日本司法支援センター評価委員会 第9回会議 議事録 第1 日 時  平成19年8月7日(火)  自 午後3時29分                       至 午後6時49分 第2 場 所  法務省5階訟務部門会議室 第3 議 題 ①平成18年度の業務実績の評価(項目別評価及び総合評価) ②法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 山本委員長 それでは,定刻まだ少し前でありますけれども,皆様既に御出席でありますので,ただいまから第9回の日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと思います。   委員の皆様におかれましては,本日は御多忙中のところ,また夏休み中のところ,そして,非常にお暑いところをお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。本日はやや長丁場になろうかと思いますけれども,どうかよろしくお願いいたします。   本日は吉永委員が御都合によって御欠席であります。委員10名のうち9名の御出席をいただいておりますので,過半数の定足数を満たしております。   まず,本日の開催の趣旨について申し上げたいと思います。本日の主な議題は,議事次第にありますとおり2点であります。第1は,支援センターの平成18年度の業務実績の評価で,当委員会としての評価を確定するということであります。具体的には項目別評価と総合評価の2つの方法で行いますが,これが本日の中心的な議題ということになります。第2点は,法務大臣から支援センターの平成18年度の財務諸表を承認するに当たって当委員会に対して意見を求められておりますので,委員会としてその点についての意見を定めたいということであります。予定では午後6時30分まで時間をとっておりますが,何分初めての業績評価ということになります。社会的な関心も高いことと思われますので,十分に御議論をいただいて,評価を決めていきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。   それでは,まず本日の配付資料につきまして,事務局から御説明をお願いします。 井上課長 配付資料の目録に記載されておりますけれども,ご確認いただければと存じます。   これらの資料につきまして,順番を追って概略を時系列的に御説明いたします。   まず,前回の評価委員会で基本方針と評価表を御決定いただいたわけでございます。それに基づきまして,6月末にセンターから業績の報告書と財務諸表,これも参考資料の中に入れておりますけれども,上がってまいりました。それから,項目別評価表の自己評価も上がってまいったところでございまして,それらをもとに7月中旬に3回に分けて,コールセンターの視察を兼ねて,業績報告に関するヒアリングを行っております。   そのヒアリングの成果が資料1-1としてまとめたものでございまして,資料1-1の前半はセンター側からの説明でございます。それの後半にそれぞれ3日間行われた質疑応答がございます。前半の資料が17ページまでで,後半が1ページから3日間の通し番号でページ数を打っております。この内容につきましては,後ほど個別の項目の説明に際して,必要に応じて御指摘いたしますので,参照していただければと思います。   そのヒアリングを受けまして,委員の各先生方からそれぞれの評価の案を出していただきました。それらをまとめたものが先ほどの集計表でございます。その過程でさらに追加で質問したい,ここが分からないという御指摘が多数出てまいりましたので,委員長とも御相談の上,それらをまとめて書面でセンターに投げかけて,その答えを得ました。それが資料1-2でございまして,これは項目別評価表の順序に応じて必要な追加の質問と応答が書かれております。これにつきましても,個別の検討の際に必要に応じて御参照いただきたいと思います。   そのような各委員からお寄せいただいた意見,案を総合的にまとめまして,委員長とも御相談の上で,本日の議論のたたき台とすべき案をつくりました。それが資料2の項目別評価表の案でございます。   そして,資料3の総合評価につきましては,個別評価,項目別評価を要約するような形でたたき台の原案を作成しているところでございまして,本日の会議の進行に応じまして,順次,内容を朗読するなどしながら御説明申し上げたいと思います。   細かい内容は進行に応じて御説明申し上げるとして,資料の確認は以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,資料の訂正部分を。 井上課長 訂正部分がありますので,それだけ御説明申し上げます。参考資料の中に「事業報告書」がございますが,その差し替えが2か所ございますので,御確認いただきたいと思います。   資料の18番をごらんいただけますでしょうか。「立替金等残高表」というものでございます。資料の18につきましては,不明確な点がございましたので,欄外の注記を足すことによって内容の明確化を図ったということでございます。表中の金額と財務諸表上の関連金額との関係が分かるような説明をつけ加えたということでございます。   それから,本文の42ページをごらんいただきたいと思います。8行目ですが,これは勉強会のときに口頭で間に合う範囲は補充した点でございますけれども,アンケート結果の数字の引用で,「はい」と「いいえ」の数値を取り違えて書いてしまいまして,「85.7%」と書いてあるのが「13.0%」であったということでございます。そこを訂正しております。その訂正したものを配付しているということでございますので,御了承いただきたいと思います。   それから,進行に関しましてもう一点補足いたしますと,従前は会議の場に法テラスの関係者を別室に待機してもらって,質問があれば随時応答してもらうということを考えているというようなことも申し上げたこともございましたけれども,補充質問等かなり詳しい回答文書をいただいているということもございますし,本日の御審議の中で改めて確認すべき点が出た場合には電話ですぐに確認できるよう,執務をとりながらすぐ対応できるような体制を確保していただいておりますので,必要があれば電話で照会して回答を受けるという方式で対応させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 山本委員長 それでは,早速議事に入りたいと思います。   まず,議題1の業績評価ですが,今日の進め方といたしましては,最初に項目別評価がかなり時間がかかるだろうと思っておりまして,1時間半か2時間ぐらいはかかるということになろうかと思います。途中で休憩をとりながら,その後,総合評価に進んで,最後に議題2の財務諸表の承認に関する意見について議論をしたいと考えています。   そういうことで,最初に項目別評価,資料2に基づいて御議論いただくことになります。概要について事務局から御説明をお願いいたします。 井上課長 個別の内容に入る前に,全体的な観点で少し御説明を申し上げたいと存じます。   資料2,項目別評価表は議論のたたき台ということで作成した原案でございます。右側の評価及び評価理由,たたき台でございます。その中身についてこれから順次御説明申し上げてまいりたいと思います。   それから,項目別評価のやり方でございますが,どのぐらいの大きさの項目ごとに評価をつけるかという点でございます。私どもといたしましては,例えば中期目標,中期計画で,(○)民事法律扶助とか,(○)国選弁護人確保とか,そういう業務単位ごとに括弧書きの小見出しがついておりまして,その単位ぐらいを一つの評価の範囲にしてやっていくという心づもりで,それに相応する形で評価の指標を付けたつもりであり,また,自己評価用の表も,線の太さを区別したりしたつもりであったんですが,明確さを欠いておりまして。法テラスでしてきた自己評価が,その項目の中のさらに細項目の計画で①とか②とか書いてある,それごとに付けてきてありました。   これを先生方にご覧いただくときも,その辺を徹底しないままお回ししてしまったもので,先生方の中でも評価をつける単位で混乱がございまして,細目ごとに評価していただいた先生と,括弧書き程度の大きさで指標ごとに評価をしていただいた先生とございます。その取扱いに混乱を招いてしまったことは事務局の不徹底でございまして,この場を借りておわびいたしたいと思います。ただ,細目的なところは参考としてご覧いただくとして,今回の評価は業務単位ぐらいの大きさを原則として行っていきたいということでございます。   その趣旨は,前の評価委員会でも若干御議論いただいて,御了解いただいたものと思いますけれども,今回の業績評価は,この法人設立直後の初年度でありますし,しかも業務の期間も半年しかなかったということから,あまり細かい単位でやると,できるものと,あまりうまくいってないものがたくさん出てきてしまうだろうということから,評価の指標も「何々に関する取組状況」みたいな,ある程度大括りな形で,最初は少し大きめに把握するということにしたことと同じ意味で,1つの業務単位ぐらいで判断していくのが今年はいいのではなかろうか。来年以降さらに業務が進展するに従ってもう少し細かい単位で評価表を作っていくことは十分あり得ることでございますが,今年度につきましては,初年度ということもございますので,そのような程度の単位で評価をしていきたいということでございます。   ただし,一番最初のページに例外が出てきます。中期目標2の充実措置に関するところの(1)総括のところは中身がたくさんございますので,1ページ,2ページ,3ページ,それぞれの括りで評価をしていくということでやりたいと。4ページ以下は基本的にそれぞれの業務単位ごとぐらいに評価をしていけるようになっているのではないかということでございます。   そこで,全体的な絵姿をちょっとイメージしていただければということで,説明用の補足資料として「項目別評価書案の概要」という紙を卓上に置いておきました。これをご覧いただきたいと思います。たたき台とした案を総括的に説明するとこうなるということでございまして,A,B,Cの評価のところは全部で21項目,評価する項目がございましたが,Aが12で、Bは9,Cは0というのが,これから御審議いただく案になっております。   このうち,B評価がついたものはどのようなものかという点につきまして,そこに1から6までまとめて書いております。1というの周知徹底の関係でございまして,努力はしていましたが,周知の成果は明らかに不十分だったという事柄でございます。2番目,常勤弁護士の確保は,特に国選弁護関係で幾つかの評価項目に共通して出てくる点ですが,これも確保の努力は多とすべきですが,確保の成果が明らかに不十分であったという観点からBになっていると。3番目の民事法律扶助,4番目の司法過疎対策も,国選弁護ほどではございませんが,常勤弁護士の不足というものが目標達成の阻害要因になっている重要な部分かなという観点からB評価になっているということであります。5番の民事法律扶助の効率化,6番の自己収入の確保,この辺はいずれも効率化等の努力の余地がもう少しあるかなと思うということでB評価になったという概要でございます。   ただ,その下に評価例として,議論のあり得るものということで4つほど掲げてございました。詳細はこれから個別に御説明申し上げますが,評価表の3ページの総合法律支援の充実措置関係のところは,A評価,B評価,委員の先生方のものも割れておりました。これは法テラスの自己評価を事務局案で下げている点でもございます。   それから,7ページの司法過疎対策は,委員の先生方はA評価が多めではあったわけでございますが,「ゼロワン地域」解消に向けた取組の成果をどのように見るかという観点から,有力なBの意見もございまして,たたき台としてはとりあえずBという形でお出ししているということでございます。3番目のサービスの関係,これは民事法律扶助でございまして,これも先生方の評価が割れていた点でございます。   最後の(4)のところが,先ほどの評価項目の単位のとり方の関係で,犯罪被害者支援の関係,業務単位では1つなんですが,その中に4つ,細項目がございます。そのうち,1項目目についてみるとB評価が多かったんですが,2,3,4はA評価が多かったということから,全体として見直して評価につけていると。そのような場合どのように見るべきかという議論はあり得るということでございます。   全体的なイメージは以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今御説明いただきましたように,評価を要する項目数が合計21項目あるということでありまして,そのうち議論になり得る点についても幾つか御指摘がございました。そのあたりも頭に入れながら,ペース配分を考えながら議事を進めていきたいと思います。審議の進め方といたしましては,すべての評価項目をこの委員会として確定していくという作業が必要になるわけですが,その前提として,審議の効率化を図るために,ある程度のまとまりごとに事務局から概要や論点の御説明をいただいて,それを踏まえて議論をしていきたいと思います。ただ,議論はそれぞれの項目ごとに評価をAかBかCを確定し,その評価の中身として,理由として触れるべき事柄に過不足はないかとか,表現ぶりはこれでいいのかということを,一つひとつ御意見をいただきながら確定してまいりたいと思います。   そういうような感じで進めていくということでよろしゅうございましょうか。   それでは,まず最初に,先ほど御説明がありました1ページの(1)の総括は3つの項目に分かれているということでしたが,(1)の部分,全体的に御説明いただいて,議論をしてまいりたいと思います。   よろしくお願いいたします。 井上課長 資料2の評価表取りまとめ,最初の方は理由が割合と詳しく長く書いてあるんですが,後半の方で短めのものもございますので,最初の方が少し時間がかかるかもしれません。最初2~3個やると,大体こんなふうに進むのかなという感じがつかめると思います。   中期目標,中期計画は,「総合法律支援の充実のための措置に関する事項」,(1)総括。その中の①として,中期目標を見ますと,そこですべきこととしては,業務内容についての国民への周知徹底を図る。その上で,利用者の立場に立った業務遂行に常に心がけなさいという基本的なスタンスが書いてございます。評価の指標は,利用者の立場に立った業務遂行への取組状況となっております。この点に関しまして自己評価がBで,その理由として,周知はまだ不十分である。今後は地域に密着した広報展開を行いたいということが書いてあったわけでございます。   この点に関しまして,補助的な資料といたしましては,資料1-1の後半の各日の質疑応答部分,7月13日,1ページでございます。前半はあまり参照いたしませんが,後半の方だけときどき参照いたしますので,印でも付けておいていただけるといいかと思います。   この項目に関連しては,冒頭前半の質疑2つが関連します。これは(山本委員長)ということで名前付きで出ていますが。「周知度に関する客観的なデータはあるのか」という質問につきまして,「なかなかいいデータはない。組織的な調査活動の実施予定はないのか」と,「今後工夫して実施する」というような質疑応答があったということでございます。その辺までが関連部分です。   それから,資料1-2をご覧いただきたいと思います。冒頭,■の横に「P1」と書いてありますのは,A3の資料の前の資料のページ数なのでだんだんずれてまいります。この「P1」は無視していただいて,〔中期目標2(1)総括①〕の関係ということでご覧いただきたいと思います。今後の周知のための取組としてどんなつもりかということで,19年度以降いろいろやっていくということが,ここに詳しく書いてございます。   次のページ,「P2」のところで,2番目の質問に対して,利用者の立場に立った取組として,サービス推進室等を設けたという説明があったんですが,実際の活動状況はどうかという質問の答えがA2の①にいろいろ書いてあります。コールセンターに寄せられた利用者の声について対応を検討して,整理・分析をして,毎月,理事長等に報告して,さらに一番下の方にいきますと,その成果は「サービス推進室ニュース」(資料参照)を作成して,各地の事務所に送っているということでございます。その「サービス推進室ニュース」は資料1-2の後ろの方についておりますが,利用者の声としてこんなものがあった。どういう対応をするかということで,実例がたくさん載せられて,情報の共有が図られているという回答があったということでございます。   以上のような資料を元にいたしまして,たたき台としては,この点については評価はBとすべきであろうということでございます。その理由はそこに記載のとおりでございますが,概略を読み上げますと,「国民への周知に関する取組は,設立初年度であることから,広く一般国民に対して設立及び業務開始の告知,「法テラス」という名称の認知促進を図るという観点から,新聞各紙,ラジオ広告,交通広告,法的トラブルを抱えた人と接する機会が多い関係機関などの機関紙,そういうものに幅広く一定の方針で戦略的な広報を実施してきたことは認められる。この取組自体は,開始の初年度において広く国民に訴えるためには有意義であって,周知徹底を図るための第一歩としては評価できるであろう。しかしながら,未だ支援センターが十分認知されていない現状に照らすと,国民への周知徹底に向けた努力としては必ずしも十分なものであったとは言えないであろう。今後更なる認知の拡大と業務内容に対する理解の促進に向けて,各地方事務所を主体とした地元広報,そのようなものに密着した広報の検討・計画があり,そうした工夫努力によってさらに周知徹底が図られていくことが期待されます。なお,周知の実情につきましては,客観的なデータの収集・整理・分析を行って,定量的な目標の設定等も検討して,戦略的・効率的にしていくべきだ」と,そのような理由でございます。   なお,利用者の立場に立った業務遂行への取組といたしましては,サービス推進室等の常設組織を設けたと。それは基本的な体制の構築としては評価できるであろうと。現にサービス推進室では,寄せられた意見の整理・分析,対応策の提案,理事長,幹事等への報告,本部に設置されたワーキンググループへの報告,そのような対応がとられた上,その検討結果等について各地方事務所に提供するということで,情報の共有化が図られている。今後ともそのような組織全体として,利用者の声を運営に生かす努力を続けて,利用者の立場に立った業務遂行に心がけていってほしいと。そのような理由でございますが,前半の周知不足,認知不足はいかんともしがたいということで,ここはB評価としたということでございます。   次に資料2の2ページをご覧いただきたいと思います。ここは②,③を一括して1つの評価にしております。中期目標,中期計画としては,各年度1回以上,地方協議会を開いて,関係機関,団体,利用者の意見をよく吸い上げて,それを生かしていこうと。利用者の意見を聞くための会議を設けるのであれば,その人選に特段の配慮をしよう,そのような目標,計画でございます。この点について,自己評価はAでまいったわけでございます。この点に関しましては,資料1-1の7月13日の質問の中で,利用者の声はどんなふうにして聞くのかということに関して,利用者側の消費者団体の方々の参加を得てやっていますというお答えがあったところでございます。   それから,資料1-2の補充質問回答集の3ページのところで,地方協議会等の運営の実情はどうかという質問がございまして,回答のところで①からずっと書いてございますが,初年度であったので業務内容を関係機関に知ってもらうことに主眼が置かれたということは,そのとおりだろうと思いますが,その中で今後は利用者側を代表する機関・団体の出席者をさらに増やしていきたいということも述べられております。現状においても,犯罪被害者の関係とか,民間の団体,クレジット・サラ金・悪徳商法の被害者の会,そのような方々の参加も得てやっているということであります。   ②の寄せられた御意見,御要望に関しての対応ということでは,相談窓口の振り分けに当たってどのようにしてもらいたいかと,そのような御要望もあったと。また,4ページの3行目辺りですが,利用者側からは「法テラス」は直接法律相談まで行うわけではないから,たらい回し感が生じないようにしてほしいというような御意見が寄せられたと。そこで適切な振り分けを行うために,関係機関・団体との情報収集・交換を行って連携を深めてまいりたいというようなことが書いてございます。   ③のところで,地方協議会以外に「運営諮問委員会」のような特に意見を聞くための会議を設けるかということについて具体的な検討は未了である,設置するときには十分に考慮したいという回答が寄せられております。   以上のような情報をもとに,自己評価はAでありますが,たたき台としてはAでいいのかなということでございます。その理由といたしましては,中期計画どおり,すべての地方事務所で1回以上地方協議会が開催されたことは十分な成果と言えるのではなかろうかということでございます。初年度でありますので,各種業務が全国各地で円滑に開始され,実施されるための基盤整備の段階である。地方協議会においては,関係機関・団体の主要な参加者として,その業務内容の周知を図ることに重点が置かれていたことはやむを得ないかなということでございます。それら関係機関・団体の意見を聴取して,個々の機関との円滑な連携のあり方について協議が現にされているところでございます。   出席者から出された意見・要望等につきましては,各地方事務所から本部に報告されまして,情報提供業務におけるたらい回し感の解消に向けた対応等々,業務運営の参考とするように努められているところであります。地方協議会の参加者については,ばらつきはありますけれども,経験者を含めかなりの人数に及んでおりますので,その人選についても幅広く消費者団体等の方の参加も求めているわけでございまして,今後ともさらに利用者や関係者等の意見を十分に聴取して,業務運営に生かすことができるように,必要な検討を続けて,適切な措置を講ずることが期待される。この営みといたしましては,利用者・関係者の意見を反映した業務運営の取組としてはAと認められるところでございます。   3ページをご覧いただきたいと思います。④でございまして,この中期目標自体は,最初のポツにございますように,総合法律支援の中核を担うセンターの体制整備のために,常勤弁護士の確保と,契約弁護士・司法書士の幅広い確保に努めていくという点でございます。ここにつきましては,年度計画で常勤弁護士確保のためにいろいろなところで勧誘の説明を行うことなどがあげられております。   この点につきましては,資料1-1の質疑応答の3ページとか7ページ,要するに常勤弁護士はどの程度必要なのかと。3日間とも出た質問で,答えがあったわけでございますが,国選弁護関係で二百五,六十人,扶助や司法過疎もあって,合計300人程度,21年までに必要になるだろうと。大体そのような答弁があったところでございます。これがある種の成果としての一つの数値になるということでございます。そのようなことを踏まえまして,各委員の評価はA,B,大体半々に割れたわけでございますけれども,自己評価はAでございます。   ここの考え方でございますが,たたき台はBとさせていただきました。特に平成21年における被疑者国選弁護対象事件の大幅な増及び裁判員裁判の実施に伴う業務量の増に対応するために,一般契約弁護士の確保とともに,所要の常勤弁護士の確保は喫緊の課題である。そのため,確保に向けた活動の充実が必要であるところ,センターは設立当初から日弁連や各地の弁護士会と連携協力し,当面の事業運営に支障のない程度の一般契約弁護士等の確保には努めておりますし,常勤弁護士の確保に関しても,説明会等の実施等,積極的なアピール等の採用活動への取組は非常に熱心に行われた。その点は評価できると思われるわけでございます。   しかしながら,初年度であることを考慮しても,常勤弁護士の確保数が24名にとどまるなど,21年の対応に向けた所要の体制整備のための努力としては十分な成果は上がらなかった,そこは認めざるを得ないだろうということでございます。今後,所要の常勤弁護士確保に向けた新たな工夫や一層の努力が必要である。もっとも初年度の採用の限界を踏まえ,より効果的な確保方策として,修習直後の新人弁護士を採用して,組織的な研修で実力をつけるという新たな確保方策の導入に向けた検討が現に進められているということから,このような新たな工夫と努力が,中期目標達成に向かって成果に結びつくことを期待するということで,現状においてはB評価が適当であるだろうと。「努める」というのは,主観的に努めるだけではなくて,目標達成のために実効性のある努力が現に行われていることが必要であろうということから,このような評価のたたき台を作成したということでございます。   以上で一区切りとさせていただきたいと思います。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今御説明いただいた部分について,順次御議論をいただきたいと思います。   まずは1ページの①,利用者の立場に立った業務遂行への取組状況という観点ですが,評価のたたき台原案はB評価ということであります。どうか御自由に御意見をいただければと思います。   いかがでしょうか。これは委員の大勢はBということで,自己評価もB評価になっておりますが。あるいは,この理由としてつけ加えるべき点,あるいは,削除すべき点についての御意見でも結構です。基本的には頑張っているんだけれども,まだあまり周知されてないでしょうということになっているかと思いますが。 嶋津委員 感想的に申し上げますと,総論的に言ってA,B,Cと評価するのは難しいんだと思うんですけれども,当事者の感覚からすると,法テラスの立場とするとそれなりに努力はしたつもりだということ,それから,そういうことに応じて中期計画などを定める回数の会議をやったから,形式的に要件を満たしているから,Aだという自己評価もあるんですけれども,初年度の評価というのは,初年度に全部でき上がるなんていうことはあり得ないので,今後の努力を求めるという意味でB評価が多くなるのは,センターが努力していないという意味よりも,今後の努力を求めるという意味だという位置づけで私は評価をしているつもりなんですね。   ですから,この評価が国民に対して明らかになったときに,評価が初年度で大部分,目標を達成したのかと思われるのではなくて,今後努力すべき点が随分あるんだということを知ってもらった方が,いろいろな意味で今後の法テラスのためにもプラスになるのではないかなと,そういう感じがしましたので,私は自己評価よりも厳しめの方がいいのではないかというつもりで,今後に期待してそういうような評価をしたと。私は個人的にそういうふうな感じで評価しました。 山本委員長 ありがとうございます。   総論的なお話を伺いました。AかBかというのは,委員の皆さん大変御苦労されたところかと思いますが,いろいろな考え方があり得るところであろうと思います。今,嶋津委員から一つのお考えを提示していただきましたが,この総論的な点,あるいは,それを踏まえて①のお話でも。   岡田委員,どうぞ。 岡田委員 私も同じで,初年度なのでいろいろなことをやったというのは書かれているんですけれども,その結果とか効果はどうなのかというと,この時点で評価というのは難しいかなというのが1つ。それから,地方に行くと温度差があるんですね,地方事務所によって。その辺のところが,本部で上げてきた自己評価書の中で読み取れないと言いますか,見えない,ないしは見えていないのかなという感じもしましたので,Bが妥当かなというふうには思いました。 山本委員長 ありがとうございます。 吉川委員 私も同じ視点で見ているんですが,一生懸命努力したというところを見るのか,結果が出たかどうかを見るのかで,大分違うんだろうと思うんですね。結果の方でいくと,例えばコールセンターの受電件数が,最初の月だけはぐっと上がったけれども,かなり落ちて,それから漸増はしていますけれども,そのあたりでもう少し工夫が要るのかなと。それから,民事扶助も法律扶助協会時代から見てあまり増えていないんですね。そういう結果で見ると,今ひとつ結果が出ていないかなという感じがして。そういう面からいうとBになっちゃうのかなという感じはします。一生懸命やっていらっしゃることは分かるので,それを見ればAといってもいいのかもしれないけれども,結果を見るとそういう感じがするんですね。 岡田委員 利用者の立場から見たときにですよね。自分たちが「やった,やった」というのではなくてというふうに私は思ったんですね。 山本委員長 そうですね。頑張っているという部分は,理由のところでかなり汲み上げて書いているということで,岡田委員が言われるように,最終的には利用者のためにやっていることであるのでということになるんでしょうか。   それでは,この①の部分は,評価としてはBということで,理由についてはこのような感じでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,①については,このたたき台のような形にしたいと思います。   このあともずっと同じことでありますけれども,理由の部分の表記については,具体的な修文についてはなお若干修正すべき部分が出てくるかもしれませんので,この点は私,委員長と事務局に御一任いただければと思います。もちろん基本的には変わらないということになろうかと思います。   続きまして,2ページの②,③の部分ですね。利用者,関係機関の意見を反映した業務運営という部分であります。ここの評価は,たたき台はAということで自己評価と同じになっております。委員の御意見の大勢もAですが,若干Bではないかという御意見もあったようであります。ここはいかがでしょうか。   どうぞ,宮野委員。 宮野委員 この評価Aは,考え方によってAになったりBになったりするのではないかと思っております。例えば,後ろの①のところでBと付けた理由に,国民への周知の徹底が図られていないというふうな状況であるわけですけれども,このような状況で評価の目標のところで利用者の意見を反映した業務運営の取組状況ということで,このように周知されていない中での利用者の意見が網羅性というか,みんなそういう考え方だということでとっていいのかどうか。これは業務運営に生かす意見としては網羅性に欠けていないだろうか,こういう点でちょっと気になるなと思うんですけれども,「国民への周知の徹底」というのをどの程度考えておられるのか。   例えばこれはこの程度,70%,80%,あるいは,50%とか。現在,80%までいっているんだけれども,厳し目で見て周知徹底していなかったというのであれば,70,80であればこれはAでよいだろうと思いますし,そうでなくて,周知の程度がもっと悪いなという状況でAとつけたのであれば,Bの方がいいのかなと思いますので,「国民への周知の徹底」というのをどの程度で認識してAとされたのか,この説明があればいいのではないかと。 山本委員長 そうですね,ここは確かに①の点とも関わるところで,周知の度合いについては,先ほど御紹介あった,私もそういう客観的なデータはないのかと聞いてみたところ,組織的なアンケートはされていなくて,街頭宣伝の時の調査では認知度は10%にも満たないような状況だったという御回答があって,そういう客観的なデータも必要なのかという印象を私も持っているところです。   どうぞ。 井上課長 今の御指摘は大変重要だなと改めて思ったわけでございますが,たたき台をAでつくりましたのは,②,③全体を通した指標としては,利用者の意見と同時に,連携協力関係にある関係機関等の意見,両方の総合的な反映という観点でございます。そうすると,基本的な仕組みとなる地方協議会が現に動き出しているというところは,スタートとしてはある程度評価していいだろうと。あと,具体的に利用した人の意見を吸い上げる仕組みがサービス推進室にできていると。   そうすると,潜在的な利用者の意見をどうやって吸い上げるかという話だと思いますが,その辺につきましては,協力関係にある関係機関ですね,地方公共団体,その他の機関である程度把握されているものがあると思いますので,間接的にはとれる面もあるだろうと。そういう意味で,利用者の声を漏れなく幅広く吸い上げる努力は必要ですが,Bとするほどでもなくて,一通りの枠組みはできて動き始めているだろうというような考え方でAとしてみたということでございます。 宮野委員 そこで私もまたさらに考えていたんですが,利用者の定義は何だろうかなということですね。利用者を代表するのはそれぞれの関係機関に絡んでいるんだろうと。関係機関というとかなり広範囲な方々を対象としたものになっているだろうと。そうであるとすれば,関係機関と連携がうまくいっていれば,かなりの社会の意見が取り入れられることになるのかなと。そういうことで,次に「利用者」の定義は何だろうということをお聞きしようと思っていたんです。でも,今,お話を伺って,関係機関との関係も考慮されているということであれば,Aでも差し支えないのかなという気はいたします。 吉川委員 これは,年度計画に対する結果という観点でいうと,年度計画は地方協議会を1回以上やるという目標というか計画で,それは達成したという意味ではAという評価でいいのかなという感じはするんですが,地方協議会を開催したことによってどれだけ一般の利用者に浸透できたのかということとの関係でいうと,地方協議会の持ち方というところに次年度から工夫が何か必要になる。関係機関というのは具体的には弁護士会とか消費者団体というものなんでしょうか。どの範囲が参加しているんでしょうか。利用者の代表者が出られるような形で地方協議会を持ったりするということも一つのやり方かなと思ったんですが。 山本委員長 どうですか。私が「利用者の団体というのは具体的にどういうものか」と伺ったところ,消費者団体とか犯罪被害者支援のNPOというようなものも,これがすべてのところに参加しているというか,そういうものが参加している形で地方協議会を開いたところもあるというよう御回答ではあったかと思うんですが。 吉川委員 つまり,そういう関係機関は知っていらっしゃると思うんですね,これだけやっているんですから。問題はそこと一般利用者とのギャップがどうなのかという問題なので。 山本委員長 それはおっしゃるとおりですね。 吉川委員 地方協議会をやれば一般の方々に浸透していくというふうに考えられないところがあるのかなと思っていまして。今年度は地方協議会をやるという目標に対しては満足する答えを出した,さっきの①との関係がそうなんでしょうけれども,利用者にはまだ浸透していないと,そこら辺りをどう工夫するかという問題が残っているのかなと思うんですね。 山本委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 その次の(2)に情報提供とか関係機関の連携強化をどういうふうに事務的にこなしていったかという評価項目がありますよね。それは皆さん方はちゃんとやったのではないかという項目がありますが,私はさっと見たときに総括の中で①,②,③,④はそれなりに連携をした評価ではないかと感じたんですね。その中で②,③のところだけAになぜなるんだろうかという感じがして。これは初年度でなかなか難しかった点があるなということからすれば,今後の努力を求めるという意味で,全体的にまだ努力をするべきあれがあるのではないかという受け止め方をしたんです。   いわゆる事務的というようなものは(2)で評価されているところからいうと,これはむしろ実質的にどういうふうな連携があったのか,関係機関との間で。そして,そういうことの成果が上がったんだろうかという問いかけかなと受け止めたんですが。 小林委員 これは考え方の問題だと思うんですけれども,18年度の目標が協議会を開けばというところがちょっとまずかったかなと思うんですね,皆さんのおっしゃっているところで。私もAにしたんです。それは形式的に達成しているというので,梯子外しみたいなことはまずいかなと思うんですけれども,評価という意味では,今,嶋津先生がおっしゃったようにほかの評価の仕方とそろえてした方がいいかなとは思います。 山本委員長 前回決めた業務の実績評価にかかわる基本方針のところで,A,Bというのは基本的には中期計画の実施状況で,その年度における中期計画の実施状況に照らして,中期目標を達成することがどの程度見込まれるかということで評価をするということなので,年度計画が完全に達成されていれば当然Aかというと,アプリオリにはそうではないと,少なくとも理論的にはそうではないと思うんです。 井上課長 中期目標というのは法務大臣が指示しまして,中期計画はそれを受けて作ったものを法務大臣が認可するんですけれども,年度計画は,勝手にといってはあれですが,法テラスが独自に作って,届出を受けるだけですので,その内容が不十分だという評価は理論的にはできます。年度計画をやっているからAにしなければいけないということはないだろうと思います。   それから,嶋津委員から御発言ございましたが,評価Aというのはあくまでたたき台でございまして,委員の方々でBにするとしたら,初年度の取組としては,地方協議会の内容が事業の周知程度にとどまっておりまして,協議会の中身の持ち方としてはもっと充実したものが本来あるべきだというふうな見方からいけば,Bにする理由は幾らでも書けるだろうということでございます。 山本委員長 今の前提だと小林委員はむしろBの方がいいのではないかということでしょうか。 小林委員 例えば,「地方協議会の参加者は,各地においてばらつきがあるものの平均100名」と書かれているんですけれども,100人も集まって何をするのかと,具体的にイメージが沸きにくい感じもします。 山本委員長 実質的な会議体になっていないのではないかいう感じで……。 小林委員 ええ,何をなさっているのか。もう少し工夫があってもいいのではないかという気がするんです。 山本委員長 いかがでしょうか。ほかの委員の御意見をお伺いしたいと思います。 岡田委員 地方協議会は100名ということになると,壇上からという形式なんですかね。 井上課長 これはまさに地方によっていろいろだと思います。多くなればそうなると思いますし。最初は法テラスはこういう仕事をしていますという説明部分が多かったことは間違いないので,それに対して質疑応答が会場との間で行われていたのが多いだろうと思います。 岡田委員 私が聞いたところによると,あれが地方協議会かなと思うんですが,日弁連でやったというので。ただ,コールセンターの説明がほとんどだったというお話を聞いているんですね。そうするとAには到達しないかなという感じがする……。 小林委員 協議会のときにも,そこは詳しく質問が出たと思うんですけれども,連携というか,コールセンターに質問が来たときに回してもいいというような程度の連携を,ちゃんとつないだというところまでしかおっしゃれないような雰囲気だったんですね。もうひと頑張りしてくださったらいいなという感じがしています。 山本委員長 今出ている御意見としては,むしろBではないかという御意見が多いですかね。 吉川委員 さっきの問題に戻るんですけれども,結果で評価するか,努力で評価するかというところで,かなり評価は割れると思うんです。総論の部分は結果で評価せざるを得ないんだけれども,具体的な項目で何をやったかという部分については,本当にやったかどうかという努力の方で評価してもいいのかなと。さっきの地方協議会を開くという年間計画については,ちゃんと開いたということはAに値すると。それから,常勤弁護士の確保というのも,結果だけで評価するとなるとかなり厳しい命題で,どれだけ初年度として打てる手を打ったかというところで見てあげていいのかなと,具体的な項目についてはですね。そういうようなことで,常勤弁護士については難しい中をかなりやったなというところを見て,私はAでもいいのかなと思ったんです。 山本委員長 常勤弁護士は次の④なんですが。②,③の部分も,吉川委員の御意見だと,地方協議会を開催しているのでAでよろしいのではないかという御意見でしょうか。 吉川委員 そうですね。 山本委員長 どうぞ,知久委員。 知久委員 私は地方協議会がどのような場であるかを知るために,埼玉の第1回地方協議会に参加してきました。市町村や関係団体の方が100名近く来ていまして,法テラス側は今後の連携方法についての説明をしていましたが,参加者側からは,実際にどういうふうに連携していくのかが良く見えない等,その点ばかりに意見が集中していました。単に連携していくんだと何をやっても結局今までと変わらないんじゃないかという意見が市役所の職員から出ていましたので少々心配しておりましたが,協議会が終了する頃には,趣旨についてのところが少し理解されたような印象が会場内にはあった気がします。   先ほどの吉川委員のご意見と同じように,これをやったかどうかという判断で見るのであれば,A評価でもいいのかなという意見ですけれども,どこまで浸透したかとなりますと,資料の35を見ると参加者が6~7名と少ない地域もありますので,その辺をどう評価するかということもありますが,人数ではなくて周知度合いを評価することだとすれば1回でも2回でも今後も継続してやっていくわけですから,そういう意味であれば地方協議会を開催したこと自体は評価してもいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。 山本委員長 Aの評価でよろしいのではないかということですね。それなりの効果は上がっていると。   ということで御意見は真っ二つに割れているような状況のようにうかがえますが,いかがでしょうか。   はい,どうぞ,宮野委員。 宮野委員 僕が先ほど言ったのは,認知度が低い,だから,そこから出てくる意見は非常に偏ったもので,平らなものではないということ。それから,そういう状況の中で,つまりここで評価の目標というのは,その意見をどういうふうに反映するかということにポイントがあるだろうと思うんですね。そこで出てきた意見が業務運営に反映されて,それで正しいのかという観点からすると,認知度が先ほどみたいに10%ではだめではないかと思うんですね。だけど,先ほどの説明でたくさんの関係機関と連携したとすると,それぞれの関係機関が関係している裾野が広いのではないか。その裾野の広い関係機関が広い人たちの意見を集約して協議会で反映させている。だから業務運営にその機関の意見を反映させても間違いない業務運営になるのではないかと,こういうふうに思って認知度10%であっても,関係機関の連携度合いが良ければAでもいいでしょうと,こういう意味で僕は言ったわけです。 山本委員長 なるほど。どうでしょうかね。 岡田委員 私たちの中では,今回,初年度だから努力しているからAとつけましょうと。だけど次回はもっと厳しく,実際に効果があるのかないかという視点で評価しますよね。そうすると次回にBになることはあるわけですかね。 山本委員長 それは十分あり得る話ではないでしょうか。 岡田委員 そうすると,1回目に関してはここまでやっているからということで評価して,ただし中身に関しては次回以降だよと。 山本委員長 そこの理由のところで,先ほど嶋津委員,小林委員から出てきたようなお話をやや厳しい口調で書くと。 岡田委員 書いていただいて。協議会というのは協議しなければいけないと思うんですね,名前からすれば。ただ一方的に説明して一部の人が質問すると,それは協議会ではないと思うんですね。例えば地方自治体も連携ですよね,関係ですよね,そういうところからも出てきて,そういうところからもどんどん意見が出てきてこちらからも意見が出ると,それが協議会ではないかなと考えると,今後に関してはもっと厳しく……。 山本委員長 確かに初年度については,知久委員もおっしゃっていましたけれども,最初なので皆さんあまりご存じないから,どうしても説明的な感じが中心になる。そうすると人数が多くて説明して質疑応答と。ただ,2年度以降はもう少し実質的な協議がなされることが必要であろうと。それがなされないと利用者の意見の聴取に努めるということはなかなか言えないと。 吉川委員 その点に関しては,地方協議会の実情というか,ただ一方的に法テラスの幹部側が何か説明して終わっているのか,それともいろいろな意見が上がってきているのか,そのあたりはどうなんでしょうかね。私は法律扶助協会の副会長をやったことがあるんですが,地方協議会というのは幹部にとってはつらいときで,ものすごい批判をされるんですよ。かなりいろいろ言われるんです。ですから,この法テラスになってからの地方協議会の状況はどうなのかなというのはちょっと興味がありますね。特に消費者団体の方がいらっしゃればいろいろな御意見があるはずなので,それがフロアから出ているのか,そこらあたりはどうなんでしょうかね。 井上課長 資料1-2の3ページに関連の質問を投げて返ってきております。先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども,3ページの一番下の②あたりからでございますが,協議会で寄せられた意見,要望等はたらい回し感が生じないためのあれが必要であるとか,そのような御意見,御要望が出て,いろいろ対応しなければという感じの答えが返ってきているという程度でございます。地方協議会の持ち方は各地域によってかなりばらつきがあるだろうと思います。 吉川委員 こういう事業は現場が大事ですからね。現場の意見が上がってこないとうまくいかないですからね。 山本委員長 それでは,いかがいたしましょうか。たたき台どおりにAとして,地方協議会の今後の持ち方については工夫・検討をして,十分な協議の実質が上がるように努めることが必要であるというようなことを書き込むと。 小林委員 そして,その情報をこちらにも伝えてくださるようにしていただかないと,評価ができませんので。 山本委員長 協議会の具体的な実情ですね。 小林委員 ええ。先ほど吉川委員もおっしゃったように一体どんなものかと。地域によって違うというのは重々想像がつきますので,極めて大変な作業かもしれませんけれども,そういうことをすることによって,自分たちの仕事のフィードバックを図るという効果もあると思うんですね。一生懸命やって,そんな時間があるなら中身のことを一生懸命やりたいという気持ちも起こり得るとは思うんですけれども,それだけではなくて,客観的にどうかという立場に自分たちとしても立つ時間があってもいいかと思うんですね。 田中委員 (1)の総括の項目の評価に当たり,①から④までを整合的に全部Bあるいは全部Aにしなくてはならないということではなく,それぞれ個別的に考えてもよいという前提に立ちますと,この②,③の項目は,年度計画を定めたときにも,18年度内1回以上地方協議会を開催するということが達成できれば,その中身についてはある程度成果は推認されるという考え方,そういう発想があったのではないかと思います。   今の段階で,中身が具体的にどの程度のものであったのかということを,限られた素材の中で厳密に判断していくというのは相当難しいことのように思われます。次年度以降になれば,素材も増えていくでしょうし,先ほど出ましたように,協議の内容がどうであったのかというソフトの問題にも入っていける時期は来るのではないかと思います。現段階では,ここにあるようなある程度の形としての協議会の開催の成功によって,ここに掲げられている成果は推認されると。そこを推認する形で評価してよいのではないでしょうか。そういう意味ではAでよいかと思います。 山本委員長 どうぞ,髙部さん。 髙部委員 私も田中委員に賛成なんですが,半年の間に片側で地方事務所の立ち上げをしながら,片側で協議会を開くために地方での根回しを行うというのは,相当大変な仕事ではないかなというのが私の印象なんです。ですから,よくやられたよねという意味ではAという評価もあり得るのかなと。ただ,各委員からお話が出ていますように,ことしは半年の間でしんどい中でおやりになったのでAという評価はあり得るけれども,これからは中身ですねという趣旨のことが,先ほども委員長がおっしゃったように,中身として付言しておけば,半年でよく頑張ったよねと私は言いたいなという意見です。 吉川委員 委員長の総括でいいような気がします。 山本委員長 そうですか。それでは,この項目についてはそのようなことでよろしゅうございましょうか。結論としては,評価としてはAと。ただし,先ほどのような形で理由のところにつけ加える形で付言すると。ありがとうございました。活発な御意見を頂戴することができました。   それでは,続きまして3ページの,先ほど吉川委員も若干お触れになったところですけれども,常勤弁護士の確保を中心とした契約弁護士等も含めたところでございます。先ほど事務局から御紹介がありましたように,ここは議論のあり得るところで,委員の皆さんの評価は真っ二つに分かれて,AとBが同数になっております。たたき台としてはBということで,これも先ほどの評価の姿勢にかかわるところですけれども,頑張ったけれども,24名という最終的な常勤弁護士の確保数を考えるといいのではないかという形で,この原案はできているということだと思います。先ほどの吉川委員の御意見は,もう少し努力の方を見るべきではないかという御意見であったかと思いますが,いかがでしょうか。   小林委員,お願いします。 小林委員 常勤弁護士が見つかりにくいと,極めて難しいというのはよく分かるんですけれども,よく分かるからこそ,この人数でこのまま行ったのではという危機感があってもいいのではないかなということがありまして。もしAにするとすれば,努力目標の方向の一つとして弁護士の立場で本当に来たいような中身としての工夫,システムとしての工夫,あるいは,うたい文句としての工夫,そういうところが努力するジャンルとして残っているのではないか。   ウェブサイトをちらちらと見ていましたら,弁護士が来る気になるようなことをやっているのかというような,結構厳しい言い方だったんですね。例えば9年で切られちゃっていて,自分の将来設計が立てられないというようなところがあったり,たくさん覚えてはおりませんけれども,来てもらいたい人の立場に立った,繰り返しになりますが,中身としての工夫と宣伝文句の工夫について,もう少し努力を続けられるといいかなと思います。 山本委員長 そういう努力の余地がまだまだあるのではないかというような書き方という御意見ですね。 小林委員 ええ。 山本委員長 いかがでしょうか。 岡田委員 私は弁護士会が一生懸命頑張っているという感じがしてしょうがないんですよね。その意味で司法支援センター自体がどの程度努力したのかというのが見えないんですよ。弁護士会におぶさっているという感じがしてしょうがないので,Bでいいのではないかなという感じがするんです。 山本委員長 自分で頑張れということですか。 岡田委員 何やっているのかっていう感じが見えてこないんですよ。ことしの福岡のシンポジウムを見てもそうなんですけれども,若い弁護士さんたちが情熱でやっているという感じで,涙ぐましい感じなんですね。それを見たときに,司法支援センター自体はどうなのかなという気がしてしょうがなかったものですから。確かに年度計画では弁護士会が云々と,それだけしか書いてないんですけれども,本家本元がもっと努力してというところがほしいなという感じです。 吉川委員 これはあとに出てくる6ページの(4)の国選弁護人確保のアイテムとどういう関係に立つんですかね。6ページは全部Bで,答えもBになっていますけれども,これと今のは同じと見れば,両方同じでなければおかしい,答えも同じでなければおかしいですよね。 井上課長 3ページの方は,目標の書き方が「努める」ということになっていたので,「努める」というところを重視して自己評価はAにしてあるので,そこに賛同された委員の方もいらっしゃるということだと思うんですが,「努める」というのは,主観的に努めるだけではいけないのかなという感じもございまして,目標達成に必要な努力,有効な努力が必要だったのかという観点でたたき台は作っております。 山本委員長 たたき台の考え方的には基本的には同じようなことであるということなんでしょうね,3ページと6ページは。   どうぞ,嶋津さん。 嶋津委員 今,吉川先生がおっしゃられたように,国選弁護人の確保と常勤弁護士の確保,それから,司法過疎対策は国民の焦点が当たっているところだと思うんですね。出発に当たって,ものすごい順調に出ていったなというふうなイメージか,あるいは,法テラスができたけれども,これから本当に大丈夫なんだろうかというふうなイメージかは,例えば常勤弁護士を法テラスで採用することは,実際の事務をやった立場からいうと大変難しいことだと思うんですね。   だから,24人もよく集まったなという感覚で見るか。あるいは,法テラスを作った時に国民が期待した地域の過疎対策や,国選弁護人の確保,そういうものはこれからどんどん努力をしてもらわなくちゃいけなのではないかという目で見るのかというので,評価は分かれちゃうと思うんですね。この評価委員会としては,国民の期待という目でまだ努力してもらわなければいけないのではないかなという姿勢は出す必要があるのではないかなと私は思います。 山本委員長 なるほど。嶋津委員としてはここもBでよろしいのではないかということですね。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 宮野委員 これは,事務局案では評価Bとなっていて,自己評価はAなんですね。このAについて前に考えたのは,これと関係のある部署,例えば総合法律支援の充実のところ,それから,業務運営の効率化のところ,民事法律扶助,国選弁護人とありますが,さらにその他のところ,これの関係のところはみんなBになっていたんですが,ここだけAだったんですね。それぞれのBとする理由は,採用した24名では未だ十全に配置できたとは言いがたいという理由でBになっているわけですね。そちらがBならば,こっちの④もBが正しいだろうということで言わせてもらって,今回,事務局案がBとなっているので,これで満足しているわけですけれども,こんなところでいいのかなと私は思っております。 山本委員長 なるほど。センターとしては,先ほど井上課長が言われたように,ここでは「弁護士確保に努める」ということが中期目標になっているので,努めてはいるということで,Aという自己評価をされたんだろうと思いますけれども,それでは必ずしも十分ではないという御意見ということですよね。   いかがでしょう。今のところややBの御意見の方が多いようには思いますが。 吉川委員 また最初の問題に戻っちゃうんだけれども,年度計画の書き方からいうと,日弁連,単位弁護士会,その他司法修習生,弁護士に対する説明を行うというのが計画なんですよね。結果をどこまで出すかというのは年度計画のところに書いてないんですね。 山本委員長 おっしゃるとおりですね。 吉川委員 それでちょっと迷っちゃうんですね。僕は多分Aにしたと思うんですけれども,書いてある計画どおりにやっているのではないかという点でね。確かにまだ結果は出ていない,本当に大丈夫な結果にはなっていないんだけれども,年度計画の関係での評価ということになると,一応計画は実行したという観点でAになっちゃうのかなという気がするんだけれども,その辺はどうなんですかね。評価の仕方にかかわることなんですね。 山本委員長 先ほどの説明にもありましたように,基本方針として中期目標の達成がどの程度見込まれるかということが基準で,年度計画が達成できても,中期目標の達成がなお努力しないと見込まれないということであれば,基本方針からすればBということはあり得ると,年度計画を100%達成してもBということは理論的にはあり得ると。位置付けとしてはそういうことかなと思うんです。 吉川委員 それで言いますと,この前の説明会だか勉強会だかの時に,今後の確保の見通しについてはかなり明るい見通しを述べておられて,それが初年度の努力の継続として,初年度は24人で終わっちゃったけれども,次年度以降はかなり大幅に増えるという見通しを述べられたように記憶しているんですが。 山本委員長 ええ,それはそうだったと思います。 吉川委員 もしそうであるとすれば,そういうことも加味して,あくまでも中期の目標は中期に達成すると。それに向けて初年度はこれだけのことはやったというので,Aになる可能性もあるかなという気がするんですね。 山本委員長 おっしゃるとおりそういう可能性はあると思います。   髙部委員,どうぞ。 髙部委員 私はそもそもこの年度計画自体が達成されていないという認識です。それはどういうことかというと,これは中期計画の中にも入っているんですけれども,常勤弁護士というのは実務経験年数をも考慮するということが入っているわけで,当初計画されていたのは5年程度の経験があって即戦力のある人,特に今後,裁判員制度が導入されるに当たって,刑事事件に関する一定限度の資質のある先生方に常勤弁護士になってもらいたいという希望が前提としてあったことは明らかだと思っております。   しかるところ,7月13日の御説明でも経験を有する弁護士の確保というのは非常に難しくて,司法修習生から研修を実施する形でそういう確保に努めていきたいということをおっしゃっているわけですから,そこには方針変更と言いますか,シフトがあったことは明らかなので。もっと言えば弁護士さんに対する説明を行ったけれども,結果としては経験年数を一定年度有する弁護士の確保は難しいことがよく分かりましたというのが,この1年目の結果なものですから,私はこれはB以外にはあり得ないと強く思っております。 吉川委員 今の髙部先生の発言はある意味では法テラスについての根本的な問題の御指摘を含んでいる。問題はお金なんですよ。お金がどのくらい出るか,つまり国がどのくらい出してくれるかということとどういう弁護士が確保できるかということは強い相関関係があって,その予算によっては今後もしかるべき経験年数を有する弁護士の確保は非常に難しい。結局,新人をとって法テラスで養成して能力をアップしていくしか方法がないというところに追い込まれてしまうということで。そういう意味も込めて今のような評価を理由中に書き込むということであれば私も賛成です。今後の見通しもうまく書かないと,今年度の実績で,この前の甘いというか,明るい展望も,結局は新人をたくさんとって,数は帳尻を合わせるということになるとすれば,本来の常勤弁護士の確保という目標を達成できないということになっていくと思うんですね。 髙部委員 ちょっと追加的に申し上げさせていただくと,事務局案のところで「より効果的な確保の方策として,司法修習終了直後の新人弁護士を常勤弁護士として採用し,組織的な研修により実務能力の涵養を図る新たな常勤弁護士確保策の導入に向けた検討が進められており」ということで,まさにそこはきちっと明確に今後の方策も含めて記載されていると思います。ですから,今,吉川先生がおっしゃった内容については,ここに書いてある案文というか,評価理由の中で意を尽くされているのかなと私は認識しているところなのですが。 吉川委員 ただ,この書き方だと,先生がおっしゃった,しかるべき経験年数のある弁護士を一定数確保しなければいけないという目標には必ずしも合致しないことになるのではないですか。 髙部委員 その点については,私は弁護士なものですから,あえて申し上げさせていただきますけれども,先ほど岡田委員の言われたこととは違うんですが,日弁連がもっと協力しないと難しいと思います。ある意味これは法テラスの問題ではないので。しかし,片側でお金の話でできないんだと言っちゃうとずっとできない問題なので。ただ,率直に言って,今置かれている諸般の状況から考えれば,それもあって弁護士の数も増やしていっているわけですから,今は経験年数は短いけれども,3年4年経っていけば経験の豊富なというか,一定の経験を積んだ弁護士さんが常勤弁護士として活躍してくれるだろうというところはあるのかなという気はするんです。   ちょっと言い過ぎているかもしれません。すみません。 山本委員長 確かに法テラスだけの責任ではないというか,外在的ないろいろな,予算とか弁護士会の問題とかあって,法テラスが努力をすれば直ちに結果に直結するという部分の項目ではないことは確かなんでしょうね。他方で,外在的な状況を鑑みてもなお努力として十分かと言えば,完全に十分な努力をされているというわけでもない,もっと努力の余地があり得るということも皆さんの御意見なのかなという感じがして,それをどういうふうに評価して,どういうふうに書き込むかということかなと思うんですね。   御意見の大勢からすると,評価としてはBで,ただ相当の努力はされているというところはもちろん評価をしながら,それから,そういう外在的な状況があるということを認めながら,なお一層の工夫・努力が必要であるというのが大体の御意見かなというふうにお伺いしましたが。   どうでしょう,知久委員。 知久委員 法テラスだけでは改善できない部分は努力で補えるものなのかというのがすごく疑問なのですが,実際のところどうなのでしょうかね。 井上課長 努力もしていただかないといけないというのが評価で。もちろん弁護士会の協力というものも,いろいろな意味で協力が,世の中の変化も必要になってくると思いますけれども,難しい問題であることは間違いありません。ただ,努力していろいろな工夫をしていく過程で,今回の初年度のB評価が2年3年経ってA評価に変わることを期待していきたいというのが,一部の先生の御発言かなという感じです。 山本委員長 どこかにブレークスルーがあるのではないかという期待の下にということだと思うんですけどね。   どうぞ。 田中委員 私も,年度計画を見ていて,中期目標の達成との関係で今回の評価は非常に難しく,他の項目との整合性を求める過程でいろいろ悩んだところがあります。この年度計画でいきますと,法テラスによる常勤弁護士の業務内容及び採用情報などに関する説明義務はきちんと果たされたように思いますので,当初はA評価でもよいと思っておりました。   ところで,刑事事件の関係では,来るべき新国選制度による弁護人確保が急務であるという情勢をにらむと,本来は,ほかの国にもありますような公設の弁護人制度と言いますか,刑事に関する公設弁護人事務所の実質を備えたパブリック・ディフェンダーズ・オフィス的な方向を目指すのがあるべきスキームだろうと思います。ところが,法テラスそのものが創設の経緯を含む様々な事情から民事的な業務と刑事的な業務を融合した制度として立ち上げられているものですから,専門性の純化が難しいような状況にあり,今後ともいろいろと難しい局面に立たされることがあるのかなと思います。   そういう中で,専門性を備えた常勤の弁護士の数を増やしつつ,その力量を質的にも高めていくという仕組みを作っていくためには,リクルートの面でいかに多くの人を確保するかという問題と,確保した人たちに対していかにして質的に高い教育を施し,健全な司法の営みに耐え得るような胆力のある,力量のある弁護人を育成していくのかという二つの問題があります。そういう中で翻って現在の状況を考えてみると,常勤弁護士の確保の問題について,その対象者の実務経験年数に関する戦略的な転換があったようにうかがわれる一方,採用された新人弁護士等に対して,組織的な研修を施して実務能力の涵養を図るという面においては,流動的な要素が課題として残されているということになります。   常勤弁護士の数の確保につきましては,確保できる見通しであるというような情勢分析を承知いたしましたけれども,それに関しては実務経験年数を考慮した法曹をいかにして経常的に採用していくのかというあたりの方法論と言いますか,戦術的ないし戦略的なものが我々にはまだ見えてきていない部分もあります。常勤弁護士の確保にかかわる実情を踏まえて,常勤弁護士の確保の方策として新人弁護士を採用するということ自体は大変よいことだと思いますし,頑張ってほしいと思いますけれども,その見えてきていない部分があるところを考慮しますと,今回はBにしておいて,次年度は更に頑張っていただくというのも一考かと思います。我々としては,総合法律支援の担い手としてふさわしい人数が集まってきているのかとか,研修プログラムとしてもきちんとした方針が立てられ,組織的かつ系統的に充実した研修が実施されているのかというあたりを検討してから,次年度にA評価をするかどうかを考えてもよいのではないでしょうか。   山本委員長 ありがとうございました。 小林委員 18年度が3月で終わっているわけですけれども,それから4か月経っていますよね。7月の勉強会の時点で既に3か月経っていたんですけれども,そのときの御説明でほわっとした,若手に組織的に研修をさせると,そういう方向で少し光が見えてくるという程度のお話しか伺えなかったんですが,実際には例えば研修も含めた条件で応募がどのくらいあったのかとか,そうではなくて,宣伝したときの手応えからそういうふうにおっしゃっているのか,その辺をもうちょっと詳しい……。 井上課長 修習を終了してきた人を新たに採用してやる研修は今いろいろ企画をしていると聞いております。聞くところによれば,今年度19年度中に数十名,合計100名近くまでの採用が進むだろうという中で,何段階かに分かれて修習の終了時期がありまして,やっていきますので,その過程でいろいろ企画をしている段階というふうに聞いています。 山本委員長 それでは,御意見は大体頂戴できたかと思いますが,私の見たところの御意見としては,最終的な評価の結果としてはBということでどうかと。あとは,今出てきた御意見,おおむね理由のところでそれを踏まえた書き方をされているのではないかという感じがします。法テラスとしては相当程度頑張ってやっていると。採用活動への取組は非常に熱心に行われたと思われるという表記がございます。ただ,結果としては24名にとどまるということで,十分な成果にはつながらなかったということで,さらに新たな工夫や一層の努力が必要であると。   ただ,先ほど方針の転換というお話もございましたけれども,より効果的な確保方策としての,終了直後の新人弁護士を組織的な研修で育てるという方向の検討も進められているということで,今後,中期目標達成に向けてこれが成果に結びつくことを期待したいと。そういうまとめになっていて,そういう意味では御意見を反映した記述になっているような感じもいたすのですが,吉川委員,いかがでしょうか。 吉川委員 今の結論は結構だと思いますが,先ほどの髙部先生の御指摘を踏まえると,最後の文章で「新人弁護士を常勤弁護士として採用し」,つまり新人弁護士でカバーしていくんだと,その成果に期待するということだけでなくて,それ以外にもしかるべき経験年数のある弁護士を確保するような工夫が必要だというようなことを書いておいていただいた方がいいのではないでしょうか。 山本委員長 ええ,それは。 小林委員 その辺はずばり予算も含めてという意味ですかね。 山本委員長 そうですね,それは必要であるということは皆さんコンセンサスだと思いますので,その点は加えていただいて。   よろしゅうございましょうか。そういうような形でまとめをさせていただきたいと思います。   かなり時間をとって御議論いただきましたが,これは非常に重要なところであったかと思いますので。(1)についてはおおむね以上のような形で結論とさせていただきたいと思います。   それでは,(2)に移りましょうか。4ページから8ページぐらいまでまとめて御説明をお願いします。(2)の部分ですね。 井上課長 あまり争いもなさそうなところは簡単に説明をさせていただきます。   4ページ,(2)情報提供・関係機関連携強化でございます。この点につきましては,中期計画,年度計画に記載してございますが,省略いたします。   自己評価がAで,各委員の評価もほとんどAでございました。現状におきまして,中期計画で想定した連携の目標を上回る相談窓口との連携関係の構築が図られていると。今後の課題は連携協力関係の質の向上である。そこは連携指数の上昇に向けた努力であって,地方協議会で出席者から出された意見・要望を踏まえて今後いろいろとやっていくと,さらなる拡大についても期待できるということで,ここはAでいいのかということでございます。   資料1-2の引用は必要なところに限らせていただきます。   5ページをごらんください。(3)民事法律扶助でございます。目標,計画は,受任者の確保態勢の全国的に均質な確保を図るということと,アンケート調査を行ってニーズの把握に努めるという関係でございます。自己評価はB,多くの委員もB評価を中心にされておりまして,たたき台もBにしております。ここは,初年度常勤の確保数が24名で十分でなかったという自己評価を踏まえているということでございます。   当面の事件処理に支障のない程度の一般契約弁護士,契約司法書士は確保しておりますけれども,「扶助国選対応地域事務所」を4か所設置して,そういう努力もいろいろしまして,体制整備に向けた相応の取組をなされたと。ただ,全国的に均質な方向の取組はしているけれども,自己評価にございますように,まだまだ十全の配置ではなくて,地域によってはさらに一層契約弁護士や司法書士の確保に努めなければならないとか,大都市圏でない地方において一層の増員に努める必要がある。そのような認識の下で,今後とも担い手となる弁護士等の少ない地域にさらに常勤弁護士を常駐・巡回させるとか,一般の契約弁護士・司法書士の確保に向けて一層の努力が必要であるということでございます。   また,アンケートの実施につきましては,年度計画がなくて,19年度以降の計画ということになっております。それはそれで一つの見識ではありますけれども,ニーズの把握は毎年度の業務に反映できるものなので,できるだけ早くやっていく方が望ましいということを指摘して,努力を求めていきたいということでございます。   続けて,6ページ,国選弁護人確保でございます。ここが一番分かりやすいかと思いますが,全国的に均質な弁護人確保態勢の確保ということでございます。この点につきまして,自己評価はBでありますが,これは24名しかできなかったということが多くの理由でございます。各委員の評価もB評価でございまして,たたき台もBにしております。特に国選につきましては,21年に大量に業務が増えるということから,その確保態勢の整備はとても重要であると。一般契約弁護士と常勤弁護士の計画的確保に特に必要であるところ,初年度,常勤確保が非常に少なくて,中期目標達成に向けた取組の成果は必ずしも十分ではない。   以下の文章は,先ほど議論になったように,新しい採用の養成スキームを導入することによって,成果も期待できるので,今後は新しい工夫と一層の努力によって,全国的に均一な弁護人確保対策の確保を期待するということでございます。   それから,7ページはちょっと意見が割れているところでございまして,司法過疎対策でございます。ここは日弁連のいろいろな営みとの連携協力が必要なところでございますが,いわゆる「ゼロワン地域」の解消に向けて,センターの常勤弁護士による法律サービスの提供体制を整備していくというのが目標でございます。それに対応して優先度を考えながら地域事務所を置いて,常勤弁護士を常駐させるなどの対策をとっていきましょうという計画でございます。   自己評価はAで,各委員の評価もAの方が少なくなかったんですが,たたき台はあえてBとしております。その理由でございますが,今年度,常勤弁護士を常駐させる司法過疎対応地域事務所が6か所設置されました。また,巡回サービスも一部で試行されています。その意味で司法過疎対策として一定の成果が上がった,そこは評価できます。しかし,いわゆる「実質的ゼロワン地域」は,これだけ事務所を設置した後でもなお全国にまだ三十数か所残っておりまして,その解消に向けた努力はまだ十分とは言えないと言わざるを得ないのではなかろうか。その解消のためには常勤弁護士の確保が不可欠であるところ,そこが十分に集まらなかったことが今年度の成果の限界であったということでございます。   しかしながら,19年度以降におきましては,常勤弁護士の一定数の確保の目処がついている関係で10か所程度設置する計画であるということでございまして,今後は必要なところに必要なサービス体制を整備することが期待されると。将来についてはやや明るい見通しを示しつつも,現状においては本年度の業績としてはBという評価は仕方ないのかなというところでございます。   8ページ,犯罪被害者支援。これは関係機関との連携強化が主要な目標でございまして,ここはよくやっている方だと思います。自己評価もAでございますし,評価の方も,各地方単位のネットワークに参加する,ほとんどの地域では既に参加していますし,まだのところも今後やる見通しがあるということで,着実に成果が上がっているだろうということで,A評価ということでございます。   以上です。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,まず4ページの(2)情報提供・関係機関連携強化の点でございます。ここは,関係機関・団体との連携を構築し,連携指数を上昇させていくという目標になるわけでありますけれども,初年度としてはそれなりの目標を達成したのではないかということで,大方の委員の評価はA,自己評価もAということになっているかと思います。   いかがでしょうか。ここはAということでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,中身についてもおおむねこのようなことで書かせていただくことにさせていただきたいと思います。   次は,5ページ,(3)民事法律扶助でございます。先ほどの常勤弁護士の問題とも関係するわけでありますけれども,委員の多くの御意見はB,自己評価もBになっております。努力はされているけれども,なお一層の常勤弁護士,契約弁護士等の確保に向けた努力が期待されると。それから,ニーズの把握の問題もございまして,今年度についてはBでどうかという意見かと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,評価はBとさせていただいて,その理由については,そこに記載されたとおりで確定させていただきたいと思います。   続きまして,6ページ,(4)国選弁護人の確保の点でございます。これは皆さんBの評価でございまして,あまり問題はないかと思いますが,よろしいですか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,ここはそういう形で。   一番問題だと思いますのは,7ページの(5)司法過疎の対策という点でございます。先ほど事務局から御説明があったような理由で,自己評価はAで,委員の評価もAが多いわけですが,原案的にはBになっているということで,「実質的ゼロワン地域」の解消という観点からすれば,初年度の実績は未だ十分なものとは評価し得ないのではないかということでBと。ただ,将来的には明るい見通しがかなりの程度あるというお話かと思います。原案はBということですが,いかがでしょうか。 吉川委員 これは司法過疎をどこまで法テラスがカバーしなければいけないかという問題と関係があって。私,弁護士ですから,弁護士の立場から申し上げますと,今,司法過疎地域にある事務所の受任している事件はほとんどが有償の事件なんですね,事業報告書にありますけれども。ということは,ある意味では一般の弁護士のコンペチターのようなことを法テラスがやっているということになっていまして。日弁連でも司法過疎の問題に取り組んでいて,ひまわり事務所をはじめ一般の弁護士が,採算の合うような形で事務所を開設するというやり方で司法過疎に取り組むと。それとこの法テラスの活動とをどう調和させていくかというのがかなり大きな論点になってくるかなと思うんですね。   そういう観点からいうと,法テラスだけが非常に頑張っちゃって,日弁連などの一般の,あるいは,民間の弁護士がカバーすべき分野に,言葉は悪いけれども,侵食するような形で法テラスが活動するというのは本当に望ましいのかどうかという問題もあると思うんですね。そういうことを考えながら,周りを見ながらバランスをとって,法テラスの司法過疎対策が発展,展開されるべきではないかと思うんです。そういう観点から言いますと,初年度の取組としてはAでいいのではないか。つまり50も60も司法過疎地域に一遍に法テラスの出張所等ができてしまったというのが,全体的に見て望ましいのかどうかというのは検討が必要な問題が含まれているということで,とりあえず司法過疎対策に初年度として取り組んだというところを評価して,Aでいいのではないかと思います。 山本委員長 いかがでしょうか。 井上課長 一点補充させていただいてよろしゅうございましょうか。補完性の原則というのがございまして,民業圧迫の。14ページの司法過疎対策のところでは,まさにその点から適正に設置されているか,あるいは,見直しが行われているか,そういう評価はそちらでするということになっております。したがいまして,こちらの今やっている方は現にそれだけ司法過疎地域がある中で,補完的な観点でいっても法律サービスの提供のためにどれだけ努めているかという見方をしていって,あとは日弁連の営みとの協力の中でやっていくということも書いてございます。その中で情勢を見ながら,ここで打ち止めだろう,あるいは,もうここは撤退すべきだということは,14ページで評価していくのかなということです。 吉川委員 となると,7ページの項目と14ページの項目とはどういうふうに違う視点から評価する……,単に客観的にまだ足りないからということでB評価ということなんですか。 山本委員長 7ページの方は必要なサービスが提供されているのかという……。 井上課長 現にサービス提供の支援の充実のための措置,総合法律支援の充実のための措置として展開すると。 山本委員長 どうぞ,嶋津先生。 嶋津委員 今の吉川先生の意見は十分分かるんですけれども,弁護士会も来年度から大幅に司法過疎対策に努力されると。ただ,今の話は,司法過疎対策を一つの目的として法テラスがつくられたわけで,コンペチターであるかもしれませんが,司法過疎対策に責任を持っていることは間違いないと思うんですね。したがって,それ以外の契約弁護士の確保とかいうものが十分できなかったと言っておいて,ここのところはAにするということは,もう法テラスやるなというふうな評価に結びつかないでしょうか。   両方相まって今の補完性の原理,日弁連と当然協調しながらというのは中期計画の中にも書いてあるわけだから,日弁連と協力しながら,現にある「ゼロワン地域」を少しでも解決していこうという方向で努力すべきだというときに,初年度でもう十分できたという評価は,国民の目から見るとそれはおかしいなと,バランスがとれていないと思われるのではないでしょうか。そういう感じがします。 山本委員長 そうするとBでよろしいのではないかと。   ほかの委員の御意見はいかがですか。小林委員,どうぞ。 小林委員 吉川委員のおっしゃっているところでちょっと説明をいただけるとありがたいんですが。コンペチターになるとおっしゃったんですけれども,「ゼロワン地域」の過疎対策に協力してくださる方も弁護士であって,元々いてお困りになるかもしれない弁護士であって,弁護士さんにとってはどちらを選んでもいいというふうにはならないところがあって,問題なのではないかと思うんですが。 吉川委員 私が申し上げたのは14ページにある補完性の問題で,ほかの民事法律扶助にしろ国選弁護にしろ,国のお金で法律サービスを提供するというのが法テラスの基本的な任務になっているわけですけれども,司法過疎のところは,お金のある人が弁護士を頼むのに,弁護士がいないからどうするかと,その対策としてそこに法テラスがサービス網を張っていくという発想でできているわけですね。事業報告書からも分かりますように,過疎地域の法テラスの事務所の財政はほとんどが有償事件で,いわば自給自足できる状態になっているわけですね。   そういう意味では,本来,国のお金で法律扶助的あるいは国選弁護的な法律サービスをやるという,そのあれとは少し側面が違うのがこの過疎対策であると思うんですよ。確かに「ゼロワン地域」が解消されていないことは事実ですから,弁護士がいるようにしていかなければならないわけで,それは日弁連などが一生懸命やっているわけですけれども,法テラスがどこまで頑張るべきなのかという,ちょっと悩ましい問題があるんですね。特に私は弁護士だからそういうことを考えるのかもしれませんけれども,一般利用者の立場から言えば,だれがやったって,とにかく弁護士がいればいいんだと,そういう観点からすれば法テラスにも一生懸命頑張ってもらわなければいけないということで。   先ほどのお話のようにまだ十分ではないという評価もあり得ると思いますけれども,これは民事扶助,法律扶助などとは違う側面の活動なんだということを私は申し上げているわけです。そこには先ほどの補充性の原則が十分働き得るし,一般民間的な弁護士サービスが十分伸びていき得る業務というか分野だと思うんですよ。 小林委員 そうすると,日弁連側の努力で,法テラスとは関係がなく,「ゼロワン地域」に普通の商売ベースでお入りになることが,法テラスによる充実より先に進めば,そこは「ゼロワン地域」でなくなって,法テラスは必要がなくなるということで,これは自動的に補完ということになるんですか。 吉川委員 仮に日弁連などの努力,あるいは,市場原理に従って多くの人が「ゼロワン地域」に進出していって,「ゼロワン地域」でなくなれば,法テラスの必要はなくなるわけですよね。そういう意味で先ほど補完性の原則というのがあるわけで。何が何でも法テラスが全部頑張っちゃう必要はないということを私は申し上げているわけです。   そういう立場からいうと,もうやらなくていいとは言いませんけれども,初年度としてはこれだけやって,かなりいろいろなところに出張してサービスを提供しているということも見れば,とりあえずはAの評価でもいいのではないのかなというのが私の立場なんです。考え方によってB評価にしてもいいのかもしれないので,私は別にこだわりませんけれども,ほかの問題とはちょっと違う側面があるということを申し上げただけです。 小林委員 現場で不便かどうかというのは私は全然分かりませんので,吉川先生のおっしゃるような感覚で,24か所も増えれば随分違うというところがあるのか,そこは私にはわからないので,御専門の現場の方の……。 吉川委員 私の理想論というか,結局は法テラスがやらないとだめなんだということになるのかもしれませんね。「ゼロワン地域」は解消できないんだということになるのかもしれませんけれども,それならそれでもちろんやってもらわなければいけないわけですね。これから弁護士を大幅に増員しますから。東京はもう満杯ですから,地方に行かないと食べていけないんですよ。本当なんです。弁護士会で新しい人を採用してくれと,どこも引き取ってもらうところがないというので困るというのが現実の心配になっているんです。昨日新聞にも出ていましたけれども,大幅に地方に行ってもらうようなプロジェクトを日弁連が取り組んでいるわけで,それとの絡みがこの問題は出てくるかなということを申し上げたんです。 井上課長 おっしゃるとおり日弁連でいろいろな取組を強めているというあたりは少し書き加えた方が。そういうこととの脈絡の中でよく協力して,あくまでも補完的な位置づけですので,その辺少し書き加えるということで。 山本委員長 そうですね,それは確かにその通りだと思います。 吉川委員 こだわりません。皆さんBの方がいいとおっしゃれば,私も特にこだわりません。 山本委員長 そうですか。いかがでしょう。 岡田委員 使う側としてみれば、何しろ充実してほしいんですよ。法テラスにしろ日弁連にしろ両方でカバーしていただきたいと,そういう思いだけなんですけどね。 山本委員長 それは誠に……。 嶋津委員 ただ、司法過疎問題が出てきたというのは,市場主義的に弁護士の人がそこで商売ができない地域が空白地域になっているという現実は間違いなくあるわけですね。法テラスを介在させてそれを補う,補完するというのは中期計画なり中期目標で与えられているわけですから,そこのところはこれからも努力していくんだと。まだ十分じゃないよという姿勢は示しておかないと,全体でバランスがとれなくなるような感じがします。   今,課長が言ったみたいに,補完をしつつ,日弁連も「ゼロワン地域」対策をやるということを公表されたわけですから,そういうことと整合性をとってということで,競争して「ゼロワン地域」解消に向かうというのは国民にとってはすばらしいことだと,いいことだと思うんですね。 山本委員長 それでは,今,嶋津委員の御意見もありましたが,評価としてはBにしながら,吉川委員の御指摘で弁護士会もそのような形で努力をしていて,弁護士会の努力と連携協力を図りながら,さらに今後努力,工夫をしていくことが必要であるというような言葉を加えて。それでよろしゅうございますか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,ここはそういう形にさせていただきたいと思います。   8ページの(6)は,皆さんAということですので,問題ないということでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,(6)はそういう形で確定させていただきたいと思います。   もう2時間近くたちましたので,少し休憩をとりましょうか。   では,時間が押しているように思いますので,10分程度で,5時40分ぐらいから再開させていただきたいと思います。           (休     憩) 山本委員長 それでは,再開させていただきます。   次は業務運営の効率化の問題,9ページから14ページあたりまででしょうか。   お願いいたします。 井上課長 ここのところはほとんど問題がなさそうな感じでございますが,ざっと御説明申し上げます。   まず9ページ,業務運営の効率化の総括の部分です。ここは業務開始時から効率的な執務体制,業務運営体制を整備しなさいということでございまして,各種業務の一体的な遂行とか,常勤弁護士制度の導入,雇用・給与形態の検討等々,あらかじめいろいろ注文がついておりましたので,スタート段階から合理化された形でスタートしております。   ここは自己評価がAで,各委員の評価もAで,評価もたたき台もAにしております。これは,人的・物的体制,事務処理体制,非常に合理的に作ってあるということ。また,職員の給与も他法人との比較においても非常に低いものになっていると。低いのが自慢できるかというのはまた別問題かもしれませんけれども,少なくとも効率化の観点で文句を言われる筋合いはないという水準になっているということでございます。   次は,11ページ,情報提供・犯罪被害者支援関係機関連携強化でございます。これは,電話による情報提供業務の一元化による効率化,またはデータベース等の活用による効率化等々の目標でありまして,自己評価はAで,皆さんの評価もおおむねAでございます。   コールセンターで一元的な情報提供を図っておりまして,地方事務所における情報提供とどういう関係かという御指摘もございましたけれども,一元的な提供という基本的な体制は整備されているわけでございます。   そして,連携機関データベースとか,利用頻度の高いFAQは,ホームページで公開して,一般の利用もできるように,その活用を図っているという意味での効率化も進んでおりまして,A評価で適当であろうということでございます。   続いて,12ページ,民事法律扶助,国選弁護関係でございます。ここの効率化は所要の常勤弁護士を確保する。所要数を確保した上で,十分に働ける環境を整備して,十分に働かせて効率化を図る。また,複数事件の包括的委託等の活用もしなさいと,そのようなことでございます。   自己評価はBでございまして,理由のところも,たたき台もBで作っております。民事法律扶助も国選弁護人業務の効率的な遂行のためには,一定数の常勤弁護士を確保することが大事なことでありまして,弁護士確保のためのいろいろな努力もされておりますし,確保された弁護士についての職場環境の整備等もいろいろされておりますが,絶対数として不足しているという意味で,効率化は十分には果たされていない。ここは認めざるを得ない部分なんだろうなということでございます。今後新たに新人を採用して活用していくというやり方で,今後の改善を期待するということしかないということでございます。   一括契約につきましては,即決事件という刑事訴訟法の改正がなされて,適用事件が最初は少なくて,増えていく過程なんですが,そこそこ活用されているということで,ここはまあまあ及第点という感じでございます。   13ページがなくて,14ページ,司法過疎対策,ここは先ほどちょっと触れましたが,補完性の原則に基づく設置と見直しの項目でございます。実績欄に記載してございますように,(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)という条件を満たす,特に(ⅲ)の条件を満たしていくことが必要でございまして,管内支部人口,事件数,単位弁護士会等の支援体制等と。実際問題,日本弁護士連合会と緊密な協議の上で,どこに事務所を出すかということも決めているわけでございますし,今後,日弁連の対応が進めば今出している事務所を引っ込めるという見直しも適時行っていく必要が出てくるということでございます。現時点においては,十分にその辺を踏まえた運用がなされているということで,A評価ということでございます。   以上です。 山本委員長 ありがとうございました。   ここは委員の皆さんの御意見が一致したところが多いかと思いますが,順次やっていきたいと思います。   まず9ページの(1)総括の部分であります。一般的な効率的かつ円滑な業務運営ということですが,ここは委員の皆さんAということで一致しております。よろしゅうございましょうか,このような形で。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,次に11ページ,情報提供等の部分でございます。ここもコールセンター等による効率的な業務遂行ということで,皆さんAということです。よろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 次が12ページ,法律扶助,国選弁護人の確保という部分でございます。ここは今御紹介がありましたように,自己評価もBでございまして,委員の皆さんの御意見もBが多いということで,先ほどの常勤弁護士の問題がございまして,B評価にならざるを得ないということでしたが,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,ここもBということで,大体このような形で評価をさせていただきたいと思います。   それから,14ページの司法過疎対策ですが,先ほど吉川委員が御指摘になった補完性の問題と関係するところでございます。この点については,そういう意味での補完性は現段階では達成されているのではないかということで,おおむね委員の皆さんもA評価になっております。いかがでございましょうか。         (「異議なし」という者あり) 山本委員長 よろしいでしょうか。それでは,ここも原案どおりということにさせていただきたいと思います。   それでは,続きまして,サービスの質の向上の点ですが,15ページ以下でお願いいたします。 井上課長 中期目標,項目4のサービスの質の向上,業務の質の向上に関する事項で,(1)情報提供,15ページでございます。目標的には,提供する情報の質・量の向上と,即日の提供,そのようなことを掲げてありまして,中期計画でさらに具体的にいろいろなデータベースのFAQの増量とか,インターネットの活用,アンケート調査等々決めております。それらにつきまして,実績欄で相応のことが行われているということが書かれております。アンケート調査のやり方につきましては,ちょっと疑問もあろうかと思いますが,自己評価はAでございまして,委員の評価もおおむねAでございました。たたき台はAにしております。   FAQの質・量の増加は,それなりに見るべきものがあると思います。また,満足度調査も取組としては一応しておりますが,ニーズの調査は,コールセンターのオペレーターがかけてきた人に「どうでしたか」と聞くようなやり方もありますので,客観性でどうかということはございます。ただ,ほかにより安価に適切な方法があるかというような問題もございますが,より客観的・効果的な調査方法は検討すべきである,それが望まれるということでございます。   また,各地方事務所においては,迅速な情報提供のために,窓口対応職員にそれなりの人を置くとともに,予約優先制をすることによって窓口の混乱を回避して,即日に質の高い情報提供を図っているということで,A評価にしております。   次に16ページ,(2)民事法律扶助関係でございます。細目的な事項として,期間の短縮,それから,犯罪被害者に対する援助,それから,契約弁護士・司法書士に対する研修という,バラバラの3つのものがございまして,自己評価はそれぞれB,B,Bで来ております。   この中でやや意見が割れたのが最初の項目でございまして,援助審査の合理化の見方でございます。ここにつきまして,たたき台としてはトータルとしてBで出しております。これは,自己評価の方で,実績として50事務所のうち47事務所で何らかの合理化措置が進められているということを高く評価すればAという余地はあるんですが,自己評価自体が合理化が比較的進んでいない地方事務所にあって,一層の合理化を推進するとございます。   さらにもう少し質疑などを見てみますと,47事務所の中には合理化に着手したけれども,成果は十分に上がっていない,もっともっと合理化の余地があるというところが少なくないというようなことがございまして,全体としては一層合理化を推進すべく工夫と努力の必要性があるということでございます。そこで,この全体でとらえてもB評価でいいのかなという感じでございます。   犯罪被害者の関係は,援助を提供していない地方事務所が半分にも及ぶということから,B評価にされているんですが,これは周知が行き届いていないから,それだけ利用が少なかったという側面でとらえると,そこはそれほど恥じることはなく,援助の申し込みがあった限りにおいては迅速によい提供が行われているということで,それなりの評価はできるだろうという評価を与えております。   ただ,3番目の研修については,法テラスにおける「民事法律扶助業務解説」の配布が中心であったということで,提供される法的サービスの質の向上という観点からは,研修としてはもう少し工夫と努力が必要であるということで,今後,高齢者対策,障害者対策等々,特定の分野,新しい分野と言いましょうか,そういうところにおける研修の余地が十分にあるのではないかということから,B評価,トータルとしてなお一層の工夫と努力を要するということにしております。   17ページ,国選弁護人確保,ここはAなんですね。①,②,③と3つございまして,各地域ごとでよく協議をして迅速な選任態勢の確保を図る,協議会の開催,関係機関との連携の確保,ここは各地方事務所ともよくやっているわけでございます。裁判所,検察庁,弁護士会等の連携はうまくできているということでございます。それから,②で指名通知の所要時間の短縮を図る。ここはそれぞれの地方事務所で目標時間を立てているんですが,原則的には24時間以内を達成しておりますので,相応の成果が上がっているという評価をしていいだろうということであります。①,②のあたりはAでいいのかなという感じでございます。   ③について,自己評価がB,これは研修でございますが,どういう研修をするのかという,実務上は難しい問題があるようでございます。ただ,これは国選弁護人としての活動の充実を図るための研修ということでございます。実際に行われているのは,センターの業務についての説明的な研修にまだとどまっているということで,今後さらに努力が必要だということでございます。この点につきましては,今後被疑者国選も拡大いたしますし,さらに裁判員制度も導入されるということで,実務的に大いに研修の余地があるだろうと。   集計表をご覧になるとありますが,弁護士会と連携した意味での研修も大いに検討すべきであろうと。そのようなこともございまして,研修については注文をつけなければいけないけれども,3つの細目をトータルとして見ればA評価も可能であろうということで,Aにしていると,研修の部分は文言で補充しているということでございます。   それから,18,19ページ,被害者支援の関係でございますが,細目が4つございます。懇切丁寧な情報提供,意見の聴取,精通弁護士紹介制度,民事法律扶助の努力,そのようなことでございまして,1項目目につきましては自己評価がBになっております。これは専門相談員の配置が12か所の事務所にとどまった,その他のところは一般の情報提供職員が担当するということで,研修がまだ十分ではなかったという謙虚な反省からB評価にしているということでございます。そのほか②,③,④のあたりは,自己評価もAでございますが,各委員の評価もAの方が多くございました。それなりに実績が上がっているというべきであろうと思います。   ここは,4つの細目のうち,トータルとしてみれば総合的にはA評価でよろしかろうということで,たたき台はAとしております。詳しくは,そこに理由が書いてございますが,自己評価でBに下げてきた点,つまり被害者支援担当職員配置が少なかったという点については,新規業務でありまして,需要との関係でその程度の配置からスタートするというのもやむを得ないところがあったということ,今後の研修プログラムの実施も期待されるということから,トータルとしてA評価をしております。   最後,20ページ,(5)司法過疎対策と関係機関連携強化でございます。司法過疎対策につきましては,どの程度事務所を出すかという問題ではなくて,出してある事務所の中で配置された常勤弁護士の業務の適正な配分がどうなっているか,そのような観点からのサービスの質の向上の観点でそういう目標が立てられているということでございます。利用者のニーズに応じたサービスが提供されているかということでございまして,この点につきましては,有償事件受任が6~8割,3分の2強ぐらいですね。それから,民事法律扶助と国選で残り3分の1ぐらいが行われていると。一応の目安を示した上で,各地の実情に応じてそのような受任の実情になっているということでございます。ここは自己評価がAで,評価もAでよろしかろうということでございます。   それから,関係機関の連携強化につきましては,各地方事務所単位で年に1回以上,19年度以降さらに整備していきなさいという中期計画になっているわけでございますが,18年度中に少なくとも1回の地方協議会を行って,関係機関の連携強化は進められておりますので,自己評価Aで,たたき台としてもAと。基本的には中期計画が前倒しで実行できているというふうな評価も可能であろうと。問題は中身だと言えばまさに中身なんですが,連携強化の活動を行っていることは間違いないわけでございます。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,戻っていただいて,15ページになります。まずサービスの質の向上で,情報提供にかかる部分でございます。ここは,委員の大勢の御意見としてはAということで,たたき台もAもよろしいのではないかということ,FAQの充実,あるいは,情報提供に対する利用者の評価という点からも,満足のいく水準ではないかと思いますが,いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,ここは基本的に原案どおりということにしたいと思います。   次に16ページの民事法律扶助という部分でございます。ここは委員の御意見がやや分かれている部分で,最初に御紹介があった議論のあり得るところに上げられていた部分でございます。結論的には自己評価も3つの項目に細分されていますが,いずれもBで評価されており,委員の評価もBが多いということで,事務の合理化についてもまだ達成されているとまでは言いがたいということです。犯罪被害者の情報提供については相当程度評価できるということになっていますけれども,契約弁護士等に対する研修もなお工夫・努力が期待されるという形になっておりまして,総合的にはBというようなまとめぶりになっております。   ここはいかがでございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 よろしいですか,Bで。それではこういうことでBという評価にさせていただきたいと思います。   次に,17ページ,(3)の国選弁護人の確保という部分でございます。これはAとなっておりまして,関係機関との連携協力という点,あるいは,目標時間の設定・短縮というような点で,成果が認められると。研修についてはなお今後その充実に向けた工夫と努力が期待されるというまとめになっておりますが,トータルとして見ればAということでよろしいのではないかということでございます。いかがでございましょうか。   田中委員,よろしゅうございますでしょうか。 田中委員 よろしいかと思います。 山本委員長 そうですか。それでは,ここはAという形でまとめさせていただきたいと思います。   次に,18ページ,(4)犯罪被害者支援という部分でございます。ここは最初の項目だけを見ますと,自己評価もBで,各委員の評価もBが多いのですが,その後の項目,18ページから19ページにかけての部分は,委員の皆様の多くの意見もA評価になっておりまして,最初の項目にあるような職員のスキルアップというところではさらなる努力ということがあり得るとしても,全体として見た犯罪被害者支援の質の向上という点においては,トータルとしてはAという評価でよろしいのではないかという御説明であったかと思います。それから,委員の大方の御意見もそうなのではないかと思いますが,いかがでございましょうか。   よろしいですか,そういうことで。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,これもそういう形でまとめさせていただきたいと思います。  この項目の最後は,20ページ,(5)の司法過疎対策,それから,(6)の関係機関連携の問題です。これも自己評価,委員の大方の御意見はAということで,両方まとめさせていただいておりますが,いかがでしょうか。   よろしいですかね。最後の(6)のところは,先ほどの整合性からすると,今後については中身の充実も望まれるということを付記するということになるんでしょうか。結論としてはAということでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,いよいよ最後ですが,財務内容の改善の御説明をお願いします。 井上課長 最終のブロックで,3ページ分ございますが,21ページ,財務内容の改善に関する事項で,ここは括弧単位と言いましょうか,項目5全体で1つの評価としております。補助金・寄附金収入,民事法律扶助の償還金の確保,司法過疎対策の有償事件受任,地方公共団体等の財政支援という項目でございます。   自己評価はB,B,Aとなっております。Aがついているのは司法過疎対策,有償受任がそこそこの売上を出しているという点を述べておりました。委員の評価はAとBとややばらついておりますが,基本的にはBが多いかなという感じでございます。たたき台はトータルとしてBをつけております。補助金・寄附金の収入は十分な水準にないという自己評価もありますが,そのとおりでございます。   補助金収入は,やむを得ないというか,前の年度に申し込まなければいけないから,ないのは当たり前だというのはやむを得ない点はあります。18年度は19年度分の申し込みをしているんですけれども,なかなかうまくいっていないということもございまして,ここはもう少し地域住民のためになるということを十分に説明して,さらに努力は必要だろうということでございます。   寄附金収入は,しょく罪寄附もございまして,扶助協会からの移行等の過程ではございますが,司法支援センターとして十分にしょく罪寄附を受ける中身の活動があると思いますので,その点についてはさらに努力を重ねる必要があるということでございます。   それから,民事法律扶助の償還金の確保でございますが,もともと資力の乏しい人に対してやっているものでございますので,何でもかんでも取り立てるという話ではないわけでございまして,免除制度を適正に運用することは非常に重要なことでございますけれども,免除対象ではない償還を要すべき者に対して効率的に督促をするなど,滞納の発生を抑制するための工夫や努力が必要であると。自動払込手続の迅速化等の工夫はいろいろされているところでございますけれども,滞納状況の客観的かつ確実な把握や,滞納の効果的な抑制を図るための効率的な事務処理体制等についてまだ工夫の余地があるということで,ここはBにしております。   22ページ,予算,決算の状況でございます。ここは評価Aをつけております。決算報告書によれば,常勤弁護士の確保数が予定を下回ったために,人件費はその分浮いているわけでございますが,事業費がその分増になっているという状況にあるわけでございます。これはあまりよろしいことではないのですけれども,今後,常勤弁護士の確保に向けた新たな取組や,事業経費の抑制が見込まれますし,事務所の物件費も抑制しておりますから,全体としては中期計画予算の執行の許容範囲内ということで,A評価でよろしかろうということでございます。   最後,23ページ,ここは中期目標なしで,その他法務省令で定める事項で,物的・人的充実の項目でございます。ここは21年度に向けた計画的な人的・物的体制の拡充に関する取組を求めるものでございます。施設面におきましては,あらかじめ広めの事務所スペースを確保したということなどから,自己評価はAでございますし,それなりの評価は認められると思います。常勤弁護士の確保については,今回の評価は一貫した流れでございますけれども,所要数の確保という観点ではちょっと足りていないということから,ここはBとせざるを得ないと。   理由として書いてあることは,ここまで書いてあることと大体同じことでございまして,今後,即戦力となる,新しいスキームでもしっかり研修をやって,ちゃんと使える弁護士を集めましょうということでございます。なお,これまでの関連でいきますと,中堅弁護士の確保についても一言足した方がいいと思います。そのような点で,評価としては,全体としてはBにならざるを得ないということでございます。   以上です。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,21ページの財務内容の改善に関する事項で,先ほどのような御説明で,補助金,寄附金等についてなお工夫すべき部分がある,あるいは,法律扶助についての償還金の確保についても工夫と努力の余地があるという整理で,最終的にはBとなっております。自己評価あるいは各委員の評価にもおおむね沿った内容になっているように思いますが,いかがでございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 よろしいですか。それでは,ここは原案のとおりとさせていただきます。   次,22ページ,予算の問題でございます。ここは自己評価,各委員の多くの評価でもAということで,人件費について若干の問題と言いますか,当初の計画と違った部分があったわけでありますけれども,基本的には中期計画の範囲内であるということかと思います。いかがでございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 よろしいですか。それでは,最後の項目ですが,23ページ,その他の事項として,施設整備に関する計画と人事に関する計画です。委員の皆さんは,施設整備についてはAということですが,人事についてはBということで,大体意見が一致しておりまして,人事の,とりわけ常勤弁護士の確保の状況という観点からすれば,今までの御意見からするとBということになろうかと思います。   ただ,先ほどのような点をこの理由の中には書き込むということで,整合性を保つことは必要かと思いますが,評価としてはBということでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,私の不手際で大変長時間にわたって御議論いただきましたが,今のような形で項目別評価表については確定させていただきたいと思います。   先ほども確認させていただきましたが,理由の部分の書きぶりの最終的な文言については,私にお任せいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。   それでは,本日の議題のうち,1の前半が終わりまして,次に総合評価表についても御検討,御決定をいただきたいと思います。資料3にあるものでございますが,まず事務局から御説明をお願いします。 井上課長 これは本日初めてお示しするものでございますが,項目別評価表を要約したものという位置付けでございます。無駄な説明よりざっと読み上げさせていただきます。これはA,B,Cを付けていない文章体で書いてございますので,こういう点をもう少し付け加えるべきだとか,ニュアンスをどうすべきだというような御意見を中心にいただければ,またさらに工夫をしたいと思います。   まず,大項目の1に関してですが、「利用者の視点に立った業務運営を行うべく,関係機関等の参加を得て地方協議会を開催するとともに,コールセンター等に寄せられた利用者の意見を組織的に受け止めて業務運営に生かすための仕組みの構築に取り組んでおり,その基本的姿勢は評価できる。   また,情報提供業務を始めとする各業務を円滑かつ実効的に行う前提として不可欠な関係機関等との連携の確保・強化についても,積極的に取組がされ,中期計画を上回る成果(関係機関・団体数:各地方事務所平均143.3)を上げている点は,評価できる。   他方,民事法律扶助事件や国選弁護事件について全国的に均一なサービスの提供に向け,事件受任者の均質な確保態勢の確保を図るべく常勤弁護士を始めとする契約弁護士等の幅広い確保に取り組んだものの,とりわけ平成21年度の国選弁護関連業務の大幅増加に対応する所要の常勤弁護士の確保についての取組が未だ十分でないこと,国民に身近な司法の実現に向け支援センターの業務に関する国民への周知を図る取組についても十分ではないことから,今後,常勤弁護士確保,国民への周知徹底に関し更なる工夫と努力が必要である。」。   大項目2についてです。「組織体制については,設立及び業務開始の初年度としては,情報提供業務,民事法律扶助業務,国選弁護関連業務等の各種業務の一体的な遂行及び常勤弁護士制度の導入による合理化・効率化という視点に立って,本部及び各地の事務所の組織体制を整備した。   また,非常勤職員の活用や常勤弁護士の任期制採用,国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与体系の導入,一般競争入札の活用等の諸施策を実施したことは,経費の抑制・削減に向けた取組として評価できる。   次に,業務運営については,情報提供業務の効率化を図るためにコールセンターを設置した上,FAQ・関係機関データベースの整備・活用によって迅速かつ効率的な情報提供に努めた点も評価できる。   他方,常勤弁護士制度に関しては,常勤弁護士の採用数が十分でなかったことを踏まえ,今後の採用拡大に向けた更なる工夫・努力が必要である。」。   大項目3,「設立及び業務開始の初年度としては,全般的に業務の質の向上に向けた積極的な取組がされている。   まず,情報提供業務については,FAQの増加に努めるとともに,地方事務所の窓口対応職員に相談業務経験者を配置するなど提供する情報の質・量の向上を図った。   国選弁護関連業務についても,裁判所等からの要請後おおむね24時間以内に指名・通知を行い,迅速・確実な国選弁護人候補者の提供に努めた。   また,犯罪被害者支援業務については,コールセンター及び全国12か所の大規模地方事務所に犯罪被害者支援業務に携わった経験のある者を配置し,また,各地の弁護士会と連携し,全国で1185名の精通弁護士名簿を作成して精通弁護士紹介制度の基礎的な体制を整備するなどの成果を上げている。   他方,民事法律扶助業務については,迅速な援助を提供するための工夫として,援助審査の合理化に関する取組(書面審査,単独審査の活用)がされているものの,地方によってばらつきがあり,全国的に更なる合理化を推進するべく工夫と努力が必要である。   また,民事法律扶助事件及び国選弁護事件の担い手である契約弁護士・司法書士に対し,支援センターの制度内容等に関する説明会等が実施されているものの,業務の質の向上に向けた研修としては十分ではなく,今後,実務能力の向上を図るための取組が期待される。」。   大項目4,「全体として,運営費交付金の支出を抑制し中期目標予算の範囲内に収まっている。   執務環境整備経費について,一般競争入札の積極的な活用により,中期計画と比べ支出の抑制が図られていることも評価できる。   なお,常勤弁護士の採用数が少なかったことに伴い人件費の支出が抑えられた一方で,常勤弁護士による処理が予定されていた事件を一般契約弁護士に委託したことによる事業経費の増が見られるが,常勤弁護士確保に向けた今後の実効的な取組によってこうした事業経費の抑制が期待される。   他方,自己収入の確保については,平成18年度としては財団法人法律扶助協会からの承継金により予定した収入額を確保できたものの,地方公共団体からの補助金やしょく罪寄附等の寄附金収入は未だ十分な水準になく,また償還金の適正な確保に向けた取組としても十分でなく,今後,補助金・寄附金の確保や,償還滞納の抑制に向けた更なる工夫と努力が必要である。」。   大項目5,6,7は該当がありません。   大項目8でございますが,施設・設備に関する計画としては,「平成21年度の業務量拡大に伴う事務所スペースの増加を視野に入れ,これに対応できる程度の面積を確保するなど十分な対応がされている。」。人事に関する計画としては,「平成21年度の業務量拡大に対応できる人的体制の整備に向け,所要の常勤弁護士を始めとする契約弁護士の計画的な確保が必要であるところ,その確保に向けた様々な取組がされているものの,本年度常勤弁護士数が24名にとどまり,未だ十分な成果を上げているとはいいがたい。今後,常勤弁護士等の確保に向けた新たな取組等において,質量ともに十分な弁護体制の整備に向け,更なる創意工夫が必要である。」。   さらに以上を総括した全体評価という1枚の紙がございます。   「日本司法支援センターは,総合法律支援法に基づき,平成18年4月に設立され,同年10月に業務を開始した。   平成18年度から平成21年度までの最初の中期目標期間(4年間)は,総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うための体制整備・推進に重点を置き,その中で,初年度である平成18年度については,4年後の体制整備の一応の完了を見据えながら,新規各種業務を軌道に乗せ平成19年度以降の業務を円滑に遂行できる体制の構築に向けた取組状況を指標として評価した。初年度である平成18年10月から平成19年3月までの半年間の業務実績を総括的にみると,大勢としては,概ね順調に中期計画の履行が進捗したが,一部で改善に向け更なる努力を要する面もあった。   体制整備については,短期間のうちに全国50か所などに事務所を立ち上げ,必要な職員を採用して情報提供業務,民事法律扶助業務,国選弁護関連業務,司法過疎対策業務,犯罪被害者支援業務等,各種の多様な業務を円滑に開始するための体制を全国的に整備した上,これら各種業務を円滑に遂行する上で不可欠となる関係機関・団体との連携関係の構築を進め,また,利用者及び関係機関等の意見・要望等をその業務運営に反映すべく,地方協議会の開催やサービス推進室等の設置を行ったことは評価できる。   個々の業務についてみると,情報提供業務に関しては,コールセンターを設置し,コールセンターオペレーター及び地方事務所の窓口対応職員に相談業務経験者等を配置するとともに,FAQ・関係機関データベースを整備・活用することにより,集中的かつ効率的に質の高い情報提供を行うなど,円滑な業務遂行のための体制整備として一定の成果を上げている。   民事法律扶助業務に関しては,その担い手となる契約弁護士・契約司法書士を全国的に確保し,法律扶助協会の実績を上回る援助実績を上げるなど充実した援助の実施に向けた取組を行い,また,国選弁護関連業務に関しては,よく各地の弁護士会の理解と協力を得て全国の弁護士数の約45%に当たる数の契約弁護士を確保し,裁判所の要請に応えて迅速かつ確実な指名・通知業務の遂行に努めるとともに,日本弁護士連合会等と協議・調整した詳細な国選弁護報酬基準を策定して適切な報酬算定支払事務を実施するなど,一定の成果を上げていると評価できる。   また,犯罪被害者支援業務に関しても,新規業務を開始する上での困難性をよく克服し,各地の犯罪被害者支援団体等との連携確保に努め,各地の弁護士会と連携して精通弁護士名簿を調製した上,コールセンター及び地方事務所に犯罪被害者支援に携わった経験のある者を担当者として配置し,研修を実施して適切な情報提供に努めるなど,一定の成果を上げたものと評価できる。   他方,今回の評価作業を通じて浮かび上がった今後の課題については,項目別評価及び大項目における評価において既に指摘したところであるが,中でも,①常勤弁護士の計画的な確保が所期の水準に達していないこと,②コールセンターを中心とする情報提供業務の利用件数が低調であったことが指摘できる。   ①については,常勤弁護士が,民事法律扶助事件及び国選事件についての全国的に均質なサービスの提供を実現するための担い手として,また,司法過疎地域における法律サービス提供の担い手として重要であるとともに,とりわけ平成21年度における国選弁護事件数の大幅拡大と連日的開廷を前提とする裁判員裁判の実施に対応できる体制を整備する観点から,その計画的確保が焦眉の課題であるところ,平成18年度はその確保に向けて多数回にわたる採用説明会の実施などの取組に努めたものの,結果として24名を採用したにとどまっており,今後,所要の常勤弁護士確保に向けたより実効性のある新たな工夫や一層の努力が必要である。②については,国民に身近な司法の実現を目指す支援センターにとって,その存在及び業務内容等を国民に周知することが極めて重要であるところ,未だ十分認知されていない現状に照らすと,国民への周知徹底について,今後更なる工夫と努力を要するところである。   新たに設立した支援センターが,初年度のこうした体制整備を経て,平成19年度以降,国民に身近な司法の実現に向け,真に国民に親しまれ頼りにされる存在となっていくためには,利用者の立場に立った業務運営を行うことを常に心がけることが重要である。そうした観点から,今後も引き続き,関係機関等との連携の一層の強化を図り,所要の常勤弁護士の確保を始めとする総合法律支援の体制の整備をさらに推進させることを第一としつつ,各種業務におけるサービスの質の向上に努めるとともに,その業務運営の効率化を更に着実に向上させていくことが期待される。」ということでございます。 山本委員長 ありがとうございました。   ということで,この総合評価表につきまして御議論いただきたいわけであります。この点については,さらにこの点をもう少し書き込んだらどうかとか,あるいは,こういうふうに修正したらどうか,あるいは,この点は削除した方がいいのではないかというような点について,区切りませんので,全体的に御意見を賜れば幸いです。どこでも,どなたからでも結構です。よろしくお願いします。   小林委員,どうぞ。 小林委員 細かい点ですけれども,2つあります。1つが,1ページの大項目2,コールセンターについてです。FAQをホームページに公開なさっているというのは非常にいいことだと思うので,入れていただいたらどうでしょうか。国民に親しまれるという方向だと思うので。   すみません,3つありました。2ページの大項目4,中の段落の下から2行目,「常勤弁護士確保に向けた今後の実効的な取組によってこうした事業経費の抑制が期待される」と,これはこのニュアンスでいいんでしょうか。「今後の実効的な取組」というのは,初めのころに大分議論しましたけれども,そういう光が見えてきたという状況で,もっと現実味がある表現になっているんですが。 井上課長 期待されるということで。見込まれると期待されるとは,希望的観測ではあるんですけれども。 小林委員 あまりこだわっているわけではないんですが,気持ちが出ているなと。 井上課長 ありがとうございました。文章の整合性は検討させていただきます。 小林委員 それから,4ページの全体評価の一番下の段落の下から4行目,「結果として24名を採用したにとどまっており」と,これは文脈からは全然問題ないとは思うんですけれども,「採用したにとどまり」という「採用」という言葉は,たくさん応募してきてくれたんだけれども,採用できたのがこのぐらいというのか,ここの言葉だけだと。細かいところなので。文脈からはちゃんと分かるのでこだわりませんけれども,ちょっとできればいいかな。 井上課長 工夫してみます。 小林委員 すみません。以上です。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今御提案があったうち,まず1ページのところですね,FAQのホームページへの掲載という点を取り上げたらどうかということで,これは確かに項目別評価ではそういうことが書かれていますよね。項目別評価は11ページにありますが,これをこちらに持ってくれば。「FAQを整備してホームページ上で公開し」という表現がありますので。   それから,2ページの「常勤弁護士確保に向けた今後の実効的な取組」という点,それから,4ページの「24名を採用した」という表現。これは表現ぶりということでちょっと工夫を。 小林委員 何か意図があるかということはこだわりません。 山本委員長 工夫をしていただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,嶋津先生。 嶋津委員 1ページの大項目1のところで「司法過疎対策」という言葉が全然書いてないので。全体評価のところにも出てくるので,ここの部分だけ抜けているから,それは入れておいた方がいいのではないでしょうか。 山本委員長 なるほど。そうすると,ここは……。 嶋津委員 民事法律扶助,国選弁護に並べておけばいいんですかね。 山本委員長 そうですね。司法過疎の対策についても一定の工夫,今後の努力が必要であるということですかね。 井上課長 最後の段落に埋め込むように工夫いたします。 山本委員長 ありがとうございました。   ほかの点はいかがでしょうか。はい,どうぞ,吉川委員。 吉川委員 2ページの大項目4のところで,「常勤弁護士の採用数が少なかったことに伴い人件費の支出が抑えられた一方で,常勤弁護士による処理が予定された事件を一般契約弁護士に委託したことによる事業経費の増が見られる」と,これは私が忘れただけなのかもしれませんが,常勤弁護士による処理が予定されていた事件というのは,何か具体的にあったんでしたかね。つまり一般的に常勤弁護士でやれば安いのに,一般弁護士でやったから費用が高くなったと,そういうことを書いておられるんですか。 山本委員長 その上にある人件費が抑えられたということとまさにトレードオフになっているんでしょうね。 小林委員 と読んだんですけどね。 吉川委員 これは弁護士だから気になるのかもしれませんが,先ほど高部先生が御指摘になった,常勤弁護士はどっちかというと若手の新人ばかり採用するのではないかということとの絡みで,安いからできるだけ常勤弁護士にやらせようという発想に受け取られかねないとすれば,ちょっと表現を工夫していただけないかと思うんです。何が何でも若くて安い常勤弁護士にやらせればいいというふうに,我々評価委員が評価したかのごとく受け取られるのが,私としては本意でないです。 山本委員長 なるほど,そうですね。 井上課長 ここは,仕組みとして常勤弁護士は給料制ですから,時間いっぱい働かせれば効率化が生まれると,当然であると。どこまで言っていいか分かりませんが,限られた国費を投入する中で,効率的になるべく多くの司法サービスを国民に提供するためには,常勤弁護士制度が必要であるということで,そういうことも踏まえてできている部分があるわけです。そういうことで予算面においては,一定数の常勤弁護士が一定数の事件をこなすという中で,予算,決算を考えていくとすると,もともと数十名の常勤弁護士が必要であっただろうという中で少なかった,その分だけ人件費は浮くわけですけれども,その分一般契約弁護士に支払う部分が増える,その関係が出てくるということです。 山本委員長 常勤弁護士は若手だから経費が抑え込まれるという話ではないわけですよね。 井上課長 常勤弁護士は同期の判検事並みの給料ということでございますので,そういう意味でいけば決して安くはないだろうと思います。その中で,中堅の弁護士を,経験年数が数年の弁護士をあてたとしても,それなりの効率化は生まれるということで考えられていると思います。 山本委員長 そこは誤解を生じないような表現ぶりを……。 吉川委員 ちょっと表現を工夫していただければと思いますね。 井上課長 わかりました。 吉川委員 これは事務当局がお書きになったんだけれども,我々評価委員の評価として発表されるわけですから,我々がこう言ったと受け取られるのは私としては若干違和感がございます。 山本委員長 そこは表現ぶりを工夫させていただいて。   ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。   幾つかの点で修文案を頂戴いたしましたので,それに沿った形で修正させていただいて,最終的に本委員会の評価という形にさせていただきたいと思います。具体的な修文の案については,やはり私に御一任いただいて,事務当局と協議して定めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   今後これがどういうふうに取り扱われるかということについて。 井上課長 業績評価につきましては,本日ここで御決定いただきましたので,項目別評価表と総合評価表,委員長の御指導を受けて文面を修正いたしますが,それにつきましては,今後公表手続を行うとともに,今月末までに総務省の独立行政法人評価委員会に通知をするという運びになるわけでございます。それと同時に公表の手続ということですね。大体月末までにはするということでございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,所定の時間が過ぎておりますが,これで議題の(1)は終わりまして,(2)について,申しわけありませんが,御審議いただきたいと思います。財務諸表の承認という点でございまして,法務大臣から委員会あてに支援センターの財務諸表の承認に当たっての意見照会がきておりますので,これを定めたいということであります。   まず,事務局から財務諸表についての概要を御説明いただければと思います。 茂木部付 財務諸表の概要は,時間の関係もありますので,多少簡単になりますが,財務諸表の内容に関しましては,先月,3回にわたって勉強会という形式で,支援センターから事業の実績報告と財務諸表の内容に関してヒアリングを行いました際に,センターの担当者から予算等の項目に関する説明の中で説明があったところでございます。   評価委員会の意見をいただく意義でございますが,法務大臣としましては,中期目標を指示し,中期計画を認可した立場から,財務運営が中期目標の達成に向けて適切にされているかという観点に立ちまして,承認するか否かの判断をするわけでございます。その際に,法人の業績評価を行っているこの評価委員会,しかも有識者から構成される第三者機関でございますので,そういう評価委員会の専門的・客観的な意見を聞くこととしたというのが,この趣旨でございます。したがいまして,評価委員会の意見としましては,今やっていただきました業績評価により得ました知見を踏まえて,中期目標達成に向けて適切な財務運営がされているか否かという観点から,この財務諸表を承認して差し支えないかどうかという意見を言っていただくというものでございます。   財務諸表の内容につきまして,記憶喚起という観点から御説明申し上げます。財務諸表の中身につきましては,国選の勘定に関する部分と一般の勘定に関する部分に大きく分けられております。国選勘定は,委託費の勘定となっておりまして,委託元である国との間の委託に必要な経費の支出,収入に関する部分でございます。これにつきましては,18年度末の時点で必要な経費に関する精算が委託元である国と法テラスの間でされておりまして,そこで精算済みでございますので,必要以上の費用を支出したということはないわけでございます。   問題は一般勘定の方でございまして,国選以外の運営費交付金で賄われる部分でございます。これについてセンター側の説明がありましたけれども,運営費交付金につきましては,受け入れた段階で運営費交付金債務という形で債務に計上されます。独法の会計基準に従いまして,そこで許容されている収益化の一つの基準である費用進行基準を採用しておりますが,これは費用が生じるごとに運営費交付金を収益化していくというものでございます。そこで運営費交付金の債務残高が18年度は4億5,000万ほどあったという説明になっておりました。   運営費交付金債務残高の内容と言いますか,発生の理由につきましては,財務諸表の30ページの表で御説明があったと思いますけれども,表記されているとおりでございまして,まずは自己収入を優先的に費用に充てたということと,一般競争入札等を活用いたしまして,物件費の経費の抑制をよく図ったということで経費が抑制され,運営費交付金債務残高が残ったというものでございます。他方,予定されていた業務につきましてはすべて実施したということでございます。そういった説明がなされております。   あと,一般勘定の貸借対照表上,民事法律扶助の立替金の債権について,貸倒引当金が多額に計上されているという部分について勉強会の中で指摘がございました。これについては,償還見込みが若干乏しいと思われる立替金債権について貸倒引当金を計上しているという説明でございました。これについては,扶助協会からの承継の債権が多かったわけでございますけれども,適正な免除の運用によって貸倒引当金相当の債権額の抑制を図るべきであるところ,初年度においては免除の運用が十分できなかったということ,それから,滞納率の引下げによって回収すべきものは確実に回収するという取組が初年度は十分なされなかったというような説明もございました。   そういったものを踏まえまして,今年度の財務諸表については,承認を相当とするか否か,承認して差し支えないのかどうかということの御意見を伺いたいということが,法務大臣の意見聴取の意義でございます。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,この支援センターの平成18年度財務諸表について,委員会としての意見を決めたいと思います。委員の皆様から御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。   宮野委員,どうぞ。 宮野委員 監査報告書を見ました結果,これは問題ないだろうと思っております。これは財団法人扶助協会から引き継いだ債権,立替金が179億ある,そのうち回収できないのが,引き継いだときの引当金が71億,さらに司法支援センターが業務を開始した後に70億,損を落としたということで,140億近く回収できないものがある。そうすると,179億引き継いだ立替金のうち30億くらいしか回収できないものがあると。先ほど償還の回収の割合はいいというふうな説明がありましたけれども,これでいきますと,引き継いだ債権の立替金のうち2割しか回収できないという状況なわけで,新しい業務が開始した後で発生する立替金の回収状況はどんなふうになっていくんだろうかということがちょっと気になるところであります。   今回この貸倒引当金に140億近く上がっているんですけれども,これは債務免除額という形で債権が落とされている,なくなっているわけですね。それはいつなくなるのか,いつまでもこういう不良債権,貸倒引当金が多額で載っているのを見ると,司法支援センター開始以降発生した債権に対する立替金の引当金ではないかというふうな誤解も受けないわけではないわけで,この辺の整理をどういうふうな形でやっていくのか。方針を立てて早く処理した方がいいのではないのかなと思います。   それから,破産更生債権が55億もあるわけですけれども,これはまだ更生手続が完了していないとか,破産手続が完了していない,そういう援助を受けた人の債権なのかどうかですね。これもどういうふうになっているのか,評価委員の先生方に説明があってもいいのかなと,そんな感じがいたします。   これを見て感じたのはそういうことであります。   それから,これは私の失態でしたけれども,8月3日に説明を受けました。それを受けて事務局に質問,お尋ねを出しましたけれども,あれは私の誤解でございまして,あれは立替金ではなくて負担金債権ということで,含めないのが正しいということで,業務報告書でしたか,別紙の資料18の立替金残高の資料を差し替えましたと先ほど説明がありましたけれども,あれは正しいということで,これも財務諸表との整合性があって特に問題ないと。こんなふうに考えます。   感じたところはそんなところでございます。特に問題ないと思います。 山本委員長 ありがとうございます。   結論としては特に問題はないということですが,法律扶助の償還金,立替金の取扱いについては早く処理するということですかね。 井上課長 法テラスにこの御意見を伝えまして,適時,評価委員会のときに,適当なときに説明を受けるということにしたいと思います。 山本委員長 よろしいでしょうか,そのようなことで。   ほかの委員の御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,ほかに御意見がないようであれば,財務諸表の承認につきましては,承認して差し支えないという意見で法務大臣にお答えするということでよろしゅうございましょうか。          (「異議なし」という者あり) 山本委員長 それでは,そのようなことで委員会の意見は決めさせていただきたいと思います。   これで一応本日の議事は終了いたしましたが,今後の委員会の予定について御説明をいただきます。 井上課長 業績評価が終わったところでしばらくお休みとしたいところなんですが,次回は9月21日,午後1時からお願いいたします。場所は法務省内でございます。   次回の内容は,この前,少年法の一部改正が成立いたしました関係で,今年の秋,11月ごろから新たにセンターが国選付添人の選任の業務を行うことになります。そのための報酬基準の策定等を含む契約約款の策定がございます。これは法務大臣の認可の対象でございますので,その御審議をお願いしたいということでございます。 吉川委員 すみません,もう一回。 井上課長 21日の午後1時から4時まで,3時間とっております。   既に刑事の報酬体系はできておりますので,それを横で見ながら作っていくものでございますが,少年の付添いのものを一つ作る必要があるということでございます。お願いいたします。 山本委員長 あと,議事録について,一言。 井上課長 議事録はこれまでと同様,原案を作成いたしまして,御確認いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 山本委員長 それでは,そういう形で。本日の委員会はこれで終了させていただきたいと思います。    -了-