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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年6月29日(火)

 今朝の閣議におきまして,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続きまして,私から2件報告がございます。
 1件目でありますが,7月は,再犯防止啓発月間であるとともに,犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くことを目的とする,第71回“社会を明るくする運動”の強調月間です。
 まず,本年の再犯防止啓発月間における取組として,「再犯防止4コマ&1ページ漫画大賞」の募集を開始します。
 これは,一般の方々を対象として,再犯防止をテーマとした漫画作品を広く募集するものです。優秀作品については,表彰に加え,今後の広報活動で活用していく予定です。
 また,より多くの情報を,より幅広く発信するため,新たに,ソーシャルメディアサービスの「note」(ノート)を活用した発信を行うとともに,「#再犯防止サポーター」や「#立ち直り」をキーワードに,ツイッターで,様々な発信を行う予定です。
 こうした取組を通じて,広く再犯防止についての関心と理解が深まるよう,努めてまいります。
 次に,第71回“社会を明るくする運動”では,「#生きづらさを,生きていく。」をメインコピーに,犯罪や非行の背景にある様々な生きづらさに思いを致し,生きづらさを包み込むコミュニティづくりを目指して,運動を展開してまいります。
 ここで,30秒のショートアニメを上映しますので,御覧ください。
  ※ ショートアニメ上映 ※
 ありがとうございました。
 強調月間等のスタートを切る7月1日には,法務省におきましてキックオフイベントを実施します。また,同じ7月1日に,九州の熊本市では,市の多大なる御協力により,熊本城が“社会を明るくする運動”のイメージカラーである黄色にライトアップされます。熊本の方々にとってのシンボルであり,震災から立ち上がり再生する熊本城がライトアップされる姿は,支え合いを大切にするコミュニティづくりを目指す“社会を明るくする運動”の理念を,まさに象徴するものであります。
 地域の垣根を越えて,一人でも多くの皆様に,この運動の輪に加わっていただき,多様な人々が集うコミュニティによって,希望を未来につないでいくことができますよう,幅広い御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 2件目は,「前科による資格制限の在り方に関する検討ワーキンググループ」の設置についてです。
 若年者の前科による資格制限の在り方を検討するため,「前科による資格制限の在り方に関する検討ワーキンググループ」を設置し,本日,その第1回会議を開催いたします。
 平成29年12月に閣議決定されました再犯防止推進計画におきましては,犯罪をした者等の就労の促進の観点から,前科による資格制限の在り方につきまして,検討を行うこととされています。
 また,本年5月に成立した少年法等の一部を改正する法律に係る附帯決議におきまして,取り分け18歳及び19歳などの若年者の社会復帰の促進を図るため,前科による資格制限の在り方について,政府全体として速やかに検討を進めることが求められました。
 そこで,再犯防止推進計画に係る検討等のために設置されている再犯防止推進計画等検討会の下に,ワーキンググループを設置することといたしました。
 ワーキンググループでは,外部の有識者にも加わっていただき,まずは資格制限を緩和すべきニーズを調査した上で,当該資格を所管する関係府省庁とも連携して,検討を進めていくことを考えております。
 スピード感をもって,ワーキンググループによる検討を進めてまいります。

若年者の前科による資格制限の在り方の検討に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言に関連して伺います。
 若年者の前科による資格制限の在り方について検討を始めるということですが,こうした検討を始めることの意義を大臣としてどうお考えでしょうか。
 併せて,今後のスケジュールについて,現時点での見通しをお願いします。

【大臣】
 まず,ワーキンググループにおける検討の意義ということでありますが,先ほど申し上げたとおり,犯罪をした者等の再犯の防止,円滑な社会復帰を図る上で,就労の確保は極めて重要な課題でございます。
 ワーキンググループにおける検討につきましては,少年法の改正内容も踏まえ,前科による資格制限の在り方について,具体的に検討を行うものでありまして,罪を犯した若年者の社会復帰の促進に向けて,重要な意義があるものと考えております。
 今後のスケジュールについてですが,ワーキンググループにおきましては,まずは,いかなる資格につきその制限を緩和すべきニーズがあるかについて,調査する予定でございます。
 その上で,資格制限を緩和すべきニーズが認められた場合につきましては,当該資格を所管する関係府省庁とも連携をいたしまして,どのような措置を講ずべきかにつきまして,更に検討を進めていくという流れを考えております。

不法就労外国人対策キャンペーン月間に関する質疑について

【記者】
 入管庁の不法就労外国人対策キャンペーンに連動して,三重県がウェブ上に掲載したイラストに関連してお聞きいたします。
 不法就労等に関する三重県のウェブサイトに掲載されたイラストが,外国人への差別や偏見を助長するという指摘を受けて,県がこれを削除いたしました。イラストは,灰色の肌に黄色の目の土木作業員や工場作業員と見られる男女が,「在留資格無資格」と書かれた紙を掲げ,薄ら笑いを浮かべていた様子が描かれていました。
 イラストは県警の依頼を受け,入管庁の不法就労外国人対策キャンペーンの期間に合わせ6月から掲載したとのことです。入管庁が開発したアプリも,外国人からは人権侵害を助長するという批判が出ていますが,この入管の不法就労対策キャンペーンは,やり方を少し間違えてしまうと,280万人を超える,いわゆる正規の在留外国人への人権侵害を助長してしまう面も多々あると思います。
 人権擁護を掲げる法務省として,こういったキャンペーンから派生してしまうような人権侵害,これにどう対処し,全国の自治体等々に通知を含めた注意喚起をするのかどうか。この辺りをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の報道については承知しているところでございます。
 経緯等の詳細につきましては,把握をしておりませんので,法務大臣としての回答につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
 なお,出入国在留管理庁におきまして,この不法就労外国人問題に対処するために,6月を不法就労外国人対策キャンペーン月間と定めまして,外国人を雇用する事業主等を対象に,不法就労の防止について,理解と協力を求めるためのキャンペーンを行っている状況でございます。
 当該キャンペーンにつきましては,入管法で禁止している不法就労を防止することを目的として,事業主や外国人に啓発を図るものでありまして,差別を助長するものでは全くございません。
 当該キャンペーンの詳細につきましては,出入国在留管理庁にお尋ねをいただきたいと思っております。

資格外活動許可を持つ留学生の就労時間に関する質疑について

【記者】
 不法就労について1点お伺いします。
 現在,入管難民法などで資格外活動許可を持つ留学生の就労時間は原則週28時間以内となっています。こうしたルールの中,コロナ禍で働き口が減り,28時間しか働けないことが職探しをする上でのハードルとなり,生活困窮に陥る留学生がいます。
 帰国資金を稼ぐために不正な就労をする実態につながっているとの指摘もありますが,週28時間の規制緩和などを検討するお考えはあるかお聞かせください。

【大臣】
 我が国の在留資格制度におきましては,個々の在留資格に応じ就労が認められるものと就労が認められないものがございます。
 お尋ねの「留学」という在留資格でございますが,本邦の教育機関において教育を受ける活動であって,就労が認められていないものでございます。
 その上で,外国人留学生につきましては,アルバイトを通じて,留学中の学費及び生活費を補うことによりまして,学業の遂行に資するという観点から,申請に基づきまして,資格外活動許可として,1週につき28時間以内など,一定の範囲内で就労活動を認めているものでございます。
 こうした資格外活動の許可につきましては,あくまでも留学生本来の活動である学業を阻害しない範囲で許可されるべきものであることから,その緩和につきましては慎重である必要があると考えております。
 コロナ禍の下で困難を抱えている外国人の方々の事情は様々でございますので,外国人在留支援センター(FRESC),地方の外国人相談窓口,あるいは地方入管等に御相談いただければと考えております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋入管で3月6日に死亡したスリランカ人女性の収容問題に関する法務省・入管庁の最終報告の公表が7月中ということで,1か月以内にあるのだろうと思います。この件に関しては,先般の国会での入管法改正案の審議でも,特に中間報告の内容を巡り,入管行政そのものの信頼性が根底から問われるということで,法案審議の大前提として取り上げられ,上川大臣と入管庁次長が主に答弁されました。
 結局,中間報告については,大臣も御存じのとおり,極めて問題が多かったこともあり,国会審議が進まず,法案審議がほとんど行われず成立が見送られた形になっています。
 スリランカ人女性死亡事件後も,名古屋入管では適切な医療が行われなかったり,長期収容に苦しんでいる被収容者が何人も存在し,面会支援者が6月23日に申入れを行いました。この間の処遇改善や再発防止,名古屋入管の担当者との協議の場を求めて,6回から7回も名古屋入管局長に対して申入れを行っていますが,名古屋入管はそういった協議に応じようとしていません。申入書は受け取っていますが。
 スリランカ人女性死亡事件の真相の究明は,名古屋入管だけの問題ではなく,また,医療・処遇だけの問題ではなく,誰が責任を持って外部診療の対応に当たるのか,仮放免の判断の在り方,またスリランカ人女性のようにDV被害に遭われた方への対策や,生活困窮している留学生の在留特別許可の問題など,入管行政全体に関係してくる問題です。
 大臣は,この間の国会審議の内容や,弁護士会の意見書,支援団体からの申入れ,スリランカ人女性の御遺族との面会など,こういったものを踏まえて,どのような観点からの最終報告書を出すようにと,具体的にどういう指示をこの最終報告に向けて出しているのかお答えください。

【大臣】
 ただいまの御質問でございますが,累次に,この記者会見でも質問を頂いてまいりまして,私はできる限り速やかに,最終報告を取りまとめるべく,最善の努力をするように指示をしていると,重ねて御説明をしてまいりました。
 出入国在留管理庁の調査チームは,現在,外部の第三者の方々に加わっていただきまして,最終報告に向けて,関係資料の分析ですとか,あるいは第三者である医師からの医学的所見の聴取を含めた幅広い関係者からの聴き取り,そして事実関係の評価及びこれに基づく再発防止策の検討などの調査・検討を進めているものと承知しております。
 出入国在留管理庁に対しては,本件に対する様々な御指摘を真摯に受け止め,十分な内容の最終報告書を,できる限り速やかに取りまとめるために,最大限の努力をするようにと指示しておりまして,今,同庁におきまして,調査・検討に全力を挙げているものと理解しているところでございます。

誓約違反をした五輪関係者に対する入管法上の対応に関する質疑について

【記者】
 水際対策についてお伺いします。
 ウガンダを始め五輪の選手団や関係者の入国が本格化しています。
 五輪関係者は検査や行動などに厳しい制限が課されます。政府としては,先の国会質疑であったとおり,水際対策の誓約違反には在留資格の取消しを含め厳しい対応で臨む考えを示しています。
 改めて法務省・入管庁として,誓約違反をした五輪関係者に対する入管法上の対応に関する考え方をお聞かせください。

【大臣】
 お尋ねの誓約違反をした五輪関係者への対応につきましては,個別事案ごとの判断となると考えております。
 その上で,一般論として申し上げるところでございますが,例えば,偽りその他不正な手段により上陸許可を受けたと認められた場合につきましては,出入国管理及び難民認定法第22条の4におきまして,在留資格を取り消すことができ,その結果,在留資格が取り消された場合には退去強制手続を執ることになる,これが一般論の対応でございます。
 いずれにしても,東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局など関係機関と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。
(以上)