フロントページ > 国際テロリズム要覧2021 > 注目される国際テロ組織、世界のテロ・ゲリラ組織等の概要及び動向 > ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)

ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)
Jamaah Ansharut Daulah

国連制裁対象(2020年3月4日)

主な活動地域

インドネシア

組織の概要

「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)は,2014年,「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)を支持するインドネシアの過激説教師アマン・アブドゥルラフマン(収監中)が,ISIL支配地域へのヒジュラ(移住)や「ジハード」の奨励を通じたISIL支援を掲げ,配下2人(初代指導者マルワン及び2代目指導者ザイナル・アンショリ。前者は2015年9月までにシリアへ渡航し,後者は2017年4月に逮捕)を通じて設立したイスラム過激組織である。2017年7月時点で,少なくとも16州に約4,000人のメンバーを擁していたとされるが,2021年1月の時点では13州1,000人弱とする指摘もある。2018年3月にフィリピン南部・ミンダナオ島で指導者(当時)ムショラが逮捕された後の指導体制は明らかでない。

設立当初は,秘書,財務,メディア等を担当するポストが設置されたほか,指導者の配下にある20人超をリーダーとして全国に配置する階層構造を有する組織であったとされるが,厳しい取締りを受ける中,各地の末端組織や残存メンバーが自律的な活動を続けている。

JADは,2015年11月に,インドネシア西部・東ジャワ州マランで,ISILが設立した「カリフ国」に係る「共通認識の形成」を目的とした会合を実施した後,インドネシア国内でテロを累次実行してきた。メンバーは,「生まれながらの不信仰者」(異教徒)よりも「背教者」(過激思想に同調しないムスリム〈治安当局者等〉)の殺害を優先するとされるアマンの言説に影響を受けているとされ,警察施設や警察官に対するテロを多発させてきたほか,民間人を標的とする攻撃も行っている。

インドネシアの裁判所は,2018年6月,アマンにテロ扇動等の罪で死刑を言い渡したほか,同年7月にはJADを禁止組織に指定するなど,JADへの圧力を強めているものの,依然としてJADメンバーによるテロ関連事案は継続している。また,2019年には,これまでにJADの活動が確認されていなかったメダン(北スマトラ州),パプア州等でJADの活動が見られた。

他組織との関係については,2015年頃,シリアに渡航したインドネシア人戦闘員らを通じ,ISILからJADに資金が供与されていたとされるほか,2016年頃,フィリピン南部に渡航したJADの戦闘員が現地のISIL支持組織から訓練を受けていたとされる。

なお,インドネシアには,「カティーバ・アル・イマーン」(2015年8月設立,別称「ジャマー・アンシャール・ヒラーファ」〈JAK〉,元JI中央司令部メンバーのアブ・フスナが指導),「アル・ハワーリーユーン」(2016年頃設立)等,JADに属していないISIL関連組織も存在する。両組織とも,これまで国内でのテロ実行は確認されていないが,後者については,2016年末から2017年にかけて,JADの支援も受けつつ,フィリピン南部のISIL関連組織にメンバーを送り込んでいたとされる。

米国国務長官は,2017年1月,ISILに忠誠を表明し,2016年1月にジャカルタでテロを実行したなどとして,JADを特別指定国際テロリスト(SDGT)に指定した。

このページの先頭へ