日本司法支援センターからの業務実績に関する報告 一木事務局長 事務局長の一木でございます。よろしくお願いいたします。お集まりいただきましてありがとうございます。私ども司法支援センターは平成18年4月,昨年4月に設立されまして,人的・物的体制を整えまして,10月2日から業務を開始いたしました。新たに設立された法人が新たに業務を開始するということで,センター職員のそれぞれが努力を重ね,何とか18年度を終えることができました。1つの組織を立ち上げて新しい事業を開始するということは極めて困難なことです。当センターは,法律扶助協会から民事扶助業務を引き継ぎ円滑に始動させ,コールセンター等による情報提供業務は新しい事業ですし,国選弁護関係も新たに当センターで引き継ぎ,その他の事業も同時に開始するということで,わずかな時間でよく立ち上がって業務が動いたなというのが私個人の実感でございます。そういう中で職員それぞれが努力を重ねて苦労しながらここまで来たというのが現実であろうと考えております。   この評価委員会におきましては,初年度である平成18年度の実績評価をしていただくということは我々センターにとって大きな節目でございまして,これを今後の業務に生かしていきたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。   本日は既に提出しておりますセンターの自己評価表を記載した項目別評価表に沿って平成18年度のセンターの業務の実績の概要を報告させていただくとともに,センターの自己評価について説明させていただきたいと思います。   説明の手順といたしましては中期計画の各項目,これらをまとめまして各担当者から該当部分についての実績の報告と自己評価について御説明をさせていただきます。その後,それ以降の部分について御説明をいたしたいと思います。何か御質問がありましたら何なりとお聞きいただきたいと思います。   それでは,担当者の方から御説明をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 岩津課長 総務課の岩津でございます。総務課の担当部分につきまして御説明をさせていただきます。   まず,1ページでございますが,「総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためとるべき措置」という柱の(1)総括でございます。①といたしまして,中期計画ではセンターが真に国民に親しまれ,頼りにされる存在となるよう,その業務内容について国民への周知徹底を図るとともに,業務運営においてさまざまな創意工夫により懇切・丁寧かつ迅速・適切な対応等,利用者の立場に立った業務遂行を常に心がける姿勢を基本とすることとしております。   18年度におきましてはセンターの業務内容を周知するためにマスメディアを使いました広報のほか,関係機関等にセンターの業務内容の周知を図るなど,足を使った地道な広報を展開してまいりました。また,利用者の立場に立った業務を遂行するため,本部内にサービス推進室を設置いたしますとともに,「苦情等取扱規程」を定めまして利用者の御意見等を業務に反映させるための体制整備を図りましたほか,組織横断的に業務改善に向けた検討を行うために業務改善推進ワーキンググループというのを設けました。   このような取組を続けることによりまして利用者の立場に立った業務遂行を心がける姿勢という中期目標は達成し得るのではないかというふうに考えておりますが,センターが国民に親しまれ頼りにされる存在となりますためにはまずセンターの存在や業務内容を知っていただくということが第一歩であります。しかしながら,国民のセンターに対する認知度というものは必ずしも高いものとは言えませんで,皆様にセンターの存在,業務について周知・理解を図るためにはまだまだ努力,改善の余地があるのではないかというふうに考えておりまして,自己評価といたしましては「B」というふうにしております。   今後は広報の工夫,とりわけ地方事務所が50ヶ所ございまして地元に密着して顔の見える広報活動などを行っていくことなどによりまして,国民のだれもがセンターが何をするところか知っていただき,困ったときにはすぐにセンターにアクセスするという流れをつくる必要があるというふうに考えております   次に2ページでございます。2ページの②といたしまして,地方事務所単位で地方協議会を行い,関係機関等及び利用者の声を聴取して業務運営に反映させること。   ③といたしまして,地方協議会その他の会議を設ける場合の特段の人選への配慮という点でございますが,各地方事務所いずれにおきましても平成18年度に1回以上の地方協議会を開催いたしました。多数の関係機関の皆様などと意見交換を行うことによりまして連携関係の確保・強化が図られたと考えておりまして,「A」評価といたしております。   続きまして,28ページをお開きください。項目別評価表の28ページでございます。ここは「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」の(6)関係機関連携強化のところでございます。中期計画におきましては地方事務所単位で連携関係にあるすべての関係機関と平成19年度以降各事業年度に1回以上,裁判所・検察庁・弁護士会との間では2回以上連携の現状と強化の方策等に関する協議を行うこととされております。   平成18年度におきましてはただいまも申し上げましたとおり,すべての地方事務所で年度内に1回以上の地方協議会を開催いたしまして,多数の関係機関との連携の強化に向けた協議を行いましたほか,地方事務所単位では関係機関等を直接訪問して相互の業務内容についての理解を深めますとともに,連携を強化するための個別の協議を進めておりまして,自己評価といたしましては「A」評価とさせていただいております。   同じく28ページ,総括の補助金・寄付金の自己収入増加に努めるというところでございます。平成18年度におきましては補助金・寄付金の収入はまだ少ない状況となっております。業務開始初年度ということもございましてまずは本来業務をスムーズにスタートさせるということに力を注いできたわけでございますが,補助金・寄付金の収入増加という面ではやや力不足だったことは否めないところでございます。したがいまして,自己評価といたしましては「B」評価としております。   今後は補助金につきましては地方公共団体等の関係機関等への働きかけを強化いたしますとともに,例えばしょく罪寄付の受け入れにつきましても広報活動を強化するなどし,一層の周知を図る必要があると考えております。   総務課のところは以上でございます。 関課長 続きまして,情報提供関係につきまして説明させていただきます。先ほどコールセンターを御見学いただきましたとおり,電話による情報提供はコールセンターで基本的に行うということにしておりまして,地方事務所においては,基本的には面談による情報提供を行うこととしております。もちろん地方事務所に電話もかかってまいりますので,それにも対応しております。その他,メールによる情報提供を今年に入って行っております。さらに,センターのホームページにおいて,FAQ(よくある質問と答え)のうちコールセンターで紹介している上位約300問について公開しております。   さらに関係機関・団体データベースについても,そのほとんどのもの,約2万3,000程度になりますが,ホームページ上で公開しておりまして,適宜利用者が検索して御活用いただいております。   また,夜間において,コールセンターが終わった時間帯でございますけれども,音声応答サービスというのをやっておりまして,その時間帯に開いております窓口を自動音声で紹介するということもしております。   中期計画関係でございますが,まず5ページをごらんいただけますでしょうか。5ページに情報提供関係が出ております。中期計画では平均68以上の関係機関との連携関係の構築,さらに連携指数の上昇を記しております。また,18年度計画におきましては同じように68以上の機関との連携,さらに中央・地方レベルでの関係機関の理解の推進,あるいは連携指数の算出に関する検討というものが記されております。   実績といたしましては,まず地方事務所におきまして関係機関・団体数にしまして全国合計7,163,各事務所平均143.3の連携を構築しておりまして,目標の68以上の機関と連携関係を構築しております。また,中央レベルでは内閣官房司法制度改革推進室主催の総合法律支援関係省庁等連絡会議,地方レベルでは地方協議会の開催などによりまして関係機関の理解を求めているところでございます。   また,連携指数の算出方法でございますけれども,より緊密な連携方法であるかどうか,利用者の利便性ということを重視いたしまして,単なる紹介にとどまる場合には1を掛け,取り次ぎの関係まで結んだところに関しましては3を掛けることとし,さらに電話の転送まで行う関係を結んだ関係機関に関しましては5を掛けることといたしました。さらにその上に取り次ぎあるいは転送の関係の上に予約までセンターで取れるというところにつきましては8を掛けることといたしました。   次に,14ページに情報提供関係がございます。中期計画,18年度計画におきまして,コールセンターを設置する,さらには関係機関データベースの周知徹底等積極的利用の促進ということが記されております。   実績といたしまして,先ほどごらんいただきましたとおり,コールセンターを設置しておりすし,また,先ほど説明させていただいたとおり,ホームページにおきまして関係機関データベースを公開し,関係機関にその利用を呼びかけておるところでございます。   次に,19ページに情報提供関係ございます。中期計画では平成18年度から21年度までの間にFAQデータベース等20%以上の増大,あるいはインターネットによる情報提供量の増大と検索機能の両立,あるいは利用者アンケートで満足度5段階評価で4以上の評価を得ること,さらには即日中の情報提供を行うこと,18年度計画ではコールセンターに寄せられる問い合わせの分析によってFAQを作成していくこと,日常的な検索スピードのテスト,地方事務所,コールセンターでのアンケート調査の実施,地方事務所の窓口への相談経験者の配置,地方事務所の窓口の予約優先制等による効率的な情報提供の実施ということが記されております。   18年度実績ですが,当初業務開始当初は1,514問のFAQを作成しておきましたが,年度末には2,072問となっておりまして,約500問追加いたしております。また,検索スピードにつきましては日々テストを行っておりまして,問題のない検索スピードを実現しております。   さらにアンケート調査でございますが,コールセンター,地方事務所で行っておりまして,ともに5点満点中4.6点の評価を得ておるところでございます。   また,窓口対応専門職員には先ほど説明したとおり,主に消費生活相談資格者を採用しておるところでございます。   また,地方事務所の情報提供窓口は,予約優先制としておりまして,利用者の利便性,情報提供の効率性を確保しております。   情報提供関係は以上でございます。 高際室長 では,犯罪被害者支援業務につきまして,高際より御報告申し上げます。よろしくお願いいたします。   被害者支援業務は,被害者支援に関する法制度の紹介,関係機関・団体の御案内,それから被害者支援に精通している弁護士の紹介,これらを3本柱といたしまして行っております。   先ほどごらんいただきましたコールセンターにおきましても入っていただいて一番左側の1列に,被害者支援専用の席を設けておりまして,民間支援団体で電話相談をしている方,検察庁,警察出身者など,被害者支援の御経験のある方に対応していただいているところでございます。また,全国の地方事務所においても情報提供を行っております。   では,中身につきまして御説明いたします。11ページをお開きいただけますでしょうか。中期計画では,地方事務所単位で平均12以上の被害者支援関係機関・団体と連携,協力関係を構築する。さらに関係機関との連携のあり方に関する実情を踏まえ,連携関係の強さをあらわす連携指数を平成18年度から平成21年度までの間に上昇させるという2つが記されております。   18年度は,その中の①に該当いたします,地方事務所において被害者支援関係の機関・団体と連携・協力関係を構築するということが計画として立てられております。   実績でございますけれども,業務開始に当たりまして,地方事務所において各都道府県警察等が事務局となっている被害者支援連絡協議会,これは弁護士会,地方検察庁,民間支援団体などさまざまな支援団体が加盟をしている会でございますが,こちらに加盟申し入れを行いました。その結果,44地方事務所が加盟の承認を得ております。なお,昨年度申し入れを行った時点で,同協議会の総会が既に終了していた地域におきましては,今年度改めて加盟の申し入れを行うこととしております。   そうしたことから自己評価は「A」をつけさせていただきました。   続きまして,23ページをお開きいただけますでしょうか。23ページは地方事務所の窓口対応専門職員に犯罪被害者支援に精通している職員を配置すること。それから職員に対し犯罪被害者支援に関する研修を実施することの2つが中期計画及び年度計画で立てられております。   実績でございますけれども,全国12ヶ所の大規模地方事務所に被害者支援の経験を有する窓口対応専門職員を配置いたしました。同事務所で,犯罪被害者支援担当の窓口対応専門職員が配置されていない曜日,時間帯,また,それ以外の事務所においては一般の窓口対応専門職員が被害者からの問い合わせに対応するという態勢でスタートしております。   したがいまして,全ての窓口対応専門職員に対して,23ページから24ページに記載させていただきました被害者支援に関する研修を実施の上,業務開始に臨んだところでございます。   ただ,一定の研修は実施いたしましたけれども,より質の高い情報提供,被害者が必要とする支援窓口への橋渡しを適切に行っていくためには職員のさらなるスキルアップを図る必要があると思っております。今後,蓄積された事例の検証などを踏まえたより実践的な研修を実施することによって,全地方事務所における職員のスキルアップを図ってまいりたいと考えております。   こうしたことから自己評価は「B」とさせていただいております。   続きまして,25ページをごらんいただけますでしょうか。こちらでは被害者支援に関して犯罪被害者やその支援に携わる者の意見を聴取する機会を地方事務所単位で事業年度1回以上,18年度におきまして1回以上設けるということが計画されております。こちらにつきましては,平成19年2月から3月,被害者支援を行っている関係機関・団体にアンケート調査の形で御意見をいただきました。回答機関・団体数としては1,289になります。   聴取させていただいた項目は,被害者支援業務に関する周知状況,支援センターに対する課題,要望などです。   その結果でございますけれども,法テラスが被害者支援業務を開始したことについての認知というのは90.1%ございます。そのほか犯罪被害者支援ダイヤルの認知率が69.7%,被害者支援に関する制度や支援窓口の紹介を行っているということについての認知率が80.3%,精通弁護士紹介業務についての認知率は68%という状況です。業務の開始そのものについては認知をしていただいていると思いますけれども,具体的な業務内容の認知はまだばらつきがあるのかなと思っております。   26ページでございますが,申しわけありませんが,1点おわびがございます。事業報告書の42ページに該当するところですが,支援センターの利用状況ということで円グラフを2つお示しをさせていただいています。上が「法テラスからの紹介を受けた利用者がございましたか」という問で,下が「御自身の団体を利用された方に対して法テラスを御紹介されましたか」というものです。この上の円グラフについて,本文の中でイエスとノーを逆に記載をしてしまいました。正しくは,イエスが13%,ノーが85.7%です。後ほど差し替えをさせていただきたいと思います。申しわけございません。   それでは,次に27ページでございます。③は犯罪被害者支援に精通している弁護士を地方事務所単位で確保するという計画でございます。こちらにつきましては,各地方事務所において弁護士会会長からの推薦を受け,19年3月31日現在,全国で1,185名の精通弁護士を名簿に登載しております。なお,紹介実績は97件でございました。   そうしたことから,自己評価は「A」をつけさせていただいております。   最後に,④でございます。損害賠償による被害回復を求める犯罪被害者に対して資力に乏しい場合の民事法律扶助制度の利用に関する適切かつ積極的な助言を徹底するということでございます。こちらにつきましては被害者の方からコールセンターや地方事務所にお問い合わせいただいた際に,資力に乏しいという場合については適切に制度の利用の御案内を申し上げております。コールセンターでお受けした場合は,地方事務所の民事法律扶助担当に転送または紹介という形で適切に行っているところでございます。また,コールセンターで精通弁護士紹介のご希望をお伺いした際に,民事法律扶助制度の利用を希望される場合には,被害内容等と合わせて,その旨,担当する地方事務所へ取次ぎを行っております。   そうしたことから,自己評価「A」をつけさせていただきました。   犯罪被害者支援業務については以上でございます。 初澤本部員 続きまして,事業企画本部の初澤の方から常勤弁護士の確保と司法過疎対策業務について御説明申し上げます。項目別評価表の3ページをごらんいただけますでしょうか。まず,常勤弁護士の確保に関しまして,中期計画では1,総合法律支援の充実のための措置に関する項目としまして,(1)総括の④として,契約弁護士等の幅広い確保に加えて常勤弁護士の確保に努めるとしておりまして,18年度計画では常勤弁護士確保のために関係機関の協力を得て,常勤弁護士の業務内容,採用情報などについて司法修習生,弁護士等に対する説明を行うと記載してございます。   詳しくはお手元にお配りされております事業報告書の資料4というのをごらんいただきたいんですが,後ろ半分が資料集になっておりまして,資料4というこちらの表をごらんいただきたいと思います。日本地図の隣の表でございます。常勤弁護士は民事法律扶助,国選弁護及び司法過疎対策等の重要な担い手でございまして,有能で志の高い常勤弁護士を数多く確保するためには常勤弁護士の業務内容や採用情報等に関する積極的な広報,説明が必要であります。そこで,18年度におきましては日本弁護士連合会,単位弁護士会,司法研修所,法科大学院等の御協力を得まして,今ごらんいただいております一覧表に記載のとおり,合計44回にわたって,のべ4,000名以上の司法修習生,弁護士,法科大学院生等を対象として説明会を実施いたしました。   説明会においてどのような御説明をしているのかというあたりも,項目別評価表の方に詳しく記載させていただいているところなんですが,常勤スタッフ弁護士採用案内といったパンフレットですとか,スタッフ弁護士志望動機文集といったパンフレットなど,常勤弁護士の業務内容,意義,魅力,採用情報等をより具体的に伝えるための資料を多数配布して説明を行っております。また,支援センターのホームページにおきましてもこれらの採用情報等を掲載しまして,個別の採用に対する問い合わせに対して説明を行っているところでございます。   また,常勤弁護士の任期等につきましては,中期計画において任期付採用とし,実務経験年数において同等の裁判官,検事の給与を参考にするとしておりまして,18年度計画では実務経験年数が10年未満の者の任期を3年,実務経験年数が10年以上の者の任期を2年とし,それぞれ2回まで更新可能とするとしております。18年度におきましては,年度計画に従った任期をそれぞれ設定しました上,さらに実務経験年数が10年未満相当であった常勤弁護士がその任期中に実務経験年数が10年以上相当となった場合において,特に必要と認めるときには,その任期をさらに更新できることといたしまして,常勤弁護士として積み重ねた実務経験年数を生かすことができる枠組みにしております。   このように多数回にわたる説明会の実施等によりまして,常勤弁護士の確保に向けた取組といたしましては十分効果的な取組が実施できたと考えておりまして,自己評価は「A」評価としております。   続きまして,項目別評価表の6ページ,それから7ページから8ページにかけまして民事法律扶助と国選弁護人の確保の関係の計画が記載されてございますけれども,中期計画ではまず(3)民事法律扶助の①といたしまして,民事法律扶助の担い手となる弁護士等が少ない地域について,常勤弁護士の常駐もしくは巡回または契約弁護士等の確保を行うとし,また(4)の国選弁護人確保といたしまして,国選弁護事件の受け手となる弁護士が少ない地域について常勤弁護士を常駐または巡回させると記載しております。   18年度に採用した常勤弁護士は合計24名でございまして,合計22ヶ所の事務所に配置してございます。その配置先につきましては先ほどごらんいただきました事業報告書の資料3の方ですね,お開きいただいた日本地図が載っている一覧表でございますけれども,ここに記載のとおりでございまして,常駐している常勤弁護士が主として民事法律扶助事件,国選弁護事件を取り扱う事務所と申しますのは,資料3の一覧表の1から16までの地方事務所と支部,それから地域事務所でございます。このうち,旭川地方事務所に配置しました常勤弁護士につきましては,民事法律扶助の担い手が特に少ない地域でございます旭川地裁の稚内支部を巡回して,主として民事法律扶助事件を取り扱いまして,また,岐阜地方事務所に配置した常勤弁護士については,国選弁護事件の担い手が特に少ない地域でございます岐阜地裁の御嵩支部を巡回して,主として国選弁護事件を取り扱いました。   配置された各常勤弁護士はそれぞれの配置先事務所において民事法律扶助及び国選弁護の重要な担い手として活躍しておりますけれども,18年度に採用した常勤弁護士はいまだ十分とは言い難いと考えてございます。   一方で,御説明いたしましたとおり,司法修習生,弁護士,法科大学院生等を対象とした説明会を多数回実施して,積極的かつ効果的なリクルートを展開しておりますこと,また,今年度から司法修習終了直後の新人弁護士を採用して,集合研修やOJT研修等を行いまして,比較的短期間で即戦力となるよう養成する新制度を導入することなどによって,相当数の常勤弁護士を確保できる見込みでございまして,今後も継続的に積極的かつ効果的な説明会の実施などの取組を続けることによって中期目標を達成できるのではないかと考えておりまして,そのような意味で自己評価としては「B」としております。   一般契約弁護士等の確保につきましては,民事法律扶助の担当者,国選弁護の担当者の方から後に補足説明をお願いすることといたします。   続きまして,司法過疎対策の関係が項目別評価表の9ページから10ページにかけて記載してございます。中期計画では(5)の司法過疎対策としまして地裁支部管轄単位で実働弁護士数がいわゆるゼロか1の地域のうち,当該地裁支部から公共交通機関を用いて長時間を要することなく移動できる範囲内に地裁本庁または2名以上の実働弁護士が事務所を開設している地裁支部が存在する地域を除外しました実質的ゼロワン地域において,関係機関とも連携協力しながら,常勤弁護士による法律サービス提供が可能な体制を整備するとしておりまして,18年度計画では①としまして,実質的ゼロワン地域において管内人口・事件数等を考慮しつつ地域事務所を設置し,常勤弁護士を常駐させる,②としまして,実質的ゼロワン地域に近接する地方事務所の常勤弁護士による巡回による法律サービス提供を試行すると記載してあります。   18年度の実績といたしましては,このような実質的ゼロワン地域に該当しました新潟県の佐渡,鳥取県の倉吉,長崎県の壱岐,鹿児島県の鹿屋,北海道・函館地裁管内の江差,高知の須崎の6ヶ所に司法過疎対策としての地域事務所を設置いたしまして,常勤弁護士各1名を常駐させ,民事法律扶助,国選弁護,総合法律支援法30条1項4号に基づく有償事件の法律サービス全般の提供を行っております。   また,実質的ゼロワン地域でございます旭川地裁稚内支部,岐阜地裁御嵩支部に近接する旭川地方事務所と岐阜地方事務所に配置した常勤弁護士について,それぞれ巡回による法律サービス提供を行ったことは先ほど御説明したとおりでございまして,18年度の司法過疎対策としては自己評価を「A」評価とさせていただいております。   続きまして,若干飛びますが,項目別評価表の15ページから17ページにかけまして,「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」の関係で,(1)民事法律扶助・国選弁護人確保という項目がございまして,ここにおきましては中期計画では業務の効率化を図るため,所要の常勤弁護士を確保する,常勤弁護士に対する事件の配点等について所要の配慮措置を講ずることにより常勤弁護士が業務に専念し十分活動できる環境を整備するとしておりまして,18年度計画では①から④まで項目が分かれておりますが,①として常勤弁護士採用の基盤整備のため,司法研修所等の関係機関に対し支援センターの業務内容や常勤弁護士の意義等の説明を行う,②として関係機関の協力を得て司法修習生,法科大学院生,弁護士に対する説明会を実施する,③として常勤弁護士が配置された地方事務所において,常勤弁護士が業務に専念し,十分に活動できる環境整備のための配慮措置に関する方策を検討・立案,実施する,④として常勤弁護士または内定者に対する支援センター本部主催の実務研修を1回以上実施すると記載しております。   このうち①と②の説明や説明会の実施という部分につきましては,18年度の実績として日弁連,単位弁護士会,司法研修所,法科大学院等の御協力を得て合計44回,のべ4,000名以上の司法修習生,弁護士,法科大学院生等を対象として説明会を実施して,司法研修所教官や実務修習の指導担当者であります法曹三者に対しても積極的に説明を行い,所要の常勤弁護士確保に向けた基盤整備等のために一定の成果をあげたと考えております。   ③の常勤弁護士が業務に専念するための環境整備の部分につきましては,地方事務所,支部,扶助国選対応地域事務所に配置した常勤弁護士について,事件の配点ルールの目安を定めた上,地域の実情に応じて事件の配点を行うこととしております。   また,常勤弁護士支援メーリングリストというメーリングリストを導入いたしまして,そこに常勤弁護士全員と,それから各分野の専門家である弁護士の先生方に日弁連に御協力いただきましてアドバイザリースタッフとして加入していただきまして,常勤弁護士からの質問に随時お答えいただくというような制度も導入しておりまして,常勤弁護士が業務に専念し,十分に活動できる体制整備に努めているところでございます。   ④の業務研修の実施につきましては,平成18年9月に2日間にわたって支援センター本部におきまして常勤弁護士内定者業務研修を行いまして,支援センターの業務全般に関する講義のほか,実践的な刑事弁護実務に関する講義などを実施いたしました。   このように,常勤弁護士確保に向けた取組自体としては相当程度必要かつ有効な取組を実施できたと考えておりますが,中期計画におきましては所要の常勤弁護士を確保すると記載しておりますことからすれば,いまだ十分な常勤弁護士数を確保できたとは言い難く,今後も常勤弁護士確保に向けた積極的な取組を継続していくことによって中期目標を達成できるというふうに考えておりますことから,自己評価としては「B」としてございます。   項目別評価表を1枚めくっていただいて18ページですけれども,(3)の司法過疎対策の項目でございますが,ここでは先ほど御説明いたしましたとおり,平成18年度において実質的ゼロワン地域に司法過疎地域事務所を6ヶ所設置して,常勤弁護士が常駐して民事法律扶助,国選弁護,有償事件をそれぞれ取り扱ってございまして,自己評価は「A」評価とさせていただいております。   司法過疎対策の関係で,少し飛びますが,項目別評価表の27ページにも計画がございまして,そちらをごらんください。ここは「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」という項目の中で,中期計画において司法過疎地域の事務所に配置された常勤弁護士の民事法律扶助業務,国選弁護業務,有償事件受任業務の合理的な配分を行うとしておりまして,18年度計画では常勤弁護士が配置された実質的ゼロワン地域の地域事務所において,民事法律扶助業務・国選弁護業務・有償事件受任業務の合理的な配分を行うための具体的な方策を企画・立案,実施すると記載しております。   18年度においては,司法過疎地域事務所に配置された常勤弁護士の限られた労力をできる限り利用者のニーズに即してバランスよく法律サービス提供を行うことができるようにするために,民事法律扶助事件・国選弁護事件・有償事件の配分についての目安として,民事法律扶助事件については地域の実情を踏まえて各都道府県内全域の取扱い量のバランスを考慮しながら民事法律扶助事件を受任することとし,国選弁護事件につきましては当該地裁支部管内の国選弁護事件を一般契約弁護士,常勤弁護士に平等に配分するという目安を一応定めました上,地域の実情やニーズに応じて事件を受任することといたしました。   18年度に設置した6ヶ所の司法過疎地域事務所における受任事件数の配分は,受任事件全体の約6割から8割程度が有償事件,約1割から3割程度が民事法律扶助事件,約1割から2割程度が国選弁護事件となっておりまして,事務所ごとに各地域の実情,利用者のニーズを反映した実績となっており,常勤弁護士の限りある業務量を合理的に配分できたと考えておりまして,自己評価は「A」ということにさせていただいております。   次に,項目別評価表の28ページをごらんください。財務内容の改善に関する事項という項目の中で,(3)司法過疎対策の①として,有償事件の受任等による自己収入額を増加させるというそういう中期目標がございますが,18年度に設置した司法過疎地域事務所に配置された常勤弁護士が取り扱いました有償事件による収入額は,合計約3,800万円程度となっております。このように支援センターの自己収入額の増加に十分寄与していると考えられますことから,自己評価は「A」評価とさせていただいております。   最後に,項目別評価表の31ページにおいて,人事に関する計画の中で,中期計画において常勤弁護士の確保等に関しまして民事法律扶助事件及び国選弁護人確保業務対象事件の増加に加えて,平成21年度における裁判員裁判の開始及び被疑者国選弁護対象事件の大幅拡大に対応するため,所要の常勤弁護士確保を含む組織的,効率的な業務体制の確立が不可欠であるなどと記載されてございます。   当面は支援センターの業務遂行に支障がないだけの一般契約弁護士が確保されておりますけれども,平成18年度に採用した常勤弁護士数はいまだ十分とは言い難いものでございまして,その原因を分析しますと,支援センターは全国展開する組織でございまして,常勤弁護士は事件数,弁護士数,人口等に照らして必要とされる地方に赴任して民事法律扶助事件及び国選弁護事件等の取扱いを行うことが期待されている弁護士でございますけれども,法曹実務経験が相当程度ある一般の開業弁護士の方々は1つの地域に根ざして事務所を経営する等しておりまして,支援センターの常勤弁護士となることで現在の弁護士活動の清算が必要となりますことや,転居により生活環境が変わることなど,少なからず困難な問題があることなどが考えられます。   一方で司法修習生には支援センターの常勤弁護士に強い関心や興味が見られまして,一般の開業弁護士のような今御説明した困難な問題も少ないということがございまして,支援センターでは日本弁護士連合会の御協力を得て,今年度から司法修習を修了した新人弁護士を常勤弁護士として採用した上,集合研修やOJT研修による実務指導を実施するなど,比較的短期間に即戦力となるよう養成する新制度を導入することといたしました。   現在も平成19年度に採用する常勤弁護士の選考手続を継続中でありまして,確定的な数字ではございませんけれども,このような新制度の導入等によりまして平成19年度中には,平成18年度に採用した常勤弁護士も含めた数でございますが,合計100名前後の常勤弁護士を確保できる見込みとなっております。平成18年度に実施してきた常勤弁護士就職説明会等の継続的な実施などを含めまして,常勤弁護士確保に向けた取組を粘り強く継続していくことによって21年度体制に向けた所要の常勤弁護士を確保し,人的体制を拡充することができるであろうというふうに考えておりまして,自己評価を「B」評価とさせていただいております。   事業企画本部からは以上です。 外山課長 それでは,続きまして,民事法律扶助課の方から御報告させていただきます。   平成18年度民事法律扶助業務につきましては,従前財団法人法律扶助協会が民事法律扶助法に基づき実施しておりました事業を混乱なく承継して実施していくということが何よりもまず必要な課題でございましたが,平成18年度につきましては法律相談援助,代理援助及び書類作成援助のすべての分野につきまして同協会における平成18年度上半期の実施件数を上回る実績をあげることができました。まずは円滑に業務の承継ができたというふうに考えております。   続きまして,項目別評価表で言えば6ページ,それから業務報告書の資料11--後ろの方に資料がついているんですが--をごらんいただければと思います。民事法律扶助の担い手の確保の問題であります。先ほど事業企画本部の方から常勤弁護士の確保状況について報告がありましたけれども,契約弁護士・司法書士の確保状況に関する問題であります。資料11にありますとおり,平成18年度末時点で弁護士総数に対する受任者契約弁護士の割合が36.8%,それから司法書士総数に対する受託者契約司法書士の割合が18.8%となりまして,おおむね円滑に契約弁護士・司法書士の確保ができたというふうに考えております。   さらに,いわゆる司法過疎地域と呼ばれる民事法律扶助の担い手となる弁護士・司法書士が少ない地域におきましてより高い契約率となっているということも評価すべき点と考えております。ただ,これら司法過疎地域における民事法律扶助の担い手の確保はその地域のニーズを満たすのにはなお十分と言い難い場合もございまして,さらに高い契約率を目指すとともに,既に契約弁護士・司法書士となっておられる方につきましてはより多数の案件を受任・受託していただけるよう努力していかなければならないと認識しておりまして,そのような点から常勤弁護士の確保状況と合わせまして自己評価を「B」としております。   続きまして,項目別評価表の6ページの下になりますけれども,ニーズ調査に関する項目であります。中期目標には民事法律扶助のニーズを的確に反映した事業計画を立案できるよう,利用者に対するアンケート調査等を実施するなどして民事法律扶助のニーズの把握に努めると定められております。平成18年度の年度計画にはこの点に関する具体的な定めが置かれておらず,本項目につきましては今年度より本格的な取組を開始する予定であります。具体的には,学識者等を交えた検討チームを立ち上げ,社会学的に確立した知見をも参照しながらアンケート調査等の実施計画を立案したいと考えております。   続きまして,「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置」に関する項目でありまして,項目別評価表の20ページをごらんください。民事法律扶助業務関係では3点ございます。   1点目が,申込みから代理人選任までの期間短縮の問題です。平成18年度は50地方事務所中47の地方事務所で援助開始決定の前提となる地方扶助審査員による審査手続につきその方法の合理化を行いました。具体的にはより少人数の審査員による審査とする,審査の開催頻度を増加する,申込み者を呼び出さず書面のみでの審査を活用するという3つの方法のうちの1つまたは複数を採用することであります。   ただ,審査方法の合理化は地方事務所により比較的進んでいるところとそうでないところがあるため,全体の評価としては「B」評価とさせていただきました。本年度は合理化が比較的進んでいない地方事務所における合理化の一層の推進を図りたいと考えております。   続きまして2点目ですが,犯罪被害者への充実した援助の提供の問題です。昨年度は約半数の地方事務所において犯罪被害者からの援助申込みに対し迅速な法律相談援助の提供,専門的知見を有する精通弁護士の紹介,また事案によって代理援助の手続を行うなどの配慮を行いました。しかし,昨年度は犯罪被害者からの援助申込み実績のない地方事務所がほぼ半数近くに及ぶなど,いまだ犯罪被害者に対する援助制度自体が十分普及しているとは言い難い面があり,引き続き制度の周知に努力していく必要があるため「B」評価としたものであります。   最後の3点目ですが,契約弁護士・司法書士に対する研修の問題です。昨年度におきましては本部で契約弁護士・司法書士向けのマニュアルとして「民事法律扶助業務の解説」を作成し各地方事務所に配布したところ,40地方事務所ではこれを契約弁護士・司法書士全員に配布いたしました。民事法律扶助により提供される法的サービスの質の向上を図るためには,まずもって契約弁護士・司法書士が民事法律扶助業務の手続や規則に精通していることが必要と考えられるところ,このようなマニュアルを配布するだけでなく,契約弁護士・司法書士向けの説明会等を開催して,その内容の周知に努める必要があります。   本年度は6月末にその暫定版が完成いたしました民事法律扶助業務ハンドブックなどを資料として契約弁護士・司法書士に対する説明会等ができるだけ多くの地方事務所において開催されるよう努めていきたいと考えております。   以上の理由により,自己評価としては「B」といたしました。   それから,項目別評価表の28ページをごらんください。「財務内容の改善に関する事項」の(2)であります。「償還を要すべき者の滞納率を引き下げることなどにより償還金収入の確保に努める」と定められております。支援センターでは代理援助及び書類作成援助につき償還を猶予された場合を除き,事件の進行中も毎月一定額を郵便局の自動払込手続を使って償還していただくことを原則としております。そして,約定の償還が初めて滞ったとき,及びその後も連続3ヶ月償還が滞ったときには外部の委託業者より督促のはがきを送付いたしまして,コンビニエンスストアでの支払を求めております。ただ,郵便局の自動払込の設定手続事務には多少改善の余地があると考えておりまして,これにより少しでも滞納率を引き下げるよう努力していきたいと考えております。   そのような点から自己評価としては「B」とさせていただきました。   では,扶助課からは以上であります。 龍見課長 続きまして,国選弁護関係について御説明いたします。   センターにおきましては国選弁護関連業務といたしまして国選弁護人になろうとする弁護士との間の契約の締結,個別の事件におけます国選弁護人になる候補の方に対します指名や裁判所への通知といった業務,また国選弁護人に対します事件終了後でございますが,報酬や費用の算定及び支払といった業務を行っております。   では,項目別評価表に従いまして御説明いたします。   まず,7ページをご覧いただけますでしょうか,7ページでございます。中期目標におきましては捜査・公判を通じ一貫した弁護人確保体制を全国的に均質に確保するため,捜査・公判を通じ一貫して弁護活動を担う弁護士を確保することとされてございます。   18年度の実績でございますが,まず業務の開始前に弁護士会主催の説明会等に参加いたしまして,国選弁護関連業務の内容,支援センターと一般契約弁護士との間の契約内容についての説明を行いました。また,これと並行いたしまして,本部で作成した解説書を各地において配布しましたり,広報用ビデオを作成いたしまして報酬の算定方法等についてわかりやすく解説を行うなどを試みてございます。   もっとも,一般契約弁護士の契約率につきましては弁護士全体の約50%弱にとどまっておりまして,とりわけ東京や大阪など大規模の弁護士会における契約率が低い水準となってございます。また,その他の弁護士会におきましても7割程度の契約率にとどまっているというところもございまして,平成21年への対応に向けますと,さらなる制度の周知,制度への理解を求めていく必要があると考えます。   このため,自己評価については「B」評価とした次第でございます。   続きまして,評価表の17ページをご覧いただけますでしょうか。中期計画におきましては複数事件の包括的な委託の契約締結に努めるとされてございまして,これに沿って年度計画といたしまして国選弁護人契約における一括契約についての説明資料を作成する。一括契約に基づく事件処理の実務運用について関係機関との協議を行うとされてございます。   18年度の実績でございますが,まず本部におきまして一括契約について説明した解説書でございます,先ほど申し上げました「国選弁護関連業務の解説」と題する冊子,解説書を作成いたしまして全国の一般契約弁護士等に配布いたしました。   また,先ほどの2点目でございますが,各地方事務所におきまして,対応する裁判所,弁護士会等との協議の上,一括契約に関する配点等の運用方法を検討してございます。18年度におきましては合計40件の事件について一括契約での指名通知がなされた状況でございます。このため,自己評価といたしましては「A」評価とした次第でございます。   続きまして,項目別評価表の21ページから22ページにかけての部分をご覧いただけますでしょうか。   中期計画といたしましては3点掲げられてございます。1点目は,迅速かつ確実に国選弁護人の選任が行われる体制の確保を図るため,各地方事務所単位で裁判所,検察庁,警察及び弁護士会との間で定期的な協議の場を設定するという項目がございます。この点につきましてはすべての地方事務所におきまして関係機関との協議が行われてございます。そのため,自己評価としては「A」評価とした次第でございます。   次に,中期計画では,今度は②とされている部分でございます。裁判所からの指名通知要請を受けてから裁判所に候補を通知するまでの所要時間の短縮を図るために,地方事務所ごとに事件類型別の目標時間を設定するとされてございます。これにつきましては18年度におきまして,すべての地方事務所におきまして目標時間を設定いたしまして,いずれもおおむね達成できているという報告を受けてございます。そのため,自己評価につきましては「A」評価としてございます。   続きまして,22ページのところでございます。中期計画の③といたしまして,国選弁護人としての活動の充実を図る観点から,各地方事務所単位で各事業年度に1回以上国選弁護人契約弁護士を対象とする研修を実施するとされております。18年度の実績につきましては解説書の配布,センター主催の説明会,弁護士会主催の説明会への参加等によりまして,すべての地方事務所において年度計画に基づく研修が実施されてございます。もっとも,新制度の開始年度ということもございまして,この制度自体を周知するということに重点を置きましたため,解説書の配布等による制度の説明にとどまった地域も多うございまして,国選弁護活動の充実を図る観点からは必ずしも十分な研修が実施できたとは言い難いと考えられまして,自己評価としては「B」評価といたしました。   以上でございます。 畝本次長 最後に財務会計の前に1点御説明させていただくのが評価表の32ページでございます。一番後ろになります。これは先ほど人事に関する計画の中で常勤弁護士の確保状況については初澤の方から説明があったとおりです。32ページの部分は一般職員の確保状況等ということでございますが。昨年10月2日の業務開始に向けまして順次職員の採用を行いまして,設立当初に予定していた人的体制によって業務開始を迎えることができました。その後も司法過疎地域における地域事務所の開設などに伴いまして,順次職員を採用して,一定人的体制の整備を図ってまいりました。   また,管理監督者研修あるいは各種業務研修を実施しております。   職員の給与体系につきましては,国家公務員の給与構造改革に準じた給与規程を作成いたしました。また,国家公務員の給与構造改革の趣旨を踏まえた人事評価システムを策定して,その評価結果を昇給及び勤勉手当に反映させる仕組みを導入しております。   以上のことから,自己評価としては「A」とさせていただいております。 釜井課長 財務会計課長の釜井でございます。最後に,財務会計課関連について一括して御説明させていただきたいと思います。   まず,資料1の項目別評価表の12ページと13ページの部分をごらんください。この部分につきましては「業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」として年度計画で定めておりまして,その総括的な事項がございます。結論といたしましてはいずれも「A」評価としております。   年度計画にございますように,さまざまな業務を一体的に遂行することにより人的,物的体制の合理化,効率化,あるいは常勤弁護士制度の導入,国家公務員の給与構造改革の趣旨を踏まえた給与体系の導入,さらに13ページのところにも年度計画にもありますが,一般競争入札等の競争的手法の導入ということで経費の効率化を行う,これらについていずれも実績欄に記載がございますように,基本的に予定どおりに実行できたということで評価を「A」とさせていただいております。   続きまして,同じくこの項目別評価表の30ページの部分をごらんください。30ページにつきましては,これは「その他法務省で定める業務運営に関する事項」といたしまして,施設・整備に関する計画ということでございます。年度計画といたしまして,平成18年度に業務を開始するということで各地方にその事務所を確保して,その質,業務の体制を整備するということでございますが。平成21年度には被疑者国選弁護対象事件が大幅に増大すると。それに伴いまして,その業務量がふえ,こちらの職員の数等もふえていくことも想定されますし,将来的に常勤弁護士の数もふえていきます。こういったことを見すえつつ,各事務所を確保していこうということが計画にございますが,計画どおりほぼ所要の面積の事務所を確保できたということで評価を「A」ということにさせていただいております。   続きまして,その前のページの29ページのところでございますが,項目別評価表の29ページ。ここの予算等についてございます。これにつきましては財務諸表,決算報告書,これと合わせて説明させていただきますが。当法人の場合には国選弁護関係の勘定は区分経理されておりますので,これらの資料すべて法人単位,法人全体の部分,一般勘定の部分,国選弁護勘定の部分,この3種類からなっております。法人単位の部分につきましては一般勘定と国選弁護勘定合わせただけですので,これから一般勘定と国選勘定のそれぞれについて説明させていただきます。   まず,決算報告書について御説明します。資料3の財務諸表の真ん中といいますか終わりから3分の1あたり,決算報告書というのがついていると思います。その決算報告書の2ページのところをごらんください。この決算報告書につきましては財務諸表には該当しておりませんで,独立行政法人会計基準の範囲外のものということになります。独立行政法人の場合,運営資金の大半が国からの財源措置でまかなわれるということから,官庁会計に準じた予算管理が求められておりまして,この決算報告書にありますように,予算の区分で作成し,予算計画と対比して執行状況をあらわす,こういう書類の作成が義務付けられております。   この2ページの一般勘定の部分でございますが,これは国選弁護以外の部分のものになります。収入と支出ございますが,収入の方が予算に比べますと4,800万余り多く,支出につきましては5億6,500万ほど少なかったということになっております。   下の注書きのところにその差の主な点について説明がございます。注1のところにつきましては,先ほど補助金,寄付金の項目別評価表のところで説明もありましたが,18年度につきましては寄付金収入の実績が少ないということで,この補助金等収入が決算額がかなり少なくなっております。それから注2のところはそこに書いておりますように,法律扶助協会からの承継金額が多かったということでプラスが出ております。   それから,支出の面を見ますと,注3にありますように,人件費の支出が少なかったというのが常勤弁護士の採用数が少なかったことなどによるということでございます。それから,物件費の支出が少なかった点については,先ほど申し上げましたが,一般競争入札手続等の利用,そういったことによって執務体制を整備する関係の経費の支出が抑制されたということでございます。   続きまして,隣の3ページの国選弁護勘定のところをごらんください,決算報告書の3ページでございます。これにつきましては委託費の清算後のものがその決算額として記載されております。収入,支出の総額が10億余りずれておりますが,これにつきましては注1のところにございますように,被疑者・被告人国選弁護事業費,主には国選弁護の報酬等になりますが,その支出実績が少なかったこと,それから国選付添事業費というのは法改正がまだできずその国選付添人の制度が施行されませんでしたのでその関係の支出がなかったこと,こういった理由によってこのような差が生じたということになります。   それから,注2のところ,これ先ほどの一般のところでも注5に記載があるんですが,これから説明いたします財務諸表とこの決算報告書の経費について,一般勘定と国選勘定の経費の配分が異なっております。これはどういう理由かということでございます。こちらの決算報告書につきましては国選弁護に関する委託費の予算措置の考え方に基づきましてこういう支出の配分をしているわけですが,その支出の考え方というのはある意味政策的な配慮によって,この部分の費用は委託費,この部分は運営費交付金というような形でセットされています。これは支援センターのまだ実績がない段階でそういう形で予算のセットが行われているということです。   他方,財務諸表につきましては,独立行政法人会計基準あるいは企業会計原則の趣旨に従いまして,当然,それぞれの勘定,国選弁護であれば国選弁護の勘定に帰属させるべき経費というものはそちらの方に計上すべきということになりますので,委託費の予算措置の考え方がどうなっているかということではなくて,あくまで取引・使用の実態をとらえた上での配分になります。そういう関係で経費の配分が異なっております。それが注2と注5のところに記載していることでございます。   続きまして,財務諸表の概要について説明いたします。まず,この資料3の財務諸表の20ページをごらんください。20ページからが一般勘定についての財務諸表になります。20ページは一般勘定の貸借対照表ということになります。貸借対照表には資産,負債,資本という形で記載されるのは一般の会社と同様でございますが。独立行政法人の場合にちょっと普通の会社と違いますのは,負債の部に流動負債として運営費交付金債務あるいは固定負債といたしまして資産見返負債とかこういった普通の会社では出てこないような負債科目が立っております。これらはいずれも独立行政法人会計基準というものが決まっておりまして,それに基づいた処理ということになります。   当法人の場合の特色とすれば,この資産の部の流動資産の中に民事法律扶助の立替金が,貸倒引当金が55億9,900万ですが,これが非常に重要な資産の一部を形成しているということですとか,未払金が比較的たくさんございます。これは法律扶助の関係の事業費といいますのは1ヶ月遅れの送金,例えば平成18年3月にさまざまな決定をしたものは4月にまとめて送金されますので,そういうこともあってこの未払金が多くなっています。   固定資産として,建物とございますが実際に建物を所有しているわけではございませんで,建物の附属設備です。事務所の間仕切りとかこういったものが固定資産の内容になっておりまして,特に目立った固定資産はそれほどございません。50万以上を固定資産として計上しております。   30ページをごらんください。30ページの下の方に運営費交付金債務残高の明細というものがございます。独立行政法人の場合には交付される運営費交付金と同額の運営費交付金債務というものを負うという形になりまして,それで期間の経過といいますかあるいはお金を使ったのに応じてその運営費交付金債務がなくなっていくと,こういう関係になります。   それでそこの(3)の30ページの下に方にございますが,当法人の場合には費用進行基準というものを運営費交付金の収益化のルールとして採用しております。運営費交付金をどのようなルールで収益化するかについてはこれも独立行政法人会計基準にルールがありまして,そのうちの費用進行基準を採用しております。これはどういうことかといいますと,お金を使った部分,お金を1億使えば1億の運営費交付金債務がなくなると,こういう基準でございます。   (3)の残高の明細の表の右側にございますが,右側の○の2番目のところに括弧で注書きがございます。運営費交付金の収益化の前提として,まず自己収入を財源として優先的に充てることとしています。つまり,まずさまざまな経費があげたうちの,当法人の場合には過疎地での有償の事件の収入ですとか,寄付金ですとか,そういった収入をまず充てて,それで足りない部分を運営費交付金でまかなおうということにしております。運営費交付金の収益化については,先ほど申し上げましたように,費用と同額のものを費用進行基準ということで同額のものを収益化していくという形になります。   今年度の運営費交付金残高は4億5,000万程度ありまして,これについてはそこにありますように資金の合理的な運用と経費の削減というのがその発生理由というふうに考えています。   戻りまして,21ページのところをご覧ください,これは一般勘定の損益計算書になりまして,ここでは業務費,一般管理費等が記載されておりまして。計上収益のところで,今御説明しました運営費交付金収益,先ほどのルールに基づいて収益化した分が本年度42億5,200万ということになります。   この資産見返負債戻入という部分は先ほどの固定負債にありました資産見返運営費交付金等と同様,独立行政法人固有のルールということになっております。   隣の次のページの22ページがキャッシュ・フロー計算書ということになります。これは文字どおりお金の流れがどのようになっているか,実際のお金の流れをあらわしているということになります。業務活動によるキャッシュ・フローが大半でございますが,損益計算書や貸借対照表にあらわれておりません扶助の立替金の支出ですとかあるいは償還による収入,こういったものがここに表示されております。   続きまして,24ページの行政サービス実施コスト計算書をごらんください。この行政サービス実施コスト計算書といいますのは損益計算書にあらわれてこないような費用もここに検出することによって納税者である国民がどういう負担を負っているのかということを示すための資料でございます。ですから,貸借対照表,損益計算書では計上されていない退職金引当金に相当する部分がこの引当外退職給付増加見積額というところで計上されていたり,あるいは政府出資金の機会費用といいますか政府が3億5,100万円出資しておりますが,それの利息分といいますかそういうものが費用として計上されて,トータルで111億1,300万ということが18年度なっております。   この金額が多いか少ないかというのは直ちには評価し難いと思いますので,これから何年かで比較をとっていく,当法人の場合でどういうふうにそれが推移していくかということで見ていくことになろうかと思います。   続きまして,国選弁護勘定の方に移りまして,32ページをごらんください。32ページと33ページが国選弁護勘定の貸借対照表,損益計算書になっております。こちらの方は国からの委託費で基本的にまかなわれるといいますか財源がそうなっておりまして,先ほどの運営費交付金が直接ここに入ってくるわけではございませんので,運営費交付金債務ですとか,資産見返運営費交付金ですとかそういうような言葉はこっちに出ておりませんで,通常の会社の貸借対照表,損益計算書と同じような形になっております。   それで,損益計算書の計上収益の下の方に一般勘定からの受入ということで3億7,100万がございます,3億7,100万を一般勘定から国選弁護勘定に受け入れている形になっております。これはどういうことかと申し上げますと,先ほど決算報告書のところで申し上げましたが,国の委託費の予算措置の考え方とこの財務諸表を作成する上での区分経理の考え方にずれがございます。先ほどはその費用といいますかそれぞれにあげられている経費の総額が変わっているわけなんですけれども,その費用だけ財務諸表の方で会計原則に従って処理しますと,国選弁護勘定の方はマイナス,損失が,この3億7,100万分生じてしまうことになりますが,後年度において補填されることが予定されているわけではありません。国選勘定の損失が生じるということは,一般勘定の部分にその分利益がふえてしまうということになります。実態のところとしましては,一般勘定と合わせた形で,トータルで予算執行しているわけです。むしろ,今のところは決算報告書の予算執行の方が実態に近いということがございます。財務諸表を作成するに当たって,支出の方だけを会計原則の区分に従っておき,収入の方を放置しておきますと損失・利益が一般勘定と国選弁護勘定の実態を反映しない形になりますので,ここで一般勘定から3億7,100万受け入れて,国選弁護勘定の方は収支をゼロにしているとこういうことでございます。   あと,その国選弁護勘定のキャッシュ・フロー,それから行政サービス実施コスト計算書につきましては先ほどの一般勘定に御説明したこととほぼ同様の観点から作成されたものでございます。   財務諸表,決算報告書の説明は以上のとおりでございます。決算報告書が一番わかりやすいかと思いますが,初年度の予算執行としましてはほぼ順調に執行できたのではないかというふうに考えておりまして,資料1の項目別評価表の29ページのところでは自己評価を「A」というふうにさせていただいております。   以上でございます。  7/13評価委員会勉強会 質疑応答 (山本委員長) 項目別評価表1ページ目の「総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するための取るべき措置」について,「周知の徹底を図る」上で「様々な広報活動を実施した」という報告があったが,周知(認知度)に関する客観的なデータはあるのか。 (岩津総務課長) 全国的に調査をしたわけではなく,客観的なデータはない。街頭宣伝活動の際に,啓発グッズを配布したあとで,アンケートを実施するなど,小規模に実施してきた。 (山本委員長) もう少し組織的な調査活動を実施する予定はないのか。 (岩津総務課長) 街宣での調査では,認知度が10%にも満たない現状だった。今後,認知度検証のための方策をいろいろと工夫した上で実施していくつもりでいる。 (山本委員長) 項目別評価表2ページ目の関係団体のとの連携・協力関係について,地方協議会を開催して「利用者の意見を聴取し」とあるが,この協議会には法テラスを利用するであろう利用者の団体なども参加しているのか。 (岩津総務課長) 事業報告書の資料35に開催した協議会の一覧を掲載している。全国全ての地方協議会ではないが,利用者の団体などが参加した協議会もあった。 (山本委員長) 利用者の団体とは,具体的にどのような団体なのか。 (岩津総務課長) 消費者団体とか,犯罪被害者支援のNPOなどである。 (小林委員) 関係機関との連携強化とは,各種会議でよろしくとお願いするような程度の話なのか。 (関情報提供課長) 単によろしくとお願いするだけではなく,例えば情報提供について言えば,関係機関との連携について,単に相互に紹介をするという関係から始まり,相談内容の取り次ぎ,電話の転送,予約の代行等の連携があるので,より利用者の負担の少ない緊密な連携をお願いするなど,協議会の場等を利用して協力を求めるなど具体的なお願いをしている。 (山本委員長) 5ページの情報提供・関係機関連携強化のところには,68の機関と協力関係を構築する目標を立てて,結果143の機関にまでなったとの結果がある。すごい成果ではあるのだが,元々の68という数字は根拠のあったものなのか。 (関情報提供課長) 設立準備段階で,法務省当時に少なくとも連携すべき相談窓口として洗い出した結果が68であった。したがって,それを最低ラインとした。地方事務所などでも努力をし,情報提供の質の向上を図るために,その数まで協力が得られたと言うことである。 (小林委員) 連携指数の計算があるが,関係機関にプッシュしていけば,指数は上がっていきそうか。 (関情報提供課長) 地方公共団体には,センターはどこまでやる気なのか,関係を密にすることによる負担はどの程度のものなのかといった様子見のところがある。ようやく半年が過ぎて実績で出そろってきたので,それを説明することによって,指数は上昇すると思うし,現実に伸びてきている。 (山本委員長) 19ページのコールセンターアンケート結果にある「有効回答率4.7%」とは,少なすぎるのではないか。他方,地方事務所調査では,たとえば釧路のように,満足度調査で全て満点とは,どんなアンケートなのか。 (関情報提供課長) コールセンターの場合は,電話での情報提供後,時間に余裕のある方に対して,今お知らせた情報提供についての評価を聞いて行ったものである。 (山本委員長) 情報提供したオペレータ本人に対して,そんなに悪い評価なんて言えるわけはない。調査のやり方は適切か。 (関情報提供課長) 確かにその通りで,コールセンターでは客観性を持たせるため,フォローアップの調査をファクシミリで行っている。ファックスが必要となり,また,面倒なアンケートであることなどから,約400人に送信して,回答は100件程度であった。その結果,やはり好意的な結果となっている。他方,地方事務所ではまだ利用者に対する認知度が低く,フォローアップ調査まで行っていないが,今後,検討してまいりたい。 (山本委員長) 対外的には,フォローアップ調査のような匿名性のある調査の方が信用度が上がる。 (関情報提供課長) 昨日,7月12日から,ホームページにもアンケートのサイトを設け,気軽にフォローアップできるように改めた。 (小林委員) 常勤弁護士を新しく司法修習明けの新任弁護士から採用するとのことだが,これを短期間に即戦力となるよう養成するための研修とはどんな研修を考えているのか。私は弁理士だが,新任弁護士を事務所で養成するのに苦労したので,短期間に即戦力となるような研修はどんなものか伺いたい。 (初澤本部員)  基本的には,実践的な研修を考えており,新人の常勤弁護士の指導をベテラン弁護士に委嘱し,事件処理をしながら指導するOJT研修を基本として,本部でも集合研修を実施し,民事事件,家事事件の実務,刑事弁護実務等の基本的知識・技術の習得及び向上を目指して,専門家などを呼んで,専門的,かつ,実践的な研修を行うことになる。 (小林委員) OJTの費用はいくらになるか。 (初澤本部員) 事件処理のために必要な,たとえば被疑者国選事件の接見のための旅費のような費用は法テラスから支給されるし,基本的に既に法テラスに採用された弁護士なので,給料制である。OJT研修費については検討中である。 (小林委員) OJT研修の内容は,全国的に使用できるようなプログラムを作るのか。 (初澤本部員) 日弁連で実施している研修などをモデルに,支援センター本部で作成する。集合研修も同様である。 (小林委員) 国選弁護人確保の実績で,十分でないとの記載があるが,確保人数は何人くらいいればよいのか。 (龍見国選弁護課長) 被疑者国選弁護事件の拡大や裁判員制度開始に向けて必要な人員という意味である。 (小林委員) 何人以上か。目標数値は。 (田中次長) 一般契約弁護士の数は,常勤弁護士と相関関係にある。これらは,被疑者国選事件の拡大事件数を考慮して検討していくことになる。日弁連の試算で,常勤弁護士を300人と見積もっている。支援センターにおいても,国選弁護事件で250~260人程度,それに扶助事件や司法過疎対策を加味して合計300人程度と,ほぼ同じ程度の数値を予想している。国選弁護事件の数については,今年の2月から3月にかけて実施した全国8ブロックの会議において,常勤弁護士の必要数を地方事務所から出してもらい,それを参考として,次に,本部において弁護士一人あたりの地域別負担事件数を試算した上で,平成21年の被疑者国選弁護への対応と,裁判員制度への対応を加味すると,250から260人程度という数字になる。 (山本委員長) 司法過疎地域事務所は6カ所とのことだが,実質的なゼロ・ワン地域は,全国的にいくつあるのか。 (初澤本部員) 登録数によるゼロ・ワン地域は,18年4月には43カ所あった。今年の5月で33カ所である。実質的なゼロ・ワン地域は,登録数ではなく,実働ゼロ・ワンでカウントしており,時々刻々と状況が変わるが,概数で30数カ所の実働ゼロ・ワン地域がある。。これを基準に今年度の司法過疎地域事務所の設置場所の検討を行っている。全国的な状況を見た上で,約10カ所程度の地域事務所を新たに考えている。 (山本委員長) 形式的なゼロ・ワン地域,実働ゼロ・ワン地域の違いは何か。 (初澤本部員) 登録弁護士の実働の有無である。形式的には,弁護士登録していても,例えば,議員で弁護士業務を行っていなかったり,健康を害して入院していたり,高齢で業務を行っていないなどがあれば,実働ゼロ・ワンになる。 (知久委員) 巡回相談とは,どのくらい行っているか。 (初澤本部員) 事業報告書の資料30をご覧いただきたい。稚内は扶助事件中心であり,また,御嵩は国選事件が多いなどの一方で担い手の弁護士が少ないので,巡回することとしている。 (山本委員長) 20ページの民事法律扶助で,審査などの合理化ができていない事務所があるとの説明だったが,どういうことなのか。 (外山民事法律扶助課長) 書面審査方式の採用割合が多いところと少ないところなど,地方事務所によって審査体制の在り方に差が生じていることである。 (小林委員) 財務諸表の説明で,交付金に余りが生ずるとのことだったが,それはどうするのか。 財務諸表2ページ目の損益計算書において,補助金収入や寄付金収入を計上しているが,額が少なくないか。 (釜井財務会計課長) 中期計画終了時に精算する仕組みになっている。 扶助の寄付金等は,法律扶助協会の扶助事業を法テラスが承継したため,同程度の収入を見込んでいたが,国の事業になったせいか額が減ってしまった。 (小林委員)  eメールによる情報提供について,秘密の保持はどのように守られているのか。 (関情報提供課長) 質問をする場合,法テラスのホームページから行う仕組みになっており,十分なセキュリティを確保している。また,返信メールには回答のみ記載し,質問部分など個人の情報に関する事項は記載しないようにして,秘密の保持に努めている。 (山本委員長) 28ページにある償還金滞納率のデータはあるか。 (釜井財務会計課長)  将来的には,一定の数値目標のような滞納率を設定する必要があると考えるが,これまで滞納率に関するデータのようなものはない。 (小林委員) 32ページの人事評価システムとは,どのようなものか。 (釜井財務会計課長) 国家公務員の給与制度において,昇級区分が変更された。これに基づいて,能力主義を盛り込んだ昇給制度などである。 以上  7/17評価委員会勉強会 質疑応答 (吉川委員) 民事法律扶助事業の件数が増加している。扶助事業は国民が利用する制度である反面,予算上の制約もある。事業報告書の資料10で,扶助の援助開始決定件数が65,000件とあるが,この件数はほぼ予定していた件数か。それとも,まだ申請はあったけれど,予算がないから断った結果の数字か。需要を全部満たした上での件数という理解でよいか。 (外山民事法律扶助課長) 年度の途中で,代理援助,書類作成援助の予算の修正は行っているが,資料10にある法テラスの援助開始決定34,800件(10月以降分)は,ほぼ予定件数に達した数字である。 (吉川委員) それでは,決算報告書の支出として,扶助の事業経費が2億円ほど余計に支出しているが,これは扶助事件の件数が多かったということか。 (釜井財務会計課長) 常勤弁護士が20数名だったことから,一般契約弁護士に代理援助を委託したため,余計に経費がかかった結果である。 (吉川委員) 被疑者国選事件の21’拡大に向けて常勤弁護士を増やしていくのは当然だが,扶助事件に回る常勤弁護士はどうなのか。 (田中次長) 今年の2月から3月にかけて実施した全国8ブロックの地方事務所長会議で,各地方事務所として常勤弁護士は何人必要か聞き,それを参考として,本部において弁護士一人あたりの地域別負担事件数を試算した上で,平成21年対応への必要数を検証した結果,まとめると国選弁護事件で250~260人程度という数字になった。これに扶助事件対応と司法過疎対策を加味して50人程度が妥当で,併せて300人程度が全国的に必要な常勤弁護士と考えている。 (高部委員) 法律扶助を利用する国民は,資力の乏しい方でも,代理援助,書類作成援助で立て替えた手数料を償還してもらわなければならない。法律扶助協会から法テラスが事業を引き継いだ際に,財務諸表ではその27ページに「民事法律扶助立替金」として計上されているものの,償還金については事業引継ではわからないが。 (外山民事法律扶助課長) 償還金は,貸倒引当金として,扶助協会からの引き継ぎとは別に計上している。18年度は,事業の承継が滞りなく進むよう事務を集中させていたため,償還金の免除や見なし消滅等の事務は余り行ってこなかった。今年度は相当数の件数になるだろう。 (高部委員) 年度内で,どのくらいの償還があるかということを聞きたかった。事業報告の説明では,支払いがない場合は,3ヶ月経過とともに請求の旨を書面で知らせるような話だったが,それまで待たなくても,景気が良くなってきているのだから,もっと償還を進める動きをとるべきでないか。 (釜井財務会計課長) 債権の内容をチェックして,18年度の貸倒引当金を計上している。引当金債権の中には,返す見込みのないものもあり,これらは見なし消滅や免除等の手続をして,償還金を整理していかなければならない。被援助者への督促はもちろん,代理した弁護士を通じても督促をする。また,JCBから通知が行くなどの償還金を増やすための督促方法も考えている。18年度は十分な検討ができなかったので,19年度以降さらに検討していくことになろう。 (高部委員) 扶助協会当時から,償還率がアップしているのか。 (佐川次長) 必ずしも,十分な答えにならないかもしれないが,事業を引き継いだ昨年度の後半では,法テラスにおいて33億円の償還があり,引き継ぎ前の上半期よりも額としては伸びていた。18年度は事業の承継で手一杯であったが,今後督促等を行い償還率を上げていきたい。 (吉永委員) 評価に関して基本的な質問だけど,「A」評価の項目には自己評価の理由が記載されていない。私的には,全部Aランクでいいと思うが,「B」と評価した理由には,今年度の実績はあるものの,中期目標へは近づいていないような理由でBランクになっている。項目毎に,評価の柱が異なるように思うがどうか。 常勤弁護士の確保なんか,18年度は確保の実績があるものの,中期計画全体に照らし合わせるとBランクだと評価している。私たちは,どこを見て評価をすればいいのか迷ってしまう。 (一木事務局長) 中期目標をにらんで,当該年度の事業を行って評価を受けるものと思っている。必ずしも中期目標だけに力点があるわけではないが,基本的には中期目標をにらんで事業を行っている。 (田中次長) 自己評価に当たっては,「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」に基づき,中期目標の達成に向けたそれぞれの実施状況について項目別に評価を行ってきた。 (岡田委員) 自己評価をAとした理由がないので,どうしてA評価になったのかがわからない。18年度としての基準を満たしていればAと評価していいのか,もっと厳しく見るべきなのか。 (司会:井上司法法制課長) 支援センターの自己評価は,評価委員会としての評価のあくまで参考意見と考えてもらえばよいのであって,評価に際して不足しているデータなりがあれば言ってもらって補足していくことで。 (吉川委員) Bと判断した採点理由を明らかにしてもらいたい。例えば,広報活動における周知はどうしてBになるのか,もっと具体的なデータ等の資料が必要だ。 (一木事務局長) 周知活動については,時々の動きもあり,現段階で中期的視点で全般的かつ詳細に論ずるのは難しいが,具体的関心事項があればご指摘いただきたい。 (吉川委員) 例えば,コールセンターの問合件数の動向はどういう理由によるのか。19年度は,テレビを使うとか,聞かせて欲しい。 (一木事務局長) 今までの経緯と,今後の目標などを担当から説明させる。 (関情報提供課長) 机上配布の「法テラスコールセンターのご説明」資料参照。認知媒体について,関係機関が多くなっている。業務開始当初は,マスコミが多かったところ,広報媒体としては一過性だったのか,件数が一気に減少した。関係機関から法テラスの紹介がなされるようになって,件数が持ち直してきている。このようにな地道な活動にこそ重要であると考えている。 (吉川委員) 常勤弁護士を確保する作業は相当大変だと承知しているが,どうすればこの大変な岩盤を突き破って,自己評価をBからAにすることができるか。 (初澤本部員) 18年度の常勤弁護士は,弁護士経験者を対象としてきたが,経験者は既に地域に根ざして活動しており,また生活基盤もしっかりしているため,センターで求める全国各地への配置に応じるのは困難であることなどが理由となって,募集が少数に止まった。その中でも,地元の整理を付けて応じたいという中堅弁護士もいることはいる。 しかし,これでは300人体制は難しいので,未だ弁護士としての活動基盤の固まっていない,司法修習明けの新人弁護士を対象として,法テラスで集合研修し,赴任先の地方で地元弁護士からOJT研修を受けて腕を磨き,1年後には力を付けて活躍できる制度を導入していく。この方策によって,既に19年度には,常勤弁護士が100人近い体制になる見込みである。 (吉永委員) 項目別評価表3ページの常勤弁護士の確保は,A評価になっているが。 (初澤本部員) 常勤弁護士確保のための活動として,各地に説明に赴いて多数回にわたり多くの対象者に説明を行うなどし,効果的な取組ができたと考えており,その意味でAとした。 (吉永委員) この評価をするのは難しい。項目毎で,評価の対象が違っている。 (岡田委員) 理由無くA評価だと,こちらとしても慎重になってしまう。自己評価理由ある方がわかりやすい。 (井上司法法制課長) 評価委員会は,提出された資料からしか評価ができないので,必要な資料やデータがあれば,センターから提出してもらう。 (高部委員) 犯罪被害者の支援業務は,精通弁護士の紹介等,3本柱を行ってきたとの説明があったが,検察も警察もこれまで行ってきたものの大した成果は出なかった。地方協議会に参加して等と言うが,センターが中心になってこの犯罪被害者対策に取り組むんだ,うちが一番になってやるんだという施策があれば伺いたい。 (高際室長) 支援センターが行う犯罪被害者支援業務は,被害者の方々と関係機関,弁護士との橋渡しを適切に行うという役割が極めて重要であると考えている。被害を受けられた方に対して,関係機関の連絡先を知らせるだけではなく,当該事案に最も適切な支援窓口はどこなのか,お話を伺う中で適切な関係先を見つけ,その方が最も必要な支援に向けて,法テラスが中心となってコーディネートできるよう,関係機関との「顔の見える関係」の構築と職員のスキルアップのための研修の実施等に取り組んでまいりたいと考えている。 (吉永委員) そもそも関係機関から法テラスに,電話が来る方がおかしい。最初から法テラスでないと。広報の仕方を工夫すること。最近は,弁護士もの,裁判もののテレビドラマも多い。その流れの中に,法テラスに電話してみては,なんて台詞を入れてもらうように,社会的認知度を挙げることも重要。 (吉川委員) 日本人は,役所を頼る風潮が強い。民間には頼まないと,私は思っている。 (一木事務局長) テレビで取り上げてもらいたい希望はある。 (吉永委員) 口コミで広がる分野ではない。 (一木事務局長) A評価にした理由のデータの写しが欲しいという項目はあるか。 (岡田委員) 他の独法の評価でも,Aと付けているものに結構曖昧なものが多い。だから,より慎重になってしまう。 (宮野委員) 項目には「業務の充実」「効率化」「質の向上」などと分類されているが,充実は努力目標だからAを付けると。効率化や質の向上は,結果が付いてくるのでBだと。考えれば,努力目標は,がんばったと言うだけでAなんだからやった結果が出ない。常勤弁護士確保では,資料を対象者に配ったからがんばってAということなのか。どうしてA評価なのか,その理由がないと,我々は評価ができない。確かにこの表A,Bとなっているけれども,評価委員からすればAとなってるけれどもどうして自分はAとしたのかという考え方が,ここで資料がないから。ただ評価委員会で皆さんAと書いてるから自分もAとしたと,こういうふうになってしまう。あるいはそれを反対する理由,根拠資料がない,我々は持ち合わせていない,こういう悩みが確かにあると思う。  それから,会計のことについて,例えば事業報告書の資料18というのがある。ここに立替金残高表というのがあるが,この数字は財務諸表のどこにもぶつからない。ということで,一応注記で説明しているけれども,説明されても金額が入ってないからこれが正しいのか,決算書とつながっているのかさっぱりわからないということになる。私はこれ業務報告書だから,決算書でないんだから別に決算書と同じでなくてもいいが,決算書と同じでなければこの数字が正しいかどうかというのがわからない。決算書は監査証明ついているから決算書は正しい。それから,同じような立替金なんだからつながらなければいけない。  業務開始立替金残高が180億で,これは財務諸表の注記,7ページを見ると引き継いだのは179億である。そうするとこれは説明すること,立替金,差し引かれたものがあるんだとこう言ってる。それはいくらなのかというのはわからない。  それと,これ書くときには引き継いだ金額,期首は引き継いだ金額だけですけれども,期末の場合には引き継いだ立替金の残高がいくら,それから法テラスになってから発生して残っているのがいくら,こういうふうに分けて事業報告書で書くべきだと思う。  それから,新規積立額は,これは法テラスになってからのものなのか。それから,償還額33億7,400万,これはキャッシュ・フローには一致してない,なぜか。この説明が必要なのではないか。それから,償還免除額,これ損失だから,損益計算書にない,なぜか。こんなふうに,いろいろ感じている。  それから,今度は7ページを見ますと,引き継いだ貸倒引当金が72億3,700万,貸借対照表を見ると引当金は86億5,000万になっている。この差は何なのか。この差は損益計算書にあがっているのかというとあがっていない。どこにあがってるのか。いや,あがってるのかもしれないが,どこにあがってるのか。これは法テラスで,十何億も差額,こんな貸倒引当金発生したのか。そんなばかなことないだろうというふうな感じ。ただ,引当金の引き当ての方法として個別にやるのとそれから貸倒率,実績率でやるのと,個別に検討するのと貸倒実績率でやるのとあるわけだけれども,これは十何億もこの年度に,6ヶ月の間で発生したんだろうかという疑問を今持っている。  決算書の方は正しいと思う,監査証明をやるから。それから,特殊な会計だからこれも説明しても我々も,私事業法人の会計,監査ばっかりだからよくわからないけれども,一応基準にのっとってやっているだろうと。この辺今ちょっと疑問を持っている。 (釜井財務会計課長)  まず,事業報告書の資料18と財務諸表の27ページの承継し債権の立替金の額の違いの点ですが,資料では180億3,600万となっており,27ページのところで179億9,400万となっているのは,※の一番目のところに書いております業務開始維持立替金残高は法律扶助協会が業務直前に増えた償還金分が立替金額から差し引かれていない金額であるということ。この差額がこの受け入れた償還金分になると。扶助協会の方で9月の中旬からそのシステムをとめていたので,その部分で償還金を受け取っているが,この扶助協会の業務システム上の金額がこの180億で,実態として見ればもうそれは償還されているので,この会計上はそれを引いた額を承継したことにするのが正確だということでこんな記載になっている。差額がちょうどここの※の一番上の方に書いてある金額になる。  実は,当方の扶助業務システムでは,個々の立替金の償還状況等について細かいデータをだすためには,個別にシステム運用支援を行うシステムエンジニアの人にお願いしなければならず,細かいデータを出すのに手間がかかるような状況である。 (宮野委員)  それ聞いてますとちょっと心配になってきますね。正しいんだろうか。 (釜井財務会計課長)  間違いない。 (宮野委員)  というのは,会計監査人の監査は事業報告書については会計に関する分だけはチェックしている。だけれども,チェックした数字と,チェックしたと言ってるけれども,この数字は財務諸表と一致してない。そしてその金額も差があることについての説明は書いているけれども,金額が書いていない。だから,会計士はこれチェックしてないだろうと僕は思ってる,会計帳簿上。つまり,法テラスの帳簿には載ってない数字である,これは。  だから,これは回避するためにはこの最初の頭180億は繰り越した金額,引き継いだ金額,それからその後中期に書いてある立替金,差し引かれていない分がある,これを入れて,そして差額,法テラスで引き継いだ金額17億を合わせる。それから,財団法人の引き継いだ数字と法テラスで新たに発生した数字と,そして償還,それぞれの償還金を,そしてそれぞれのあったら免除も書く。そして残高を出す。そうすると,回収率,これがはっきりしてくる。古いの償還率がいくら,法テラスになってからの償還率がいくら,これが明確に出てくる。  そういう意味でこの事業報告書,恐らく事業報告書としてそういうデータまで書いていただきたいなと思う。そうするとこれ見る人はわかる。財務諸表を見たらこれ難しい,素人では。私も,専門家でも難しい,これ。だから,これもっと文書,この事業報告書で説明している文書は非常にやさしい言葉で書いてわかりやすい。だけれども,決算書は非常に専門的でわかりにくい。これをだれに見せるものかというと,やはりこれは公表して国民の皆さんに見てもらうわけだから,国民の皆さんは会計者,専門家ばかりでないから。そして,これ関心持っている人もっと違う人たちだから,これはもっと平易な文書で,決算書の方もね,工夫されたらどうかなという感じはしている。それは,真実な信頼できる数字かどうかということはまた別だが。 (釜井財務会計課長)  資料18の※に書いておりますところは,すべて会計監査人の指示でこういう注記をするんだったらこれを出してもいいということになっている。 (宮野委員)  金額を書くはず。 (釜井財務会計課長)  金額,漠然としてはありますのでそれは伝える。これはこれとして。  あともう1点,免除については扶助協会から承継した分が当然免除されているので,新規に立て替えた分で免除受けていない。これは固定負債になっている資産見返物品受贈額が減るという形で出ているので,損益計算書には出ていなかったかと思う。 (宮野委員)  それでこれ直すのか。このままだとわからない。この資料18。 (釜井財務会計課長)  資料18は,ただいま説明した金額をここに投入したような形にさせていただきたいと思う。 (宮野委員)   それでこの財務諸表と結びつくようにしてくださるとわかりやすくて,説明も楽になると思う。 (釜井財務会計課長)  実は資料18はそもそも事業報告書に,これちょっと違うので誤解を招くから出さない方がいいのではないかという会計監査人の御指摘もあった。ただ他方,これまでの扶助協会との連続性がわかる意味ではこの数字もないとわかりにくいだろうと。 (宮野委員)  そうですね,わかりやすくなさった方がいいだろう。             以上  7/20評価委員会勉強会 質疑応答 (田中委員)  常勤弁護士の確保について,これから裁判員裁判も始まるが,今後の確保の見通しについて教えてほしい。 (初澤本部員)  被疑者国選弁護対象事件の拡大や裁判員裁判への対応などに向けて,常勤弁護士の人数を21年度までにおよそ300名程度確保したいと考えている。法曹人口が増えていることもあり,19年度には100人前後の常勤弁護士を確保できる予定であり,来年・再来年とあるので300人という数字は確保可能な数字であると考えている。 (田中次長)  今年2~3月に行われた全国8ブロックの会議において,地方事務所から必要な常勤弁護士数を出してもらい,それを参考として,本部において弁護士一人あたりの地域別負担事件数を試算した上で,平成21年度の対応について算出したところ,国選弁護事件についてだいたい250人くらい,扶助・司法過疎対策等も含めると300人程度という数字になった。  実際面接をしてみて,「地方で働いてもいいですよ」という方が多くなってきている。また,刑事事件の経験が豊富な方から,常勤弁護士になる約束を取り付けたりもしている。 (田中委員)  契約弁護士の数は順調に増えているようだが,他方で報酬基準に不満が出ているようなことを聞いている。このまま契約弁護士の数が伸びていくのか心配である。 (田中次長)  報酬に関しては,実際に算定する段階で不満をいう形,又は不服申立てといった形で不満が出ていることは事実であり,現行の報酬基準の指標が被疑者国選では接見のみ,被告人国選では公判回数とその時間となっているため,弁護活動を評価する上で不十分であると認識している。しかし,当初はセンターが報酬額を算定するに当たり,恣意的な操作をできないようにするためにこのようにせざるを得なかった。  しかし,報酬については,半年間の実績であり,審理期間が短い事件の報酬の支払いがほとんどなので,今後どのような執行状況になるのかは分からない。最近,高額算定事件が出てきていることもあり,全体像を踏まえて,報酬基準の見直しを考えたいと思う。不満はあるものの,今のところ,契約弁護士数の減少にはつながっていない。 (田中委員)  贖罪寄付についての周知及び今後の見通しについて教えてほしい。 (田中次長)  贖罪寄付の受け入れについては,扶助協会が解散したので19年度からセンター及び弁護士会が行っている。ただし,弁護士会の贖罪寄付の受け入れもあまり伸びていないようである。  センターで贖罪寄付を受け入れていることの周知が足りないのかもしれない。工夫が必要と考える。 (一木事務局長)  贖罪寄付については,法テラスとして広報活動を行っていく予定である。 (田中委員)  弁護士との関係で,法テラスの方にとは言えないのか。 (一木事務局長)  弁護士会も委託事業の資金の一部として寄付を募っており,すべての寄附を法テラスに集めることは難しいと思うが,法テラスとしての募金活動は強めていく。 (田中委員)  新人常勤弁護士に対して行う集合研修の具体的カリキュラムについて教えてほしい。 (初澤本部員)  これまでに実施した常勤弁護士研修の実績としては,18年度に行われた内定者研修と今年の4月に行われた業務研修があるが,法曹経験者が対象だったので,刑事弁護実務,地域における関係機関とのネットワーク構築などの実践的な講義を行った。今年の8月には,裁判官講師,検察官講師,弁護士講師をお招きして,過去に常勤弁護士が取り扱った事件等を題材としてケース研究を行うなど,実践的な内容を中心として研修を行う予定である。  新人常勤弁護士の研修については,これからカリキュラムを作っていくことになるが,基本的知識と技術の習得を目指し,実践的な研修を取り入れながら,1年の間にレベルアップさせていくことを考えている。 以上