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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年6月25日(金)

 今朝の閣議におきまして,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 6月18日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員につきましては,3つの官署・施設で計3名の感染が判明しました。
 また,被収容者につきましては,東京拘置所で1名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりでございます。

女性初の検事長就任に関する質疑について

【記者】
 本日の閣議で,畝本直美最高検公判部長を広島高検検事長に充てる人事が決まりました。
 初の女性検事長が誕生することとなります。女性閣僚としてその意義をどう捉えているか,また,法務省における女性の幹部登用をどう進めるか,法務省の考え方をお聞かせください。

【大臣】
 退官する検事長の後任人事につきましては,本日(6月25日),畝本直美最高検察庁公判部長を検事長に任命する閣議決定がなされたところでございます。
 畝本最高検公判部長は,7月16日付けで女性初の検事長に就任することとなりますが,検事長として的確に手腕を発揮されることを期待しております。
 畝本氏が任官された昭和63年度に採用された女性検事は41名中4名であり,女性の採用割合は約10パーセントであったと承知しております。
 そのような中にありまして,畝本氏は,様々な分野で力を発揮してこられ,今般,検事長に就任することとなったものでございます。
 昨年度の女性検事の採用割合は約36パーセントでございまして,検事全体に占める女性検事の割合も,昨年度は25.4パーセントと,政府目標であります30パーセントに着実に近付いてきているところでございます。
 畝本氏のキャリアは,現職の女性検事や,今後検事・法曹を目指す女性のロールモデルとなると考えております。
 女性の活躍を促進し,社会や組織の「ダイバーシティ アンド インクルージョン」(多様性と包摂性)を進めていくことは,社会や組織の活力,イノベーションの創出につながるものと考えております。
 法務省におきましては,本年度に策定した特定事業主行動計画(通称アット・ホウムプラン-プラスONE-)に基づきまして,女性職員の登用に向けた職務経験の付与や研修参加機会の確保等によりまして,女性職員のキャリア形成支援を充実させる取組を進めてきており,そうした過程の中で,モチベーション,意欲を向上させるということも期待しているところです。また,管理職の候補となり得る女性職員の計画的な育成などにも取り組んでいるところでございます。
 引き続き,第5次男女共同参画基本計画に定める政府全体の目標も踏まえまして,女性職員の登用に向けた様々な取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。

【記者】
 今の質問への御回答の関連でお伺いします。
 今回の畝本さんの検事長就任が女性初ということであり,これまで法務省や検察庁で女性が就いていないポストというのは幾つもあるかと思うのですけれども,そういった中で,これから女性初ということが幾つも出てくるかと思います。
 女性を幹部職員に登用することで,法務・検察行政のどのような部分でいかされるとお考えか,お聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】
 女性の活躍については,女性の視点をいかしていく,また,女性が様々な社会における壁を乗り越えて,継続して就業していくという中から,今回の女性初の検事長への就任になったと思っておりまして,これは画期的なことであると考えております。
 そのキャリアまで至るプロセス,先ほど申し上げたように,採用の時点からいろいろなところを経験しながら,高い評価を受けつつ,そして組織全体の中でも大きな貢献をされてきたというところの部分に,信頼ということをベースにした形で,御活躍をされてきたものと思っております。
 そういう意味では,長いキャリアの中でいろいろな経験をされて,研修もいろいろな形,視点で受けられて,そして,組織全体の中でも活躍をする,そういうキャリアディベロップメントというものが,今回一つの大きなロールモデルとして,畝本さんのところに集中してきているということであります。
 いろいろなポジションがありますので,幅広いポジションに,これからどんどん輩出されていくものと思います。そういう中で,新しい発想や新しい視点など,あらゆる生活・政策に女性の視点を入れるということにつきましては,これは世界的な要請事項であると承知をしております。
 そういう観点からも,世界では,それこそ様々な大臣のポストなどいろいろな形で女性が活躍しておりますが,日本も,そして,この司法という分野におきましても,女性の活躍が例外ではないという方向にいく流れがしっかりできる,しっかりとそういう方向を進めていく,こうしたことが期待されているものと思います。是非頑張っていただきたいと思いますし,私自身は,そうした流れをしっかりと強くしてまいりたいと思っております。

【記者】
 畝本さんと上川大臣が,お会いになったり話をされたり一緒に仕事されたりというところがもしあれば,そのときの印象等を教えていただければと思います。

【大臣】
 私が,2回目の法務大臣だったときに,保護局の局長を務めていらっしゃいました。
 保護局という組織の局長として,全国の様々な保護司さんや協力雇用主の皆さんとともに,新しい施策を打ち出してこられておりました。大変明るく,しっかりと組織を挙げて,チームとして動かしていただいたという姿を大変印象深く思っております。
 当時は,保護局と,矯正局との関係,あるいは刑事局との関係といった横の局同士の連携ということについて,非常に重要視していた時期でもございましたので,そういう中にあって,様々な新しい取組についても,積極的に挑戦していただいてきた方だと思っております。

在留特別許可の申請に関する質疑について

【記者】
 在留特別許可の申請に関連してお伺いします。
 今日の東京新聞の報道で書かせていただきましたが,日本で育った南アジア出身の姉妹が,離婚した母親とともに在留資格を失って,今苦境に追い込まれております。母親は昨秋がんで倒れ,多額の治療費が必要になっており,長女は今回の4月,大学を自主退学されました。
 「苦労して育ててくれた母親を助けたい。在留許可を得て働きたい。」と彼女は訴えております。
 一家は,2015年9月以降,在留許可の申請をずっと続けているのですが,6年を超えてもまだ許可が出ておらず,今,生活もかなり困窮しています。母親は先日,入管の聴取を受けたようですが,がんがかなり進み,2時間の聴取もきつかったと聞いております。
 大臣,個別の事案はお答えできないということだとは思いますが,日本にいながら真面目に生活をしてきたこの一家のような方たちへの在留特別許可,これを人道上の観点からも,できるだけ早く出していただきたいと弁護団等も申しています。こういったことに対する大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの事案に関する御質問でございますが,正に個別事案ということでございますので,お答えについては差し控えさせていただきたいと思っております。
 その上で,一般論として申し上げるところでございますが,在留特別許可の許否の判断,これは個別事案ごとに,在留を希望する理由,家族関係,素行,当該外国人の病状等,諸般の事情を総合的に勘案して行っているところでございます。
 いずれにいたしましても,詳細につきましては出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思っております。

仮放免制度の在り方等に関する質疑について

【記者】
 今の在留特別許可とも関連してきますが,結局在留資格がないと,在留カードがないと住民登録もされず,それによって地方自治体の行政サービスも受けられない,健康保険も入れないという状況が続いています。
 先週も仮放免の外国人に対する健康保険の適用に関する質問がありましたけれども,重篤な高度医療を必要とする方もそうですが,日常的にお子さんの虫歯の治療すらできない,そういう状態が何年も何年も放置されているという状況が続いています。健康保険がないということは本当に生活していく上で大変な状況です。
 その他にも,新型コロナ感染症のワクチン接種の状況についてですけれども,厚生労働省が3月末に,仮放免の方にも希望者にはワクチンを接種するようにという通知を出していますが,実際に地方自治体に問い合わせても,ほとんど広報もしていませんし,実施もされていません。
 仮放免の方に聞いても,入管が持っている仮放免の個人情報を地方自治体と共有すること自体に非常に警戒を持っている方がいらっしゃいます。仮放免と言っても,行政の支援が受けられるわけではなく,ただ入管に出頭して,それが延長されるかどうかを決めるだけの,監視のためだけの制度になってしまっています。
 そういうことで,やはり仮放免制度というのが,地方自治体との関係も含めて,その人の命を最低限守るといったような証明にならないといけないと思うのですが,現行の仮放免制度の在り方そのものを見直す考えがあるのか。
 それと在留特別許可の柔軟な運用ということも関係してくるわけですけれども,仮放免制度の在り方,それから健康保険ですとかワクチン接種の関係について,大臣のお考えがあればお聞かせください。

【大臣】
 現行制度でございますが,仮放免をされた外国人の方々につきましては,退去強制手続中という立場に鑑みまして,基本的に就労を認めておらず,その生計については,基本的に,本人の資産や,身元保証人や御家族の支援によって支えることが想定されているところでございます。
 また,健康保険につきましては,法務省の所管外でありますが,現行制度上,不法滞在外国人は,公的健康保険に加入することはできないものと承知をしております。
 出入国在留管理行政の遂行に当たりましては,関係省庁との適切な連携が重要であると認識しておりますが,医療制度や公的保険制度は法務省の所管外でございます。それらの制度に関する見直しをすべきではないかとのお尋ねもございましたけれども,法務大臣としてお答えすることは適切ではないと考えております。
 その上で,仮放免中の外国人の方に対しての市町村等との関わりについての御質問がございましたが,当該外国人の御希望によりまして,その居住地等を当該市町村に通知をさせていただいております。各所管省庁や市町村等におきまして,提供可能な行政サービスにつきましては,適切に対応しているものと承知しております。
 また,仮放免中の外国人に生活上や健康上の問題がある場合には,所轄の地方入管等に連絡・相談をいただければ,個別に適切な対応を検討することとしているところでございます。
 ワクチン接種についての御質問がございました。入管収容施設の被収容者につきましては,ワクチン接種を希望する被収容者に対しましては,原則として,ワクチンの接種を行うこととしているものと承知しております。
 優先接種対象者であります65歳以上の被収容者の中には,既に2回目のワクチンを接種済みの者もいると承知しております。
 今後とも,被収容者に対する予防接種の実施につきましては,関係省庁や市町村と連携し,適切に対応してまいりたいと考えております。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁へお問い合わせいただきたいと思っております。

性犯罪に関する刑事法の見直しの要望等に関する質疑について

【記者】
 2点お伺いします。ここ最近,自民党の議連ですとか,野党のワーキングチーム,民間の支援団体から,性犯罪に関する刑法改正について,大臣への要望が相次いで寄せられております。
 こうした状況について,大臣の問題認識ですとか御所感についてお伺いしたいのと,改めて法改正に向けた今後のスケジュールについてのお考えをお願いいたします。

【大臣】
 これまでに与野党から様々な御意見を御要望という形で伺ってまいりました。いずれも様々な論点につきまして,議論を踏まえた上での貴重な御意見と思っておりまして,しっかりと受け止めさせていただいている状況でございます。
 性犯罪に関する刑事法の在り方の検討は喫緊の課題でございまして,先月終了した「性犯罪に関する刑事法検討会」の取りまとめ結果を踏まえるとともに,様々な御意見にもしっかりと耳を傾け,しかるべき時期に法制審議会に諮問をすることができるよう,しっかりと検討してまいりたいと思っております。
 現段階で具体的なスケジュールについて申し上げることは困難でありますことを御理解いただきたいと思いますが,迅速に対応し,内容の面もしっかりと検討した上で対応してまいりたいと思っております。

【記者】
 関連してもう一問お願いいたします。
 特に自民党の議連の要望の中には,不同意性交,性交同意年齢,公訴時効の見直し,障害者の方に対する性犯罪ということで,見直すべき項目として主に4本柱が盛り込まれています。先ほど大臣から喫緊の課題ですとか,中身はこれから検討するというお話がありましたが,この自民党の議連の要望の中で特に見直しすべき,着目すべき項目が,大臣としてあるとお考えなのでしょうか。もし,あるのであれば,教えていただけますでしょうか。

【大臣】
 今般のような御要請につきましては,前回の大変大きな刑事法の改正においても議論があった論点について,更なる検討ということについての御要請などもあったところでございます。
 先ほど申し上げましたとおり,いずれの論点につきましても重要なものと受け止めているところでございます。
 性犯罪に関する刑事法の見直しに関する提言は,いずれも,被害者の方々の御意見を踏まえた上で,特に検討を要する事項について取りまとめられたということでございまして,どれが重要でというような優先順位をつけるべきものではないと考えております。
 いずれも重要なものとして検討していかなければならない課題だと思っているところでございますので,そうしたことをしっかりと検討した上で,しかるべき時期に法制審議会に諮問ができるようにしてまいりたいと思っております。
(以上)