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ヒズブル・ムジャヒディン(HM)
Hizbul Mujahideen

米国FTO(2017年8月16日)

主な活動地域

パキスタン,カシミール地方

組織の概要

「ヒズブル・ムジャヒディン」(HM)は,1989年にカシミール地方のパキスタンへの編入を目的として設立されたイスラム過激組織である。最高指導者はサイェド・サラウディンであり,指導部はパキスタン管理下のアザド・ジャム・カシミールに所在し,インド管理下のジャム・カシミール州でテロを実行している。HMは,パキスタンのイスラム主義政党「イスラム協会」(JI)と関係があるとされ,同政党の軍事部門として設立されたとの指摘もある。

HMは,2000年7月,幹部のアブドゥル・マジド・ダルがインドに停戦案を提案したことを契機に,内部で和平交渉賛成派と反対派による路線対立が表面化した。当初,サラウディンは和平交渉に賛成していたが,「統一ジハード評議会」(UJC)(注)に加盟する他組織からの圧力を受け,反対に転じたとされる。その後,2003年3月のダル暗殺及び同年7月の両派再統合協議決裂を受け,交渉に賛成するダル支持派勢力の一部約350人は,HMの元幹部マスード・サルフラズが2000年に設立したイスラム過激組織「ヒズベ・イスラミ」(ジャム・カシミール州に本拠)へ加入したとされる。

HMは,インド管理下のジャム・カシミール州への侵入と拠点構築の活動を継続し,インド治安当局と衝突を繰り返している。2016年7月,カリスマ的な軍事部門司令官のバルハン・ワニが治安部隊の作戦で死亡して以降,同州では,殺害に抗議する群衆と治安部隊の衝突が繰り返し発生した。2017年5月には,現金輸送車襲撃事件(7人死亡)について,犯行声明を発出し,2018年8月には,ジャム・カシミール州南部の複数箇所で,警察官3人及び親族ら計11人を誘拐した(後日解放)。

2017年7月,「アルカイダ」系のインターネット掲示板「グローバル・イスラミック・メディア・フロント」(GIMF)上で,「カシミールにおけるジハードが“目覚めの段階”に突入した」などとし,「アルカイダ」系組織「アンサール・ガズワトゥル・ヒンドゥ」(AGH)の設立が宣言されるとともに,HMを離脱した元司令官ザキール・ムーサが司令官として紹介された。2019年5月,治安部隊の掃討作戦により,ザキール・ムーサが死亡し,同年6月,「インド亜大陸のアルカイダ」(AQIS)が同司令官を追悼する音声メッセージを公開した。

2020年4月には,ジャム・カシミール州クルガムで,市民2人の射殺事件を起こしたが,同年5月,治安部隊がHM幹部のリヤズ・ナイコーを殺害し,その後も掃討作戦による司令官の死亡が相次いだ。

インド政府は,HMをテロ組織に指定している。

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