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第1節 就労の確保等

5 犯罪をした者等を雇用する企業等の社会的評価の向上等

(1)国による雇用等【施策番号14】

 法務省及び厚生労働省は、2013年度(平成25年度)から、保護処分を受けた保護観察対象者※18を非常勤職員として雇用する取組を行っており、2022年度(令和4年度)末までに、法務省82人(うち少年鑑別所73人)、厚生労働省1人の合計83人の少年を雇用した。雇用期間中は、少年の特性に配慮しつつ、就労を体験的に学ぶ機会を提供するとともに、必要に応じて少年からの相談に応じるなどのサポートを行っている。

 法務省は、これらの取組実績を踏まえ、保護処分を受けた保護観察対象者を雇用する上での留意事項を整理した上で、2020年(令和2年)3月、他の府省庁に参考指針※19として示し、これらの者の雇用受入れについて協力を求めている。

 なお、地方公共団体のうち、保護観察対象者を雇用する取組を実施している団体は、2022年(令和4年)12月末時点で70団体であり、2010年(平成22年)から2022年(令和4年)までで、延べ77人の保護観察対象者が雇用された。

(2)協力雇用主の受注の機会の増大【施策番号15】

 法務省は、2015年度(平成27年度)から、法務省が発注する矯正施設の小規模な工事の調達について、協力雇用主としての刑務所出所者等の雇用実績を評価する総合評価落札方式による競争入札を実施している。また、更生保護官署が少額の随意契約による調達を行う場合には、見積りを求める事業者の選定に当たって、当該契約案件に適した協力雇用主を含めるよう考慮している。その結果、更生保護官署が発注した公共調達について、協力雇用主が受注した件数は2022年度(令和4年度)は22件(前年度:28件)であった。

 また、2022年(令和4年)12月末現在、全国の都道府県及び市区町村のうち、182(前年:174)の地方公共団体では入札参加資格の審査に際して、79(前年:70)の地方公共団体では総合評価落札方式における評価に際して、それぞれ協力雇用主としての刑務所出所者等の雇用実績等を評価している(資2-15-1参照)。

資2-15-1 地方公共団体による協力雇用主支援等の現状
資2-15-1 地方公共団体による協力雇用主支援等の現状

(3)補助金の活用【施策番号16】

 法務省は、総務省所管の「地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)」、農林水産省所管の「雇用就農資金」(令和3年度までは「農の雇用事業」)といった協力雇用主の活動に資する補助金が有効に活用されるよう、要件を満たすと考えられる協力雇用主に対して、これらの補助金に係る手続等を周知し、活用の検討を働き掛けるなどしている。

(4)協力雇用主に対する栄典【施策番号17】

 法務省は、内閣府の協力を得て、協力雇用主に対する栄典の授与について検討を行った結果、2018年(平成30年)秋の褒章以降、2022年(令和4年)までに、更生保護に寄与した功績により、11名の協力雇用主が藍綬褒章を受章した。

  1. ※18 保護処分を受けた保護観察対象者
    非行により家庭裁判所から保護観察の処分を受けた少年や、非行により家庭家裁判所から少年院送致の処分を受け、その少年院から仮退院した者。
  2. ※19 参考指針
    https://www.moj.go.jp/content/001318796.pdf参考指針のqr