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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年11月2日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から1件報告があります。
 先週10月28日(木曜日)に,「出入国在留管理官署の収容施設における医療体制の強化に関する有識者会議」の第1回会議が開催されました。
 この会議は,調査報告書で示された改善策の一つである「収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化」について,その具体的な方策を検討することを目的とするものです。
 第1回会議では,出入国在留管理庁から,収容施設における医療体制の実情について御説明した上,学識経験者,医師,弁護士である外部有識者の方々に,率直な意見交換等を行っていただいたとの報告を受けております。
 収容施設における医療体制の強化は喫緊の課題であり,外部有識者の方々の専門的知見に基づく御議論をしっかりと踏まえ,医療体制の強化を早急に実現してまいりたいと考えています。

衆議院議員総選挙の結果に関する質疑について

【記者】
 2問お尋ねします。まず,衆議院の解散総選挙が行われまして,4年ぶりに民意が示されましたが,この結果について大臣の受け止めと,改めて法務行政への決意をお願いいたします。

【大臣】
 総選挙の結果を受け,岸田政権が国民の皆様の御信任をいただけたものと,大変重く受け止めています。
 国民の皆様の負託に応えられるよう,一層の緊張感を持って政権運営に当たらなければならないという意を強くしております。
 法務行政についてですが,私が法務大臣に就任して約1か月となります。この間,省内各部局の職員と様々な話をする中で,改めて法務行政が担っている責任の大きさ,重さを感じているところであり,全力を挙げて,職員と一丸となって職責を果たしていかなければならないという思いを新たにしています。
 特に,岸田内閣においては,聞く耳を持つ政治を大事な政治目標として掲げています。言うまでもなく,これは,あらゆる政策分野,行政分野において共通することであり,法務行政においても,総理の意を体して鋭意努力してまいりたいと思っています。

入管収容施設における医療体制の強化等に関する質疑について

【記者】
 続いてお伺いします。先ほど発言がありました入管の収容施設の医療体制強化について,今後,有識者会議で議論が進められると思いますが,大臣が期待する議論の方向性と取りまとめに向けたスケジュール等について,お願いいたします。

【大臣】
 この有識者会議は,調査報告書で示された改善策の一つである「収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化」との項目について,その具体的な方策を検討することを目的とするものであり,医療や出入国在留管理行政に関する専門的知見を有する5人の方々に委員となっていただいています。
 会議では,収容施設の実情や調査報告書で示された改善すべき点を十分に踏まえ,専門的見地から幅広く議論を行っていただくことを期待しています。
 今後のスケジュール感については,これは有識者会議の皆様にお預けしている立場ですから,私から取りまとめの時期を申し上げることはできません。

【記者】
 冒頭に御発言があった入管の医療体制の検討会議のことですが,これには,例えば今まで国連の恣意的拘禁のワーキンググループから,収容の上限を決めろとか司法審査の介入を求めるといった制度的な側面から長期収容をなくすといった勧告も出ています。医療体制だけではなく,そういった制度的な在り方についても検討されるのかどうか。
 それから,今コロナ禍の中で,実際に収容せずに仮放免の人がすごく増えているのですが,その人たちも結局,在留資格がないまま放置されたままで,入管には収容されていませんが,健康状態の悪化や家族がもう生活できないなど,そういう方がたくさん増えていらっしゃいます。生活困窮は本当にひどい状況です。
 そうした入管に収容しない仮放免の状態の人についての検討は,こうした検討会議でされる御予定があるのかどうか。大臣が把握している範囲で教えてください。

【大臣】
 まず,前半の御質問についてですが,先ほど私が御報告した有識者会議は,「収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化」という項目に対応するものであり,その第1回会議が開かれたわけです。調査報告書においては,その他にも論点が示されており,それぞれスケジュール感は違いますが,個別の論点ごとに検討を始めています。内容によっては,既に運用を改善したものもありますし,他方で,予算措置が必要なものなど中長期的な課題として,今なお検討が続いているものもあります。
 いずれにしても,調査報告書で示された論点については,重く受け止めた上で,きちんとした形で実現できるように鋭意努力をしているところです。
 次に,仮放免など出入国在留管理における様々な制度,在り方については,様々な御意見があります。そういう様々な御意見を聴きながら,また,実情をしっかり踏まえながら,適正な出入国管理行政が行われるようにこれからもしっかり努力をしていきたいと考えています。

技能実習制度に関する質疑について

【記者】
 選挙があったということで,大臣の地元は宮崎県になるわけですが,外国人の雇用,外国人の人材の受入れを宮崎県も推進しています。宮崎県内で働く外国人労働者は,人手不足の中で5,500人あまりいるのですが,そのうち外国人技能実習生が4,000人近くいます。この割合というのは,実は日本の都道府県で最多の割合になっています。
 ただ,技能実習生は制度面でいろいろ問題があるということで,国連やアメリカの国務省から,人身取引ではないか,強制労働ではないかということで,抜本的な改善や制度の廃止を求めるような声も相次いでいます。
 今技能実習制度は,外国人材の確保といったような視点で,実際は技能実習生なのだけれども,外国人労働者として雇用しているという実態があります。それがないと,宮崎県内の製造業ですとか農業ですとかができない状況だと思います。
 そういうことで,大臣は宮崎県にある選挙区ということで,おそらく業界の方からも,コロナ禍の中で外国人技能実習生を雇うことができないといった御相談もあるのではないかと思うのですが,技能実習生が抱えている問題,失踪の問題や人権侵害の問題などいろいろな問題がありますが,法務大臣として,どのような対応が必要だと考えていらっしゃるのか。もし宮崎県からそういう要望が出ているなどがあれば,そういったことも踏まえてお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。

【大臣】
 法務大臣としてお答えをさせていただきます。技能実習制度については,一部の受入れ企業等において法令違反等の問題が生じており,これに対処するため,技能実習法に基づき,制度の適正化や技能実習生を保護するための取組などを着実に実施してまいりました。
 法務省としては,引き続き厚生労働省などとも連携し,制度の適正な運用に努めていきたいと考えています。
 その上で,技能実習制度の在り方については,先ほど申し上げましたが,実情等をよく踏まえて,そして,様々な御意見にしっかりと耳を傾けて,あるべき姿,より良い姿とはどういうものかについて,適切に検討をしていきたいと思っています。

【記者】
 今の件について,技能実習生は全国に38万人いるわけですが,今後どのように向き合っていくかということが,選挙公約の中でも技能実習生に触れているところがほとんどありません。自民党は全く触れていません。
 ただ,今後の労働力だけでなく,地域の生活者としてどのように向き合っていくかというのは喫緊の課題だと思うのですが,これについては,省庁の垣根を越えて何か対策会議のようなものをやるといったことは考えていらっしゃるのかどうか。よろしくお願いします。

【大臣】
 技能実習法や入管法の附則において,見直し規定が織り込まれています。法が施行され,見直すべきタイミングにちょうど差し掛かっていますので,当然のことながら検討を進めていく状況です。
 先ほど来申し上げていますように,あるべき姿,より良い姿は何かということを,予断を持たずに,虚心坦懐に見極めながら,そして様々な御意見を聴き,実情をつぶさに見ながら,より良いものを目指して検討していきたいと考えています。検討の先にはもちろん,きちんと実行するということも見据えた上での話です。
 極めて真摯な態度でこの問題に向き合っていく所存です。
(以上)