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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年3月25日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「成年後見制度利用促進基本計画の変更」が閣議決定されました。
 また、主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、ウクライナ関連についてです。
 「法の支配」、「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を踏みにじるこの度の事態は、ウクライナの人々にとって、また、世界中の人々にとって大きな悲劇です。
 だからこそ、我々は、「法の支配」を旗印とし、人権尊重を中心に据えた国際社会を築き上げていかなければなりません。
 我が国は先頭に立って貢献していく所存です。
 その関連で4点御報告します。
 1点目はポーランドの現地視察等についてです。
 非人道的な状況に置かれた避難民の方々に支援の手を差し伸べていく上で、現地のニーズを的確に把握することは不可欠です。
 このため、政府の「ウクライナ避難民対策連絡調整会議」の共同副議長である私が速やかにポーランドに赴き、ポーランド政府要人との会談や、現地の避難民受入状況の視察等を行うよう、総理から指示がありました。
 早急に調整し、現地ニーズをしっかりと把握してきたいと考えています。
 2点目は、ポーランドへの職員の派遣についてです。
 政府では、在ポーランド大使館及びジェシュフ連絡事務所の体制を強化して、新たに「ウクライナ避難民支援チーム」を設置します。
 このチームにおいて、避難民の方々の日本への渡航支援のニーズの調査・把握を進めることとしており、入管庁からも職員2名を派遣することとします。
 3点目は臨時G7内務・治安担当閣僚会合についてです。
 昨夜(3月24日午後8時)、議長国ドイツの緊急の呼びかけによる臨時のG7内務・治安担当閣僚会合がオンラインで開催され、日本から私と二之湯国家公安委員会委員長が出席しました。
 会合では、避難民を受け入れている近隣国への支援等も議題になり、私から、避難民の受入れについての我が国政府の基本的な考え方や主な施策について説明しました。
 ウクライナ避難民に係る課題に対し、G7が引き続き連携し、的確かつ迅速に対応していくことが重要であるとの点で、各国の認識が一致しました。
 今後も引き続き、避難民への支援について、G7とも協調しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 4点目はウクライナ避難民受入支援事業に係る予備費の使用についてです。
 本日の閣議において、ウクライナ避難民受入支援事業の委託に係る経費として5億2千万円の予備費の使用が決定されました。
 この中には、困難に直面するウクライナ避難民の方々が本邦で生活していく上で必要となる当面の宿泊費、食費をはじめ、日々の生活に困らないようにするための経費が含まれています。
 法務省としては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、避難して来られた方に必要な支援等のニーズの把握に努め、速やかに対応できるようしっかりと取組を進めていく予定です。
 次に2件目ですが、本年4月1日付けで、日本司法支援センター(法テラス)の理事長として丸島俊介氏を任命することとし、本日、その旨閣議で了解されました。
 丸島氏は、弁護士としての豊富な経験に加え、日本弁護士連合会等において要職を歴任し、法テラスの常勤理事として、様々な課題に取り組んでこられました。
 現在、我が国では、社会的に弱い立場にある方々を法的に救済する必要性が高まり、法テラスが果たすべき役割は一層大きくなっています。
 丸島氏には、新しい理事長として、こうした諸課題に真摯に取り組み、法テラスが真に国民に身近で頼りにされる存在となるよう、御尽力いただけるものと期待しています。
 3件目は、改正少年法下における特定少年に対する矯正教育についてです。
 本年4月1日に成年年齢引下げに係る改正民法とともに、改正少年法が施行されます。少年院では、新たに民法上の成年となる18歳・19歳の特定少年に対して、大人としての自覚を高めるための教育プログラムの導入など、矯正教育の一層の充実を図ってまいります。
 また、刑事施設においても、おおむね26歳未満の若年受刑者に対して、少年院における矯正教育の知見等を活用しつつ、個々の特性に応じた処遇等を実施することについて、検討を進めています。
 罪を犯した若年者が立ち直り、健全な社会の一員として活躍できるよう、引き続き、各種処遇の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えています。

若年者に対する矯正教育の充実に関する質疑について

【記者】
 冒頭の御発言にございました若年者に対する矯正教育の充実についてお尋ねします。今回の見直しの狙いや期待される効果について大臣はどのようにお考えでしょうか。御見解をお尋ねします。

【大臣】
 特定少年を含む若年者の立ち直りには、非行・犯罪への反省はもとより、社会の一員としての責任を自覚し、自らの長所や将来の可能性に目を向け、積極的に社会に参加していく前向きな姿勢を育むことも重要だと考えています。
 今般の矯正教育の見直しは、成年として必要な知識の習得と非行・犯罪の反省を組み合わせたプログラムを導入することで、社会人としての責任をしっかり自覚させること、職業指導種目を再編し、製品企画から制作・展示・販売までを体験させることで、積極的な社会参加に向け、自ら考え行動する力を養うことを目指しています。
 ここにありますハーバリウムは、新たに職業指導種目のトライアルとして、少年たちが少年院で育てている花を利用して企画・制作したものです。
 彼らが手書きで作った企画書を事前に見せてもらいましたが、多くのアイディアが書き込まれており、大変感じるものがあり、素晴らしい取組だと思いました。
 一人ひとりが自ら考える力を養うことができる取組として大変期待しており、発展性のある取組だと思っています。
 今後も、時代のニーズにも柔軟に対応し、充実した矯正教育を展開することで、若年者の改善更生と円滑な社会復帰を促進していきたいと考えています。

ウクライナからの避難民への対応等に関する質疑について

【記者】
 ロシアのウクライナ侵攻への対応をめぐって、入管庁に設けた電話窓口について、自民党党会合などでウクライナ語への非対応や受付時間等に批判が上がっています。
 この点について、現状と対応方針についてお伺いできればと思います。

【大臣】
 御指摘については真摯に受け止めたいと思いますし、ウクライナ避難民の方々の目線に立ち、寄り添った支援を行っていかなければならないと感じています。
 そこで、これまで平日のみの対応であった電話相談窓口のFRESCヘルプデスクについて、3月19日(土)からは、土日祝日も相談に応じることとしており、対応時間帯の拡大についても検討しているところです。
 また、ウクライナ語の通訳についても、現在確保に向けて調整中であり、できるだけ速やかに対応したいと思っています。
 いずれにしても、期待に応えられる受入れ支援を実施できるよう取り組んでまいります。

【記者】
 冒頭に大臣から御発言がありましたウクライナからの避難民について、現地に調査チームを派遣するということだったのですけれども、日本に避難を希望するニーズを把握するためということだと思うのですが、もう少し具体的な活動内容、あと入管庁の職員の方が派遣されるということですけれども、それ以外にその他の省庁、例えば外務省などといった省庁等とのチームを構成するということになるのでしょうか。
 加えて、古川大臣がポーランドに総理の特使として派遣されるということですけれども、それについての意気込みや大体のスケジュール感、何月頃になりそうかということを教えてください。

【大臣】
 詳細については、現在、調整中であり、今の段階でお答えすることは控えたいと思っています。
 いずれにしても、今起きているロシアによるウクライナ侵略は、重大な国際法違反、戦争犯罪であり、断じて許すことはできないと考えています。
 これまで人類社会は、戦争は違法であるという法理を築き上げてきました。例えば、第一次大戦、第二次大戦という惨禍を通じて、人類は、不戦条約や国連憲章、国際人道法という法理を組み上げていくことによって、現在の法の支配、あるいは、ルールに基づく国際秩序、国際社会を形成してきたわけです。
 しかし、ロシアによるこの侵略は、この営みを真っ向から否定するものであり、断じて許すことはできません。
 その犠牲となって、今多くの方の命が失われているということ、そして、多くの方が追われて避難をしておられるということに対して、心を深く痛めており、我が国としても、法の支配を守るのだということ、そして人道的見地から、こうした方々に支援の手を差し伸べるという人道的・道徳的大義の下に、今回できる限りのことをしていきたいと考えています。
 したがいまして、政府全体として支援を行うわけですが、調整をしつつ、できる限りのことをしていく心構えです。
 スケジュールについても、まだお答えできる段階ではありません。

【記者】
 関連して、総理から速やかに現地に赴くようにという指示があったのは今日でよろしいかという点と、詳細は難しいということでしたが、現地でお会いになるカウンターパートの方のお立場等が分かれば教えていただければと思います。

【大臣】
 総理から指示はいただきましたが、具体的に現地で誰と会うかなどを含めて、詳細は調整中です。
(以上)