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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年2月8日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、離婚と子育てに関する世論調査についてです。
 昨年10月から11月にかけて、内閣府政府広報室による「離婚と子育てに関する世論調査」が実施されました。この世論調査は、離婚後の子の養育の在り方に関する法制度の見直しに当たって、国民意識を把握するために、法務省において調査項目を作成したものであり、先週2月4日にその結果が公表されました。
 その結果の一部を説明しますと、まず、離婚時に取り決めるべき事項について、養育費に関しては9割を超える方が、面会交流に関しては8割を超える方が、それぞれ取決めをすべきであると回答しました。
 また、離婚後も父母の双方が子の養育に関する決定に関わることについては、「どのような場合でも望ましい」及び「望ましい場合が多い」との回答が合わせて約5割、「特定の条件がある場合には、望ましい」との回答が約4割でした。
 離婚後の子の養育の在り方に関する法制度の見直しについては、現在法制審の家族法制部会において調査審議が進められており、本調査結果も踏まえ、一層充実した審議が行われることを期待しています。
 2件目は、「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」の今後の進め方についてです。
 まず、検討に当たっては、両制度の実施状況をこれまで以上に的確に把握することが重要です。私から入管庁に対しては、技能実習生からの直接ヒアリングなどを通じた情報収集・分析等も行うよう指示しており、結果について順次報告を受ける予定です。
 また、両制度には多くの関係者がおられることから、その御意見を幅広く集積することも重要です。私から入管庁に対しては、できる限り多くの関係者の御意見を伺うよう指示しており、その結果についても順次報告を受ける予定です。
 さらに、私自身は、我が国における両制度の位置付けも含め、両制度がどうあるべきかという大局的な観点からの検討を進めるため、各界の第一人者の方々から直接お話を伺うこととしました。
 明後日(2月10日)には、その第1回目として政策研究大学院大学の田中明彦学長からお話を伺います。
 田中学長は、国際政治学を専門とされ、出入国在留管理政策についても優れた識見をお持ちの方です。
 田中学長からは、特に、アジアの中の日本という観点から、外国人材の受入れや共生社会の在り方について、幅広く御意見を伺いたいと思っています。
 また、第2回目以降には、移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)の鳥井一平代表理事、国立社会保障・人口問題研究所の是川夕国際関係部長からお話を伺う予定です。
 私としては、虚心坦懐に、幅広く御意見を伺い、率直に意見交換した上で、生かすべきところ、改めるべきところをしっかりと見極めながら、両制度の在り方について、大局的な観点から総合的に検討を行っていきたいと考えています。

「離婚と子育てに関する世論調査」に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言にもございましたが、2月4日、法務省と内閣府などが実施した「離婚と子育てに関する世論調査」の結果が公表されました。
 こうした世論調査の結果についての受け止めと、法制審議会の部会で行われている離婚や子の養育に関する議論に具体的にどう生かしていくか、大臣の考えをお願いします。

【大臣】
 今回の世論調査では、先ほど申し上げた養育費や面会交流に対する考え方のほか、親権や養子、財産分与に対する考え方など、幅広い項目について調査が実施されたものと承知しています。
 また、養育費や面会交流に対する考え方についても、「取決めをしないまま離婚してもやむを得ない場合」など、更に踏み込んだ質問も設定して回答を得ています。
 この調査により、離婚と子育てに関する様々な事項について、現時点での国民の意識や認識が明らかになっており、今後、離婚後の子の養育の在り方について見直しを検討していく中で、極めて有用な調査であったと受け止めています。
 法制審の家族法制部会において、今回の調査結果で明らかになった国民の認識や意識をしっかりと踏まえて、更に充実した調査審議を進めていただけるよう期待しています。

「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」等に関する質疑について

【記者】
 「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」についてですが、大臣がおっしゃったように幅広い立場の方から御意見を伺うということで、現状として、この技能実習制度について、どういったところに課題があり、それをどのように良くしていきたいかという思いがあればお願いします。

【大臣】
 私としては、先入観にとらわれず、大局的な見地から、様々な有識者の方々に幅広く御意見を伺った上で、この勉強会を進めていきたいと思っています。
 もとより、様々な論点に様々な御意見があるということはよく承知しています。そういった御意見を幅広くお聞きしながら、大局的・総合的に検討をしていきます。

【記者】
 技能実習や特定技能に係る勉強会についてですが、今現在、在留資格が切れてしまい退去強制令書が出てしまったりして、行き場がなくなった方もたくさんいます。
 そういった元技能実習生が置かれている状況等についても、ヒアリングをされるお考えでしょうか。

【大臣】
 先ほども申し上げたように、勉強会については、様々な方から、虚心坦懐に御意見を伺っていきたいと考えています。

【記者】
 2月4日の衆議院予算委員会の集中審議で、参考人の一人、一般社団法人「反貧困ネットワーク」の事務局長が、コロナ禍で深刻化する生活困窮問題と、切実な支援現場の現状について報告しました。
 その中で、民間で作った支援基金の対象者の約7割が外国人で、在留資格がないために行政施策や健康保険などからも排除されている仮放免中の外国人や、緊急の医療措置が必要な入管の被収容者が、最低限生きていけるための権利保障を国としてすべきではないかといったような訴えもありました。
 特に入管収容に関しては、現在大村入管に収容されていて、緊急手術が必要なネパール人男性のケースを取り上げていました。大臣は、この参考人質疑をお聞きになられたでしょうか。
 その上で、コロナ禍で生活困窮状態が長期化している仮放免者への緊急の在留資格や在留カード対策といったようなことを私も何回か質問させていただいていますが、根本的な治療や手術が必要な入管の被収容者への対策の見直しを今現在いろいろやってはいらっしゃいますが、更なる見直しが必要だと考えていらっしゃるかどうかという点。
 特に昨年12月28日に入管庁長官名で「体調不良者等に係る仮放免運用指針」を発出されましたけれども、大村入管のケースでは、緊急の手術が必要だとされていて、弁護士も人権救済の申立てをしているわけですが、おそらくセンター長の判断で、手術のための医療機関への入院措置といったものがいまだに取られていない状況です。
 今言った3点、4日の参考人質疑をお聞きになったかどうか、仮放免者への在留特別許可の運用の見直し、医師の判断で手術や本格的な治療が必要な入管被収容者への緊急対応の3点について、どうすべきだとお考えかお聞かせください。

【大臣】
 予算委員会における参考人質疑の内容については承知しています。
 お尋ねについては、繰り返しお答えしていますが、生活や健康上の問題を抱える方々に対する人道上の支援の必要性はもとより承知しており、入管庁では、仮放免中の外国人からの連絡・相談があれば、個別事案ごとの事情を考慮して、適切に対応しています。
 もっとも、一般論として、退去強制が確定した外国人は、速やかに日本から退去することが原則です。
 御指摘のような仮放免者に関する様々な問題は、送還忌避・長期収容という、そもそもの問題と一体として検討することが必要不可欠であると、いつも申し上げているとおりです。
 また、体調不良を訴える被収容者に対しては、入管庁において、訴えの内容や症状等に応じ、必要な診療・治療を適時・適切に受けさせています。

公人による差別発言に関する質疑について

【記者】
 石原慎太郎元東京都知事が2月1日にお亡くなりになりました。この1週間、政治家としての石原氏の数々の差別発言に関する報道もされています。
 民族差別や性差別、障害者差別発言など様々な差別発言が相次いだ政治家だと思うのですけれども、その一方で、2016年に国会ではヘイトスピーチ解消法が制定され、地方自治体での禁止条例制定の動きもあります。
 時代が少し進んだのかなという気もしますが、人権擁護の所轄官庁の法務省の大臣として、公人の差別発言、石原氏の差別発言に対する所感をお聞かせください。

【大臣】
 個々の発言についてのお答えは差し控えます。
 法務省では、全ての人々が互いの違いを認め、尊重し、助け合うことのできる共生社会の実現を目指し、人権擁護活動を、更に推進してまいります。
(以上)