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法務大臣臨時記者会見の概要

令和3年6月23日(水)

 本日,最高裁判所大法廷におきまして,夫婦は同じ氏を称することとしている民法第750条が,憲法等に違反するか否かが争点となった事件について,決定がされました。
 最高裁判所は,夫婦同氏制を定める民法第750条の規定は合憲であるとの判断をしたものであり,基本的には平成27年の判決を踏襲したものとなっているものと承知しております。
 ただ,平成27年の事案は,夫婦同氏制の規定を改廃しないという立法不作為の違法を理由とする国家賠償請求でしたが,今回の事案は,夫婦別氏での婚姻届出の不受理処分に対する不服申立てでした。こうした事件類型の違いも含めて,最高裁判所の判断を精査していく必要があるものと考えております。
 夫婦の氏に関する問題につきましては,最高裁判所の判断内容も精査した上で,国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら,引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

夫婦別氏についての最高裁判所の判断に関する質疑について

【記者】
 今回の大法廷決定で,最高裁は2015年判決と同様に,家族の氏の在り方について,国会での真摯な議論を促しています。
 司法府から再びこうした注文がついたことを,どのように受け止められましたでしょうか。

【大臣】
 今回の最高裁の判断におきましても,夫婦の氏の問題につきましては,「国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならない。」とされているところであります。
 法務省といたしましては,国会における議論が充実したものとなるように,法制審議会での検討の経過や最近の議論状況等につきまして,積極的に情報提供をするなど,できる限りの協力をしているところでございます。
 こうした協力の取組を続けるとともに,引き続き広報・周知を徹底するなどの環境整備にも努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても,多数意見のみならず,反対意見や補足意見につきましても,その内容を十分に精査する必要があるものと認識しております。

【記者】
 選択的夫婦別姓については,肝心の自民党内での意見集約がなかなか進んでいない現状があると思います。
 先ほどもありましたが,今回国会で議論すべきと二度目のボールが投げられた形になります。この点,改めて受け止めと,現状の中で議論をどのように進めていくべきか,大臣のお考えを教えてください。

【大臣】
 今回最高裁の大法廷におきまして,御指摘の判示がなされたところでございます。
 先ほども私自身が申し上げたところでございますが,立法府におきましての真摯な議論ということでございますので,その意味で,行政府としての法務省といたしましては,そうした議論がしっかりなされるように,環境整備も含めまして,あるいは広報の在り方も含めまして対応していくということ,これはこれまでどおりということでございます。
 各党におきまして,様々な形で検討が進められているものと承知をしております。法務省といたしましても,この夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しまして,各党での検討を含む国会においての議論の動向,こうしたことを注視しながら,検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 最高裁の判断は判断としてあるのでしょうけれども,平成29年に政府が直近で行った家族の法制に関する世論調査では,現行法を改める必要はないというのは29.3%で,一方で選択的夫婦別姓に賛成というのは42.5%あったそうです。
 このように過半数に近い人たちが賛成している中で,今回,同姓合憲が出たということに関してはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 世論調査を通して,国民の皆さんの意見については,これまでも定点的に調査し,その動向等をしっかりと把握してきたところであります。
 様々な民間あるいは大学等の研究的なテーマとしてもこの問題が扱われており,様々な御意見や,各政党,あるいは国会の議論の中でも指摘をされてきたところであります。
 法務省といたしましては,こうした議論が活発に進むことができるように,環境整備を含め,広報活動をして国民の御理解を深めるとともに,議論がしっかりとなされるよう協力をしていく,情報提供をしていくという姿勢は,これまでどおり続けていく必要があると思っております。
(以上)