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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年7月16日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続きまして,私から2件報告がございます。
 1件目は,福岡市での「教員向け法教育セミナー」の開催についてです。
 来月8月17日,福岡市におきまして「教員向け法教育セミナー」を開催いたします。
 法教育は,法や司法制度の基礎となっている価値を理解し,法的なものの考え方を身に付けるための教育であります。来年(令和4年)4月の成年年齢の引下げなどに伴って,その必要性がますます高まっているところであります。
 法教育の普及,推進のためには,その担い手を増やしていくことが重要であり,教員の皆様はその中心となる存在です。本セミナーでは,より多くの教員の皆様に法教育に取り組んでいただけるよう,具体的な授業の実践方法等を御紹介する予定でございます。
 また,本セミナーは,ハイブリッド方式で実施するため,全国からオンラインによる参加も可能であります。
 法務省ホームページにおいて,昨日から受付を開始しておりますので,多数の御参加をいただきたいと考えております。
 2件目は,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてであります。
 7月9日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員につきましては,6つの官署・施設で計13名の感染が判明しました。このうち7名が横浜刑務所の職員であり,クラスターに認定されております。
 また,被収容者については,千葉刑務所で2名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりです。

五輪期間中の水際対策に関する質疑について

【記者】
 五輪期間の水際対策についてお尋ねします。東京五輪の開幕がいよいよ来週に迫り,海外選手団の入国もピークを迎えています。
 空港ではコロナ対策として,五輪関係者と一般客の接触をなくす「バブル方式」がとられていると思いますが,成田空港では大会関係者が一時,一般客に紛れ込んでしまうトラブルがあったという報道もありました。
 大臣は火曜日に羽田空港で入国審査の状況を視察されましたが,視察の結果も踏まえ五輪における水際対策の現状をどのように受け止めておられるでしょうか。入国審査手続を中心にお聞かせください。

【大臣】
 いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで1週間を迎えたところです。
 安全・安心な大会の開催が極めて重要でありまして,万全な水際対策と入国後のリスク管理は最重要な取組であると認識しております。
 私自身,今月13日,オリンピック開催の10日前ということでありましたけれども,羽田空港の上陸審査場を視察いたしました。
 あらゆるシナリオに備えた対応体制が執られているかを含め,感染防止対策が十分に実施されているか,大会関係者用の専用レーンが円滑に運用されているかなどにつきまして,空港の現場の状況を直接確認することができました。
 そして,CIQや関係機関としっかりと連携し,さらに,空港運営会社や航空会社とも協力しながら空港全体が一体となって業務が進められていることを確認したところでございます。
 視察を踏まえまして,改めて私から出入国在留管理庁に対し,一層高い緊張感を持って,感染症対策と,選手及び大会関係者の円滑な審査を継続すること,入国後を含め,急を要する事態が生じた際に,関係機関との連携により,迅速かつ機動的な対応を可能とするリスク管理の体制を更に強化しておくこと,コロナ禍の現状でも,テロ対策の重要性は変わるものではありませんので,このことを改めて認識し,テロの未然防止のための厳格な審査を着実に実施することについて指示をしたところであります。
 法務省といたしましては,安全・安心な東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実現に向けまして,水際でのリスク管理に万全を期すため,引き続き関係省庁と連携をいたしまして,出入国審査を実施していく所存でございます。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 スリランカ人女性の関係でお聞きします。
 今日,午後3時過ぎより,入管庁の担当検事とスリランカ人女性の遺族弁護団が面会され,1時間ほどヒアリングを行う予定とのことです。
 弁護団はその後,出入国在留管理庁長官から,支援団体への聴取内容や映像や解剖所見の提出の可否,彼女をDV被害者として扱わなかったことへの説明や再発防止策,映像が保存されているか,点滴を受けさせず連れて帰ったことの評価など,大きく12項目にわたって出入国在留管理庁長官から直接説明を聞くということです。
 今日,長官がどこまで踏み込んで御説明されるか分かりませんが,最終的に最終報告書を出された後には,直接大臣が御遺族に御説明をするつもりなのか,この点をお聞かせください。

【大臣】
 今回の事案でございますけれども,これまで申し上げてきたとおりでございまして,現在,出入国在留管理庁の調査チームが,最終報告に向けまして,資料の分析,外部病院の医師や第三者である医師を含む関係者からの聴取,事実関係の評価などの調査・検討を進めているところでございます。
 調査チームにおける個別の調査状況につきましては,今御指摘いただいたことも含めまして,お答えを差し控えさせていただくところでございますが,様々な項目について,必要に応じ,最終報告の中でしっかりと調査結果を明らかにするものと考えております。
 様々なこうした調査過程におきましては,関係する皆様にもヒアリングをさせていただくということでありますので,これは出入国在留管理庁のチームの中でしっかりと対応していく,基本的に出入国在留管理庁におきまして対応するものと考えております。

【記者】
 今の質問は御遺族に最終報告書が出た後に説明するかという点と,もう一つ,前回遺族の方と指宿弁護士が上川大臣とお会いしたときに,大臣が指宿弁護士と全く顔も合わさず,名刺交換もせず,言葉を交わすことさえしなかったとお聞きしました。指宿弁護士は,あたかも自分がいないかのように扱われたとおっしゃっておりました。
 大臣は,誰かにそのような振る舞いをすること自体を振り付けられたということなのか,若しくは御自身で考えてわざとそういう態度で臨んだのか。今回,中間報告書の数々の疑念と問題点というのは,詳細な調査を進めている弁護団側が集めた数々の資料などがあってこそ,信用できる客観的な事実というのが明らかにされております。大臣はこの弁護団に対して感謝こそすれ,指宿弁護士を無視するという態度はおかしいのではないかと思うのですが,今後,最終報告書が出た後にお会いするかという点と,御遺族,弁護団と会ったときに同じような態度を繰り返すおつもりか,この点もお聞かせください。

【大臣】
 どのような形で御遺族の方とお会いしたかということについて,これはそのときにお立会いになった弁護士の方も含めまして,私としてはしっかりと対応させていただきました。
 今のような御説明をいただきましたけれども,人としてしっかり対応したことについてはお伝えをさせていただきます。
 先ほど申し上げたところでありますが,あらゆる案件については,それぞれ所管する部署がありますので,この件につきましては,出入国在留管理庁が最終報告に向けまして,十分に調査した上で御報告をさせていただくということでございます。
 先ほど御質問していただいたことも含めまして,最終報告に向けて取組をしている状況であり,私自身はその指示をしている立場でありますので,その他のことにつきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】
 人として対応したということであれば,顔を合わせて名刺を交換して挨拶をする,言葉を交わすということをやっていただきたいと思います。

【大臣】
 何をすべきかということについて,お考えを述べていらっしゃるのですか。
 私がそれをやっていなかったということについて,その場にいらっしゃらないお立場で御質問してもらっているのですが,そういうことをすべきではないかというのは,一般論としての御質問ですか。

【記者】
 今後,そういう態度で臨むべきではないかと。

【大臣】
 どういう態度というのは御存じなのですか。私は先ほど人として対応するということで申し上げたところでございます。どの場面におきましても,そのように振る舞っております。

【記者】
 ではお聞きします。指宿弁護士とお会いしたときに,御挨拶をされましたか,名刺交換をされましたか。

【大臣】
 個別の状況の中で御遺族の方にお会いした場面についてお話をするということにつきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げているところでございます。

【記者】
 御回答できないということですね。そのことは,こちらの感じたことを質問で入れたのですが,お答えできないということですか。

【大臣】
 差し控えさせていただくということです。御遺族の方に個人的にお会いをするという場の中でのことであります。
 ですから,その場面のことについては,お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げたところであります。

出入国在留管理庁収容施設における収容者数に関する質疑について

【記者】
 もう1点,入管の収容者数についてお聞きいたします。6月20日の世界難民の日を前に,出入国在留管理庁長官が一部報道の取材に応じまして,「全件収容主義と決別すべく不退転の決意で取り組む。」と述べられています。
 大臣も全件収容主義からの決別ということは,これまで何回か御発言があったかと思うのですが,現在,全国の入管収容者数は,ピーク時1,000人の約5分の1以下の140人にまで減少しています。これによって,国内の治安が乱れたという指摘は聞こえてきません。法改正をせずに,今のような状態にまでできるのであれば,なぜもっと早く餓死者などが出た原因となった収容長期化を解消する策に,法務省が動かなかったのかという点が気になるのですが,コロナ禍だから収容者数をここまで減らしただけだということなのか,スリランカ人女性の問題を含め,国内外の非難があり,今後はコロナ禍かどうかにかかわらず,法務省として収容者数を確実に減らしていくということなのか,大臣の見解をお聞かせください。

【大臣】
 現在,コロナ禍の中で命を大切にしていく必要がある状況下,出入国在留管理庁におきまして,様々な個別案件ごとに対応をしているところでございます。
 御指摘の記事の表現については,出入国在留管理庁長官にお尋ねいただきたいと思いますけれども,収容されている一人一人に対しまして,それぞれのお立場を踏まえ,しっかりとした形で対応させていただく事柄でございます。
 これは適切な制度の運用に関わることであり,様々な状況の変化もございますので,現場の状況も見据えながら,PDCAをしっかり回していくということについて,絶えず改善努力をしていく必要があると指示しております。そのような対応につきましては,これからも,新たな制度が設けられたか否かにかかわらず,しっかりと一人一人の命に向き合って対応していく努力が必要ではないかと考えております。
(以上)