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アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)
Arakan Rohingya Salvation Army

別称:
アカ・ムル・ムジャヒディン(AMM) Aqa Mul Mujahidin
ハラカト・アル・ヤキーン Harakat al Yakeen, The Faith Movement

主な活動地域

ミャンマー(ラカイン州)

組織の概要

「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)は,2012年にミャンマー西部・ラカイン州で発生した仏教徒と少数派のベンガル系イスラム教徒(自称・通称はロヒンギャ〈ロヒンジャ〉)との衝突事件を機に設立された反政府武装組織である。ロヒンギャに対するミャンマー市民権(国籍)の「回復」を要求し,国連を含む国際社会の介入を訴えるなどしており,国際テロ組織との関係性は強く否定している。ただし,ミャンマー政府は,同組織が宗教的過激主義を利用してリクルート活動を行っていると指摘している。また,「ラシュカレ・タイバ」(LeT)要員が訓練に関与したとの見方もある。

指導者は,最高司令官アタ・ウッラー(パキスタン南部・カラチ生まれ,サウジアラビア育ち)とされる。なお,同組織については,サウジアラビア西部・マッカを拠点とするロヒンギャの「委員会」が監督しているとの指摘もある。

勢力は,訓練経験を有する戦闘要員が500人程度(2017年9月時点)とされるが,攻撃に動員された者は5,000人程度に上っていたとの指摘もある。2017年11月,ミャンマー政府は,バングラデシュ政府に対し,ARSAメンバーであるとする1,300人以上を送還するよう求めた。

2016年10月,ラカイン州マウンドー県の国境警備警察本部等3か所を襲撃して警察官9人を殺害し,多数の武器弾薬を奪う事件を引き起こしたことで,同組織の存在が明らかとなった。ミャンマー政府は,首謀者が,活動資金をバングラデシュ滞在中に中東の過激組織等から受領したほか,「パキスタン・タリバン運動」(TTP)から訓練を受けたことがあると指摘した。

2017年8月には,マウンドー県の警察施設30か所及び軍基地を襲撃し,警察官ら計12人を殺害した。同事件後,治安部隊はARSAに対する掃討作戦を進めたが,その過程で多数の難民が発生した。国連難民高等弁務官事務所によると,同事件発生以降,バングラデシュに逃れた難民は2019年7月時点で74.2万人以上に上るとされる。ミャンマー政府が設置した独立調査委員会は,2020年1月の最終報告書において,ARSAや治安部隊員等による戦争犯罪が発生したと指摘した。

2018年以降,ARSAによる大規模な襲撃事案は発生していないが,2019年7月には,マウンドー県で,ラカイン族仏教徒主体とされる少数民族武装組織「アラカン軍」(拠点:ミャンマー北部・カチン州)と共同で国境警備警察を襲撃し,2人を負傷させたとされる。

このほか,ARSAは否定しているが,同組織は,政府に協力する地元住民や少数派ヒンズー教徒の処刑や虐殺,自派に反対するロヒンギャ難民への暴行,キリスト教徒であるロヒンギャ難民への襲撃等にも関与した疑いが持たれている。また,2019年5月には,マレーシア滞留中のARSA支持者とされるロヒンギャ難民が,ISILを支持するグループに加入し,ミャンマー大使館等へのテロを計画した疑いで逮捕されたほか,同年6~7月にも,マレーシア滞留中のARSA支持者とされるロヒンギャ難民が,他のロヒンギャ難民を恐喝してARSAのために資金調達活動を行っていた疑いで逮捕された。

なお,2016年10月の事件当時,同組織は,「ハラカト・アル・ヤキーン」及びその英訳「The Faith Movement」を名のり,ミャンマー政府は「アカ・ムル・ムジャヒディン」(AMM)と呼称していた。2017年3月以降,同組織は,前二者の名称に加えて新たにARSAとも自称している。

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