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平成29年 記者会見要旨  >  法務大臣閣議後記者会見の概要

法務大臣閣議後記者会見の概要

平成29年9月22日(金)

 本日の閣議においては,法務省案件として,平成28年5月に成立した「総合法律支援法の一部を改正する法律」のうち,未施行となっていた,認知機能が十分でない高齢者・障害者等に対する法的支援制度の拡充等に関する部分について,その施行期日を平成30年1月24日とする政令が閣議決定されました。これにより,日本司法支援センター(法テラス)において,平成30年1月24日から,認知機能が十分でない高齢者・障害者,ストーカー等の被害者の方々を対象に資力を問わない法律相談等の援助が新たに実施されることになります。新たに実施される制度が様々な法的問題を抱えておられる高齢者・障害者,ストーカー等の被害者の方々の問題解決や被害回復の一助となることを期待しています。なお,施行期日である「1月24日」は,法テラスが引き継いだ民事法律扶助業務をかつて担っていた,財団法人法律扶助協会が設立された記念日「法律扶助の日」です。
 次に私から1件報告があります。明日,BBS運動発足70周年記念式典が,法務省と特定非営利活動法人日本BBS連盟の共催により,皇太子殿下御臨席の下,国立オリンピック青年総合センターにおいて開催されます。本式典には,BBS会員約410名が出席し,BBS活動の功績のあった方々に対する顕彰や,BBS会員による決意表明等を行うこととなっています。BBS会員は,「ともだち活動」などを通じて,非行等の様々な問題を抱える少年たちの立ち直りを支援し,少年たちの学習を支援する活動も展開するなどして,少年の再非行の防止に重要な役割を果たしています。非行少年らの立ち直りには,彼らと年齢の近いBBS会員らによる同じ目線に立った支援が極めて有効であると考えています。70周年記念行事のキーコンセプトであります「過去から未来へ つづける・つなげる・次の手に」にあるとおり,70周年を機にBBS運動の輪がさらに広がり,多くの若者たちがこの運動に参加されることを期待しています。BBS運動がさらに活発となり,その輪が広がるよう,法務省としても,引き続き支援してまいりたいと考えています。

福島第一原発事故国家損害賠償請求訴訟に関する質疑について

【記者】
 本日,東電福島第一原発事故に伴い福島県から千葉県に避難した住民が,東電と国を訴えた訴訟の判決が千葉地裁であります。この訴訟に対する大臣のお考えをお聞かせください。また,国が当事者となる重要大型事件の訴訟が増加傾向にありますが,その背景をどのように分析されていますでしょうか。お考えをお聞かせください。

【大臣】
 前段の御質問ですが,今,係属中の事件ですので,判決の見通しについては,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 後段の御質問について,御指摘のとおり国が当事者となる重要大型事件については,増加の一途を辿っているところです。その背景として,国民の皆様の権利意識の高まりや価値観が多様化していること,さらに社会が事前規制型社会から事後救済型社会へと構造が大きく変化していったこと,また我が国全体の国際化などが要因と考えています。このような要因によりまして,重要大型事件は増加傾向にあると考えられる訳ですが,各行政庁としっかりと協力の上,今後とも適切かつ迅速に対応してまいりたいと考えています。

民法の成年年齢引下げに関する質疑について

【記者】
 首相が解散を決断するのではないかと伝えられていますが,それによって成人年齢引下げの民法改正案の臨時国会への提出が難しくなるのではないかと情勢としては論争になっているのですが,大臣が成人年齢引下げ法案を出すという根拠の1つに公職選挙法の改正で選挙権年齢が先に引下げられたということをあげられていたのですが,例えば成人年齢引下げ法案の施行が遅れることによって選挙権年齢とのずれが続くと思うのですが,その点についてどのようなお考えでしょうか。

【大臣】
 衆議院解散についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 民法の成人年齢について,任命当初,皆様への会見の中でも大事な問題であると申し上げてきたところです。20歳から18歳に引下げること等を内容とする民法の一部改正法案については,立案作業を鋭意進めているところです。法務省としても法案については,できる限り早い時期に国会に提出できるよう準備を進めており,そのスピードは変えない方向でやってまいりたいと思っています。

【記者】
 大臣のお考えとして,選挙権年齢と民法上の成人年齢を早期に一致させるべきだとお考えでしょうか。

【大臣】
 法制審議会における基本的な考え方にお示ししている訳で,前段の選挙権年齢が引下げられたから直ちにということではなく,そもそも成人年齢について,20歳から18歳に引下げることに着目した取組をしています。関連する法案も広範囲にわたるので,しっかりと精査をしながら,今の社会状況の中で20歳から18歳に引下げる,それによって若年の皆さんが,しっかりとそれに基づく行動ができるように,また様々な形での困難に立ち向うことにならないように,環境整備も合わせて対応してまいりたいと思っています。

難民審査参与員の不適切発言に関する質疑について

【記者】
 ゴンゴ民主共和国で性的暴行を受けたとして,来日した難民申請中の女性に対して参与員の男性が「狙われたのはあなたが美人だからか」等と発言した問題について,事実関係の調査の進捗状況をお聞かせください。

【大臣】
 入国管理局において事実関係の確認を行ったところ,御指摘のような「美人だったからか」という発言はあったという報告を受けています。難民審査参与員の難民不服申立の手続に関わる以上,不服申立人の置かれた事情に配慮した発言を行う必要があると考えます。本件については,難民審査参与員の発言により,相手方が不快な思いをされたことから,不適切な発言であったと考えており,難民審査参与員制度について責任を持つ法務大臣として,誠に遺憾であると考えています。改めて申し上げるまでもございませんが,難民認定の行政の対象は,難民認定の申請者あるいは外国人である前に「人」であり,これに携わる者には,常に人権の意識が必要であると考えています。こういった点について,難民審査参与員を含め難民認定手続に携わる全ての職員の認識を共有しながら,今後も適切な難民認定行政を進めてまいりたいと考えています。

【記者】
 入国管理局は8月末ころまで4か月余り,参与員に対して事実確認を行わずに放置していたという認識ですが,こうした事実関係と入国管理局の対応自体に問題がなかったのか大臣のお考えお聞かせください。

【大臣】
 本件の発言ですが本年4月以降入国管理局に対して指摘がされたということであり,入国管理局においては,求められた内容に応じて対応し,また検討してきたという報告を受けています。一方,今回,事実確認を行い,発言が不適切であったと判断した結果を踏まえると,入国管理局における調査が遅かったとの御指摘は真摯に受け止めなければならないと考えています。

【記者】
 不適切発言をした難民審査参与員の方は,処分されたのでしょうか。

【大臣】
 難民審査参与員制度に責任を持つ法務大臣として,誠に遺憾であると思います。その旨については,入国管理局を通じて異議申立人及び代理人弁護士に伝えることが適当であると考えています。

【記者】
 関連ですが,全難連の方が先日,他にも不適切な発言があったという申し入れをされたと思いますが,他の件について調査や確認をこれからされるのでしょうか。

【大臣】
 今回御指摘のあった発言について,事実関係を入国管理局に確認した上で,先ほど申し上げた対応をとっているところです。弁護士の方々からは,この他にも種々の御指摘をいただいていますが,過去の事実確認の必要性については,入国管理局において適切に判断するという方向で進めてまいりたいと思っています。

【記者】
 その方向というのは,入国管理局が調査をするかしないかをこれから判断をするということでしょうか。

【大臣】
 そのことも含め,入国管理局が責任を持って判断し,対応してまいりたいと考えています。
(以上)