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アハラール・アル・シャーム・イスラム運動
Harakat Ahrar al Sham al Islamiya, Ahrar al Sham, Movement of the Free People of Islamic Syria, Battalions of the Free People of Syria, Kataib Ahrar al-Sham

主な活動地域

シリア(北部,中部等)

組織の概要

「アハラール・アル・シャーム・イスラム運動」は,2012年1月に結成を宣言したスンニ派武装組織であり,政府の打倒,イスラム国家の樹立等を活動目標にしているとされる。設立者及び当初の指導者はハサン・アブード(別名アブ・アブドラ・アル・ハマウィ,2014年9月死亡)であるが,現在の指導者は,アムル・アル・シャイフ(2021年1月就任)とされる。

同「運動」は,主にシリア北部から中部を拠点とし,他の反体制派勢力と連携しつつ活動している。総勢力は2万人規模(2017年6月時点)とされ,戦闘員の大多数はシリア人とされるが,ロシア・北コーカサス地方,リビア,チュニジア等の出身者も参加しているとされる。中東,湾岸諸国等の個人,NGO等からの寄附を通じて活動資金を得ているとされる。

結成当初は,アサド政権軍の車列等に対する小規模な襲撃を実行していたが,次第に他勢力と連携して軍や政府の施設を攻撃,占拠するようになったとされる。アブ・ハレド・アル・スーリらアフガニスタン等からシリアに派遣された「アルカイダ」メンバーが結成に関与し,スーリは,その後も同「運動」幹部の地位にあったとされる。

同「運動」は,2013年11月に他の反体制派勢力と共に連合体「イスラム戦線」(IF)を結成した。さらに,2015年には,「ヌスラ戦線」等と共に,3月に「ジャイシュ・アル・ファテフ」,4月頃に「勝利の戦場」,7月に「アンサール・アル・シャリーア」なる連合体をそれぞれ結成し,北西部・イドリブ県,北部・アレッポ県,中部・ハマ県等で,アサド政権軍等への攻撃を実行した。

他方,スーリの死亡(2014年2月)以降,「アルカイダ」の影響力が徐々に低下し,2016年1月に「ヌスラ戦線」を中心に「ジャイシュ・アル・ファテフ」加盟勢力の「完全な統合」に向けた協議が行われた際,同「運動」は,「ヌスラ戦線」と「アルカイダ」との関係性を理由に統合に反対したとされる。また,同年7月の「ヌスラ戦線」による「アルカイダ」からの離脱宣言及び「ファテフ・アル・シャーム戦線」(JFS)の設立表明の際には,「ヌスラ戦線」に「アルカイダ」からの離脱の証明を求めたとされる。また,同年10月,「ジャイシュ・アル・ファテフ」から前年10月に離脱した「ジュンド・アル・アクサ」に対し,ISILと関係を有していると非難し,双方の対立が再燃した。

同「運動」は,2016年8月,トルコによるシリアへの軍事作戦開始を歓迎したが,同軍事作戦に反対するJFSとの関係が悪化した。2017年1月に対JFS共同作戦室を立ち上げ,同年7月には,JFSが結成した「タハリール・アル・シャーム機構」(HTS)と本格的に衝突したが,敗北したために指導部を一新した。

同「運動」は,2018年2月,トルコの支援を受けて,HTSから離脱した「ヌール・アル・ディン・アル・ゼンキ運動」と共に「シリア解放戦線」(JTS)を結成し,同年7月には,トルコが支援する反体制派勢力の連合体「国民解放戦線」(NLF,同年5月結成)に合流した。2019年1月,HTSがNLFに対する攻勢を強め,イドリブ県の大部分を支配下に置いて以降,NLFはアサド政権軍に対する攻撃でHTSと共闘するようになったとされる。NLFは,同年10月,反体制派勢力「シリア国民軍」に合流したが,その後も,HTSとの共闘を継続しているとされる。

2020年10月,「アフラール・アル・シャーム・イスラム運動」では,「自由シリア軍」(FSA)支持勢力とHTS支持勢力との間で内紛が発生したが,2021年1月に指導者選挙が実施され,アムル・アル・シャイフが新指導者に選出された。

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