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大臣就任に当たっての上川法務大臣訓示


大臣就任に当たっての上川法務大臣訓示の様子

令和2年9月17日(木)

 法務大臣に就任いたしました上川陽子でございます。
 また,お会いいたしました。前回法務大臣を退任したときには,再び皆さんと一緒に仕事ができるとは思っておりませんでした。
 この度,新しい政権となり,3回目の法務大臣として,この場に立たせていただいております。感無量の思いでございます。
 私自身は,今回の就任を,前回の延長線上とは捉えることなく,新しい法務大臣として,フレッシュな気持ちで職務に取り組んでまいります。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 私は,前回法務大臣を務めた後も,自民党の司法制度調査会長などの立場で,法務省を外から見続けてまいりました。
 率直に申し上げまして,現在の法務省は,国民からの信頼が損なわれている状況にあると言わざるを得ません。
 申すまでもなく,法務行政は,国民生活の安全・安心を実現することを使命としており,国民からの信頼なくして成り立ち得ません。
 私は,国民の方々や法務行政を担う職員の皆さんとの対話を徹底的に行い,負の遺産と言うべきものがあれば即刻整理し,国民からの信頼回復の上に,国民にとって身近な司法の実現が図られるよう,全力を尽くしてまいります。
 これまでも,私は,全国の法務省職員の皆さんとの意見交換を重視してまいりました。今回も,訪れた全国の官署,施設をつなげると一筆書きができるほど,法務行政を最前線で支える職員の皆さんと対話を重ね,また,残念ながら訪問ができない皆さん,あるいは海外で勤務される職員の皆さんとは,WEB会議を開催していく,「一筆書きキャラバン」を実施したいと考えております。
 その際には,皆さんも,是非,それぞれが持っている,法務行政への問題意識や改善方策などをお聞かせいただきたいと思います。
 昨日,菅総理からは,法務行政の課題として,次の6点の御指示をいただきました。(1)司法制度改革の推進,(2)きめ細かな人権救済の推進,(3)「世界一安全な国,日本」をつくるための施策の推進,(4)我が国の領土・領海・領空の警戒警備について,緊張感を持って,事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処すること,(5)技能実習制度の在り方を含めて総合的な検討を行うとともに,共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進めること,そして最後は,(6)ポストコロナの時代を見据え,観光先進国に相応しい出入国在留管理を実現すること,という6点であります。
 これらは,いずれも,国家の安全,国民生活の安心・安全に深く関わる,重要かつ喫緊の課題であると認識しておりまして,具体化に向けて,迅速かつ着実に取り組んでまいりたいと考えております。
 法治国家である我が国におきましては,憲法を始めとする法体系の下で,法の支配を貫徹することが重要です。
 我が国の法制度は,先人たちが,長い歴史の中で,残すべき大切な部分を守り,その一方で,時代の要請により見直すべき部分を改良することで,持続されてきました。
 このような,法の支配を支える法制度を始めとする司法インフラは,我が国の重要なソフトパワーであり,これを国内外に向けて積極的に発信し,その意義を確認し合っていくことが必要です。
 来年3月に京都で第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開催が予定されております。私は,その会議におきまして,法の支配の意義を国際社会に向けて強く打ち出してまいりたいと考えております。
 私は,前々回,前回と法務大臣の職にあったときから,2015年9月に国連で採択されましたSDGs,「持続可能な開発目標」で掲げられております「誰一人取り残さない」社会の実現を目指してまいりました。今回も,引き続き,より一層の覚悟と熱意をもって取り組んでまいります。
 まず,新たな在留資格の創設などにより新たな局面に入った外国人の受入れに対応し,多文化共生社会の定着に,力を注いでまいります。
 また,性犯罪・性暴力,不当な差別・偏見,児童虐待等により,その人権が傷つけられた方々や,無戸籍者の方々,両親が離婚された子供たちなど,様々な困難を抱える方々への取組を推進してまいります。
 さらに,法務行政を預かるに当たり,旧来の考え方ややり方に捕らわれることなく,デジタル化,あるいはIT化,また,国際化を始めとする法務行政のイノベーションを推進していく決意です。
 中でも,政府は,デジタル化を強力に推進することとしており,法務省も遅れをとることなく,法務行政の利便性の向上,利用者の負担軽減などの観点から,デジタル化,AI,ICTの整備を積極的に進めていかなければなりません。
 従来の枠組みに捕らわれない柔軟な思考で,積極的に新たな技術の導入を進めてまいりたいと考えております。
 さて,来る秋冬の新型コロナウイルス感染症及び季節性インフルエンザの同時流行に対し,政府の危機管理対策が進められております。法務省におきましても,リスク管理に万全を期するため,法務省職員や矯正施設・入管収容施設の被収容者の生命・健康を守るための新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底し,さらに,感染拡大に際しては,法務省が地域のために積極的に貢献できるよう具体的に検討をしていく所存でございます。
 法務省がその重大な使命を果たすには,職員の皆さんのお一人お一人が,心身ともに健康で,風通しの良い良好な職場環境において,働きがいを持って活き活きと,自由闊達に,それぞれの職務を遂行できることが,何よりも大切です。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,テレワーク,シフト勤務等の対策が実施され,その重要性が広く社会で認識されました。
 私は,この状況を契機と捉え,これらのテレワーク等を,ウィズ・コロナ,アフター・コロナの時代における「新たな日常」として,法務省の職場に定着させていきたいと考えております。
 私は,前回,前々回法務大臣の職を務めた際も,全国の法務省の官署,施設を回らせていただきまして,そこで,全国のあらゆる場所で,あらゆるポジションで,任された職務を一生懸命に遂行する職員の皆さんの姿を見てまいりました。
 そういった職員の皆さんの一人一人の頑張りなくして,法務行政は成り立たないと思っています。
 私は,皆さんと一緒になって,一つ一つの課題に真摯に取り組み,その責務を果たすために,全力を尽くしてまいる所存でございます。
 是非一緒に頑張りましょう。
(以上)