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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年9月8日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から1件御報告がございます。
 刑事施設における「被害者の視点を取り入れた教育」の充実策を検討するため,外部有識者による検討会を立ち上げ,明後日(9月10日),第1回検討会を開催する予定です。
 この検討会の構成員は,犯罪被害者の御遺族の方,犯罪被害者支援団体関係者の皆様,法学や心理学を専門とする学識者の皆様です。
 構成員の皆様には,「被害者の視点を取り入れた教育」の指導の在り方について様々な側面から御議論を頂く予定です。
 受刑者に,自らの犯罪の責任を自覚させ,犯罪被害者やその御家族の方の置かれた状況や心情を理解させることは,改善更生の意欲の喚起や円滑な社会復帰を実現するための前提であり,必要不可欠と考えております。
 法務省といたしましては,この検討会において,構成員の皆様から幅広い御意見を頂きながら,「被害者の視点を取り入れた教育」の効果的な実施や指導等の充実に努めてまいりたいと考えております。

刑事施設における「被害者の視点を取り入れた教育」検討会に関する質疑について

【記者】
 今お話がありました,被害者の視点を取り入れた改善指導の充実に向けた検討会についてです。今も改善指導を行われていると思いますが,現状における課題と,検討会での今後の検討の方向性,スケジュール感などをお聞かせください。

【大臣】
 現在,政府の「基本計画策定・専門委員等会議」において,次期犯罪被害者等基本計画に向けた検討が行われておりますが,加害者処遇・指導の在り方について,実際に加害者がしょく罪,弁償行為に至るようなプログラムの向上に取り組んでいただきたい,加害者処遇については,その効果を検証していただきたいなどといった御意見を頂いておりまして,法務省としても,これらの点は,課題であると考えております。
 本検討会においては,現行の指導の運用状況や課題等を把握した上で,更なる充実化の方向性や方策等の整理や,標準プログラムの改訂案及び視聴覚教材等の策定について検討していただくこととしております。
 また,検討のスケジュールについては,9月10日に初回を開催した後,年内に検討会を数回開催して検討結果について取りまとめる予定としております。

平成22年に発生した中国漁船衝突事件に関する質疑について

【記者】
 平成22年,10年前の本日起きました尖閣諸島における中国漁船衝突事件に関してですが,逮捕された中国人船長の釈放に関して,当時の前原外相が新聞の取材に対して,当時の菅直人首相が法務・検察に釈放を指示したという証言をしました。
 これについて,検察を所管する法務省として把握している事実関係と,検察独自の判断としてきた当時の政府見解について,これが変更されることはないか,お考えをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘のような報道があったことは承知しておりますが,政府部内の個別具体のやりとりについては,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 部内の個別のやりとりについてはお答えを差し控えということですが,この部内というのは法務・検察内という意味なのでしょうか。報道では官邸との関係性について問題提起しているわけなのですが,その部内の意味についてお答えをお願いします。

【大臣】
 先ほどもお答えしたのですが,政府部内の個別具体のやりとりについては,お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

【記者】
 官邸を含めてでしょうか。

【大臣】
 はい。そういうことです。

仮放免状態の者に対する生活支援に関する質疑について

【記者】
 前回も質問したのですが,今,在留資格を失って仮放免状態にある元技能実習生や留学生が相当数います。帰国も就労もできず,9月から始めた雇用維持支援の対象からも除外されている,そういう方々の生活支援に関してなのですが,外国人在留支援センターに電話しましたが,住民基本台帳に登録されていない仮放免者に対する政府や地方自治体による支援対策については対応できないというお答えでした。
 このように,仮放免状態で行政の公的支援からも除外されているのは,難民申請者や在留特別許可を求めている非正規滞在の家族なども同じ状況なのですが,こういった人たちの多くが非常に生活困窮している,それで民間の支援団体の活動も限界にきている。中には,野宿を余儀なくされて,支援者にSOS発信をしてくるような仮放免者もいます。
 入管庁はその仮放免者の詳細な個人データを把握しているので,住民基本台帳に登録されていなくても,政府が地方自治体などと連携して,定額給付金制度に代わるような支援対策を講じることはできると思うのですが,長期化するコロナ対策の中で,政府として仮放免者に対する生活支援対策の必要性,あるいはその行政の公的支援を受けられるような,在留特別許可の運用の拡大といったようなものの必要性を大臣は認識しているのかどうか。こういった生活実態があるということについて,入管庁から大臣に今まで何かその説明のようなものがあったのかどうか,2点について伺います。

【大臣】
 外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)では,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて勤務先の経営状況が悪化したこと等により,就労先がなくなったなど,生活に困っている外国人からの相談に専用回線によるヘルプデスクを設けて対応をしております。
 また,FRESC(フレスク)には法テラスや労働局も入居しておりますので,不法滞在者からの相談を含め,法的トラブルや労働問題等の相談については,必要に応じてそれらの入居機関と連携して対応をしております。
 前回もお答えしたとおり,仮放免された外国人の方々については,法律の規定に基づき,本人が希望する場合は,その居住地などを当該市町村に通知をしております。
 その上で,各所管省庁や市町村において,法令により提供可能な行政サービスについては適切に対応しているものと承知しております。
 他方,在留資格を失った仮放免中の外国人の方は,退去強制手続の対象とされ就労もできない立場にあることから,出入国管理行政の一環として国費により生活支援を行うことは,困難であります。
 なお,「収容・送還に関する専門部会」で取りまとめられた御提言の中に,仮放免や在留特別許可の在り方に関する内容も含まれておりますので,私は,出入国在留管理庁に対して,このような御提言をしっかり踏まえて,そしてまた,それ以外の様々な御指摘にもしっかり応えて,必要な検討を行うように指示をしているところでございます。

【記者】
 今のお答えで,仮放免状態,技能実習生や留学生を含めますが,そうした方々,非常に生活困窮している方,支援を受けられない状態の方がたくさんいるということについては,大臣は報告は受けているのでしょうか。

【大臣】
 先日もお答えしたとおり,不法就労や不法滞在となった外国人の方々の状況については,日々,出入国在留管理庁から報告を受けて把握をしているところでございます。
(以上)