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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年11月5日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 10月15日(金曜日)から昨日までの間の感染判明者は,播磨社会復帰促進センターの職員1名,大阪出入国在留管理局の被収容者1名でした。
 詳細は既に公表されたとおりです。

裁判員年齢の引下げに関する質疑について

【記者】
 来年4月には成年年齢が18歳になり,改正少年法も施行されることから,裁判員に選ばれる年齢も18歳に引き下げられます。この年齢引下げに関する現状の認識と,今後の周知に対する大臣の考えを教えてください。

【大臣】
 裁判員法においては,「衆議院議員の選挙権を有する者」が裁判員になることができると定めています。
 その趣旨は,衆議院議員の選挙権を有する国民に幅広く裁判員として参加していただくことが望ましいということにあります。
 平成27年に公職選挙法が改正された際,18歳以上の者が選挙権を持つことになりましたが,裁判員については,少年法について必要な措置を講ずるまでの間の暫定的な措置として,18歳・19歳の者に限って裁判員になることができないという特例が設けられました。
 その後,先の通常国会で成立した改正少年法において,その暫定的な措置を削除し,裁判員法の本来の趣旨のとおり,選挙権を有する18歳及び19歳の者も裁判員になることができるものとされました。
 より幅広い年齢層の方々が裁判員裁判に参加することは,刑事司法に多様な意見を反映するという点で極めて意義深く,法務省としても,積極的に周知広報に努めていきたいと考えています。
 また,裁判員裁判に参加する年齢層が引き下げられることから,今後,ますます法教育の重要性が高まるため,関係機関と連携して,学校での法教育の充実にも努めていきたいと考えています。

被仮放免者への対応等に関する質疑について

【記者】
 入管の仮放免の方についての質問です。11月3日に,都内のキリスト教会で,外国人支援団体の主催・共催で,難民申請者や元技能実習生など,様々な理由で在留資格がない仮放免状態にある方たちを主な対象にした医療生活相談会が開催されました。16か国,約150人近くが相談に訪れ,非常に苦しい生活の中,子育て中の家族や母子世帯も数多く参加しました。
 コロナ感染症対策で,特に森法務大臣のときに指示もあったので,入管収容から仮放免許可される非正規滞在者が増えたのですが,在留資格がないため就労もできず,在留カードも発給されないので地方自治体の様々な公共サービスの対象外で,今非常に生活困窮が深刻化している状況です。
 また健康保険にも入れないので,病気が悪化しても高額な医療費が必要で,治療することも,手術もできず死亡するケースや,精神的に追い詰められて,家族を残して自殺した難民申請者もいます。11月3日も,たくさんの方が午前中から夕方遅くまで,非常に深刻な医療や生活相談が続いたのですが,こういったNPOやNGOなどの民間団体の支援には限界があると思います。
 昨年12月には,クルド人が集住している埼玉県の川口市長が,上川法務大臣に対して,仮放免中であっても就労できたり,行政サービスを受けられるようにということで,入管制度の改善を求める緊急要請書を提出したのですが,上川大臣は,この件についてはほとんど動こうとされませんでした。
 また,今年2月にはミャンマーの軍事クーデターを受け,5月末に入管庁は,「在留ミャンマー人への緊急避難措置」を公表し,特に在留資格がない難民申請者等に対する特定活動も出すという話だったのですが,それも今はなかなか進んでいない状況です。ということもあり,そもそも難民認定数が少ないとか,在留特別許可もこの間減少する一方なのですが,せめて医療や命に関わるようなことについては,在留資格の有無に関係なく,きちんと医療を受けられるようにするとか,非正規滞在者も健康保険に加入できるようにするとか,在留ミャンマー人の緊急措置も実際動いていませんが,そういったものを仮放免の人にも適用するといったような対応が必要ではないかと思います。
 大臣御自身は,仮放免者が置かれている現状について,どの程度把握していて,それに対してどのような対応・対策が必要だと考えていらっしゃるのか,お聞かせください。

【大臣】
 公的健康保険制度は法務省の所管外の事柄であり,私がここで考えを申し上げることは差し控えたいと思います。
 一般論として申し上げますと,入管法に違反して退去強制が確定した外国人は,速やかに日本から退去することが原則となっているわけですから,仮放免中であっても,基本的に就労を認めていません。
 もっとも,いろいろ御指摘がありましたが,当該外国人の生活や健康上の問題に対して,もちろん無関心でいるわけではなく,支援の必要性は当然に感じています。
 出入国在留管理庁では,仮放免中の外国人から生活上や健康上の問題について連絡や相談があった場合には,個別に適切に対応しているところです。
 特にコロナ禍という特異な状況の下,外国人の実情をしっかりとくみ取った上で,できる限りきめ細かく対応するよう,改めて出入国在留管理庁に指示をしました。
 また,出入国在留管理庁では,仮放免中の外国人について,本人が希望する場合には,その方の情報を居住する自治体に通知しており,各自治体において,その情報を基に,可能な範囲で行政サービスの提供を受けられるようにしているところです。

【記者】
 入管庁に指示を出したというお話ですが,具体的にどういう指示を出されたのかという点と,実際に,例えばコロナウイルスのワクチン接種の問題で,今年の3月だったと思うのですが,厚生労働省から,仮放免許可書を添付した形で,在留資格がない人でもワクチン接種ができるようにといったような通達が都道府県の知事宛てに出されています。
 そういった取組があるのですが,これは飽くまでも感染症対策,ワクチン接種の問題に限られていまして,日常的な健康保険の問題や就労の問題といったようなものについては,在留カードがなければ,住民登録されなければ,一律に自治体の方で無理ですということになるのです。私も実際窓口にいろいろ行っていますけれども,そういう対応しかありません。
 ですから結局,法務省の方できちんとした6か月の特定活動を出すとか,きちんと住民登録できるような在留カードが発給されるような形を作らなければ,自治体としても動きようがないと思うのですけれども,それについて大臣はどのような報告を受けていらっしゃるのか,そしてどういう対策ができるとお考えでしょうか。お願いします。

【大臣】
 まず,先ほども申し上げたとおり,入管法に違反して退去強制が確定した外国人は,速やかに日本から退去することが原則になっていますので,公的健康保険の対象となっていません。
 御質問のように,保険の在り方については,私の所管外でありますので,私の立場で具体的なことを申し上げることはできません。
 次に,具体的に指示をした内容についてですが,従来から,仮放免中の外国人から生活上や健康上の問題について連絡・相談があった場合には,例えば,大使館・領事館への相談窓口をお知らせすること,地元の支援団体の連絡先をお知らせすること,帰国便に関する情報を提供すること,これには費用もかかりますからそれに関する相談,あるいは,仮放免となったが生活ができないという場合には,適宜再収容ということも考えられます。このように,個別に相談に乗り,適宜情報提供するなどして,対応しています。
 しかし,今回コロナ禍ということで,非常に状況が厳しくなってきていることはよく承知していますので,これまでの相談への対応を,よりきめ細かに,相手の立場に寄り添いながらやるようにと指示をしました。

【記者】
 確認ですけれども,大臣がおっしゃったように,もちろん退去強制で帰国する人が,今までもコロナの前ですと,90%以上の人が帰国していましたが,要するに難民申請中であるとか,家族が日本にできて,20年,30年生活していらっしゃるという方で,帰国はどうしてもできないという方,入管は送還忌避者というふうに呼んでいますけれども,少数ですが,3,000人から4,000人程度はいるわけです。
 ですから,その人たちに,今入管庁としてはミャンマーの人に特別な緊急措置をするということは,入管庁自身が公表されているわけですが,この人たちの在留特別許可もほとんど出ていない状況です。
 手続はあっても,それは飽くまでビザの更新とかそういったものです。ですから,在留資格がない人に対する対応というのは,あまり進んでいないと思うのですが,こういったことを含めて,送還忌避者とか皆さんをすべからく退去強制すべきだということではなく,今の実態に合わせた対策が必要だと思います。
 それにはやはり在留カード,在留資格というのが一番大きな鍵を握っているのですけれども,それについてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。関係省庁,厚生労働省とかに全部任せると言っても,入管庁が動かなければ問題は絶対に解決しないのですが,それについて大臣はどうお考えでしょうか。

【大臣】
 大事な御質問だと思います。御懸念のお話は,送還忌避や長期収容の問題と一体的な問題であります。
 入管行政では,これまでも申し上げているとおり,法,ルールにのっとって行政を行うことが前提なわけです。
 今の御指摘は,在留資格のない外国人の方々は保険証が得られないため,在留特別許可を考えたらどうかという御趣旨だと思いますが,在留特別許可の許否判断は,仮放免中であるかどうかにかかわらず,個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して判断すべきことです。
 国民健康保険に加入できないことを理由に,一律に在留特別許可を出しましょうということにはなりません。様々な事情を総合的に勘案して,在留特別許可の判断をしています。
(以上)