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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年11月10日(水)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。 

水際対策に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルス対策の水際措置が一昨日から緩和され,原則停止されていた外国人の新規入国が,条件付きで再開されました。これについての大臣のお考えをお願いします。
 また,1日に入国を認める入国者総数については,引き続き,日本人も含めて3,500人に制限され,観光目的の入国は緩和の対象外となっていますが,この2点についても今後どのように検討を進めていくのかをお願いします。

【大臣】
 水際対策については,国内外の感染状況やワクチン接種が進展してきていることなどを踏まえ,政府全体として,外国人の新規入国制限等を見直したところです。
 具体的には,受入企業等による行動管理の下,商用目的の短期間の滞在者や留学生・技能実習生を含む長期間の滞在者について新規入国を認めること,また,ワクチン接種済みの短期間の滞在者等について行動制限を緩和することとしたものです。
 今回の見直しは,新型コロナウイルスの感染拡大を防止しつつ,制限の緩和を求める声にも一定程度応えるものと考えています。
 法務省としては,引き続き,関係省庁と連携し,新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎつつ,観光目的での入国も含め,制限の緩和に向けてどのような方策が取れるか,前向きに検討していきたいと思っています。

【記者】
 入国者の総数についてはいかがですか。

【大臣】
 総数を増やすかということについて,この3,500人という人数は,防疫措置のキャパシティ等の物理的な制約も踏まえた数字です。

【記者】
 水際対策に関して,就任会見の際に,ポストコロナを見据えた入国管理というものを考えていきたいとおっしゃっておられたのですが,その関連で,今後見直しなどがあると思いますが,水際対策全体としてどういった姿,形が望ましいか,入国管理が望ましいかというお考えをお聞きできればと思います。

【大臣】
 今般の水際対策の見直しは,国内外における新型コロナウイルス感染症のまん延・感染状況や,ワクチン接種も随分進んできていますので,感染拡大に対するリスクをにらみながら,他方で,通常の経済活動,人の出入り等を通常の姿に戻していくという二つの要請のバランスを見ながら,政府全体として判断をしたものです。
 コロナ禍の中で10か月ほど出入国が止まっていましたが,今回は飽くまで,これを徐々に緩和していくという意味での水際対策の見直しです。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 昨日,名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性の問題で,遺族が,名古屋出入国在留管理局の当時の局長など幹部数人に対する殺人容疑の告訴状を,名古屋地検に提出されました。
 遺族は,告訴状の提出後,「職員に大きな責任がある。」と,真相解明を強く求めておりました。法務省・入管庁の受け止めをお願いします。

【大臣】
 刑事告訴に関するお尋ねですが,捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますから,法務大臣として所感を述べるのは差し控えさせていただきます。

【記者】
 捜査中のことでコメントしないということですが,捜査に当たっては,入管庁が絡むということで,積極的に名古屋地検刑事部の聴取には応じていきたい意向なのかという点と,死因がはっきり特定できなかったというのが入管庁側の最終報告書の内容だったのですが,それに基づいて,一部の名古屋地検の関係者は,「死因が特定できない以上,刑事責任の立件は難しいのではないか。」というようなこともおっしゃっているようです。この点について,大臣のコメントをできればお願いいたします。

【大臣】
 捜査活動に影響を与えるようなことについて,コメントは差し控えますが,捜査には適正に対応していくことは当然のことです。
 死因について,調査報告書では,病死と認められるが,複数の要因が絡んで影響した可能性があり,それぞれの要因が死亡にどのように影響を及ぼしているか,その有無・程度や死亡に至った具体的な経過を特定することはできなかったということで,病死と認められるものの,特定は困難だとされました。
 死因については,司法解剖の結果を確認した上で,検察当局から聴取を受ける過程で司法解剖の鑑定書の内容を確認した専門医2名からの聴取を実施し,その見解を踏まえて,死因は特定できないが病死と認められるという調査結果が出されたものであり,客観性・公平性を確保した上で,しっかりとした検討の結果であると考えています。
 いずれにせよ,捜査機関においては,死因を含めて,適正な捜査が行われると思っています。

【記者】
 今の関連で,病死と見られるけど特定できないという言い方だったのですが,病死だといった場合,やはり殺人罪の適用というのは,そもそも難しくなりますよね。そういう意味では,大臣は今回の捜査に真摯に協力したいということですけれども,入管庁の今のような病死であるという特定をしている限り,殺人罪を適用するのはなかなか難しいかと思うのですが,その点いかがでしょうか。

【大臣】
 捜査活動に影響を与えるような,具体的なことについてのコメントは差し控えます。いずれにしても,捜査機関が,適正・公正な捜査活動を行うということは,はっきり申し上げております。

【記者】
 今の件についてですが,先日の記者会見でも大臣からお話がありましたが,10月28日に,入管の医療体制についての有識者会議の1回目を行ったという御発言がありました。
 これはスリランカ人女性の死亡事件の調査報告書を土台にして,今の入管処遇の在り方を改めるということだと思うのですが,調査報告書にも,検察官が3人入っているわけです。
 今回の刑事告訴というのは,今後どう展開するかは分かりませんが,この事件の責任の所在,それから,入管の医療体制の在り方を問う上でも,非常に重要な取組,重要な経緯だと思うのですが,そういう意味で言いますと,検察当局が,独立した捜査機関として,きちんと捜査をしていただきたいという思いが告訴人にもありますし,そういった声が大きいと思います。
 大臣は,なかなか発言をしにくいと思いますが,きちんと独立した捜査機関としての検察庁の役割というのはあると思います。それについて期待されるようなことはありますでしょうか。
 このスリランカ人女性の死亡事件を巡って,今の入管行政も非常に大きく動いています。以前,2000年代初頭ですが,名古屋刑務所の死亡事件で,これは起訴されましたが,国賠訴訟もあり,監獄法が100年ぶりに大きく変わるというようなこともありました。
 そういうことを踏まえますと,やはり,検察が独自にきちんと捜査するということは必要なことではないかと思いますが,大臣,その辺りについての考えがあれば,お聞かせください。

【大臣】
 捜査機関において適正な捜査を行うということは,はっきり申し上げておきます。

在留ミャンマー人への緊急避難措置等に関する質疑について

【記者】
 ミャンマーの難民認定についてお聞きします。最近,入管庁の難民認定室に,難民認定者数について,国軍の2月のクーデター以降どれくらい認められたのかと聞いたら,9月末時点でまだ13人だけということでした。
 一方で,現状のクーデター等を考慮した特別な在留資格の付与というのは,2,500人に上っているということですが,つい先日,外国人のための生活医療相談会に行きましたら,かなり多くのミャンマーの20代,30代の若者たちが,認定されないまま,仕事もできず,それから医療保険も受けられず,無料で受けられる健康診断の列に並んでいるという状況でした。
 なるべく早く,そういった人たちも在留資格,人によっては難民認定してほしいという声がたくさん出ていました。調べたところ,昨年までの3年間で,600人から800人近くの難民申請者が出ていましたが,誰一人,難民認定された人はいませんでした。今年になってようやく13人という状況です。
 やはりクーデターの状況を踏まえて,在留資格の付与や難民認定について,もっと数として結果を出していくべきだと思うのですが,この点について,今の状況を踏まえて,大臣としての御見解をお願いいたします。

【大臣】
 難民認定については,従前より申し上げていますように,手続にのっとって,適正に許否を判断しているところです。
 一方,ミャンマー国内の政情不安等に起因して,法務省としても,緊急の措置を執り,約2,500人の方に新たな在留資格という臨時・緊急の対応をしているところです。このような運用において,できる限りミャンマーにおける政情不安等に対して配慮をするという対応をしています。

【記者】
 2,500人出しているものの,支援団体などに聞くと,入管庁としても一生懸命対応したいと思っているようだけど,事務的な手続を含めて,作業が全く間に合っていないというお話も聞いています。
 この点を含めて,そういった在留資格の付与にもう少し人を多く投入して,生活相談に若者がずらっと列を成すようなことがないような方向に,大臣として,在留資格の付与に対して,もうちょっと積極的に対応していきたい,人数を増やしたいなどのお考えをお聞きしたいです。

【大臣】
 健康保険等の話もありましたが,これはいつも申し上げていることですけれども,入管法に違反して退去強制が確定した外国人は,速やかに日本から退去することが原則です。
 健康保険の問題や就労について,これまでも指摘されていますが,やはり原則にのっとって対応するということが基本です。
 ただし,相手は人ですから,生活や健康上の問題に不安を覚えておられる方々,困っておられる方々に対する人道上の支援は,当然必要です。そこは我々も大変心配をしています。
 そこで,仮放免中の外国人から相談や連絡があった場合は,個別に適切に対応をしていますし,今回改めて,そういう事柄に対しては,きめ細かに丁寧に対応するようにという指示を私から発しております。
 具体的にどういうことをするかについては,前回の会見の場でも申し上げましたが,大使館・領事館への相談窓口をお知らせすること,地元の支援団体等の連絡先をお知らせすること,帰国便に関する情報を提供すること,あるいは,仮放免生活が続けられないというような場合には,適宜再収容ということも考えられます。相手方の相談内容に応じて,できるだけ親身になって,相談に乗るということが一つ。
 もう一つは,外国人が希望する場合は,その居住している自治体に連絡をして,自治体ごとに行っている様々なサービスを外国人の方も受けることができるようにする取組を,従来からやっているわけです。
 コロナ禍の中で,外国人の皆さんの,いろいろな状況を大変心配していますので,なお一層,そういう声に対して,アンテナを高くして対応するように,そしてきめ細かに対応するようにということを,出入国在留管理庁に対して指示しています。

【記者】
 今のミャンマーの特別措置に関する質問ですが,在留特別許可というのは,結局,法務省・入管庁の裁量なわけです。かつても,これは2000年代初頭ですが,不法滞在者の半減政策というのを,法務省や入管庁,それから東京都,警視庁なども合わせて5年間かけてやっていたことがあります。
 不法滞在の状態をなくすためには,在留特別許可という手段もあるわけで,そのときも14,000人を超える方が在留特別許可を受けたこともあります。これは政策判断で非常に大きく左右されることですし,ミャンマーの人も今2,500件処理したという話もありますが,これも大概ビザを持っている人の更新ですとか,延長ですとか,あるいは在留資格の変更といったようなことで,今言ったような仮放免状態,要するにビザがない非正規滞在の状態にある人の在留特別許可というのは,ほとんど進んでいない状況だというふうに聞いています。実際の現場は分からないですけれども。
 そういうことでいうと,やはり政策判断として,きちんと在留特別許可をしていくという流れを打ち出していかないと,今の現状と変わらないと思います。
 今自治体の窓口と言いましたが,前回の記者会見でも質問したように,今自治体の方は,在留資格がなければ対応できないという行政サービスがほとんどです。
 ワクチンの話など例外もありますが,そういうことで考えますと,やはり,法務省,入管庁としてのきちんとした政策,仮放免の人が増えたのは森大臣の指示もありますので,仮放免者をどう対処するかという方針を,きちんと法務省として検討し,それを公表する必要,実務を進める必要があると思うのですが,大臣の考えをお聞かせください。

【大臣】
 在留特別許可は,個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮して許否を判断しています。この点について,衆議院の解散に伴い廃案となった入管法改正法案では,在留特別許可の要件の明確化についても盛り込んでいたわけです。
 一旦,廃案という状況になっていますが,かねてから申し上げていますとおり,在留特別許可の在り方についても,より良い姿になるように不断の努力・検討をしていくということです。

【記者】
 しっかりと政策課題として検討するとか,ミャンマーの場合も,難民認定申請者についても6か月以上の特定活動を出すということを,今年の5月28日に入管庁自ら情報発信をしているわけですから,どういうふうに対応しているかということを,政策としてきちんと提起して,今どういう状況なのかということを,きちんと公表すべき事柄だと思うのですけれど,その辺りについてはどういうふうにお考えでしょうか。
 今は全く状況が分からないという状態で皆さん仮放免で生活が困っているという状況が続いているのですが,それについての考えを聞かせてください。

【大臣】
 今申し上げたのですが,より分かりやすくするための要件を法律に盛り込もうという改正案であったということを,御紹介したわけです。
 繰り返しになりますが,退去強制が確定した外国人については,出国していただくということが原則なわけです。
 出入国在留管理は,法務大臣の責任において,しっかりとやるべきものですが,その原則の下で,様々な問題が生じているとするならば,それに対して不断の努力・検討をしながら,改善すべきところは改善していくという姿勢であり,一貫して申し上げているところです。
(以上)