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最優秀作品
修学旅行で学んだこと

総社市立総社東中学校三年 前田 尚美

今,私達は様々なところで「戦争」について学ぶことが出来ます。しかし私達は,本当に「戦争」の恐ろしさを理解しているのでしょうか。ただ,“戦争は恐ろしいことだ”と習っただけではないでしょうか。

私は今年の五月に沖縄へ修学旅行に行きました。初めての沖縄,初めての友達との旅行,たくさんの“初めて”に私はすっかり浮かれていました。しかし,私はこの修学旅行でとても大切なことを教わったのです。

修学旅行中に私達は平和祈念資料館に行きました。そこには戦争中の生々しい写真や遺品がたくさん展示されていて,正直あまり見ていたくはありませんでした。それらを見ていると,「戦争」は“本当にあった事”なんだと改めて実感させられ,浮かれていた自分が少し恥ずかしくなりました。そして,その中に銃で撃たれて道端で死んでいる女の人の写真がありました。私はそれを見て,鳥肌がたつのを感じました。“怖い” “気持ち悪い” “見たくない・・・。”様々な感情がその写真を見た時に一気に湧きあがり,私はすぐにその写真の側から離れました。少し経って,さっきの写真の近くを通った時,その写真の前には一人のおばあさんが立っていました。そのおばあさんは真剣な顔でその写真を見つめていました。悲しむでもなく,気持ち悪がるでもなく,ただ真っ直ぐにその写真を見つめていました。その姿がとても印象的で,私もじっとそのおばあさんを見つめていました。

おばあさんはその写真を見て,何を思ったのでしょう。また,その写真はその瞳にどのように映ったのでしょう。

その日の晩にはホテルで,比嘉さんという語り部の方のお話を聞きました。比嘉さんは当時ひめゆり学徒隊に入っていて,沖縄で起きた地上戦の様子を実際に見てこられました。 そこら中に転がっている死体。救えなかった友人の最後の言葉。生き地獄という言葉がぴったりと当てはまるような悲惨な毎日。聞いていてとても苦しかったです。聞いている私達でさえこんなに苦しいのに,悲惨な過去の様子を思い出して語る比嘉さんは一体どんな気持ちだったのでしょう。私には想像もつきません。そんな比嘉さんの口から語られる「戦争」は,私達が授業やテレビなどから知った「戦争」とは全く違うものでした。目を開けば辺りは死体だらけで,聞こえるのは人々の悲鳴と爆音だけ。火薬の臭いに囲まれて,だんだんと冷たくなっていく友人の体温を感じながら,空腹で涙も出ない。そんな地獄を「戦争」という言葉から,私達の誰が想像できたでしょう。死と隣り合わせの毎日を生きて生きて生き抜いて,もういっそ,狂ってしまったほうが楽かもしれません。そんな体験を語る比嘉さんの真剣な瞳は,平和祈念資料館のあのおばあさんの眼差しと似ていました。

今まで私は「戦争」という過去を,本気で理解しようとしていませんでした。しかし,この修学旅行で私は「戦争」についてたくさんの事を学びました。そして,平和祈念資料館で出会ったおばあさんの姿や比嘉さんの言葉から,私達も「戦争」ときちんと向き合わなければならないと深く感じました。「戦争」について知れば知るほど“戦争なんて起きなければ良かったのに”という思いが強くなります。しかし,過去を悔やんでも前には進めません。大切なのは過去を知り,それを受け止め,それと向き合う事です。未来を担う私達が,この「戦争」という悲惨な出来事から教わった様々な事を胸に,これからの世界を築きあげていかなければいけないのです。「戦争」を受け止め,それと向き合う事は難しいかもしれません。しかし,今回の経験で,私は何も知らずに何も思わずに生きることの恐ろしさを知りました。私達の今の平和は,過去のたくさんの犠牲の上に成り立っています。私達はその犠牲を知ったうえで平和について考えていかなければなりません。起こってしまった事はもうどうすることも出来ないなら,せめてその犠牲が無駄にならないように,私達は平和を訴えていかなければいけないのです。誰かに任せるのではなく,一人一人が平和について考え,動かなければいけないのです。「戦争」が人によって起こったものなら,それをなくす事が出来るのも人だけです。

日本は今,戦争を放棄しています。それは,多大な犠牲を払ってやっと手に入れた新しい光。この光は,たくさんの人の手によって守り続けられてきました。今度は私達が守っていく番です。それが私達に託された使命ならば,力の限りに守り,育み,広げていきましょう。この光が世界中を照らすその日まで。

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