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山梨県人権擁護委員連合会長賞
『イマジン 〜国際平和を考える〜』

国立大学法人 山梨大学教育人間科学部附属中学校

三年  赤岡 紗代


私の家の近くに、叔父が経営するアパートがある。丁蓉蓉(ていようよう)さんはそのアパートに二年間住んでいた大学生で、中国の四川省の出身である。それまでは、中国人の留学生が住んでいることは知っていたものの、話す機会もなく、ただ行き会うと挨拶を交わすくらいだった。「真面目でおとなしそうな人だな。」そんな風に思っていた。

春休みのある日、叔父から「バーベキューをするから来るように。」と誘いがあった。母の実家なので、親戚が集まるとよく庭で賑やかなバーベキューをする。しかしその日はいつもとちょっと違っていた。参加者は、アパートの大家である叔父夫婦と、大阪に住む叔母と四歳になるその子ども、アパートに住むイギリス人のALTのアナベラとその両親、丁さん、そして私の家族四人の、合計十二名。イギリスから訪問しているアナベラの両親の歓迎会と、大学を卒業して中国に帰る丁さんの送別会を兼ねたものだった。

アナベラのお母さんも中国人であるため、日本語と中国語と英語が入り混じる、とても面白いひと時だった。英語も中国語も、日本語の上手な丁さんが和訳してくれた。丁度その日は父の誕生日で、「ハッピーバースデイ」の歌を三カ国語で歌った。大人たちは皆お酒を飲んでいたので、だんだん酔いが回り、陽気になっていった。「ビートルズの『イマジン』を知っているかい?」アナベラのお父さんのミスターゴートンが歌い出した。私の兄や丁さんも一緒に歌い出した。

想像してごらん
国なんてない世界を
そんなに難しいことではないだろう
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教もない
想像してごらん
皆がただ平和に生きていることを
(中略)
想像してごらん
何も所有しないって
あなたならできるでしょう
欲張ったり飢えたりすることもない
人はみんな兄弟なんだって
想像してごらん
みんなが世界を分かち合うんだと

歌詞を叔父が和訳してくれた。

「どうして日本と中国はもっと仲良くできないのでしょうか。」突然、丁さんが悲しそうな表情になり、こんなことを言った。「小さい頃、弟とひとつのおもちゃを取り合ってケンカしたことがあります。二人で強く引っ張り合ったので、結局おもちゃは壊れてしまいました。とても悲しかったことを今でもはっきり覚えています。日本と中国が、島を取り合っているのも、それと同じことだと思うんです。」

私は、はっとした。尖閣諸島の問題…。
そういえば、ちょうど一年ほど前には、日本政府が尖閣諸島を買い上げて国有化するといった報道から、中国各地で反日デモが起こり、日本企業が襲撃されたり、日系スーパーやコンビニエンスストアが大規模な破壊と略奪にあったりして、大きなニュースになった。中国全土に、反日感情が広がっていった。

私にとっては対岸の火事、まったく無縁のことだと思っていた。しかし、中国人の丁さんにとっては、他人ごとではなかっただろう。もしかしたら、中国人であるというだけで、心無い言葉を浴びせられたり、いやなことをされたりしたこともあったかもしれない。どんなに心を痛めていただろう。そして、もしかすると、中国に戻った後も、日本に留学していたというだけで、いやな思いをすることがあるのかも知れない。

私自身、その頃ニュースの映像を見て、「中国人っていやだな。」と思っていたのだ。何だか急に、丁さんに申し訳ない気持ちになった。こんなに優しい心をもった素晴らしい中国人が近くにいたのに。

尖閣諸島だけではない。ロシアとは北方領土問題、韓国とは竹島問題、終戦からもう七十年も経とうとしているのに、日本は今でも近隣諸国とたくさんの領土問題を抱えている。「イマジン」の歌詞のように、国境を越え皆が平和に暮らせる日はくるのだろうか。皆が世界を分かち合える日がくるのだろうか。

次の日、丁さんはアパートを引き払い、中国へと帰っていった。安いから、六日間かけて船で帰るのだと言っていた。帰ってから何をするかは、まだ決めていないそうだ。 あれから五ヶ月。時々丁さんの言葉を思い出すことがある。そしてその度に、世界の平和について自分なりに考えてみる。今よりもっと平和な世界を想像してみる。身近な人と仲良くすること、分かり合う努力をすること、自分に何ができるかを考えて行動すること。それが世界平和への第一歩だと信じて。


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