う部分があるので、一体になるのが将来的に望ましいのではないか、要は証券会社のウェブサイトのサービスなどで全部取得から権利行使、処分まで一体としてできる、このような形が望ましいのかなとは思っております。もちろんここら辺は費用負担などの関係で問題になると思うのですが、そうした道も妨げられないようなものになったらいいという考えです。   続いて、第4の会議体のところです。私自身は会議体としての総会にそこまで強い意義を感じていなかったのですが、パブリック・コメントの結果なども見ると、自分を含めて学説の中ではこうした考えが一定程度普及していると思っていたのですが、必ずしも社会全体ではそうともいえないのではないかということを感じました。人によって、あるいは置かれた状況によって、相当に見解が分かれているというのが率直なところです。さらに、これは個人株主に限った話でもなく、洗練された機関投資家であるとか専門家ですらそうであるというところは大事であると思います。このような状況で、株主の意思を確認しないまま一律に会議体としての総会の役割を変えるルールを採用してしまうのが適切なのかというと、そこは問題があるのではないかと思います。   この観点からすると、①案は定款の定めを求めていることに加え、さらに、もし(注1)の反対通知も採用するのであれば、パブコメなどでも指摘されていた支配株主がいるような会社、一部のファミリー企業とかですね、そういう会社で定款変更さえしてしまえば何も説明しなくてもよいといった事態も一定程度防げるのではないかと思います。その意味で、(注1)付きの①案、反対通知付きの①案が一番厳しく株主意思を確認するものといえます。他方、②案の場合でも、反対通知の要件を久保田委員がおっしゃるようにもう少し下げるという余地も含めて、反対通知による適用除外が置かれるのであれば、定款変更という形で積極的かつ事前に株主の意思を確認するわけではないものの、毎回消極的に意思を確認することにはなるかと思います。①案で反対通知を採用しなかった場合と②案で反対通知を採用した場合、どちらが厳格に株主意思を確認しているのか、実はそれほど簡単に①の方が厳しいと言えないように思っております。それも踏まえて、どの辺りを選択するのかというのが一つのポイントになるかなと思います。ただ、現状、先ほど申し上げたとおり、相当意見が分かれている状況ですので、比較的厳格に株主意思を確認するものでないと正当化するのは難しいのではないかと思っております。   その上で、①、②双方を設けるのか、これは久保田委員の御指摘のとおりで、私も②は別のものだというのは少し説明が付かないと思います。実質的には同じようなことを、一方では定款を変更したらでき、でも、他方では定款変更をしなくてもできるというのであれば、どう考えているのかも分かりづらいように思います。反対通知の制度の採用の有無などによっても、制度の説明がより難しくなる可能性もあると思います。さらに、現実に①、②と入れた場合に、個人も含めた株主は、特に最初の方は相当混乱するのではないかとも思いますので、やはり両方入れようというのはやめておいた方がいいのかなと思います。   最後に、社債権者集会のところですが、(後注1)のところで、招集通知を電磁的方法によって行うというのをもし採用するのであれば、提案の通知も同様にできないとおかしいと思います。社債権者としても、あちらは電磁的方法で来るけれどもこちらは違うというのは、余り期待しない話だと思いますので、あちらを入れるならこちらも入れると、そろえるべきだと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○豊田委員 デジタル化のうち書面交付請求制度の廃止につきましては、資料でお示しいただいた内容に賛成でございます。一定の移行期間を設けるということでデジタルデバイドへの配慮と企業の総会実務の効率化の両方に配慮しているものと考えております。書面による議決権の行使につきましても、社債権者集会も含め、御提案内容に賛成でございます。   3の株主総会招集の電磁的方法による通知につきましては、方向性としては賛成いたしますが、実務上の問題を解決するためにはかなりの工夫が必要なように思われます。例えば、メールアドレスでよいのかという点につきましては、現在の住所に比べると安定性等の面ではまだかなり違いがあるように思います。経験上、10年もたたずにメールアドレスで連絡が取れなくなるといった事態は頻発していると思いますし、フィッシングや不正アクセスなど住所では発生しない問題もあると認識しております。この点、適切なアプリ等で解決できる方法を探れるのであれば、更に検討を進めてよいと思っておりますが、実務上可能かどうかという点については検討が必要であると考えております。   次に、第4の会議体としての株主総会等の見直しにつきまして、再度検討いたしましたけれども、やはり日弁連の意見といたしましてはパブリック・コメント時に提出した意見と同様で、1と2いずれについても賛成いたしかねるところでございます。今回、説明義務を明文化するとの御提案がありましたけれども、手続的な違反が取消事由になり得るという現行制度を変えてしまうことにつきまして、例えば不祥事等があるような場合についての質問への回答がどうなるかといったようなことを考えますと、これまでの弁護士としての経験からいたしましても、やはり実務上は大きな影響があると言わざるを得ないように思います。また、現行の法制上も説明義務違反が手続違反として株主総会の決議の取消しにまで至ったような事例というのは必ずしも多くないものと認識しております。次に、特に2番目の定款が必要ない制度につきまして、実務上、総会における説明に与える影響の大きさという観点では1番目の制度と大きな違いはなく、これまでの御意見でも出ておりましたように、定款変更が不要となっている説明が余り付かないのではないかと考えております。   日弁連としてはこのような意見であるという前提の上で、仮に皆さんの意見で導入するということになった場合のために申し上げますと、やはり株主に与える影響の大きさからは、定款変更は必要なのではないかと考えております。また、新たに御提案されている10分の1の株主の反対で利用できなくするといった制度を設けることは必要になると考えております。さらに、この反対についての制度を導入するとなる場合に、例えば議決権行使書やプラットフォームでの議決権行使の際にその意見を記載できる欄を設けるなどの工夫が必要になるのではないかと考えております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○仁分委員 まず、書面交付請求制度の見直しに関して、今回の部会資料では中間試案におけるA案を軸に提案されており、賛成いたします。書面による議決権の行使についての見直しに関して、同様に中間試案におけるA案を軸に提案されており、賛成させていただきます。   それから、株主総会の招集の電磁的方法による通知についての見直しに関して、規律を見直すことに賛成いたします。(注)に記載の社債権者集会の招集の電磁的方法による通知に関しまして、募集事項の定めを要件とすることなく電磁的方法による通知を認めていただきたく存じます。社債には30年債や40年債といった長期の社債も存在するため、募集事項において数十年先までを見越して、電磁的方法による通知の可否やその方法を定めることは困難です。また、社債権者集会は社債の銘柄ごとに開催されますので、仮に銘柄ごとに電磁的方法による通知の可否が異なったり、その方法が異なったりすると、同一の発行体の複数の社債を保有する社債権者にとっては通知方法が統一されず、分かりにくい制度となるおそれがあると考えます。   それから、会議体としての株主総会等に関する規律の見直しでございますが、本文1の制度を設けることに賛成いたします。これまでも申し上げてきたとおり、上場会社の株主総会においては、事前の議決権の行使により株主総会の前日までに決議の成立が事実上確定している場合が大半です。それにもかかわらず、現行法の下では株主総会当日に採決を行うまで決議は成立せず、当日の議事運営次第では決議取消事由が生じ得ることになるため、上場会社において極めて大きな負担が発生しております。このような負担は最終的には株主が負担することになりますので、結果として株主全体の利益を損なうことにもなると考えております。したがいまして、事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化の制度を是非導入していただきたいと考えております。   具体的な規律の内容につきましては、規律の対象を上場会社に限定すること、取締役の説明義務を明確化する規定を設けることについて異存ございません。一方、(注1)に記載の株主の反対機会の付与の規律を設けることには反対いたします。株主は事前に議決権行使をするか否かを通じて、事前に決議を成立させるか、それとも総会当日に決議を成立させるかを選択することが可能であるため、それに加えて株主の反対機会の付与に関する規律を設ける必要はないと考えます。また、従前より申し上げているとおり、本制度については定款の定めを要件とすべきでないと考えておりますが、仮に定款の定めを要件とする場合、株主総会の決議が成立したものとみなすには、あらかじめ株主総会の特別決議による定款変更が必要となりますので、その点でも事前の決議成立は株主の多数の意思に基づくものということになります。そのような中で、事前の議決権行使によって多数の賛成が得られているにもかかわらず、10%の株主が反対しただけで、事前に決議があったものとみなされなくなるというのは不合理であると考えます。   本文2に関して、本文1の制度と併せて本文2の制度も設けることを要請したいと思います。本文2の制度の具体的な規律につきましても、(注1)に記載の株主の反対機会の付与の規律を設けることに反対いたします。   それから、本文4、社債権者集会の決議があったものとみなす制度の見直しに関して、制度の見直しを行うことに賛成いたします。なお、部会資料14の21ページの(後注3)につきましては、改正法の施行の際、現に存する社債にも本文の規律の適用があるものとしていただきたく存じます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○小長谷幹事 まず、書面交付請求制度についてでございますが、以前この部会で申し上げたことの繰り返しにはなりますけれども、金融庁として推進しております有価証券報告書の総会前開示に向けた環境整備との関係におきましても、有価証券報告書と会社法上の計算書類等を一体開示する場面におきまして書面交付請求制度への対応が支障となり得るという声が聞こえているところでございます。このため、金融庁としましては、十分な周知を図る観点から移行期間を設けた上で、廃止するという部会資料の提案に賛同いたします。   次に、事前の議決権の行使による総会決議みなし制度についてでございます。こちらも以前申し上げた点と重複しますが、金融庁としましては株主総会は単なる決議の場にとどまらず、企業と投資家との建設的な対話の場としての会議体として一定の重要性があると考えております。このことは、昨日公表いたしました改訂コーポレートガバナンス・コードにおきましても、株主総会は株主にとって議決権行使等を通じて上場会社に対して直接意見を発信することができる数少ない機会である旨を示したところでございます。したがって、株主が期中や株主総会に向けたエンゲージメントに加えて総会当日の経営陣との対話を含む審議を踏まえて議決権を行使することができるとする制度設計が望ましいのではないかと考えております。その意味で、今回部会資料で御提案されている①案、②案は、いずれも総会当日の審議を踏まえた議決権行使を不可とするものでありますので、こういった制度の導入については金融庁としては慎重な検討が必要ではないかと考えているところでございます。   これも以前申し上げたことの繰り返しにはなるのですけれども、今回の会社法改正におきましてバーチャルオンリー総会が会社法上の制度として位置付けられることについてでさえ、株主総会の企業と投資家との建設的な対話の場としての機能は現状の総会から相対的に低下するのではないかという懸念が海外投資家等から寄せられているところでございます。まずはバーチャルオンリー総会においても企業と投資家との建設的な対話の場としての機能が損なわれないのだということが実証されるなど、ステップを踏んだ検討が望ましいのではないかと考えておるところでございます。   仮に部会資料の①案や②案を導入する場合、総会における取締役等の説明義務の確認規定を設けることにつきましては、投資家の懸念を一定程度緩和させるものとして望ましいのではないかと考えております。また、株主の反対機会の付与につきましても、株主総会の決議の形式に対する投資家の懸念を一定程度緩和させるものとして望ましいと考えております。この反対通知の場面におきましては、反対通知の主体は名義株主となる者と理解しております。ただ、1名の名義株主の背後にいる複数の指図権者のうち一部が反対通知の意向を有するという可能性も想定されるかと思います。したがいまして、議決権の不統一行使が認められていることと同様に、他人のために株式を有する者が反対通知をするに当たっては、反対通知を統一しないで行使することができるような制度とすべきではないかと考えております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○北村委員 私からは第4、会議体としての株主総会等に関する規律の見直しについて、コメントをさせていただきます。   9ページから10ページの本文の①案と②案についてですが、これはいずれも、決議があったものとみなされた後に生じた事由は決議取消事由にはならないということが想定されています。その上で、会社法第314条の説明義務はそのままあるということになります。会社法第314条は、株主総会の目的に関する事項についての説明義務なので、既に決議が成立した場合であっても、その議案についての質問があれば、説明をしなければいけないと理解しております。ただ、その違反が決議取消事由にならないということですが、過料の制裁の対象にはなります。要綱の段階ではそれでいいと思いますが、14ページの30行目に書かれておりますように、この辺りを法律条文の形にするときは、工夫が必要だろうとは思っております。   続いて、10ページ3行目からの(注1)でございます。先ほど久保田委員がおっしゃったことに私も基本的には賛成です。確かにせっかく定款の定めを設けているのに、なぜ総株主の議決権の10分の1以上を有する株主が反対すると決議が成立しないのかについては、理論的にはいろいろな考え方があり得ると思いますけれども、このような制度ができてしまうと、そのような制度であることを前提に定款変更がされるわけですから、問題はないかなと思っております。特に、賛否が拮抗しそうな場合に取締役が強引に事前確定型決議を行おうとしてその旨の招集通知を発出した場合に一定の議決権を有する株主が反対することにより事前確定型決議を阻止するということには、それなりに合理性があると思いますし、また、部会ではこれまで事前確定型決議に係る定款変更は難しいのではないかという意見がありましたけれども、定款の定めがあっても事前確定型決議を阻止できる制度が組み込まれるのであれば、定款変更もやりやすくなるかもしれないと思っております。   今回の部会資料ではこの制度の対象は上場会社に限定されております。確かに実態調査などは上場会社を中心に行われましたけれども、上場会社に限らなければいけない理由がはっきりしていません。そこで、上場会社に限定しなくてもいいのではないかという意見を述べさせていただきます。   部会資料16ページの35行目以下では、本文②案の(1)の括弧内の「出席した株主がしたものを除く」について出席した株主の解釈が述べられております。二つの場面が出ておりまして、一つ目は委任状を提出した株主が委任状において代理権の範囲を手続的動議に限定している場合です。このような代理権の範囲の制限が委任状に明記されていれば、出席したことにならないという解釈でいいと思います。一方17ページ11行目以下の段落では、株主自身が株主総会の場に現れた場合において、その株主が、私は事前の議決権行使を変えるつもりはありませんと述べれば、それで出席したことにならないという解釈が示されているのですけれども、株主本人が現れて、最初は事前の議決権行使を変更しないつもりだったけれども、議事を聞いているうちにやはり意見を変えたいと考えることがあり得るのではないかと思います。もし部会資料のような解釈をするのであれば、事前の議決権行使を撤回するつもりはないという意思を書面あるいは電磁的記録で明らかにするなどの措置がないと事後に法的紛争が生じ得るのではないかと思います。そのような紛争を避けるため、10ページの2(1)の3行目の括弧内の株主総会に出席した株主がしたものを除くという部分を法文にするのであれば、株主総会に出席した株主として法務省令で定めるものを除くとして法務省令で具体的に内容を定めるなど、ある程度明確にしておう必要があると思っております。   次に、17ページ24行目の4の、①案と②案を併存させていいのかどうかという問題です。先ほど久保田委員を始め何人かの方がおっしゃったように、元々中間試案のA案とB案のときは、B案は決議取消事由の特則といえるものであって決議が成立するとみなすものではなかったので、A案とB案は併存するものとしてよかったのですが、今回は①案と②案はいずれも決議が成立するものとみなすという制度になっております。そうすると、違いは定款の規定があるかどうかと、事前の議決権行使をした株主が株主総会に出席すれば、もしかしたら決議が成立したものとみなされないようにできるという、この2点しかないことになります。そうすると、①案と②案の併存はしない方がいいのかなと思っております。   最後に、3の株主総会の書面決議制度の見直しについてですが、これは現行の会社法第319条を見直すもので、会社法第319条は現行法でも上場会社を除外するという文言はありません。もちろん上場会社では普通想定できないですけれども、わざわざ上場会社以外としなくてもいいのではないかと思いました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松尾幹事 私も第4の会議体としての総会等に関する規律の見直しについて申し上げます。   ①の旧A案の方ですけれども、私は決議があったものとみなすということの意味は、本来は成立していないはずなのだけれどもあったことにするという意味だと思っていまして、それは当日の審議なしに決議を認めるということだと理解しておりました。ですから、決議取消事由にならない理由も、決議の成立後であるからということよりも、そもそも審議不要としたのだから審議に関する部分の取消事由というのは生じようがないと、そういう整理になると思っておりました。そういう意味では説明義務というのをどう位置付けるのかというのは難しいのかもしれませんが、従来考えられてきた審議に関する説明義務とは別だという整理でいいのかと思います。   このような理解を前提としますと、今回の②案でも決議が成立したものとみなすとされているのですけれども、これはどういう意味なのかがやや分かりにくいです。①案と同じように審議なしに決議が成立することを認めるということなのであれば、久保田委員を始め複数の方がおっしゃっておられるように、一方は定款の定めが必要で、こちらは定款の定めなしに同じ効果が得られるということをどうやって正当化するのだろうかという問題があるように思います。②案の方は賛成数から出席株主の分を除くことになっているということですけれども、①案の方も事前の行使をせずに出席すれば同じことはできるわけでして、②案は、事前の行使をした上で出席すればその分はカウントされなくなるという違いしかないと理解しています。しかも、事前の行使の期限は総会前日になるとすると、それほど大きな差があるようには思えないので、そのことをもって定款の定めの要否を違えることを正当化するのは非常に難しいのではないかと思います。   他方で、②案の方は決議があったものとみなすのではなくて、冒頭に成立したとすることができる、決議成立の時点をずらすという趣旨、中間試案のB案の(後注)はそのようなものであったようにも思います。つまり、審議はするのだけれども、それは後回しにしますという御提案だったのかなと思います。そのような提案であるとしますと、決議成立後のことだから取消事由にはならないという説明はしっくり来るのですが、しかし、その説明で果たして本当に取消事由にならないことが担保されるのだろうかという別の疑問が出てきます。中間試案のB案が抱えていた問題ですけれども、裁量棄却は決議の成立に影響を与えないということのみでは裁量棄却をしてはならないという制度になっているところ、決議が成立して決議に影響を与えようがないのだから、事後のことは決議取消事由にならない、どんなに違反が重大であっても取消事由には当たらないということが、果たしてそうすんなりと解釈として出てくるのか、やはり旧B案と同じ問題を抱えることになるのではないかと思います。このようなことを考えますと、①案一本で行くのが望ましいのではないかと考えております。 ○神作部会長 ありがとうございました。 ○内田委員 まず株主総会のデジタル化に関するところで書面交付請求制度の見直し、これについては皆さんおっしゃっているように、私も即廃止でもいいと思いますし、2、3年の移行期間があっても良いということで、廃止を支持したいと思います。   加えて、電磁的方法による通知による見直しについては、二つ申し上げたいと思います。まず、メール配信等でデジタル化により社会的コストを下げるという点には賛同いたしますが、それが現実的かどうかというと、それについては疑問を持っております。重要な情報、特に議決権行使における招集通知のような株主総会資料をメールで配信することについては、証券業協会からも指摘があったようにフィッシング等の問題、これはわざわざ餌場を提供するようなものであって、そこが狙われるような状況を作り出すことにもなりかねないと思っております。重要な情報を1か所から多数に配信するときに、例えば入学試験の受験票であったりとか選挙の投票用紙とかを想定すると、そういったものがメール配信されて、それが何かの理由で届かない、不配であるとか遅延が生じたときの影響等を考えると、そちらの方が社会的損失が大きいのではないかと思います。議決権行使の場合、株主総会自体が成立しないとか、決議取消しリスクも生じるわけでありまして、そういったリスクを補って余りある効用があるかというと疑問ですし、やはり安全、セキュリティが担保できないというところが大きな問題ではないでしょうか。   現状においても同様なケースにおいてメールによる配信が多くはされていないこと、例えば招集通知のメール配信がされていないのはなぜかということをやはり考えるべきです。次の話になりますけれど、第二に本来在るべき姿を考えた場合、確かに顧客、つまり株主から一番近いところは口座管理機関、つまり証券会社ということになりますが、本来は招集通知などの株式関連書類については発行体から直接株主に渡すべきであって、名簿管理人の情報を保持しているという理由で信託銀行を介在させる、つまりそれを間に入れないと効率性が低下するという点は理解できますが、そこにあえて口座管理会社を入れてメール情報を管理させるという点では、やはり流れとしては不自然ではないかと思います。本来直接株主へ伝達すべきものをメールアドレスによる配信によってかえって非効率になることもあって、例えば証券会社の立場で考えると、顧客数も膨大で、メールアドレスを頻繁に変える顧客もいますし、保有銘柄についても頻繁に売買が行われると保有株式の変動も大きいですし、場合によっては銘柄ごとにメールアドレスを変えたり自由にできるわけです。非常に管理が複雑になるリスクもあって、それを強制的に管理するのは難しいでしょうし、仮にメール情報の収集が任意であっても、いろいろな過誤が生じ得るリスクはあると思います。   その意味では、現在実際に使用されているサービスとしてのアプリの方が、情報を取りに行くという意味で、真正性も担保されて、自分の保有銘柄であるとか各種情報を取得できるというメリットがあります。アプリ自体の完成度も高く、内容においても実用性があって利便性も高いものだと思います。これらをさらにブラッシュアップして、株主が任意で必要な情報を取りに行く方法の方が効率的ではないかと思います。この先を考えますと、メール配信が5年、10年先にもっと普遍的になって、重要な情報もメール配信によって1か所から多数に配信されているかというと、そこは不確かであろうと思っておりまして、そういった方法を会社法やその前提として織り込むことには、慎重に考えたいと思っています。   それから、第4の会議体としての株主総会等の規律の見直しについては、A案の事前決議を株主総会の決議として認めるということを定款に定めることに賛成したいと思います。ただ、これまで議論があったように、議決権10分の1以上の事前決議に関する反対株主について2週間以内の期限を設けて反対を認めることについては、10分の1は単独の株主であれば大株主ですし、少数株主を累計して10%ということであれば少数株主の意見を吸い上げることになるとは思いますが、正直申し上げて実効性についてはやや疑問に思います。例えば6月30日が株主総会の当日だとすると、電子提供日は3週間前の6月9日で、2週間後の23日までに判断し決定しなければならないという案であって、実際に電子行使による指図期限が総会前の5営業日前だとすると、ほぼ同じ日になり判断する期間も現状と同じとなるわけです。そうすると、この2週間で事前決議で良いかを判断し議論がありそうな賛否拮抗する議案であるかを判定するのはなかなか難しいと思いますし、たぶん自らの議決権行使基準に沿って自動的に行使する可能性が高いと思います。議案ごとに、これは議論が起こりそうだとか、賛否が拮抗しそうだからやめておこう、とはならないと思うのです。少なくとも第三者機関とか、当事者の発行体は票読みをしているので状況がある程度分かるのかもしれませんが、投資家から見ると全然状況は分からないことも多い中で、一旦賛否は留保しておこうということで事前決議に反対の方にデフォルトで入れておこうという行動にもなりかねないので、少なくともこの期間に何かを判断して賛否を決することはしない可能性はあるかと思います。   そう考えると、2週間という意味が、現実的なタイムラインで考えるとそれが限界なのかもしれませんが、余り意味がある期間だとも思えないです。反対株主の意見を汲み取って反映させるという意味は分かりますが、実効性としてはあまり期待できないのではないかと思いました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○森委員 私からは4番の会議体としての株主総会の見直しについて意見を述べたいと思います。これまでいろいろ述べられた意見をお伺いしていて、①と②がほとんど同じであるということをおっしゃっているところに違和感がありまして、①でも前日まで意見を変えられるから、ほとんど変わらないではないかというふうな御意見をおっしゃっていましたけれども、株主が意見を変えるときというのは、要は投票用紙を多分1週間以上前に出さないといけないし、ほとんどの人は投票用紙が来たらすぐに出すので、その後、意見を変えますというのは何かが起こったときなのですよ。例えば、自然災害ですとか、不祥事が発覚したとか、グローバルな何かが起こったとか、いろいろなことが起こった、そのときに意見を変えようかどうかと考えるのですけれども、それを前日までに変えるかどうか決めろということではなくて、ほとんどの株主が思うのは、株主総会当日に役員が説明することを聞いて最終的な判断をしたいと思う人がほとんどだと思うのです。機械的に意見を変える人もいるかもしれませんけれども、やはり当日にきちんと会社が説明する内容を聞いて、これはやはり反対した方がいいか、若しくは賛成のままでいいかなと、そういうものを判断する余地を与えてあげるというのはすごく大事だと思うのです。それが、前日までに意見を変えられるから、それでも株主はいいだろうというのは、やはり株主を軽視しているというか、少し考え方が違うのではないかという気がしています。   そういう意味において、①と②は実は非常に大きな違いがあって、②は当日に出席して意見を変えたとしても、それであってもどう考えても成立するという場合は、これはもう決議成立させていいではないかというような発想なので、当日に出席して意見を変えられる余地を残すというのは非常に重要だと思うのです。そういうことからすると、①案と②案が両方あると同じようなものが並ぶから余り意味がないのではないかという発想があるのだとすると、むしろ②を残すべきであって、①だけを残すというよりは、②の方を残す方がいいのではないかと私は思っています。   その際に、説明義務のところが明記されるというのはむしろ非常にいいことだと思うので、今回の提示はすごくいいことだと思います。一方、株主として10分の1以上の議決権を有する株主が反対した場合はという要件については、本件が適用されるのは、もうどう考えても決議がひっくり返らないときに決議を成立させようということなので、そういう状況であっても10%の株主の意見が出たときは、株主総会でこれまでどおり、全くカウントもしない拍手をさせることにしろということでしかないので、10分の1の議決権の株主が言った場合に、形骸化した拍手をさせる要件を残すというのは、何を保護法益にしようとしているのか分かりにくいのですけれども、ただ、制度導入に当たって株主としての安心を少しでも担保したいということなのであれば、この要件を入れるのはいいかもしれません。ただ、いずれにしろ①と②がほとんど違いがないからというアプローチというのは、少し実際上とは違うのではないかというところだけ申し上げたいと思っています。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○青委員 まず、書面交付請求制度の見直しについてです。各種の事務を合理化することは重要なことですので、原案のとおり一定の移行期間を設けた上で廃止するという方向性については賛成したいと思います。制度上はそれで十分かと思っていますが、実務の観点からは、廃止して終わりとするのではなく、例えば、資料14の2ページの14行目に記載のある身近な者やサービス会社に依頼すればよいという点について、実際にそのようなサービスを提供してくれる人がいるのかは考慮する必要があると思います。そうしたサービス会社が自然に現れるのがもちろん望ましいものの、ベストエフォートベースでよいので、有料かつ任意で集中的に対応いただけることが、一定程度デジタルデバイドの株主への配慮になるかと思いますし、今後個人に株式を幅広く保有していただくことを目指す中で、実務上このような点を検討していくことは重要なことかと思います。是非関係者やそうしたサービスを提供することが期待されるような方々においては、積極的に検討いただければ大変有り難いと思うところです。   次に、書面による議決権行使の見直しについてです。こちらも方向感は、先ほどと同様に賛成です。議決権を電磁的に行使するのが難しい方々がいらっしゃる点も先ほどと同様で、書面交付請求制度の見直しの方は一定の移行期間が示されていますが、こちらはそのような期間に関する記載がございませんので、同様にある程度の移行期間を設けて進める段取りの方が、実務上もよりスムーズかと思いますので、御検討いただければと思います。   次に、株主総会の招集の電磁的方法による通知の見直しについてです。電子メールが確実に届き、なおかつトラブルが発生しない仕組みが確保されるのであれば別なのですが、現状を踏まえますと、確実に届くかどうか、電子メールで株主の方が通知に気付くのかどうかは必ずしも明らかではないのと、先ほども御意見が出ておりましたように、フィッシングや不正アクセスといったトラブルの種になりかねない面も、現状の技術的な状況や電子メール等の利用状況を踏まえると無視できないと考えます。そのような状況で現行の電子メールの仕組みを前提にして、将来的に強制適用していくべきという御意見については、なお疑問も残るところでございます。   通知のルートについても、口座管理機関経由と株主名簿管理人経由の二つが現実には考えられるかと思いますが、口座に由来するものか、上場会社の方が株主名簿管理人を通じて行うのが本来の姿なのかについては、いずれの考え方もあり得ると思います。技術的な側面に加えて、フィージビリティ、安定性、コスト負担や人員体制等も十分に検討しなければならないと思います。最終的に強制適用を念頭に置くのであればなおのこと、実務上の負担は相応に大きくなるかと思いますので、この辺りは実務関係者で十分に協議し、対応可能だという見通しがある程度得られた段階で進めていく方が望ましいのではないかと思います。その際、銘柄ごとにメールアドレスを変えるなど、株主が望むことを全て実現するような仕組みを作ろうとすると、かなり無理が出てきてしまい、現実的ではなくなってくる可能性もございますので、誰がサービスを提供するかにもよりますが、登録方法の利便性や、個別の方々の意図をどこまで酌むかについては、一定程度の枠を設けたうえで合理的に扱いやすくする仕組みを検討していくのがよいのではないかと思います。   それから、会議体としての株主総会等に関する規律の見直しのところです。まず説明義務を設けていただいた点は、この制度導入による懸念を払拭していくうえでは大変重要ではないかと思います。   総株主の議決権の10分の1以上の反対株主がいた場合の取扱いの(注1)については、先ほど具体的なタイムスケジュールの難しさがあるという御意見がございましたが、方向感としては設けたほうがよいのではないかと思います。特に、個別の争いが生じている場合や、賛否が拮抗するような場合において、その時々の状況を踏まえ、株主が事前に決議をみなしてよいのか意見を述べることができる仕組みは重要だと思いますし、定款さえ変更すれば永続的にそのような運用が可能とするよりも、むしろ納得感は得られやすくなるのではないかと思います。   次に、1、2の合理化の方向の①と②の案についてです。いずれかに絞ることや双方を設けるなどさまざまな考え方はあるところかと思いますが、最終的な違いは、決定のタイミングとカウントの仕方の差にすぎないのではないかと思われます。そのように考えると、定款の定めの要否、説明義務の要否、議決権の10分の1以上の反対株主がいた場合の取扱いについて、双方を設けるのであれば、揃えていくのが妥当ではないかと思いました。   最後にキャッシュ・アウトの手続のところです。ここは様々な考え方があるところかと思いますが、株式の併合など一部の手続が総株主の議決権の3分の2以上で認められているから売渡請求を3分の2まで引き下げてよいとストレートに結び付けてよいかは、やはり慎重に検討すべきと思いますので、原案のとおり今回見直しを行わないことには賛成したいと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○田中委員 順番に申し上げますと、書面交付請求制度の見直しに関しては、一定の移行期間を設けた上で廃止することに賛成いたします。それから、書面による議決権の行使だけでなくて電磁的な議決権の行使のいずれかを定めればよいという2番目の案についても賛成します。   それから、3番目の株主総会の招集の電磁的方法による通知に関してですけれども、種々御意見がありまして、電子メールよりももう少しセキュリティも高くて、かつ効率的な制度があり得るのではないかと私も思いますし、一個人株主としては、一つのアプリケーションにアクセスすれば自分の持っている保有銘柄全部について招集通知を見ることができ、かつ議決権を行使できるようなアプリケーションがあればいいなと思うのですけれども、そういった制度を果たして構築できるか、するとしてもどこが主体になり、どれだけの期間を掛ければ構築できるかということは、法律というよりも関係者の方々の御理解、御協力に掛かっているかと思いますので、まずはそちらの方でもう少し具体的な議論をしていただいて、可能だということになった段階で、そのとき必要な法制度の見直しをするという方がいいのではないかと、議論を伺っていて思いました。   それで、4番目の会議体としての株主総会等に関する規律の見直しに関してです。私は従来、こういう見直しに関してかなり積極的な意見を述べてきました。それは、一つには日本の株主総会の制度にある、決議取消事由の適用可能性のある中で説明義務を課して説明をするというやり方が、果たして株主総会の活性化とかそういったことにどれほど役立っているのかということと、その一方において決議取消しというリスクのあることが総会運営のコストを高めているといった問題についての問題意識があったわけなのですけれども、この部会の審議やパブコメを見ますと、たとえ決議の結果が決まっていたとしても審議をすると、それも決議取消事由のある中で説明を求めるというこういうことに意義を感じておられる投資家が多数いらっしゃるということは私も認識できましたので、改正するにしても、かなり慎重な厳格な要件を課した上でないと、なかなか難しいのではないかと思っております。   今回、元の中間試案のA案と、それから中間試案の(注)に書かれたものが①案、②案として併存するという形にはなっているのですけれども、定款を要する①案でさえ反対が多い中で、定款を要しない②案も一緒にして、そして、定款変更議案は通らない中で、②案の形で取締役会だけの判断でそういう特殊な手続をするということが、果たしてどの程度投資家、株主の賛同を得られるかという点が、やはり疑問があるかなと思います。確かに①案と②案を比較したときに、②案の場合には、書面による議決権行使をしてから何か大きな問題が発生したときに、株主総会に出ていって議決権を行使するという選択肢がまだ留保されている分だけ、②案の方が株主の保護が厚いことは確かなのですが、ただ、それに関しては中間試案のB案もほぼ同じ考え方になっていたわけで、そのことだけが投資家にとって重要であればB案に賛成すると思うのですけれども、実際にはB案もかなり反対も多かったということがあります。そういったことからしますと、反対の多い①案を設けて、しかも②案も併存というのはなかなか、このほかにも株主権の制限に関する案が多い中で、どの程度投資家、株主の賛意が得られるか若干疑問があります。   私としては、飽くまでも一つの案なのですが、現在の②案で、しかも定款の定めを必須とするというのはいかがかと、これで定款変更の承認が得られないなら、この制度は使わないということでも仕方ないということはどうかと思います。この部会の中でも、例えばガバナンスがしっかりしている場合にはこういった定款変更に賛成することもあり得るという御意見もあったかと思います。そういうことも場合によってはあると思うので、定款変更が通らないから定款なしでやろうというようなことではなくて、できるだけ多くの株主の理解を得て、定款の定めをもってこういう制度を作るというのはいかがかということで、そういう意見を申し上げました。   それから、最後の5番のキャッシュ・アウトに関しては、賛成意見が余りなかったということですので、今回は提案しないということに賛成したいと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○矢野幹事 まず、第3についてですけれども、こちらは3についてのみ意見を述べたいと思います。この点は、元々の中間試案の内容について弁護士会としても大きな方向性としては賛成しているところです。ただ、一方でその後の意見聴取等も踏まえますと、中間試案のままでは難しいのではないかという考えも抱くようになっていましたので、現状の3の記載にはむしろ違和感はないというのが現状の考えとなります。この点は、純粋に招集通知の送付だけで、それ以外に利用しないという問題ではなくて、実際には招集通知は代表例であって、それに限らない株主への連絡一般の検討だということだと思いますので、別の考慮も必要であろうということを現在では考えています。   そこは大きくは二つほどありますが、まず一つ目としては、特に株主名簿とひもづける場合には、プロキシーファイトとなったときを想定した上での公正、適正なルール決めとの観点での検討が必要だとは考えます。電子メールアドレスではない、かつ本人確認がはっきりしているものになると、1人1アカウントのもので、例えばSNSのアカウントとかというのがあるのかもしれないですけれども、これが株主名簿に掲載されるということになると、プロキシーファイトが起こったときに、そこに突然知らない形でぼこぼこと通知が来るということになると、それは株主としては勘弁してほしいというのが正直なところだろうと思います。逆に会社からはそれらの手段で出したい放題かとなると、それはそれまた変な話ということになりまして、そこの辺りはよく検討する必要あるのかなと思います。また、アプリ経由というのも非常に重要な選択肢の一つであろうとは思いますけれども、こちらもやはり日本で1個ならいいのですけれども、複数あると株主にとっての利便性はなかなか満たせないという問題があるということと、プロキシーファイトになったときの問題点はやはり同じであるということがあるかと思います。   現状の郵送方式というのはコストが大きいという問題はあるのですけれども、株主への通知が適度に抑制されている効果があるという問題と、もう一つの点として申し上げたいのは、相続発生のときだとか破産の局面で通知から財産が分かる端緒になるという効果が大きいということは、是非御理解いただきたいと思います。相続の点に関しては今、デジタル化に伴いまして資産、負債の把握の困難さの問題があるという指摘が報道等されているかと思いますけれども、この問題は実務上は相当に深刻であると私は理解しています。私自身も正に現在進行形で大変困っている問題です。株式でこうした指摘がないのは、単に今、紙で送られてくるから、1年もたつと必ず分かるということにすぎないということでございまして、実際電子化してしまうと他のデジタル負債等と同じ問題を今後生じてくると、そして、これまで以上に10年後、15年後に多くの国民が困ってくるということが生じてしまいます。この辺りは、本来はデジタル化に伴う負債、相続等の問題は国全体で対応すべきところだと理解しておりまして、ここは国の方でより積極的にやっていただきたいというのが気持ちとしてはありますけれども、この会社法の改正に関しても、このマイナス点への対応とセットで、3の通知も安全な方法でできないかということを考える必要があるかなと思っております。   そうした点も考えるに至りまして、ここでは大きな方向性を確認する程度としては賛成はしたいというか、方向性だけ確認をした上で、会社法関係ではまだ引き続き検討していくと、例えば、プロキシーファイトを想定した形でよい制度ができないかとか、あと特別法を作って小さなところから少し始めてみるだとか、そういったことをする程度でとどめざるを得ないのかなというのが今の感想です。   あとは、第3の社債権者集会のところがあったかと思いますけれども、この点を1点だけ。社債権者の承諾不要というところがあるのですけれども、実際問題としては、おっしゃっている内容は非常によく分かるのですけれども、担当者の人が替わったりとか、株主総会と異なって定時で送られるわけでもないので、やはり実際問題としては、送る段階でこれでいいかと確認せざるを得ないのかなと思いまして、承諾不要で実務上処理できるのだろうかというのは少々疑問には思いました。第3は以上です。   続けて、第4について簡単に申し上げたいと思います。1、2についてはいずれも反対いたします。ここは第一読会の際に述べたとおりでございまして、質疑を経るということが多数決の正当性の根拠であるので、事後的な補償では不十分と考えるからであります。その点は置くとしまして、1も2も、いずれも総会の準備の負担自体は現行と変わらないということもありまして、実務上のメリットもほとんどありませんし、会社法第314条の義務があるし、過料の制裁もあるということだとしても、結局は実質的に回答しないといったような事態が生じる可能性は容易に想定されるもので、株主との建設的な対話が阻害されるおそれはあるという点はやはり払拭されていないとは考えております。決議取消しのリスクにつきましても、実例でもかなり極端な例が2例程度しかないと理解はしておりまして、現実的には発生していないリスクであろうとは思います。   その点とは別に、(注1)について1点だけ指摘をしたいと思います。この点は多分、昨年の第一読会で同じような話があったかとは思うのですけれども、議決権行使書面に反対する意見をチェックする欄みたいなものを設けた方がカウントするのが楽になるし、後でカウントがおかしいといった争いにもならないのかなとは思いました。1、2は以上です。   あと3と4は一言だけ。3は特に異存はないですけれども、この点を含めまして、上場・非上場の概念を会社法の中に多く入れていくということになりますと、そろそろというか、上場会社は上場会社法として別の法にするということも真剣に考えてもいいのかなというのは個人的には思っているということは、少しここで述べておきたいと思います。   4の社債権者集会については、本来制度趣旨が違っているところを合体するということに少し違和感はあるのですけれども、反対まではしないということではあります。(1)と(2)が分かれている意味が少々伝わりにくいのかなというところを個人的には懸念はしています。ただ、今申し上げたように、反対するものではありません。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○行岡幹事 私からは第3の3と第4の4について、それぞれ幾つかコメントを申し上げたいと思います。   まず、第3の3、招集通知の電子化についてです。まず、私の理解するところでは、前提として、株主総会の招集通知の電子化を促進して総会運営のコストを減らしていくことは基本的には望ましいことであり、少なくとも招集通知の電子化に承諾する株主との関係ではそのような方法に移行しやすい仕組みを構築していくことが望ましいということについてはおおむねコンセンサスが形成されているものと理解しております。その上で、今問題となっているのは、その方向性を目指して具体的にどのような第一歩を踏み出していくべきかということであると理解しています。   この点について、既に本日出ている御意見と重なる部分も多いのですけれども、大きく2点コメントを申し上げたいと思います。まず第1の点として、本日既に何名かの方から言及がありましたように、株主への情報伝達手段として電子メールアドレスという方法を用いることが望ましいのかという問題があると思います。中間試案では情報伝達手段として「電子メールアドレス等」を用いることが想定されておりましたが、これは基本的には電子メールアドレスを主に念頭に置いていたのだと理解しています。しかし、このような方法については、既に繰り返し指摘されているように、フィッシングなどのセキュリティリスクがあることは否定できないと思います。もちろん現時点においてはこの電子メールアドレスという方法が最も一般的な情報伝達手段であるという事務当局の御説明はそのとおりだと思うのですけれども、今後、フィッシングなどのサイバー攻撃の技術、手法がますます高度化することも予想される中で、電子メールアドレスという特定の、それも現時点で既に問題が全くないわけではない情報伝達手段を念頭に置いた法制度を採用して、かつ、それを前提としたシステム開発などのインフラ投資をしていくことが、日本の資本市場の目指す方向性として果たして望ましいのか、という問題が提起されているのではないかと感じました。   それと関連する第2の点といたしましては、株主への情報伝達手段の電子化という方向に向けて、今後どのようなインフラを整備していくことが望ましいのかということが問われているように感じました。中間試案での御提案は、株主に対する情報伝達手段として電子メールアドレスを用いる、その際に既存の総株主通知というインフラを利用するということで、それはそれで合理性のある御提案だったと考えています。とはいえ、それが電子化に向けた唯一の第一歩というわけではないということが既に本日も現れていたかと思います。理屈上は、例えばですけれども、新たに高度な利便性とセキュリティを備えた情報伝達プラットフォームのようなものを構築していくというアプローチも考えられるのではないかと思います。部会資料では、株主名簿管理人さんが株主への情報や通知を一括管理できるアプリケーションを提供している例があると紹介されておりますけれども、一つの考え方としては、こうしたアプリケーションの機能を拡張して、こうしたアプリないしプラットフォーム上で、もちろん株主の承諾を前提ですけれども、招集通知の提供等の情報伝達を行うという仕組みを目指すことも考えられるのではないか、そして、将来的、究極的には、株主が全ての上場銘柄について一元的に管理できるような横断的、包括的なプラットフォームを構築していく方向を目指すということも、もちろんこれは実務的に、あるいは競争法的に可能かという問題はあると思うのですけれども、長い目で見れば検討に値するのではないかと思います。   また、第3の3の(注)に記載されている部分についても少し申し上げます。私は、事前に検討していたときには特に異存はないと考えていたのですけれども、先ほど矢野幹事が指摘されたように、社債権者集会については特に定期的に通知があるわけではない中で、機関投資家の担当者が替わるなどの事態も確かに想定されると思いましたので、この点は債券投資を行っている機関投資家の御意見なども聴いていただいて、それも踏まえて検討していただくのがいいのかなと感じました。   次に、第4の4についてでございます。社債権者集会の多数決での書面決議に関する点ですけれども、まず、今回の御提案に私としては特に異存はございません。それを前提に、(後注)に記載されている点について幾つかコメントを申し上げたいと思います。   まず、(後注2)で振替法第86条証明書に関する話ですけれども、御提案のとおり、(1)の同意については現行法と同様に振替法第86条証明書を必要として、(2)の同意についてはこれを不要とするという御提案に私としては異存はありません。ただし、(2)の同意についても、もしかしたら個別の社債の状況に応じて、振替法第86条証明書の提示を議決権行使の手続的要件にしたいというニーズがあるかもしれません。そのような場合にはそのような手続的な要件を社債要項に定めることができる、つまり、振替法第86条証明書の制度に言わばオプトインすることができると解することが、これは改正後の解釈論としてはということになりますが、個人的には合理的ではないかと考えております。このような解釈が解釈論としてできるのであれば、法令としては(後注2)に書かれているとおりで構わないのではないかと思います。   ちなみに、これは余計なことかもしれませんが、より一般的に、この振替法第86条証明書の制度を柔軟化して社債要項による別段の定めを認めるということも、もしかしたら考えられるかもしれないと感じています。すなわち、現行法は社債権者集会における議決権行使など一定の場合には振替法第86条証明書を提示しなければならないという制度になっていて、かつ社債権者集会における議決権行使については1週間前までの提示と当日の提示が必要だという制度になっていますけれども、これを柔軟化すること、例えば一つのアイデアとしては、社債要項の別段の定めにより振替法第86条証明書の提示を一定の場合には不要にする、つまりオプトアウトを認めるとか、あるいは社債権者集会における事前提示期間の短縮を認めるといった形で、私的自治を認めることもあり得るのではないかと感じています。   続いて、既に長くなってしまって恐縮ですが、(後注3)の既発債への適用についてです。私は、一般論としては、既発債の権利内容を法改正によって事後的に変更することには基本的には慎重であるべきではないかと考えています。なぜなら、もしこれを無制限にというか広く認めてしまうと、日本の社債は法改正で既発債の内容が変わってしまう、そういうおそれのある金融商品だということになってしまって、特に海外の投資家の日本の社債への投資を敬遠される要因になってしまうのではないかという懸念があるからです。私がこれまでの会合で経過措置に少しこだわっていたのは、そのような一般的な問題意識があったことが主な理由です。   ただ、今回の御提案については、社債権者の集団的意思結集の要件を特に緩和するものではなく、基本的には手続を合理化、効率化する趣旨のものであると一応説明ができるのかなと思いますので、そこまで神経質にならなくてもよいという評価はあり得るかもしれないと思っています。   また、御提案の21ページの(11)で、オプトアウトすることも可能になっておりますところ、もし既発債で新しい制度からオプトアウトすることが望ましいと思われる場合には、改正が施行される前の現行法の下で社債権者集会を開催して社債要項を変更し、新制度からオプトアウトする旨の決議をすればよいのではないかとも考えられます。この場合には、既発債の社債権者も、法定の要件を満たせば社債権者集会の招集請求をすることができる、つまり総議決権の10%の社債を有する社債権者であれば、そのオプトアウト決議を提案する機会があるともいえます。このように、改正法が施行されるまでの期間中にオプトアウト決議をすることが可能であるとすれば、特段の経過措置を要しないという判断も十分正当化できるのではないかと考えるに至りました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○白井幹事 部会資料第4の1及び第4の5につきまして、それぞれ意見を述べさせていただくとともに、第4の1の方につきましては、場合によっては検討課題と位置づけることができるかもしれない点につきまして、併せて問題意識を述べさせていただければと思います。   まず、部会資料第4の1の「事前の議決権行使がされた場合における株主総会決議の合理化」の点につきましては、私も、多くの委員、幹事の先生方と同様に、仮に制度を導入する場合には株主の利益保護を十分に図る必要があると考えており、そのため慎重なルールを採用すべきであると考えておりまして、やはり少なくとも定款変更くらいは要求すべきであるという価値判断に立っております。  こうした株主の利益保護を図るという観点との関連で、今回の部会資料では、株主総会決議があったものとみなされた場合であっても、取締役等は株主総会において会社法第314条の説明をしなければならないということが本文で明記されており、また、部会資料の14ページの補足説明によりますと、その場合の規定の具体的な文言については法制的な観点も含めて引き続き検討する旨の記述がありますので、恐らくは会社法の条文において、説明義務を負うことの明文化が想定されているのではないかと考えております。そういたしますと、確認規定という位置づけにはなるのでしょうが、取締役等が適切な説明をしなければ法令違反と評価され得ることは条文上も明らかになるのだろうと思われます。そのことと株主総会決議の取消事由との関係につきましては、株主総会決議は説明前の段階で既に成立済みですので、決議取消事由にはならないという整理は可能だと私も考えておりますけれども、その一方で、適切な説明をしなければ法令違反とは評価され得るということになるわけです。そうしますと、株主総会で決議し会社として意思決定したことをその後に実行していくに当たり、差止事由との関係の整理もひょっとしたら必要ではないだろうかという印象を持ちました。   この問題につきまして、会社法第360条に基づく違法行為等の差止めが争われる場面であれば、そこでは会社の損害が要件になりますので、恐らくは実際に差止めが問題になることは少ないと思われます。つまり、法令違反に基づく会社の損害、すなわち今議論している文脈であればみなし決議成立後の取締役等の説明義務違反に基づく会社の損害というものは、通常は余り考えられないと思われますので、差止事由との関係についてはさほど検討しなくてよいのだろうと思うのですけれども、その一方で、例えば総会決議事項が合併などの組織再編の承認であるような場合につきましては、会社の損害ではなく、法令違反等のある組織再編における株主の不利益が要件になりますので(会社法第784条の2等)、場合によっては差止めが現実に問題となり得るように思われます。組織再編の差止めについていえば、そこでは例えば債権者異議手続の不履践が法令違反として差止事由となるように、株主総会決議における法令違反等がある場合に差止事由は限られていないと考えられますので、組織再編のプロセスにおいて法令違反があれば、決議自体には法令違反がなくても差止事由はあると言い得るのではないかということです。そのこと自体、ひょっとしたら解釈問題なのかもしれないのですけれども、差止めであれ決議取消しであれ効力に関係するという点では共通するところであるとともに、みなし決議成立後の説明義務の規定を明文化するということになりますと、より問題は顕在化しやすくなるようにも思われますので、頭の整理は必要かもしれないと考えております。   結論としては、個人的には、差止めの余地を認めることも認めないこともどちらも可能性としてはあり得るのだろうと考えております。今回の部会資料第4の1の株主総会決議の合理化の規定の趣旨が、総会当日の過度なプレッシャーからの解放やコストの削減という点にあるのだとしますと、①決議取消しの可能性だけでなく、差止規定の利用可能性も認めるべきではないという議論につながりやすいと思うのですが、その一方で、②組織再編のような重要事項について株主総会における取締役等の説明が十分でない場合には、やはり差止めの余地は残しておいた方がよいのではないかという価値判断も十分にあり得るところだろうと思われます。その意味では、説明義務を明文化することの趣旨次第の面もあろうかと思うのですけれども、今回の部会資料の補足説明では「取締役の説明が適切になされないことへの懸念」という記述ですので、そのことだけからしますと、どちらの結論もあり得るのだろうと思いまして、問題意識を述べさせていただきました。もちろん、今後の解釈問題として残すという扱いでもよいかもしれませんが、仮に①のような考え方に立ち、差止めの余地を認めないと整理する場合には、先ほど述べましたように取消事由との関係では説明できると思うのですけれども、やはり組織再編のプロセスの中で法令違反ありとはされ得るわけですので、組織再編の場合の差止事由との関係ではどう解すべきかについては、法制化に当たり文言については引き続き検討するということですから、その検討の際の論点の一つとなり得るところかもしれないと思い、今回発言させていただきました。   以上が第4の1についてです。次に、部会資料第4の5の「キャッシュ・アウトの手続の見直し」についてですけれども、充実した公正性担保措置を要求することで総株主の議決権の3分の2以上に議決権保有割合の基準を引き下げるという議論は、理論的な考え方としてはもちろんあり得るとは思うのですけれども、何が充実した公正性担保措置かについては厳密にはケースバイケースで考えざるを得ない面があり、その一方で、10分の9以上が必要かそれとも3分の2以上で足りるのかについては事前に明確に判断できることが望まれるわけですので、そうしますと、今回の部会資料でも御指摘がありますように、A案の方向性には法的不安定性の懸念があるというのはそのとおりだと思います。ですので、B案によることとし、今回見直しをしないという部会資料の提案に賛成いたします。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○加藤幹事 私は19ページの4、社債権者集会の決議があったものとみなす制度の見直しについて、幾つか意見を述べます。   まず、仮に社債権者が(1)又は(2)の同意をする際に振替法第86条の書面を必要とした場合の手続ですけれども、制度としては知れている債権者に対する通知で足りるとされていますので、結局振替法第86条の書面は1回の提示で足りることが想定されていると理解しております。その上で、(後注2)について意見を述べます。私も行岡幹事と同じく、(2)の同意について振替法第86条の書面は不要とするという制度を認めることに賛成いたします。そもそも振替法第86条の書面は、振替社債の社債原簿には社債権者の氏名などが記載されないため、制度上、発行会社は誰が振替社債の社債権者か分からないから発行会社が議決権を行使できる社債権者が誰かを確定するための手続が必要であるということ、さらに、振替口座簿に記録された振替社債については、口座名義人は適法な権利者であると推定されるけれども、その振替口座簿の内容を発行会社に示す手続が必要であるという、発行会社と振替社債の社債権者、双方のための制度であると思います。ただ、振替法第86条の書面の電子化に係る議論から明らかなとおり、必ずしも優れた制度であるとはいえませんし、改善の余地があると思います。   そもそも論に立ち戻りますと、やはり真の権利者に権利行使を簡単な手続で認めることができるのであれば、それを認めるということが望ましいかと思います。その上で(後注2)のような制度というものが、私募債のように発行会社が誰が社債権者か分かっている場合に使われることを念頭に置くのであれば、振替法第86条の書面からのオプトアウトを認めるという形で立法することが、振替法第86条の書面の趣旨からしても正当化しやすいのではないかと思います。そういった点で、私も行岡幹事の御指摘もありましたとおり、振替法第86条の書面を不要とするというのは、使わなくてもいいということであって、使うこと自体を認めないとか、そういった解釈にならないような制度にした方が望ましいのではないかと思います。   その一方で、仮に振替法第86条の書面を使わないとした場合に、これは第14回のヒアリングの際に参考人からの発言があったのですけれども、決議の認可の制度の中で、誰が権利者であるかをどのように確認したかを疎明資料として裁判所に提出するということが想定されているという発言がありました。ただ、裁判所が、決議の認可に際して、誰が社債権者かをどのように確認するかということについては、裁判所にとって大きな負担になる可能性もあり得ますので、実務の方と相談して、機能するような手続や制度などを作っていく、振替法第86条の書面を使わないでもしっかりと制度が回るような手続というものを作っていく必要があるかと思います。   もう1点、(後注2)との関係で、仮に(2)の同意について振替法第86条の書面を使わなくてよいということにするのであれば、会社法第735条の2に基づく全員一致の同意の場合にも、使わなくてもいいということが明確になるような制度が望ましいのではないかと思いました。   最後に、質問なのですが、20ページの(8)で、社債発行会社が無記名式の社債券を発行している場合には、公告が必要であるという御提案になっておりました。これは中間試案の段階から変わっていないわけなのですけれども、これは無記名式の社債券を発行している場合ですので、振替社債についてはどうなるのか、さらに、公告の意味がどこにあるのかというのも確認する必要があるように思われます。例えば(2)の同意について、振替法第86条の書面も使わないということを選択した場合にどういった趣旨で公告をするのかということも考えていく必要がある、つまり、何のための公告なのかということを考える必要があるのではないかという気がいたしました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○臼井委員 第3の株主総会のデジタル化の関連ですが、1と2、書面交付請求制度の見直し及び書面による議決権行使についての見直しについて、いずれも電子化を通じた利便性改善という観点から賛成を致します。   3の株主総会の招集の電磁的方法による通知でございますが、まずメールアドレスの使用について、先ほど来多数御意見が出ておりますとおり、メールアドレスに過度に頼ることのないシステム設計が重要であるとの点に賛同するとともに、口座管理機関の負担を考慮するべきであるという点を申し上げられればと思います。   それから、社債権者集会の招集の電磁的方法による通知について、部会資料では、募集要項で定めた場合に承諾を不要とするという案を出していただいていますが、利便性の観点からは、既発債が対象外になってしまうのは相応にベネフィットを損なうところかなと感じます。できれば、参考人の御意見にもございましたとおり、知れている社債権者については承諾を不要として、そのまま電磁的な通知を行えるとした方が実務としては助かるのではないかと思っております。第3については以上です。   第4の会議体としての株主総会でございますが、今回、説明義務の明文化、それから株主の反対通知による適用排除という手当てを入れていただいた点は評価したいと思うのですけれども、①、②いずれの案についても、投資家の懸念を払拭するものではなく、慎重に考えたいと思っております。案①と②を見た場合に、案①では、参加する株主が当日に考えを変えてその議決権行使内容を変えることができない、だから定款が必要である一方、②はその余地を残すので、定款は要らないという整理であると理解しました。ただ、②について株主がこのような権利を円滑に行使できるための条件としては、実質株主も含め出席したいと望む株主がリアルでもバーチャルでも支障なく総会に株主として参加できる、そして当日議決権行使ができることが肝要であり、そのためには開催日程の分散も含め、先ほど小長谷幹事から御指摘のあったとおり、まだ制度の整備が必要であるということかと思います。現状こうした条件が十分に満たされているとは言いにくいことに加えて、バーチャルオンリー総会など当部会においてまだ議論をしている論点もございまして、環境が整ったとはなかなかいえないのではないか、つまり、案②についても、定款が要らないという整理はなかなか難しいのではないかと思っております。   現状、株主総会の運営負担について様々な御指摘があることは認識しておりますが、決議取消しリスクについては、実際に決議取消しとなった例がそれほど多くないのではないかということに加え、事前確定型については部会資料にあるとおり諸外国にもない制度であるということで、見え方の問題、資本市場を軽視していると見られかねないのではないかということは大きな懸念でございます。総会の実質化に加えて、株主によるガバナンスと取締役会によるガバナンス、このバランスがきちんと取れるように、取締役会の実効性向上を進めた上で、次の段階として総会の効率化を図っていくことが望ましいのではないかと思っております。こうした問題意識を踏まえると、現時点で事前確定型の導入についてのみ賛成するということはなかなか難しく、環境の整備やバーチャルオンリー総会の運営ぶりなどを見た上で後々判断していくというのがいいのではないかと思います。   また細かい点となりますが、①の案は当日採決を行わないということですので、分母、分子の扱い次第で賛成率の見え方が変わってくる可能性があるのかなと思っております。私どもは議案ごとの賛成率も非常に注目していますので、ここの算出基準等が明確化されることは投資家保護の観点からも重要かなと思います。   加えて、反対通知ですが、招集通知に返信するような形でオプトアウトするのか、または何らか懸念を持ったときに手を挙げなければいけないのかというところがまだ明確ではないのかなという点に加えて、議決権10分の1という水準は、プライム上場企業ですと通常単独の運用会社では届かない数字ですので、オプトアウトではなく能動的にアクションしたい場合は共同で動かなくてはいけない、そうすると共同保有者の認定リスクも出てくるということで、ここも詰めなくてはいけない論点が幾つかあるのかなと思っております。また反対通知期限にしても、2週間というのは通常の議決権行使のサイクルである3週間からすると、相当の前倒しであるというところも懸念材料の一つでございます。   最後に、4の社債権者集会の、(後注3)の既発債のところでございますが、こちらも先ほどの電磁的方法のところと同様の考え方で、プロセスの合理化、効率化という便益を考えれば、既発債にも適用してよいのではないかと考えます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○石井委員 第3の書面交付請求制度の見直しにつきましては廃止することに賛成いたします。これまでの部会でも御提示いただいた書面交付請求率、スマートフォンを含めたインターネット利用の状況を踏まえますと、デジタル化が進んだことによる見直しをしてもよいと思います。また、個人株主を中心に周知を図る期間は設ける必要はあると思いますが、成立から施行までの期間が一定程度あることから、その期間に企業サイドからも、招集通知や半期ごとのレポートなど、各社の実態に応じた方法で直接、株主に廃止の旨を情報発信することも可能だと思います。したがいまして、あえて事前に一定の移行期間を設ける必要性は低いと思いますが、仮に設ける場合でも、例えばプラス1年間程度のレベルでよいのではないかと思います。   また、書面による議決権行使規律の見直しについても、電子投票の裾野を広げるということにより企業、株主双方にコスト削減を後押しするメリットがありますので、社債権者集会の規律の見直しも含めて賛成いたします。   それから、株主総会の招集の電磁的方法による通知の見直しについても、企業、株主にとっても運用面、速報性の面からメリットが大きいため、賛成いたします。総会招集実務のみならず、今後、総会終了後の各企業の決議通知書面や各種レポート、配当金計算書といった書類にも拡張できるベースになり得、利便性が更に向上すると思いますので、是非御検討をお願いしたいです。ただ、やはりセキュリティや実務運用面で導入のハードルが相応にあるということは、皆様の議論を聞いて理解しましたので、収集者のコスト負担が過大にならないよう、全体最適の視点で、是非検討いただきたいです。   それから、第4の会議体としての株主総会等に関する規律の見直しについては、1と2について意見を述べさせていただきます。まず、事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化ですが、この制度の対象範囲については、今回の部会資料で記述頂いているように、規律の適用対象を上場会社に限定することに賛成いたします。二読時でも申し上げましたが、商工会議所実施のアンケートでも、本規律については非上場会社では積極的ニーズが見られなかったということや、総会以外の通常時に株主にインプットされる情報レベルも、IRなどを行っている上場会社と違い、総会当日の協議による議決権行使の重要性が高いケースもあると思いますので、上場会社に限定でいいのではないかと思います。非上場会社は、3の株主総会の書面決議制度の見直しによる決議合理化を図ることで、迅速な意思決定に寄与できるものと考えております。   それから、今回①と②の御提案ですが、①については、上場会社に限定するのであれば、仁分委員もおっしゃられましたとおり、事前投票によってみなし決議の可否の意思が反映されると思いますので、定款規定は不要と考えております。ただし、部会資料に記載いただいているような、定款規定を前提とした案にも多数の懸念事項が示されているということも考慮するのであれば、定款規定を不要とする②案も含め、招集者の選択制とするのが望ましいのではないかと思います。   ただ、今回(注1)として提案いただいている株主の反対機会の付与は、これを入れますと、企業は現実的には毎年、拒否権発動を前提とした総会を準備せざるを得ないということや、10分の1以上の議決権を有する株主の反対の通知方法や、例えば10分の1のカストディアンが存在したときの、実質株主の確認、集計方法といった実務運用面でもかなり複雑になると思われることから、元々の趣旨でもある株主総会実務の合理化と離れていくものと思いますので、反対いたします。   それから、先ほど触れました株主総会の書面決議制度見直しの規律を設けることについては、異論ございません。現実的に書面決議制度を行っているのは非上場会社ですので、規律の見直しを非上場会社に限定することにも賛成いたします。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○久保田委員 事前確定型決議について森委員から、①案と②案は大分違うのではないかというお話がありました。森委員のお話ですと、②案だと、総会日の直前に不祥事などが起きたときに株主が株主総会の場に出て取締役の説明を聞いてから賛否を決したいと考える場合は、株主はそのような行動をとることができて、そのような行動をとる株主が多ければ事前確定型決議は利用できない一方で、そのような行動をとる株主が少なければ事前確定型決議が利用できることになるのだと思います。ただ、①案の下でも、総会日の直近に不祥事などが起きたときに、株主が株主総会に出て取締役の説明を聞いてから賛否を決したいと考える場合は、事前の議決権行使を撤回して株主総会の場に出席することはできるのではないかと思います。同じように、そのような行動をとる株主が多ければ事前確定型決議は利用できない一方、そのような行動をとる株主が少なければ事前確定型決議が利用できることになります。   そうだとすると、①案と②案の違いというのは結局、①案だと事前の議決権行使期限までに、通常は総会日の前日までに事前の議決権行使を撤回してから総会の場に出る必要があるのに対して、②案はそういう撤回をすることなく総会の場に直接出ればよいというだけであって、やはり実質的な違いはほとんどないのではないかと思うのですけれども、この点はいかがなのでしょうか。 ○神作部会長 森委員、もしお答えがありましたらどうぞ御発言ください。 ○森委員 おっしゃるとおり、撤回という手続を踏ませるということになれば、株主に対して、当日また出直してねということはできるかなとは思いますけれども、何十万人という株主に対して撤回のプロセスを要請するというのは、かなりの負担を掛けるのではないかと思われます。会社の方も、撤回を受け付けたり、若しくは取消しを受け付けたりという、その事務も相当大変なことになると思うのです。したがって、基本的にはそういったことをやりたい人は撤回をしてから来てくださいという制度を作るよりは、株主総会に出席して意見を変えたい人はこれまでどおり出席してくださいという形で株主の意思に任せる方が株主フレンドリーな感じはいたします。 ○久保田委員 分かりました。ありがとうございます。 ○神作部会長 よろしいですか。   ほかに御発言の御希望はございますでしょうか。 ○齊藤委員 まず、招集通知のデジタル化の点でございますけれども、行岡幹事が議論をおまとめくださったとおりのように思われまして、社会全体のコスト削減のためのデジタル化に総論一致だけれども、手段と時期について意見が分かれているということなのだろうと思われます。御議論やパブリック・コメントの意見などに照らしますと、メールの周知性には限界があるとして制度を作らざるを得ず、また、矢野幹事の御指摘を踏まえると、会社から株主に対する情報提供がメールに一本化されますと、例えば反対株主の買取請求権や価格決定の機会を保障する通知も、適時に見ていただくということができなくなるかもしれず、また、臨時株主総会の招集通知なども見逃されてしまいますと、会社も定足数の確保の困難も生じるかもしれないなど、潜在的にはいろいろな課題があり得るように思われました。議決権行使書面の送付が不要になりますと、招集通知が軽量化されるのではないかと思いますので、まずその段階を踏んで、よりふさわしいプラットフォームの形成を社会全体として構築していくことを目指すことが今回の議論の結論として適当な着地点なのかもしれないと思ったところでございます。   口座管理機関の負担は、顧客である株主から追加の情報をもらうところにあるように思われまして、新規顧客であれば口座開設の際に要求できますが、既存の顧客からも情報をもらうことが簡単ではないということはあるのではないかと。他方で、デジタル化のメリットは社会全体で享受するので、極端な提案かもしれませんけれども、例えばNISAの新規の年度枠を利用するためにはメールアドレスの登録が必要とか、そのような政策も含めて、国として進めていくことを検討する必要があるのではないかと思いました。   次に、会議体としての株主総会でございますが、私自身は、積極的に今回改正すべきであるとは現時点でも思うに至っていないのですが、仮に改正するとすれば、現行法からの変更点が比較的少ない旧C案である②案がよいのではないかと思っております。C案は、松中幹事の言葉を借りれば、株主総会ごとに消極的に一応、株主意思を確認しているということもいえるかと思われ、また、松尾幹事の御指摘のように解釈問題も残ると思われますが、解釈問題が残るというところも含めて、会議体としての意義を問い直していく機会が引き続き残ることにもなるだろうということで、そのことも承知の上でC案ということはあり得るのではないかと思われます。中間試案では(後注)として提示されたので、パブリック・コメントで、(後注)に対して積極的に意見を集約するに至らなかったかもしれない、という点が少し残念でした。   C案においてみなし成立が認められる状況下において、出席株主の議決権は決議の結果を覆すに足りる数に至っていないわけですが、出席株主に、決議の取消しの可能性を通じて現行法上チェックさせているのは、当日の取締役を含む会社関係者の立ち居振る舞いだけであるといえ、そのような監視は、事前の情報提供に虚偽があったような例外的な事態を除けば、実質的な株主意思の形成をしているとはいえないのではないかと思われましたので、C案はあり得ると思われました。   今回の御提案は、その制度の利用自体への反対の余地を認めるということなのですけれども、簡易手続の場合とは意味合いが異なるといえます。簡易手続の方は株主に賛否の機会が与えられていないところ、賛否の機会を与えてほしいという意思表明をさせているのですけれども、今回の制度については、株主に議決権行使の機会が与えられており、みなし成立を望まない株主は反対するか、事前に議決権行使をせず、当日株主総会に出席すればよいわけです。もう一つの案のほうにも共通する点ではありますが、意思表示の機会が与えられているが、みなし成立の利用には反対という意見を尊重することで一体何を守ろうとしているのかを、もう少し整理する必要があると思われました。既に出た御意見にもありましたが、オプションが与えられると、株主はみなし成立に反対しても失うものがあるわけではないので、選択の余地を広げるものとして、取りあえず反対しておこうということになるかもしれません。議案には賛成であるのだけれども、会議体を開催せよという意見の持ち主が求めているのは、ずさんな会議運営をしないことや、取締役の説明義務の実質化、すなわち、いい加減な質疑応答をせず、自分たちの地位が掛かっているものとして真剣に対応せよというものであるのかもしれませんが、それは決議取消しの可能性を維持して尊重する必要があるのかという点について、投資家の御意見次第であるように思われます。   仮にそのような制度的担保が非常に重要であり、そこまでしてもC案を実現するべきであるとすれば、定款変更を通じて恒久的に将来に向かってこの制度を利用するかどうかという形で株主に意思を問うよりも、例えば、役員選任議案についてはこの制度は使えないとして、同議案については従来どおりのように対応するなどの形も考えられるのかなと思ったところでございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤田委員 少し長くなってしまい恐縮ですが、できるだけ幅広く意見を申し上げようと思います。   まず「第3 株主総会のデジタル化に関するその他の検討事項」の1の書面交付請求ですけれども、これは長期的には廃止されるべきで、今回の改正で廃止すべきか、将来に延ばすべきかという選択が主たる論点だったと思います。これはその性質上、どちらが論理的に正しいと決められる話ではなく、一種の社会的受容性の問題ですので、パブコメでB案の支持が相対的に多かったのであれば、今回廃止することに踏み切っても構わないと思います。施行のタイミングについては、部会資料の説明では起算点がどうもはっきりしないまま2、3年と書かれているような気がしますが、イメージで言うと、少なくとも改正法の施行後最初の総会ぐらいは従来のルールでやって、その後は新しいルールに移っていくということでしょうか。2、3年というのはそういうイメージかと思って資料を読ませていただきましたが、そのぐらいでよいと思います。   次に、株主が1000人以上の場合に、書面による議決権行使に加えて、電磁的な行使方法を定めることでも構わないというオプションを認める2の提案には賛成です。  3の招集通知の電子化については、いろいろ考えると、今回は大したことはできないということにならざるを得ない気がします。部会資料だと、総会招集の電子化を促すための規律と書かれていて、その内容がよく分からないのですが、指摘された様々なコストや、それに対するベストな解決策がはっきりしない以上、特定の手法によって招集の電子化の方向に無理に誘導することを法律で行う、例えば電子メールを提出させることによって達成するといったやり方でやることを法律で強制するのは適切ではなく、負担の問題が解決できる条件が整ったと思っている会社が自発的に電磁的な招集通知の発送に移行しようというときに、法制度が足を引っ張らない程度の状況を用意するのが、現段階でできる最大限だと思います。   したがって、会社法上手当てできることとしては、例えば、株主が電子メールアドレスその他電磁的な通知手段を届け出た場合には、会社法第299条第3項の承諾があったものとみなすとして個別の承諾の取り方についての便宜を図るとか、口座管理機関や振替機関を通じてメールアドレスその他の電磁的な通知手段を提供することができることにしてやるとか、口座管理機関等から情報提供がされた場合には株主が提供したものとみなすことにして先ほどのルールにつなげるとか、そのぐらいの手当てを置くというぐらいで、あとは関係者が合理的な手段を適宜制度設計してくださいというのが今回の改正でできる内容だと思います。   最後に、「第4 「会議体」としての株主総会等に関する規律の見直し」については、正直、どういう立場をとるべきかよく分からなくなっているところがあります。株主総会が必ず会議体でなければいけないかという問題は、学会では最近多少議論されるようになり始めており、どちらかというと、無条件にこだわることはないのではないかという意見が少しずつ増えてきているという印象を持っています。そして、私は実務は当然そういう考え方を支持している、研究者が頭が固いだけで世の中はもっと柔軟に会議体にこだわらなくてよいと考えていると思っていたのですけれども、パブリック・コメントの結果を見ると、意外に実務からの慎重論が強く、頭が固いのはむしろ研究者ではなかったのではないかとすら思えてきました。このように会議体によらない株主の集団的意思決定に対する抵抗が思いのほか強いことを知って、やや驚くと同時に、最終的な取りまとめの方向性も若干気持ちが揺れているところがあります。私自身は、会議体へのこだわりとか投資家の懸念といった内容がどこまで合理的な根拠に基づくかよく分からないと依然思ってはいるのですけれども、会議体によらない決定に対して抵抗があるという人が相当いるという事実は前提として法制度を作らざるを得ないというのが、パブリック・コメントの結果だと思い始めています。   ただ、まだとりまとめの最終局面でもないので、今回は私も従来の線に比較的近いところで意見を申し上げたいと思います。まず第4の1の提案「事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化①」ですが、これはこれまでもかなり議論を重ねたものであって賛成です。ただ、先ほど申し上げましたように、パブリック・コメントで相当抵抗があったことから、(注)の10%の反対通知の要件はやはり入れた方がよいと思っています。定款変更決議を要求する以上、ここまで要らないのではないかという意見があるのは分かりますし、私も絶対必要とは思わないことに加え、一律反対といった反応をする機関投資家が出てこないとも限らないという懸念も分かるのですが、会議体を不要とすること自体への抵抗が強い中で導入するのであれば、やはりこれぐらいは入れておいた方が理解を得る上でよいと思います。そもそも10%の反対があって事前確定できなかったとしても、株主総会決議ができなくなるわけではなく、今までどおりの決議をしなくてはならないというだけであり、現状維持の状態になるだけなのですね。ですから、現段階では、これぐらいは入れておいた方がよいかなという気がしています。長期的に会議体への思い入れが薄らいでくることがあれば、また変えることも考えられるかもしれませんけれども、現段階ではそう思います。   説明義務の方は、現在でも報告事項についてだって説明義務はありますので、当然のことを確認しているだけの規定です。ただ、当然のことの確認だと思いますが、明文で書くことで幾らかでも説明義務を重視する姿勢が表れるというのであれば、あっても構わないと思います。   なお定款の規定を要求するため、この規定を利用する会社は実際は余り多くないかもしれませんが、そもそもこの規定を使ってどんどん事前確定型決議をしてくださいという趣旨の改正をしようとしているわけではないと思います。むしろこの規定は、株主の意思決定は絶対会議体によらなくてはならないという原則は必ずしもとらないことを示す、いわば象徴的な意味を持つような改正で、会議体ではない意思決定が受け入れられていくかどうかということは、この制度の利用を踏まえ、今後見ていくことになるのだと思います。   なお、北村委員から、上場会社に限るという理由はないという意見が出されましたが、私も賛成です。むしろ非上場会社にこそ書面決議を一般的な意思決定方法とする趣旨で、最初から定款でそう定めてやるという会社があっても不思議ではない気もします。上場会社の総会の手間が大変なことを緩和するというところから出発すると、上場会社限定ということになるのですけれども、会議体によらない意思決定の可能性を正面から認める象徴的な意味があると考えるのであれば、上場会社にこだわる必要はないと思います。   この提案との関係で、細かな法技術的な論点はいろいろあります。時間の関係で網羅的には余り立ち入ることはできませんが、結構考えなければいけないことがありそうに思います。例えば、否決された決議の説明の扱いですけれども、「否決決議」というのは俗称で、法的には採決したが可決要件を満たすに至らなかったというだけです。その場合、法的効力は生じないはずですが、後続の総会での提案を遮断する効果を特別に法律で付与しますという趣旨の規定を設けることになるのでしょう。事後の総会での説明義務違反の場合も、それが決議の効力に影響がないことは、説明の前に既に決議が成立しているから当然で、特に確認的な規定を置かなくても当然そうなると思います。ただ、説明義務違反が決議に影響がないとしても、全てにおいて適法という意味ではないので、それがどんな効果があるかというのは、白井幹事が指摘されていましたけれども、個別の紛争の文脈に応じて個別解釈ということになると思います。この辺り、細かなことはいろいろ議論する余地はあると思いますし、今後整理しておいた方がよい点はあるとは思いますけれども、法文として書かなければいけないことは、ここで書かれている提案でほぼ尽きていると思います。   2番目の提案である「事前の議決権の行使がされた場合における株主総会の決議の合理化②」ですが、このやり方だと定款規定が不要という点が①と異なります。これに対して、実質が同じなのに定款の要否が違うのがおかしいという指摘が何名かの委員・幹事からなされましたが、必ずしもそこまでおかしいとは言えず、両者を併存させる理屈も一応はあると思います。つまり、出席株主が一定数いると会議体としての総会の機能が残る、総会当日まで潜在的には会議体としての意思決定機関としての総会は生きているという意味では、性格が違うといえば違います。だから2について定款の規定なしという規律を設けることが1の提案と矛盾するとまでは思わないです。ただ、こちらの提案では定款不要とする以上は、1の提案以上に強い理由で、(注)の10%の反対通知――場合によっては割合を下げる必要があるかもしれませんけれども――は、必須になると思います。説明義務ももちろん必要ということになります。   ただ、この提案については、法律関係についていろいろ確認が必要になります。まず、可決要件の分母は議決権行使したか否かを問わず全ての議決権数、分子は、株主総会に出席した者の議決権を除いたもので計算し、可決できなくてはなりません。ですから、事前に書面投票で賛成していたとしても、総会に出席すれば書面投票は全部失効する扱いで、それは賛成には加えない、つまり反対扱いするということになります。さきほど、2の提案の存在意義として、当日総会で説明を聞いて賛否を決めたい株主の意思を尊重することになるという説明がありましたが、そういうことをしたい株主の議決権は全部反対とカウントして、宣言の要件を判断することになります。そして、そういう株主が相当数いるとすると、この提案では宣言ができるかどうかが微妙になる場合もでてくることになります。   もし事前に議決権を行使して当日議場に来た株主の議決権を要件の判断に当たり賛成票から除きたくないなら、部会資料17ページに少し説明がありますが、出席ではない形で、つまり株主としての議決権行使はできない傍聴者としてその場にいるだけだという形にしないといけないということになります。受付段階で会社にその旨を申し出て、出席者と区別された傍聴人席に座るということまですれば問題ないのですけれども、どちらの趣旨で来たか外形的に分からない形で議場にいて、あとになって書面投票は事前にしたから反対するつもりはなかったですというだけで認められるかは疑問があります。やはり事前にきっちり手続を踏んで、問題の株主が議場では議決権行使しないことを事前に明らかにし、そのことを記録しておかないと不安定で、受付も含めて、きちんとした議事運営をすることが、この手続を使う場合には必須になると思われます。   残っている問題として、細かいことですけれども、議長の宣言に対して、宣言をするなという動議、あるいは宣言させないため、宣言しない議長に交代する動議をその場で出せるか、それを阻止できるかということがあります。これについては、こういった動議が出されれば、それについて採決しないで宣言してはいけないことになると思います。これは面倒かもしれませんが、潜在的には普通の総会としての可能性を残しているから定款の規定なしに導入できるとする以上は、こういう声を無視して宣言することはできないと思います。そうなると、宣言をしたい会社側としては、そういう動議を否決できるよう、手続的動議については別途委任状を取っておかないと危ないということになります。   手続的動議でない実質的動議が出された場合に、どこまでが宣言によって成立した議案に反するから取り上げないことができるかは、よく分かりません。特に方向性として矛盾しない動議が出された場合、宣言によって排除できるかどうかは、よく分からないと思います。これは事前の議決権行使の対象となった議案と両立するかをどういう基準で判断するかということと、そもそも当日いきなり出せる動議というのはどんな制約が元々あるのかといった、従来余りきっちり詰められたことのない解釈に依存することになると思います。   以上、最後は少し細かなことを言いましたが、ここまで第2案についても、理屈は何とか付くという方向で比較的好意的な立場から申し上げてきました。ただ、第2案を採りますと、少なくとも導入後しばらくは相当不安定な運用がなされるのではないかという恐れはあります。典型的なのは、事前の書面投票の数だけ数えて、総株主の議決権の過半数に達したから宣言可能だと判断してしまい、当日出席なのか参加なのかきちんと区別を取らずに、証拠もきちんと残さないまま宣言してしまうとか、事前の議決権行使で賛成した株主は株主総会に出席していても賛成扱いにしたまま要件を判断してしまうといったことをしてしまう会社が一定数出てしまうのではないかという気がします。仮に制度に対する理解が欠けているため不適法な宣言をしてしまい決議が成立しないことになっても、それは自己責任なので、一部の会社で混乱が生じるかもしれないから2の案に反対とまでは申し上げないですけれども、第1案と第2案のどちらかを採るなら後者だけですというほど熱心に推すことにはちゅうちょします。   なお、第2案について定款を要求するという形の妥協案が出されましたが、変更した定款で制度化したにもかかわらず当日まで不確実性が残るような提案というのは、本当にニーズがあるのかということと、しかも今申し上げた実務的な混乱をもたらしかねない方法でしかできない宣言を定款変更まで要求して導入するべきかというと、やはり疑問があって、定款変更を要求する形で導入ということを図るのなら第1案だけにした方がよい、逆に、第2案の規律を設けるのであれば、飽くまで意思決定の可能性を最後まで残し、かつ、それに伴う様々な面倒な解釈問題や法律問題や不安定さが残るけれども定款変更は不要とする、そういうバランスということになるのかと思います。 ○神作部会長 森委員、どうぞ御発言ください。 ○森委員 第4の①案と②案について、違いをもう1個だけ言いたいことがありまして、株主総会というのは株主との非常に重要なコミュニケーションの場であって、どういった形でコミュニケーションするかというのはやはり議長に委ねられるべきだと思うのです。一方で、今までの形骸化している株主総会の実態を踏まえると、こういった事前確定型の決議方式があった方がいいと思う議長が大半というか、ほぼ全員だと思うのですけれども、①案ですと、事前確定型を採用しますと、基本的に事前確定型で行きますよということで決まるのに対し、②案の場合に違いがあると私が思っているのは、株主とどうコミュニケーションすべきかというのは議長が考えるので、事前に決議成立相当の賛成票が集まっていても、今回の議案は非常に重要だし、若しくは今年度はいろいろなことがあったから、この場に来てくれた株主にはきちんと説明をして、それで決議を取ろうと思えば、それは議長が判断して決議を取ればいいという扱いもできるのです。そういった議長としての株主への対応の仕方も含めて非常に弾力的にできる余地を残すという意味において、①案と②案はやはり違うのではないかと考えています。①案の場合はもう、それでやりますよという以上は、多分前日に決議成立になると思うのですけれども、②案の場合は、これだけ賛成票が集まったから、冒頭でもうこれは成立させて、あとは株主とのコミュニケーションの場にしようと議長が考えるか、または、株主とコミュニケーションした上で途中の段階で、決議が成立するだけ集まっているので、この段階で決議成立しますというのか、もしくは、その方式をとらずに、決を取って今までどおり、形骸化した拍手ですけれども、それを取って賛否を問うのかというやり方を議長に委ねることができるので、株主総会においてどういったコミュニケーションをとるのが最も株主とのエンゲージメントにおいていいのかというのを議長が判断できる余地を残すという意味においても、①案とはやはり違うのではないかと個人的には思っております。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○松井(智)委員 1点だけ、今の3のプラットフォームを使うという点についての消極的な改正というものをした場合ということについて発言をしたいと思います。   もしこのような改正をした場合にどういった影響があるのかについて、2点確認をしておこうと思うのですけれども、まず、総会関係について会社からの通信を受け取る連絡先を株主になるべく統一的に登録させるという世界というのには、恐らく齊藤委員がおっしゃったように、何らかのインセンティブがなければ簡単には移行しないだろうということで、そういったときにあえて改正をするのかということです。株主は招集通知を受ける権利があると思っているので、あるプラットフォームに登録しないと通知がもらえないという世界に、何もしないとなかなか行かないという可能性はあるかなと思っております。   次に、逆に会社がインセンティブを株主に提供してでもプラットフォームを作りたいともし思う場合があるのであれば、その場合には矢野幹事がおっしゃったような問題というのが裏面にあるのかなと思うところであります。つまり、現在は会社が会社ごとに株主名簿を持っていて、そこに住所の情報があって、株主がこれを閲覧すると同じ情報を使える、そういう世界なわけですけれども、全ての会社が用いるプラットフォームみたいなものに株主が登録をして、各自の会社が自社の株主をピックアップするような情報を持っているというような世界になった場合、その情報が株主名簿の記載事項になるかどうかというのはまだ明らかではないわけで、その情報を株主名簿にひもづけたとしても、プラットフォームなりアプリなりの権限においてそこにアクセスできるようなストラクチャーというのを一般の機関投資家に付与するかどうかというのは、また別の問題だったりする。したがって、住所と異なって、当該情報を知っていても接触手段を使えないということになるかもしれないわけであります。   そうすると、株主名簿にプラットフォーム情報の記載がない、あるいはプラットフォームの情報があったとしても機関投資家に使えないという場合には、第三者が会社と同一のコストで株主に接触できなくなるかもしれないというストラクチャーになるわけで、こういった世界が短期的に実現しないということを、例えば会社としては、自分の方がより簡単に株主に接触できるということで積極的に推し進めようというふうになってしまうということがもしあるのであれば、そういった改正をするということが望ましいのかどうかということを少し考えるという余地はあるかなと思ったということです。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○内田委員 追加で、会議体については、株主の意見を会議体として聴くことは重要だとは思いますが、現状、総会において有意義な議論があまりなされていないということが多くの機関投資家が感じていることだと思います。そもそも投資家と事業会社の対話は、有意義な議論というのはたくさんあって、日ごろから株主総会だけではなく非常に多くの機会で行われていると思います。ただ、総会の場での議論となると、やはり限られた時間で、有意義な議論においては時として難解な言葉やロジックが使われますので、なかなか経営者と株主が対峙し深い議論ができないということもあって、往々にして場の雰囲気というか状況に流されるというような議論も多いのではないかと思います。それはそれで意味あることではありますが、各議案の賛成率を最後まで計算して正確に出すことで概ね代替できるのではないかと思います。ですから、決議が確定した後でも賛成率をきちんと最後まで出すということは重要だと思います。実際、総会の限られた時間とタイムスケジュールの中で深い議論が行われるかというと現実には難しいのではないかと申し上げたかったので、必ずしも株主との対話の機会、会議体が必要でないということではないですし、前にも申し上げましたが、総会とは別の機会を設けてそういった意見収集の場を設けることも一案と思っているところであります。   それから、諸国に例を見ないとの言及がありましたが、米国などにおいても、株主提案が出ない場合は事前に会社提案の議案は決議されていますので、そういう意味では今回の事前の株主総会の決議として認めることはそれほど特異なことではないと私自身は思っているところであります。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。   ほかに御発言の御希望はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、第1セクションはちょうどこれで議論の区切りがついたところですので、一旦休憩にいたします。           (休     憩) ○神作部会長 皆様お戻りでいらっしゃいますので、第2セクションに入りたいと存じます。   部会資料14の第2部の「第5 株主提案権等に関する規律の見直し」について御議論を頂きたいと存じます。御意見のある方は挙手をお願いいたします。 ○久保田委員 まず、1の株主提案権の議決権数の要件については、部会資料に記載されている理由から、議決権数要件を廃止することに賛成いたします。ただし、これまでも何度か意見を述べてきましたように、もしこの議決権数要件の廃止に反対が強いようでしたら、定款の定めがある場合に限って議決権数要件を排除できるとすることも考えられると思います。   また、2の株主提案権の行使時期についても、部会資料のとおり現行法の規律の見直しをしないものとすることに賛成いたします。   次いで、3、業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限についてです。まず、仮にこれを制限するとした場合は、部会資料36ページの(注1)に記載されているような形での制限にすべきであると思います。その上で、問題は具体的にどのような株主提案を制限の対象にすべきかです。この点について、部会資料38ページから39ページでは具体的な整理がされているところ、ここに記載されているとおり、少なくとも⑧の役員構成に関する事項や⑨の自己株式の取得や剰余金の配当に関する事項は制限の対象外にすべきだと思います。また、⑦開示に関する事項も同じく制限の対象外にすべきであると思います。   他方で、③の特定の事業に関する事項、④の経営方針等に関する事項、⑤の使用人に関する事項のほか、⑥の一定の組織の設置や改廃に関する事項などは、それによってどの程度取締役の裁量が拘束されるかによって制限の対象に含まれるかどうかが変わってくるべきものだと思います。すなわち、例えば③の特定の事業に関する事項についていえば、不採算事業の縮小、撤退に関する定款変更に関する株主提案が行われ、しかも縮小あるいは撤退の方法や時期についても定款に細かく規定していくようなことが提案される場合には、取締役の裁量が大きく拘束されますので、制限の対象になるのではないかと思います。このように、③から⑥に関する株主提案などについては、いわゆるマイクロマネジメントに当たるかどうかも考慮すべきであるように思いますが、ただ、そうなりますと具体的な株主提案が制限の対象になるかどうかの判断は難しくなってきます。さりとて③から⑥に関する株主提案などについて、いわゆるマイクロマネジメントに当たるかどうかを考慮せず一律に制限の対象にするのは行き過ぎであろうと思います。   このように考えますと、これまでも繰り返し述べてきましたように、業務執行事項に係る定款変更に関する議案の提出の制限というのは、制限の対象になるかどうかの判断が難しく、やはり無用な紛争を招く可能性が大きいのではないかと思います。しかも今回、株主提案権の行使要件について議決権数要件の撤廃が提案されており、これが実現しますと総株主の議決権の1%以上を保有する株主だけが株主提案を行うことができることになるところ、このような大株主は自己の定款変更に係る株主提案が拒絶された場合には簡単には引き下がらないのではないかと思います。   また、これも繰り返しになってしまいますが、そもそも論として私がこの種の立法論を伺っていて十分に理解できないのが、実務上のニーズがどれほどあるのかということです。なぜなら実際上、会社の利益を害するような業務執行事項に関する株主提案については株主の賛成が集まらず、議案が否決される可能性が非常に高いために、会社法で特に制限する必要は小さいように見えるからです。考えられるとすれば、株主提案が可決されない場合でも会社が株主提案の対応を迫られること自体が負担である、そのためその負担を軽減したいというニーズです。こういうニーズでしたら理解できるわけですけれども、今回提案されている規律だと、会社側は株主提案が制限の対象になるかどうかを判断して、その判断の理由も開示することが求められる上に、先ほど申し上げたような紛争が生じる可能性も小さくないため、会社側の負担はそれほど減らないのではないかと思います。また、株主提案権の行使要件の厳格化が提案されているところ、これが実現しますと株主提案の数が大幅に減少し、それに伴い、会社側の負担もおのずから小さくなると予想されるということもあります。その意味でも、本当に実務上のニーズがあるかというのはよく検討した方がよいのではないかと考えています。なお、もしそれでも取締役の裁量を拘束し会社の利益を害するような株主提案を制限したいという実務上のニーズがあるようでしたら、むしろ株主の勧告的提案を認めて、そちらに誘導する方が効果的ではないかと思います。このこともこれまで繰り返してきたとおりです。   4の株主による株主総会の招集請求権の行使要件の見直しについては、あり得る立法だと思いますので、特に反対するものではありません。ただ、部会資料に記載されているような立法事実が本当にあるのかというのは個人的には少し疑問も感じていますので、この点はもう少し調べていただいた方がよいのではないかと思っています。   第5については以上です。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松中幹事 今回の資料では第5の1で、議決権数要件の厳格化という案は消えて、廃止案だけが出ているのですが、これまでの検討の経緯とかパブリック・コメントの結果を踏まえると少々疑問の余地があるように思います。   さらに、議決権数要件だけではなく、3の業務執行事項についての制限も合わせると、トータルで株主提案権制度を相当大きく変容させることになる案である上に、4の少数株主による株主総会の招集請求の議決権要件を引き上げるという提案も含めると、全体として株主による直接的な決定権限を制約して、取締役会に裁量を与えるとともに、ガバナンス一般についても取締役会レベルのものに期待するという方向性で、だから社外取締役が過半数である場合といった発想が入っているわけですね。これ自体はガバナンスの形としてあり得ないとは思わないのですが、従来の日本の会社法の根本に関わる問題であり、これまで株主提案権制度の個々の要件とか制約などはこの部会で検討してきたと思いますが、これほど大きな根本的な変化が望ましいかどうか議論していなかったのではないかと思います。   このような根本的な変化の当否について、もちろん最初から議論していたのであれば、その結果形成される案には一定のロジックも伴うこととなり、個々の委員・幹事の意見とは違ってもコンセンサスも形成されると思いますが、残された数回だけでこれを検討できるのかというのは心もとないように思います。それでも、理屈もコンセンサスも抜きに日本経済のためにどうしてもやるのだという、それはこの場ではなく政治の責任でやるべきものではないかと考えております。もう少し細かいレベルでも、議決権数要件を廃止して業務執行事項とされた範囲の事柄はもはや株主は定款変更議案でも勧告的提案でもできないのだとなると、これは従来の株主提案権制度の説明として用いられてきた会社・株主間あるいは株主間のコミュニケーションの確保という趣旨の説明が当てはまらなくなってしまうように思います。もちろんこの説明自体、私は余りいい説明だとは思っていないのですけれども、しかし今回の提案を見ると、制度趣旨とか目的をどのように考えているのかというのは全く触れられていません。これをあと数回で詰めていけるのだろうかという問題もあるように思います。   個々の提案内容だけでなく、具体的な提案相互の関係にも問題が残っているように思います。議決権数要件を廃止して提案できるものを絞って、その結果、一定程度真剣な提案だけが残るにもかかわらず、しかし提案できる範囲も制約することになるわけで、これは一体どう説明するのだろうかといった、一つ一つはともかく、改正全体として本当に説明できるのかという問題があろうかと思います。確かに業務執行事項を定款変更議案とする弊害というのは、少なくとも抽象的にはあるわけですが、そうだとすると、やはり勧告的決議の提案を可能にすることが少なくとも案としては残っていないと、おかしいのではないかと思います。率直に言うと、勧告的決議の提案を法制化するということを検討しないのであれば、業務執行事項に当たる定款変更議案の制約というのはおよそ検討に値しないとすらいえるのではないかと思います。   別の点でも、取り分け業務執行事項のところは問題がいろいろありまして、37ページ以下では情報の非対称を挙げて、定款変更がなされると会社の利益を害する可能性があると説明をしています。これ自体、あり得ない説明ではないと思うのですが、しかし、株主は取締役と同様の情報を持っていないこと自体はある種自明で、株主も分かっていることですから、それを前提に提案とか判断ができるのであって、なぜこのようなパターナリスティックな制約が出てくるのかは明らかではありません。実際、弊害が起きそうな提案というのは大差で否決されるのが普通だと思います。もう少し言うと、ここでは株主の利益に言及せずに、会社の利益とだけしていますが、株主共同の利益といった言葉も出てきません。そうすると、これはうがった読み方かもしれませんが、株主の利益とは別の会社の利益を考えているようにも読めなくもありません。ただ、議決権数要件を廃止するのは、どちらかというと株主利益に沿った提案をするように求める方向の改正であり、この部分でも整合性があるのかなという疑問が生じます。   なお、38ページ以下の具体的に何を制約の対象とするのかという整理についても、いろいろと御苦労はあったと思うのですが、なお問題が残るように思います。例えば、①の将来の取引の相手方を拘束するというのは、これは割と望ましくない提案の中核的なイメージとして共有できるようにも思うのですが、例えば、経済制裁の対象国への迂回輸出が行われていることが問題になった会社において、それを監視する委員会の設置を提案するような場合、これは①に当たるようにも思いますし、それとも制約の対象になるかよく分からない⑥の組織の話に当たるようにも思いますが、どちらになるのかよく分かりません。さらに、こういうものが①に当たるとして駄目だというべきなのかも正直、分からないところです。   このように考えていくと、実は業務執行事項というくくり自体が、株主がイニシアチブをとって提案していくということの限界として、余りうまい区切りではないのではないか、これはアメリカの例を見てもそうだと感じる部分もあるのですが、そういうことがむしろ明確になっているように思います。今回の御提案も、いろいろと制約して濫用的な使い方がなされないような工夫もされているとは思うのですけれども、いきなりこれを入れるというのは少し現状では無理なのではないかと思っています。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○鮫島幹事 まず、第1の300個の議決権数の要件の廃止につきまして、議決権保有割合が1%をはるかに下回る株主から企業価値の向上につながるとは到底思われないような株主提案が散見されるような実態に鑑みても、また、投資単位の引下げへの障害を除去する観点からも適切で、賛成したいと思っておりますが、一方で、経営陣に対して株主からの経営改善のための適切な規律付けも重要だと考えてございます。諸外国と比較して日本だけが株主提案できる現実的な可能性が著しく小さいと投資家から誤解されないよう、300個という議決権数の要件に代わる何らか適切な代替要件の検討も否定すべきではないと考えてございます。議決権数に代わるような代替要件があれば、社外取締役が取締役会の過半数を占めるといった条件の設定までは不要かと考えてございます。   行使期限につきましては、実務上の負担に関する企業の実態を踏まえて検討することが重要だと考えてございます。  業務執行事項に関する定款変更議案を制限する案でございます。会社の根本事項とは思われない業務執行事項までもが定款に記載されることによって柔軟かつ迅速な経営に支障を来たすおそれがあることからも、何らかの形で制限することは適切で、賛成したいと思ってございます。他方で、株主から経営陣に対する経営改善のための適切な規律付けも重要だと考えてございます。そのため、上場会社が株主提案を拒絶した旨を株主総会参考書類の記載事項とする案も有益だと考えてございます。株主提案を拒絶したことを株主に開示することで、企業価値の向上につながり得る株主提案を取締役会が無視するような事態に対する規律が働くと期待されてございます。そうすれば、勧告的決議の提案権までは認める必要がないと考えてございます。   具体的な業務執行事項の内容でございますが、基本的な考え方として、部会資料に記載されているように、取締役の裁量を拘束することが会社全体の利益を害するものという大きな方針も適切だと考えてございます。ただし、具体的な列挙事由についてはもう一段の精査が必要であり、例えば、日常的な事業運営に関する事項であるとか、提案株主自身が利害を有する事項については、制限の対象とすべきだと考えてございます。  臨時株主総会の招集請求権の行使要件につきましては、少なくとも大量保有報告書の提出義務、すなわち株券等保有割合5%と同程度の水準に引き上げることが必要だと考えてございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○北村委員 株主提案権の議決権数の要件の見直しにつきまして、300個以上の議決権という要件を廃止するという方向性について賛成いたします。そうすると、総株主の議決権の100分の1以上の議決権要件というハードルの高い要件が残ることになりますが、現行の300個議決権要件を廃止するのであれば、例えば、総株主の議決権の200分の1以上の議決権という要件にするという考え方もあり得ると思います。というのは、中間試案のB案で300個要件を引き上げるという案が出ておりましたけれども、議決権個数要件を引き上げたとしても、例えば投資単位の引き下げのための株式分割を1度は行えるかもしれないけれども、株式分割を継続して行えば個数要件ではそれに対処できないですね。そういう意味では、総議決権に対する議決権割合、これだけを基準にするという方向性に賛成するということになります。   部会資料31ページから32ページに掛けて、議決権個数要件を引き上げた場合にどうなるか等についてシミュレーションがされています。プライム市場であれば総株主の議決権の0.5%にしてもかなりハードルが高いというのは事実ですけれども、スタンダードやグロースの平均を取ってみると、0.5%にすると500個の議決権にするのと余り変わらないことになります。そういう意味で、議決権個数要件を廃止する代わりに総株主の議決権に対する割合の方を1%から0.5%に引き下げるという提案であればある程度の賛同は得やすいのではないかと思います。我が国の会社法において少数株主権の要件を総株主の議決権の200分の1としている例は、恐らくないのではないかと思いますけれども、300個議決権要件も株主提案権のところしかないわけですから、それに代わるものとして、新しいパーセンテージを導入することに問題はないと思っております。   33ページの24行目に社外取締役が取締役の過半数である場合に議決権の個数要件を廃止するという考え方が出されているのですが、株主提案権の行使要件と社外取締役の割合の関係性は強くないと思いますので、このような条件設定には疑問を持ちます。   33ページ31行目以下の定款に定めれば議決権個数要件を外すことができるということについてもコメントします。確かに会社法には累積投票請求権の排除とか単元未満株主についての権利の制限のように、株主の権利を定款で認めないとすることはできるのですけれども、少数株主権については、少数株主の要件を定款で緩和できるという規定はありますが、厳格化するという規定はないと思います。なぜなら、少数株主権というのは多数派でない少数株主が会社の管理運営のために一定の共益権を行使するというもので、多数決でそのハードルを引き上げるのになじまず、だから下げるのはできるけれども上げるのはできないとなっていると思います。したがって、株主提案権の場合だけ法律で定める要件を定款で厳格化するというのは、ほかの少数株主権と整合性が取れないと考えております。   次に3の業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限についてコメントします。このような制限を設けるかどうかということ自体に大きな問題があると思います。その点を措くとして、仮にこのように提案できる議案の範囲の制限をするという前提で考えたときに、38ページから39ページに、事務局が御苦労の末かなり細かな例を挙げておられるのですけれども、結局どこまで行っても曖昧さが残ると思います。もしこのような制限を法律に定めるのであれば、定款変更の株主提案をこのようにオプトアウト方式で制限する、つまり定款変更提案は原則としてできるのだけれども会社の利益を害するおそれが大きいものは除かれるというオプトアウト方式で制限するよりも、発想を変えてオプトイン方式にするという方がより明確化できるのではないかと思います。   具体的には、株主提案権の行使による定款変更提案は、定款の絶対的記載事項及び相対的記載事項並びに定款の任意的記載事項のうち会社の利益を害するおそれが小さいものとして法務省令で定めるものに限り行うことができるということです。例えば、39ページの⑧や⑨のようなものは、法務省令で対象に含めるということになります。ただ、そのようにオプトイン方式にしても、例えば、絶対的記載事項の一つである会社の目的についての提案だとして業務執行に関する提案をする可能性はあります。しかし、その場合、取締役が、これは目的変更提案に当たらないと考えれば、提案を拒絶した上で株主総会参考書類においてなぜ拒絶したかを説明するというやり方はあるのではないかと思っております。  これも上場会社に限定されているのですが、このような制限を設けるのであれば、取締役会設置会社について一般に設けてよいのではないかと思っております。   最後に、これについても36ページ本文の(注2)で、社外取締役が過半数いる場合にのみ制限できるという考え方が示されていますけれども、社外取締役の割合と株主提案権との結び付きは、ないわけではないですけれども、それほど強くないと思いますし、公開会社で6か月前要件を伸長するというのが(注3)ですけれども、これも他の共益権との整合性から考えると、余り適切でないように思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○仁分委員 まず、株主提案権の議決権数の要件の見直しに関して、議決権数の要件を廃止することに賛成いたします。他方、部会資料14の33ページ18行目以下に記載されている取締役の過半数が社外取締役である場合に限って議決権の個数の要件を廃止するなどの「株主の利益確保のための追加的要件」を設ける考え方については、強く反対いたします。従前から申し上げているとおり、株主が議決権を300個有することの意味合いは、当該会社の議決権総数や、上場会社か非上場会社であるかによって大きく異なるため、会社の規模や種類を問わず一律に議決権を300個有していれば株主提案権を行使できるという制度は、そもそも合理性を有するとは言い難いものと考えております。したがいまして、議決権数の要件の廃止に当たり株主の利益確保のための追加的要件を設ける必要はないと考えます。なお、社外取締役が過半数を占めるか否かは、取締役会の監督機能やガバナンス体制に関する事項であり、株主提案権と直接関係する事項ではありません。したがいまして、社外取締役が過半数か否かによって株主提案権の行使要件に差異を設ける合理性はないと考えております。   次に、株主提案権の行使期限の見直しに関してでございます。中間試案に記載されていたA案とB案の見直しをすることを改めて御検討いただきたいと考えております。株主提案権の行使期限の見直しについて、企業側としては強いニーズがあることは今までの部会で十分に説明させていただいたつもりでおりました。「株主総会の日の8週間前まで」という現行の行使期限を前提とした場合、スケジュールが非常にタイトとなります。参考資料20でもお示ししたとおり、株主提案権の行使期限の翌日から株主総会の招集決定の取締役会の開催日までの日数は平均でも僅か10営業日程度しかなく、中には数営業日程度しかない企業もあり、上場会社にとって極めて大きな負担となっています。パブリック・コメントにおいても、現行の行使期限ではスケジュールが非常に厳しく、実務上の負担が極めて大きいことを指摘する意見が多数寄せられたものと認識しております。この点、部会資料14の35ページには、「行使期限の見直しを必要とするほどの具体的な支障が生じているか…必ずしも明確にされていない」との記載がありますが、部会資料においてこのような評価をされていることは非常に残念だと思っております。経団連のワーキンググループでも、部会資料のこの部分については多数の強い御意見を頂いたところであります。   一方で、株主提案権の行使期限を8週間前より数週間程度前倒ししても、株主が株主提案権を行使するか否かや、提案の具体的内容について検討、判断するために必要な情報に実質的な違いはないと考えられます。さらに、中間試案のB案の見直しを行った場合には、株主提案権の行使期限が明確になり、株主にとってもメリットがあると考えております。   以上を踏まえ、株主提案権の行使期限の見直しについては是非実現していただきたく、改めて強く要望いたします。先ほど申し上げましたとおり、株主提案権の行使期限の翌日から株主総会の招集決定の取締役会の開催日までの日数は平均でも10営業日程度しかないことから、例えば、行使期限が数週間程度前倒しされるだけでも企業にとっての負担は大きく軽減されます。   それから、業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限の規律を設けることに賛成いたします。取締役会設置会社の業務執行は本来は取締役会が決定すべきですが、定款変更の形式で業務執行事項に関する議案を提出することを認めると、事実上、業務執行事項について無制限に株主提案を行うことが可能となり、株主総会の権限を限定した会社法第295条第2項の趣旨に反することにもなりかねないと考えております。また、日常的な業務執行事項が定款に定められると、当該事項を変更するためには株主総会の特別決議による定款変更が必要となるため、機動的で柔軟な経営判断が困難となります。一方、業務執行事項に係る定款変更の株主提案を制限しても、株主は取締役の選解任に関する株主提案を行うことは可能であり、取締役の選解任を通じて業務執行事項についての自らの考えを経営に反映させることができます。したがって、株主の利益を不当に害することにはならないと考えております。   そして、今申し上げた点からすれば、「業務執行事項」については「株主提案によって取締役等の裁量を拘束することが会社の利益を害するもの」といった限定を付することなく、「業務執行事項」全般について株主提案を制限すべきと考えます。少なくとも部会資料14の38ページから39ページの表に記載の各事項のうち①から⑦については、いずれも株主提案の対象から除外すべきと考えます。   そもそも、「業務執行事項」の具体的内容について法務省令において一定の事項に限定して定めることを想定しているとのことですが、法務省令で「業務執行事項」の範囲を定めるのは容易ではないと考えております。仮に抽象的な定め方をした場合には、結局、「業務執行事項」に該当するか否かが不明確になる懸念があります。むしろ、株主が株主提案により提案することができる定款変更の対象事項を限定的に規定すること、具体的には株主提案による定款変更の対象を法定の定款記載事項に限定する旨の規律を設けることについて御検討いただきたく存じます。   また、「株主提案が業務執行事項に関するものであることを理由として上場会社がこれを拒絶した場合には、その旨を株主総会参考書類に記載しなければならない」との規律を設ける必要はないと考えます。このような規律を設けた場合、提案内容が業務執行事項に該当し拒絶される可能性が高いことをあらかじめ認識している株主が、拒絶されることを前提としつつ、専ら自らの主張を他の株主や資本市場に対して広く周知することを目的として、あえて株主提案を行うという行動を誘発しかねません。また、(注2)に記載の取締役の過半数が社外取締役である場合に限って業務執行事項に関する株主提案を制限する旨の規律を設けることについても、先ほど議決権数の要件の廃止について申し上げたのと同様、反対いたします。   さらに、部会資料14の41ページに、業務執行事項に係る定款変更の株主提案を制限する場合には、代わりに業務執行事項に係る勧告的提案を認める旨の考え方が記載されていますが、先ほど申し上げた理由から、業務執行事項については勧告的提案であっても認めるべきではないと考えます。また、勧告的提案を認める場合には、結局、会社において勧告的提案への対応が必要となり、会社の負担は基本的に変わらないことになります。したがって、勧告的提案を認めるべきとの考えに反対いたします。   最後に、株主による株主総会の招集請求権の行使要件の見直しに関して、「100分の3」以上という議決権の保有割合の要件を「100分の5」に引き上げることに異存はございません。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○内田委員 まず、300個要件についてですが、私もこれについては、株主権の縮小に関わることですので、取締役会の独立性の向上を条件に容認するという立場で発言したいと思います。具体的には、指名委員会等設置会社への移行かつ社外取締役過半数を必須条件として廃止を容認するという立場をとりたいと思います。つまり株主提案権については、取締役会の独立性を向上させることと引き換えに、その条件が満たされた上で300個要件廃止にも賛成したいと思います。   その考えに至った背景ですが、少し説明させていただきたいと思います。まず、やや短期的ではありますが、今年の株主提案の要件を分析しますと、343議案がありまして、保有比率を満たす、つまり1%要件で100議案、それから個数要件で129議案、その他判明できなかったものが114件ありました。1%要件の100議案について内容を見てみますと、定款変更46、取締役の選解任18、役員報酬12、株主還元21とバランスよく株主提案が出ていますが、個数要件の129議案を分析しますと、定款変更の議案が100件ありまして、圧倒的に多い状況です。かつ、その他の114議案について見ますと、定款変更69、取締役の選解任13、役員報酬5、株主還元21という形で、提案の内容は保有比率を満たす要件とかなり類似しています。全体として見た場合、判明したところだけで見ても保有比率と個数案件は概ね拮抗しており、その他も含めても個数要件が圧倒的に多いと言える状況ではないと分析しています。   実際に300個要件から出てくる定款変更の100議案の内訳を見ると、社会問題が42、原発関係が28ということで、多くは社会問題とか原発関係に関するものです。個数要件の議案の賛成率が低いという分析がありましたが、1%要件と比べてその要因を分析すると、やはり内容的に社会的、政治的な主張を目的としたものが相当程度あったり、個別具体的な業務執行に関わる定款変更提案が多くて、例えばデータセンターの推進であるとか、政策保有株の売却、脱炭素化とか、地熱発電事業推進とかです。それと残念ながら、議案として見ると内容としては評価できるものの、やはり明確な説明や具体性が不足しているという案件が散見されるということであります。   これを議決権における定款変更議案として見たときに、何が判断基準になるかというと、株主、会社、それから提案者の間での利益相反関係がきちんと整理されているかということ、著しく経営の自由度をそぐような、業務執行の妨げになるような案件であるかということ、企業価値向上に向けての十分な説明がなされるかというのが要件となるわけです。残念ながらそういう要件で見たときに300個要件の提案はそれらが満たされないものが多いと言わざるを得ないということで、これを廃止したことによって株主提案の質が下がるかというと、もちろん下がるとは思うのですけれども、それの程度は想定よりは小さいのではないかと考えます。つまり、1%要件ないし、北村委員がおっしゃったようなパーセントの要件を柔軟に動かせば、それほど質は落とさずに株主の意思を反映させることが可能であろうと思います。しかしながら、300個要件の廃止は株主提案権の紛れもない低減であり慎重に考えなければいけない事柄ですので、その株主の権限を取締役会に経営委託することですので、取締役会の独立性強化を担保した上で容認してもいいと思っています。   それから、38、39ページで法務省が作成した株主提案の類型表について、提案があります。この表は会社の利益・利害を軸に作られており、これ自体は良く整理されていると思うのですが、これは現行の取締役会が監督と業務執行をややもすると混同している中で作られた表であって、これからいわゆる要件としてモニタリングボード、それから取締役会の独立性を追及していくのであれば、そういった基準、つまりこの表も業務執行の度合いを基準に整理した方が明確です。つまり、業務執行の度合いの大小で表を作り直し、それをベースに考えた方がいいと思います。現行においては、その辺が必ずしも明確に区別されていないので、取締役会の役割が不明瞭になると思うのですけれども、監督を中心とした取締役会、独立性が強化されている取締役会であれば、業務執行ということを基準に作り直しても良いと思います。   例えば、⑧、⑨の役員構成とか自己株式の取得、剰余金の配当のところでは、業務執行の度合いでいうとかなり制約すると思うのです。かなり制約するとは思うのですが、監督という視点では必要だと思いますので、これは執行に大きく関わることであるが、監督の視点で入れた方がいいという判断になると思います。中段の会社利益を害するか定かでないものにも、その基準を業務執行の度合いに変えると類型が変わってくるものも見受けられましたので、右軸の会社の利益とか企業価値への影響ではなくて、業務執行という視点で整理しても良いかと思いました。   それから、前後してしまって申し訳ないのですけれども、株主提案権の行使期限の見直しについてはA案を支持したいと思います。8週間の期限を延長し10週間程度を想定しているということで、ここは、余りロジカルではありませんが、投資家からみると8週間だと株主提案を評価して適正な判断をするのに相当程度時間的な制約が大きいと考えています。8週間を例えば2週間延ばして10週間程度にすることで大分そこの部分、もちろん既存のインフラであるとか情報開示のタイミングを前提としながらということですが、それなりに意味がある数字だと考えておりまして、株主提案についての評価や議決権行使における適正な執行が可能になると考えており、これは延長を支持したいと思っております。   それから、最後に、株主総会の招集請求権の行使要件についても100分の3から100分の5への引き上げは、同様に株主権の低減につながりますが、取締役会の独立性強化を条件に容認という立場をとりたいと思っています。実際に臨時株主総会の招集請求権が発動されて株主提案がなされた事例は、我々が調べた限りでは2026年1月から5月にかけては数件ぐらいしかなくて、非常に少ないですけれども、実際には濫用とは言わないまでもこの制度があることによって、定時総会の近い時期に臨時総会が開催されることはままありますし、臨時総会といえども相当の負担が掛かっているのはよく理解できます。これが増える傾向にあり実際に開催されることになるとその期間通常の業務執行が立ち行かなくなるというリスクも生じます。ここは取締役会の独立性強化を担保として、諸外国が5%ぐらいの基準を置いているのであれば、その基準に合わせることについては特段強い反対意見はないので、それについては賛成したいと思っています。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松尾幹事 私からは2点申し上げます。   一つ目は、業務執行事項に係る定款変更に関する議案の提出の制限のところですが、これを提案された趣旨というか、先ほど久保田委員がおっしゃった実務上のニーズというのが私にはよく分かりません。久保田委員がおっしゃったとおり、実際に業務執行に関する定款変更議案が通ることはほぼないと、今までのところは思っております。そうすると、本当にそういうものが定款に定められると業務執行の裁量が狭められるということを懸念してこのような制約を提案されているのかというのが、やや分かりにくいです。むしろ、先ほど仁分委員の御発言にもあったのですけれども、特定された業務執行に係る株主提案をすることで、他の株主に自分の考えを知ってもらい、あるいはそれについて、例えば否決はされたけれども20%程度の賛成があったということを材料に経営陣と交渉する、プレッシャーを掛ける、そういう事案がある、そういうことを望ましいと思っていらっしゃらない方がいるのかなと、そういう懸念からの御提案なのかなという気がいたしました。   仮にそうだとしますと、業務執行に係る定款変更議案を制約しても、少なくとも剰余金配当ですとか取締役選任という元々の総会決議事項については今回、提案権を制約することは考えられておりませんので、例えば、剰余金配当の中で特定の不動産を売却して、それによって捻出された資金で配当すべきであるというようなことを書くと、結局それを招集通知、参考書類に記載して、提案株主がこういうことを考えているということを他の株主に知ってもらうということはできてしまうわけですし、それについて何%かの賛成があったということ、これだけの株主に支持されているということは言えることになってしまいます。もし実際に定款変更がされることへの懸念よりも、そういった別の使い方への懸念をされているということであれば、今回非常に苦労していろいろやったとしても、余り実務上の満足は得られないのではないかと。このように考えておりますので、実務上のニーズがどういうところにあるのかというのを知りたかったのですけれども、この提案はパブリック・コメントの対象にはなっておりませんので、よく分かりません。可能であれば、是非そういったところの情報収集をしていただきたいというのが1点目です。   2点目は、株主による総会招集権の行使要件の見直しですが、私は結論としては5%への引上げは十分にあり得る選択であると思います。ただ、これも久保田委員がおっしゃったように、提案の趣旨として42ページに書かれておりますような理由は適切ではないと思います。これもパブリック・コメントがなかったところですけれども、一つは、短期主義、短期的利益の追求によって経営を撹乱するというような表現が出てくるわけですけれども、撹乱ということですと、そもそも裁判所の許可がないと招集までこぎつけられないはずで、そういうところで濫用的なものははねられる仕組みになっているにもかかわらず撹乱されるおそれがあるというのはいかがなものだろうかという気がいたします。そもそも短期的利益の追求ということについては、それについての評価、あるいはそもそも短期的利益ということの意味するものについてもコンセンサスがないような状況で、このようなことを理由とするのは望ましくないと思います。むしろ5%に引き上げる理由としては、従来考えておりましたのは、帳簿閲覧権ですとか総会検査役の選任の請求権の行使要件が3%ですが、それに比べると、総会の招集というのは相応に費用が掛かることなので、もう少し要件が厳格でもいいのではないか、だから5%に引き上げると言っていただく方がよほど賛成しやすいということでございます。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○小長谷幹事 まず、株主提案権の議決権数の要件についてですけれども、株主提案権は単に議案の可決を目的とするだけではなくて、少数株主が経営陣に対する問題提起をしたり、あるいは是正を促したりするといったガバナンス上の効果を有する制度でもあるものと捉えております。上場会社において濫用的事例への対応が負担になっているという御指摘はもちろん否定しませんけれども、負担緩和のための見直しとして、個数の要件を全面的に廃止して割合の要件に単純に一本化することは、部会資料でも分析されているとおり、特に大規模な会社において、個人株主あるいは小規模の機関投資家による株主提案権の行使を事実上不可能にしてしまうため、その意味では慎重な検討が必要かと考えております。   このため、個数の要件を廃止する案につきましては、割合の要件に単純に一本化するのではなくて、代替要件を設定すること、例えば、割合の要件に併せて最低投資金額要件を定めることで、大規模な会社においても個数の要件を全面的に廃止した場合の影響を一定程度緩和することが可能ではないかと考えております。例えば、一読の際の部会資料4では、ドイツでは割合の要件に併せて50万ユーロ相当の株式を保有することにより株主提案権が認められることが紹介されておりました。こういった他国の制度を参考にすることも考えられるのではないかと考えております。   次に、業務執行事項に係る定款変更について1点コメントさせていただきたいのですが、部会資料14の36ページの(注2)のところで、取締役会全体で過半数が社外取締役である場合に業務執行事項に関する株主提案を制限することという案が掲げられております。このような見直しの方向もあり得るように思うのですけれども、ただ、この見直しを行う場合には、この論点に限らず、社外取締役が取締役会の過半数を占めていることから得られるガバナンス上の効果、また、それにより規制を緩和できる事項について、会社法全体を見渡して検討することも必要となってくるのではないかと考えております。 ○神作部会長 ありがとうございました。 ○加藤幹事 株主提案権について意見を述べます。   まず、本日の部会資料では株主提案権の議決権数の要件の見直し、株主提案権の行使期限の見直し、業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限と、三つの事項についての御提案がされています。この提案を個別的に検討していくことが望ましいのかということについて、まず、共有する必要があると思います。例えば先ほどの内田委員の分析、非常に興味深い分析ですので、是非部会で共有していただいた方がよろしいのではないかと思うのですけれども、仮に300個要件を廃止した場合に、残る提案はどういった内容についての提案なのかということは、非常に重要ではないかと思います。例えば、300個要件を廃止した後、残るのが役員の選任議案とか解任議案とかであれば、それに加えて業務執行事項についての制限というものを設ける意義がどこまであるのかということ自体が問題になります。   さらに、300個要件の廃止であったり、業務執行事項に関する株主提案の制限などを認める際の要件として、取締役会の過半数が社外取締役であるという提案もされていますけれども、これは既に御発言がありましたけれども、株主と会社のコミュニケーションの促進という昭和56年改正以来の株主提案権の制度理解と果たして整合するのかという点は、やはり全く無視することはできないと考えます。そうしますと、これは松中幹事の御指摘と重なるのですけれども、現在の状況を踏まえた株主提案権の役割と意義に関する考え方の更新を避けた上で個別の論点の検討を進めていくということが果たして望ましいのか、少なくとも現在の、多くの人が株主提案権に何を期待しているのかということもやはり考えていく必要が本当はあったのですけれども、この点について少し検討が不十分であったということは否めません。   もう1点、業務執行事項を制限するということについて、これも御提案の資料などを拝見していますと、やはり業務執行事項に関する定款変更提案がされることの問題と、可決された場合の問題が混同されているように思われます。このような混同があるため、私は業務執行事項を株主提案できないという学説に疑問を持っていました。また、業務執行事項を株主提案できないという学説は、300個の要件しか保有していない株主が定款変更の形をとることによって荒唐無稽な提案をするということをいかにして妨げるかといった問題意識のもと、展開されてきたのではないかと思います。ただ、これも結局、株主提案権の行使要件を厳格にすることによって、そういった荒唐無稽な提案がほとんど絶滅するような形になるのであれば、どこまで業務執行事項に関する提案の精緻化を図ることがよいのかということを改めて考えてみる必要があると思いました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○豊田委員 株主提案権の議決権数について、パブコメの結果等も見まして再度検討いたしましたところ、やはりこちらも日弁連の意見としては、パブコメの意見で申し上げましたとおりで、投資単位の減少という点を踏まえて、300個要件につき一定の増加ということについては検討の余地は十分あり得るとしても、なくしてしまうということですと、資料で書かれている数字を見ましても分かるとおり、特にある程度大規模な会社におきましては、株主の権利に非常に大きな変更が生じるということになります。株主総会において実質的な審議が阻害されるといった濫用的な事例についての問題意識は理解いたしますが、日弁連といたしまして、個数要件の廃止まで行ってしまうことについては、株主提案権によるコミュニケーションの促進という趣旨が没却されてしまう非常に大きな変更になるため、なかなか賛成できかねておりまして、数の要件緩和で対応していただきたいという立場でございます。   それから、3、4につきましては、中間試案に含まれていませんでしたが、日弁連の中ではパブリック・コメントに掛けなかったものを新たに入れることについては若干、手続的に問題があり得るのではないか、または再度パブリック・コメントに掛けることはできないかといったような意見があったことは念のためお伝えさせていただきます。   その上で3と4の内容につきまして、まず3は、方向性が間違っているとは思わないものの、今回作っていただいた仕分けの表を見た上でも、やはり既にこの部会で議論したように、業務執行の切り分けが難しく、要件を入れたとしても紛争を招きかねないという懸念が払拭できないと思います。会社の利益を害するかを要件としたとしても、害するかという判断が難しいという点については同様ではないかと考えておりまして、かつ、害するものに限るというような立法で、現在の株主総会実務で濫用的に利用されている株主提案権を制限したいという現在の実務の要望が実現できるかどうかというところは疑問なしとしないところでございます。   それから、4は新たな提案であり、この点についての日弁連の意見はまだまとまっておりませんが、個人的には検討に値するのではないかと考えております。株主総会の招集請求に応じて株主総会を新たに開催するということは、会場の準備や招集通知の印刷その他、株主提案とは比べ物にならない大変な労力と費用が掛かると思います。裁判所の許可が必要とされておりますが、現在の実務の経験では、権利の濫用がある場合というかなり例外的な認定が裁判官によってなされる場合を除いて、原則としては許可という運用であると理解しております。可決の見込みがないということは裁判所では考慮しないということになっております。このような中で、3%程度の株主がこのような株主総会の開催を請求できるとすることが会社に過度な負担になるという考えに納得できる点はあるように個人的には考えております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤井委員 私からは、株主提案権に関する規律の見直し、1から4につきましてコメントさせていただければと思います。   まず、1の議決権要件の見直しにつきましては、300個要件を廃止するという提案内容に賛成いたします。今回新しく御提案されております株主の利益の確保のための追加的な要件というのは、不要ではないかと考えております。   続きまして、2の株主提案権の行使期限の見直しにつきましては、こちらにつきましては見直しをしないことに反対して、仁分委員と同じ意見になりますけれども、行使期限を延長するA案及び株主に総会日を通知した場合に株主は一定の期限までに株主提案権を行使しなければならないとするB案の両方の採用に引き続き賛成をしたいと思っております。こちらも先ほど仁分委員がおっしゃっていましたけれども、特にB案につきましては、株主にとっても行使期限が明確化する等のメリットというのは十分にあるのかなと考えております。   実務の負担が余り明らかになっていないというところではあるのですけれども、この部会でも私からも具体的な、総会からの実際に限られた期限で様々なことを対応しているといったことをお話しさせていただきましたけれども、改めまして簡単に御紹介をさせていただきますと、私が承知している中では、やはり上場会社は現在、3週間前までに電子提供制度を開始する必要がありますが、さらに、株主に十分な議案の精査の時間を与えるために4週間前といった、前倒して開始している企業も相応にあるというようなところでございますので、これがたとえ株主提案があったからといって開始時期を遅らせるという判断もなかなかしづらいのかなというのが現状であると理解をしております。招集通知の発送の面から逆算いたしましても、発送する3、4週間くらい前には一般的にはもう招集通知の内容を確定しないといけないというような状況でございますので、そこから更に逆算しますと、実質的には株主提案がありました多くの企業において2、3週間程度で株主提案の行使要件の確認、提案内容の確認、提案者との折衝、取締役会意見の作成といった、様々な対応がぎりぎりのスケジュールで求められているというのが現状でございます。さらに、株主提案の内容を真摯かつ多角的に検討いたしまして、その結果を株主に伝えて対話を行うことについては、株主提案が出ているからこそ、更に必要とされているような状況になると考えますけれども、8週間という今の制限ゆえに、なかなかできていないといったことが現状なのかなと思いますので、本件の見直しは、株主との対話の促進という観点でも必要な見直しなのかなと考えております。   続きまして、3の業務執行事項に係る定款の変更に関する議案の提出の制限につきましては、こちらの部会資料にありますような問題意識から、業務執行事項を株主提案の対象から除くことについて検討すべきと考えておりますので、今回御提案のように、会社の利益を害するおそれが大きいものとして類型化して限定することには賛成いたしたいと思います。その上で、内容次第でといったところは理解しているのですけれども、今回いろいろ類型化いただいた中の、例えば③から⑦についても、やはり会社の経営を一定程度拘束するものであると考えられるような事象とは考えておりますので、こういったものも含んでいくという方向性で御検討いただけるとよろしいのかなと考えております。今回、(注2)のような形で社外取の過半数の要件とか、あと保有期間の伸長、(注3)ですね、記載いただいていますけれども、こういったところは不要と考えております。   最後になりますけれども、4の株主による株主総会の招集請求権の行使要件の見直しにつきましては、株主総会の招集請求権は株主の重要な権利であるということは理解しているのですけれども、本請求の行使によって開催される多くの臨時株主総会というのは、一般的に定時株主総会よりも基準日から開催日までの期間が短く設定されることも多くございますので、より限られた中での対応が必要となっているという現状はあると理解をしております。そういった中で会社及び関係者に相応の対応が求められているという実態も踏まえまして、かつ、諸外国とイコールフィッティングな制度にするというコンセプトの下、提案内容には賛成させていただきたいと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○田中委員 それぞれについて意見を申し述べさせていただきます。   まず、株主提案権に関して今回、個数要件を廃止し、かつ業務執行事項についての定款変更提案を制限するということが提案されました。これらは個々的に見れば、必ずしも株主権を過度に制約するとまでは言い切れない部分もあり、また、比較法的にも例がないわけではないとは思います。ただ、これらのことを特に同時に行ったときに、現在行われている株主提案に対して非常に大きな制限になるのではないかとか、あるいは諸外国と比較した場合に、これまでかなり株主提案が認められていた国から、急に非常に制限する国になるのではないかといったような、それに対する投資家から受ける印象なども含めて、慎重に検討した方がいいように思います。   確かに、例えば米国ですと、基本的には定款変更提案というのは株主はできないことにはなっているわけですけれども、これも比較法的には様々な立場があるわけで、イギリスなどは基本的に日本と同じで定款変更提案もできるものです。それから、米国の場合は確かに定款の変更提案はできないわけですけれども、一方で勧告的決議の提案がかなり広く認められており、そして行使要件が極めて穏やかなわけで、非常に少ない投資額要件しか課されませんので、差し当たっても米国と比較した場合には、日本はかなり広く認められる国から明確に制限する国になってしまうので、果たしてそれでいいのかということがあるように思います。   それから、内容としても、私は以前から業務執行提案についての定款変更の制限というのは、何が業務執行に当たるかの判断が極めて不明確になってしまい、米国でも経営マターに関しては提案できないことにはなっているわけですけれども、経営マターと同じようなことになりまして、紛争が生じがちになるかと思います。特に、日本の場合は米国のようにSECが審査するというような手続もないので、基本的には全て裁判所に紛争が係属しますので、限られた期間で裁判所が適切に判断できるか疑問であるということも含め、こういったルールを設けることにいささか抵抗があります。   今回、業務執行提案に関して趣旨を分類していただいたわけですけれども、私も確かに①とか②みたいなことは直接的に取締役の業務執行の妨げになるので、こういった提案はそもそも通る見込みがなさそうですので、確かに権利自体を制限してもいいのかもしれません。ただ、③以降となると、特に定款で会社の目的を限定することはできることを考えますと、ある事業を廃止するというのは、その事業を会社の定款上の目的から外すということと区別し難いように思います。そのほか、各種の委員会を設置するというのも、一般的には定款で定めることができると解されているであろうガバナンス上の定めと区別することが難しいように思います。こういった要件を、たとえ省令に入れたとしても、その要件該当性をめぐってまた紛争が生じるようにも思われます。一方で、これは既にいろいろな御発言があったと思いますけれども、現実的に業務執行マターに関しての定款変更議案は賛成率も低く、現実的に可決されていないことがあり、潜在的には確かにこういった提案が通った場合に経営の制約になるということはあるとしても、実際には今のところ問題は起きていないようにも思います。   したがって、私自身は、現在のところ、業務執行事項についての定款変更提案の制限には賛成できないのですが、仮に、議決権の個数要件の廃止に加えて、更に業務執行事項についての定款変更提案の制限も入れるということになるとすれば、それと対応する形で少数株主保護の制度を設けるのでなければ、今回の改正が専ら株主権を制限する形になっており、一層賛同し難いものになると思っております。例えば、個数要件に関しては個数要件を廃止する一方で最低投資額制限を設けたらどうかというような意見は既にありましたし、また、比率についてもより低い比率にしたらどうかという意見が中間試案の前からこの部会でも出ておりますので、そういった選択肢も是非考えていただきたいと思っております。   もう一つ、今回の提案の中で、定款に規定することによって株主提案権を制限することを認めるということと、それから、社外取締役過半数のような一定のガバナンス要件を条件にして、株主提案権の制限を認めるという案が出されました。これらの案については異論が部会でも出てきましたけれども、私はあり得る提案だと思います。まず一つは、定款に関しては、少数株主権であっても、定款で一定の限度で制限するというような立法政策はあり得ないものではないと思います。やはり少数株主権であっても、その行使が会社ひいては株主一般の負担を増大させるという面があり、そうした負担面を考慮して、各社の自治によって、株主提案という株主総会の意思決定ルールについて一定の制限を設けるということはあり得ることかと思います。もちろんこれは無制限であってはならないと思うので、例えば個数要件について法律上一定のものを設けて、定款で更に引き上げることを認めるということも容認できると思います。こうした立法の仕方が許されないと考えてしまうと、法改正の選択肢が狭まってしまうので、最初から選択肢を排除する必要はないかと思います。   もう一つの、一定のガバナンス要件を満たすことを条件にして株主提案権の制限を認める案についてなのですが、これは株主提案の趣旨にやはり遡って考える必要があります。今日の部会で、株主提案は株主と会社とのコミュニケーションのために作られた制度であると説明されました。それは確かに趣旨の説明としてはそう言われています。ただ、これは従来、必ずしも明示的には言われていなかったかもしれませんが、コミュニケーションというのはそれ自体として尊重されるような目的ではないと思います。やはり株主というのは、会社の利益の帰属者で、経済的利益のために会社に参加しているわけですから、コミュニケーションというのも、飽くまでも株主総会における提案権の行使によって経営者行動を規律することを通じて、自己の株式の価値あるいは会社の企業価値を維持向上するためにするのだと思うのです。そういう目的のために、会社との間で一定のコミュニケーションを図る権利を確保するということだったのではないかと思うのです。そのように考えますと、株主提案というのは、株主が直接的に株主総会で、こういうことをするべきではないかと他の株主に訴え掛けるということで、言わば直接的な監視、モニターの手段と考えられます。他方で、社外取締役を増大させて取締役会の監視監督機能を強めるというのは、間接的なモニターです。だから、間接的な監視、モニターの機能が充実させられていれば、ある程度直接的なモニター、監視に関しては制限することが許されると、こういう立法はあり得ると私は思います。   正直申しまして、私は、そもそも業務執行事項についての定款変更提案を制限すること自体に余り賛成でないのですが、もし制限を入れるということになったときに、社外取締役過半数などのガバナンス要件と引き換えにそれを認めるということはあり得ることだと思います。もちろん、これは今まで全く議論されていない提案ですので、例えば、ガバナンス要件として社外取締役過半数だけでよいのかなど、十分議論していく必要があると思うのですけれども、これもやはり選択肢として排除する必要はないのではないかと思います。   長くなり申し訳ありませんが、以上が株主提案権の範囲についてで、次に、株主提案の行使期限についてですが、私も、行使期限の方はむしろ入れた方がいいのではないかと思っています。これは、今回の提案で株主提案権の範囲を非常に制限しましたので、バランスを考慮して行使期限に関しては伸張しないという判断がされたのかなとは思うのですけれども、先ほど来御意見がありますように、現行の行使期限は、やはり会社にとってかなりの負担になっていると思いますし、また、行使期限があることによって株主総会の招集期間が制限されてしまっているという問題があります。総会日の3週間前に招集通知をするというのでも、諸外国から見ればまだまだ招集期間としては短いわけですが、日本では総会日の8週間前まで株主提案権が行使される可能性があることにより、招集期間の最大限度が画されてしまいます。また、株主提案権の行使要件を満たしているかどうかで会社と提案株主の間で紛争が生じた場合などは、8週間では現実的に裁判所は判断できないような状況もあると思います。私は、株主提案権については、業務執行事項の提案を制限するというのではなくて、むしろ行使期限の方を伸張するという案を追求した方がいいのではないかと思っています。   最後に、臨時株主総会の招集権についてなのですが、これは従来、部会でほとんど議論されてこなかったと思うのですが、私は制限があってもいいと思います。確かに余り有名な事件ではないというか、比較的小規模の上場会社で起きていることなので、余り知られていないのかもしれませんが、やはり探してみると、特定の株主が何度も臨時株主総会の招集権を行使しているというケースはありますし、また、これは先ほど豊田委員からも御指摘がありましたけれども、現行法では総会招集請求権や招集権を制限する明文の規定がないので、基本的には株主権の濫用ということを理由にしてしか制限できないものですから、裁判所としても特段、濫用といえる事由がない限りは招集を認めていくという形になっていまして、しかも、これも本当は議論の余地があると思うのですけれども、現行法だと、裁判所が招集を許可したときに、会社は抗告ができなくなっているようなので、会社としては、許可が下りる前に自ら(取締役により)株主総会を招集せざるを得なくなる、そうすると招集費用が会社負担になるし、しかも先ほど言ったように何度も招集請求がされるので、何度も招集しなければならないということもあり得ます。これは事例としては確かに少ないかもしれませんけれども、上場会社において現に起きていることだと認識していまして、この点について調査いただいて、場合によっては制限するということもあると思います。   それから、今回の提案は、総会招集権の議決権要件を3%から5%にするとなっていますが、本当に要件を5%にしたくらいで、今私が申し上げたような問題が解決するのかという疑問がありまして、もう少し別の観点からの制限の仕方もあるのではないかとも思えます。この点は、今後の部会の回数が限定されていて、それとの兼ね合いではありますけれども、総会招集権について何らかの制限をする理由は、私はあると思っております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○青委員 まず、議決権の数の要件の見直しについてです。先ほどから出ておりますように、300個の要件に代わるような基準、例えば金額基準かもしれませんし、1%の保有割合を動かすことかもしれませんが、そのような何らかの代替的な基準を設けることも十分あり得ると思います。むしろそのような代替的な基準の方が一つの議決権の大きさによる意図しないばらつきを回避できる面があるので、優れているという考えもあり得るのではないかと思います。   それを超えて、議決権数の要件そのものを廃止するような緩和を行うべきかについては、やはり他の規律とのバランスが相当大きな論点になるとは思っています。例えば、株主が提案できる内容の範囲の見直しとセットで行うとなれば、先ほども議論がございましたように、かなりインパクトの強い見直しになると考えられますし、そのような見直しをどこまで行う必要があるのかについてトータルで考えた場合、納得感のある説明ができるかどうかが重要であるところ、そこが十分に詰められていないと、単に株主との距離を置こうとしているのではないかといった受け止めもされかねないのではないかと思われます。その意味で、本当にそれだけの根拠があるのかどうかについて、慎重かつ十分に詰めて検討する必要があるのではないかと思います。   次に、行使期限の見直しについてです。会社側に一定の準備期間が必要であるという考え方は十分理解できるところではございますが、その一方で、提案する側の立場からすれば、提案を行う余地が大きく制約されるような結果になるのは望ましくない面もあるかと思いますので、基準日を設定してから株主総会までのプロセス全体を一通り見渡した上で検討する必要があるかとは思っています。また、不正確な点があれば申し訳ないのですけれども、例えば基準日が来て、その時点での株式保有状況を確定し、それを前提として提案を行う必要があるとすると、行使期限を株主総会の10週間前とかにした場合に、本当に十分な日程的余裕をもって提案を行うことができるのかどうかという問題もあるかと思います。そうしたスケジュール全体を踏まえ、結果として提案自体を萎縮させてしまうことになっていないかは、検証していく必要があるのではないかと思います。   次に、議案提出の制限、すなわち業務執行に係る事項をどの程度株主提案の対象として認めるかという点についてです。単に業務執行かどうかという観点から整理することもあり得るかもしれないのですが、これまでの議論の中でも、何が業務執行に当たると考えるのかという線引きは非常に難しいということだと思います。そこについては事務局の方から、ここなら納得が得られるのではないかという一定の案を御提示いただいたところでございますが、そもそも株式会社における機関設計、すなわち株主総会と取締役会の権限配分をどのように考えるのか、また、その際に株主の意向にどの程度配慮する取締役会の構造にするのかといった辺りを踏まえて検討する必要があると考えております。機関設計次第では、ここまでは株主総会で直接決めるべきだとか、ここから先は取締役会に委ねてもいいのではないかといったように、線引きが変わり得るのではないかという印象を持っており、そうした点を考慮した上で、一定の枠内にある事項については、現状の規律の在り方を見直していくといった形の方が、株主に対しても説得力のある見直しの根拠になり得るのではないかと思います。その意味で、できればそうした方向感を志向するのが望ましいのではないかと思います。   最後に、株主による招集請求権の要件を3%から5%に見直す必要があるかどうかについてです。ここにつきましても、単に海外の数値が3%なのか5%であるかという比較だけではなくて、株主権の全体像、株主権に対する制約や規律の在り方とこのようなパーセンテージ要件がある程度リンクしているのではないかと思いますので、そうした株主と取締役会との関係性についての全体像を踏まえた上で、十分に議論を行うことが重要であると考えています。先ほどの業務執行事項を株主が提案できるかという議論とも共通しますが、全体としての機関設計を踏まえつつ、このような点で十分に株主の権利が確保されているので、こうした見直しを行うといった形で説明できるような議論が必要ではないかと思います。そのような検討は時間も掛かり、整理も容易ではないかもしれませんが、方向感としては、そのようなアプローチを採ることが適切ではないかと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○森委員 第4の株主提案権の要件の見直しにつきまして、現状、投資単価の引下げの要請等々がある状況、それから、現在行われている株主提案の実態を踏まえると、やはり何らかの見直しをすべきだというのは、かなりコンセンサスになっているのではないかと思っていますし、私は強く思っております。そういう意味で、何らかの見直しをどうやるかというところですけれども、実際上、今後の国会審議等も考えると、なかなかハードルが高いのだろうということも一方で思っておりますので、単純に個数要件をなくして1%だけにするという案だと結構しんどいのかなと現実的に少し思ったりもしております。   そういったことで、大変だから改正なしというのが多分一番避けたいと思っているというところからすると、何らかの折衷案的なところを見ていけないかなと思っているのですけれども、その折衷案の一つとして、社外取締役要件を入れるというのは一つあるのかなと個人的には思っておりまして、ガバナンスの高度化という会社法的なメッセージとしてもあるかなと思うので、社外取締役過半数の場合は個数要件をなくすということは、一つのアプローチとしてあるのかなというふうな印象を持っております。プラスして、社外取締役が過半数でない場合に、では300個でいいのかというと、それはそれでやはり低すぎると思うので、例えばですけれども、個数要件を1,000個にして、社外取締役が過半数の場合はそもそも個数要件をなくしてもいいというような、そういったアプローチもあるのではないかと思っております。社外取締役が過半数であれば1%、いや、それは少し大きすぎるというのであれば、北村委員もおっしゃったように0.5%とか、そういうアプローチも別途検討してもいいのではないかと思っておりますので、いろいろな考え方を混ぜながら、何かしらの改正は是非やっていただければと思っております。   それから、行使期限のところですけれども、これは現在の状況を踏まえると、行使期限の見直しというのは実務的には強いニーズがあると思っております。ただ、今の状況というのは、今の株主提案を見ていただければ分かるとおり、ほとんどが可決する可能性もないようなものの対応に追われているという非合理的な状況になっておりますので、仮に個数要件のところの見直しができるのであれば、この期間の見直しというのが必須でもないかなと思っているので、バランス論かなと思います。もし個数要件を見直さないのであれば行使期限の見直しは是非ともやっていただきたいと、そんなイメージを持っております。   業務執行事項につきましては、この案でいうと、例えば38ページの①、②は駄目ですよというような規定の仕方になるかなと思うのですけれども、逆に言うと、そういった規定の仕方をしてしまうと、それ以外の業務執行事項は幾らでも提案してもいいということのゴーサインを出すような形になると思いますので、かえってどうかなという印象があるのと、同様に、例えばここで社外取締役要件を入れると、社外取締役が過半数でなければ業務執行事項は幾らでも提案してもいいというメッセージにもなるような感じがするので、その切り口も適切ではないかなという気がいたします。従って、業務執行事項を制限するのであれば、例えば③から⑥ぐらいについては、やはり本来的には事業の経営に日常的に携わっていない株主に判断を委ねるようなものではないということだと思いますので、①、②ではなくて、⑥ぐらいまでも含めて制限をするというようなアプローチが妥当なのではないかと考えております。   それから、臨時株主総会の招集請求ですけれども、これは田中委員もおっしゃっていたように、実務的にはかなり深刻な状況になっておりますので、是非とも見直しはしていただきたいというのが実務からの要望であります。その際に、5%の引上げで足りるのかという議論はもちろんあるとは思うのですけれども、少なくとも今よりはましになるという意味では、是非100分の5にしていただきたいというのはあるのですけれども、株主総会まで開いて会社のいろいろな事項を変えなければいけないというような提案をするという株主は、やはりそれなりの株主であってしかるべきだと思うので、5%に加えて、2年間の株式保有要件を入れてもいいのではないかと考えております。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○臼井委員 一つ目の議決権の個数要件については、廃止でも問題ないと考えております。株式分割が行われることや会社法の見直しの頻度等を考えますと、個数要件というのが余り有益な縛りにはなっていないのではないかというところがございます。先ほど北村委員の御指摘で、代替的な手段として0.5%はどうかという御提案がありまして、こうした代替的な比率をどうするかについては検討の余地があるのではないかと感じました。   取締役会の独立性を条件とする案を、こちらと後の業務執行のところにも出していただいております。もちろん取締役会の独立性、実効性、ガバナンスは大事であるというのは従前から主張させていただいているところではあるのですが、条件としてこちらに持ってくるのはいささか唐突な印象もあり、もう少し議論を深める必要があるのかなと感じております。   二つ目の行使期限の見直しですが、こちらは時間軸を広げることにそれなりの正当性はあるということと、ここを見直さないからといって株主権の確保に大きく寄与するということにはならないのかなと思っております。期限を見直して実質的な議論の時間をきちんと確保した上で、その他の様々な株主権については配慮して、全体として双方向の対話ができていくような形になることが望ましいのではないかと考えます。従って、時間軸を広げていくことも検討の余地には入ってくるのかと考えます。   三つ目の業務執行事項に関して、今回の見直しにおいては変更なしを支持いたします。業務執行は本来取締役会の責務であり、定款変更の形式をとった介入を整理すべきという方向性には非常に賛同するところであり、あわせて、記載義務についてもそのとおりだと思います。一方で、経営介入のみならず株主の問題意識を表明するという機能も有している面があり、この機能を損なわないような制度設計が必要であろうというところ、それから、業務執行事項に関する定義付けも困難であるという点を考慮したものです。   あとは個数要件の廃止ですが、内田委員が御指摘になった、思想信条に関わるような、意見を知らしめたいというような提案の減少がどれぐらい負担の軽減につながるかについて確認する意義があるのではないか、さらに、実際の執行へのインパクトという点では、可決されて影響を与えた例というのは決して多くないと承知しておりますので、もう少し時間を掛けて議論してもよいのではないかと考えております。   あわせて、業務執行に関する提案を絞り込むという議論を進めていくうえでは、是非勧告的決議の導入も考慮しながら進めていただけたらと考えております。勧告的決議は拘束力を持つものではございませんが、株主による意思表明、それに対する支持を可視化する枠組みとしては相応に有効であり、導入に当たっては株主の意思と取締役会での裁量というバランスをどうとっていくかという、それなりに大きなテーマになるのかなと考えています。今回の部会のスケジュール感ではややこれは難しいかと思いますが、是非今後議題にしていただきたいというところがございます。   それから、株主総会の招集請求権を3%から5%に引き上げるという点は、実際の効果についてもう少し議論してもよいのかなと思っております。部会資料及び様々な報道等を拝見すると、濫用が多いのでハードルを上げればいいというふうに見えかねないことに加えて、短期的な利益の追求についても、様々な意図を持った参加者がいてこそマーケット機能が発揮されるという点を含んでいただいたうえで、書きぶりについて御配慮いただけるといいのではないかと感じました。   一方で、株主総会の開催はコストが掛かるので閾値を上げた方がいいという御指摘は説得力があり、このような内容で理由付けを明確にすることに加えて、実際に5%としたときの帰結、例えば時価総額の小さい会社が狙い撃ちに合うリスクであるとか、そういったところも併せて御検討いただけるといいのではないかと思いました。 ○神作部会長 どうもありがとうございます。 ○矢野幹事 第5について全体的にお話しさせていただければと思います。   まず、1の1%のみとすることについては反対いたします。補足説明の表1、2について最大の会社等が違っている、一緒ではないということについては事務当局から御説明いただいたとおりかと思いますが、私も自分自身で算定してみたときには300個なら約2億円、1%だと3,800億円弱といった形で、2,000倍近く離れていた会社もありまして、ここまで変更しなければならない立法事実はないとは思っています。1%未満の株主からの提案が支持が低いというのは事実かと思いますけれども、一方で、それでもなお可決された例があるということからしますと、絶対に不適切だとまではいえないと考えております。また、諸外国との比較でも、何千億円を求める国はないのかなと思いますし、個人的な意見を申し上げますと、何度か申し上げましたとおり、個数以外なら金額基準が適切ではないかとは考えていますけれども、そこが難しいということでしたら、個数要件の併用はやむを得ないのではないかとは思います。その他として社外取締役の過半数といったところの要件は出ているのですけれども、これは独立性があるとも限らないということと、提案することそのものを禁止するという理由にはならないのかなと思っておりますので、1に関しては適切ではないとは思います。ただ、この点は3の方でまた述べたいと思います。2については異存はありません。   3、4については、パブコメ後に提示されたものとなるとは思っていまして、特に4関係のところの立法事実の関係の調査とかもあるのですけれども、これらについても新しいところ、再度のパブコメというのもあり得るという意見が弁護士会内であるということはお伝えしておきたいと思います。過去の例でも、平成29年に民法の相続関係部会に関しては、恐らく追加で2回目のパブコメを実施しているという例もあるとは認識はしております。   その上で3、4の中身についてお話ししたいと思いますが、3の業務執行の範囲については、やはり原則的には定義付けを与えるのが非常に困難な中で、こうした制限を与えるというのは非常に難しいと感じているというのは従前のとおりです。そもそも論で言いますと、取締役との契約は委任契約ですから、その範囲を制限することは法律上自由なはずで、それも定款変更で、しかも解任ができるレベルで決めるということがどうして駄目なのかというのは若干、理屈上もよく分からないというところがあるのかなとは思ってはいます。また、業務執行の範囲というのは得てして会社の目的と密接に関連するということになっていまして、会社が何をするのかということは株主が決めるべき正に根幹、株式会社の存在意義そのものではないかと思いますので、そこをなぜ決められないのか、諮ることもできなくなるのかというところは、なかなか整合性がとれていないのかなとは思います。その点は置くとして、少し内容について申し上げますけれども、この論点はまだ弁護士会内でも十分に議論はできていないのですけれども、現時点までのところでは、やはり表の1、2、3といったところが実務上、非常に区別ができないというところで、実際導入したとしてもワークしないという意見が多数を占めているのかなとは思っておりまして、このままだと少し実務運用としては困るとは考えています。   その上で、少し別の案というか、個人的な意見にはなりますけれども、少し申し上げたいと思います。実は内田委員がおっしゃったお考えと同じような考えでありまして、たまたま同じ御意見を申し上げることになりまして、驚いているところです。(注2)の考えをもう少し進めまして、私は執行と監督が完全に分離されている会社であれば、執行者を監督する者において執行者に委ねる範囲を決めさせる、つまり総会に諮るかどうかを決められるという立て付けはあり得るかもしれないと思ってはいます。そうした会社はどんな会社かというと、やはり指名委員会等設置会社で社外取締役過半数といったものがそれに当たるだろうとは思いました。ほかのタイプだと少々分離が十分でないというところと、単に社外だというだけだと独立性の問題があるので適切ではないと考えておりまして、会社法には今ない概念ですけれども、独立社外が過半数であれば社外取だけで決めるというのはあり得るのかなとは思っております。   理論上のところは、定款変更で業務執行の範囲を制限するというのは、株主から見れば定款を通じた執行者の監督という面がありますから、そうした面から考えるとし、既に執行から独立した執行者の選任も含んだ監督権限を持つ者がいるということであれば、株主からの監督は二重の監督となって効率が落ちるということで、監督の部分は監督者に任せるということならあり得るといった背景の考えになります。監督者の方で執行者への制限についても、総会で意見を聴いて決定すべきだと考えれば諮ればよいですし、そうでないと思えば諮らないとして、諮らなかったと記載して説明して、あとはその監督者の今後の選任の可否だけで株主が判断すればいいといえるのかなと。こうした形だったら、誰の提案とかそういったものを余り考えなくて、業務執行の定義に当たる、当たらないといった問題も一応回避できるのではないかということを考えてはいました。次の第3部とも関係しているというところと、指名委員会等設置会社自体がそれほど多くはないという現実からしますと、小さく実施することができて、効果も検証することができるといったところもあるという面は申し添えておきたいと思います。あと、保有期間の延長については、ここだけ延ばす理由は余りないかなと思っていますので、消極で考えています。   あと、4の招集請求権の要件の5%については、現時点では反対の意見を持っております。元々裁判所の許可を得て開催しているというわけですから、裁判所の許可事例の中で、申立人の保有割合が3%以上5%未満の例で不当な申立てといえる事例があるとも思えないというところで、立法事実がないように思うからになります。この割合の間での不当な事例の有無を知りたいというのが正直な感想でして、そこら辺の調査だとかパブリック・コメントみたいなものが必要なのかなというのは少し感じているところです。株主によって招集されることで経営が攪乱されてしまう会社があるとなると、逆に株主が招集を求めている理由にそれなりに根拠があるのかなといううがった見方もしてしまうところで、やはり実例の有無というのをもう少し調査をしていただきたいというのが正直な感想です。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○松中幹事 追加で失礼いたします。行使期間についてですが、今回多分バランスをとってこういう提案がなされているのかと思うのですが、議事録を見る限り、令和元年の時にも似たようなことがあったのではないかと思います。実際に時間的な制約が狭まるような事情はある中で、こういった余り理屈ではない一種のバランス論で、行使期限を厳しくすることを今回もまた見送っていいのかというのは少し疑問に思います。もしバランスがおかしいというのだったら、行使期間ではなくて別のところがやりすぎなのではないかとも考えられますので、行使期間は独立で考えて、これ自体が必要であるかを考える方がよいように思います。行使期限については、私は、実務のニーズというのは比較的明確に示されているように思います。少なくとも招集請求のところに比べると、より具体的な数字などが出ていると思いますので、ここは少し分けて、ほかのものはともかく、ここはやるというのがあってもいいのではないかと思います。   もう一つは招集請求のところなのですが、理由付けがおかしいという意見は既に出ておりまして、もう一つそこに加えるのであれば、短期的な利益追求というのは余りいい着眼点ではないように思います。さらに、本当にそれを問題にするのであるとしても、権利行使をするまでの保有期間が幾ら長くても、権利行使した後にすぐ売るということはできるわけで、事前の継続保有期間自体を短期、長期の利益に絡めて考えること自体が実は余り適切ではないのではないか、ヨーロッパの一部の株主権の制約などでもそういう部分はありますけれども、そもそもおかしいのではないかと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○齊藤委員 私も意見を申し述べさせていただきます。まず、前の議題に若干戻るのですけれども、会議体としての株主総会の運営の在り方について仮にみなし成立の制度を入れるとすると、①案であれ②案であれ、それを利用できる会社では、多くの泡沫提案はみなし否決の扱いになるのではないかと思われます。その点で株主と会社との間の対話が一歩後退する中で、株主提案権について今回提案されている事項全てを取り上げると、全体として日本の会社法は急に少数株主に対して非常に警戒的、アンフレンドリーになります。言い換えると、先ほどの議題も含めて全体としてのバランスというのを考えなければいけないのではないかというのが1点目の意見でございます。   二つ目なのですけれども、社外取締役過半数という要件の御提案が出ているのですけれども、社外取締役過半数という状況に、だんだんと多様な期待が寄せられてきているように思われるのですが、果たしてそこまでの役割を果たせるのかという点を考えないまま要件とするのは慎重であったほうがよいのではないかと思われます。そのような会社は、ガバナンスについて多少意識の高い会社であるとはいえるかもしれないのですけれども、会社ごとに社外取締役も含めて取締役会の構成はさまざまで、いろいろなガバナンスの機能があるものと扱うことには限界があるのではないかと思われます。特に、取締役は通常は株主の多数派の信任を得た立場でございまして、株主提案の制度で配慮されることになっている少数株主の立場を必ずしも代弁すべき立場ではないという点に鑑みましても、株主提案権の制度において社外取締役過半数という要件に大きな意味を持たせるのは慎重であるべきではないかと思います。他方で、取締役会の権限に着目する、例えば指名委員会等設置会社の経営機構は執行役に大幅な権限委譲をすることを前提としておりまして、取締役会の意思決定権限も制約され得る建て付けになっていますので、株主総会の位置付けも変わってくるという整理の仕方はあり得るのだろうと思います。   次に各論なのですけれども、議決権300個要件を廃止してよいか、引上げなどにとどめるかという点ですが、頂いた資料を見る限り、スタンダード、グロースにおきましては影響は相対的には少なく、プライムの会社において300個の廃止により、権利行使の可能性が制限される度合いが非常に大きくなるという点をどう考えるべきかということになろうかと思われました。逆に言いますと、プライムなどにおきましては、議決権数や投資金額による要件を設けても、ごく僅かな割合を持っている株主に権利行使を認めることになるので、そのような株主に株主総会における事実上の発言権を保障することの意義、という問題になるのだろうと思われます。株主に発言の機会を保障することは非常に大事なことであるとは思われますが、株主総会は資本多数決に基づいて決定する場であって、個人的な思想信条の表明の場ではなく、各株主の思想や信条は、特に今日は、様々な他のチャンネルを通じて会社に伝えることが出来ますので、株主提案権は、割合の基準に寄せまして、大幅な制限となることを緩和するために、パーセンテージを下げるという北村委員の御提案などが一つの案として考えられるのではないかと思われました。   次に、業務執行事項に係る定款変更議案につきましては、日本の会社法上、業務執行かどうかで株主総会の権限を区別する発想を持ち込むのは整合的ではないと申し上げてきたのですけれども、今回、株主提案の内容をカテゴライズして制限するという案を出してきていただいていて、本当に事務当局の方々の御苦労に感謝申し上げる次第でございます。さはさりながら、会社の利益を害するおそれが大きいものとして挙げられている①、②につきましても、仮に定款変更が成立するほどの多数の賛成があるのであれば株主の意思を尊重するべき場合はあるように思われまして、例えばサステナビリティ関係の問題がある取引先との取引を取り止めることは、ヨーロッパにおいては法レベルで要求されていたぐらいでして、およそ外部的な制限は無理だと性質付けられるものとも言い切れないように思います。つまり、いろいろお考えいただいてはいるのですが、会社の利益を害するおそれがあるかどうかというような線引きは難しいのではないかという印象を持った次第でございます。   日本法で考えられる区分けとして、会社法第362条第4項の重要な業務執行の範囲につきましては、多少なりとも従来から議論が蓄積しており、それに含まれない事項は取締役会の判断で経営陣に委任してもよいとこれまでもされてきたものなので、株主は立ち入ることはできないと切り分けることはあり得るのだろうとは思いますけれども、更に解釈論が混乱するように思われますので、積極的にそのような案を採用すべきであるとは個人的には考えておりません。   最後に、招集請求権の持株要件の引上げなのですけれども、2%引き上げたところで現在の御提案を支持されている方々の懸念が解消されるのかがよく分からず、法政策としては大量保有報告書の閾値を3%に引き下げるという選択肢も検討すべきことでもあるように思われまして、なぜこれが望ましい改正となるのか、もう少し明らかにしていただけるとありがたいと思いました。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。 ○藤田委員 部会資料の「第5 株主提案権等に関する規律の見直し」のうち、1と3、4について意見を申し上げます。   まず株主提案権について300個要件の廃止が提案されておりまして、私も300個要件の廃止自体は賛成ですが、多くの委員の感触と同じように、単純に1%要件に一本化するのではなくて、何か別の要件を入れられないかと思っております。ただその前に、この提案の前提となる考え方について若干申し上げようと思います。パブリック・コメントで300個要件の削除に相当反対があったこともあって、300個要件を含め、株主提案権が昭和56年改正の時に導入されたときの議論などを見直してみました。300個が入った理由として、これがないと、せっかく株主提案制度を設けても、個人株主は提案できなくなるということが非常に強調されていました。つまり56年商法改正の際には、個人株主が株主提案できることそれ自体に一定の価値があると強く信じられていた節があります。個人株主が参加することが株主総会の風通しをよくすることにつながるということが言われ、また御承知のように総会屋に対する利益供与規制の導入とも併せて、そういう方向での株主総会の改革が志向された改正だったということになります。個人株主が提案できることそれ自体に一定の価値が認められていたということで作られた制度である以上、パブリック・コメントでも、300個要件の削除に対して個人投資家から反対が出たのは当然の帰結ということになります。   ですから、まず考えなければいけないのは、昭和56年商法改正当時の政策判断を今維持すべきなのかということです。これを申し上げると議論が紛糾しそうなので、これまであまり申し上げないできたのですが、やはりその政策判断そのものを今現在我々は支持しているのかという態度決定が必要だと思います。もし維持すべきだというなら、300個要件には手を付けないか、せいぜい小規模な個数の引上げにとどめるしかできないはずです。しかし、今日投資家との建設的な対話とか投資家の判断の重要性ということは強調されており、そういう意味では株主の権利を一層尊重するようになっているとも思えますが、それはかつて言われていた、個人株主が提案できることで総会の風通しがよくなるといったこととは随分違った内容だと思います。だから、そういう意味で個人株主が提案できることに影響が出るということのみを強い根拠として300個要件の修正を反対すべきではないと思いますので、そういう意味では、この要件は廃止の方向でいいとは思っています。  ただ、それでは議決権の1%基準だけに一本化すべきかと言われると、今度は別の懸念が出てきます。上場会社の一部については個人株主に限らずあらゆる株主との関係で余りにも提案が難しくなりすぎ、事実上株主が総会のアジェンダ設定に関わることがおよそできない会社が出てくることになるが、それでいいのかが問われることになると思います。実際、諸外国の株主提案権の規制でも、議決権割合一本にしている国ばかりではなくて、何らかの絶対基準が入っている例は少なくないです。だから、個人株主が提案できるようにするということとは別に、一部の上場会社において、相当巨額の投資をしていてもおよそ株主提案ができなくなるというような結果にならないようにするという観点から、何らかの規制は考えた方がいいのかもしれません。   それをどういう形で導入するかは難しいのですけれども、例えば、最低投資額要件を金銭基準で入れるというのが一番簡単だと思います。こうすると金銭を幾らにするかということに加えて、投資家の投資した金額というのをどうやって算定するかといった問題も出てきて、面倒は面倒なのですが、例えば、直近の貸借対照表上の1株当たりの純資産額に持株数を掛けるといったやり方で形式的に計算するといったことが考えられます。そのような金額基準が一番直截かと思いますが、それ以外に、どなたかが提案された1%を下回る議決権基準ということも選択肢としてはあるのかもしれません。   これに対して、社外取締役の要求といった要件を要求することの適否は、よく分かりません。そもそも一般論として、株主自身によるガバナンスと独立性の高い取締役会によるガバナンスの関係というのが余りよく分からないところがあります。この二つは世界的にも企業のガバナンスの強化の方向性として近年、強く言われてきたことです。しかし、独立性の高い取締役会は、株主自身はコントロールできないから導入されたメカニズムなので、本来は、株主自身によるガバナンスとは余り相性はよくないはずなのに、両方が同時に提唱されるものですから、どういう関係にあるのかが気になります。一般論としては代替的になる面ももちろんあるでしょうが、どういう事項については代替的という整理が説得力があり、どういう事項については重複することに意味があるのか、また株主提案は代替的な場合であるとしても、株主提案の要件で最低金額要件などに取って代わるような機能が期待できるのか、さらに後で出てくる業務執行事項の提案制限との関係でも、独立性があれば株主の声を取り上げなくていいとなるような話なのか、その辺りが直ちには判断できないため、金額要件等の代替になるかどうかは分からず、差し当たり社外取締役の要件を加えるだけで、議決権1%に一本化するということについては、今のところは消極的です。   業務執行事項の提案の制限ですが、元々こういう改正はしないという意見がこの場の多数で、私もそう申し上げてきました。その理由は、業務執行事項の範囲が曖昧で濫用されるおそれがあるというのが主たる理由でした。今回、業務執行事項として省令に定めなければならない事項の範囲の決定が、これまでの議論から分かるように面倒で、しかも意見が分かれるということから、ますますそういう感を強くしてきているのですが、どうしても導入しなければならないということを前提に議論するとすれば、立て付けとしては現在の提案が一番無難な気がしています。   そもそも業務執行事項についての定款変更議案を制限するという場合には、三つぐらいのやり方があります。第1は、そもそも総会で決められる事項を限定し、業務執行事項はおよそ総会のアジェンダではないから提案できないとすることです。ドイツ法はそのような規制をしています。第2は、業務執行事項についての株主提案も取り上げて決議しなければならないけれども、その決議には法的拘束がない勧告的決議という扱いにするというもので、アメリカでは、これに近い扱いになっているようです。第3が、現在の提案のように、業務執行事項のうち一定事項にかかる提案については、株主提案を取り上げることを拒絶できるとするというものです。  第1の権限分配で処理するのは、現行の会社法第295条第2項の規律自体の変更を含む現行法の根幹にかかわる大きな改正ですので、業務執行事項の意義等についてより厳密な議論をしなければいけなくなると思います。そもそも業務執行機関と株主総会の間の権限分配として、業務執行を取締役会の権限だということ自体はほとんどの国の会社法で共通するのですが、問題はそこではなく、株主総会で決議をしてもその分配を変えることができない強行法規としてそうするかということがここでのポイントです。その点では、むしろドイツなどの方がユニークなのかもしれず、それが望ましいかどうかも自明ではないと思います。いずれにせよ、こういうやり方をとるなら相当丁寧に根本から検討しなければいけないことになります。   第2の、業務執行事項にかかる提案も決議しなければならないとしつつ、法的拘束力のない勧告的決議とすることには、実は私もそれなりに魅力は覚えているのですが、やはりかなり大掛かりな議論が必要になります。まず、この方向で問題を処理しようとすると、対象は定款変更議案だけではなくなります。つまり、現行法上、取締役会設置会社における法定決議は総会の決議事項に限られるため、業務執行事項について、無理に定款変更という形をとって提案してくるわけです。ところが勧告的決議を求める提案として認めるというなら、そんな形に限らず、もっとストレートに特定の業務執行をやりなさいといった提案が出してくるでしょうし、そういう提案全てを必ず取り上げて決議しなければいけないのかということが問題になってきます。また業務執行事項について勧告的決議を義務付けるとすると、業務執行事項以外であれば勧告的決議を自由に拒絶できて、業務執行事項になると突然取り上げられなければいけないのはなぜですかということになりかねません。特に、現行法の下では、以前勧告的決議によって導入された買収に対する対応方針を撤廃することを株主が求めることはできないとなっていますが、そういうことの可否までアジェンダになりそうです。勧告的決議としてなら業務執行事項は取り上げなければいけないとすると、こういう提案についてもバランスを考えなければいけなくなったりするからです。こういうことも含めて、勧告的決議について在るべき規律を一般的に考えることは望ましいし、やるべき作業だとは思いますが、これはこれで相当大きな問題になると思います。むしろ勧告的提案の規律は、業務執行事項うんぬんということに限らない形で、将来的に長期的に検討していった方がいいと思います。   そうすると、残りの検討時間を考えると、消去法的に今提案されているような方向ぐらいしか実現可能性はないと思います。この提案は、私の理解では、業務執行だから駄目というより、株主共同の利益を害するおそれのある濫用的株主提案の規制の一種という枠組みの中で、限定された事項については類型的に提案権の対象から外すという形で、辛うじて現行法の枠組みを大きく変えないまま取り入れられるからです。   以上前置きが長くなりましたが、部会資料に書かれた提案そのものについては、まず書き方として、提案できないと書いてあることが気になります。提案できないとすると、仮に拒絶しないで議案として取り上げ可決されたら、それは違法な決議で無効あるいは勧告的決議として決議したのだということになりかねません。したがって、ここで規定しているような事項については、提案してもいいけれども、取締役会で決めれば取り上げないことができるというそういう形にして、裁量権を行使して拒絶した以上は事後的な総会でそれを説明するという形にした方がいいと思います。   次に、リストは、会社を害するではなくて、株主共同の利益を害すると言った方が表現としてはいいかもしれませんが、いずれにせよ、その中身を具体的に考えなければなりません。その際、これはどなたかの意見がありましたが、前提として、会社あるいは株主共同の利益を害するということの意味は二つあり得て、万が一でも提案が通ったら大変だという意味で害するということなのか、どうせ否決されるけれども些末な思い付きに付き合わされるのが大変だという意味で害するなのか、いずれを想定するかは、はっきりさせる必要があると思います。そのことが規定の必要性だとかリストの作り方に影響を及ぼすからです。取り上げるに値しないような些末な濫用的提案の対処が問題だということを言うなら、そういった現象はそもそも業務執行事項に限られた話ではありません。そういうおそれに対応する規制は令和元年改正で要綱に入れたものの、国会段階で落とされたため、依然規制は欠けているのですが、今回株主提案に関する300個要件を削除すると、令和元年改正で意図した、取り上げるに値しない些末な濫用的提案の多くは、より効果的に排除される可能性が高いかもしれません。そうすると、むしろ今回の業務執行事項の提案の目的は、万が一でも通ったら大変だという意味で害することに対する対処だと考えることになるでしょう。恐らくリストの提案の背後にある発想もそういうことなのだと思いますが、万が一でも提案が通ったら大変な弊害が出るということなら、そういうおそれが明白なものについて限定的に省令で列挙する、差し当たりはそういう形で暫定的にこの問題については対処するというのが方針になるのではないかと思います。   その上で、積極的に害する方向でカウントされる要素は、将来の経営の自由を過度に制約して、しかも定款なので、変更してしまったら再度変更するのも難しいため、間違って導入してしまったら取り返しが付かなくなるというのが株主共同の利益を害する方でカウントすべき要素で、他方、消極的にカウントする要素としては、監督のために必要なもの、例えばガバナンスの根幹に関わるものだとか、そもそも業務執行的な性格はあっても、デフォルトだと総会に諮って株主の意思を聴くことになっているようなものについてはやはり制限できない。このように、株主提案を拒絶できる業務執行事項について、複数の指標によって詰めていって、定款で規定することで明らかに害がありそうなものを拾っていくというのが基本的な方針となると思います。   それで行くと、部会資料記載の表の中では、①、②、⑤辺りが拒絶できる提案の候補となって、その他はもう少し丁寧に考える必要があるように思います。⑥などは、個別報酬を一任決議する場合の報酬委員会の設置などは提案できてもいいように思いますが、他方、純粋な投資判断の委員会を作れという話はまた別のような気もしますし、開示については対象次第で考える必要があるのだとは思います。いずれにせよ、些末な提案への対処の手間ということではなくて、万一通ったら大変だという意味で株主共同の利益を害するおそれという観点から、そのようなおそれが明白なものをこの中から拾って限定的に解釈していくという形で運用して、暫定的、短期的に対応する。要綱のとりまとめまでの短い期間でできる対処としては、そのぐらいしかないと割り切るしかないように思います。   4の臨時総会の招集要件を3%から5%に上げることは、ヒアリングの回の際に、濫用的な臨時総会の招集がこの規制で効果的に抑止できるかはよく分からないのではないですかという質問をしたのですが、今でもそれは同じです。ただ、積極的に提案に反対するかと言われると、株主提案と比べると費用、手間が圧倒的に掛かるものですから、それより重くすることが発想としておかしいという意味で、立法事実の有無やこのような規制の有用性ついてはいまだ疑問もありますけれども、あえて反対するほどおかしな提案とは思わないという意味で、消極的に支持したいと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   ほかに御発言の御希望はございますでしょうか。   よろしいですか。予定した第3セクションについての意見交換は残りましたけれども、約束の18時になりましたので、本日はこれで終了にしたいと思います。意見がいろいろ分かれたところもございますけれども、方向性が見えてきた論点もあったかと思います。意見が分かれたところについては、おそらく改めて議論するチャンスがあろうかと思いますので、そのときにまた議論していただければと思います。   それでは、次回の議事日程等について事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○宇野幹事 次回の日程ですけれども、8月26日水曜日、午後1時から午後5時30分までを予定しております。場所は法務省地下1階大会議室を予定しております。   次回の会議では、本日御議論いただいた部会資料14の残りの御議論は当然いただこうと思っておりますけれども、その他に何を取り上げるかは、本日の御議論も踏まえて、またよく検討したいと思います。 ○神作部会長 どうもありがとうございました。   それでは、これをもちまして法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第16回会議を閉会とさせていただきます。   本日も大変熱心な御議論を頂き誠にありがとうございました。 ―了―