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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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最優秀賞 「まだ、友達で…いてくれる?」

浪江町立浪江東中学校三年 佐々木 玲奈

一九九六年夏--昔、私が暮らしていた所の最寄りの駅で、女子高生が、チマ・チョゴリで登校していた同年代の韓国人学校の女子生徒の顔をカッターナイフで切りつけるという痛ましい事件が起こりました--。

ソウルオリンピックから始まり、爆発的ブームを巻き起こした「冬のソナタ」、更には月曜九時台のドラマの主人公は在日韓国人という設定など、今や日本はマスコミも騒然とする程の「韓国ブーム」です。けれども、今、韓国との交友関係をより強く結ぼうとする考えがある一方で、北朝鮮や韓国を頑なに拒む考えも少なくありません。戦争で韓国兵に虐待を受けた戦争経験者の人が拒むというのはわからなくもないけれど、今の若い人が毛嫌いするというのはなぜなのでしょうか。目の前でチマ・チョゴリがちらつくだけで苛々するという若い人がたくさんいるそうです。その結果、女子高生が韓国人学校の女生徒をカッターナイフで切りつけるというような事件が起こってしまうのです。

ここ一年足らずで、朝鮮・韓国人への暴言や暴行が五千五百件以上起こっているのです。「朝鮮人は死ね」「日本に住みつくな」「消えちまえ」「お前らの居場所はどこにもない」このように、人権を無視した暴言が様々なところで言われています。また、民族衣装を着ていたり、ハングル語を喋っていたりしているだけで、殴る蹴るなどの暴行を受けることがよくあるそうです。これ程まで人権を無視した行動が起こっているというのに、このような事件は減るばかりか、年々増加していっているのです。

私には、在日韓国人の友達が一人います。今では手紙などでなんのためらいもなくハングル語を
教えてくれたりしますが、友達になりたての頃は自分が「在日韓国人」ということを隠していました。二、三年してから「大事な話がある」と言われ、自分が在日韓国人であるということを初めて教えてくれました。私は「へえ。…で、だから何?」と軽く問いかけると、驚いたことに、その子は泣きながら「今まで黙っててごめんね。怖くて言い出せなかったの…。まだ、友達で…いてくれる?」と言ったのです。私はわけが分からずに「え?当たり前でしょ?」と返しました。その当時は、なぜ「友達でいてくれる?」などと訊いてきたのだろうと思っていましたが、今なら分かるような気がします。日本という国は他の国の人や他の民族に対して差別意識が非常に高いと言われています。特に、「在日韓国・朝鮮人」に対しての差別意識が最も高いようです。先に述べたような、インターネット上の暴言や、テレビのニュースで流れる「在日韓国・朝鮮人」への暴力を見て、「友達でいてくれる?」
などの言葉が出たのではないかと思います。そのことを考えたら、私は涙が出ました。いったいどれだけの想いを抱えて、どれ程の勇気をふりしぼって打ち明けてくれたのでしょう。

だけど、「まだ、友達で…いてくれる?」の発言はおかしいと思います。その子がおかしいのではなく、「在日韓国・朝鮮人」の人達に「友達でいてくれる?」
と言わせてしまうこの国がおかしいのではないか、と私は思います。どこの国の人でも友達は友達だし、同じ「地球」という星に住んでいる人間なのだから、はやく日本の「差別」という固定観念を捨てて、世界中の人たちが民族や出身を気にせずに暮らすことができれば良いなあと思います。

しかし現在の日本は、歴史的背景や過去ばかりを見つめ、「在日韓国・朝鮮人」を差別から解放することを真剣に考えてはいないと思います。「在日韓国・朝鮮人」は選挙権がありません。日本で生まれ、育ち、日本の文化に触れ、私達と同じように生活しているのに、なぜ選挙権がないのでしょうか。なぜ国籍にとらわれるのでしょうか。日本国籍を取得するのも大変な苦労と大変なお金がかかります。このような現状が今になっても続いているところを見ると、日本はまだ差別問題を心から真剣に考えていないのではないかと思えてならないのです。

「韓国ブーム」「韓流」と韓国が話題となっている今日、過去だけを見つめるのではなく、未来をも見ていってほしいな、と思います。そして、一日でもはやく「在日韓国・朝鮮人」への差別をなくし、チマ・チョゴリを着ていたってハングル語を話していたって誰も違和感を感じることがないような、そんな「当たり前」の世の中になれば良いと思います。もう「在日韓国・朝鮮人」という呼び名がなくなるくらい日本が受けいれてくれて、そしてもう誰も「友達でいてくれる?」と訊かない世の中になることを願っています。

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