
第1節 特性に応じた効果的な指導の実施
6 女性の抱える問題に応じた指導等【施策番号81】
法務省は、全国の女性刑事施設12庁のうち、PFI手法を活用した刑事施設※17である美祢社会復帰促進センター及び公共サービス改革法を活用した刑事施設※17である喜連川社会復帰促進センター以外の10庁の女性刑事施設において、女性受刑者特有の問題に対処するため、看護師、助産師、介護福祉士等、医療・福祉等の地域の専門家の協力・支援を得て、女性受刑者に対する助言・指導や職員に対する研修等を行う、「女子施設地域連携事業」を実施している。さらに、医療専門施設である東日本成人矯正医療センター、大阪医療刑務所及び北九州医療刑務所に、臨床心理士を配置し、全国の摂食障害女性受刑者を収容することで、より効果的な治療が受けられる体制の整備を行っており、全国の女性刑事施設に収容中の摂食障害女性受刑者を当該医療専門施設に移送し、治療を実施している。また、2019年度(令和元年度)には、摂食障害治療・処遇体制の統一を図るため、これら医療専門施設に加え、全国の女性刑事施設の摂食障害治療・処遇に携わる職員(医師、看護師、臨床心理士、刑務官等)に対する集合研修を実施している。
少年院では、女子の少年院入院者の多くが虐待等の被害体験や性被害による心的外傷等の精神的な問題を抱えていることを踏まえ、2016年度(平成28年度)から、女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラム(資5-81-1参照)を試行しつつ、同プログラムの効果検証を進め、2022年度(令和4年度)から本格的な運用を開始した。
さらに、地域社会の中でも女性の特性に配慮した指導・支援を推進するため、2017年度(平成29年度)から、女性や女子少年を受け入れる各更生保護施設において職員を1人増配置している。
資5-81-1 女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラムの概要

- ※17 PFI手法や公共サービス改革法を活用した刑事施設
刑事施設の整備・運営にPFI(Private Finance Initiative)手法(公共施設等の建築、維持管理、運営等を民間の資金・ノウハウを活用して行う手法)や公共サービス改革法の活用が図られている施設。美祢社会復帰促進センター及び喜連川社会復帰促進センターにおいても、民間のノウハウとアイデアを活用し、女性受刑者特有の問題に着目した指導・支援を行っている。