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法務大臣臨時記者会見の概要

令和2年4月7日(火)

 本日,政府対策本部長である総理が,新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出しました。
 今回の宣言は,総理において,現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況,諮問委員会等の意見,政府対策本部での議論の内容等を総合的に考慮し,感染拡大を防ぐとともに,国民の生命及び健康,国民生活,並びに国民経済を守るために,決断を下したものであると受け止めています。
 今回の緊急事態宣言を受けて,私は,法務省職員,法務省所管の収容施設の被収容者,庁舎へ来訪する一般の方々への感染防止対策・感染拡大防止対策を,あらためて徹底する必要性があると考えています。
 一方,法務省は,国民生活の安全・安心を守るための法的基盤の整備,社会正義の実現という重大な使命を負っており,緊急事態の下でも,必要な業務を継続していかなくてはなりません。
 今後,法務省においては,緊急事態宣言等の内容を踏まえ,職員の生命・健康を守りつつ,必要な各業務を適正に継続して,その責務を果たすため,より一層効果的な感染防止対策と業務継続対策等を講じてまいる所存です。
 また,法務省として,この緊急事態の中で,国民の安心・安全を実現するため,積極的な取組をしてまいります。
 まず,新たに大阪拘置所の職員の感染が判明したことと,矯正施設における感染防止対策を講じましたので報告します。
 大阪拘置所職員が新たに2名,PCR検査の陽性が確認されました。これで陽性は3人目となります。感染が判明した職員の間の関連については現在調査中です。
 大阪拘置所では,直ちに施設内の消毒を行うとともに,現在,当該職員と接触したと考えられる職員について調査中であり,今後は,保健所に相談し,濃厚接触者の特定等を進める予定です。
 感染が判明した職員合計3名のうち,2人目の職員が受け持っていた被収容者は7名であるところまで分かっていますが,この7名は,いずれも,一人目の感染が確認された職員のときに隔離して単独室に収容されておりますので,既に他の被収容者とは接触しない措置を講じている上,食器を使い捨ての紙皿に変更するなど,感染拡大防止対策が徹底されています。なお,本日現在,隔離されている被収容者を含めた全被収容者について,発熱等の症状があるとの報告は受けておりません。
 今回,3名の職員が感染した事実を受けて,副大臣を明日にでも派遣する予定です。また今朝方も報告しましたけれども,自衛隊の特別部隊の職員の方,専門的知見を有する専門家の方に現地において御助言をいただき,今後の感染拡大防止対策を徹底してまいります。 
 次に,空港の入国審査場における感染防止対策の更なる徹底について申し上げます。
 4月5日に,宮﨑法務大臣政務官が,私の指示により,成田空港における検疫所や入管の出入国審査場における水際対策の現状を視察しました。そこで,空港の最前線で水際対策を担っている職員の感染防止対策について更なる徹底を図る必要があることが判明したことから,出入国在留管理庁では,それらの点を早急に改善いたしました。
 具体的には,審査ブースにアクリル板の設置がなされていない箇所に,新たなアクリル板の設置,又は透過フィルムの貼付を行うなどし,飛沫感染対策を講ずること,旅券に触れる職員は,手袋を着用している場合であっても,なお手袋の上から手指消毒を実施するなどして接触感染対策を万全に講ずること等の改善を行いました。
 また,国内での感染拡大を防止するためには,検疫所や入管や税関といったいわゆるCIQ官庁が連携して水際対策を徹底することが重要であると考えておりますので,私から関係担当大臣へお話をしまして,今後連携して適切に対応してまいります。
 さらに,新型コロナウイルス感染症対策の一環として,刑事施設におけるマスク及び防護服等の製作について,紹介いたします。
 PFI刑務所である美祢社会復帰促進センターにおいては,山口県美祢市からの依頼を受け,刑務作業を提供する民間企業の協力により布製マスクを製作し,明日,4月8日,市内の小中学校の全児童・生徒・教職員に美祢市が約1,800枚を配布することとしております。おって,月内に約4,300枚を追加製作し,美祢市民に配布されるよう準備を進めております。
 また,本年3月以降,7つの刑事施設において,民間企業からマスクの原材料の提供を受けて,月産約66,000枚の縫製作業を行っており,今後民間に納入予定です。
 さらに,施設内の感染拡大に備えて,被収容者用の布製マスクの製作を進めております。
 防護服等については,横浜刑務所及び月形刑務所において,民間企業から原材料の提供を受けて,月産約2,000枚を生産する計画を進めており,その他の刑事施設においても,生産を実施することを検討しております。
 今後も,法務省として,新型コロナウイルス感染症対策に協力できることについて,積極的に対応してまいります。
 最後に,法務省におけるテレワーク勤務等の推進についてです。
 緊急事態宣言を受け,職員の感染を効果的に防止するためには,通勤中や勤務中の感染リスクを低減・解消することが重要ですので,法務省では,明日から,本省を含めて緊急事態宣言の対象となった7都府県で勤務する職員について,交替制を採るなどしてテレワーク勤務を命じるなどの取組を行うこととしました。
 この取組により,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するとともに,法務省の所管する業務の適切な継続を図りたいと考えております。
 緊急事態宣言を受け,私は,職員と一丸となって,より一層効果的な対策を迅速に実施していく決意をあらためて固めました。
 

大阪拘置所職員の新型コロナウイルス感染に関する質疑について

【記者】
 大阪拘置所で3人目の感染が確認されたということですが,この方の属性について教えていただけませんか。

【矯正局】
 刑務官ですが,たった今陽性であることが判明したばかりですので,その他の詳細については,改めて矯正局に御照会ください。

【記者】
 いずれも刑務官ということですが,3人目の感染が確認されたことについて大臣としてどのように受け止めているのか,教えてください。

【大臣】
 非常に深刻に受け止めております。一人目が出た瞬間に,専門家会議を緊急招集してアドバイスを受けましたが,その際にも次の例が出たらどうしたらよいかということについても併せて御意見を伺ってきたところです。
 感染が拡大しないように万全の体制をとっていくと同時に,感染経路の確認などの詳細な調査を進めてまいりたいと思います。

補正予算案に関する質疑について

【記者】
 政府は先ほど補正予算案を可決決定しました。法務省の重点施策を教えてください。

【大臣】
 先ほど,新型コロナウイルス感染症対策本部の後に,臨時閣議を開きまして,緊急経済対策,令和2年度補正予算の政府案の決定がなされました。法務省所管の補正予算案は総額57億円で,本日閣議決定された「緊急経済対策」に盛り込まれた政策を実施するための経費が計上されたものです。対策の柱は次のとおりです。
 まず,最初の柱は,感染拡大防止策と医療提供体制等の強化です。法務省における収容施設等における感染症対策の強化に35億円を計上しており,サーモカメラやX線装置などの整備をいたします。
 2つ目の柱は,雇用の維持と事業の継続です。法的トラブル解決に向けた日本司法支援センター(法テラス)による支援の充実に3億円を計上しています。労働問題等,新型コロナウイルス感染症の拡大に関する法律相談会なども実施する予定です。また,新型コロナウイルス感染拡大により困難を抱える外国人材の受入れ支援体制の強化に11億円を計上しています。臨時の相談窓口の設置などをいたします。
 3つ目の柱が,強靱な経済構造の構築です。感染拡大防止に資するデジタル・ガバメントの推進に8億円を計上しており,法務本省におけるテレワーク環境整備や,出入国管理在留管理庁への届出システム等の改修を行います。
 法務大臣として,令和2年度補正予算案が,今国会において速やかに成立することを期待いたします。
 この予算を最大限効果的に活用し,法務省職員が一丸となって,新型コロナウイルス感染症対策を強力に推進してまいります。

テレワークの推進に関する質疑について

【記者】
 法務省におけるテレワークの推進についてですが,交替制というのは他省庁で行っているいわゆる二交替制のことでしょうか。詳細について教えてください。

【大臣】
 二交替制に限らず,三交替制もあると思いますが,法務省の抱える業務は様々であり,本省のような業務もございますが,収容施設もございます。その業務に応じた適切な体制をとって,なるべく人との接触,リスクを減らしていくということを指示しております。
 

新型コロナウイルス対策の基本的対処方針に関する質疑について

【記者】
 先日の会見で,法務省としての基本的対処方針の策定についてお話されていたかと思いますが,その方針の策定の現在の目途と,今日お話された内容というのは,その方針に盛り込まれると考えて良いのか教えてください。

【大臣】
 当然盛り込まれます。この緊急事態宣言の前から基本的対処方針の策定を進めておりましたが,そのときの目途としては,今週中と考えておりました。
 ただ,本日の緊急事態宣言を受けて,今私がお話したような,様々な法務省の体制についても,新たに決めたわけですから,それもしっかり盛り込んでいきたいと思います。
(以上)