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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年10月6日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から2件御報告がございます。
 まず1件目は,「一筆書きキャラバン」についてです。
 これまでもお話してきましたように,国民の皆様からの信頼を得つつ法務行政を進めていくための取組として,全国の法務省の官署,施設を回って,法務行政を最前線で支える職員と対話をする,「一筆書きキャラバン」を実施することとしております。
 明日(10月7日(水)),そのキックオフとして,私,田所法務副大臣,小野田法務大臣政務官,3人そろって,外国人在留支援センター(FRESC(フレスク))及び日本国際紛争解決センターを訪れ,FRESC(フレスク)において,職員と意見交換を行う予定です。
 このキックオフを皮切りに,3人で,できる限り多くの法務省の官署,施設を訪問し,また,訪問できない官署,施設,そして海外の職員とは,ウェブ会議を実施し,職員の法務行政に取り組む思いなどを直接聞いて,法務行政に活かしてまいりたいと思っております。
 2件目は,法務省ホームページ上での「法の日」特設ページの開設についてです。
 毎年10月1日は「法の日」であり,10月1日から7日は「法の日」週間とされています。
 これは,法の役割や重要性について考えていただくきっかけとなるよう設けられたものであり,例年,法務省におきましては,この週間に参集型のイベントを開催してきました。
 しかし,第61回となる今年は,新型コロナウイルス感染症対策の観点から,参集型ではなく,オンラインを活用した取組を行うこととし,法務省ホームページに,「法の日」に因んだ特設ページを開設しました。
 この特設ページでは,お笑い芸人である「和牛」さんが,日常生活の中での法務省との関わりを紹介する動画や,法務省の施策についての様々な動画を紹介しています。
 この特設ページは,「法の日」週間が終わった後も掲載を続けますので,是非,多くの皆様に御覧いただき,法の役割や重要性について考え,法務行政を身近に感じていただきたいと思います。

東京電力福島第一原発事故に関する訴訟に関する質疑について

【記者】
 東京電力福島第一原発事故に関して,当時,福島県などで被災した約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で,仙台高裁が1審福島地裁判決に続き,両者に賠償を命じました。判決に対する受け止めと,同種事案に対する影響,上訴に関するお考えをお願いいたします。

【大臣】
 御指摘の訴訟につきましては,本年9月30日に,仙台高裁におきまして,国の損害賠償責任を一部認める判決が言い渡されたことは承知をしております。
 今回の判決では,国の主張が一部を除いて認められなかったものであり,今後の対応につきましては,判決内容を十分精査するとともに,関係省庁と協議した上で,適切に対応してまいりたいと考えております。
 同種訴訟への影響という御質問がございましたが,これにつきましては,コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

国連の恣意的拘禁作業部会に関する質疑について

【記者】
 10月1日に日本政府が受領した,国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会の報告書について質問します。
 2019年,昨年の10月に東日本入国管理センターに収容中だったイラン人とクルド人の難民申請者2人が,この作業部会に個人通報を行い,国際人権法違反の恣意的拘禁に該当するという意見書が採択されました。それを10月1日に日本政府が受理したわけですが,今年7月には日本政府もこの検討段階で回答し,それを踏まえての意見書ということです。
 いずれの案件も4年とか5年に及ぶ長期収容と,2週間だけ仮放免が許可されて再収容が繰り返されたケースなのですが,収容中の処遇の人権侵害も認定されたということです。詳細な調査に基づいて,110項目に及ぶ意見書なのですが,その中で公正な真相究明,それから2人の人権救済,それから健康状態の回復のための補償や賠償を日本政府に求めているだけではなくて,このような恣意的拘禁を生み出す入管難民法の制度の見直しも求めているものです。
 それで,今年多分あると思うのですが,国連の自由権規約委員会の日本審査でも,入管難民法の特に全件収容主義の抜本的な法改正が求められると思うのですが,こういった国連の人権理事会の恣意的拘禁作業部会の見解に対する受け止めと,今後の日本政府の対応,そして現在入管法改正を検討中であるわけですが,全件収容主義を見直して,収容の上限の設定や,司法審査の導入ということを取り入れるようなお考えがあるのかどうか,お聞かせください。

【大臣】
 出入国在留管理行政におきましては,退去強制令書の発付を受けた外国人による送還の忌避や,これに伴う収容長期化の問題が生じているところです。
 そのため,「収容・送還に関する専門部会」において検討いただき,本年7月に提言をいただいたところでございます。
 提言内容につきましては,在留が認められない外国人を迅速に本国に送還するのみならず,在留を認めるべき外国人を適切に保護する,直ちに送還することができないときに収容の長期化を防止するための措置を講じる,収容中の適正な処遇を実施するというコンセプトの下,様々な方策を組み合わせ,パッケージで問題を解決していこうとするものであると承知しております。
 現在,出入国在留管理庁におきまして,その他の様々な御指摘がございますので,そうしたことにつきましても謙虚に耳を傾けながら,入管法改正につきまして必要な検討を行っているところでございます。私といたしましても,この提言を踏まえた法改正や収容を含む運用の改善につきまして,出入国在留管理庁に必要な指示を行いながら,しっかりと対応してまいりたいと考えております。
 なお,法務省におきましては,恣意的拘禁作業部会の御意見等につきましても,十分にその内容について精査をしながら,検討に向けた努力をしてまいりたいと思っております。

【記者】
 関連ですが,入管収容や,刑事施設の未決拘禁の問題,精神医療の長期収容などで,恣意的拘禁ワーキンググループが人権侵害と認定するような事案も過去に続いているのですが,なかなか改善されないという状況があります。
 日本は国連人権理事会の理事国でもあるのですが,こういった国連の恣意的拘禁作業部会の特別報告者の国別訪問手続の要請があるわけですが,それがまだ実現していません。いわゆるカントリービジットと言われるものですが,こういった特別報告者の訪問の実現に向けて,今法務省としてどのような取組をされているのか,なぜ今までそういった要請が実現していないのか,その事情についてお聞かせください。
 特に,国連人権理事会の理事国としての立場があると思うので,その辺の自覚も含めて,お願いいたします。

【大臣】
 現在,我が国は複数の特別手続からの訪日要請を受けておりまして,それぞれの訪日要請にどのように対応するかにつきましては,政府として,外交日程や国会会期等,様々な要素を総合的に考慮して検討する必要があると理解しております。
 法務省として,お尋ねのような要請に対しましては,必要に応じて,外務省と連携して,適切に対処してまいりたいと考えております。
(以上)