日本司法支援センター評価委員会 第7回会議 議事録 第1 日 時  平成19年3月15日(木)  自 午後 1時00分                        至 午後 2時13分 第2 場 所  法務省地下1階小会議室 第3 議 題  (1)総合法律支援法第30条第2項に基づく委託業務の実施に関する業務方法書の変更について    (2)今後の予定について 議        事 山本委員長 それでは,ちょうど定刻でございますので,ただいまから第7回日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと思います。委員の皆様におかれましては,本日も御多忙中のところ御参集いただきまして,まことにありがとうございます。前回の開催から余り日を置かずの開催となりましたが,本日もどうかよろしくお願いいたします。   なお,本日は岡田委員,小林委員,宮野委員が御都合によりまして御欠席というふうに承っております。ということで,委員10名のうち7名の出席ということで,規定の定足数である過半数の出席要件ぎりぎりということですので,ぜひ委員の皆様におかれましては最後までおとどまりおきいただくようお願いを申し上げます。   それでは,本日の会議の趣旨について申し上げます。   御存じのとおり,支援センターの業務については,総合法律支援法第30条第1項に,情報提供業務等の本来業務に関する定めが置かれておるわけでありますけれども,そのほか,同条第2項におきまして,支援センターが本来業務に支障のない範囲内で営利を目的としない団体等からの委託に係る業務―委託業務といわれるものを行うことができるという定めが置かれております。   そして,現在支援センターにおいて,日本弁護士連合会などからの委託に係る業務を行うことを予定しているということであります。法令上,この委託業務の内容等につきましては,業務方法書に記載しなければならないとされておりまして,委託業務の実施に当たっては業務方法書の変更を要することになりますので,業務方法書の変更の法務大臣による認可に当たりまして,当委員会として意見を述べる必要がございます。   そこで,今回はこの点につきまして審議を行い,法務大臣の変更認可に当たっての当委員会としての意見を決めるということにしたいということで本日お集まりをいただいたということでございます。   なお,本日も日本司法支援センターから金平理事長を初めとする皆様に御出席いただいております。センターの方から委託業務の内容を始め,受託に必要な業務方法書の変更等について御説明をいただきたいと存じます。   委員の皆様,そういうことでよろしいでしょうか。   それでは,支援センターの皆様,本日もどうかよろしくお願いいたします。   それでは,まず配布資料につきまして事務局の方から御説明をお願いいたします。 井上課長 司法法制課長の井上でございます。   お手元の資料を御確認いただきたいと思います。耳をつけてございますが,資料番号1から11の,枝番を含めまして2までであります。なお,資料の9,業務方法書以降の関係で事前にお届けした資料と若干字句の修正をしているところがございまして,御参考のために修正部分を赤字でお示ししたものを挟み込んでございますので。訂正後のものが本日の席上配布,最終的な資料ということになってございます。内容的に特に変わるものではなく,正確を帰するために字句を修正した,読みやすくしたというものばかりでございます。   後で,内容は説明の段階で随時参照していただきながら説明したいと思いますので,以上でございます。 山本委員長 それでは,本日の議事に入りたいと思います。   先ほど申し上げた委託業務の実施に関する業務方法書の変更についてということであります。   まず,配布資料に基づきまして,センター及び事務局の方から適宜御説明をいただきたいと思います。その後に,委員の皆様からは御質問があれば伺いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   それではまず,御説明をお願いいたします。 井上課長 最初に法務省側から資料の1から4までを使いまして,業務の委託につきましての概要につきまして御説明申し上げます。   まず,資料1をごらんください。   その下の方に受託の要件ということで法30条2項が引用してございます。業務の受託の要件といたしましては,①本来業務に支障がないこと,②業務方法書で定めること。それが大臣認可の対象になると。ここが要件の骨組みでございます。   今回議題に上ります具体的な業務の受託の内容といたしましては,上のポンチ絵で書いてあるとおりでございますが,これは財団法人法律扶助協会の解散に伴いまして,扶助協会で行っていた法律援助事業,これの受託を受けると。委託元として中国残留孤児援護基金と日弁連がなりまして,受託を受けるということでございます。すなわち,本来業務たる民事法律扶助業務につきましては,既に昨年10月の段階で承継しております。これは本来業務,法30条1項の業務でございますが,さらにいわゆる自主事業として行われていたものにつきまして今回業務方法書を改正することによりまして,法30条2項の業務として受託しようということでございます。   それでは,自主事業としてどのようなことが行われていたのかにつきまして,資料2をごらんください。   主な自主事業として番号の1から6まで書いてございますが,上から順次概略申し上げますと,まず,刑事被疑者弁護援助事業というものがございまして,これは資力の乏しい刑事事件の被疑者に対して起訴前の弁護活動を援助する。   身柄を拘束された被疑者がもちろん中心になるわけでございますが,そのような事業でございまして,これは平成2年度から実施されておりました。   ただ,そのうちの一部は既に昨年10月から被疑者国選弁護制度が法制化されてございますので,本来業務として既に行われておる部分でございますが,残りの部分,特に重大な事件だけが今被疑者国選弁護の対象となっておりますが,それ以外の罪につきましては被疑者援助事業として行われているということであります。   ただ,そのうちの大半,大半といいましょうか半分以上にはなるから大半でいいと思いますが,これは平成21年に被疑者国選弁護事件の対象が拡大することが既に法律で決まっておりますので,そこの時点になりますと,この自主事業の相当部分は本来業務として,1項の方の業務に当たってくると,そのようなことになるわけでございます。   2番目の少年保護事件付添扶助事業でございます。   これも観護措置をとられた少年等につきまして,その審判に際して弁護士による付添人活動を援助するものでございまして,これは古く昭和48年度から実施されております。   この少年付添につきましては,現在,継続中の少年法改正案の中で,かなり重い一部の罪に限定されておりますが,国選付添制度が法案として上がっておりますので,その法律が通りますと,その一部分は1項業務の方に移っていくことになるということになりますが,ただ,相当部分は援助事業としての部分は残るであろうというものでございます。   3番目の犯罪被害者法律援助事業。   これは,生命,身体等に対する犯罪の被害者やその家族,遺族に対する弁護士の総合的な援助をするものでございまして,平成12年度に東京,大阪の支部で自主事業として開始され,その後拡大していったものでございまして,これは日本財団の助成金を受けて全国的に実施してございます。   このような,被害者に対する弁護士による法律サービスの提供の公費負担のあり方につきましては,今内閣府の方に設けられています検討会においても検討されておりますが,その結論がどうなるかにつきましては,まだしばらく議論が続くだろうという状況でございます。   4番目,中国・サハリン等残留日本人国籍取得支援事業でございます。   これは,いわゆる日本人中国残留孤児につきましての日本永住促進等のための事業でございまして,身元が判明している者と判明していない者に分けまして,それぞれ行われてきていたものでございます。   それから,5番目,難民法律援助事業。さらにその下6番目,その他の自主事業ということによりまして,いろいろ行われてきたものでございますが,要するにこれらはすべてトータルとして申し上げますと,本来業務として受けました民事法律扶助事業の要件に当てはまらないけれども,主として資力が乏しい理由によりまして弁護士による法的な援助を受けられない者を救うために運用されてきておるものということであります。   その事業の実績につきましては1枚めくっていただきまして,今の紙の裏側のページでございますが,平成17年度実績を掲げてございます。   一番下に総計として1万3,000件余りで11億5,000万円程度の数字がございますが,実際のところ比率として大きいのは1番と2番,刑事被疑者弁護援助事業と少年保護事件付添扶助事業でございます。これらで9割を占めておるという実情にございます。   それから,資料3は,中国残留孤児援護基金というものの財団法人の概要を記載したものでございます。   後でセンター側から詳しい御説明があるかもしれませんが,身元判明者につきましての就籍の援助を行うに当たり,これ日本財団からの助成金で今まで法律扶助協会で実施しておったところでございます。しかしながら,日本財団の方はその規約によりまして法テラスに直接助成金を出すことができないという事情もございまして,関連する財団法人に対して助成を行っていただいた上で,法テラスに対する委託をしていただくというスキームを考えておるということでございます。   資料4でございます。   これは法令の抜粋でございまして,委託業務に関する業務方法書の記載事項につきまして法律30条2項の規定,業務方法書で定めるところによりやるということ。業務方法書の記載事項としては,法律上,委託を受けて行う業務の内容について,また,そこから委任を受けた省令によりまして,下にイロハニホと書いてございますように委託者の属性,業務の名称,目的,実施予定機関,地域,経費,その他もろもろの事項を掲げて規定すべきことが法令で規定されているということでございます。   私の方からは以上で,引き続きましてセンターの方からよろしくお願いいたします。 寺井理事 支援センター常務理事の寺井でございます。   私の方から業務方法書改正の説明を行わせていただきます。   まず,委託の経緯についてでございますが,今回の業務方法書の改正は,総合法律支援法30条2項の規定に基づき,日本弁護士連合会及び財団法人中国残留孤児援護基金から,これまで財団法人法律扶助協会が実施してきた自主事業の委託を受けるためのものであります。   財団法人法律扶助協会は本年度末,今月末に解散することになっております。総合法律支援法の立案段階から,扶助協会解散後の自主事業の実施のあり方について,法律扶助協会,日弁連等関係機関において協議が重ねられ,昨年4月からは我々支援センターも協議に加わることになりました。その協議の中で,昨年夏ごろ,日弁連等が委託主体となり,基本的にすべての自主事業を支援センターに対し委託したいという要望が示されました。   自主事業の内容につきましては,今,井上課長からの資料2の説明にありましたが,支援法30条第1項の本来業務として実施する事業と手法は異なるものの,法的トラブルを抱える人々に対し法律事務を提供することにより,解決を支援していくものでございます。   支援センターとしては,これらの事業を実施することにより,本来業務にはない幅広い多様な援助を市民に対して提供することが可能となり,より充実した総合法律支援を実施していくことが可能となります。また,支援センターが被疑者弁護援助事業を継承することは,平成21年からの被疑者国選弁護対象事件の拡大に向けて,契約弁護士の確保など支援センターの態勢整備にもつながってまいります。支援センターとしては,このように委託を受けるメリットがあると考えておりますし,これらの事業に要する経費はすべて委託者が負担する上,そのための業務システムも導入されることなどから,法30条第1項の本来業務の支障のない範囲で実施することも十分可能であると考えております。   そこで,本日御説明しますように,基本的にすべての自主事業を支援センターが,日弁連及び援護基金から委託を受けて実施していきたいと考えております。   なお,実施の開始時期につきましては,援護基金からの委託事業は4月1日からの実施を予定していますが,日弁連からの委託事業の多くにつきましては,業務システムの改修スケジュールとの関係で10月からの実施を予定しています。   続いて,業務方法書改正案の説明を簡潔に申し上げます。   改正案の概要は資料8に記載されておりますが,資料10の「業務方法書」新旧対照表に基づき説明させていただきますので,ごらんいただきたいと思います。   新旧対照表の1ページ,業務方法書83条及び83条の2にありますように,日弁連及び援護基金からの委託業務の内容はそれぞれ83条及び83条の2の別紙に記載されております。   まず,日弁連委託援助業務に関する83条関係の別紙をごらんいただきたく思います。   第1条の1号のアからオまでに委託援助業務の定義が記載されております。資料5-1にはその概要を整理しております。いずれも資力が乏しいために弁護士を依頼することができないということが前提になりますが,アが,国選弁護人や国選付添人が付されていない事件における被疑者・少年を援助するものです。イ及びウは,民事法律扶助による援助ができない場合の援助類型でありますが,イが,犯罪被害者に対する援助,ウが,難民認定申請者,心神喪失者など,子ども,外国人などに対する援助です。エは,これらの者に対し法律相談による援助を提供するものです。各類型に関する具体的な援助要件は,この別紙の第13条に規定しております委託要綱で定める予定でございます。   第2条には委託者の名称など,第3条には委託援助業務の目的が規定されております。   第4条から第6条までには,援助の申込みから終結までの手続が規定されています。資料6-1にこの手続をフローチャートで示しておりますので,ごらんいただきたいと思います。   支援センターは,援助希望者から地方事務所等への照会があれば,弁護士会の相談窓口を紹介し,基本的に委託援助契約弁護士の法律相談を受けてもらいます。弁護士が引き続き代理人として援助する必要がある案件について,契約弁護士を通じて申込みを受け付け,地方事務所において,援助要件の審査を行います。資料6-1にありますように,その後,援助開始決定を経て,受任弁護士による援助の実施,終結の報告,終結決定へと進んでまいります。なお,法律相談は無料ですが,弁護士が代理人・弁護人となって援助する場合,案件の内容によっては終結決定の際,援助を受けた本人に一定額の負担を求めることもあります。   次に,第7条は,契約弁護士の確保手段について規定しており,日弁連が確保することとされています。   第8条は,実施予定期間に関する規定であり,中期計画にあわせて平成21年度までとしています。平成22年度以降も実施する場合には,改めて業務方法書を改正することになります。   第9条は,実施地域であり,全国の地方事務所で全国規模で実施することとしています。   第10条では,毎年度,事業計画を定め,その予算の範囲で事業を実施することを定めており,第11条では,委託経費の全額を日弁連が負担することとしています。   この関係で資料7をごらんください。   平成19年度は,半年分の事業計画になりますが,実施予定件数は(1)に記載したとおりです。(3)のイにありますように,事業費は約6億円程度を見込んでおります。一般管理費については,システムによる事務の合理化を踏まえつつ,今後,アに記載していますような経費について積算し日弁連に負担していただく予定です。   新旧対照表の別紙に戻りまして,第12条が,事業継続が困難となった場合の措置に関する規定であります。最後に,第13条で,委託業務の詳細については,別途委託要綱で規定することとしています。現在検討中の委託要綱の案は,資料11-1のとおりであります。内容的にはほぼ固まりつつありますが,今後若干の修正の可能性もあります。   日弁連委託援助業務に関する説明は以上のとおりであります。   続きまして,基金援助業務に関する83条の2関係の別紙をごらんいただきたいと思います。   第1条の1号に,委託援助業務の定義が記載されております。中国残留邦人等のうち身元が判明している者が,戸籍訂正などの手続を行うことについて弁護士が援助するというものです。資料5-2にその概要を整理しております。   第2条以下は,先ほど説明した日弁連委託援助業務に関する別紙と,基本的に同様の事項が規定されております。   第4条に援助の手続が規定されており,資料6-2でこの手続をフローチャートで示しておりますので,よろしくごらんください。   このフローチャートにありますように,本件については援助予定件数がきわめて少ないことから,センター本部で一括して取り扱うこととしています。それ以外の手続の流れは,日弁連委託援助業務とほぼ同様です。   資料7に記載しておりますように,本年度の実施予定件数は10件であり,委託経費は(3)に記載しているとおりです。   日弁連委託業務と同様,委託業務の詳細については,別途,委託要綱で規定することとしております。現在検討中の委託要綱の案は,資料11-2のとおりであり,業務方法書改正の認可後,直ちに確定する予定です。   簡単ではございますが,以上が私からの説明でございます。   どうぞ,よろしく御審議のほどお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいまの御説明につきまして,委員の皆様から,まず御質問をいただきたいと思います。   どなたからでも結構です。どうぞよろしくお願いいたします。   それでは私の方から。   これは法律の解釈にかかわることなのかもしれないんですが,被害者の援助との関係で,先般,国会に提出された,いわゆる附帯私訴という制度があろうかと思うんですが,あのような制度がもし国会で成立して施行された場合には,その被害者の代理人となった弁護士の報酬等についての援助というのは,これはこの委託事業の話になるのか,それとも本来業務でカバーされることになるのか,どうでしょう。 井上課長 現行法上は本来業務の民事法律扶助の適用の対象になります。 山本委員長 そうすると,あれは民事事件に含まれるという解釈ですか。 井上課長 損害賠償の請求について。ただ,これからは法案が審議されて,最終的にどういう形になるかわかりませんが,現在のところは通常の損害賠償の請求の実質を有するものと解釈しております。 山本委員長 そうですか。わかりました。   ほかにいかがでしょうか。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 この日弁連の受託する分については10月から受託するということにシステムの設定の関係上そうなってるということですが,それまでの間はどうするんですか。日弁連自体がやるんですか。 寺井理事 そうです。システム関係について釜井課長,説明お願いできますか。 釜井課長 会計課長の釜井でございます。   システムの関係につきましては,昨年の11月ころから,現在,法テラスのシステムを開発しております富士通との間でいろいろ協議をしてまいったんですが,現在の法テラス自体のシステムの改修の関係作業もありながら,並行してこの2項業務の関係の次につくらなければいけないというようなこともございます。他方で,その2項業務の事務の流れを,フローをどのような形で構築していくかということもいろいろと協議に時間を要しました。その関係で,できれば4月スタートを目指したかったんですが,その弁護士さんへの報酬送金の関係が10月ころにならないと間に合わないというようなこともございまして,やむを得ずシステム関係にあわせて10月からの業務開始ということを現在想定しております。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。 井上課長 ちょっと今気づいたことですが,被疑者援助事業の実施計画の数字の見通しの件でございますけれども,半年で7,500件と,通年で1万5,000件程度と。これは被疑者国選対象事件が拡大したときに想定される受任事件数との関係でいくと,相当小さい数字にとどまってるということでしょうか。 寺井理事 そうです。 井上課長 あと,その動向の見通しにつきましては,どのような要因によって左右される可能性があるとお考えでしょうか。 寺井理事 動向といいますと。 井上課長 要するに,援助を求める人の数が多くなった場合にどの程度受けられるかということですかね,その点についてはどのようにお考えでしょうか。 寺井理事 御承知のように,日弁連は当番弁護士制度を実施してまして,初回接見は無料ということで,その後,2回目以降の接見を希望して弁護を依頼したいという方に限りまして,扶助協会にある援助事業というのを行ってまいりました。その合計額が現在7,500件という数字になってるわけでございまして,今,課長御指摘のように,平成21年からは約10万件ということが予想されてまして,この差がかなり大きいのではないかということは事実でございます。   今後,法制度として被疑者国選弁護の範囲が広がっていきますと,この数が飛躍的に増大することになります。我々としては,この7,500件がこの2年間においてさらに拡大し,平成21年度の被疑者範囲の対象が広がった段階でスムーズに移行していくことができると,そうしたテストケースになれば,この2項業務をこの段階から受託してやっていくことの意味は極めて大きいのではないかと考えております。これまでのボランティア的な当番弁護士制度,それをさらに促す援助事業というものと,この21年からの法制度化されるものとの間に基本的に質的な差が生まれてくるものと思いますので,この点の空白を起こさないように,センターとしては2項業務の実施状況も勘案しながら準備態勢を整えていきたいと思っています。   なお,この際,時間もありますので申し上げさせていただければ,私どもは今,全国においてブロック別協議会を開催しております。2009年の対応についての主たる責任は日弁連にあると思いますけれども,センターが裁判所からの要請に基づいて指名通知に応えていかなければならない性質上,これらに対して万全の体制をとるということが必要ということから,各地の状況をつぶさに調査研究をしていこうというのがブロック別協議会の趣旨でございます。既にこれまで関東を皮切りにして東北,中部,近畿,四国,九州が終わりまして,明日,最後に札幌での北海道のブロック別協議会,そして広島における中国のブロック別協議会ということで完了することになってます。   それを受けまして,私どもセンターとしましては,できるだけ早く2009年対応の予想される,一定のイメージづくりをしてみたいと思ってます。つまり,どれくらいの事件が各地で予想されるのか,それに対して従来の一般弁護士,最近はジュディケアと呼んでるようですけれども,そのジュディケアとして私どもセンターと契約してくれる弁護士がどれくらいいるのか,それでカバーできるのか,カバーできないところは過疎地を中心にスタッフ弁護士を何人ほど準備しなければならないのか。そのような試算をしたいと思ってます。   その中で最も参考にしていかなければならないのが本日御審議いただいている2項業務の中で被疑者援助事業であると,このように考えている次第です。   課長御指摘の懸念,御心配よくわかりますので,十分心得てその空白を生じさせないよう最大限の努力をしていきたい,このようにセンターとしては考えてます。 山本委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 その,質問のための質問みたいな感じなんですけれども,形を変えた御質問なんですが,この被疑者支援,あるいは少年事件とか刑事事件についての相談をする人にとって,今までの日弁連の自主事業と法テラスがやった場合で,どう違うんですか。それを聞かれたらどういうふうに説明を。何かお金の支払い方は違うというのは説明を聞いてよくわかるんですけれども,それは被疑者にとってみて余り関係が薄いことだと思うんですね。その司法サービスを受ける立場とするとどう変わってくる,あるいはどういうふうに充実してくるというのか,それをちょっと。私どもが仮に聞かれたときに,どう答えればいいのか。 寺井理事 それは担当課長の釜井さんの方から。 釜井課長 それでは私の方からお答えいたします。   被疑者,あるいは少年の場合に,この援助のプロセスに乗ってくるのは,当番弁護士の接見を通じて,その中でその後の弁護の必要性,相当性があるような案件がこちらの事務所に持ち込まれてくるという形になります。それで,この流れ自体は今と変わりありません。ですから,被疑者,少年に対する援助という意味では,法テラスになったからそのサービスが質的に変わる,あるいは量的に変わるということではございません。日弁連の側で半年間はこれから何とか地方の単位会の協力を得てやっていこうとしてるわけですが,何分,全国に50カ所といいますか各地方裁判所単位でこの被疑者弁護援助事業,あるいは少年を実施していくマネジメント能力が日弁連には難しいということで,こちらの法テラス側にこの受託があったということです。この被疑者の部分と少年の部分については,法テラスに委託するに当たって援助件数の見込みがこれまでよりも,かなり上積みされているという違いはございますが,基本的にはこれまでと同様のサービスということになろうかと思います。 山本委員長 法律扶助協会,今まで受けてたのがなくなっちゃうわけなので,日弁連ではやはりなかなかできないので,こちらに委託しないとできなくなってしまう可能性が高いというようなことなんでしょうかね。内容が改善されるというよりは,事業を維持していくためにはこの委託が必要であるというような感じなんでしょうか。 嶋津委員 今までも窓口が法律扶助協会であっても,実際にそういうケアをしてくれるのはその地域の弁護士会,弁護士さんがやってくれてたわけですね。まだ,振り分けを経て,だれかが弁護士会の人が引き受けてやってくれてたわけです。それはしかし,その人的な関係においては変わらない。しかし,経費の支払いの仕方が変わる。もっと言うならば,法テラスが介在することによってサービスの内容が均一化するとか,サービスが少なくとも地域によって対応が異なるとか,そういうことがなくて,法テラスが支援することによって必ず弁護士の人を見つけてくれるとか,そういうことになるとか,何か,全然変わらないということだと,何でやるんですかということになってしまいますわね。 釜井課長 まず,そこを目指して行かなければいけないというふうに思ってます。とにかく,今の段階で受けるに当たっては,現行のものを少なくとも低下させないようにしようというところですが,まさに御指摘のとおり,これまでの法律扶助協会の支部に比べまして,この法テラスは地方の組織体制がきちっとしておりますし,全国のものが業務システムでカバーされておりますので,さまざまな統計,データの収集も容易になるということです。   確かに現在の各地方での取組にはかなり差があるということも,これは間違いないことでして,我々の方でも日弁連から委託を受けるに当たって,そういった差ができるだけ解消していく方向に,それは平成21年度の被疑者弁護国選体制を整備するに当たっても,その底上げといいますか,そういうことが必要になってまいりますので,これを受けるに当たってもそこを目指して,やっていかなければならないという方向で協議を続けております。法テラスが受託するに当たって,件数の予測も少し上乗せしたような形で対応を予定しているということでございます。 寺井理事 今までは被疑者が希望すれば弁護士会や扶助協会が協力するというしきりになっていましたが,今度,もう既に第一段階は始まっておりますけれども,21年度からはさらに範囲が広がり権利としてそれが請求できます。国の制度として被疑者弁護が手厚くなります。このことによって被疑者自身が請求をしてくる件数が飛躍的に増えるのではないかと考えております。   まだ統計が示されておりませんけれども,第一段階において重大事件においての被疑者弁護が既に昨年10月から始まっております。これについて,いわゆる当番弁護士の延長線上の被疑者援助事業で受けていた件数と,現在,国選として被疑者弁護に取り組んでいる数との対比が鮮やかにできていない状況にありますが,かなり増えていると思っております。この数字は半年たちました3月末ぐらいに日弁連等の協力を得ながら実証的に明らかにしたいと考えておりますが,第二段階の数字は到底7,500件とか8,000件にとどまらないで,かなりの数字,巷間言われている10万件に近い弁護活動になると思われ,そのための体制をつくらなきゃいけないと考えているところです。   つまり,私は最初の説明で,制度として質的に転換することになると申し上げましたが,弁護人による援助というのは変わらないけれども,やはり制度としてこれまでの民間での自主的な事業から,国の制度として被疑者弁護が国選化することの意味は,被疑者にとってきわめて大きいインパクトになるのではないかと,このように考えております。   田中次長,今申し上げた第一段階における対比,従来の被疑者援助事業と現在ある被疑者国選の数の対比はまだ数字としてはできませんけれども明らかに増えてますよね。 田中次長 まず,対象事件がかなり違ってる部分があるかというふうに思います。当番弁護士からこの被疑者弁護援助制度を利用していた事件の種類,罪種,それと現在,法テラスで行っています国選弁護の被疑者段階のものを対比すると,従前の当番弁護士からの利用ではあまりカバーされてない部分が新しく対象事件になっていると思います。17年度の実績を見ますと,被疑者弁護援助制度の利用は8,600件ぐらいになりますが,その一部は被疑者国選の,今現在法テラスで実施しているものの中に組み込まれていると思いますけれども,8,600件のかなりの部分は現状においては法テラスの取り扱い事件にはなっていないと思われます。要するにその部分が新しく被疑者段階で弁護人の手当てができるようになったということではないかと想像しているところでございます。 寺井理事 今,嶋津委員の御指摘もありましたので,従来の当番弁護士がカバーしていた事件数の中で,いわゆる第一段階の対象範囲になっている事件がどのくらいあったのかということは,日弁連の協力を得ながら調査してみたいと思います。それに対して,今,田中次長が申し上げたように,法テラスが責任もって取り組んでる事件がどれくらい増えてるかということは,丁寧に調査すれば出てくると思いますので,それに基づきながら第二段階がどうなるかということについても少し検討してみたいと思います。貴重な御指摘ですのでその辺の解明に取り組んでみたいと思っておりますので,よろしくお願いします。 山本委員長 よろしくお願いいたします。 嶋津委員 もう1点。それから,今回の自主事業で受ける被疑者弁護あるいは少年の弁護の件が,将来も含めてなんですけれども,弁護士会が選んだ契約弁護士の人が担当するということですが,将来として見ても,法テラスの内部の弁護士の人が担当することはあり得ないんですか。法テラスのスタッフ弁護士が充実することによって,そういう法テラスの弁護士の人が担当することもあり得るのかと思いますが,一方で,この委託のあれで本来業務に支障が生じないようにという縛りがかかってると,スタッフ弁護士が担当することになると,本来業務に支障が生じることになるんで,それはできないという理解になるのかどうか。それをちょっと教えてください。 田中次長 今回の受託によりまして,被疑者弁護援助制度を法テラスとして実施するという段階になりますと,この事業につきましては法テラスのスタッフ弁護士もその担い手の一部ということになります。これによりまして,スタッフ弁護士はこれまで以上に刑事弁護の実務に携わる機会がふえる。とりわけ対象事件の種類がふえるというところで,研さんを積む機会にもなると考えておりますので,本来業務に支障のない範囲という制約はございますけれども,できるだけ積極的にこれに取り組むということが,法テラスの姿勢としてはよいのではないかと考えているところでございます。 釜井課長 1点補足させていただきますと,スタッフ弁護士が担当した場合,その事件の報酬分をセンターが別にもらう。スタッフ弁護士自身がもらうわけではなくて,2項の業務としてありますので,その分の経費としてもらいますので,そういう意味で経済的な面では支障がない。あとはスタッフ弁護士が本業の国選弁護あるいは扶助の関係で支障があるかどうかというところは事件の背景といいますかそういうものを見ながら,その個々の事情に応じて対応していくことになるかと思います。 吉永委員 結局これは今までの受け皿がこういうふうな形でなくなったんでこっちに来たという,端的にいうとそういうことですよね。 寺井理事 平成19年まではね。 吉永委員 そうですよね。そうすると,例えば自主事業というのが,今後どういう展開をしていくのかということの予想がきちっとされていないと,受託要件がどのところまで満たされていくのかというのがよく分からないですね。自主事業が今後例えば大きくなったときに,そうするとそこに必ず2つ,費用の全額負担という部分と,それから,弁護士さんの確保ですよね。この部分に支障が来たすと。今度はそれを法テラス側の方がそれをカバーする形にしなきゃいけないから,そうすると結局は支障がその段階で生まれる可能性っていうのは考え得ることですよね。そのときに,じゃ,この事業がどういうふうになっていってしまうのかと。でも,やはりこちらが受託した以上は,だからといってサービスの質的な維持を図らなければいけないわけですから,そのときに相当の負担増というか,サービス内容としての支障を来たさないためには,相当の業務上の負担が増えてくるということになる。それも支障と見たときには,その段階でこれはどういうふうに。受託の要件を満たさないということになってしまいますよね。満たさなくなってしまったときに,もう一回またこれを,満たさないのでお返ししますっていうわけにはもういかないわけですから,そういうときの,だから将来的な展望が全然わからないんですね。 寺井理事 まさしく吉永委員の御指摘は,この2項業務の本質を突いたところでございますので,釜井さん,その点について説明してください。 釜井課長 業務方法書にもございますが,委託要綱に基づきまして毎年度事業計画を立てる。年度前に。本年の場合には,先ほど資料の7にございましたが,半年分の予想件数としてこういったことを予定して,順調にいけば10月の前にセットをしまして,それに基づいたコストの算定をして,その範囲内で事業を行っていく。また,20年度につきましては19年度末までに計画を立てて,その範囲でやっていきましょうということになります。   その事業の計画を立てて,どういう実績かということはこの評価委員会の場でも御説明をして,結果としてそれが支障になってるんじゃないかとかどうかについては,その場でも御意見をいただく機会がございます。   事業が実際動き出したときに想定外が起きたときにはどうするのかという点につきましては,業務方法書の先ほどの12条,例えば日弁連の別紙の方をごらんいただきますと,事業継続が困難となった場合の措置というのが12条にございまして,これは要するに,そういう年度途中で本来想定していなかったというような事態が生じて,30条1項の業務の遂行に支障が生じる恐れがあり,こういう理由で継続が困難になったという場合には遅滞なく業務を中止し,または廃止する。その具体的には,本日添付しております資料の11-1の33条,ちょうど11-1の日弁連との委託要綱の案の33条,7ページのところにございますが,右側の下の方ですが,ここで30条1項の業務の遂行に支障が生じる恐れがある,例えば,先ほど御指摘ありましたような弁護士さんの確保が不十分だとか,こういうような事態が見込まれる場合には,直ちに委託者と協議をする。2項にありますように,その協議が整わない,あるいは継続することが困難になった場合には直ちに中止をして,それから,さらにそれが解消できなかったら最終的にはその委託業務は廃止することができます。そういうことにならないようにもともと事業計画をセットするわけですけれども,仮にそういうことが年度途中で不測の事態が生じた場合には,こういったことで30条1項の業務に支障を来たさないようにしていく。   ただ,何よりもそういう不測の事態が生じないような適切な事業計画を立てて,その事業計画の管理をしていく。それについては委託者側の方と弁護士の確保の問題でありますとか,援助件数の管理の問題ですとか,こういった面を随時業務執行状況に応じて協議していくということであろうかと思います。 吉永委員 センター側としては,そういう法的なものにおいては不備はないかと思いますが,万が一そういう場合が100%想定されないわけではなかった場合に,そのときに困るのはむしろ我々の側なんじゃないかなという気がするんですね。もし万が一のことがあったときにね。急に中止しますって言ったときに,本来援助がほしかった人が,じゃ,どこに行けばいいんだっていうことになってしまう。そういうことはないというふうには思いますが,でも,若干そこら辺のときには,これはだから,自主事業というのは今の状況のまま動きがないのが一番ずっと安定的に継続できるということで,動きができてきたときにはいろいろな動きが出てきてしまうわけですよね,逆にそれがうまく運用できないなり,支障を来たすなりということが出てきたときに,処理上はこれでいいと思うんですけれどもね,もしそのときに私が,たまたまそんなときに,必要なときが出てきたときにどうすりゃいいんだっていう,そういう心配がややあるかなと。 寺井理事 これはおっしゃるとおりでして,私は,責任者としてそのことは一番心配であると日弁連会長,副会長,事務総長等にも申し上げております。法テラスに委託した場合に,中止ないし廃止ということが抽象的には考えられるけれども,困るのは国民であり,そして何よりも日弁連の責任が問われますよということを申し上げております。懸念される点が全くないとは立場上言えませんが,基本的に日弁連は自分たちが委託したものを人的態勢が整わないとか,あるいは費用が準備できないとか,これはまさに日弁連さんの恥でございまして,そういうことは全くあり得ない,現会長の平山会長は,ずっと未来永劫会長をやるわけじゃないけれども,私の責任においてそういうことは絶対ない,国民にも御迷惑かけないし,それからセンターに御迷惑かけることもしないということを確約していただいておりますので,始まった以上そういったことは全くないだろうというふうに言い切っていいんじゃないかと思っております。   将来,委員御指摘のようにどのような形で発展していくのか,かなりローカル的側面からこの地域でやってるけれども,ほかのところでやってないとかという,全国的に統一されてないものがありますので,今後どのような展開がなされていくのか,予断を許さないところがありますが,これは日弁連が責任持ってやるとおっしゃってますので,そのことを最大の条件にして引き受けることになるわけです。その点,御指摘の趣を踏まえて今後さらに日弁連と協議,また,その点を念を押していきたいと,このように考えております。 吉川委員 よろしいですか。今の点に絡みまして,私,前に扶助協会の副会長をした経験から申しまして,かつて自己破産事件が急増したことがありましたね。扶助協会は担当する弁護士の確保の問題もさることながら,お金が足りなくなっちゃうということで,非常に困ったことがありまして,そのときはやむを得ない措置として扶助要件を少し前より厳しくした。そして,その扶助を遺憾ながらしてあげられないという方も出てきてしまうというような措置をとったことがあるんですけれども,その経験にかんがみて申しますと,これは中止と廃止という非常にドラスティックな結果がここに書いてありますけれども,できるだけ早く先を予測して,そういうことにならないように先手を打って手当てしていくという努力と,それから,中止とか廃止とかという非常にドラスティックなことにならない,もうちょっと中間的な措置が何か工夫できないのかということも御検討いただく余地があるんじゃないかなというふうに考えます。   一番件数が多くなることが見込まれる被疑者国選と,それから付添人の方は2年後には本来業務になるわけですから,2年間,何とか歯を食いしばってでも頑張って,中止とか廃止とかというふうなことにならないように,これは日弁連もそのように努力すると思いますけれども,センターの方でも先手先手で手を打っていただいて,そういうことにならないようにぜひお願いしたいというふうに思います。 寺井理事 よくわかりました。   実は,システム関係で半年延びることになりましたが,これは私どもとしては準備期間として結果的には大変よかったなと思っております。センターが2項業務として受ける場合に,それぞれの各種の自主事業がどういう状況にあるのか,どのような形で事業が展開されていくのか,そのために準備しておかなければならないものは何なのか。今,吉川委員が御指摘のように,万が一にも中止,廃止ということにならないよう,そのような検討準備期間をこれから6カ月かけて行っていこうというふうに考えております。   したがいまして,予測されるものすべてを,場合によっては最悪のケースも考えながら,十分な準備活動をしていきたいと思っておりますので,御指摘の点を踏まえてさらに努力してまいります。 釜井課長 1点よろしいですか。今の点で補足させていただきたいと思います。   中止あるいは廃止というのは,まさに最後の最後の手段ということで,最悪の事態ということで御説明したわけですが,先ほど吉川委員のおっしゃられました,そうならないように事前にいろいろ手を打っていこうと思っています。先ほど法律扶助の過去の経験で援助要件を厳しくしたりして予算の関係を対応していたということも承知しています。   こういうことも想定されるであろうということで,資料の11-1の日弁連の委託要綱の第11条というところに「援助不開始の特例」と,本来であれば援助要件というのはその前に記載されておるんですが,援助不開始の特例ということで,「地方事務所長はセンターと日弁連とが委託経費の執行状況等を勘案して協議して定める基準により,援助不開始決定をする」とか,よりかわいそうな事案を絞り込んで,そうやって混乱がないような形で継続していく。これが基本的な対応であり,それでもおさまらないといいますか,というときに次のステップがあるんであろうと思います。   そういうやり方をするのとは別に,さらに年度途中で経費の面からすれば予定件数を増加させると,事業計画を変更するということも一応可能であるようになっております。資金的な手当ての関係では,第30条のところに規定されておるんですが,万が一に急に申込者がふえたというような場合に,もうお金がなくなりましたのでもうやめますということも,それは非常に皆さんに迷惑をかける結果になりますので,あらかじめ預託金としてそれ相応の金額をいただいておきまして,それを事業費などに流用できるような形でも置いておこうということにしています。それはお金の面でのケアということですけれども,そういったこともいろいろ手当てしておこうというふうに考えております。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ほかの点でいかがでしょうか。田中委員,知久委員。よろしいでしょうか。   それでは,ほかに御質問がないようでしたら,これから業務方法書の改正につきまして,委員の皆様方からの御意見を伺いたいと思います。その後,当委員会としての意見を決めたいと思いますが,委員の皆様から御意見やあるいは御感想でも結構ですので,ございましたら御発言をいただきたいと思います。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 先ほど申しましたように扶助協会に関与した者として,今回センターの方で扶助協会がかつて自主事業としてやってきたものを受託事業ということで受けていただくということについては非常に私は喜ばしいことだなというふうに思っております。   この受託事業は,ある意味で本来業務のいわば隙間を埋めるものでありまして,本来業務に負けず劣らず非常に重要な業務だと思いますので,ぜひこの改正をここでパスしていただいて,これが円滑に実行できるようにしていけたらいいなというふうに思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,ほかに御意見がございませんようでしたら,今までの御議論からいたしますと,今回の業務方法書のこの変更につきましては,本委員会としてはこれを認可して差し支えないという意見ということにいたしたいと思いますがいかがでございましょうか。 (「異議なし」の声あり) 山本委員長 それでは,業務方法書の変更に対する当委員会の意見としてはそのようなことにさせていただきたいと思います。   なお,今回の変更部分につきまして誤記の訂正等がありましたら,それは形式的な修文等につきましては委員長と事務局に御一任をいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。 (「異議なし」の声あり) 山本委員長 それでは,事務局の方から今後の認可の手続について何かありますでしょうか。 井上課長 委託業務に関します業務方法書の変更認可につきましては,本日のこの評価委員会の御意見を踏まえまして,法務大臣の認可手続を速やかに進めてまいりたいと思います。   どうも,ありがとうございました。 山本委員長 それでは,本日予定されました議事はそういうことでありますが,この際,もし委員の方からほかの点について何か御意見等ございましたら。特に前回御欠席されてた吉永委員,もし何か一般的な。前回,各委員からいろいろセンターに対する御要望等御意見を伺ったのですが,もし何かございましたら。 吉永委員 別にないんですけれども,今フッと気がついたんですけれども,例えば委託要綱を読んでいて,援助不開始の特例っていうような言葉っていうのが,何かすごく不思議な感じがしますよね。こちらの都合によって満杯になったときは条件を左右上下するなりいろいろなことによって,こちらがパンクしないようにしますよという,こういう発想なんですよ,これはね。明らかにね。それは,私たちが困っていることに背負うというよりは,できる範囲のところにあなた方を合わせなさいというような,結構冷たいなというふうに感じが,国民が,一般市民の意識としては。そのときに,じゃ,たまたま本来業務が暇なときに当たればハッピーだけれども,例えば,本来業務がものすごい立て込んでるときにたまたま当たってしまったときというのは,受けられる範囲の,支障を来たす範囲というのはそういうことでもあると思うんですね。たまたま本来業務に余裕があるときに行けば,それはそれなりにカバーしつつやっていただけるかもしれないけれどもという,やはりこのセンターの姿勢というのがどこにあるのかというのが,ややこういう言葉を見るたびにたじろぐところはありますよね。些細なことと言え,私的には結構ドキッとすることなんですけれども。 山本委員長 どうぞ。吉川委員。 吉川委員 それにつきましては,まさにこの制度の核心を突いた,今御発言だと思いますが,要は,これは本来業務についても同じだろうと思うんですが,予算の天井がなければ,オープンエンドであれば基準に合うものは全部,幾ら件数がふえてもそのとおり援助できる。一つには人手の問題もありますけれども,特に重要なのはお金の問題なんですが,それを今後どうするかという,これは本来業務についても,先ほど申し上げたように,あれは国からの,扶助協会の場合ですね,国からのお金で援助する,自己破産の方も援助するはずだったんだけれども,お金がないので,もう万やむを得ず要件を厳しくして,ある方にはもう援助できないというふうに申し上げざるを得なかったという事態があったわけですけれども,そこは今後この制度全体の問題としてまた考えていかなくてはならないことじゃないかなというふうに思います。   イギリスでは今大体四千二,三百億円,民事,刑事両方につぎ込んでますが,これも最近10年ぐらいでどんどんふえて,今はもうない袖は振れないということでものすごい大幅なカットといいますか制度改革をしてるようですけれども,一方で,オープンエンドでどんどん気前よくやっていくと,そういう問題が一方では生ずる。他方で,扶助―リーガルエイドやるからにはできるだけ多くの方,必要な方全部に援助したいというのとの要請を,二つの矛盾する要請をどうバランスするかというのが,このシステムの非常に大きな問題じゃないかなというふうに思っておるんですが,非常に今核心を突いた御発言だと思います。我々全員でよく考えていかなきゃならない問題だと。 寺井理事 本来業務については民事扶助についても言えます。これは国家予算を使ってやってるんですけれども,同じ問題があるわけです。2項業務については日弁連と,こういうふうになっていますが,本当に依頼があった場合,申込みがあった場合に,万全の態勢でセンターが臨めるような予算措置をしていくということは不可欠だと,センターとしては考えております。そして,それに対する理解が,幅広い理解と予算措置が伴わないといけないものですので,吉永委員,社会的にさまざまなところに影響力があられますので,ぜひこのセンター事業を,法テラス事業を宣伝して,皆さんからこれを支えていくような形で御援助できればと希望しております。我々も頑張りますが本質的な問題だと思いますので,本来業務,2項業務両方について,法務省の御理解も得ながら,さらに努力して参りたいと思っております。 山本委員長 総合法律支援法の前身であった民事法律扶助法を制定する際も,やはりその点は非常に大きな議論になって,諸外国の制度等も調査して,オープンエンドになってる国も多かったわけですけれども,日本ではいろいろな事情でそこまでの御理解が得られなかったということですが,やはり最終的には国民の理解を得るということが重要になってまいりますので,ぜひ,委員の皆様もそれぞれのところで御議論をいただければと思います。   それでは,よろしゅうございましょうか。貴重な御意見もいただけたかと思いますが,それでは,今後の評価委員会の予定について事務局の方から御説明をお願いします。 井上課長 どうも委員の諸先生方ありがとうございました。これで,本年度に予定しております評価委員会はすべて終わりということになります。   来年度のことでございますけれども,6月末までにセンターから18年度の業務実績に関する報告書が提出されることになっております。本委員会では,この業務実績に関する報告書に基づきまして中期計画の達成状況についての,いわゆる業績評価をしていただくことになるわけでございます。ただ,今回初めての業務評価を行うということになりますので,その評価の基準等につきまして,あらかじめ決めておく必要がございますので,それにつきまして,今いろいろ原案を作成してございます。その案が詰まりました段階で5月か6月か,時期は未定で,今後また調整させていただきますけれども,皆様にお諮りして,それを決めた上で業績評価に臨んでいきたいと,そのように思っております。   よろしくお願いします。 山本委員長 それでは,そのようなことでまた来年度もよろしくお願いしたいと思いますが,本日の第7回評価委員会はこの程度にさせていただきたいと思います。   最後になりますが,議事録の作成について事務局の方からお願いします。 井上課長 これまでと同様の方法でまた作成させていただきますので,どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。 山本委員長 よろしいでしょうか。それでは,以上をもちまして本日の評価委員会を終了させていただきます。   どうもありがとうございました。 -了-