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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年2月2日(火)

 今朝の閣議におきましては,法務省案件として,「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。

司法試験合格者数に関する質疑について

【記者】
 今,裁判所の定員の話もありましたが,先日の司法試験では合格者が初めて政府目標の1,500人を下回りました。この受け止めと,法曹の人数や育成の在り方など今後の対応について,大臣の考えをお聞かせください。

【大臣】
 まず,令和2年司法試験でありますが,裁判官,検察官又は弁護士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するという,大変大事な視点で試験が行われたところであります。その結果については,司法試験考査委員の合議による判定に基づくところでありまして,司法試験委員会において適正に決定されたものと承知しております。
 平成27年の法曹養成制度改革推進会議決定におきましては,法曹人口の在り方につきまして,新たな法曹を年間1,500人程度は輩出できるよう,必要な取組を進め,更にはこれにとどまることなく,社会の法的需要に応えるため,より多くの質の高い法曹が輩出される状況を目指すべきとされているところであります。
 これを踏まえ,令和元年に,法科大学院改革・司法試験制度改革を内容といたします「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し,その一部が既に施行されているところであります。
 これらの法整備によりまして,法科大学院教育の充実,あるいは法曹資格を取得するまでの時間的・経済的負担の軽減が図られるとともに,資格取得までの予測可能性の高い法曹養成制度が実現されることとなるところであります。
 それによって,今後,より多くの有為な人材が法曹を魅力あるものとして志望することにつながっていくものと期待しております。
 様々な制度改革を積み上げてきているところでありますので,是非,有為な人材がどんどん法曹の世界に入っていただくことができるように,この試験制度につきましても,適正にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会における入国措置に関する質疑について

【記者】
 水際対策についての質問をさせていただきます。現在の水際対策では,ほとんどの外国人は入国できない状況ですが,オリンピック・パラリンピックの準備のために,オリンピックの関係者が来日できるように特別な制度を検討していますか。まだそのような制度を検討していない場合は,その可能性はあるのでしょうか。

【大臣】
 令和2年11月12日に,「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」におきまして,必要な防疫措置を講じることを条件に,外国人選手等の入国及び大会参加等の活動を認める「アスリート用東京オリパラ準備トラック(通称アスリートトラック)」の運用を開始する旨が報告されたところでございます。
 このアスリートトラックにつきましては,緊急事態宣言が発令されている間は,原則として運用を停止している状況でございます。
したがいまして,緊急事態宣言が解除された後は,アスリートトラックを再開することを見込んでいる状況であります。
 この大会の開催等に必要不可欠であり,また真に緊急で入国する必要がある大会関係者につきましては,緊急事態宣言下におきましても,内閣官房等関係省庁と協議の上,入国の許否を適切に判断することとしているところであります。

非正規滞在外国人への対応等に関する質疑について

【記者】
 先週29日の記者会見で「関係閣僚会議の下,外国人との共生社会の実現のための有識者会議を開催する」という,そういった御発言がありました。さらに,「新型コロナウイルス感染症拡大の影響も踏まえて,我が国に適法に在留する外国人を孤立させることなく,社会を構成する一員として受け入れていくという視点に立って,取り組む必要がある」というふうに大臣はおっしゃっていました。しかし,実際には,退去強制手続中で,帰国できない諸々の事情があって,非正規滞在の状態でいる仮放免中の外国人とその家族が,地域社会の中で数多く生活していらっしゃいます。そういう人たちは今,生活困窮の問題とか医療問題で一番苦労されていると思うのですが,民間団体の支援も限界で,地方自治体や医療機関も非常に対応に苦慮している状況です。それで昨年末にも,埼玉県の川口市長が,大臣宛てに要請されました。
 それで新型コロナウイルス感染症も非常に長期化しているわけですが,感染症の問題ということで,在留資格に関係なく,やはり外国籍住民への公的な支援対策が必要だと思うのですが,そのような観点から,地方自治体ですとか,今までその支援活動を行ってきた民間団体などと緊急に意見情報交換するような機会を,有識者会議の機会を利用して作るようなことは考えていらっしゃるのかどうかということと,それを踏まえた上で,関係閣僚会議で,非正規滞在の特に仮放免中の外国籍住民の緊急支援が必要だということを問題提起するようなお考えがあるのかどうかということを質問させていただきます。それと併せて,有識者会議のスケジュールも,もし決まっていることがありましたら,今の文脈でお伺いしたいのですがよろしくお願いいたします。

【大臣】
 まず,有識者会議の議論とスケジュール感ということで御質問がございました。
 この有識者会議におきましては,外国人との共生社会の在り方やその実現に向けて取り組むべき重要な事項について,議論いただくことにしているところであります。
 法務省としましては,コロナ禍により生じた外国人の方々の困難な状況も踏まえまして,外国人が我が国社会と関係を構築するために必要な日本語習得などの問題だけではなく,生活困窮や医療的配慮を含む生活の中で生じる様々な問題への対応につきまして,積極的に御議論いただくということを予定しているところであります。
 その上で,スケジュール感でありますが,本年6月を目途に,共生社会の在り方及びその実現に向けて取り組むべき中長期的な課題等に係る意見について取りまとめ,関係閣僚会議に報告していただく予定としているところです。
 また,出入国在留管理庁におきましては,今後の出入国在留管理行政の在り方に関する検討に資するために,広く国民の声を聴くという観点に立ちまして,幅広い関係者の方々からヒアリングを行うこととしております。
 当該ヒアリングにおいて得られた結果のうち,有識者会議の議論に関連するものにつきましては,出入国在留管理庁から有識者会議に対して提供することとしておりまして,これにより,有識者会議での議論が一層深まっていくものと考えております。
 また,困窮する外国人については,今コロナ禍でございますので,様々な御意見,御要請をいただいているところでございます。これへの対応といたしましては,「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に設置された関係省庁タスクフォースにおきまして,早期帰国実現の支援,また生活困窮者に対する支援等を柱とする緊急対応方針を取りまとめ,先月29日に,同関係閣僚会議において,報告されたところでございます。
 法務省といたしましても,この方針に基づいて,関係省庁と緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。
     
【記者】
 今質問させていただいたのは,先日川口市長からも要請があったように,在留資格のない方,特に仮放免中の方が今,コロナ禍の中で入管施設から長期収容などから仮放免されてという方を含めて,在留資格のない方がたくさん住んでいらっしゃるわけです。そういう方に対して地方自治体と国との間で,国の方は仮放免の台帳というか名簿は,地方自治体の方で対応してくれというお話ですし,地方自治体の方は在留資格がないから対応できないということで,特に行政支援が,今なかなか積極的でないという状況なのですが,責任の押し付け合いになっていると思うのですが,実際に地域社会の中で,家族連れで生活している人がたくさんいらっしゃるわけですね。その状況は大臣ももちろん御存知だと思うのですが,そういう対応について,この有識者会議では全く対応しないという意味で今お話しされたのでしょうか。それを確認させてください。

【大臣】
 有識者会議に関しましては,先ほど申し上げたように,様々なヒアリングをさせていただきたいと思っておりまして,その中で様々な現状の課題や,また中長期的に検討すべき課題ということにつきましても,声が上がってくるものと考えております。
 いずれにしても,この日本の社会の中で,今,様々な形でコロナ禍で困難を抱えている方々につきましては,有識者会議でうんぬんということだけではなく,しっかりと対応していく必要があると思っております。
 この間,御質問をいくつかいただいたところでありましたので,随時その都度説明してきたところではございますが,退去強制処分を受け仮放免中の外国人の方々に対しましては,帰国を促進するために,やはり処分に従って早期に帰国していただくということが何より重要であるという認識の下で,航空便がなかなか手配できないとか,そのゆえに帰国ができないというような状況に置かれている方々も多いということも踏まえて,例えば,関係省庁と連携しながら,関係国と調整した上で,国費による送還を積極的に実施するなど,こうした外国人の方々の速やかな帰国のために力を尽くしてまいりました。引き続き,そうした保護については,対応してまいりたいと思っております。また,自治体との関係でございますが,御指摘のとおり,仮放免中の外国人の方々につきましては,希望によりまして居住地等を当該市町村に通知しているところでございます。各所管省庁,市町村等におきまして,提供可能な行政サービスについては適切に対応しているものと承知しております。
 さらに,出入国在留管理庁におきましては,仮放免中の外国人の方々で生活に困窮している場合におきましては,所轄の地方入管等に連絡,そして御相談いただくということが極めて重要であると考えておりますので,その意味では,情報過疎にならないように,適切にそうしたところにアクセスできるように,特に緊急事態宣言が発令されたということもありまして,出入国在留管理庁に対して指示を強めているところでございます。それぞれのケースによって違いがございますので,個別にきめ細やかな対応をしていくということが重要であると認識しているところでございます。
 私自身,仮放免の制度に関しまして,この間様々な御指摘,御意見をいただいてまいりました。大変重要な問題として受け止めているところであります。
 現在行っている入管法改正案の検討におきましても,仮放免の状態が長期化する外国人が生じている状況を解消するということを優先課題の一つと位置付けておりまして,速やかに立案作業を進めていく所存でございます。

ミャンマーにおける軍事クーデターに関する質疑について

【記者】
 昨日,ミャンマーで軍事クーデターがありましたが,法務省とミャンマーの政府要人で非常に交流が盛んに,この間民主化プロセスの中で行われてきたと思います。昨日,茂木外務大臣も一応コメント発表されたのですが,法務省として,今の状況についてまだ分からないことが多いですが,もし大臣の御所見があれば伺いたいのです。特に,京都コングレスにもミャンマー政府の方に参加要請をしていたと思うのですが,そのことも含め,大臣の現段階での御所見をお願いいたします。

【大臣】
 まず,この件について,所感があればということで御質問いただきましたが,所管ではないということでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 政府として,どのような状況かということにつきまして御質問がございました。我が国は民主的プロセスに則りまして,当事者が対話を通じて平和裏に問題を解決することが重要であると考えている旨を表明したと承知しております。それ以上につきましては,法務省として,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)