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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年12月4日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として,主意書に対する答弁書が2件ありました。
 続いて,私から2件御報告がございます。
 1件目は,第72回人権週間についてです。
 本日12月4日から10日までの1週間は,「第72回人権週間」です。
 この人権週間において,法務省では,皆様に人権についての理解を深めていただくため,関係機関等の協力を得ながら,全国各地において集中的な人権啓発活動を実施します。
 特に今回は,東京スカイツリー及び東京タワーに御協力いただき,人権週間の最終日である12月10日にSDGsの17色を表した人権週間特別ライトアップを実施いたします。
 これを機会にSDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて,人権尊重の大切さを,改めて考えていただきたいと思います。
 また,現在,大きな社会問題となっている新型コロナウイルスをめぐる様々な差別・偏見・いじめがなくなるよう願って,こちらのバックパネルを作成いたしました。
 「STOP!コロナ差別」で,「差別や偏見を思いやりやエールに」変えてほしいと思います。
 さらに,本日,人権イメージキャラクター「人KENまもる君・人KENあゆみちゃん」の無料LINEスタンプの配信も開始いたします。
 これらの取組を通じて,より多くの方々に人権についての関心を深めていただけるよう,報道機関の皆様におかれては,人権週間についての積極的な周知・広報への御協力をお願いいたします。
 2件目は,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてです。
 11月27日金曜日の会見後から昨日までの1週間に,職員について,福岡保護観察所1名,札幌出入国在留管理局1名,計2名の感染が判明しました。詳細は既に公表されているとおりです。
 なお,被収容者の感染判明はございませんでした。

「桜を見る会」に関する質疑について

【記者】
 安倍晋三前首相の政治団体が「桜を見る会」前日に主催した夕食会をめぐり,東京地検特捜部が安倍氏本人に任意での事情聴取を要請するなど捜査が進んでおります。大臣の受け止めを教えてください。

【大臣】
 お尋ねの件でございますが,捜査機関の活動内容に関わる事柄でありまして,お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

難民認定に関する質疑について

【記者】
 入管法改正についてお伺いしたいと思います。UNHCRの年次報告書にも,日本は難民認定率が低い国と名指しされているわけですが,確かに,直近のデータを見ても,カナダ55.7%,英国46.2%,日本0.4%と,日本の難民認定率が非常に低いことは事実かと思います。
 そこでお聞きしたいのですが,難民認定の在り方について,どう改善していくべきか。そこら辺をどうお考えなのかお聞きしたいというのと,具体的には「個別把握論」,つまり,難民認定者が現地政府等に狙われているということを明確に証明しなくてはならないという,そういう難民認定審査の在り方が認定率の低下につながっているのではないかと思われるのですが,大臣のお考えを伺いたいと思います。

【大臣】
 今御質問をいただきました件について,質問の冒頭にございました国際的な状況については,大量の難民,避難民を生じさせる国との地理的な要因等もございまして,各国におきましてそれぞれ状況が異なっていると考えております。難民認定数により単純に比較するということはなかなか困難であると思っております。
 我が国におきましては,申請内容を個別に審査した上で,難民条約の定義に基づきまして,難民と認定すべき者を認定しているという状況でございます。
 また,条約上の難民とは認定できない場合であっても,本国情勢などについて十分に配慮した上で,人道上の配慮が必要と認められる場合につきましては,我が国への在留,庇護を認めているということでございます。こうしたきちんとした手続のもとで,お一人お一人の申請に対して適切に対応していく,そして真に庇護を必要とする者を確実に保護していくということでこれまでも進めてきたところでございます。
 また,条約上の難民とは認定できない場合でありましても,本国情勢などを踏まえまして,人道上の配慮が必要と認められる場合の措置も認めているということでありまして,丁寧に個別案件について,しっかりと審査しているわけであります。この点については,いろいろな形で様々な御意見があり,また,今年7月には,「収容・送還に関する専門部会」から報告書が提出されておりまして,そうした提言も踏まえまして,ただいま出入国在留管理庁におきまして,入管法の改正について必要な検討を行っているという状況でございます。
 これからも,難民認定制度に関しましては,様々な御意見があろうかと思いますが,しっかりと耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けて,更にしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

仮放免に関する質疑について

【記者】
 難民認定が非常に少ない,在留特別許可も減っているというのはもう歴然とした事実ですが,そのことも踏まえてですが,出入国在留管理庁が12月1日に,コロナ禍で帰国できず,本邦での生計維持が困難である外国人に週28時間の資格外活動の就労を許可する文書を出しました。
 ただ,その中に今言った難民申請者の多くが,結局今,在留資格がなくて,仮放免状態でいらっしゃるのですが,そういう方ですとか,元技能実習生や留学生で在留期限が切れてしまって,仮放免状態で就労もできず帰国もできず,生活困窮する人が今続出しています。そういう報道も最近多く取り上げられるようになっていると思います。そういった方に対しては全く就労も許可されず,それから行政の公的サービスも受けられないという状態が続いているのですが,このままですと年末年始に本当にコロナ禍の中で路頭に迷う仮放免者が続出すると思うのですが,関係官庁や地方自治体などと連携して,法務省としてその対応策を考えているのかどうか。また,そのような必要性があると大臣は考えているのかどうか,お願いいたします。

【大臣】
 御指摘の12月1日に発出いたしました事務連絡についてということでありますが,今般のコロナ禍におきまして,「短期滞在」等の在留資格を有する外国人で,帰国及び生計維持が困難な状況にある者につきまして,アルバイト等の資格外活動を許可することとしたところであります。
 今,御質問の仮放免された外国人につきましては,基本的に,退去強制手続の対象とされ在留資格を有しないという立場であるということから,就労は認めていないところでございます。
 その上で,仮放免された外国人が希望する場合には,その居住地などを当該市町村に通知しております。各所管省庁,市町村におきまして,法令により提供可能な行政サービスにつきましては,適切に対応しているものと承知しております。
 さらに,仮放免をされた外国人につきまして,生活に困窮するなどの問題がある場合は,所轄の地方出入国在留管理局の方に是非御連絡・御相談いただきまして,個別にきめ細かな対応をとることとしているものでございます。
 加えまして,仮放免された外国人の中には,帰国を希望しながら航空便の状況等により帰国ができない状況にある方々もいると承知しております。
 そのような外国人につきましては,出入国在留管理庁において関係省庁とも連携しながら,関係国と調整した上で,早期の帰国を実現することができるよう,必要な取組を今続けているところでございまして,今後も一層力を尽くしてまいりたいと考えております。
(以上)