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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年4月14日(火)

 閣議において,法務省案件として主意書に対する答弁書が1件ありました。
  続いて,私から3件御報告がございます。
  まず,刑事施設における新型コロナウイルスへの感染事案とタスクフォースの設置についてです。
  本月11日に,大阪拘置所の30歳代の職員1名について,新型コロナウイルスへの感染が確認されました。これで,大阪拘置所における4人目の感染者となりますが,この職員は,本月5日に1人目の感染が確認された時から,自宅待機をしていた者です。
  また,本月11日に,東京拘置所の60歳代の被収容者1名について,感染が確認されました。この被収容者については,本年4月上旬に入所した際,本人から体調不良の申出があったことから,所内に感染が拡大することがないよう,直ちに単独室に分離し,その健康状態を観察していた者です。
  矯正施設は,いわば閉鎖空間であるため,ひとたび施設内で感染者が生じると,急速に感染が拡大して危機的状況となるおそれがあります。
  そのため,これまでも,専門家会議を立ち上げて御助言をいただきながら,感染者が発生した施設内において,消毒やゾーニングなどの感染拡大防止策を鋭意実施してきましたが,全矯正施設を念頭において,さらに矯正施設独自の徹底的な対策を講じる必要があると考え,昨日,義家法務副大臣を座長とする「矯正施設感染防止タスクフォース」を新たに設置し,本日第1回会議を開催することといたしました。なお,義家法務副大臣には,本月8日に大阪拘置所に視察に行っていただいております。
   「法務省危機管理専門家会議」を緊急事態宣言の前に設置しておりますが,この専門家会議の下にタスクフォースがぶら下がる形となります。そして,このタスクフォースにおいて,専門家の意見もいただきながら,矯正施設の特性を踏まえた,新型コロナウイルス感染症対策の「ガイドライン」を作成し,これを全国の矯正施設で共有することを目標にしております。
  緊急事態の中,矯正施設で勤務している職員は,昼夜を問わず,感染症を施設に持ち込ませない,感染を拡大させない,との高い意識と使命感の下,懸命に勤務に当たっております。
 引き続き,職員と一丸となって,新型コロナウイルス対策に万全を期してまいります。
 次に,法務局における「三密」対策,全国8箇所の法務局とテレビ会議を行うことについてです。
 法務局では,新型コロナウイルス感染症拡大防止の措置を十分に講じた上で,国民生活に必要な行政サービスである,登記,供託等の業務を継続しています。
 具体的には,郵送又はオンラインによる手続の案内,待合スペース等における利用者間の間隔確保のための措置,窓口へのビニールシート設置等による飛沫感染防止措置などの取組を行っているところです。私もツイッターで写真を出しましたが,椅子に貼り紙を出したり,立って待つときの目印とするテープを貼ったりしているほか,声掛けも行っております。
 また,本日,テレビ会議により,私たち政務三役と全国8箇所の法務局を繋いで会議を実施します。この会議を通じて,政務三役が各地における感染対策等についての状況を把握するとともに,各法務局との意思疎通を図ることで,法務局における新型コロナウイルス感染症拡大防止の措置を徹底させていきたいと考えています。
  3件目は,法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針についてです。
 昨日,私を本部長とする法務省新型コロナウイルス感染症対策本部の決定として,「法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針」を策定いたしました。
 この対処方針は,法務省における,感染防止対策,感染拡大防止対策,業務継続計画についての指針として策定したものであり,各局部課等においては,この対処方針を基礎にして,更に具体的な取組を進めていくこととなります。
 もっとも,新型コロナウイルス感染症に関する状況は日々刻々と変化していますので,新たな状況を踏まえた対策を取り入れていくなど,この基本方針を,随時,より効果的な内容にブラッシュアップしていく予定です。
 今回策定した基本的対処方針を土台として,新型コロナウイルス感染症対策にしっかりと取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症に関連した差別に関する質疑について

【記者】
  医療従事者や感染者が出た学校や組織への差別が起きています。人権問題を所管する大臣のお考えと,法務省の対策を教えてください。
 
【大臣】
 新型コロナウイルス感染症に関連して,医療従事者や感染者等に対する不当な偏見や差別があってはならないことは言うまでもありません。今までも再三申し上げてまいりましたように,許されないことだと考えています。国民の皆様には,正確な情報に基づく冷静な行動を是非ともお願いしたいと思います。
 法務省では,これまでも,SNS等により,医療従事者や感染者等に対する誤解や偏見に基づく差別は許されない旨のメッセージを発信するとともに,人権相談の窓口の案内を発信してまいりました。
 また,新型コロナウイルス感染症に関連したものを含め様々な人権相談に応じており,相談等を通じて人権侵害の疑いがある事案を認知した場合には,人権侵犯事件として調査を行い,事案に応じた適切な措置を講じております。
 法務省としては,新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した基本的対処方針を踏まえ,こうした人権擁護活動にしっかりと取り組んでまいります。

仮放免に関する質疑について

【記者】
 今,矯正施設に関する法務省の対応について御説明がありました。入管の収容施設は矯正施設とは違い,医療も簡単なものしかなく,長期収容をもともと想定していないわけです。これについて大臣は,緊急事態宣言が出たら対応を発表したいと先日おっしゃいました。長期収容が非常に問題になっているわけですし,それに対する意見書なども弁護士会から提出されています。現状をどう考えているのか,大臣の職権や裁量権が入管難民行政は非常に大きいわけで,今までの「送還まで収容を続ける」という,この数年間の法務省の対策についても検討する必要があると思うのですが,この事態にどのように取り組んでいくお考えなのか,お聞かせください。
 
【大臣】
 今般の新型コロナウイルス感染拡大,緊急事態宣言を受けての対策ということでございますが,今般の事態を踏まえて,仮放免を柔軟に活用することとしております。
 新型コロナウイルス対策の全般について申し上げますと,入管収容施設の職員や被収容者に関して,現在のところ新型コロナウイルスへの感染が判明した者はおりませんが,感染防止に最善を尽くすために,職員や面会人のマスク着用や手洗い,手指の消毒の徹底,発熱等を訴える被収容者が出た場合には,直ちに単独室に分離して医師の診察を受けさせること,新規に入所した被収容者については,健康状態等に問題がなくとも,無症状であっても,原則として入所から2週間は,他の被収容者とは別の収容区域に収容するなどの取組を行っているところです。
 また,仮放免がなされた者も,緊急事態宣言が発せられた地域では,原則として出頭日における出頭を不要とするなどの取扱いを行っているところです。
 その他,詳細については出入国在留管理庁にお問い合わせいただきたいと思いますが,全般に今回の事態を踏まえ,柔軟な対応をとっているところです。
(以上)