法制審議会 刑事法(犯罪被害者関係)部会 第2回会議 議事録 第1 日 時  令和8年9月10日(木)   自 午後3時33分                        至 午後5時57分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  1 ヒアリング         2 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○松島幹事 ただいまから、法制審議会刑事法(犯罪被害者関係)部会の第2回会議を開催いたします。 ○酒巻部会長 本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。   本日、荒木委員、川出委員はオンライン形式により出席されています。また、吉田誠幹事は所用のため欠席されています。   議事に入る前に、前回の会議以降、幹事の異動がありましたので、御紹介させていただきます。   中山仁氏が幹事を退任され、新たに宮内彰久氏が幹事となられました。   宮内幹事、自己紹介をお願いいたします。 ○宮内幹事 警察庁刑事局刑事企画課長に着任いたしました宮内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○酒巻部会長 第1回会議を御欠席された井上正仁関係官にも、自己紹介をお願いしたいと思います。   井上関係官、お願いいたします。 ○井上関係官 法務省特別顧問を務めております井上と申します。よろしくお願いいたします。 ○酒巻部会長 次に、事務当局から、本日お配りした資料について説明をしてもらいます。 ○松島幹事 本日、ヒアリング関係の資料として、ヒアリング出席者名簿及びヒアリング出席者の説明資料をお配りしております。   ヒアリング出席者名簿については、あらかじめ申出を頂いた参考人の方の氏名を匿名としております。そのほか、片山様、武様から配布の御要望があった資料について、机上配布資料としてお配りしておりますので、適宜御参照ください。 ○酒巻部会長 それでは、議事に入りたいと思います。   本日は、お配りしたヒアリング出席者名簿に記載されている4名の方々からヒアリングを行うこととし、ヒアリング出席者名簿に記載の順に、それぞれ、15分程度お話を伺った後、10分程度委員・幹事の皆様からの御質問にお答えいただくという流れで進めさせていただきます。   それでは、始めます。              (参考人入室)   一人目の方はA様です。   部会長を務めております酒巻でございます。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御協力いただき、誠にありがとうございます。   この場では、お名前をお呼びさせていただきますが、A様からは、あらかじめお申出を頂いておりますので、公表が予定されているヒアリング出席者名簿や議事録におきましては、お名前をA様とさせていただきます。   ヒアリングの進め方については、まず、A様から15分程度お話を伺い、その後、委員・幹事の方から質問があれば、10分程度御質問させていただきたいと思います。   それでは、よろしくお願いいたします。 ○A参考人 ただいま御紹介いただきましたAと申します。どうぞよろしくお願いいたします。   まず初めに、このような機会を頂きまして、私どもの思いを聞いていただけるということに、大変感謝申し上げたいと思います。   では、よろしくお願いします。   5年前、私の一人娘は高校3年の夏休みの終わりに、20代後半の夫婦に誘拐され、監禁され、山奥で殺害されました。首を絞められ、何度も刃物で刺された、余りにも残虐な犯行でした。   事件の前日までは当たり前の普通の幸せな家庭でした。愛する娘の成長だけを願っておりました。突然襲ってきた余りの不幸に、私たちは生きる希望をなくし、絶望し、家に引き籠もりました。   事件のあった深夜に警察署へ呼び出され、夜明け前まで警察署で本人確認や事情聴取があり、心神喪失の状態で外へ一歩踏み出した瞬間、数え切れないカメラや記者に囲まれ、目がくらむばかりのフラッシュをたかれました。うつむき、逃げるようにその場を去りましたが、あのときの光景は忘れることができません。   帰宅後も、眠ることも何もすることもできず、茫然とする状態の中、朝から報道陣により自宅のインターホンが鳴らされました。さらには、私たちの絶望を無視するように、テレビのニュースは、どこから手に入れたのか娘の写真と実名を競うように流し、私の娘を日本中にさらしました。   その後も毎日家を取り囲み、望遠レンズで自宅を見張り、私たちは更に追い込まれました。私たちは人前にさらされる恐怖に家から出ることもできず、社会から逃げ、積み上げてきた会社でのキャリアも放棄せざるを得ませんでした。   事件後、妻は娘の被害を連想させるのか、包丁も持てなくなり、5年たった今でも料理は私がしています。   私も妻も人と会うこともほとんどなくなり、病院やカウンセリングに通うため外に出るときは、深く帽子をかぶり、マスクをして、社会から隠れるようにひっそりと暮らしています。   犯罪被害者というものを、それまでもニュースで見聞きしたことはありました。画面の向こう側の話でしかなく、まさか自分の身に降りかかるとは思ってもいなかったのが、正直なところです。   犯人が検挙された後は、公判に向けての準備は淡々と進んでいきました。刑事裁判に対する知識はテレビドラマぐらいで見るしかなかった私たちにとって、現実は思っていたものとは違いました。   刑事裁判に参加して最も感じたのは、被害者遺族は余りにも無力だということです。検察は私たちの恨みを最大限晴らしてくれるものと思っておりましたが、現実は違いました。もちろん、検察官は検察官の立場で一生懸命やってくれたとは思います。しかし、公判が始まる前に検事から言われた、「必ずしも被害者遺族の希望どおりにはなりません」という一言が、私の胸に深く突き刺さりました。そのとき初めて、検察は被害者の立場で公判に臨むのではなく、国家の立場で淡々と公判に臨むのだと知りました。そして、私たち被害者遺族は、飽くまで被害者参加人という形で法廷に出席するだけで、申し訳程度に意見陳述と質問をしましたが、法廷での裁判は、裁判所、検察官、被告の弁護人が、脚本構成したテレビ番組が進行するように感じられました。   裁判のほとんどは、加害者の刑を軽くするためのように行われているようでした。犯人の、加害者の弁護人は100%加害者の味方で公判に出廷し、公判前整理手続の結果を踏まえて十分な準備を行い、全力で刑を軽くしようとする姿勢が分かりました。それは、検察の姿勢とは全く違うように感じられました。裁判は、あっという間に弁護側の筋書きのまま進んでいくように感じました。加害者の更生に尽力するなどと無責任に証言した被告人の証人たちが、あれ以来証言に基づいて何をしてきたのか、私には知る由もありません。そのように、公判が始まってから初めて、公判前整理手続の重要性を感じました。   当時は、いつ始まるか分からない公判をずっと耐えて待ち続けました。しかし、蓋を開けてみれば、公判が始まる前の公判前整理手続で大方筋書きは決していたのです。現状では、その整理手続は、裁判官と被告弁護人と検察官だけの密室で行われており、私たち被害者側の意思は全く反映されません。これが公平な裁判と言えるのでしょうか。私には到底公平とは思えません。   判決は、共犯の妻が懲役18年、主犯の夫が23年でした。犯罪者はたった20年で罪を償ったことになるのです。私は、人を殺したら、それと同等の死刑になるというイメージを持っていました。誘拐して、監禁して、2人掛かりで殺害して、もしアメリカだったら、死刑や懲役何百年の刑になるのではないでしょうか。日本の司法は甘いなと痛感しました。被害者の娘も私たち家族も、永遠に何もなかったことにはならないのです。娘は生き返ることはないのです。片方は死んで二度と帰ってこないのに、犯罪者はたったの20年で帰ってこられるのです。   これから先、私たち夫婦はたった1人の娘を失い、生涯にわたって何十年もつらく悲しいだけの人生を送り続けなければなりません。自分の命より大切な娘を失った私たち夫婦も、紛れもなく被害者なのです。   この判決には無念でしかなく、到底納得がいっておりません。犯罪と刑罰が釣り合っておりません。いまだニュースを見ると、残忍残虐な事件があふれていますが、日本が犯罪者に甘いから犯罪者が減らないのではないか、検察に対しては、何でそんな弱腰なのか、求刑が甘過ぎるとしか思えません。恐らく同じような被害に遭った被害者遺族は、同じ思いであることに違いありません。   公判に対して一番不信に思うこと、裁判員裁判で判決に至った議論の中身を知ることができないことです。裁判員は私と同じ立場の法律の素人のはずです。法廷で私たちの思いを直接聞いた裁判員は、自分の身に置き換えて、本当に先ほどの刑が適切だと言ったのだろうか、どのような意見が出て、どのような議論がなされたのか、裁判官が過去の判例でこういうものだと説き伏せたのではないのか。密室での議論の過程は、今の時代の流れに逆行するかのように、全くのブラックボックスだと思っております。私たち被害者は、裁判の序盤から排除されたようなものでした。   私は、娘の事件についての裁判を始めから終わりまで、どのように争点が絞られたのか、そこで加害者の弁護人がどのような主張をしたのか、フィルターのない自分のこの目で見届けたかった。警察は時間をかけ、手を尽くしていろいろなことを聞いて、いろいろな証拠を集めてくれました。裁判所に提出される証拠が絞られる過程で、公判前整理手続の議論を聞いていれば、それならこういう証拠を警察に提出していますなど言うことができたのではないかと思います。被害者遺族だからこそ、気付くことができる視点は必ずあったはずです。   例えば、私の娘は犯人夫婦に連れ回されていましたが、女性特有のいわゆる月のもの、生理ですね、こんなことを私の妻、母親だからこそ初めて気付いて、それを心配しておりました。男の警察官には思いもよらないことでしょう。   被害者遺族は法律の素人ですが、出席していれば、思うこと、感じたことを伝えることはできます。また、検事が被害者の心情に一定程度配慮をしてくれるといっても、親身になって長時間を過ごすわけではありません。残念ながら、被害者や遺族の気持ちを100%酌み取ることはできないと思います。   あわせて、被害者側の弁護士には必ず同席していただきたいと思います。今回は勇気を振り絞ってお話しさせていただくことにしましたが、当時のことを考えると、絶望に追いやられ、虫の息のような状態で、辛うじて生きている被害者遺族に、勇気も力も残ってはいないのです。私の場合は、今日こちらにおられる米田弁護士が、被害者参加弁護士として一緒に闘ってくれました。同じ方向を見て、全面的に私たち被害者の立場で闘ってくれる司法の専門家の力が必要不可欠なのです。こうしたことは、結果として、判決の内容に対しても納得感につながると思います。   今は、見えないところが多過ぎると思います。ただし、もしかしたら、出席して事件に直面するのがつらいという方もいるかもしれません。負担を感じる人まで出るべきだとは思いません。しかし、この目で見届けたいという思いのある人がいるのに、なぜ駄目なのか、確かめたいという被害者の思いを聞き届けていただきたいと切に思います。   今回、この刑事裁判において、最も重要な部分の見直しについて議論がされると聞き、今後も同様な事件の被害者の権利が少しでも守られるならと思い、つらい記憶を思い起こしてお話しすることにさせていただいた次第です。そのようなことが実現できれば、公判に対する違和感が多少なりとも軽減されると思うのです。   今日、この場に御出席されていらっしゃる委員の皆様も、私たちのような不幸が訪れることがないとは限りません。不幸は突然襲ってきます。そんなことも想像して考えていただければ幸いです。   最後に、今回、ストーカー犯罪などへの被害者参加の対象事件の拡大も議論されると聞きました。被害者参加をすることができた身としては、不満はたくさんあれど、それでも被害者参加はできてよかったと思っております。被害者参加すらできなければ、より悲惨な、つらく納得のいかない思いだったと思います。ほかのつらく苦しい事件にも、可能な限り被害者参加ができるようになるよう願ってやみません。   以上です。 ○酒巻部会長 貴重なお話を頂き、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○小西委員 大変貴重なお話を、切実なお気持ちの中でお話しいただきましてありがとうございます。   最後にお話しされていらっしゃった点ですが、被害者参加をすることができた身として、不満はたくさんあるけれども、被害者参加できてよかったというようなことでお話しされていましたが、その不満に思われた点と参加できてよかったと思われた点について、具体的にお話しいただくことができればと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○A参考人 参加でしかなかったことですかね、飽くまでも。もう検察が決めたことを淡々とやっている。私たちの思い、特に量刑に関して、何も私たちは意見も言えず、量刑というのは司法、裁判所が決めるのでしょうけれども、求刑ですね、そんなところに関しては非常に、ここにいるけれども、飽くまでも傍観者なのか、会議でいうところの陪席のような気持ちでしたね。それは非常に感じました。   ただ、いなかったらもっとひどかっただろうなと。 ○小西委員 そこに一緒に立ち会えたというようなことで、その点はまだよかったのではないかということですね。 ○A参考人 よかったです、はい。立ち会えただけよかったです。 ○小西委員 その空間で直接質問したり聞けたりしたというようなことですかね。 ○A参考人 そうですね、はい。 ○小西委員 ありがとうございます。 ○𠮷澤委員 今日はおつらい中お話しいただいて、ありがとうございました。   今の御質問と御回答の中でもありましたけれども、裁判の印象として、検察官が決めたことを淡々とやっているというふうにおっしゃっていたと思うのですけれども、これは、公判前整理手続の内容について、余り情報共有がなされていなかったのか、それともいろいろ代理人の先生を通じて話はあったけれども、まだまだもどかしい思いがあったのか、そういうところをまた、先ほどもお話あったと思うのですけれども、お話しいただけたらと思います。お願いします。 ○A参考人 正直言うと、事前に公判前整理手続とか裁判の流れというのを一通り、検察官の方たちも説明はしてくれたと思うのですよ、私たちに対して。ただ、それまで刑事裁判とか、そもそも刑法とか全く縁のなかった人間が、ざっと説明して、分かりましたかと言われても、何が重要で何がどうなっているのかなど、頭に入るわけもないですよね。   ですので、大体思ったことというのは、裁判が始まってから思うことばかりなのですよ。若しくは、そのあと時間が経ってから思うばかりなのですね。   質問の趣旨、何でしたっけ。 ○𠮷澤委員 すみません。そしたら、もうちょっとお伺いしたいのですけれども、始まって、やっとこういうことだったのかというふうに気付かれることが多かったと、そのような御趣旨でしょうか。 ○A参考人 はい、そうですね。それまでは、本当に検察、要は、検察と被害者、被害者遺族というのは、全く同じ立場だと本当に思っていたのですね、被害者遺族100%のために闘ってくれるものだと、勝手に勘違いしていたものなのですが、それがどうも違うなと思い始めたのが、公判が始まってから。すると、大事だったのはその前の公判前整理手続、そこできちっと出て意見を言えたりしたのだったら、もうちょっと公判も違ったのではないかというふうに、後で思ったのですよね。   確かに検察官の方は、きちっと検察官としての仕事はされていたと思います。でも、国家の立場であって、被害者の立場ではないなということをすごく感じた次第です。 ○𠮷澤委員 ありがとうございます。 ○田岡委員 本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。   先ほど、検察官は検察官の立場で淡々と国家の仕事をしてくれたが、被害者遺族の気持ちを反映してはくれなかったというお話がございました。   具体的に公判前に参加したとすれば、どのようなことをしてもらいたかったのかをお伺いできればと思います。先ほど、検察官の求刑に納得できないというお話がございましたので、被害者参加人としては、恐らく死刑の求刑をしてほしかったということだと思うのですが、検察官の求刑について、被害者の意向を反映してほしかったということなのでしょうか。 ○A参考人 そうですね。最初の方、途中でも申し上げたと思うのですが、我々としてはもう極刑以外考えられない。これは被害者の遺族ですから、当たり前と言えば当たり前かもしれませんし、実際にどのくらいの刑になるかなんていうのは知る由もないのですよね、過去の判例とかも、調べれば分かりますけれども。でも、そんな中で検察官から、いや、被害者の遺族の思いや気持ちはあれど、御希望に沿えるような形にはなりませんって言われましたので、それは、もう既に被害者の言ったことをそのまま公判に出してくれるのではなく、検察が決めたもので公判に臨みますというふうに、私は受け取りました。 ○𠮷澤委員 追加でよろしいですか。   今の点なのですけれども、恐らく公判期日においては、被害者参加弁護士が死刑を求めますという求刑の意見を言ってくださったと思うのですが、それでも、検察官にも被害者の希望する求刑をしてほしいと、そういう御趣旨になるのでしょうか。 ○A参考人 そのとおりです。 ○宮下委員 本日は、つらい記憶を思い起こされながら貴重なお話、本当にありがとうございます。   量刑に対する御不満を述べられていたと思うのですけれども、例えば、実際に法廷に提出されなかった証拠の中で、もしこれを出してくれていれば量刑に影響を与えていたかもしれないなと思われたような経験はございますでしょうか。   先ほどお嬢様の月経のお話もされていましたので、もしかしたらそういった御趣旨なのかなと思ったのですけれども。 ○A参考人 幾つかあったと思います。ただ、出てきた証拠も、別にそれは間違ってはいなかったので、どれが本当に我々からして有利、裁判を有利に進めるのかというのは、ちょっと正直言って分からない、素人では分からない。検察が考えた上で、これが重要だろうと思って出したのだろうなとは思います。   ただ、その証拠を選ぶ前段でいないので、議論はしていませんので、そこでもし、これはどういう趣旨ですかとかということが聞けたのなら、違ったのではないかなという思いはあります。 ○宮下委員 ありがとうございます。 ○米田委員 事件直後は、御自宅に引き籠もるような格好になっていたということで、検事との打合せもそこまでできなかったと思いますけれども、例えば、公判前整理手続が開かれ、同席できますということだとすると、その期日に出向くことは、御自身可能であったと思われますか。 ○A参考人 これはすごく、そのときの、本当にいろいろなことがもうごちゃごちゃになっている頭の中で、心神喪失で冷静に判断できたかは分からないのですけれども、やはり娘のために親としてできることの一つではあったと思います。 ○米田委員 なので、恐らく頑張って裁判所に出向いて期日に出席されたであろうということですね。 ○A参考人 はい。 ○米田委員 ありがとうございます。 ○久保幹事 本日はつらい気持ちを、勇気を振り絞って共有いただきまして、ありがとうございました。   幾つかお伺いします。先ほど、後から公判前整理手続に参加すればよかったという思いを抱くようになったというお話がありましたが、そもそも公判前整理手続に出席するという選択肢を当時、例えば公判前整理手続の段階で検討をして申入れをしたけれども駄目だったということなのか、そういうこともそもそも思い付きもしなかったということなのか、いずれでしょうか。 ○A参考人 思い付きもしないですね。 ○久保幹事 ありがとうございます。   もう幾つかお伺いします。先ほど、事前に証拠についての具体的な、こういう証拠を出しますよとかという説明があれば、また違ったのではないかという御趣旨の御発言があったと受け止めました。例えば、検察官の方から、公判前整理手続の外の場で、こういう証拠は出すのだけれども、いただいていたこういう証拠は出せないのですよとか、こういう意味で絞ったのですよと、そういう説明があれば、受け止め方も違ったのではないかと、そういう御趣旨でしょうか。 ○A参考人 そうですね。こういう理由でこれは出せないのですよって言われたら、相当食い下がると思いますけれどもね。それは、そういう理解でよろしいかと。 ○久保幹事 それも含めて、もっと検察官とのコミュニケーションの場があれば、受け止め方が違ったのではないかと、そういう今思いを抱いているということですね。 ○A参考人 はい。 ○久保幹事 ありがとうございます。   それから、また別の点についてお伺いします。資料の中にもありました、「一番は裁判員裁判で判決に至った議論の中身を知ることができないことです」というお話の御趣旨として、やはり評議を傍聴したかったという御趣旨になるのでしょうか。 ○A参考人 傍聴というのは難しいかもしれないと思っております、そもそも。被害者、そうすると、そこはそこで議論が進まなくなるのではないかなとか、そこに参加したかったというよりは、参加できれば一番いいのですけれども、そこで裁判員がどんな意見を出して、例えば、私だったら、いや、それは少なくとも30年ではないですかとかというふうに、一般の人間だったら言うと思うのですよ、余りにもひどいではないかと。   ただ、恐らく裁判官の方たちというのは、過去の判例に照らして、いや、これとこれとこれにほぼ近いからこのぐらいですよって、多分そんな話になっていると思うのですね。もしそれで裁判官が寄り切っているのだったら、裁判員の意味が全くないですよね。   だから、そういうところを、名前は伏せたとして、こういう議論がありましたと、最終的には、こういう理由でこの判決に至りましたということが知りたいですね。 ○久保幹事 ありがとうございます。そうすると、例えば、判決の中で、こういう反対意見もあったのですよという議論の経過をもっと詳しく説明があれば、受け止め方が違ったのではないかということでしょうか。 ○A参考人 違ったと思います。 ○久保幹事 ありがとうございました。 ○酒巻部会長 それでは、A様のヒアリングはこれで終了とさせていただきたます。   A様、本日は、貴重なお話を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。   お話しいただいた内容につきましては、今後の審議に役立ててまいりたいと思います。              (参考人退室)              (参考人入室) ○酒巻部会長 二人目の方は、片山徒有様です。   部会長を務めております酒巻でございます。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御協力いただき、誠にありがとうございます。   まず、片山様から15分程度お話を伺い、その後、委員・幹事の方から質問があれば、10分程度御質問させていただきたいと思います。 それでは、よろしくお願いいたします。 ○片山参考人 よろしくお願いいたします。   私は、今御紹介いただきました片山徒有と申します。被害者と司法を考える会の代表を務めさせていただいております。   私は今回のお話を聞いて、自分の考え方を言葉にするのにすごく勇気が要りました。と申しますのは、被害者問題について、2000年ぐらいからいろいろと被害者支援をして、それから被害者を出してしまった人の立ち直り支援をして、今回諮問された内容について、私は残念ながら賛成することはできないなというふうに思っていたからです。   どうして賛成できないかということについて、これからゆっくりとお話をさせていただくわけですけれども、まずは私の経歴、自己紹介を少しだけさせてください。   私は1997年11月に、交通事故で息子の隼という当時8歳の男の子を失いました。とてもかわいい男の子で、交通規則はきっちりと守る、そういう子供でした。青信号で横断歩道を渡っていて、ダンプカーにひき逃げされたのです。   ダンプカーは逃げてしまいましたけれども、しばらくたった後に逮捕されました。しかしながら、その事件は一旦不起訴処分になりました。当時、警察は子供の死亡事故、しかもひき逃げというのはとても重大凶悪だというふうにおっしゃっていただきましたけれども、不起訴処分という結果を聞いて、私は愕然といたしました。   それからは、本当のことが知りたいというふうに思うようになって、自分で目撃者を探して1人、また1人と、いろいろな人の話を聞いてまいりました。結果、目撃者の方は次々と名のり出てくださりまして、再捜査を求める署名活動は、24万人という大変多くの数に及びました。最終的には再捜査が実現されて再起され、また再び起訴に向けて捜査が行われて、起訴されて、それから、やれやれ終わりかと思っていたら、被告人は無罪主張をして、一つ一つ証拠の確認作業を行い、私も検察側の証人として出廷するに至りました。刑事裁判というのは、とても被害者にとってハードルが高いものだという印象を、私自身そのときに思い知ったわけです。   それから、2000年に被害者支援を私は行うことになります。私は、既に敷かれたレールの上を走ってきた被害者ではなくて、一つ一つ証拠を積み重ねていって起訴に至った、言わば、被害者の中でも傍流と呼ばれる立場にいたものですから、多くの被害者の方の気持ちが分かるというふうに思いました。今でもあひる一会という団体を、被害者自助団体で持っておりますけれども、そこは、警察や様々な被害者支援団体から受けてもらえなかった、漏れ落ちた被害者の方が数多くやってこられます。中には、50か所以上被害者支援を頼って窓口をたたき、弁護士さんのところに何件も何件も行って、受けてもらえなくて私のところにやってきた人もいらっしゃいます。そういった方の話を聞いてみると、被害者の声というのは一様ではないということを、強く実感をするに至りました。   また、私は、資料にはないのですけれども、2002年から2年間、市民の裁判員制度つくろう会という会の代表世話人をさせていただきました。これはどういう団体かといいますと、裁判に市民参加が行われる、そのために、推定無罪、それから市民参加がなされることによって、より客観的で公平な裁判が行われるのではないか、行われるようになってほしいということを実現するために集まった団体です。   私は被害者の立場で参加したのですが、代表世話人というのは、なかなか自分の意見は通らない、いろいろな人の意見を聞く役回りであるということが分かりました。研究者の方からも数多く話を伺うことになりましたし、弁護士の方、それから現役の裁判官の方からもお話を何度も何度も伺いました。その中で、刑事裁判というのは推定無罪がとても大事なのだ、証拠の在り方というのがとても貴重なのだということを、私は考えるに至りました。   その団体というのはとても面白いことをやっていまして、500人による模擬裁判という市民実験を行いまして、一つの事件について、この霞が関の弁護士会館を全部借り切って、500人それぞれ別の裁判体で裁いてみると、どういう結果になるかというものを実験もいたしました。   裁判員制度が行われるのと前後して、被害者参加制度が行われるようになりました。ですから、今では刑事裁判の風景は、市民参加と犯罪被害者支援が一緒になって見えるわけですけれども、当初は別々のところからスタートが始まったというふうに理解をしております。   ほかにも、私はいろいろな経験をさせていただいております。2000年から、法務省から御依頼を頂きまして、被害者の視点を取り入れた教育という枠で、刑務所、少年院などで特別改善指導員、一般改善指導などをさせていただいており、北は北海道から西は九州まで、各地の刑務所や少年院で被害者を出してしまった人のお話を聞く機会を頂いております。これは貴重な経験でございまして、実際に被害者の方からもお話を聞くことがあり、被害者を出してしまった人の反省も聞くことができるわけです。   私は、被害者を出してしまった人が、イコール、すなわち加害者というふうになかなか見ることができません。加害者がほかにもいる場合もあります。立件、起訴されていない中にも主犯がいる場合もございます。そういった中で、刑務所にいる、少年院に送られてきた人がすなわち加害者ではなくて、むしろ、別の観点で申し上げますと、被害者性が多い方も数多くいらっしゃることに気が付きました。   基本的な考え方は、犯罪被害者等基本法にあります理念に私は強く賛成をしております。基本法は平成16年に成立をしまして、前文には次の3つが書かれています。尊厳にふさわしい処遇、適切な施策、途切れることなく支援をする、この3つが高らかにうたってあるというふうに理解をします。これは大変すばらしいことだと思います。   その翌年から始まりました基本計画の中で、一番最初は258の施策があったというふうに理解をしております。その中の一つが、刑事司法への被害者参加、それから少年審判傍聴でございます。それはどういうことかということなのですけれども、私は、刑事裁判というのは、違法行為をしたかもしれない市民と国との関係だというふうに思っています。つまり、法と証拠に照らし合わせて、その人が有罪か無罪かを決める、有罪であるならば、量刑をどのように決めるのかという、非常にシンプルな手続だというふうに思います。   そこでどういう形で被害者が割って入るのかということなのですけれども、基本的には情状証人、つまり有罪が決まった後に被害者が出てきて、被害者の感情を述べるということはあってもいいのではないか、むしろ聞いてほしいというふうに思います。しかしながら、有罪か無罪かも決まっていない段階で被害者が入っていって、被害者は絶対的な被害者ですので、被害感情を多く持っておられ、心の整理がついていない段階でいろいろ意見を述べられるということは、それは適正な手続とはちょっと違うのではないかというふうに思います。私は被害者支援として、そういった被害者参加人として参加される方にも、お勧めしませんという意見を述べることが多いです。例えて言うならば、燃え盛る炎の中に被害者自ら突っ込んでいって、更に傷付くということが予想されるからです。   今は被害者参加人には弁護士さんが付いておられるからいいではないか、それがサポートになるというふうに思われる方もおられるかもしれないのですが、最終的に様々なことを言われ、聞き、受け止めるのは被害者自身です。私も実際に経験した事例では、被告人から反論されて、被害者の方が大変傷付くという場面に直面したことがございました。そういったことは、裁判の前は全く予見をしておらず、むしろ被害者の方が悪かったのだということを裁判で言われてしまって、大変に傷付かれておられました。   ただ、被害者参加人制度に1個だけいいことがあって、事前に検察官から証拠を説明してもらえるという制度がある、これは運用でやっているのかもしれないのですが、そういうふうに聞いたことがあります。それはいいことだと思います。ただ、被害者参加人だけではなくて、私はむしろ被害者全般に、被害者等通知制度などを利用する人には、同じように検察官の方から証拠の開示説明があってもいいのではないか、むしろそうあるべきではないかというふうに思っているところでございます。   刑事裁判の目的というのは、罪に問われていることの有罪、無罪を決める、決めた後にはどのような量刑がふさわしいか決めるという、非常に単純な手続だと思います。被告人の防御権もありますし、適正手続も行われなければなりません。   また、昨今問題になっております冤罪の可能性、これもゼロとは言えないのが現状だというふうに思います。そういったことから、裁判の中立性を考えて、被害者が十分な心情安定がなされないままに法廷に出ていくということについては、私は抵抗感があるということでございます。   被害者のためと刑事裁判参加は同じではないということです。私のところに来られた被害者のほとんどの方が、本当のことを知りたいということをおっしゃいます。それは事実です。ただ、被害者参加人だけが本当のことを教えられるかというと、それはアンフェアなことですので、それは検察官の方から適宜説明があってほしいと思います。   もう一つ申し添えたいのが、刑事裁判が被害者のニーズ全てを満たすとは限らないということです。どうして自分の家族が被害に巻き込まれてしまったのか知りたい、どうして自分の家族が被害に遭ってしまって命を奪われたのか知りたいといったことは、本質的な問題でありますので、刑事裁判の目的とはややなじまないのではないかというふうに思います。   また一方で、裁判に参加したくないという方も一定数強くおられます。自分たちの未来を考えたい、自分たちには進学も就職も結婚も控えているから、一生被害者というレッテルを貼ってほしくないのだ、そういう方もいらっしゃいます。でも、本当のことは知りたいということをおっしゃいます。そういった複雑なニーズもある中で、この制度は今、現状進んでいるのだというふうに思います。被害者のニーズというのは一つではないということです。参加できる制度ではなくて、参加しなくても情報が得られる制度になってほしいというふうに思います。   それから、幾つか反対理由を述べさせていただきますが、公判前整理手続の関与拡大については反対をさせていただきます。それから、被害者参加対象事件についての拡大も反対をさせていただきます。参加が被害者の利益になるとは限らないということを、私は強くここで申し述べたいというふうに思います。参加拡大よりも、矯正、更生段階を充実することが、私はいいのではないかと思います。   既に制度化されております「刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度」というのがあります。これは、まだ始まって2年ほどになりますけれども、私はその制度を利用した被害者支援もやり、あるいはその制度を受けた収容者の方のお世話もしたことがあります。両方の立場から見てみますと、この制度は大変有意義でいいのではないかというふうに思います。一つには有罪判決が出ているということ、それから、ある程度事件から時間がたっているということなどから、一定のやはり普遍性が見られるのではないかというふうに思います。当初強かった感情も、一旦は落ち着くということも私は経験しておりますので、矯正段階においてそのような制度を活用していただくのが、いいのではないかというふうに思います。   知るための制度を充実させるということは重要なことだと思います。特に、出ていかなければ得られない情報というのは多々あるということは、十分承知をしておるわけですけれども、それは全て、今ある制度の中で、検察官がもう少し被害者に対してパイプを太くしていただく、情報提供あるいは説明責任を立派に果たしていただくことで、十分かなえられるというふうに思います。   私は、先ほど申し上げた事件のほかにも、もう一つ事件に巻き込まれたことがありました。2006年のことです。私は告訴告発人となって事件の問題提起をしたのですけれども、そのときに出てこられた担当の検察官の方は、大変に被害者の心情を理解してくださった方でした。そういう人が1人でも増えるといいなということを思っております。   それから、私は刑事裁判が応報感情で渦巻くということはよくないことだというふうに思っておりますので、対立感情、処罰感情をあおってはいけないというふうに思っております。被害者だから参加すべき、厳しい処罰を求めるべきみたいな、世間の同調圧力みたいなことについては、私は抵抗感を感じます。被害者にもいろいろな考え方があるわけですので。 ○酒巻部会長 時間を超過しておりますので、まとめていただきますようお願いします。 ○片山参考人 あと1点だけ。   少年保護事件や医療観察対象事件については、保護処分が相当だというふうに思いますので、保護主義を徹底していただいて、参加は見送るようにしていただきたい。今行われている少年審判の被害者参加も被害者傍聴も、私はやめていただきたいというふうに思っております。 ○酒巻部会長 貴重なお話を頂き、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○田岡委員 本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。   お時間の関係で十分に伺えなかった部分がありますので、まず犯罪被害者等の公判前整理手続への関与に反対される理由を、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。 ○片山参考人 刑事裁判というのは、有罪、無罪を決める手続だと思います。そこの前に、公判前整理手続に被害者が参加するということは、証拠として認められない事柄も知ってしまう可能性があるということです。その後に、被害者はいろいろな意見を公判の中で主張されると思うのですけれども、証拠として認められないことまで被害者が知ってしまうことについては、私は適切ではないと思います。また、被害者が入ることにより、裁判の長期化は免れないというふうに思いますので、なるべく迅速な裁判を行うためにも、私は反対とさせていただきます。 ○田岡委員 被害者参加制度の対象犯罪の拡大に反対される理由についても、御説明をお願いできますでしょうか。 ○片山参考人 私は、被害者参加制度というのはそもそも賛成ではないわけでございまして、それを更に広げるということに、どういう意味があるのだろうかというふうに思っております。被害者は傷付きます、悲しみます。被害者の回復のレベルに応じて刑事裁判が開かれたり、少年審判が開かれるわけではございません。ですから、被害者が十分な回復をしていない、その場で行われることが受け止める段階でない時期において、まだつらい山が目の前にそびえ立つということは、被害回復にとってもマイナスだというふう思っております。   特に少年保護事件においては、四十九日審判って言われているぐらいに、事件から直近に審判が行われると聞いております。その頃は、被害者は大変な大混乱の中で、事件の受け止めも十分でないことがほとんどだと思います。そういう中で傍聴をして、少年は健全育成が第一命題ですので、それに寄与するとは到底思えない。被害者にとっても、少年が立ち直らなければ、最終的に謝罪もなければ賠償もなされないということで、双方ともに私はメリットがないということから、反対をさせていただきます。 ○米田委員 二つほど御質問を申し上げます。   一つは、先ほどのお話の中では、事件のことを知りたい、本当のことを知りたいということについておっしゃっており、御自身も、また会に相談に来られる方も共通なのだと思います。他方で、公判前整理手続や、少年事件、医療観察事件についても、そこに同席することによって、知ることができる内容は増えると思います。本当のことを知りたいという思いと、手続に参加ないし傍聴をして知る機会が増えることに反対されるというのはどうしてなのかということをお伺いできますか。 ○片山参考人 今現状行われている刑事裁判の中で、被害者が関わることというのは、決して被害者にとって楽なことではないと思うのですね。もちろん得られることがあるではないかというふうにおっしゃられるかもしれませんけれども、それは、そびえ立つすごく気高い山のように思います。これは、どの被害者の方に対しても私は同じことを言います。その山を越えた後に手に入るものがあるのだよというふうに言われても、それは、被害者の方が掛かる負担と得られるメリットと天秤にかけた場合、どちらの方がその方にとってふさわしいのかということをお話しします。   ですから、先ほどお話ししたように、私は、検察官の方から適切なタイミングで情報の開示と説明がなされた方が、十分に被害者にとってふさわしい制度になっていくというふうに思っているということでございます。 ○米田委員 もう一点、今、正にこの議論がされているのは、実際にそういう手続に参加をすることができない、傍聴をすることができなかったことで、大変つらい思いをしたということで、こういう制度を要望され、こういう議論になっているわけです。片山様も、御自身もつらい経験をされ、その後の被害者が同じような思いをしないように活動をされたとおっしゃっていました。正につらい思いをしたので、こういう制度を導入してほしいという訴えに対し、事後の被害者がつらく苦しい思いをし続けるということについてはどのようにお考えなのですか。 ○片山参考人 これは客観的なデータで分かると思うのですが、被害者参加制度は、実際に制度があるにもかかわらず、利用を申し出た人の方が圧倒的に少ないというふうに思います。少数のごく限られた人が求める、今回の諮問内容になってくると思うんですが、少数の人が望むから制度が変わって、私はいいとは思いません。全ての人が残らずに公平に受け止められる支援策の方が、より私はすばらしいというふうに思います。 ○佐藤(隆)委員 本日は貴重な御意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。   既にお答えのあった内容と重なりますが、公判前整理手続への関与に関して確認させていただきたいことがございます。   本日伺いましたお話の中で、片山様は、公判前整理手続に被害者が関与することに反対するとの御意見を述べられました。また、片山様から提出された資料の3ページ、上から3行目以下にも、「公判前整理手続に被害者等が関与することについては、争点、証拠の整理と被害者の心情表明とが混在するおそれがあることなどから反対である」という趣旨の記述がございます。   公判前整理手続への関与につきましては、被害者等がそこで一定の訴訟活動を行う、手続参加という形の関わり方のほか、公判前整理手続を傍聴するという関わり方も考えられるところですが、後者のような関わり方、被害者等による傍聴を認めることにつきましては、どのようにお考えでしょうか。改めて確認させていただきたいと思います。 ○片山参考人 ありがとうございます。   関与を拡大することについては反対なのです。それから、傍聴についても反対でございます。それは、先ほどお話ししたとおり、公判前整理手続の中で、証拠にならない捜査情報等々が出てきて目にしてしまう、耳にしてしまうことが十分に想像ができるからです。つまり、有罪、無罪か決まらないもやもやとしたグレーの部分が、そこでやりとりすると、被害感情がよほど穏やかな人でない限り、被害感情は強くなる、より融和的な傾向にはなっていかないので、私はプラスにはならないというふうに判断をしました。 ○佐藤(隆)委員 了解いたしました。ありがとうございました。 ○宮下委員 本日貴重なお話、ありがとうございます。   配布資料の中で、被害者なのだから参加すべきだという社会的圧力が生じることを懸念するというふうに書いてあります。先ほどもおっしゃっていたと思うのですけれども、確かに、被害者であれば笑顔を見せちゃいけないとか、常に悲しい顔をしていなければいけないという無言の圧力を感じるという話は、私も聞いたことありますが、この被害者参加に関しても、そういう圧力みたいなものを感じるという声を、実際に被害者の方からもしお聞きになったことがあれば、お話を伺いたいと思ったのですけれども。 ○片山参考人 非常に、被害者参加制度について、私は自分の思うところを支援対象者の方にお話をします。そうすると、本当に今おっしゃられたように、「笑ってもいけないし、普段おしゃべりしていることも言ってはいけないのですよね、私たちは」みたいなことをおっしゃることがあります。また、先ほど少しお話をしたように、被害者の未来を語る場ではない、つまり、将来の夢であったり、結婚したいこと、進学したいこと、将来の仕事をしたいことを語る場ではないわけですね。飽くまで過去について、被害事実についてどう思うか、加害者についてどう思うか。それは、被害回復にプラスになるとは思えないのですね。   その中でも、圧力となるのは、悲しい、怒っている、許せない、この三つのキーワードが、よくメディアの方から被害者の方に質問が投げかけられて、毎回被害者は同じ質問に答えるわけで、私も答えました。その答えをすると、取材の方は納得して帰っていかれるのですけれども、結局テレビなどでオンエアをされると、その場面しか使われないということが、今までも数限りなくございました。ですから、被害者はかくあるべきという一定の型にはめた見方というのは、社会全体にあるのではないかというふうに思っております。   それに対抗するのが、例えば思考停止法みたいな考え方で、先ほど申し上げた矯正段階における心情伝達制度は、対話ができる制度になっておりますので、そちらの方はむしろ被害者は肩の力を抜いて、相手方の話を聞いたり、また伝えたり、交流ができるという意味では、よりふさわしいというふうに私は思っているということでございます。 ○酒巻部会長 それでは、片山様のヒアリングはこれで終了させていただきます。   片山様、本日は、貴重なお話を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。 お話しいただいた内容につきましては、今後の審議に役立ててまいりたいと思います。              (参考人退室)              (参考人入室) ○酒巻部会長 三人目の方は武るり子様です。   部会長を務めております酒巻でございます。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御協力いただき、誠にありがとうございます。   まず、武様から15分程度お話を伺い、その後、委員・幹事の方から質問があれば、10分程度御質問させていただきたいと思います。 それでは、よろしくお願いいたします。 ○武参考人 お願いします。   こんにちは。初めまして、武るり子といいます。   本日は、このようなヒアリングの機会に声を掛けてくださって、本当に心から感謝をしております。ありがとうございます。   私たちの会、少年犯罪被害当事者の会、そして、私のことを知らない方たちも多いと思いましたので、私たちの会で開催していました集会、WiLLの資料を配っていただきました。また、ゆっくり見てください。   そのWiLLの後半にはディスカッションをしていました。その問題が、割と少年法に関わることが多かったです。なぜかといいますと、私たち多くの人たちは子供が事件に遭っているのですけれども、そうなると、まずぶつかる壁というのが少年法だったのです。その少年法にはいろいろな問題がありましたので、それを細かく、今、社会が何を問題としているかを気にしながら、それをテーマにして議論してきました。そのときには、必ず反対の意見の人の専門家や関係者の人にも来ていただいて、一緒に話合いをしてきました。   なぜかといいますと、やはり私たちは被害者遺族なので、偏るかもしれないというのがあるのです。思ったのが、やはり偏ってその意見を言っても誰にも通じない、そして社会に訴えることも難しいなと思ったので、反対の人の意見も聞きながら、そして一緒に考えてもらって、社会に訴えることをずっとやってきました。   そのWiLLというのは学生さんたちと一緒になって開催していて26年間続けてきました。でも悲しいことに、去年、資金の問題が苦しくなり、一応区切りにしました。私は、このWiLLとともに息子の事件から30年を過ごしてきたように思います。とても残念です。   今回、私はこの機会を頂いたことで、会の人たち、そして自分のことをちょっと振り返ってみました。息子の事件からもう、先ほども言ったように30年になるのですね。少年法も、今は改正していますけれども、その頃は改正していなかったので、警察や家庭裁判所は、加害者の名前はもちろん、事件の内容も教えてもらえなかったのです。私は思いました、なぜって、そんなことあるのって、自分の大切な子供が少年によって命を奪われているのに、何にも分からないわけです。当時、主人と一生懸命に声を上げていたのですけれども、その声をどこも聞く耳というか、声を拾ってくれるところはなかったです。だから、私はもういつもいつも、何でこんな扱いを受けるのだろう、なぜだろうって、いつもこの喉でところで叫んでいたのです。とても苦しい期間を長く過ごしていました。   そして、その当時言われたことは、加害者が少年だから、これから加害者は生きていかなければいけないとか、そして未熟だからとか、加害者は可塑性があるからとかそういうことを、本当に被害者遺族の私たちに何度も言われたのです。それはもちろん分かります。分かるのですけれども、その中に被害者遺族のことは全くなかったのです。切り捨てられていました。忘れられていたのです。私はそのとき、息子は生きていたのですよって、それまで生きていたのに、それをなぜ切り捨てるのですかということを言いたかったです。でも、そのことを言う、その機会もありませんでした。だから、そのことも心の中に押し込むしかなかったのです。とっても苦しかったです。言うことが言えないというのは、本当に苦しいことでした。だから、私は国に絶望したのです。主人も一緒でした。   私は振り返って、今思います。あの頃、警察、家庭裁判所が被害者に対してもう少し配慮をしてくれていたら、そして、私たちが少年審判を傍聴できていたり、また、今のように意見が言えていたなら、あれほど地獄のような苦しい思いはしなかったと思います。本当は思い出したくないほど、苦しい期間を過ごしたのです。何も分からない、何も言えないほど怖いものはないです。苦しいものはなかったです。   私は思ったのです、息子はなぜ殺されたのか、分からない。そして、何か警察はやっているけれども、きちんとやっているのだろうか、情報をもらえないから余計な不安を抱えたのです。警察、家庭裁判所に不信感を持ったのでした。それは余分なことだと思いました。そして、不安も抱えました。うちの事件の場合、周りに友達がいたので少しずついろいろなことを教えてくれたのですが、でも、それだけ聞いていてもやはり、どこかに息子が、もしかしたら息子も何かしたのではないかという不安、そんなことをする子供ではなかったけれども、そんなことも少し頭にありました。もちろん一方的だったし、何もしてはいないのですが、私は何も教えてもらえない、できないことで、そんな余分な思いまでしたのです。息子にすまないと自分を責めました。   だから、被害者にとって少年審判が私たちの時のように見えないところで行われるのではなくて、やはり遺族の人が入りたいと希望したら傍聴できることがとても大事だと思います。私たち会の人たちに話を聞くとみんな入りたいと言いました。そして、傍聴の経験した人に話を聞いたのですが、やはり家庭裁判所、そして少年法は加害者の法律なので。全てが加害者のことが軸になっていると強く感じていました。遺族が少年審判に入れても、余分な人たち、厄介者みたいな扱いを受けたという人が何人かいました。今はどうか分かりませんが、そういう厄介者扱いしているような扱い、やはり考えてほしいです。   自分の子供が殺されているわけですから、当事者なわけです、被害当事者なわけです。なのに、遺族がそこにいたら加害少年が萎縮するとか、加害少年に悪い影響があるとか言われてしまいます。でも、私たちも被害当事者なので、きちんとそこに入って見届けたいのです。そして反対に言えば、加害少年も、私はそれを乗り越えるべきだと思うのです。そこに自分の起こした犯罪の被害者の遺族がいるということを、そこから私は逃げてはいけないと思います。守ることだけを言うのではなく、やはり現実をきちんと見せるということは、私は加害者にとっても大事なことだと思います。   私、思ったのです。8年前に主人が亡くなったのですが、主人は亡くなる前まで自分を責めていたのです。当時、少年法を余り知らなかったので、もっと自分たちに知恵というか、法律を知っていたら、もっと何かできたのではないかとずっと言っていました。そして、何も当時はできなかったので、何もできない父親だということで、すごく責めていたのです。もちろんできないけれども、敵討ちができないということも、それでも責めていました。私はその姿を見たときに、死の直前までそんな思いを抱えるのだと思った時、悲しくてなりませんでした。だから、少しでも私たちにできること、殺された子供のためにできることはしたいのです、見届けたいのです。それができなかったことで本当に、責め続ける。もちろん子供を亡くした後は悲しさ、苦しさ、自分を責めるということはまずあります。だけれども、それに加えて、また法律を知らなかった、法律の制度がないために自分を苦しめるということがあるのです。   そして、私は今も言い続けていることがあります。被害者遺族、被害者、やはり選択できるものがたくさんあった方がいいです。私たちは、これもできないです、あれもできないです、もう被害者、私たち、子供を殺されても何もできなかったのです。選ぶことすらできませんでした。だから、私はそのときからずっと言っていました、選ぶものはたくさんあった方がいいって。もしかしたら傍聴できない人もいるかもしれない。でも、選ぶものがたくさんあった中で、いや、私はこれはしませんというのと、何もできませんよって言われてしないのとは、全然違います。だからできること、選択するものがたくさんあったほうがいいと、私は思っています。   審判傍聴のことで遺族の人達に話を聞くと、加害者の凶暴さが分かっているから、怖くて入れない人もいました。そして、仕返しが怖くて入れないという人もいました。もう一つありました。まだ被害に遭った子供さんが入院をしていて、容態がいつどうなるか分からないということで傍聴のことを教えてもらったけれども、泣く泣く諦めたという人もいたのです。私、そんなときにはビデオリンクが大事だと思います。その人や何人かの遺族の人にビデオリンクだったらどうでしょうと聞いてみると、それだったらしたかったとおっしゃいました。だから、本当にビデオリンクというのもとても大事だと思います。   そして、もう一つ工夫してほしいのは、その人は事件の場所が離れていたので、入院している場所が遠かったのですね。裁判所に行けない距離だったので、もし遠い場所で入院していたり、重大な理由があって行けない人は、やはり場所も工夫していただきたいです。できたら、その人の近くの裁判所でするとか、そういうビデオリンクの工夫も考えていただきたいなと思います。   それと最近事件に遭った人、10年ぐらい前の人もそうなのですが、最初から弁護士さんが付いていた人がいました。私、その人の話を聞いていると、全然私たちと違うなと思いました。といいますのは、1人の人はこう言いました、リーフレットを頂いて、審判の傍聴ができることは分かりましたと、だけれども、詳しく分からなかったので、本当に自分たちもできるのだろうかと不安になったと。それで、弁護士さんに聞いたらしいです。それはできますと説明してもらったことで傍聴できたのです。だから、そのときに、きちんと専門のことを分かっている弁護士さんが付いているのは大きいなと思いました。   もう一人の方にも聞いたのですが、その人は警察の段階から弁護士さんが付いていました。私は、それを聞いて、うらやましいなと思いました。その方も、傍聴のことなども制度全部その先生から説明を受けて傍聴もできたそうです。傍聴には、一緒に入ってもらったと言っていました。とても心強かっただろうと思うのです。私、その遺族の人たちの話を聞いて自分もそういうふうなことができていたら、当時抱えた不安や苦しさが全然違ったなあと思いました。   私たちは突然事件に遭います。法律のことは分からない、制度のことも分かりません。だから、やはり自分たちがリーフレットをもらっても、本当にこれができるかどうか分からないのです。それで期間が過ぎてできない人もいるわけです。だから、そこにきちんとしっかり教えてくれる専門家の弁護士さんが付くというのは、本当に心強くて、私は必要なことだと思いました。   私、今でも思い出します。事件後に弁護士さんを探したのです。少年犯罪に強い弁護士さんがいますよと何人も紹介されていろいろな所に行きました。そうしたら、期待をしていくのですが少年犯罪の被害者ではなく、会いに行くと加害少年に強い弁護士さんばかりだったのです。そこで私に必要だったのは、被害者のことを理解してくださる弁護士さんだったので、探し続けて2年掛かったのです。もっと早く知っておけば、もっと抱える苦しさ、私は絶対違うと思います。   私たちは大切な子供を亡くしています。私はいつも荷物に例えるのですけれども、私たちは、一生背負い切れないような荷物を背負うのです。もう子供の命は何をしても返らない、戻らないわけです。それで一生苦しい、悲しいのですね。私はその荷物というのは、自分で頑張って荷物を下ろしたり、また背負ったりして、自分が頑張ってそれと向き合う荷物だと思うのです。でも、私が見ていると、更に荷物を背負わされていることが分かります。それが、法律のこと、制度のこと、 そして制度が使えなかったこと、専門家が付かなかったこと、それですごく差があるのですね。私はこの余分な荷物、それはできるだけ少なくなってほしいなと思って、もう30年言い続けています。   本日は本当にこのような機会を頂いたことを、本当に感謝をしています。言いたいことがいっぱいあったものですから、一気に言ってしまったのですが、本当に貴重な時間をありがとうございました。 ○酒巻部会長 貴重なお話を頂き、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○小西委員 ありがとうございます。   先ほどお話しされている中で、被害者の方が審判の傍聴で厄介者の扱いをされたということで、お話を伺われたことがあるということをお話しされていましたけれども、具体的にどういうふうな形で扱いをされていたのか、もしもお話を誰かその参加された方からお伺いされていたら、その点お話しいただきたいのと、それに対して、どういうふうに今後対応を望まれていらっしゃるのかを、是非お伺いしたいです。 ○武参考人 分かりました。   何人かに聞いているのですけれども、場所的なことですが、遺族の人は加害少年の表情を見たかったのですね、どんな表情をして審判を受けるのだろうと思っていました。まず2人に聞いたのですけれども、それは見られなかったそうです。後ろ姿だったり、一瞬、入った時だけだったりしたそうです。   そして、座る場所ですが、被害者が何か加害者にしてはいけない扱いのように奥に押し込まれて傍聴したそうなのですね。それはもう少し配慮があっていいと思うのですね。厄介者扱いだったように感じたと言うわけですから、やはりもう少し柔らかくというのですかね、厄介者扱いと思われないように配慮していただきたいなと、私は思います。狭い部屋なのでいろいろな配慮が必要だと分かるのですけれども、被害者は加害者に何かをする存在という扱いでした。 ○小西委員 ありがとうございます。 ○𠮷澤委員 本日はどうもありがとうございました。   今の厄介者の扱いというところなのですけれども、例えば、加害少年からは目に入らないような隅に追いやられたりとかってするのがちょっと想像はできますが、そのような状況というような感じでしょうか。 ○武参考人 加害少年から見えないのかもしれないですけれども、私は遺族の方から聞いているので、とにかくその表情は見えないと言っていました。見えないように多分しているのだと思うのです、角度的に。   その制度ができてすぐぐらいの人は、金属探知機されたというぐらいでした。それと、持ち物検査があって、とがったものは駄目とか、そういうのもあったって言っていました。今はどうか分からないですけれども。何か自分たちが悪いことをするのではないかみたいなふうに思ったとずっとその話をされています。 ○𠮷澤委員 あと、傍聴に関して、そもそも非常に認められるケースも少ないかとは思うのですけれども、認められた上でもいろいろな制限があるというふうに聞いています。   先ほど、弁護士が同席してくださったというケースがありましたけれども、それは恐らく、御遺族と被害者の方に付添いで入られたということですね。 ○武参考人 そうですね、はい。 ○𠮷澤委員 恐らく今は御本人がいられない、被害者御本人自体が入院されているとか、先ほどお話のあった、被害者が今入院中で、お母さんが付き添われないといけないとか、そういう場合は、弁護士が単独で入ることはできないようなのですけれども、そういったときも、代理人の弁護士だけでも入ってもらえたらというようなお気持ちはありますでしょうか。 ○武参考人 もちろんあります。自分たちにその場所の情報が入らないというのが、何か勝手に加害者だけでやってしまうというか、加害者側だけで審判をしてしまっているという、そういうふうに思ってしまうので、偏ってしまうなとか、やはり被害者のことを何も考えられていないだろうなとか想像してしまうので、やはり被害者が行けない場合は代理人の人が入っていただきたいです。弁護士さんに一緒に入ってもらった人は、お母さん1人で頑張っておられる人なので一緒に入れたのだと思います。もし遺族の人が多くて弁護士さんが入れない場合であっても、私は一緒に入っていただきたいです。   遺族というのは、本当に力を入れて必死で入るものですから、やはり何か聞き漏れがあったりとか、分からないことが出てくるので、一緒に私は入ってくださると心強いと思います。 ○𠮷澤委員 ありがとうございます。 ○川出委員 今日は貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。   今話題になりました弁護士さんに傍聴をしてもらうことについて、被害者の立場からそれが必要だという御意見は分かりました。その上での質問ですが、現在も審判状況の説明という制度があります。この制度は、被害者の方から見て役に立っているのでしょうか、それとも、それでは審判の状況を知るにはやはり十分ではないので、弁護士さんに傍聴をしてもらいたいということなのか、そこはどうなのでしょうか。 ○武参考人 説明がされるのですか。私、それを遺族の人からは聞いていないのですね、どうなのですかね、きちんと使われているのでしょうか。聞かないですね。 ○川出委員 分かりました。そういうことを聞いたことはないということは、余り使われていないイメージを持っていらっしゃるということですね。 ○武参考人 使っていないかもしれない。私たちからしたら、そういうイメージです。 ○川出委員 分かりました。ありがとうございます。 ○武参考人 もっと使っていただきたいですね。 ○久保幹事 先ほどの御質問と重なって恐縮ですが、厄介者扱いされたというお話の関係でお伺いします。狭い審判廷で後ろから見るような形になってしまった、例えば、本人が囲いとかがあるわけではないのだけれども、どうしても後姿を見るような形になって、ちょっとでもやはり顔を見るような機会を設けてほしかったという、そういう御趣旨という理解でよろしいのでしょうか。 ○武参考人 はい、そうです。 ○久保幹事 ありがとうございます。 ○武参考人 やはりそこでしか見られないですから、貴重な時間だと私は思っています。   それと、もう一つ加えて言うと、傍聴する数字がすごく少なかったのにびっくりしました。なぜこんなに傍聴する人が少ないのかなと思ったのですね。私たち死亡事件だけで35家族いるのですが、みんな傍聴したいって、したことない人もしたい、できる人はしていますし。だから、なぜ少ないのかなと思いました。   最近よく言われるのが凶悪犯罪は、逆送になることが多くなってきたので、刑事裁判になったらもっと詳しく分かるし、意見も言えるからいいでしょうという意見です。でも、私たちにとったら、少年審判で終わるかもしれないって不安があります。逆送になるような事件であっても、逆送されなかった事件もあり、その遺族は、今でも悔しい思いを抱えています。だから、家庭裁判所というところは、判断一つで逆送されなかったりするので、やはりその最初の少年審判というのは、私たちにとってまず大切なことでした。   だから、なぜ傍聴の人数が少ないのかがちょっと分からなかったし、説明しているのかなって、きちんと、こんな傍聴できますよという説明が足りないとか、やはり専門家が付いていないとか、社会的に大きな事件であればサポートがありますけれども、ほとんどの人にはまだまだないです。何かこぼれ落ちているというか、忘れられている人がいるなと思っていて、傍聴できる人がきちんと制度を知ってできるようにならなければいけないと思います。やはりきちんと傍聴できますよということはしっかり教えていただきたいです。リーフレットだけでは分からないです。 ○久保幹事 では、せっかく御説明いただきましたので、今の点、1点だけよろしいでしょうか。   そうすると、やはり先ほど川出委員の方からも御指摘があった、審判の後に制度の説明、どういう感じだったかという説明がもらえるという制度の説明の機会や、傍聴しようと思ったら、そういう申出することができるという説明を聞く機会をもっと充実してほしいという思いでいらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。 ○武参考人 そうですね、はい。 ○久保幹事 ありがとうございます。 ○武参考人 もう一つ加えていいですか、すみません。   私たち、その時期というのが、子供の供養をしているのです、とてもつらい時期です。1週間ずつお坊さんが来てもらって供養するのです。本当はしたくない、子どもの供養をすることなど考えもしなかったことことなので、一週間一週間そういうことを繰り返している日々です。そんな時期に大切な少年審判が始まるわけです。それってリーフレットでは分からないし、やはり丁寧に教えてもらえないと、本当に混乱時期というか、一番苦しい時期に大切な少年審判が終わってしまうのは、本当に悔しいと私は思います。ありがとうございます。 ○𠮷澤委員 すみません、ちょっと追加で1点だけお願いします。   裁判所で被害者に対して説明をするという制度はあるのですけれども、それ、説明するのは家庭裁判所がするという形になります。先ほど、傍聴のときに弁護士に付いてもらいたいとおっしゃっていたのは、それは、被害者御遺族の代理人である、味方となる弁護士という形で、立場は違う者からの説明になるかと思います。   それを、被害者の方に代理人が付くのは、加害少年の方に付添人が付くのと同じようにというふうに考えたら、ちょっと分かりやすいかもしれませんけれども、そういう説明の主体であるとか、そういうところで、やはり弁護士に付いてもらいたいとか、弁護士からの説明を受けたいとか、そういうような思いというのはありますでしょうか。 ○武参考人 そうですよね。私たち、家庭裁判所でとても苦労しているのですね。家庭裁判所というところは加害者のことを考えるところだってずっと言われてきたので、加害者の将来を考えるところだとか、少年法もそうですけれども、加害者が軸になっているところだって、私たちは思っているのですね。そういう扱いでもあったので、今は変わっているかもしれないですけれども、やはりそういう加害者の軸な家庭裁判所の方たちからの説明って、何か不安を抱えますね。やはり被害者に寄り添ってくれる人の説明の方が何か有り難いし、聞きたいことも聞きやすいということもあります。 ○酒巻部会長 それでは、武様のヒアリングはこれで終了させていただきます。   武様、本日は、貴重なお話を頂載いたしまして、誠にありがとうございました。 お話しいただいた内容につきましては、今後の審議に役立ててまいりたいと思います。              (参考人退室)              (参考人入室) ○酒巻部会長 四人目の方は、大森真理子様です。   部会長を務めております酒巻と申します。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御協力いただき、誠にありがとうございます。   まず、大森様から15分程度お話を伺い、その後、委員・幹事の方から質問があれば、10分程度御質問させていただきたいと思います。   それでは、よろしくお願いいたします。 ○大森参考人 この度は、法制審議会において発言の機会を頂きまして、誠にありがとうございます。   私は医療観察法と被害者の会、通称がじゅもりの会という団体の代表をしております、大森真理子と申します。私からは、医療観察事件の被害者遺族として、また、ほかのがじゅもりの会の当事者の意見も併せて、医療観察審判や関連することについて述べさせていただきます。   私の経験してきたことをお話しします。   私の夫は、都内の児童養護施設で施設長をしておりましたが、今から7年前、2019年2月に殺人事件により命を落としました。加害者は、かつてその施設で暮らしたことのある青年でした。学校を卒業し、就職して、施設を出てから4年ほどたっていましたが、その間も夫や職員たちが折に触れて関わり、支援をしていた青年でした。   事件の2か月前から行方が分からなくなり、心配していた矢先、久しぶりに施設に現れたその青年に、言葉を交わす間もなく夫は襲われました。包丁で何度も執拗に刺され、その衝撃で、最後は刃が柄から取れてしまうほどだったと聞きました。一体なぜそのようなことになったのか、悲しくて悲しくて、胸がつぶれそうでした。   青年は現行犯逮捕されました。マスコミでは、児童養護施設で起こった事件としてセンセーショナルに報道され、新聞には施設に恨みがあったという言葉が大きく出ていました。子供たちのためにいろいろと手を尽くしてきたはずなのに、まるで施設の方に悪いところがあったような印象を受ける見出しに心を痛めました。施設の職員たちがどれだけ子供たちのことを考えているのかと知っているだけに、とても悔しかったです。   一方で、その青年にも何か苦しい事情があったのかもしれないとも考えていました。ですから、一部を切り取った報道ではなく、事件が起きた理由や経緯をきちんと知りたいと思いました。   裁判になれば、被害者参加制度があるということは知っていました。捜査をしている刑事さんからも、詳細ではありませんが、恐らく起訴はされるだろうという話を聞いていましたので、これは裁判のために準備をしないと、と心積もりをしていました。法廷で青年を目の前にしたならば、何と言おうか、何を伝えようかと考えていたのです。   ところが、それから青年は鑑定留置となり、事件は発生から3か月を待たずに不起訴となりました。検察官の説明は、精神鑑定の結果、犯行当時心神喪失状態にあったと判断され、責任能力を問えないためということでした。なぜそのような判断になったのかについて、病名や精神鑑定書を示すなど、詳しい説明はありませんでした。あっという間の幕引きに、頭も心も追い付きませんでした。過ちを犯し心配をしていた青年、加害者は消えてなくなりました。   そして、後日届いた不起訴の通知書にはたった2行で、そこには夫の名前すら載っておらず、被害者の存在も消されてしまったと思いました。人を殺しておいて罪にならないとはどういうことなのでしょうか。刑法第39条についての議論は昔からされていますが、被害者にしてみれば、理不尽極まりないことに違いありません。自分が当事者になって心底実感しました。刑法であれば、殺人は死刑や無期の拘禁刑になるような重大な犯罪のはずです。それが罪に問われないとは、納得いくわけがありません。   私はその青年に対し、厳罰に処してほしいというつもりはありませんでした。何があったのか理由を聞いて、こちらの思いや夫の思いを伝えて、起こしてしまったことはきちんと向き合って、反省して、真っ当に生きていってほしい、頼れるところを作ってきちんと生きてほしい、夫の命を無駄にしないでほしいと、ある意味諭したい、更生につなげてほしいなどとまで考えていました。この思いを伝えて罪を軽減してもらおうかとまでも考えていました。でも、その考えは甘かったとしか言いようがありません。   不起訴記録の開示請求をしましたが、見ることができたのは、現場や夫の着ていた服の写真など客観的な証拠ばかり、ほかの大部分、事件の経緯や供述や精神鑑定など、分厚い記録のほとんどが黒塗りで読めませんでした。開示まで1か月近く待たされましたが、このマスキング作業のために時間が費やされたのか、これで開示請求に応じたという実績になるのかと思うと、悔しく思いました。   事件が不起訴になり、裁判が開かれないとなってしまうと、被害者はその経緯や加害者について、ほとんど知ることができなくなってしまうということを思い知りました。そういう意味で、私は医療観察審判の傍聴をしておいてよかったと思います。今にして思えば、それが対象者を直接見ることができた唯一の機会だったからです。   不起訴になった後、医療観察審判が開かれると知り、私は傍聴を申請していました。ただ、被害当事者であっても、傍聴が許可制であることに驚きました。裁判も開かれないのだから、当然の権利ではないのかと思いました。そして、誓約書を書かされましたが、その中の「対象者に対する医療の実施、若しくはその社会復帰を妨げ(中略)生活の平穏を害する行為をしないこと」という文言には、大変大きく傷付きました。誰よりも彼の平穏な生活を願っていたのは夫の方です。社会復帰、命を奪われてどうやってもそんなことが叶わなくなったのは夫の方です。生活の平穏を壊されたのは遺族の私の方です。今、方々を見れば、この文言は標準的なもので、対象者を守るためにはごく当たり前の事務的な表現なのかもしれません。でも、私にとっては余りにもひどい言われようだと感じ、傷付きました。がじゅもりの会の他の当事者会員からも、誓約書を苦痛に感じたという意見は出ています。誓約書自体は必要というのならば、被害者に対しては配慮あるものに変えてほしいです。中には、「傍聴は苦痛を伴うかもしれないからしてもしなくてもいい。」と冷たく言われて、申請を迷ったという人もいました。誓約書の件だけでなく、被害者への配慮に対する意識が低いように感じます。   審判で、私は傍聴というその名のとおり傍らで聞く人であり、法廷の後ろの傍聴席に座りました。初めて対象者の青年の姿を、後ろ姿だけで表情はうかがえませんでしたが、見て、声を聞きました。おとなしく、質問に淡々と答える様子は、病気に罹患しているようには思えませんでした。ただ、途中、事件を起こした理由について聞かれる場面がありましたが、変わらない調子であり得ない内容を言ったので、違和感を持ちました。そこからもっと掘り下げて聞いてほしいと思ったのですが、質問は簡単なことを幾つか聞いた後、別のことに切り替わっていきました。   また、夫や施設のことについてどう思うかと聞かれると、世話になったと言い、今は恨みはないとも言いました。それでも、謝罪や後悔の言葉は聞けませんでした。ならば、どうしてそんなことをしたのか、それほど簡単に変われるのか。聞きたいこと、知りたいことはまだまだありましたが、すぐに質問は、社会復帰したらどのように暮らしたいかという、未来のことに切り替わっていきました。事件についてはもう終わりなのかと落胆しました。何も質問ができない、心情を伝えたり発言したりする機会のない自分の立場を恨めしく思いました。   第1回と銘打って行われた審判でしたが、その1回で終了し、入院が決定しました。   「医療観察制度の審判は、刑事法上の罪を明らかにし、刑罰について審議する裁判とは異なり、加害行為をした者が法制度の医療を受けるにふさわしい対象か否か、その処遇内容をどうすべきかを審議する仕組みである。」と、このとき私は理解できていませんでした。審判について事前の丁寧な説明も、もっと必要なことだと思います。当事者の中には、「病気ではない」と判定が覆って罪に問えることになるかもしれないと、期待して審判に臨んだという人もいました。   代理人弁護士の傍聴は認められませんでしたので、法廷の外で待ってもらっていました。傍聴の申請は代理人弁護士ができるのに、なぜ傍聴が許されないのでしょう。法律の専門家である弁護士が一緒に聞いてくれていたなら、審判内の質問の意味が分かったかもしれないと思いました。簡単な質問に思えるものであっても、恐らく意図があるのだろうと思ったからです。また、事件当初から支援してくれていた被害者支援員の付添いも認められませんでした。思わず声を出しそうになったり、思わぬ言葉を聞いて落胆したり、感情を抑えつつ、ただ座って聞いているのはつらいものです。寄り添ってくれる人の存在があったなら、どれほど心強かったでしょう。   他の当事者からも同様に聞いています。家族が被害者本人とともに傍聴申請しようとしたが、申請自体できなかったという人もいます。対象者には弁護士も付添人もいて、不公平に感じます。被害者であっても、飽くまで傍聴人であり、参加者ではないでいないからでしょうか。傍聴人は自分の意思で来ているのだから自己責任で、そのような配慮はする必要はないということでしょうか。   言い方はさておき、先ほどの傍聴には苦痛が伴うからしてもしなくてもいいという助言は、確かに本当のことではあります。何もできずに聞かされるだけなのは、大変苦痛でした。しかし、審判を傍聴できたことは、できないよりはよかったと思っています。私にとっては、対象者の様子を自分の目で見る、聞くことは、もろもろの現実に納得はいかなくても、受け入れていくために必要なことでした。   先ほども言いましたが、裁判にもならなかった医療観察事件の被害者や家族、遺族にとって審判は、唯一対象者を見ることができる機会なのです。せめてそれが当然の権利としてあり、内容が充実するものにならないだろうかと思います。   がじゅもりの会にいる被害当事者はそれぞれに、事件そのものや制度に対しつらい経験をしていますが、中には、審判の傍聴を許可もしてもらえなかったという経験をした人がいるので、紹介します。   お兄様を殺人により亡くされたAさん、その意見を資料として配布させていただいていますので、御覧いただけたらと思います。   Aさんはたった一人のお兄様を刺殺され、何が起きたのか、その事件の真相を知りたいと思っていましたが、何も知ることができず、その上、対象者と面識があるということで、医療観察審判の傍聴を許可されませんでした。その絶望感は大きなものだったと思います。その気持ちを、この資料から読み取っていただきたいと思います。苦しい声を聞いて欲しいと思います。   一部読ませていただきます。   「私は兄を取り戻すことはできません。だからこそ、せめて何があったのかを知りたかった。兄がどうして亡くならなければならなかったのかを知りたかった。それすら十分にかなわなかったことが、今も心に残っています。医療観察制度の中で加害者の治療や病状を守ることが必要なのであれば、それと同じように、残された被害者遺族のことを見てほしいです。」   このように重大な他害行為を受け、取り返しのつかない状態になったにもかかわらず、その相手を罰してももらえず、相手からの謝罪もなく、被害者の心情や意見を伝えることもできず、十分な情報を得ることもできない、そんな被害者の悲痛な声を聞いてください。   Aさんのケースのように、対象者と同室にいることが難しいというのなら、オンラインなりビデオリンク方式にするなどして、工夫もできるのではないかと思っています。今回、「第5次犯罪被害者等基本計画」の中にその実現の可能性が見えたことには、希望を持っています。引き続きお願いしたいと思います。   そして、この審判の後、情報提供制度はあると言っても、ごくわずかな情報で全く足りていません。対象者の病院での治療の経過や状況などは知ることができません。そもそも、どこに入院したかも知らされません。対象者の内省を進めるためにも、刑務所における心情等聴取・伝達制度のような制度があってもいいのではないでしょうか。第5次犯罪被害者等計画ではそれを検討するため、まず、対象者の社会復帰を促進するものとして見込まれるか否かについて、入院機関への聞き取り調査が実施されると記されました。是非、被害者の視点も併せて検討を進めていってもらいたいと思います。   2年前より、対象者が退院し、処遇変更があれば、その旨被害者に通知が来るようになりましたが、全て事後報告です。これは事前に通知してもらいたいと、私たちは以前より要望しています。被害者にとって、対象者がどのような様子になっているのかは大きな関心事です。直接被害に遭って恐ろしい思いをした人で、何も詳細が分からないのに、ただ対象者が退院してくると聞いて、落ち着いていられる人がいるでしょうか。情報を得たいのは、自分の安心・安全な生活のためでもあります。もう大丈夫だというのなら、きちんと説明してもらわなければ分かりません。   退院するには、退院請求のための審判があるはずです。しかし、これには被害者は傍聴すらできませんし、行われることも知らされません。なぜでしょうか。治療の段階で、内省プログラムがあり、自分の起こしたことを振り返っているのなら、その成果を知りたいし、被害者は知らせてもらって当然ではないかと思います。再加害を恐れている被害者にとっては、それを知ることによって安心を得ることにもつながります。この退院請求審判の傍聴も、被害者ができたらよいと思っています。とにかく、対象者の治療や社会復帰に被害者は無関係ではないのですから、社会復帰する社会には被害者がいることを、忘れないで考えていただきたいと思います。   最後に、Aさんの言葉で締めさせていただきます。   「今後、同じように突然大切な人を奪われた人が、私と同じように「自分たちは置き去りにされた」と感じることがない制度にしてほしい。何も分からないまま、何もできないまま、ただ受け入れるしかなかった私の経験を、これからの制度を考える際に生かしていただきたいと強く願っています。」   以上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○酒巻部会長 貴重なお話を頂き、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○池亀幹事 本日はこのような場所でお話を頂きまして、ありがとうございました。   情報提供の制度について1点お聞きしたいと思うのですけれども、医療観察対象者についての情報の提供を受けて、よりこういうことが可能になる、提供を受けることそのものも大きなニーズかと思われますけれども、それを受けた上でこういうことが可能になるというようなことがおありでしたら、教えていただければと思います。 ○大森参考人 可能である。 ○池亀幹事 より生活が安定されるとか。 ○大森参考人 ここでも何度も言っておりますが、安心・安全が確保されるとは思います。   私もそのことを心配する部分はありますが、ほかの方たちから伺うと、本当にもしかしたらまた来るのではないかという恐怖をもっと強く持っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。病状がどのようによくなっているのか、自分たちのことをどう言っているのかということを、きちんと情報として知り得ることは、自分たちの生活の安心につながるのではないかと思います。 ○池亀幹事 そうしますと、今提供を受けられる情報に加えて、どういうことまで知りたいというような御要望がおありだということでしょうか。 ○大森参考人 今の段階で、例えば、入院している段階であったとすると、本当にその入院中の対象者の様子、自分のことをどう認識しているのかとか、事件のことをどう認識しているのかとか、謝罪の気持ちはあるのかとか、そういう内省プログラムをやっているというふうに聞いているけれども、どういうことを進めているのかとか、そういう内容についてもやはり知りたいと思います。 ○小西委員 本日貴重なお話を頂き、ありがとうございます。   先ほどのお話の中でも、ビデオリンクの方式に関して、導入するというふうなことについての御要望が会員の方からもあったというようなことはお話しいただきましたけれども、弁護士の先生に被害者の方が委託をして、その先生に代わりに審判を傍聴してもらうということについては、どのようにお考えでしょうか。 ○大森参考人 代わりにですか。 ○小西委員 はい。 ○大森参考人 それは、例えば、自分が傷付いてその審判に出られないとか、動けないとか、そういう場合であれば本当にお願いをしたいと思います。自分ももちろん出て、なおかつ一緒に出られたらいいなというふうには思います。 ○小西委員 あともう一点ですけれども、先ほどは、退院の許可の申立てに関する審判についても、できれば傍聴の機会があればというお話でした。医療観察法の中では、ほかにも入院継続とか、そういう場合にも裁判所が関わっているのですけれども、こういうほかの場合の審判に関しては、どのようにお考えでしょうか。 ○大森参考人 機会があればそれも、可能であれば、私は参加ができるならばと思います。 ○小西委員 幅広くというようなこと。 ○大森参考人 そうですね。やはり情報の一つですので、全く何もないので、何かせめてという気持ちが強いです。 ○小西委員 ありがとうございます。 ○𠮷澤委員 今日は本当にありがとうございました。   情報提供ということが先ほどからちょっと話題になっておりますけれども、先ほどの初めのお話では、やはり情報提供というか、情報を知りたいというニーズはもちろんあるとして、直接その審判を御覧になりたいという傍聴のお気持ちも強いようにお伺いしました。   率直な本当にお気持ちでいいのですけれども、事実を事実として知るという情報提供を受けるだけということと、あとは審判を御覧になるという、その審判を御覧になりたい気持ちというのを、具体的に教えていただけたらと思うのですけれども。 ○大森参考人 まずは、説明を受けたいというのは確かにあります。一番最初に不起訴になったときに、その理由を聞きたかったというのもありますけれども、あとは、その対象者の状態というものを、ある意味自分の目で見ることが、自分の中に落とし込むために必要なことかなというふうに感じていたので、その場に行くということに関して、自分としては希望をしました。 ○𠮷澤委員 ちょっと追加でよろしいですか。   御自身だけではなくて、ほかの同じような立場の方もいらっしゃると思うのですけれども、皆さんやはり傍聴というのは、自分の目と耳で確かめたいと、そういうような御希望ということでよろしいですか。 ○大森参考人 そうですね。やはりそういう気持ちが強かったのだと思います。   つらい思いをするからやめておいた方がいいと言われた方がいましたが、その人も、悩まれたけれども、結局自分で行くことに決めたと。実際つらかったけれども、それ自体はつらかったけれども、多分、恐らく傍聴をしたことに対しては後悔はしていないのではないかなと思います。 ○𠮷澤委員 ありがとうございました。 ○米田委員 大森さんの会には多数の被害者遺族の方がいらっしゃると思います。法律上、傍聴の規定があり、申出の代理人は弁護士でなければならない旨の規則の定めもあるわけですけれども、大森さんのように、御本人は傍聴できるけれども代理人が傍聴できないとか、あるいは両方が傍聴できるとか、あるいは、先ほどは、面識があるという理由で、御本人は傍聴ができなかったと伺いましたが、その場合は弁護士だけが傍聴ができたのでしょうか。そういうふうにまちまちな取扱いになっていることについて、どのような理由が説明されたかお話しいただけますか。 ○大森参考人 先ほどの許可されなかった方の話は、御本人が出られない、本当だったら別の場所で見られたらよかったのに、ということと、あと代理人弁護士がもし出られたらよかったのですが、恐らくそのときは弁護士の方がいらっしゃらなかったので、そこまで至らなかった、思い至らなかった。そういうことに関しても、いろいろ教えてくれる人が周りにいなかったという思いもあったようです。やはり被害者は本当にその状況に突然なって頭が回るわけではないので、そういう意味では、その制度がある、こういう制度があると、いろいろきちんとそろってきちんと説明をしてくれるという機会が、やはり必要かなというふうに思っています。 ○酒巻部会長 それでは、大森様のヒアリングはこれで終了とさせていただきたいと思います。   大森様、本日は貴重なお話を頂載いたしまして、誠にありがとうございました。 お話しいただいた内容につきましては、今後の審議に役立ててまいりたいと思います。              (参考人退室) ○酒巻部会長 以上で、本日のヒアリングは終了となります。   次に、次回以降の審議の進め方についてお諮りします。   次回以降は、諮問事項に掲げられた各項目についての具体的な議論に入っていきたいと考えていますが、その際、諮問事項やこれまでの審議の内容を踏まえた論点整理案を作成し、これに沿って議論を行っていくことが、効率的で充実した審議に資すると思います。   そこで、次回会議までの期日間におきまして、部会長である私の責任の下で、事務当局にそのような論点整理案のたたき台を作成してもらい、皆様にこれをお示しし、内容について調整させていただいた上で、次回の会議からは、その論点整理案に沿って議論を行うこととしたいと思います。 そのような方針とすることでよろしいでしょうか。 ○田岡委員 審議の進め方について意見を申し上げても、よろしいでしょうか。   本日のヒアリングは大変有意義なものであったと思います。被害者の方のニーズを率直に伺うことができましたので、これについては感謝しております。   ただ、被害者の方の意見のみを聞くことによって法改正の在り方を考えることは、バランスの取れた議論にならないのではないかと思います。法改正によって刑事手続の在り方を変容させることにならないのか、また、それによって被告人や少年、医療観察の対象者の権利・利益を損なうことがないのか、そのようなことを考えるためには、法改正によって影響を受ける可能性がある刑事事件の被告人や弁護人、少年事件の少年や付添人、医療観察事件の対象者や付添人、またこれらの手続に関わる職種の方々の方からも幅広く意見を聴取いたしまして、現在どのような運用がなされているのかという運用実態を把握した上で、現在の運用に問題があるのかどうか、仮に問題があるとすればどのような法改正を行うことが望ましいのかということを検討することが不可欠であると思います。   私は、本部会の前に開催されておりました刑事法(再審関係)部会の幹事を務めておりましたが、そこではヒアリングが2回実施され、1回目には再審請求の当事者と弁護士の意見を聴取いたしましたが、2回目には被害者とその支援をしている弁護士、元裁判官、元警察官の方からも意見を聴取いたしました。また、マスコミの方からも意見を聴取いたしました。これら方々の意見を聴取したことは、その当時、その部会の調査審議において、大変有意義なものであったと感じております。   したがいまして、本部会におきましても、被害者の方4名のヒアリングのみで終わりとするのではなく、追加のヒアリングを実施して、他の関係する方々の意見も聴取しまして、その上で、論点の整理を行い、諮問項目に関する調査審議を行うべきだと考えます。 ○酒巻部会長 期日間に事務当局に対して同様の御意見を頂いておりましたので、検討いたしましたが、今回の諮問については、第5次犯罪被害者等基本計画の趣旨に鑑み、犯罪被害者等のニーズを踏まえて御審議いただく必要があるところ、この部会の委員・幹事には犯罪被害当事者の方がいらっしゃらないこともあり、実際の被害当事者の方の御意見を伺う機会を設けるという趣旨で本日のヒアリングを実施したものです。   そのため、現時点においては、御提案のようなヒアリングを行うことは考えていませんが、今後の諮問事項に関する調査審議においては、委員・幹事の皆様方の学識・経験に基づいて、御指摘のような立場の方々の観点も踏まえつつ、御議論を頂ければと思います。 ○田岡委員 一言、発言してもよろしいでしょうか。   部会長が決定されたことですので、それには従いたいと思います。ただ、なかなか私ども弁護士は、普段あらゆる業務を取り扱っているわけではございません。私は、刑事事件の弁護人を務めることもあれば、犯罪被害者の支援をしたり、被害者参加弁護士を務めることもあります。また、少年事件や医療観察事件の付添人を務めることもあります。しかし、残念ながら、私は少年事件や医療観察事件の傍聴が許可された事件の経験がございませんので、どうしても、それらの経験を踏まえた意見を申し上げるには限界がございます。   本部会の委員、幹事の方々は様々な経験をお持ちであるとは思いますが、御自身の経験のみで、諮問事項について十分な議論ができるかというと、限界があるように思われます。したがいまして、実際に審議を始めた後になって、必要があると考えた場合には、追加のヒアリングの実施や、意見書などを出していただくなどの代替的な措置について、御検討いただきたいと考えております。 ○酒巻部会長 御意見承りました。   先ほど私から申し上げた今後の審議の進め方につきましては、委員・幹事の皆様いかがでしょうか。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいですか。              (一同異議なし)   ありがとうございます。 それでは、次回の議事については、論点整理案の内容を踏まえて、私の方で検討し、事務当局を通じて、できるだけ早期に皆様にお知らせしたいと思います。   本日予定していた議事につきましては、これで終了いたしました。 本日の会議の議事につきましては、既に申出をいただきましたA様の氏名にいては匿名とさせていただきますが、原則的な方針としては、それ以外の発言者の氏名を明らかにした議事録を作成するとともに、説明資料等についても公表することとさせていただきたいと思います。   もっとも、御発言内容を改めて確認し、ヒアリング出席者の御意向も伺った上で、プライバシー保護等の観点から非公表とすべき御発言等がある場合には、該当部分を非公表としたいと考えております。   それらの具体的な範囲や、議事録等の記載方法については、相手の方との調整もありますので、部会長である私に御一任いただけますでしょうか。              (一同異議なし)   ありがとうございます。 御異議がないようですので、そのようにさせていただきます。   それでは、本日の審議はここまでとし、次回の日程について、事務当局から説明をお願いします。 ○松島幹事 次回の第3回会議は、令和8年10月23日金曜日午前9時30分からを予定しています。   詳細につきましては、別途御案内申し上げます。 ○酒巻部会長 本日は、これにて閉会といたします。   皆様、どうもありがとうございました。 -了-