検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年10月23日(金)

 今朝の閣議におきましては,法務省案件はございませんでした。
 続きまして,私から2件御報告をいたします。
 まず1件目ですが,性犯罪者の指導の在り方について,「性犯罪者処遇プログラム検討会」の結果報告書が取りまとめられましたので,本日,公表いたします。
 法務省では,昨年8月に有識者を構成員とする「性犯罪者処遇プログラム検討会」を立ち上げまして,この検討会において,刑事施設や保護観察所で実施しているプログラムの充実等について,検討が進められてきたところでございます。
 この度,検討会の報告書が取りまとめられ,その中では,現行のプログラムにつきまして,基本的には効果があるとの評価を得つつも,犯罪者処遇の世界的潮流を踏まえ,対象者が持っている「強み」に着目したアプローチを更に活用すること,矯正施設収容中から出所後までの一貫性のある効果的な指導を実施すること,痴漢や,小児に対する性加害を行った者などに対し,より一層その特性に応じた指導を実施すること,また,プログラムに従事する職員に対する研修体制を一層充実することなどの必要性が指摘されました。そして,その具体的な方策についても提言をいただきました。
 なお,本年6月に関係府省会議で決定されました「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」においても,性犯罪者に対する再犯防止施策として,処遇プログラムの更なる拡充を検討することとされているところです。
 今後は,検討会の報告書の内容等を踏まえまして,「強化方針」に沿って,プログラムの内容や実施・運用体制の更なる充実を図り,性犯罪者の再犯防止を着実に推進してまいります。
 2件目でありますが,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 10月16日(金曜日)から昨日までの1週間につきましては,職員・被収容者とも,感染者の判明はございませんでした。
 

「死刑の執行に関する通知制度」に関する質疑について

【記者】
 法務省が,被害者遺族らの求めに応じて,死刑を執行したことや執行日などを通知する制度を21日から開始しましたが,制度導入に対する大臣のお考えをお願いいたします。

【大臣】
 かねてから,被害者やその親族等の方々から,死刑が執行された際に,法務省から,その事実を知らせてほしいとの御要望を随時にいただいていたところでございます。
 そこで,いかなる対応が可能かにつきまして,これまで検討してまいりました。
 検討の結果,今般,被害者やその親族等の方々に対しまして,死刑を執行した事実等を通知する制度を設けることといたしました。適切に運用してまいりたいと考えております。
 

国連人権理事会恣意的拘禁作業部会の意見書等に関する質疑について

【記者】
 入管の問題で質問させていただきます。先日,国連人権理事会の作業部会で,2人の難民申請者の個人通報に対して,恣意的拘禁に当たるという意見書が日本政府に送られてきたわけですが,その中で,その退去強制手続の中の,上限の定めのない長期収容や,収容や仮放免の際の司法審査の欠如についても言及があったことは御承知のとおりだと思います。それで,現行の入管難民法そのものが恣意的拘禁の人権侵害を生み出す背景にあるのではないかということも指摘されているのですが,そもそもこの出入国管理法も1951年にできた出入国管理令にある「送還のときまで収容できる」というところが何も変わっていません。
 そういったことに対して日本政府は,7月に作業部会に対して,「国内法に従っているので,恣意的拘禁ではない」と回答されているのですが,恣意的拘禁ではないと言い切るその根拠は一体何なのか,大臣はどのように受け止めていらっしゃるのか。
 また,この点については,10月21日に日弁連の方から,恣意的拘禁作業部会の意見を真摯に受け止め,国際法を遵守するよう求める会長声明が出されました。日本政府は国連人権理事会の理事国でもあるのですが,こういった日弁連の会長声明を踏まえた上で,国連の人権勧告を受け止めるおつもりはあるのかどうか。今回の入管法の改正にも関係してくることですので,大臣の考えをお聞かせいただきたいのですが,お願いいたします。

【大臣】
 まず第1点目の御質問ですが,個別の事案に関しましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げたいと思いますが,入管収容施設における収容ということでありますが,これは入管法の定める慎重な手続によりまして,退去強制令書が発付された外国人について,送還可能なときまで行われるものでございます。したがいまして,この収容につきましては,被収容者が退去強制令書に従い出国すれば,すぐさま終了する性質のものであるということでございます。
 現在,出入国在留管理庁におきましては,「収容・送還に関する専門部会」の提言を踏まえた入管法の改正について必要な検討を行っているところでございます。
 御指摘の国連人権理事会恣意的拘禁作業部会の御意見等の内容については十分に精査し,また,日弁連会長声明等を始めといたしまして,送還忌避や長期収容の問題に関する様々な御意見にも耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けて,しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

仮放免の運用状況等に関する質疑について

【記者】
 出入国管理令は,1951年からほとんど変わっていない。今,大臣がおっしゃっていたような回答そのものが問題だと思うのですが,それとは別に,実態として,新型コロナウイルス感染症対策として,今年4月から仮放免の運用が,森前法務大臣の指示もあり拡大されたのですが,依然として,難民申請者やその帰国できない事情がある非正規滞在者の4年,5年に及ぶ長期収容が続いています。中には長期収容の末やむなく帰国を選択した人であっても,仮放免されずに家族と引き離された状態のまま帰国しないといけないという方もいます。
 それから,例えば技能実習生などでも,不法滞在とか不法就労で刑事裁判になってしまう人もいるのですが,一方で,そういう人の中には職権で仮放免されて,就労も帰国もできずに生活に苦しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。
 こういった今のコロナ災害の中で,現在の長期収容や仮放免,在留特別許可の方針が,非常にバラバラで基本的な指針がきちっとできていない。仮放免したらしっ放しという状況がずっと続いていると思うのですが,これについて大臣は,就任されてから出入国在留管理庁の方から報告は受けているのでしょうか。
 そういった実態を知らずに,国連の人権勧告の受け止めとか,入管法の改正の対応はできないと思うのですが,実態把握について大臣はどのように行われているのでしょうか。


【大臣】
 この問題につきましては,私も就任以来,約1か月でございますが,これから日本の国が多文化共生社会を実現していく,そして日本に入国される方々が,日本に在留をしながら,日本の社会の中で働く,学ぶ,生活をする,お子さんを育てるという,こういう状況の中で,どのような制度を作っていくのか,極めて重要なことだと思っております。
 ルールをしっかり守っていただくということが大前提でございますが,いろいろな事情の中で,出国ということになった場合につきましても,一連の手続,プロセスについては極めて重要な課題であると考えております。
 その上で,実態についての御質問ですが,絶えず,このような状況について報告を受けつつ,これからの在り方も考えながら対応していきたいということで,冒頭にあったような御質問に対しても,しっかりと取り組んでいきたいと申し上げてきたところでございますので,その姿勢でこれからもまいりたいと考えております。

(以上)