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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年11月30日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 昨日(11月29日),「外国人との共生社会の実現のための有識者会議」の田中明彦座長から,意見書を頂きました。
 この会議では,本年2月から,外国人との共生社会の在り方や,その実現に向けて取り組むべき中長期的な課題について,熱心に議論を重ねていただきました。
 意見書では,「誰一人取り残さない」多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsの理念等を踏まえ,目指すべき共生社会の三つのビジョン,その実現のために中長期的に取り組むべき四つの重点事項,各重点事項についての取組の方向性が示されており,大変重要な御提案を頂いたものと考えています。
 私自身,社会経済のボーダーレス化が急速に進むこの時代の流れの中で,外国人と共に暮らす,共生社会の実現は,日本に限らず,世界における時代のすう勢だと考えています。
 また,ルールを守って我が国に在留する全ての外国人が,社会の一員として,公共サービスを公平に享受し,安全・安心に生活できる環境を整備していくことが重要だと考えています。
 法務省としては,意見書の内容を十分に踏まえ,中長期的な課題及び方策等を示した工程表を策定するなど,共生社会の実現に向け,総合調整機能をしっかりと発揮してまいります。

水際対策に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルスの関係でお伺いします。南アフリカなどで見つかった新たな変異株オミクロン株の感染が広がりを見せる中,政府は,今日から世界の全ての国や地域を対象に,外国人の新規入国を原則停止しました。
 水際対策を連携して行う出入国在留管理庁を所管する大臣として,現状に対する受け止めと,今後の対応についてお伺いします。

【大臣】
 水際対策については,国民の健康と安全を守ることが最大の目標であり,機動的な対応をしていきたいと思っています。
 昨日,去る11月8日に開始された外国人の入国制限緩和を停止するなどの措置を講じたところです。
 水際でのリスク管理を万全なものにするため,政府一丸となって,不断に検討し,適切な措置を取ってまいりたいと考えています。

被仮放免者への対応に関する質疑について

【記者】
 昨日,民医連という医療団体が,在留資格の影響で健康保険に入ることができない外国人も,高額な医療費を負担せずに適切な治療を受けられるような制度保障を厚労省や法務省に求める記者会見を行いました。
 今まで何回も質問させていただきましたが,多くの難民申請者や,コロナ禍で仕事を失って,在留期限が切れてしまった技能実習生などは,退去強制手続の中で仮放免の状態に置かれて就労もできず,健康保険も入れず,行政のサービスからも排除されているという状況で生活困窮し,病気になっても医療機関に診てもらえない状況が深刻化しています。
 今多くの非正規滞在の外国人が仮放免の状態ですが,今まで毎月であったり,2か月,3か月に1回だった仮放免の出頭も免除されて,半年以上出頭しないケースが当たり前になっています。
 もちろん収容されないということはいいことだと思うのですが,入管自体が収容せずに地域社会で生活することを認めているわけですから,必要最低限の安定した生活が送れるように,在留ミャンマー人の緊急避難措置のような形で,行政サービスを受けられるように在留カードを発給するような緊急措置が必要だと思いますが,大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】
 我が国において,日本人と外国人が互いを尊重し合って生きる共生社会を実現するためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援を行っていくこと,そして同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくこと,これが大原則,大前提です。
 御指摘の在留特別許可の許否判断については,原則的な考え方の下,法令にのっとって,個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して適切に判断していくべきものだと考えています。
 したがって,健康保険への加入や就労の必要性があるからといって,直ちに在留特別許可をするということになるわけではありません。

前科のある不法滞在者に関する質疑について

【記者】
 30日付の一部報道で,不法在留者3,100人のうち約1,000人に前科があり,更にそのうち470人が難民認定を申請しているというデータが報道されました。入管庁が実態調査を進めるとしています。
 この点に関する入管庁で把握する事実関係と,更にこの点についてどう分析,評価するのかについて大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 御指摘の報道については,承知しています。
 不法滞在者の中には,殺人や強盗,性犯罪などの重大な犯罪を含め,前科がありながら,退去強制に応じず,送還忌避している外国人もいるとの報告は受けています。
 これをどう評価するのかというお尋ねですが,先ほども申しましたとおり,外国人との共生社会を実現するためには,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れ,適切な支援を行うこと,それと同時に,ルールに違反する者に対しては厳正に対応すること,これが大原則,大前提です。
 その前提にのっとって,送還忌避・長期収容の問題は,早期に解決されるべき喫緊の課題であるという強い思いを持っており,そのための必要な法整備はしっかりと進めていきたいと考えています。

東京地検特捜部における火災に関する質疑について

【記者】
 東京地検特捜部に所属する検察事務官によって,捜査関係書類の写しが変造されていたこと,変造書類が2回目の火災現場から見つかったこと,その1か月前も特捜部の事務室で火災があったことについて,受け止めと今後検察庁にどのような対応を求め,期待されるかお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の火災については,消防による調査も含め,検察において,火災原因を明らかにするための必要な調査を行った結果,人為的なものではなかったと判断されたと聞いています。
 詳しいことについては,刑事局にお尋ねいただければと思います。

【記者】
 捜査関係書類の写しを,東京地検特捜部の事務官が変造していたということで処分を受けたという報道もあるのですが,そちらの件についてはいかがでしょうか。

【大臣】
 報道は承知しています。詳しくは刑事局にお尋ねいただきたいと思います。

【記者】
 変造が認められて処分を受けているのに,変造されたものが混じっていた紙が出火して,人為的なものではないというところが非常におかしいんじゃないかなと,自然発火ということはありえないと思うのですけれども,人為的なものではないとなぜ断定できるのか。
 逆に言うと,燃えたことで変造が発覚したわけですから,この変造を訴えたい方の関与もあったのかなというふうに察するのですが,人為的でないという,今の大臣の見解がちょっと納得のいかない答弁だなと思うのですが。

【大臣】
 検察において,必要な調査はなされたと聞いています。
(以上)