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福島県人権啓発活動ネットワーク協議会
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最優秀賞 「差別のない世界へ」

福島市立渡利中学校 1年 ローリンズ リコ

「Pick your head up!」

これは父がいつも私にかけてくれる魔法の言葉です。

「顔をあげなさい。下を向かない」という意味です。

私の父は、生まれも育ちもニューヨークのアメリカ人です。女の子は父親に似るとよく言われますが、私もそうで、日本人の母親よりも父の方に髪質も肌の色も本当によく似ています。子供が親に似ることはあたりまえのことですが、私はそのためにいやな思い、悲しい思いをいくどとなくしてきました。

初めて自分がみんなとちがうんだなと思ったのは幼稚園に入学してまもなくのことでした。同じ組の女の子たちが何人かして楽しそうに遊んでいたので、「まぜて!」と、声をかけると一人の子が言いました。

「このグループは、日本人で髪がまっすぐな人しか入れないの。リコちゃんは髪がチリチリだし、ハーフだからダメ!」と。

私はとても悲しくなりました。そしてそれは卒園するまで続きました。

小学校は人数も少なかったせいか、みんなとても仲良くて、私の外見のことを言う人はだれ一人いませんでした。まるで兄弟のようにみんな自然に接してくれました。でも、習い事やいろいろな大会など、他校の子たちといっしょになる場面では、やはり髪の毛や肌のことをからかわれることはよくあることでした。私には二学年上の兄がいますが兄も、やはり父の方に似ています。おだやかな性格の兄は、私以上につらい思いをしてきたと思います。

父は兄や私の話を聞くたびに「Pick your head up!」と言いました。そして、

「自分に自信とほこりをもちなさい。あなたたちは二つの文化を受けついで、それはとてもすばらしいことなんだよ。」と、いつも話してくれました。

中学に入って間もないころでした。ある男の子がいきなり私に向かって言いました。

「おまえ、風呂に入っているのか?黒いぞ。外国人はくさいからな。」

私はとてもはずかしくなりました。そしていかりや悲しみがこみあげてきました。まわりにいた友達は彼の言葉に苦笑いをしていました。私はいかりのあまり彼をなぐりたくなりました。その時、私は父のあの言葉を思い出しました。私は顔を上げ相手の目を見て、静かに自分の傷ついた気持ちを伝えました。

彼は私に向かってこう言いました。

「ごめん、わるかった。」

彼は人を傷つけるということが彼の想像以上に重く、そしてひどいことだと少し気付いたようでした。

差別やいじめというのは、私たちのまわりでは小さなことから大きなことまで本当によくあります。そして差別やいじめをしている側からすれば、それをじょう談だという人も多いのです。まわりの人たちもやはりじょう談や遊びの中でのことにとらえてしまう人たちもとても多いのです。だから、小学校の時から私たちは道徳などでいじめや人権などについて学んでいてもなかなかそれがなくならないのだと思います。でも実際に、差別やいじめをされている方はみんなの想像よりはるかに傷ついているということ、つらいということ、そして悲しいということを私はこの人権作文を通して、たくさんの人に知ってほしいのです。けがをすれば日がたつごとにそのけがは治っていくでしょう。まわりからも治っていく様子が見てわかるでしょう。でも心に受けた傷は本人にしかわからないのです。その傷がどんなに深くて痛いものか本人にしかわからないのです。

肌の色が違っていてもかみの毛が違っていても私たちはみんな同じ人間です。心を持った人間です。相手の気持ちを思いやり、相手の立場になって考えれば、いじめや差別はなくなると思います。今も世界のいたるところで人種差別が問題となり争いが起きています。私は世界から差別やいじめがなくなるように強い心を持って、まずは自分から立ち向かっていきたいです。

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