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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年8月3日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続きまして,私から3件報告があります。
 1件目は,静岡県熱海市における矯正局特別機動警備隊の支援活動終了についてです。
 まず始めに,本年7月3日に静岡県熱海市で発生した大規模土石流によって,尊い命を失われた方々に哀悼の意を表します。
 また,未だ発見に至っていない行方不明者の方々が一日も早く早期発見されますよう願うとともに,被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 同災害に係る支援について,いわゆるプッシュ型支援として,同月18日から,矯正局特別機動警備隊19名を派遣し,熱海市及び熱海警察署と連携をいたしまして,熱海市伊豆山地区の捜索活動エリア近辺の交通規制及び立入制限区域の規制などの支援活動を実施してまいりました。
 その活動方針につきまして自治体等との調整の結果,同隊の支援活動については,本日(8月3日)正午をもって,終了することとなりました。
 この支援活動においては,各隊員が,関係機関との連携を密にしつつ,責任感を持って支援活動に従事してきたとの報告を受けているところでございます。
 今後も,今般のような災害に際して,法務省が地域の皆様のためにどのような貢献ができるのかをしっかりと検討し,被災地域の一日も早い復旧に向けた積極的な支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 詳細については,矯正局にお尋ねいただきたいと思います。
 2件目でございますが,かねてから高い関心を持って取り組んでまいりました無国籍の問題に関して追加の報告をいたします。
 7月20日の会見におきまして,出入国在留管理庁で実施した,我が国で出生した国籍を特定できない無国籍の子についての緊急調査の結果を踏まえ,無国籍の解消に向けた取組について御報告しました。
 他方,在留カードには特定の国籍が記載されているものの,国籍取得の手続が未了のため,実際には無国籍状態となっている我が国で出生した子の問題もあります。
 こうした方々につきましても,国籍を取得するための手続を速やかに執っていただく必要があります。
 そこで,私から出入国在留管理庁に対し,先日申し上げました無国籍の子に対する取組に加えまして,在留諸申請の際に,在留カード上の記載にかかわらず,パスポートや国籍を有することを証する文書を所持していないときには,その理由を聴取するなどし,無国籍状態であることが判明した場合には,駐日大使館や本国の行政機関において適切に手続を執ることができるよう,より丁寧な説明を行うよう指示をしたところでございます。
 また,在留管理上の国籍の特定についての考え方や各国国籍法の概要などの資料を用いて,FRESC等の相談窓口においても,無国籍や事実上の無国籍状態の問題に関する問合せに対応することとしました。
 さらに,このような国籍取得のための支援を実施するとともに,無国籍の子の国籍取得に関する状況を把握し,進捗を確認できるよう情報を一元的に管理し,PDCAのサイクルをしっかり回していく対応をしていくことといたしました。
 引き続き,無国籍の問題については,様々な角度からしっかりと取り組んでいく所存でございます。
 3件目は,「SDGs×ARTs展」についてです。7月22日から8月31日まで東京藝術大学において,「SDGs×ARTs展」が開催されております。本日,展覧会の観覧を予定しておりましたが,新型コロナウイルス感染症の感染状況に鑑み中止をいたしました。代わりにオンラインにより,日比野克彦美術学部長に,展覧会のアートを御案内いただくことになりました。
 日比野学部長は,これまでも,アートと社会課題をつなぎ,新たな価値をつくり,社会を多様で豊かなものに変えていく取組を行っていらっしゃいます。
 その一つである「I LOVE YOUプロジェクト」の一環で開催された今回の展覧会におきまして,多くのアーティストの皆さんが,SDGsの17のゴールとアートとの接続を生み出していらっしゃる様子を拝見することを楽しみにしているところでございます。
 東京藝術大学には,大変長きにわたり,法務省が主唱する「社会を明るくする運動」に多大な御協力をいただいております。
 今年の「社会を明るくする運動」は「生きづらさを包み込むコミュニティづくり」をテーマにし,犯罪や非行の背景にある様々な生きづらさへの思いやりの大切さを「#生きづらさを,生きていく。」として発信しています。
 思いやりの共有という社会課題につきまして,法務省としましては,東京藝術大学の御協力もいただきながら,アートの力を取り入れて,立ち直り支援のイノベーティブな取組や情報発信を進めてまいります。
 7月1日に法務省にて行いました「社会を明るくする運動キックオフイベント」には,日比野学部長にも御参加いただいたところです。
 アーティストの方々の思いと私たちの願いが共鳴して,多様性と包摂性を兼ね備える社会を共につくっていくことができるよう,期待いたします。
 本日の様子は,法務省の広報を通じて発信いたしますので,是非,多くの方々に御覧いただきたいと考えております。

五輪関係者の亡命に関する質疑について

【記者】
 東京五輪についてですが,ベラルーシ代表の陸上選手が「本国で投獄されるかもしれない。」として,ポーランドのビザを取得して亡命すると報じられています。この件に対しての大臣の受け止めと,法務省・出入国在留管理庁として把握されている最新情報について教えてください。

【大臣】
 オリンピック・パラリンピックに関しましては,外国からたくさんのアスリート,関係者の皆さんが日本に来日されているという状況です。今の御質問は個別事案ということでございまして,対応等の詳細につきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げると,本邦にいる外国人の方が関係機関等に第三国への亡命を希望した場合には,その希望に応じて適切な対応がなされるものと認識しているところでございます。

日本人帰国時の検査証明書記載不備への対応に関する質疑について

【記者】
 水際対策について伺います。日本人が海外から帰国する際,新型コロナウイルスの検査証明書に不備が確認された場合,出入国在留管理庁として現状どのように対応されているのでしょうか。現状について教えてください。
 仮に不備があった場合に,日本人をその出発地まで送り返すという措置が執られることもあり得るのでしょうか。その点についても教えてください。

【大臣】
 入管法上,日本人については,帰国を拒否することはできないことになっております。これまで,出入国在留管理庁が本邦へ帰国した日本人を出発地に送り返した例はございません。
 一部報道において,在外邦人が日本に帰国した際,検査証明書の書式への記載不備を理由に,入国管理当局が送還する例が相次いだと報道されていると承知していますが,この点については,正確に言えば,検疫法上による措置と承知しています。
 具体的に申し上げますと,現在,日本人が本邦へ帰国する場合,全ての者に対し出国前72時間以内の検査証明書の提出を求めています。有効な検査証明書を提出できない者については,厚生労働省(検疫)におきまして,検疫法に基づき上陸を認めなかった例があると承知をしております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 スリランカ人女性の件につきお伺いします。
 昨日の野党議員による入管庁に対するヒアリングの中で,まもなく出るであろう最終報告の仕上げの中で,司法解剖の鑑定書を入管庁としては入手していないという回答がありました。この鑑定書を入手せずに適切な最終報告ができるとお考えなのか,あるいは今後この鑑定書を入手する予定があるのかを伺えればと思います。
 また,入管庁次長から,本来なら7月の末に最終報告が出されるという答弁がなされていたと思います。
 先週の記者会見の中で,大臣から期限を指示をしたことはないということでしたけれども,少なくとも入管庁次長の言葉を受けて,7月中に出されるのではないかと御遺族は待っていらっしゃいました。
 であるならば,7月中に出せないということを,少なくとも御遺族だったり代理人の方にしかるべき連絡をすべきだったのではないかと考えますが,その点についてのお考えをお聞かせ願えればと思います。

【大臣】
 御質問いただきました2点に関しまして,出入国在留管理庁が野党の皆様の御質問に対してどのように答えたのかということを私自身把握しておりませんので,それについてコメントすることはできませんが,私からは出入国在留管理庁に対して,第三者の皆様の対応も含めまして,しっかりと事実をヒアリングし,情報を収集し,分析・検証をし,改善策も含めてしっかりとした最終報告をまとめるようにということで,重ねて指示をしてまいったところでございます。
 報告を取りまとめる時期について,具体的に私から指示したことはございませんが,なるべく早い時期に出すようにということについては,調査を指示した当初から指示をしてきたところでございますので,今,その最後の段階の対応をしているものと承知をしております。
 改めまして,できるだけ速やかに対応するようにしてまいりたいと考えております。
 詳しい状況につきまして,出入国在留管理庁が責任を持って対応しており,報告時期についてもしっかりと対応するものと思っておりますが,私の方から急がせることや,あるいはこれでは遅いのではないかという指示をしたことはなく,しっかりと見守るという立場で,これまでも対応してまいりました。

【記者】
 スリランカ人女性の件ですけれども,今の御質問に対して,大臣は報告書についてお答えしていましたが,自分はその時期について,指示をしていないので,遅れてはいないんだというお答えだったと理解していますけれども,そもそも,昨日のヒアリングの場でも,入管庁の警備課長は,時期については国会の理事会の場で説明しているのだということも明言されていましたし,この会見の場でも,7月中に出すというふうなことを説明しているということは,何回も聞かれていると思うのですけれども,その発言が,よく把握していないとおっしゃいましたけれども,それを把握していないこと自体が大変無責任ではないかなと思います。その点どうお考えになっているのかという点が一つ。
 それと,昨日のヒアリングの場でも,入管庁の警備課長が,この場で遺族に対して最終報告書を示せないことについては申し訳ないと思っているというふうにおっしゃっていましたけれども,それは一体何について謝ったということになるのでしょうか。
 事案の重さを考えれば,警備課長ではなくて,より責任のある長官や,その報告書をまとめる指示を出されている大臣自身にも責任があるというふうに考えますけれども,その点どうお考えになられているのか。
 この間,報告書がまだ示されていないことに対しては,その責任のある立場の人どなたからも謝罪の言葉がありません。その謝罪の言葉がない理由は何でしょうか。以上お答えください。

【大臣】
 遅れているということに対して無責任ではないかという質問がございましたけれども,私自身はいつまでにお出ししますという答弁をしておりません。私自身が申し上げたことは,しっかりと客観的・公正にこの調査を完成させ,そして最終報告書は,しっかりしたものをお示しする,そして報告するということを指示しております。
 できるだけ速やかに実施をするようにということも指示しているところでございます。その意味で,今調査をしている出入国在留管理庁が,どのように判断をしているのかについて,野党の方々への答弁でどのように回答したか,直ちに私は知りうる情報がありませんので,お答えできません。
 できるだけ速やかに最終報告書をしっかりとまとめるようにということを指示しているので,それに基づいて,今調査をしている,最終報告書をお出しすべく努力をしているものと承知をしております。
 最終報告書の重さゆえに,しっかりとしたものを出してもらいたいということで,様々な調査結果や第三者の方々の御意見を踏まえて,まとめ上げているものと思っております。
 謝罪に関しては,どのような点について謝罪がないとお尋ねになっているのか分かりませんが,調査を指示してから,もちろん速やかに出すということについてはお約束していることでありますし,また御遺族の方に対しましても,その内容についてしっかりと御説明をしていくということが極めて大事だと認識をしており,しっかりとした調査をする,最終報告のクオリティも大変重要だと思っております。
 私の方からいつまでに出せ,提出すべきだと,期限を切って申し上げていない理由は,その期日を前提にするあまりに,内容について問題があるようなことになってはならないと考えているためです。中間報告の時にも様々な御指摘がございましたので,様々な課題について,多角的に調査をするということ,そして最終報告の結論を待って,御遺族の方にもしっかりと御説明をさせていただくために,私は,最終報告の提出時期については,むしろ申し上げないということに徹してまいりました。
 提出時期は,出入国在留管理庁が調査の進捗の中で責任を持ってしっかりと対応していく,このことを再三にわたりまして,また指示も重ねてきたところでございます。

在留ミャンマー人への緊急避難措置に関する質疑について

【記者】
 在留ミャンマー人への緊急避難措置について伺います。軍事クーデターで帰国できず,日本での在留を希望する全ての在留ミャンマー人に対して,在留資格の更新変更や,就労可能な6か月以上の特定活動を認めるということで,緊急措置が始まって2か月になります。
 この間,約1,300人がこの措置を利用しているという新聞報道があります。
 入管庁が当初掲げていた人数が,在留者数約3万5千人,難民申請者数約3,000人からすると,この1,300人というのは少ない人数だと思うのですけれども,その理由や進捗状況について,入管庁から大臣に対して報告はされているのでしょうか。そのことを受けて大臣はどう評価されるのかというのが1点。
 それから,この中で,退去強制手続が進行中で仮放免中の難民申請者への在留特別許可,特定活動の付与が全く行われていないという現状があるようです。今回の緊急避難措置が最も必要な人たちだと思いますが,個別の難民認定手続の進捗状況に丸投げの状況ではないかという感じがします。大臣はこのような状況でよいとお考えでしょうか。在留特別許可の仕方に問題があるのではないかと思うのですが,この2点についてお伺いします。

【大臣】
 まず1点目の御質問ですが,今回ミャンマーの情勢を踏まえまして執りました緊急避難措置の状況につきましては,随時報告を受けている状況であります。
 また,最新の数字によりますと,7月30日の時点で,全国で約1,600件を許可していると報告を受けております。
 この措置については,ホームページで掲載しているところでございますが,対象に該当する方々につきましては,できるだけ情報をしっかりと把握して申請をしていただくことが極めて大事だと思っており,広報につきましても十分にしてまいりたいと思っています。
 2点目につきましては,難民申請中の方々への対応ということでございますが,これは我が国に難民認定申請がなされた場合の基本的な対応に沿って動いているところでございまして,申請者ごとにその申請内容をしっかりと審査した上で,難民条約の定義に基づいて,難民と認定すべきものを適切に認定すると,こうした手続になっているところでございます。
 難民認定申請の方が,例えば非正規の滞在者であるか,正規の滞在者であるかの判断について,しっかりと見定めた上で,非正規滞在者である場合の在留資格に関する判断は,難民該当性に係る判断と併せて行っている状況でございます。
 在留特別許可についての御質問ですが,収容中又は仮放免中にかかわらず,個別の事案ごとにという基本的な考え方に則って進めているところでございまして,在留を希望する理由,家族関係,素行,当該外国人の本国情勢等,諸般の事情を総合的に勘案して行っているものでございます。現在のミャンマー情勢のみをもって緊急避難的な措置ということで判断するものではなく,全体的な諸事情をしっかりと勘案しながら行っているということを申し上げたいと思っております。
 この許否判断に当たり,現在のミャンマー情勢もその中の一つとして入っているところではございますが,総合的に勘案しながら難民認定申請に適切に対応してまいりたいと思っております。
(以上)