日本司法支援センター評価委員会 第19回会議 議事録 第1 日 時  平成22年2月17日(水)  自 午前10時03分                        至 午前11時36分 第2 場 所  最高検察庁大会議室 第3 議 題    (1)日本司法支援センターの役員報酬規程について  (2)国選弁護人,国選付添人及び国選被害者参加弁護士の事務に関する契約約款の変更に関する法務大臣認可に当たっての意見について  (3)日本司法支援センターの中期計画の変更に関する法務大臣認可に当たっての意見について  (4)日本司法支援センターの中期目標(案)について  (5)その他      (業務実績評価に対する政策評価・独立行政法人評価委員会からの二次評価について) 第4 議 事 (次のとおり)                議     事 山本委員長 定刻になりましたので,これより第19回日本司法支援センター評価委員会を始めたいと思います。   委員の皆様におかれましては,御多忙中のところ御参集いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は委員10名全員御出席の予定ですが,井野委員は30分ほど遅れられるということで,また,小林委員も間もなくお見えではないかと思いますが,とりあえず過半数の定足数には達しておりますので,会議を進めさせていただきたいと思います。   本日は,お配りしている議事次第のとおりですが,かなり議題が多くなっております。まずその議事の内容につきまして,事務局から御説明をお願いいたします。 山﨑官房付 それでは,本日の議題について御説明申し上げます。議事次第のペーパーの3の議事の部分に記載してございます。   まず第1の議題は,昨年12月10日付けで改正された日本司法支援センターの役員報酬規程についてです。総合法律支援法が準用する独立行政法人通則法の規定では,支援センターが役員報酬等の支給基準を変更した場合,当評価委員会は,その支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて,法務大臣に意見を申し出ることができる旨定められております。本日は,改正後の規程について御検討いただき,当評価委員会として何らかの意見を申し出るか否かについて御意見をいただきたいと考えております。   第2ないし第4の議題は,それぞれ国選弁護人等の事務に関する契約約款の変更,支援センターの現行中期計画の変更,そして支援センターの次期中期目標の定めに関するものです。いずれも総合法律支援法の規定に基づき法務大臣がこれを認可し,あるいはこれを定めるに当たって当評価委員会としての意見を求められているものです。御審議の上,意見の取りまとめをお願いしたいと考えております。   最後に,その他としまして,昨年夏に御審議いただいた支援センターの平成20年度業務実績評価に対する政策評価・独立行政法人評価委員会からの二次評価について,事務局から御報告をさせていただきたいと思っております。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいま御説明のあった順番で議事を進行させていただくということでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それから,議題(1)ないし議題(3)の審議につきましては,委員の皆様の御理解を深めるため,支援センターの御担当の方々にも御出席をいただいて御説明をお願いしたいと考えておりますが,これもよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,そのように進めさせていただきます。   それでは,続いて,事務局から本日の配布資料についての御説明をお願いいたします。 山﨑官房付 お手元にある資料を御覧いただき,配布資料目録のとおりに資料がそろっているかどうかを御確認いただきたいと思います。   まず資料1ですが,これは昨年12月10日付けで改正された支援センターの役員報酬規程です。   資料2−1ないし2−3は,それぞれ国選弁護人,国選付添人及び国選被害者参加弁護士の事務に関する契約約款の変更案でございます。   資料3は,支援センターの現行中期計画の変更案です。   資料4は,支援センターの次期中期目標案です。   その他,各議題に関連する参考資料を机上配布させていただいておりますが,これらについては審議の過程で必要に応じて御参照いただきたいと考えております。   資料の説明は以上でございます。 山本委員長 お手元に資料はそろっておりますでしょうか。—よろしゅうございますか。   それでは議事に入りたいと思います。   まず第1の議題,日本司法支援センターの役員報酬規程についてということでございます。資料1及び机上配布資料のAを御覧いただきながら,支援センターの方から役員報酬規程の改正の趣旨について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 田中事務局長 支援センターの事務局長の田中でございます。私から御説明を申し上げます。   役員報酬規程でございますが,平成21年8月11日付で人事院勧告が発出されました。  その勧告のポイントは三つございまして,まず一つは,月例給のうち俸給月額を平均0.2%引き下げること,7級以上の管理職職員及び指定職職員にあっては0.3%以上の引き下げとすること。2番目は賞与,期末手当及び勤勉手当でございますが,年間支給割合について,一般職員については現行4.50か月分から4.15か月分,マイナス0.35か月分を引き下げること,指定職職員については現行3.35か月から3.10か月分,マイナス0.25か月分を引き下げること。さらに,3番目のポイントとしまして,委員,顧問,参与等の手当についても,指定職俸給表の改定を踏まえ手当の支給限度額を引き下げること。この三つが勧告のポイントでございました。   そして,同年10月27日には,この勧告内容を盛り込んだ改正法案が国会に提出され,同年11月30日に法案可決,同日公布されております。当センターにおいても,法案成立に伴いまして,同年12月10日付けで役員報酬規程及び職員給与規程等の関係規程を人事院勧告に沿った形で改正し,同年12月1日から適用することといたしました。   具体的には,理事長及び常勤理事の報酬について,俸給月額を,国の指定職職員の例にならい,0.3%,金額にして3,000円を引き下げたほか,賞与の年間支給割合についても年間3.35か月分から3.10か月分,マイナス0.25か月分を引き下げるという変更をいたしまして,その差額を調整した上で12月期賞与を支給しております。さらに,非常勤理事や監事に対する手当についても,国の委員,顧問,参与等の手当が改定されたことに伴いまして,手当の日額を0.3%,金額にして100円引き下げております。   以上が役員報酬規程に関する説明でございます。よろしくお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今の御説明につきまして何か御意見あるいは御質問等はございますでしょうか。—よろしゅうございましょうか。基本的には人事院勧告に従った形での改定ということでございますので,特段御意見がないようであれば,この改正後の役員報酬規程につきまして,当評価委員会として意見の申出はしないということでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,そのようにさせていただきます。ありがとうございました。   引き続きまして第2の議題でございますが,国選弁護人等の事務に関する契約約款の変更について御審議をいただきたいと思います。これにつきましては,資料2−1から2−3までと机上配布資料B−1からB−4までを適宜御参照いただきながら,やはり支援センターの方から,この約款改正の趣旨について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 田中事務局長 田中でございます。国選弁護人,国選付添人及び国選被害者参加弁護士の事務に関する契約約款の改正案について御説明いたします。   まず国選弁護人の事務に関する契約約款についてでございますが,今回の改正案は,国選弁護人が記録謄写を行った場合に,記録謄写費用として支給できる実費の上限額を1枚につき20円から40円に引き上げることにより国選弁護人の負担軽減を図ること,指導監督等の正当な理由がある場合には,弁護士会又は日本弁護士連合会に対して,契約弁護士が当センターに提出した報告書その他の資料を提供できるようにすること及び規定の趣旨の明確化等のために所要の整備を行うことを目的としております。改正案の概要につきましては机上配布資料B−1のとおりですが,主な改正点について御説明させていただきます。   まず,弁護士会及び日弁連に対する協力,本則第39条関係についてですけれども,当センターは,契約弁護士が契約に違反するなど一定の要件がある場合には,契約の解除等の措置をとり得るところでありますが,契約弁護士の職務の独立性に照らし,個々の弁護活動について日常的に指導監督等を行うことは困難でございます。むしろこれらの役割は所属弁護士会や日弁連に期待されるところと考えるところでございまして,当該弁護士会等によって適切な指導監督等が行われることは当センターにとっても望ましいところでございます。そこで,所属弁護士会等から当センターに対し,かかる指導監督等を適宜適切に行うといった正当な目的で契約弁護士の報告書その他の資料の提供を求められた場合に,これらを提供することができるという改正でございます。   次に,記録謄写費用の関係,算定基準第31条及び第45条の関係でございますが,現行の規定上は,被告人事件の国選弁護人が記録謄写を行った場合に,記録謄写費用として,原則として謄写枚数が200枚を超えたとき,その200枚を超える部分について1枚につき20円を支給し,否認事件等所定の要件に該当するときは,謄写した全枚数について1枚につき20円を上限とする実費を支給することができるとしております。しかしながら,実際には国選弁護人が1枚につき20円を超える謄写料金を支払い,この基準により支給される謄写費用との差額を自己負担する場合も多く見受けられるところでございます。このような状況を改善するため,国選弁護人に対する謄写費用として1枚につき40円を上限とする実費を支給可能とする改正案といたしました。   以上が国選弁護人の事務に関する契約約款の主な改正点でございます。   続いて,国選付添人の事務に関する契約約款の改正案について御説明いたします。今回の改正案は,先ほど御説明しました国選弁護人契約約款の改正と同様の趣旨で所要の整備を行うことのほか,平成21年5月の国選弁護人契約約款の改正により導入された報酬項目等を国選付添人についても導入することなどを目的としております。この改正案はこの約款を全面的に改正するものとなりますが,改正案の概要につきましては机上配布資料B−3のとおりでございます。   最後に,国選被害者参加弁護士の事務に関する契約約款の改正案について御説明いたします。今回の改正案は,先ほど御説明いたしました国選弁護人及び国選付添人の契約約款の改正と同様の趣旨のものでございまして,所要の整備を行うものでございます。   以上が約款の変更に関する説明となります。よろしくお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございます。   今の支援センターからの御説明につきまして,何か御質問あるいは御意見はございますでしょうか。 小林委員 謄写費用ですけれども,その金額が40円というのは,どこに支払う謄写費用か教えていただけますか。 田中事務局長 それでは,第二事業部長からお答えさせていただきます。 新部部長 支払い先の問題でしょうか。 小林委員 金額が40円というのはかなり高額かと思うのですけれども,そうしましたら,一緒に,なぜ40円かということも含めて教えていただけますでしょうか。 新部部長 支払い先は,主に司法協会及び弁護士協同組合あるいは検察厚生会が謄写の事業をしていまして,裁判記録等あるいは開示記録については特定の指定業者のみが謄写しているという状況であり,今,それのセルフ式ではなくて対面式の平均が大体1枚40円になっているということなので,そこの金額を基準にしています。 山本委員長 いかがですか,小林委員。 小林委員 なぜ40円かというところは分からないでしょうか。普通は10円ぐらい。 新部部長 10円は,多分対面式ではなくて,セルフのコインでやるときの価格だと思います。コンビニなんかは10円とかですね。40円というのは,いわゆる人件費が入っている価格だと聞いています。訴訟記録等を謄写する場合は,コンビニみたいに自動的にコピーできないものですから,司法協会の職員あるいは弁護士協同組合の職員が請け負ってコピーをする,その人件費が入っているので高いのだと思います。 小林委員 1枚どのくらい時間がかかるのか分かりませんけれども,どのように算定しているのか分かりませんが,1枚40円というのは人件費を勘案しても妥当かどうかというのは,お聞きした範囲ではちょっと判断がしにくいのですけれども,いかがでしょうか。教えていただけますか。 田中事務局長 謄写費用につきましては,法テラスが設立された当初から,法テラスからお支払いできる金額と実際の謄写の実務でかかる費用との間に大きな乖離があるということで,私どもも何とかこの謄写費用の実費の方を引き下げていただけないものかと考え,いろいろお願いなどをしてきましたけれども,年を重ねてもなかなか実現しないという状況が一方でございました。先ほど新部部長から説明したように,街のコピーの金額と比べるとかなり高い金額で実際に記録の謄写の実費がかかっているという現状がございまして,そういったものから何とかもう少し安い金額にならないかとお願いし続けていましたところ,なかなかそれがかなわないというのが現状でございました。また,この間,裁判所の記録の謄写につきまして,指定する業者を入札によって決めるというような試みも一部でされたと承知しておりますけれども,それによっても,10円,20円といった私どもができれば実現したいと思っているような金額には届かず時間が経過するということでございました。そういったこともありまして,実際に国選弁護人の謄写費用の負担が,いわば報酬の中から支払いをするということになり,ほとんど報酬全部が謄写費用の差額の負担に充てられてしまうというような極端な例もこの間見聞してきたものですから,この改正を実現したいということでいろいろと関係機関にお願いをして参ったというのが経過でございます。   今御質問の40円が適切かどうかということですけれども,これは上限ということで今回はお願いをしているわけですけれども,何とかもう少し安い金額にならないものか,実費の方が安くならないものかという思いは私どももいたしておりますので,この改正案とは別に,引き続き謄写の実費の価格の方についても関係機関にお願いをして,何とかもう少し安い金額を実現したいと考えているところでございます。 吉川委員 今の40円というのは,本当に普通の感覚から言ったらものすごく高いんですよね。我々もいつも思うのですけれども,何せ裁判所等で刑事記録を閲覧あるいは謄写するときは,記録のセキュリティの問題もあって,決められている業者しか中に入っていないわけですね。言ってみれば,この謄写の価格は独占価格なんですよ。ということで,どういうことで40円になっているのか知りませんが,我々から見るとべらぼうに高いなと思うのですけれども,現状は40円ということになっている。だから,こっちを何とか下げてもらわないと法テラスの出費がなかなか下げられない。もしそうでないと個々の弁護士が少ない国選弁護報酬の中から自前で謄写費用の分を出さなければいけないということになってしまうというところに一種の不合理があるのだろうと思うのです。だから,何とか中に入っている業者の謄写費用を少なくするような方策を,これはだれがやれば少なくできるのかどうか知りませんけれども,それを考えていただくということが必要じゃないかと思いますね。 小林委員 問題は二つあると思うのです。私も,当面とにかく最高40円を下げられない状況で,弁護士に個人負担を強いている現状を解決しなければいけないという点について反対しているわけではなくて,その40円ぐらいまで見込まなければいけないという状況について,それをどのように解決していくかというところが何も見えていないということなのです。それについて,人件費がかかるという御説明をいただきましたけれども,1枚10円,20円のものが40円になるという,そこは人件費をどのように積み上げているのか,その確認をするという作業から必要になってくるかと思うのです。今後どうするかということについてもうちょっとはっきり見えるということが必要じゃないかと思うのです。というのは,この費用は国費で出ているわけですね。コピー費用に回すのか,そうではなくてもっと必要なところに回すことができるのかということは常々考えていかなければいけないことだと思いますので。現在個人的に負担をかぶせているということについてとりあえず緊急避難的な改正をすることに全く異存はありませんけれども,今後どうするかということについて,もう少しはっきりいろいろ工夫をしていただくということが望ましいと考えております。 山本委員長 ありがとうございます。   恐らく小林委員の御発言につきましては,委員の皆様方は基本的に異論はないように思いますが,その場合,今回の議題についてはこのままでよろしいというお話だったと思いますが,当委員会としての何らかの別途の意思表示みたいなものを出すかどうかということですかね。そのあたりはどうでしょう。 吉川委員 余り言うと我々の役割を超えてしまうのかもしれませんけれども,これは法務省の支援センターを所管していらっしゃる部署の方ではなくて,多分別の,あるいは検察庁の,あるいは裁判所の問題かもしれませんが,さっきもちょっとありましたけれども,そこに入っておられる業者を入札で決めるとか,何かそういうことを考えていただいて価格を引き下げるということを,当委員会として法テラスの費用削減という見地から要望するとか,場合によったらそういうようなことを意見として具申してもいいのかなと考えます。そうしないと,そのもとのところが固定されていると,費用の方だけ弁護士が自分でかぶれというのはなかなか難しいのかなという感じがしますので。 山本委員長 そうですね。ただ,我々の委員会の所管からすると,全く関係のないところに対して意見を言うということはやや難しいかと思いますので,支援センターの方に,謄写業者との関係で,謄写費用の値下げというのでしょうか,適正な価格に向けた交渉について,引き続きその取り組みをしていくようお願いするというような形での委員会としての意見を申し上げるというようなことでしょうか。 山崎委員 謄写費用が支援センターの予算に占める割合は,全体的にどのくらいになるのでしょうか。吉川委員がおっしゃっていたように,昔は謄写費用というのは全部,弁護人の報酬に含まれるべきだと考えていた時代もありました。そうすると,弁護報酬に占める謄写費用の割合が大きくなりすぎ,弁護士の先生方に過度の負担を強いることになります。そこで,裁判所の方も,否認事件とか,記録が膨大であるなどの一定の事件を選択して謄写費用をお支払いしていました。それが,今では,法テラスの方で報酬や謄写料を支払うことになったのです。   ところで,謄写料といっても,費用ですから,安くあげればよいと単純に考えるわけにはいかないのです。刑事事件記録というのは,言ってみれば,証拠の集まりであり,多くの人のプライバシーの秘密が沢山含まれています。そうすると,安ければどのような業者であっても謄写させれば良いという訳にはいかないと思います。セキュリティの問題にも絡みます。謄写をした際に記録が一部なくなるとか,破損することがあっては大変なことになります。そのため,ある一定の信頼できる業者が対面式で謄写をしているわけです。確かにコンビニでコインを入れて1枚10円でやれば非常に安いのですが,事件記録の保存等という観点からすると,そのような方法は非常に危険だと思います。評価委員会としても,謄写の実情や,謄写費用の予算に占める割合等を慎重に踏まえて判断した上で,意思表示をした方がよいと思います。 山本委員長 今のデータというか,占める割合とか金額というのはどの程度のものかというのは。 松本部付 今御指摘のありました予算の比率でございますが,平成22年度分で申し上げますと,国選弁護等関連の委託経費が全体で約155億円でございます。そのうち謄写費用の金額は,増額した後は約1億3,000万強となっております。なので1%弱ということになろうかと思います。 山本委員長 山崎委員の今のお話は,先ほどのような形で委員会として意見を述べるのはやや時期尚早であるというニュアンスでしょうか。 山崎委員 様々な観点から検討しなければならない気がします。謄写作業に従事している司法協会というところは裁判所とはまた別の団体ということもあって,少し実態を調べたいと考えています。 山本委員長 いかがでしょうか。全体としては,国費を投入するという観点から見て40円というのが果たして妥当な金額なのかという疑問はかなり委員の間に共有されているのではないかと思いますが,なお山崎委員の方からは,何らかの意見なりを述べるとすれば,もう少し実態を把握して述べた方がよいのではないかという御趣旨の御意見だったかと思いますが。 岡田委員 調査するというのは大事かと思うのですけれども,人件費というのがどういうものなのか。今はコピーだって1枚1枚やるわけじゃないですよね。自動原稿送りを利用できるのではないかと思うのですけれども,そうだとすると人件費は余りかからない。でも,今のお話を伺っていると,いわば責任を持つための費用みたいな感じもするのです。だから,その辺をきちんと分けた方がいいんじゃないかなと思うのです。でないと,人件費,人件費と言われると,そんなに人件費はかからないじゃないかと考えてしまうのですけれども,どうなのでしょうか。 田中事務局長 大都市部の裁判記録ですと,一定の事件数がございますので,謄写のボリュームも日々かなりのものがあるかと思いますが,地方の裁判所あるいは支部の事件ということになりますと,大都市と比べると,事件の数,それから全体としてのボリュームもそれほどはないということで,ただ,そういうふうに定期的に謄写が必要になるわけではないですけれども,一定の人は抱えておかなくてはいけない,いつ依頼が来るかも分からないということになりますと,やはりどうしても人件費として固定費の部分が増えてくるというような実情があるという話は何度か耳にしたことがございます。実は,謄写の実費も全国でかなりばらつきがございます。全国一律の基準というのが法テラスの基準ということになりますので,その点で非常に悩みも深くなっているというのが現状でございます。 岡田委員 一枚一枚刷るわけじゃないですよね。 新部部長 先ほど山崎委員からの御指摘もありましたけれども,要するに訴訟記録は編綴状態を崩すことは許されないのです。自動原稿送りが利用できないのです。 山崎委員 原則は一枚一枚やっていただいた方がいいと思います。自動原稿送りにかけてよく途中で引っかかり,破損するということがままあるのです。   また,これまでも,予算削減の努力は,ある程度はなされています。   例えば,弁護士さんも全部の記録を謄写するのではなく,必要な部分だけに限って謄写する場合もあります。それをさらに推し進めて,謄写料をできる限り押さえるために,膨大な記録であっても,常に必要最小限の範囲に絞るべきと考えるのも,非現実的と思います。一方で,国選弁護人の報酬の中から全て負担すべきと考えるのも,問題です。もう少し実態を把握して,最終的な意見をまとめたいと思います。   ところが,多分40円に設定したのは何らかの理由があったと思うのですけれども。そうでもないのですか。 松本課長 国選弁護課長の松本です。   業者に支払う謄写料金は各地によって違うわけですけれども,平均的にならしますと,大体40円の範囲に入れば多くのところはその範囲におさまることになります。しかも,もちろん財政的な問題もありますので,その調整の結果,40円という金額が出てきたということです。 小林委員 地方の裁判所ですと謄写の件数も少ないので固定費用がかかるということなのですけれども,謄写業者ということになるかと思うのですが,謄写だけで事業をやっているということは多分あり得ないと思うのです。ですので,固定費用が高いというのは理由にはならないのではないかなと考えております。謄写の件数が全く少ないのに,謄写だけを事業としている人たちを国費でお雇いするというのは,それはちょっと理由にはならないんじゃないかなと思います。細かい話ですけれども。   そういう意味で,山崎委員が少し調べたいとおっしゃっているところも,そういうふうに調べて,調べた結果,例えば人件費がどのように積み上げられて価格に反映されているのかということも明らかになるのであれば,これはまた非常に重要なことかと思っております。 山本委員長 いかがでしょうか。かなり御議論をいただいて,問題点は明らかになっているのではないかと思いますが,もしよろしければ,基本的には今回の改正案それ自体についての御異論はないといいますか,皆さん,国選弁護人が自分の負担で謄写費用を持つというのは相当でないという点についてはおおむね意見の一致はあると思いますので,改正案自体は委員会として認めるということで御異論はないように思いました。   あと,謄写費用の価格が適正なものなのかどうか,とりわけ国費で負担するという観点から,1枚40円というのが人件費等にかんがみても適正なものかどうかということについては,なお現段階での資料では確実なことは言えないのではないか,もう少し調査の必要があるのではないかという山崎委員からの御意見,基本的にはそういうことであるとすれば,これは事務局,支援センターも含めて更にこの点について御調査をいただいて,またいずれかの時期に委員会で明らかにしていただいて,なおこの場で審議をするというようなことでよろしゅうございましょうか。 小林委員 結構です。 山本委員長 では,事務局の方。 山﨑官房付 いろいろ御指摘もございましたし,少なくともこの場でそういう御意見があったことをテークノートいたしまして,今後,支援センターともいろいろと相談をして参りたいと思います。正に委員長がおっしゃったように,何らかの機会に委員の皆様方に状況の御報告をして,また御意見を承ればと考えております。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,謄写費用については以上のようなことにさせていただければと思いますが,ほかの点について何か御意見等ございますでしょうか。—よろしゅうございますか。   それでは,結論といたしましては,これらの約款の改正につきまして法務大臣が認可するに当たっての当評価委員会の意見としては,いずれも認可して差し支えないという内容になろうかと思いますが,そういうことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。それでは,評価委員会としては,これらの約款につきまして,いずれも原案どおり認可して差し支えないという意見で取りまとめさせていただきます。   なお,これらの約款につきましては,今後も誤字の訂正等技術的な修正がされることがあり得ますが,その場合につきましては委員長と事務局に御一任をいただくということでよろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。   以上で議題(2)については終わりまして,引き続きまして議題(3)の審議に移りたいと思います。これにつきましては,現行の中期計画の変更に関する法務大臣の認可についての意見ということで,資料3,それから机上配布資料のCを御参照いただきたいと思いますが,これもまず支援センターの方から,この変更の趣旨について御説明をいただきたいと思います。 田中事務局長 田中から御説明申し上げます。   今回の変更は,平成22年1月28日に成立しました平成21年度補正予算において運営費交付金が追加措置されましたことから,中期計画において,その運営費交付金が「明日の安心と成長のための緊急経済対策」のための措置であることを,「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」の民事法律扶助の項目に追加して記載するとともに,本件の追加措置により中期計画予算額等に変更を生じるため,中期計画の別紙,中期計画予算の中の予算額及び注記の記載を変更するものでございます。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいまの御説明につきまして,御質問,御意見がありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。補正予算がついたということで,それを中期計画—といってもこの3月までのものでありますけれども—に反映させるという御趣旨でありますが,特段問題はないということでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,当評価委員会としましては,この中期計画の変更を法務大臣が認可して差し支えないということで御意見を申し上げるということでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。それでは,そのような形で取りまとめをさせていただきます。   なお,先ほどの約款と同様,誤字の修正等技術的な修正につきましては私と事務局に御一任をいただければと存じます。   それでは,これで支援センターから御出席いただいている方には御退席いただくことになりますが,その前に,せっかくの機会ですので,各委員から直接支援センターに対してお伝えしておきたいというようなことがございましたら,お願いしたいと思います。 知久委員 すみません,せっかくの機会ですので,この場をお借りして御質問させていただきたいと思います。御質問というか要望になりますけれども。   支援センターを立ち上げてもう3年ということで,日にちもたってまいりましたが,当初,情報提供職員の方々が利用者に対して案内をするときに,司法書士の業務内容をなかなか御理解をいただけていないことがございまして,現在でもまだあるようですけれども,弁護士・司法書士FAQというものがございます。ご存じない方もいらっしゃるかも知れませんが,このFAQは情報提供業務における振り分け基準とされているものなのです。司法書士の業務内容がどういうものかというのはオペレーターに対する研修が行われ,多分 司法書士と弁護士の業務範囲についてかなり理解が進んできているのではないかと思うのですけれども,一部誤った内容のFAQが現在もそのまま利用されており,「法テラス基準」というような呼び名になっているようなのです。これが司法書士の業務内容について誤って伝える弊害をもたらしているのではないかということで、非常に危惧しているところです。   その辺の見直しの他にも,最近特に気になったことですが,法テラスにメール相談をされた方に対する回答があります。その回答の中で,司法書士総合相談センターを案内する場合に,回答した最後に書かれている文言がありますので読ませていただきます。「ただし,請求金額が140万を超える事件の場合,司法書士は代理をすることができません。また,認定司法書士の持つ訴訟代理権は簡易裁判所の訴訟のみが対象となっております。」という文言が最後に入ってくるのです。この回答をもらった利用者の受けるイメージなのですけれども,案内はするけれどできないことが多いですよというようなイメージを受けられたということでした。せっかく回答いただくのであれば,例えば,請求金額が140万円を超えない事件については司法書士は代理することができますよというような表現であってもいいのかなと思います。ニュアンスの問題なのですけれども,実際に回答をもらって司法書士相談センターに相談に来た利用者が,果たして司法書士に相談できるのかというような不安感を持たないように,利用者サイドに,できないから暗に利用するなという文言が含まれているのではないかということも言われたこともあるようなので,細かいところでございますけれども,案内をされる場合にはもう少し利用者側に不安感を持たせない,利用しやすいような形で御案内をいただければと思います。   前段のFAQのことも含めまして,今後目標とか計画を策定されるときに是非御検討いただきたいと思いまして,直接お話をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。 田中事務局長 では,担当の第一事業部長から。 谷次長 第一事業部長の谷でございます。   今の知久委員の御指摘でございますが,御指摘いただいた弁護士と司法書士の振り分け基準と申しますのは,平成18年10月の開業時に,電話がかかってきたときに弁護士と司法書士のどちらに利用者を振り分けるかというときの暫定基準としてつくったものでございます。御指摘のように当時から既に3年半過ぎておりますので,この振り分け基準をつくるとき自体には日本弁護士連合会と日本司法書士連合会と法テラスの三者で決めたものではございますが,状況も変化があるのではないかということで,これについての見直しの要否も含めて再検討しようということで,今その準備を進めているところです。それが1点でございます。   それから,後半のメールに添付する定型文のところでございますが,司法書士会を利用するなというような消極的メッセージを込めたつもりではおそらくないと思うのですが,そのような印象を持たれるということであれば問題でございますので,その点につきましては持ち帰って検討させていただくということでよろしくお願いいたします。 知久委員 御検討をよろしくお願いいたします。 山本委員長 知久委員,よろしゅうございましょうか。   それでは,岡田委員,どうぞ。 岡田委員 二つほど質問させてください。   最近,東京において,消費生活センター相談員及び職員と法テラスの意見交換会が行われ,私の勤務しているところも職員及び相談員が参加しました。あいにくまだ感想を聞いていないのですが,それは全国的なものかというのが一つ。   もう一つですが,どうも最近,情報提供者としてセンターと兼務している相談員がだんだん引いてきているといいますか,何かそういう傾向が出てきています。というのは,当初,情報提供者として,相談員の資格だとか対応の仕方,その辺を高く評価していただいた上だと思っていたのだけれども,簡単な事務,しかも自分で答えられないような電話も受けなければいけないというのが一つ。希望された法テラスの方が ,週1日でもいいよということだったのですが,最近,3日,4日出れる人というような形になってきているやに聞いています。そうなるとセンターとの兼務はできないのです。その方向というのがどういう趣旨なのかというのをお聞きしたいと思います。と申しますのは,最近,私,司法委員になって感じたことなのですが,裁判に訴えられた消費者というのは9割以上出てこないのです。全然司法に対しての国民の認識が変わっていないということにとても危惧感を持っておりまして,これからは訴えられたにしても自分が出ていけば今よりも絶対いい解決になるのだということを私どもセンターも一生懸命PRしていくべきですが,なかなかそれが伝わらないという状況です。実際に法テラスに送り込んでいるセンターも23区においても本当に限られているという部分からしますと,もっと消費生活センターと法テラスのパイプというのは太くなっていいんじゃないかと思っているのですが,それが後退しているような感じが地方から伝わってくるものですから,ちょっとその辺をお聞きしたいと思いました。 谷次長 第一事業部長の谷からお答えいたします。   消費生活相談員との意見交換会が全国レベルで行われているかというのは,ちょっと今その資料を持ち合わせておりませんので,それは確認の上また御回答いたしたいと思います。   それから,情報提供の在り方自体につきましては,今,本部の中でも検討会を立ち上げまして,これも3年半たったということで,今までの情報提供の在り方がこのままでいいかということについては議論をしているところでございます。その中で中心に据えようとしておりますのは,関係機関との連携をもっと重視すべきだということです。単なる相談先の電話番号を案内するだけではなくて,そういう関係機関,例えば消費生活相談もそうですけれども,弁護士会であるとか,あるいは司法書士会,あるいは地方自治体との連携を深めて,その中で来た相談を最適なところに紹介したらどうか,というような答申書を今まとめつつあるところでございます。   あと,その問題と窓口情報提供職員について,消費生活相談員の資格を持った方を今後もお願いするかどうかということにつきましても,今,いろいろな意見が出ているところでございます。一つは,毎日違う方が来られるということに関しましては,いろいろな内部での研修の際に非常に多くの人を対象に研修しなければならないというような問題もございますので,そういう観点からはもう少し人数を絞った方が研修の実が上がるのではないかというような意見もあるところでございます。ただ,いろいろな相談のスキルという面におきましては,消費生活相談員の方々は皆さんスキルの高い方々ですので,その辺の兼ね合いも考えまして今後の方向性を今検討しているところでございます。 岡田委員 私の勤務している足立区,練馬区,江戸川区はセンターと兼務の情報提供者がいるので,そちらからの法テラスへの紹介が圧倒的に多いんじゃないかと思っています。それはどうしてかというと,状況が分かっているということなのです。ですから,週3日とか4日出れる,いわば条件に近いような,完全な非常勤の人というのは分かるのですけれども,じゃあその方々が相談現場のことをお分かりになっているのか,ないしは外に対してパイプをつくる位置づけにあるのか,能力があるのか,その辺のところはどうなのかなと思いますので,是非,できるだけたくさんのパイプを,しかも大きくするということに力を注いでというか,考えを入れていただきたいなと思います。 井野委員 すみません,非常に一般的な質問で大変恐縮なのですが,一月ほど前にテレビのニュースを見ておりましたところ,法テラスのイメージキャラクターというのでしょうか,PRキャラクターに「はるな愛」さんが選ばれたということをニュースでやっていまして,知名度向上という点からは,ニュースで取り上げられたぐらいですから一定の効果はあるとは思うのですが,とにかく芸能界の方をイメージキャラクターに使用する際にはリスクもあるということは当然御承知だと思うのです。スマップの草�gさんですか,あの方が総務省のキャラクターに選ばれて,その後ちょっと不祥事を起こしてということがあったと思うので,そのあたりの人選はどういう基準で選ばれたのか,ちょっと疑問に思ったものですから,教えていただければ幸いです。 石山課長 広報を担当しております総務課長の石山でございます。   ただいま人選の点についてお話がございましたが,一つは,委員からもお話がございましたように,法テラスの認知度を上げるということが喫緊の課題としてこの評価委員会からも御指摘いただいているところでございますので,知名度の高い方という視点で候補者を絞り込みました。「はるな愛」さんというのは日テレの朝の情報番組にレギュラーとして出演されている方でございまして,イベントをやったのがその情報番組が放送される前の日なのですけれども,この日にはるな愛さんに法テラスサポーターズ大使としてイベントにご出演いただければ,次の日の情報番組でも取り上げていただけるのではないかと考えました。そうしますと非常に広報効果が高い,費用対効果が高いということもございました。更に,「はるな愛」さんは,明るいキャラクターの持ち主でございまして,法テラスの「照らす」というイメージとも矛盾はないであろうと。そういったことも考えて選考しました。もちろん私どもがすべてのタレントを知っているわけではございませんので,実際には広報業務を委託している業者との交渉の中で費用対効果の点などもろもろ考えて,ふさわしい方がはるな愛さんだったと,こういう経緯でございます。 井野委員 分かりました。ただ,本当にリスクということも考えていただきたいなと。法テラスは明るいイメージというところは分かるのですけれども,非常に深刻な状態にある方々の問題を扱う場所だと私は考えておりますので,いたずらに明るいイメージだけが先行してしまうというのは果たしてどうなのかなと。今後そのあたりを慎重に考えていっていただきたいなと思いました。 岡田委員 今,広告のことが出ましたので。   最近,テレビで随分と法テラスのコマーシャルが流れるのですが,あれに関して私の周りでは,弁護士の委員がいらっしゃるので言いにくいのですけれども,テレビで弁護士の広告が増えましたが,私たちの立場からするといろいろ問題のある事務所の広告も少なくないものですから,その意味で,仲間が見ていて,そういう類だと思ったと言うのです。   また,「資力の問題を全く言っていなくて,何でもいいよというふうに受けとめられるのだけれど,あれって大丈夫かしら」という声がありましたので,一応参考にお伝えしたいと思います。 石山課長 問題のある弁護士事務所がという点につきましては私どもも承知していませんので,コメントはできませんけれども,2点目の法テラスのテレビコマーシャルで資力要件の点について言及がないという指摘は,実は利用者の方の一部からも御指摘は受けております。私どもといたしましては,法テラスの中で,情報提供業務はいわば総合受付の窓口のような役割を果たしておりまして,ともかく困ったことがあったらまずはコールセンターに連絡してくださいということを多くの方に知っていただきたいという趣旨であのようなCMにしているわけでございますけれども,他方で,いわゆる法律扶助についても資力に関係なく受けられると誤解して電話をかけてこられる方がおりますので,CMの中身につきましては,来年度以降考えていきたいと思います。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。   いろいろと貴重な御意見をいただけたかと思いますので,支援センターにつきましても今のような御意見を踏まえて御検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。   それでは,これで支援センターの方々には御退席いただいて結構でございます。大変お忙しい中,ありがとうございました。 〔日本司法支援センター関係者退室〕 山本委員長 それでは,次に本日の4番目の議題でございますが,日本司法支援センターの中期目標案について御審議をいただきたいと思います。資料4が次期中期目標の原案になります。この原案作成の段階では,事務局から委員の皆様方に対し何度か御説明をさせていただいたと伺っております。また,その過程で出された各委員からの修正の御意見については既に原案に反映されているとも伺っております。そのような次第でありますので,各委員におかれましては原案の内容についてはほぼ御理解をいただいているのではないかと思いますので,以下,事務局から御説明をお願いしたいと思いますが,念のための御説明ということで,若干時間の都合もありますので,手短に御説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。 山﨑官房付 では説明申し上げます。資料4,または机上配布資料Dを御覧ください。   机上配布資料D−1は,資料4をベースに,昨年末の法務大臣の見直し決定に含まれている事項を黄色の網掛けで,それから現行中期目標にはなかった新規追加事項を赤色下線で示したものです。したがいまして,こちらを御覧いただいた方が分かりやすいと思います。   なお,ただいま委員長から御指摘のあったとおり,原案の内容につきましては事前に御説明をさせていただいておりますところで,また法務大臣の見直し決定につきましては前回の評価委員会で御審議いただいたばかりでもありますので,ここでは新たに盛り込んだ新規の追加事項について説明させていただきたいと思います。   机上配布資料Dの方を見ていただいて,最初のページは赤色の下線で埋まっております。これは,支援センターの成立経緯あるいはこれまでの実績をうたい上げた,いわば前文の部分でございます。第2期の中期目標ということで,このような前文を設けた次第です。   それから,1のところは中期目標の次期の期間でございまして,平成22年4月1日から4年間ということでございます。   次に,2ページから始まる「2 総合法律支援の充実のための措置に関する事項」ですが,この項目には,1番目に支援センターの存在及びその業務の内容についての周知,2番目に職員の質の向上,3番目に内部統制・ガバナンスの強化等の事項,こういったものを新たに盛り込んでおります。いずれにつきましても,すべての業務に共通する基礎的かつ総合法律支援の充実のために必要な重要事項ということでここに位置づけたものです。   次に,5ページから始まる「3 業務運営の効率化に関する事項」ですが,この項目は昨年末の法務大臣の見直し決定の内容が中心でありまして,そのほかに特段の新規追加事項はございません。   他方,7ページから始まります「4 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」では,各業務の性質に応じて適宜利用者のニーズを把握して業務へ反映させる旨や,契約弁護士,司法書士のサービスの質の向上に資する取組み等に関する内容,こういうものを盛り込んだほか,目新しいところでは,法教育に資する情報の提供,あるいは裁判員裁判に対応し得る国選弁護人の確保・選任の工夫などに関する事項を新たに追加しております。   最後に,10ページ以降の「5 財務内容の改善に関する事項」と「6 その他業務運営に関する重要事項」ですが,項目5の中では,財務内容の公表に関する項目を設けたほかは特段の新規追加事項はございません。   簡略ではございますが,次期中期目標案の説明は以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今の御説明,この中期目標案につきまして,御質問,御意見があればよろしくお願いいたします。   では,私の方から若干質問させていただければと思うのですが,今の資料D−1の8ページで,一番上のところですが,今も御指摘があった法教育について,私自身もかつて論文の中で法テラスが法教育について一定の役割を果たすべきではないかということを書いた記憶がありますので,大変結構なことだと思うのですが,これは具体的にだれがどのような形で取り組むことを想定されているのか,お教えいただきたいというのが1点です。   もう一つは,そのすぐ下のところで,民事法律扶助について,ニーズ調査の結果を踏まえて事業計画を立案,実施するということになっています。このニーズ調査につきましては現在の中期計画の中でもありまして,この結果は出ているのではないかと思いますので,その点は今後の当委員会の中期計画等の検討でも非常に有用な資料になるように思うのですが,それがもし出ているのであれば,それをこの委員会の委員にも配布いただければ有り難いかなと思います。これは希望ですけれども。 山﨑官房付 事務局からお答え申し上げます。   まず法教育の方でございます。だれがどのような形で法教育の関係で携わっていくのかという御質問と理解いたしました。法教育に関しましては,既に,例えば裁判所や検察庁などの関係機関,関係団体でも出前授業等やっていると認識しているところですが,支援センターも,例えば常勤弁護士が,学校であれ,あるいは地域住民の場に出ていって,さまざまな法的なものの考え方とか知識等について講義をするということが一つ考えられますし,あるいは,常勤弁護士に限らず,支援センターの職員,これはそれなりに国民の方々の司法へのアクセスについて携わっていろいろ仕事をしているわけですので,そういう職員においても,これは学校でもいいでしょうし,地域でもいいと思いますけれども,そのような場に出ていろいろなことを講義したり,様々な貢献ができるのではないかと考えております。   それからニーズ調査でございますが,これは一応結果としては出ております。詳細につきましては,次回の評価委員会で御紹介申し上げようかなと思っているところでございますが,幾つか顕著なところで申し上げますと,例えば代理援助,このニーズはどのくらいあるのかというところが一つの関心だと思いますが,ニーズ調査の結果では,潜在的なものも含めて推定するならば,約16万件から約30万件規模でニーズがあるのではないかといったことでありますとか,あるいは,民事法律扶助ですと,いわゆる多重債務の問題が一番クローズアップされるのですが,実は国民の方々の法的なお悩みというのはむしろもうちょっと身近な対人関係にあるような内容でありますとか,そのようなことが書かれております。細かいことは次回の評価委員会で御紹介できるかと思っておりますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございました。   ほかに。 知久委員 幾つか関連するのですけれども,前回の評価委員会のときにもご説明いただいたのですが,コールセンターではなく,地方事務所の方に直接お電話をしてくる相談者が多いために地方事務所でその対応に追われているので,逆に地方事務所からその電話を直接コールセンターの方に転送できないかということを質問しましたが,その時は費用の問題でなかなか難しいのではないかということでしたが,今回ここにそのことが掲げてございますよね。コールセンターの利用促進ということで,3の(2)ですかね。 山本委員長 6ページですか。 知久委員 そうですね。実際にこれがどこまでできるかということがあると思うのですが,これがうまく回るようになれば,地方事務所が本来しなければいけない持ち込み案件の処理等の事務処理も多いので,電話相談をコールセンターに回せるかなと思うのですが,ただそれをすることで利用者にたらい回しをされているような不信感を与えてしまってはいけませんし,コールセンターから直接,契約している関係機関や弁護士,司法書士に直接回せるようなところまでも視野に入れてやっていけるのかどうか,その辺までお聞きしてもよろしいでしょうか。なぜかといいますと,償還金の回収問題につきまして,結局地方事務所で手が回らないということもあって,結果として本部でおやりになったということもありますので,やはり本来地方事務所でしなければいけない事務処理の効率化も含めまして,改善方等もあわせて御説明いただければと思いますが,よろしくお願いします。 山﨑官房付 では御説明申し上げます。   この次期中期目標案の6ページの(2)の①の部分に関連する御質問でございますが,中期目標のこの部分で申し上げたかったのは,地方事務所で受けるべき内容とコールセンターで受けるべき内容というのはおのずから区別があるのだろうと。今まではその辺が,例えば地方で受けたものをそのまま,本来はコールセンターでもできるような内容のものをそのまま受けて,そこが地方事務所の業務の負担になっている部分もあったのかもしれない。コールセンターというのは,マニュアルに従って,効率的・効果的に対応できる部分もありますので,コールセンターに御利用を促せる分は促していこうということでございます。ただ,例えば地方で電話を受けまして,はいお待ちくださいということで,そのままコールセンターに回すということでは,今,委員御指摘のようにたらい回し感が出てくる可能性も確かに否定できないと思います。その辺は支援センターの方でもよく考えていただこうと考えております。例えば,電話をしますと,まずどういった内容の御質問ですかということで,番号を押せば振り分けられ,そういう形ですぐにコールセンターに回せるのであれば,これは必ずしもたらい回し感がないのかなと思います。支援センターでは,そういうことも考えているやに聞いております。ただ,正に御指摘があったとおり費用の問題もありますので,どこまで現実にやっていけるのか,これから実際に検討していくというところであろうと思います。委員の御指摘は十分に支援センターにもお伝えしまして,検討させていきたいと思っております。そして,コールセンターの方にそれにふさわしいお問い合わせが回っていけば,地方事務所の方でも,そちらに割いていた部分の労力をいろいろなところに回せると思われます。例えば償還金の回収に関する作業にも手が回るというふうにもなっていくだろうと,こちらとしても理解しているところでございます。 山本委員長 よろしいですか。   ほかにいかがでしょうか。 小林委員 山本委員長もおっしゃっていたことなのですけれども,「法教育に資する情報の提供等」というところは非常によい点だと私も思っておりますけれども,今までの法テラスの仕事は,問題が起きたときにどのように解決していくかという情報を提供するというところに力が入っていたかと思うのですけれども,できるならば犯罪の防止ということにも役に立っていければいいと思うのです。刑事罰というものがありますけれども,これは犯罪の抑止力ということで期待されているかと思うのですが,その刑事罰の内容を普通の人はほとんど知らないのではないかと思うのです。自分たちには関係ないし,細かく教えてもらったってという気はするかもしれませんけれども,出来心とか,あるいはそれ以上の心で結局犯罪に走ってしまうような方々が一人でも二人でもいれば被害者が出るわけですので,そこをきめ細かく,実際に犯罪の抑止力というのをきちんと効果的に使っていかなければいけないと思います。日本の中でそのような責任を持っている部署がどこかというのも私は承知しておりませんけれども,法テラスとしてもそのようなところと連携をとりながら役に立っていくように考えていただければと思います。 山本委員長 ありがとうございます。 山﨑官房付 今,委員の御意見を承っていて,ああそういう考え方があるのだな,なるほどなと私も思ったのですが,現実に今取り組まれている法教育で刑事罰というものに焦点を当てたものがどの程度やられているか,ちょっと申しわけないのですが,私どもも把握はしておりません。ただ,法的な物の考え方,だからその中には,刑罰に当たるようなことをすれば処罰されますよ,サンクションがありますよ,こういう物の見方,考え方を広めていく,啓発・普及していくというのは当然あり得ていいとも思います。具体的にどのようにやっていけるのか,今後,支援センターの方にも伝えて,検討させていきたいと思います。 山本委員長 よろしくお願いします。 岡田委員 私も法テラスには当初から法教育を期待しているのですが,やっと実現するのだと思っています。今行われている法教育は,弁護士会だとか大学院とかで行われていますけれども,裁判官が来る場合もあります。ただ中心は裁判員裁判と憲法の話なのです。そうではなくて,民事で言えば,毎日の生活の中で自分がどういう位置づけで法律行為をやったり,ないしは被害を受けたりとか,そういうときの考え方,賢く生きていくための教育も法教育だし,一方で,今お話が出た刑事事件のこともそうだろうと思うのです。   これは参考なのですが,消費生活センターで過去に,少年院の方に来てもらってお話をしてもらいました。足立区では,明日やるのですが,犯罪心理学とか,それから振り込め詐欺に何で引っかかるかとか,やります。夜やるのですが,ものすごく人気があるのです。ただ,それはそれを企画するセンターの認識の問題なのです。その意味で,法テラスがそういうことをやりますよとただどこかに書いたり宣伝したとしても,じゃあ是非来てくださいという話がどのくらい来るか,そこのところだろうと思います。実効性を上げるためには,出向くなど,場合によっては営業活動もしなければいけない。今,消費生活センターも営業活動をしますから。その辺を頭に置いて,せっかくいいことなので,PRしていただいて実効性を上げていただきたいと思います。 山﨑官房付 委員御指摘のとおり,実効的な働きかけということは重要なことで,法教育といっても相手方が集まらなければしようがないし,聞く態度がなければあまり意味がないので,宣伝のやり方も一工夫必要かと思います。十分支援センターの方にも伝えたいと思います。   それから,今,委員のお話を聞いていて,消費生活センターでは少年院の方とか犯罪心理学者にも来ていただいてお話をしていただいたと。先ほど,私,例えば常勤弁護士が教えるとか職員が教えるということを申し上げましたが,支援センターはせっかくいろいろな機関と連携しておりますので,そういう連携の中で,ほかの機関のいろいろな専門の方に来ていただけるのであれば,そういう形で支援センターが間に立ってやるというのもあるのかなと思います。その辺も含めて支援センターの方に伝えてみたいと思います。 山本委員長 ほかに。 嶋津委員 さっきの6ページのコールセンターの設置場所の関連で,これは意見ではないのですけれども,具体的に検討中ということだったのですけれども,今後どのようなスケジュールで移転が進んでいくのか教えていただきたいと思います。 山﨑官房付 コールセンターの設置場所につきましては,先般の評価委員会では,今後いろいろなことを含めて検討していく段階にありますということを申し上げたところでございますが,その後もいろいろと支援センターでは検討作業を進めております。まず,支援センターの情報提供の在り方ですが,現在業者にいろいろと委託している中で,もうちょっと支援センターが自前でやれる部分があるのではないかということを検討しております。それから委員ご指摘の場所の問題ですが,これもいろいろ検討しているところで,具体的に幾つか候補地を選定しながらやっており,聞いているところでは仙台を最有力の候補地として今検討しているようでございます。今後のスケジュール感ですけれども,これも聞いているところでは,平成22年度いっぱいは現在の体制でいくわけですが,その間にいろいろと準備を進めまして,平成23年度当初から新しい場所で開業できればということで進めているやに聞いております。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。   ほかにいかがでしょうか。—大体よろしゅうございましょうか。   それでは,大体御意見は出まして,いろいろ貴重な御意見,御提言をいただいたかと思います。今の御意見を伺う限り,資料4の中期目標の原案につきまして,これは相当でないというような御意見は特段承らなかったように思いますが,そのような理解でよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。それでは,当評価委員会としましては,この原案のとおりに中期目標を定めて差し支えない旨の意見を申し上げるということにしたいと思います。ありがとうございました。   なお,この中期目標案に関しましては,今後,最高裁判所に対する求意見あるいは財務大臣との協議の手続が予定されていると伺っておりまして,その過程で案文が変更されることもあり得るということであります。その場合には,まず私の方に事務局から御報告をいただいて,誤字・脱字とか,あるいは表現上の問題のような形式的・技術的な変更にとどまるような場合には,その変更への対応については私と事務局に御一任いただくこととして,他方,内容について実質的な変更を伴うと認められるような場合には各委員の御了解を得たいと思います。ただ,皆さんお忙しい中集まっていただくということは難しいと思いますので,この日本司法支援センター評価委員会の運営規則の第3条というところで,「委員長は,やむを得ない事情により委員の過半数が一堂に会することが困難であり,かつ,緊急に委員会の議決を経る必要があると認めるときは,電話その他の方法により議決を求めることができる。」という規定がございますので,この規定に基づきまして,適宜の方法で御連絡させていただいて各委員の御了解を得るということにさせていただければと思いますが,そのようなことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,またお手間をおとらせすることになるかもしれませんけれども,その節はよろしくお願いいたします。   それでは,これで審議事項についてはこれまでということになりますが,最後,その他という項目の中で,業務実績評価に対する政策評価・独立行政法人評価委員会からの二次評価についてというものがございます。これについて事務局から御説明をいただけますか。 山﨑官房付 御説明申し上げます。   机上配布資料F−1を御覧ください。この資料は総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から当評価委員会委員長あてに送付されたものです。御覧のとおりかなりボリュームのあるものですが,支援センターの平成20年度業務実績評価に直接関係するものは,F−1の1枚めくっていただいたところにあります別紙1,枚数にすると全部で4枚になるかと思いますが,その部分でございます。そのうち当評価委員会に対し改善を求める旨の指摘は2点でした。   まず1点目ですが,更に1枚めくっていただきまして,下には234ページと入っていると思いますけれども,その下の方にございます「(1)契約に係る規程類に関する評価結果」—黄色の網掛けがございます—という項目です。ここを御覧ください。そこから先に詳しい指摘が書かれておりますけれども,要するに,支援センターにおいては複数年契約に関する会計規程が整備されておらず,複数年契約を締結する場合の要件等を定めた規定が存在しない,それにもかかわらず,当評価委員会の評価結果では,その点,つまりそのような規定等が存在しないという点について何ら言及されていない旨の指摘がなされております。   次に指摘事項の2点目ですが,御覧いただいているところの更に次,236ページです。その下の方に「(3)契約の第三者委託に関する評価結果」,これも黄色の網掛けをしております。その部分を御覧ください。こちらも,要するに,支援センターにおいては,契約の再委託禁止措置に関する規定はあるが,再委託の把握措置,つまり現実に再委託がなされているかどうかを把握するための措置については規定がないため,再委託禁止措置の実効性が必ずしも十分に担保されているとは言い難い,それにもかかわらず当評価委員会ではその原因・理由を明らかにした上で評価がされていないという指摘です。   このように,いずれの指摘も支援センターにおける規程類の不備についての評価が評価結果について明示されていない点について,今後の評価に当たり改善を求めるという内容となっております。   なお,これらの指摘の前提となった資料としまして,机上配布資料F−2,F−3を御覧ください。これらは昨年夏の評価委員会の際にもお配りしましたが,政独委が二次評価を行う際の視点を示した文書です。例えば,F−2の4ページ目になりますが,黄色の網掛けで「5 契約」という項目がございます。ここでは,契約方式と契約に係る規程類について,整備内容や運用の適切性等必要な評価が行われているかという視点が示されております。また,F−2をより具体的に書き下したものであるF−3の方でございますが,ページとしましては4ページですが,「「5 契約」について」という項目に,第三者に再委託している状況の把握に留意するよう求める記載等があります。これらの視点や留意事項が示されていたにもかかわらず評価結果では明示的に言及されていなかったということで,先ほどのような指摘を受けたということになろうかと思います。   以上が指摘事項についての紹介でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   今の御説明につきまして何か御質問等はございますでしょうか。—よろしいですか。   そのような御指摘を受けたということですので,当評価委員会としては,今後の評価に際して以上のような御指摘を踏まえて取り組んでいくということになろうかと思います。ありがとうございました。   以上で,本日予定されていた議事はおかげさまですべて終えることができました。   事務局から何か御連絡はございますか。 山﨑官房付 議事録につきましては,委員の確認手順など,従前と同様の段取りとさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 よろしくお願いします。   それでは,これで本日の評価委員会は終了させていただきたいと思います。 −了−