日本司法支援センター評価委員会 第10回会議 議事録 第1 日 時  平成19年9月21日(金)  自 午後1時08分                        至 午後2時25分 第2 場 所  法務省5階人権擁護局会議室 第3 議 題 (1) 日本司法支援センターの業務方法書等の変更等の認可に当たっての意見について   (2) その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 山本委員長 それでは,定刻をやや過ぎております。まだいらっしゃっていない委員の方はいらっしゃいますけれども,ただいまから第10回日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと思います。   委員の皆様におかれましては,本日も御多忙中のところ,また残暑厳しい折から御参集をいただきまして,まことにありがとうございます。本日もどうかよろしくお願いいたします。   本日は,吉永委員は御都合によりましてご欠席ということで御連絡がありました。委員の出席は過半数に達しておりますので,定足数は満たしておるということになろうかと思います。   それでは,まず本日の委員会の開催の趣旨について,私の方から御説明を申し上げます。   少年法等の一部を改正する法律におきまして,総合法律支援法の一部改正がされて,日本司法支援センターの業務として,新たに国選付添人の確保に関する業務というものが追加されました。この業務につきましては,11月ごろから実施される予定というふうに伺っております。   そのため,支援センターにおいてはこの業務に関しまして,国選付添人の事務に関する契約約款というものを,報酬費用の算定基準も含めまして新規に策定され,またこれに合わせて業務方法書,法律事務取扱規程の関連部分を変更することが必要となっております。   また,この国選付添人事務に関する契約約款の策定に合わせて,国選弁護人の事務に関する契約約款の方につきましても,関連する部分を変更するということになっております。   これらにつきましては,いずれも法務大臣の認可事項でありまして,大臣の認可に当たりましては,最高裁判所からの意見聴取の手続のほか,当委員会の意見を聞くこととされております。契約約款につきましては,さらに財務大臣との協議というものも必要となっているわけですが,この法務大臣の認可に当たっての当委員会の意見というものが必要になるわけですが,支援センターから法務大臣あてにこれらの認可申請が9月5日付でされたということで,9月13日付で大臣の方から当委員会に求意見がされているということで,委員会として,この点についての意見を大臣に申し上げる必要があるということになります。   そこで,本日は関係契約約款,業務方法書の策定変更につきまして御検討をいただいて,当委員会として意見を取りまとめたいというふうに考えておる次第であります。   そこで,本日は,日本司法支援センターの方から金平理事長を初めとする皆様方に御出席をいただき,この関係契約約款,業務報告書の策定変更の内容についての理解を深めたいというふうに考え,御説明をいただきたいと思いますので,このセンターの皆様の御出席をいただきたいというふうに思います。   この点は,委員の皆様,よろしゅうございましょうか。   それでは,支援センターの皆さん,本日もどうかよろしくお願い申し上げます。   それでは,議事に入ります前に,まず配付資料につきまして事務局の方から御説明をお願いします。 井上課長 司法法制課長の井上でございます。本日,司法法制部長,やむを得ない公務で出席できませんので,御了承いただきたいと思います。   配付資料でございますが,お手元に目録つきでおいてございますが,今回,業務方法書,取扱規程,契約約款,報酬規程とそれぞれ小幅,大幅に改正,新設が行われますので,資料1はその改正事項の目次と小見出し程度の説明用の文書でございます。   資料2以下が,それぞれの文書の新旧対照表と改正後の案文を1,2という順に並べてございます。各資料の2なら2で,1の方は現行と改正を左右対称してございまして,2-2は改正後の形で,すべて条文の形をきれいにしたものをつけておるということでございます。それが資料2が業務方法書,資料3が法律事務取扱規程,資料4が契約約款,これは国選弁護の契約約款ですね。資料5が国選付添人の契約約款,資料6につきましては国選付添人の契約約款と国選弁護人の契約約款と算定基準を左右対称で比較したものでございます。   そのほかは,説明の便宜のためにポンチ絵といいましょうか,図解といいましょうか,5枚ほど色刷りの資料を用意してございますので,これも適宜御参照いただきたいと思います。   資料は以上です。 山本委員長 それでは,議事に入りたいと思います。   その前提といたしましては,各規程類の策定及び変更の内容について,まず支援センターの方から御説明をいただいて,その後,委員の皆様から御質問を伺いたいというふうに思います。   それでは,支援センターの方から御説明をよろしくお願いいたします。 寺井理事 支援センター常務理事を務めている寺井でございます。よろしくお願いいたします。   私の方から,今回評価委員会にお諮りしております改正案等の全体の概要を御説明申し上げたいと思います。   今回,評価委員会にお諮りいたしましたのは,業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人契約約款の各改正案,及び国選付添人の契約約款の案でございます。まず,これらの改正案等の全体の概要を御説明させていたただきます。   今回の諸規程の改正等は,少年法等の一部を改正する法律の施行に伴うものであります。この法律の内容は多岐にわたっておりますが,センターと関係するものは,総合法律支援法の改正に伴い,国選付添人の選任等に関する事務が,センターの事務に新しく加わったことであります。そこで,改正法の施行に合わせまして,業務方法書及び法律事務取扱規程について,所要の整備をしますとともに,国選付添人契約約款を新たに定め,さらに国選弁護人契約約款については,新設される国選付添人契約約款に関連する部分について,所要の改正を行うことといたしました。   次に,各改正事項の概要について説明させていただきます。   まず,業務方法書の改正事項でありますが,国選付添人の選任等に関する事務がセンターの業務になりますことから,国選付添関連業務について業務の方法を定めることといたしました。国選付添関連業務は,国選弁護関連業務とともに,総合法律支援法30条1項3号の業務として位置づけられましたことから,業務方法書の改正に関しても,国選弁護関連業務及びその附帯業務について規定している第3節の71条以降の改正という形をとりました。   次に,法律事務取扱規程の改正事項でございますが,今述べました同じ理由から,法律面の取り扱いの基準を定めている法律事務取扱規程第4条を改正し,国選付添審判に付された少年等の文言を加筆いたしました。さらに,国選弁護人契約約款の改正事項につきましては,これに関する主な改正事項は,国選弁護人の報酬基準のうち,新設される国選付添人の報酬基準に関連する部分,すなわち記録謄写費用や遠距離接見等交通費に関する部分の改正と,少年について非行事実なしとされ不処分になった場合の加算に対応する無罪加算の新設等であります。   次に,国選付添人契約約款について説明させていただきます。国選付添人の事務に関する契約約款は,国選弁護人契約約款と同様,約款本則と報酬基準により構成されております。本則におきましては,約款に基づく契約を基本契約と位置づけ,これに基づく指名通知によって,個別事件に関する権利義務が発生するという構成を採用いたし,おおむね国選弁護人契約約款と同様の内容となっております。   報酬基準につきましては,国選弁護人の報酬基準と同様に付添人の労力を反映させた客観的基準,手続の類型に応じた基準設定,そして費用の明確化という3点を軸に,具体的な報酬基準を策定いたしました。労力の目安とすべき基本的な指標としましては,審判期日の回数と時間を用いておりますが,国選弁護人の報酬基準と異なる特徴的な点としましては,第1回審判期日から一定の時間を超えた場合に加算をすることといたしました。   次に,手続の類型としては,検察官関与のある事件と検察官関与のない事件とに分け,後者についてはさらに単独事件と裁定合議事件に分けることによって,付添人の労力を反映した報酬が算定できるようにさせていただきました。   以上,諸規程の改正案等の概要を説明しましたが,これらの具体的内容につきましては,龍見担当課長から説明させていただきます。 龍見課長 続きまして,国選弁護課の龍見より,各改正案の内容等についての具体的内容について御説明申し上げます。   まず,業務方法書と法律事務取扱規程の改正案につきましては,寺井理事の先ほどの説明で述べたとおりでございますが,国選付添人の選任等に関する事務が,新たにセンターの事務につけ加わることから,関係する規定の文言を修正するというものでございます。その内容につきましては,お手元に配付した資料1をご覧いただきますと,こちらの3ページ,4ページのあたりに記載したとおりでございます。   続きまして,国選付添人の契約約款につきまして御説明いたします。   まず,前提といたしまして,家庭裁判所の少年審判手続の概要という書面に基づきまして,一般的な少年事件の手続について,概要を御説明いたします。   少年審判につきましては,少年の健全育成を目的としているものでございまして,家庭裁判所が職権によって手続を進めていくという構造がとられてございます。手続の流れにつきましては,こちらの資料に書かれているとおりでございますが,まず家庭裁判所におきまして事件を受理しますと調査を行います。調査のために少年の心情の安定を図りながら,身柄を保全する必要があるという場合には,少年鑑別所に収容するという措置がとられることもございます。これを観護措置といっております。   裁判官は調査の結果を受けまして,審判を開始するのが相当であると認めるときには,審判開始決定を行いまして,審判期日を指定し,さらに少年と保護者を呼び出すことになります。そして,裁判官は審判期日におきまして審判手続を行うということになります。審判手続は,刑事事件でいえば公判に相当するものでございますが,手続は非公開の手続で進められます。手続の進行は,裁判官の職権によって進められます。そして,裁判官が自ら少年や保護者に質問をする形で進められることが通例でございます。   多くの場合におきましては,まず非行事実に関する審理,非行事実があるかどうかに関する審理を行いまして,続いて要保護性に関する審理ということで,少年のこれまでの生活態度でありますとか,家庭での態度,事件に対して反省しているかどうか,また今後どのような生活を送るかなどについて,裁判官から少年にいろいろ質問がなされるわけでございます。そして,手続の最後に家庭裁判所調査官から処遇に関する意見が述べられて,付添人が選任されている事件につきましては,付添人からも意見が述べられます。   こうした一連の調査,審判の手続を経まして,家庭裁判所が終局処分を決定することになります。それで,少年側におきまして,決定内容に不服がある場合には,抗告の申し立てをすることができるということになってございます。   続いて,付添人の役割について若干補足させていただきます。お手元の絵の2枚目の付添人の役割と書いてあるものをごらんください。   付添人は,刑事事件でいいますと弁護人に相当するようなものでございますが,少年の健全育成という目的を実現するために,家庭裁判所の手続に協力するという役割と,少年の権利を擁護する,また代弁者としての役割を有していると言われております。   少年審判事件では,付添人を必ず選任しなければならないということにはなってございませんが,資料の中央部のあたりに,丸の真ん中のあたりでございますが,ここに書かれてありますような一定の重大事件におきましては,非行事実の認定のために,審判に検察官を出席させる決定をした場合で,少年に弁護士である付添人がいない時は,弁護士である付添人を選任しなければならないとされております。   また,今回の法改正と関係いたしますが,少年鑑別所送致の観護措置をとられている場合におきまして,少年に弁護士である付添人が付されていないときは,裁判所の職権で弁護士である付添人を付することができるということとなりました。これら裁判所によって選任される付添人が国選付添人と言われるものでございます。   このたびの国選付添人の契約約款につきましては,改正後の総合法律支援法の36条1項によりまして,センターは業務開始前に国選付添人の事務に関する契約約款を定めて,法務大臣の認可を受けなければならないとされてございます。契約約款に記載する事項といたしましては,これは国選弁護人と同様でございますが,国選付添人の事務を取り扱う事件に関する事項,国選付添人の候補の指名と裁判所に対する通知に関する事項,報酬と費用の請求に関する事項,報酬と費用の算定の基準と支払いに関する事項,契約解除,その他契約約款に基づく契約に違反した場合の措置に関する事項などを記載することとされてございます。   続きまして,国選付添人の選任の手続について御説明いたします。この絵の3枚目をごらんいただけますでしょうか。国選付添人の選任等に関するスキームというところをご覧ください。国選付添人の契約約款におきましても,国選弁護人の場合と同様でございますが,約款をまず基本契約と位置づけてございまして,これに基づいて指名通知することによって,個別事件に関する権利義務が発生するという構成を採用してございます。   具体的には,まずセンターと弁護士との間で,国選付添人の契約を締結していただきます。そして,裁判所に個別の事件が係属いたしますと,裁判所からセンターに対して国選付添人の候補の指名通知依頼がされます。センターはこれを受けまして,名簿に登載された契約弁護士に指名打診を行います。そして,弁護士から承諾を得たときは,裁判所に対し,この弁護士を国選付添人の候補として通知いたします。そして裁判所は,この弁護士を国選付添人に選任するというものでございます。   そして,国選付添人は付添活動を行って,事件終了後でございますが,センターに対し報酬を請求します。センターはこれを受けまして,報酬額を算定して国選付添人に金額を通知いたします。そしてセンターは,所定の支払い日に報酬を支払うということとされてございます。   続きまして,国選付添人の報酬基準について説明いたします。概要をまとめました資料5-1を御参照いただくとともに,この図表の国選弁護報酬基準と国選付添報酬基準との対比という図をご覧いただけますでしょうか。この図の左側には国選弁護人の報酬基準が記載されておりまして,右側には国選付添人の報酬基準が記載されております。   対比表をご覧いただいて明らかなとおり,国選付添人の報酬基準につきましても,基礎報酬と加算報酬によって構成されております。報酬基準の基本的な仕組みは,国選弁護人の場合と同様のものとなってございます。加算報酬といたしましては,審理加算のほかに進行協議等に対する加算,終局決定期日等に関する加算,遠距離面会等の加算,特別案件加算,特別成果加算という項目が設けられてございます。これらの項目につきましては,対比表から明らかなとおり,国選弁護人の報酬基準における同趣旨の加算項目に対応するものでございます。   続きまして,ポンチ絵の付添人の主な活動内容と報酬加算事由との関係というものをご覧いただけますでしょうか。   これは,国選付添人の活動内容に着目いたしまして,どのような活動が基礎報酬の対象であるか,また,どのような活動が加算報酬の対象であるかを整理したものでございます。   一般的に,付添人の活動といたしましては,左側に記載したようなさまざまな活動が想定されるところでございます。そして,これらについては基本的には基礎報酬に含まれる活動として整理してございます。そして,基礎報酬の中で賄えない労力を要したときや,特別の成果があった場合におきましては,報酬の加算事由とすることとしております。これが右側に記載したものでございます。   それから,先ほどの対比表に戻っていただけますでしょうか。国選付添人の報酬基準について特徴的なことを申し上げますと,まず基礎報酬につきましては,通常4週間の観護措置の期間内に集中的に審理・審判が行われることなど,少年審判事件の特性を考慮いたしまして,検察官関与の有無で区別して報酬額を設定いたしました。   次に,審理加算につきましては,第1回期日から審理が集中して行われることが想定されますので,集中審理に向けた付添人の労力を反映するために,第1回の期日から審理時間に応じた加算をすることとしてございます。   その他の加算項目といたしましては,この資料の一番下のあたりに記載したとおりでございますが,試験観察加算,環境調整加算,抗告申立書加算等を設定いたしました。   なお,送致事実の全部または一部について,非行事実なしとされ,不処分となったときは,報酬加算の対象にすることとしてございます。これと連動いたしまして,国選弁護人の報酬基準についても無罪加算を新設することとした次第でございます。   それから,最後に国選弁護人の契約約款の改正項目について,簡単に御説明いたします。今回の改正内容は,新設される国選付添人契約約款に連動する部分について,改正を行うものでございます。具体的な内容につきましては,お手元の資料1の4ページ以下に記載したとおりでございます。   まず,本則の部分については,算定期間を伸長することと,通訳人費用について中間払いの対象とすることを主な内容としてございます。   続いて,報酬基準につきましては,1つは既存の項目につきまして,従前の取り扱いに一部変更を加えるというものでございます。具体的には,否認事件等の記録謄写費用につきまして,一定の上限の範囲で実費を支給するなど,記録謄写費用の扱いを変更するというものでございます。2点目は,遠距離接見等加算報酬,遠距離接見等交通費の取り扱いを変更するというものでございます。   もう一つの改正項目でございますが,支払いの対象となる項目を新設するというものでございます。具体的には先ほど申し上げた無罪加算に関する規定を設ける,また,訴訟準備費用に関する規定を新設するというものでございます。   改正等の具体的内容につきましては,以上のとおりでございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいまの御説明につきまして,委員の皆様の方から御質問がございましたら,お伺いしたいと思います。どの点につきましてでも結構ですので,御自由に御発言いただければと思います。   どうぞ。 髙部委員 髙部でございます。非常に分かりやすい説明でありがとうございました。実際問題として,どれくらいの事件数が国選付添人になるのかということが,費用との関係でも重要な問題だと思うのですが,センターにおかれて大体想定されている件数,それから実際にどれくらいの新たな費用がかかるのか。そのあたりのところを御教示願えませんでしょうか。 龍見課長 この国選付添人が付される対象となる事件数でございますが,年によってばらつきがございますが,おおむね年間千二,三百件ぐらいというふうに想定してございます。そのうちのどれぐらいが国選付添人が付される事件かということになりますが,ここは始まってみないと何とも見通しが立たないところではございますが,刑事事件におきましては,6割とか7割とかいう事件での割合で国選弁護人が付されておりますので,それと同程度といいますと,年間700件,800件ぐらいの件数が想定されるのではなかろうかなというふうに想定をしてございます。   それから,予算の関係でございますが,委託費といたしましては,19年度におきましては,約8,000万円強の予算をいただいてございます。当然,委託費の範囲でということでございますので,報酬基準の設定に当たりましては,この委託費の範囲で執行できるということを前提に,報酬基準を策定しているところでございます。   以上でございます。 髙部委員 ありがとうございました。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。 井上課長 11月1日から施行される可能性が強い状況だと思いますけれども,付添人候補の契約弁護人の確保の準備状況といいましょうか,国選弁護人については名簿を作って,それに基づいて指名通知をしているということでやっておりますが,この付添の関係の方の準備状況が現在どのようになっているかということを御紹介いただければと思います。 田中次長 事務局次長の田中でございます。   国選付添人の契約者の確保につきましては,既に日弁連,弁護士会におきまして,法テラスの地方事務所とも協議を進めていると承知しております。国選弁護とほぼ同じ形での契約締結を予定しているものですから,手順などについても1年前に行った経験をもとに呼びかけをしていくということで,既にその呼びかけが始まっていると聞いております。   契約書の書式などにつきましては,今回の案文について大臣認可を得た上で,実際の契約締結事務に入っていくということになりますけれども,全国各地に少年事件を扱うことについて非常に熱心に取り組んでいただいている方が多数いらっしゃいますので,わずか1カ月ぐらいの準備期間しかないわけですけれども,必要な数の付添人候補者を確保できるという見通しを持っているところでございます。 山本委員長 それではほかに。   小林委員,どうぞ。 小林委員 今ごろこういうことを質問差し上げるとちょっと恥ずかしいんですが,国選弁護人と国選付添人というのは,同じ人ではだめなんですか。 田中次長 田中の方から御説明いたしますが,被疑者段階の弁護人,その弁護活動をした人とそのまま引き続き同じ方が付添人も担うというのが,ケースとしては望ましい。できれば原則的にはそういう形で運用をするのが望ましいのではないかとセンターとしては考えているところでございます。   被疑者段階で何度となく接見をする,そういったことを通じまして,その対象となった少年との間で信頼関係が徐々に醸成をされていく。その中で,一定の時期に手続が移って,この付添人を必要とする手続の方に移行しますので,それまでの間に信頼関係を築いた弁護士が,引き続き国選付添人を担うということが,事件の全体の解決のために,また少年のために望ましいことであろうということを考えておりまして,この点につきましては日弁連,弁護士会もほぼ同様の考え方を持っております。   現在,国選付添人が選任されるまでの手続につきまして,日弁連,それから最高裁判所の家庭局,そして法テラスの本部,この三者におきましてさまざま協議をしているところでありますが,その協議の場におきましても,そういう連続性が必要であろうという認識を共通にしまして,いろいろと協議事項の細部についての詰めを行っているという状況でございます。 寺井理事 小林委員の質問の趣旨から,今の答えでよろしいでしょうか。 小林委員 すみません,違うことをお聞きいたしました。刑事事件の国選弁護人の候補者と,それから国選付添人の候補者というのは,違う塊になるものなのかどうかということです。 田中次長 大変失礼しました。質問を取り違えました。   既に国選弁護の関係につきましては,約1万人を超える契約弁護士を確保しておりますが,少年事件を熱心に取り組んでいる方は,その全部ということではなくて,おそらく一部重なり,また一部はまだ契約をいただいていないということで,若干その契約者の層が違うのかなと考えております。一部については,もう既に少年の被疑者国選もあるということで契約をちょうだいしておりまして,またこの国選付添という新たな制度が始まることによって,その契約者の広がりを持っているということであろうと想像しているところです。 寺井理事 つまり,現在の国選弁護人の名簿をそのまま少年の方に流用するということが趣旨からいって難しいかなというふうに考えているわけです。 小林委員 専門性というか,得手不得手ということも含めて違いがあるということでございますか。 寺井理事 そうですね。刑事事件を主として担っている弁護士さんと,少年問題を教育的な立場から熱心に取り組んでいる方々の層が,今,田中次長が説明したように,重なっている部分と,それからはみ出ている部分と,こういうふうな状況にあるものですから,そこは丁寧に分析しながらやっていきたいと,こういう趣旨でございます。 小林委員 ありがとうございました。 山本委員長 岡田委員,どうぞ。 岡田委員 この少年法と言いますか,確かに最近,14歳以下の重大な事件というのが多いんですけれども,そうは言ってもしょせんは子供なんですよね。その子供に対して,大人と同じような処遇をある部分捜査の段階からするということに関して,それでいいのかなというふうに思ったんですが,そういうふうに考えますと,付添人の責任というか,仕事というのは大変なんだというふうに思うんですね。   ですから,私の中では,やはり国選弁護人と付添人は違うんだろうというふうに思っているんですけれども,その辺がこの報酬のところで,かなりいろいろ工夫されているというのがよく分かるんですね。   そこで,ちょっと私の中で,大変だから報酬を上げればいいのか,ないしは大変なんだけれども,余り報酬を上げちゃうと,ふさわしくない人間がそっちに入っていくかもしれないとかいうふうに考えると,すごく報酬の規定というのは難しい,悩まれたかなというふうに思うんです。   ただ,これから動き出した時に,やはりその時その時の状況を見ながら,やはり変えていかないといけないのかなということで,この付添人に対しては,ものすごく頑張ってほしいという気持ちと責任が重大だなということで,ぜひ法テラスの方としても,そういう面で見ていただいて,今後いろいろ決めていただきたいなというふうに思います。 寺井理事 岡田委員の御指摘,大変貴重なものでございますので,参考にさせていただきながら,今後検討してまいりたいと思っております。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。   どうぞ,小林委員。 小林委員 1枚紙の一番上の説明のところでお聞きしたかと思うんですけれども,国選付添人の役割というのが,少年,保護者に対していろいろなことをお聞きして調べるということと,それから裁判所に対して協力するということをおっしゃっていたんですけれども,裁判所に対する協力ということについて,もう少し詳しく教えていただけますか。 龍見課長 少年との間できちんとコミュニケーションをして,少年審判という手続がどういう手続になっていて,また少年審判廷においてどういう手順で審議が行われるのか。そこら辺をきちんと少年に分かってもらうように説明をする。   それと,先ほど申し上げましたように,少年法の目的は少年の健全育成ということを目的としている手続でございますので,その点をきちんと少年に理解していただいて,きちんと少年審判廷に出席するようにとか,聞かれたことに対してはちゃんときちんと答えなさいとか,いろいろアドバイスをしたりとか,そういうところが想定されているのかなと思います。 小林委員 ありがとうございます。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。   では,ちょっと私からよろしいでしょうか。少年法はずぶの素人なんですが,この事務取扱規程の中で,その4条3号に当たるんでしょうか,この依頼者等の意思を尊重して職務を行うものとするという規定になっていて,この国選付添人については依頼者等というのは,審判に付された少年を言うというふうにされているのですが,これはそうなんだろうなと思うんですが,この図解を見ると,その少年とともにこの保護者とも相談をしてということが随所に出たりしていて,何となく素人的に思うと,少年の場合は未成年でかなりその意思といっても,必ずしもしっかりしたものではないような可能性もあって,保護者と協力していくということは重要なのかなという感じもするのですが,ここはやはり審判に付された少年というものの意思を尊重する。そういうのが付添人の役割であると,そういうような理解だというふうに考えてよろしいということなんでしょうか。 田中次長 田中でございますが,大変難しい御質問をちょうだいしたところというふうに理解しております。確かに御指摘のとおり,少年の意向というのは,その少年の成熟度合いにおいて,必ずしもその言葉どおりには受け取れない部分があるというふうに考えておりますけれども,そういったところも含めて,本当に少年の意のあるところがどこにあるのかということを付添人の側から適切に判断をして,その本音の部分,本当の意思のある部分に沿って,それを尊重して職務を行うということが,この規定の趣旨というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。 山本委員長 分かりました。   小林委員,どうぞ。 小林委員 若干関連するんですけれども,これまでのケースで結構なんですが,対象となる少年の年齢の分布といいますか,それはどんな感じでしょうか。 田中次長 田中でございますが,これまでに5年間で20件強の検察官関与の事件があったという情報を得ておりますけれども,その少年と付添人の数など,あるいはどの程度の活動がされたかという情報はありますが,残念ながら,年齢構成などそこまで細かい情報はセンターの方には届いておりませんで,お答えする材料が手元にはないという状況でございます。 小林委員 どのくらい気を使わなければいけないのか,その年齢層によって多分違うんではないかなと思いましたので,お聞きしました。 山本委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 田中委員 報酬規程について伺います。試験観察の場合の報酬として試験観察加算というのがございます。この試験観察というのは終局処分そのものではなく,終局処分を出すまでのプロセスにおいて,どのような終局処分をしたらよいのかということを考えるために,暫定的に観察期間を設けるという中間処分です。試験観察にするという措置がとられる場合についてみると,付添人の努力によってこのような中間的な措置がとられる場合もありましょうが,現在の実務上は,付添人の努力や活動等とはそれほど関係なくと言いますか,それとは余りリンクしないような形で,そのような措置がとられる場合というのが圧倒的に多いように感じております。   しかしながら,裁判所が最終的に保護観察処分にするのか,少年院送致決定にするのかという点に悩んだときに,試験観察にしてもうしばらく様子を見た上で決めようかという判断をするに至る過程において,付添人の熱心な働きかけがある場合もないわけではありませんが,このような付添人の活動による寄与の程度は報酬の加算とはリンクしないということになりましょうか。この点の報酬加算について,これを決められた過程で,どのような議論があったのかというあたりをお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。 田中次長 田中でございますが,今回の資料でいいますと,5-2をご覧いただけますでしょうか。これは,国選付添人の事務に関する契約約款ですが,初めの方に本則がありまして,18ページの後に報酬及び費用の算定基準,報酬基準の方に移ってまいります。その報酬基準の方の4ページをご覧いただきたいんですけれども,今回の試験観察加算報酬は,この4ページの下の方,通常報酬という部分の中のイというところに位置づけられております。この報酬基準全体の中では,試験観察になったことが付添人の成果によるということで加算をするという位置づけではございませんで,その試験観察の期間,その間付添人の活動が行われる,付添人と面接をする,あるいはその関係する方とのさまざまな打ち合わせをするということで,その試験観察期間中は,その職務は継続してさまざまな活動が必要であろうということから,この通常報酬を増やすということで,この試験観察加算報酬ということを位置づけました。   御指摘のとおり,付添人の活動がどういうふうにその報酬に反映するのかというところは大変難しい問題でございまして,センターとしましても,その活動の内容を判断して,報酬の金額を若干上下するというような,そういう仕組みも選択肢の1つであろうとは思っているんですけれども,国選弁護の基準でも御理解いただいているとおり,センターがその弁護人あるいは付添人の活動の独立性に関わらないように,その活動内容については原則として口出しをしないというのを建前としておりますので,今回もさまざま議論を重ねた上で結果といたしまして,基礎報酬の部分の加算という位置づけと整理させていただいたものでございます。 田中委員 そういたしますと,試験観察に付されることになったという事実があれば,国選付添人の申し出があったことを条件として,基礎報酬に3万円が自動的に加算される,こういうことでございますね。 田中次長 はい,そのとおりでございます。 田中委員 通常報酬の中での基礎報酬への加算という場合の加算の意味付けですが,先ほどの御説明ですと,付添人の努力の結果,終局処分が留保されて試験観察になったということ自体は,加算すべき理由になるわけではないということで整理をされたということですね。 田中次長 審判がされるまでの期間,もう既に決まった期間でこの基礎報酬という金額をセットしたわけですが,試験観察によりまして,さらにその活動の期間が延びる。その延びた活動期間の中でどのような活動が必要かということにつきましては,事案に応じてさまざまだと思いますが,そういう全体として活動の期間が長くなる。そして,その延長された部分について,恐らくは何もしないで時を過ごすということではないであろうと,必要な試験観察の目的に沿った活動がされるであろうということを考えまして,こういう仕組みをとったというものでございます。 田中委員 試験観察になりますと,付添人は環境調整等についても活動しなくてはなりませんから,環境調整について付添人活動があれば,当然それはそのものとして加算になりますけれども,それ以外に,試験観察になって終局処分までの間に時間があるということは,その間に,その付添人自身が少年とたびたび面接をするとか,その他有形無形のいろいろな活動を行うことが理屈としてはあり得るという,そういう説明として理解してよろしいでしょうか。 田中次長 今の田中委員の御説明のとおりでございまして,説明が不十分で大変申し訳ございませんでした。 髙部委員 今,田中委員の御指摘を受けて啓発されたような質問で申し訳ないんですが,今あったその環境調整加算報酬の部分についての6ページの記載を見ますと,要するに,結論部分として保護処分に付さない旨の決定とか,保護加算決定がなされるということが要件にはなっておりますが,加えて国選付添人の努力という意味で,「必要な環境の調整として少年の就学先,就労先又は居住先を確保し」ということがあって,一定の行為,付添人の行為ということが前提として認められる加算だということになっているところを,その試験観察加算報酬に関しても同様に,試験観察の期間について一定限度の汗流しがありましたと。だから加算しますという,そういう流れではなぜいけないのかという,どうも私は逆に田中委員のお話を承っていて,私自身の疑問としてそう思ったのですが,そこはなぜ試験観察加算報酬と,それから環境調整加算報酬とでは,扱いが異なっているのですか。 田中次長 まず,環境調整加算報酬につきましては,環境調整ということで恐らくほとんどの事件でさまざまな活動がされるであろう。その中でも非常に際立った,なおかつ最終的な処分を決めることについて,かなり大きな影響力を持つであろうと思われる事項のみを取り出しまして,この加算報酬といたしました。その対象とする項目は,実際の少年事件の実務の中で,今ここに条文の中で挙げているようなことが,実際として非常に,典型的に多いものであるというような御教示をいただいたことに端を発しまして,また実際にその成果を得るためには,かなり大きな努力が必要だというようなことも情報としてちょうだいしているものですから,こういう位置づけをしたというものでございます。ですから,試験観察になる,ならないにかかわらず,同じように特別な成果があったということで,環境調整加算はするという位置づけです。   翻って,その試験観察の方は,どうしても同じ説明の繰り返しになって恐縮なんですけれども,その活動の中身について,必ずしも詳細を把握することができないということもありまして,定額の加算を,試験観察があったという点をとらえて加算をするということにさせていただいたという仕組みでございます。 髙部委員 屋上屋を重ねる形で御質問するのはいかがかと思いますが,私が御質問をした趣旨は,環境調整加算報酬の要件として,付添人の一定の汗流しということが要件になっていますねと。その点については,付添人の関係の活動にできる限り容喙しないという趣旨で,そういうことはできるだけ避けたいという御説明が先ほどあったけれども,環境調整加算報酬に関しては,一定限度の付添人の行為を評価するというアクションが入っていますねと。   なぜ,試験観察加算報酬について,そのアクションを評価することができないのですかということを多分私は田中委員もお尋ねになっていると思って,お尋ねをしている次第です。 山本委員長 先ほどの御説明だと,あるいはこの試験観察加算の方は,そういう環境調整,この少年の就学先,就労先,居住先の確保というような定型的なものとして量れないような活動であるというような,どうもなかなか評価しにくいという御説明にも伺えたのですが。 田中次長 実際,そのとおりでございまして,試験観察期間中に行われるであろうと思われる活動内容,その中で多分一番大きなものは,少年と接点を持つということなんだろうというふうに思っておりまして,その少年と接触する回数であるとか,時間であるとか,これはもうかなりさまざまなものであろうということで,またそれを成果としてカウントする評価の仕組みなどもなかなか難しいということもありまして,その試験観察の加算のところでは,そういう成果的な評価の指標というものは断念せざるを得ないというのが実態でございました。 井上課長 とても難しい問題なんです,これは。基礎報酬のところも,何をしたかはある意味で問うていないんですね。必ず何かすることになっていると。それで,これならこれで9万円と。その場合,通例このぐらいは行われるだろうなという一応の推測はあるんですけれども,案件によって相当ばらつきがあるだろうし,ただ受任した以上は,当然すべきことはしているということで考えているという部分がございます。   それに対して,この試験観察につきましては,一種の基本的な労働期間が大量に延長された場合,試験観察,私余り詳しくありませんでしたが,聞くところによると,これが1年ぐらい続くこともあるとかいうことでありまして。相当長期間,本来4週間の例えば観護措置で終わる事件が,相当な長い期間拘束されると。その間にはいろいろなバリエーションの中で,いろいろな活動があるだろうけれども,そこはざっくり3万円ということで定額にしてしまっているという,ちょっと総合的な考慮で決めておるということでございます。   ただ,あとちょっと関連すると,今回無罪加算,非行事実なしへの加算というのがありまして,そこでは争わなかった場合は除くというやり方はしておるんですね。そこはそれ以上具体的に成果に結びつく弁護活動を評価するというやり方はできないということで,本当に例外的に何もしなかった場合だけは除くというやり方をしているということはあることはあります。 髙部委員 田中委員と私の発想と違っていたみたいで,御迷惑をかけてしまい申し訳ございません。それだけ一言申し上げたいと。 田中委員 いえいえ。 寺井理事 御承知のとおり,国選弁護の方にも言えるんですけれども,その報酬基準の決め方の問題がなかなか難しい問題がありまして,不服の申立書がいろいろ来ています。私も比較的多く刑事事件や少年事件をやってきた者ですけれども,いずれの活動もそれぞれ事案に応じて千差万別なんです。それを画一的な基準で決めようとすること自体が,非常に難しい問題があると思って悩んでいるところなのです。これをどういうふうに解決していくのか,一つ一つ評価委員の先生方の御意見を伺いながら,変えていくしかないなと思っていますけれども,その辺の苦衷を御理解いただきたいというのが本部の方の考えでございます。 田中委員 今の点について,これまでの質疑を踏まえて,報酬基準案に沿った意見ということになりますが,述べさせていただきます。報酬基準案によりますと,「少年が試験観察に付されたときは」と,こういう定めになっています。そうすると,少年が試験観察に付されたときには,付添人は「少年が試験観察に付された」こと自体により3万円を請求することができることになります。   ただし,「付された」けれども,付添人本人がほとんど何もしないということは,算定基準の上では想定されていないということなので,「付されたとき」は付添人の申し出に基づいて3万円を加算することになるわけですが,この点を付添人の実際の活動との関係でどのように調和的に説明するかということだと思います。   そこで,試験観察に付される例を具体的な事件に即して考えてみると,付添人が,家庭裁判所に対して,この少年については今すぐ保護処分にするかどうかというのを性急に判断しないで,もう少し本人の要保護性についてじっくりと調査していただけないだろうかと。環境調整も,その間に私どもとしてはしたいので,今の時点では結論を出さないで,しばらく少年の立ち直りの様子を見てくれないかと,こういうことを一生懸命訴えることもあろうかと思います。その結果,家庭裁判所が,付添人が提供した資料等をしんしゃくした上で,可塑性に富んだ少年のことゆえ,しばらく様子を見た上で慎重に終局処分を決めようかという場合もないわけではないと思います。この場合には,その付添人の活動は基礎報酬に当然織り込まれた活動であるとみるのが客観的な算定基準としては相当なのでしょうが,このような付添人の極めて熱心な活動もあって少年が試験観察に付される例があることも否定できません。   それから,もう一方で,付添人は,他の業務に携わりながら,少年事件という,単に黒白をつけるというような対立当事者的な訴訟ではなく,少年の将来ということを考えた上で健全な育成というような非常に情操的な面を含んだ事件に取り組み,しかも,試験観察というテンタティブな措置が出ることによって,終局処分までに大分長い期間それにかかわることになります。   付添人は,試験観察が継続している間は,ずっとその少年事件にかかわることによるストレスと言いますか,いわゆる職業的な負担と言うんですか,自分がそこにかかわっていることによる責任を持ち続けていなくてはいけない。そういう中で,少年の終局処分のことが当然頭にあるでしょうから,少年と連絡を取らなくてはいけないと思うとか,あるいは親から「先生,今後どうなりますか」と言われれば,親にいろいろと説明し,また説明の準備としても少年に会わなくてはいけないと。要するに,試験観察になったことによって,その後終局処分が下されるまでに,かなりの有形無形の付添人活動というものが客観的にはあるんだろうと。そういうことを考えると,課長がおっしゃったように,そういうものも何かざっくりした形で評価しなくてはいけないのではないか,という視点も考慮に値します。   そうすると,実際に目に見える形での付添人の熱心な活動があったことによって試験観察に付された場合の例はさておくとしても,試験観察に付された後における付添人活動としてあり得る有形無形の様々な要素の全体を総合して考慮し,それを大局的にとらえた上,申し出に基づいて3万円を加算するという案もそんなにおかしくはないのではないかと。そういうことであれば,私もこの点についての報酬基準案には賛成で,しばらくは実務の運用をにらみつつ,これでやってみたらどうかなと,こういうふうに思います。 山本委員長 おっしゃるとおりですね。 寺井理事 しばらくやってみて,また再検討をお願いする時期が来るかもしれません。また付添人の活動の状況と,報酬に対する考え方をしっかりとらえながら,研究してまいりたいと思っていますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 それでは,ほかにいかがでしょうか。   吉川委員,よろしいですか。 吉川委員 ほかにございません。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,ほかに特に御質問がないようでありましたら,先ほど申し上げましたように,本日御説明がありました各規程類の策定変更につきまして,当委員会の意見を決めたいというふうに思います。委員の皆様の中でこの点について,御意見あるいは御感想でも結構ですので,今までの御発言に加えて何かございましたら,御発言をいただきたいと思います。   いかがでしょうか。   どうぞ,岡田委員。 岡田委員 先ほどもちょっと言ったんですけれども,国選弁護人の選定とそれからこの付添人の選定というのは,やはり違うというふうに私の中では思うものですから,どちらかというと国選弁護人であれば,ベテランの弁護士さんでというような感じがあるんですけれども,もちろん少年の場合もそうですけれども,やはり情熱を持ってそれで取り組んでいただくような,そういう方をぜひ選任というか,名簿に入れていただきたいなと。そこのところで,選ぶ方もみんな同じということに関しては,ちょっと私の中で疑問を感じるもので,そこをお願いしたいと思います。   先ほども出ましたように,やはり少年の将来ということ,大人になった人間の将来というのと,少年の将来って重みが全然違って,その子の人生がそこで決まってしまうんですよね。ですから,付添人の役割というのはとても重いと思うので,ぜひその選考の時点で,手を挙げたから全部入れるというのではなくてお願いしたいというふうに思います。 寺井理事 分かりました。龍見課長が先ほど説明しましたような想定件数のうちであれば,それほど大きな件数もありませんので,今岡田委員が指摘されたように,教育的な観点がしっかりしている少年に対する愛情を持っている弁護士さんに付添人をお願いするということで,徹底してまいりたいと思います。ありがとうございました。 田中次長 ちょっと補足,1点よろしいでしょうか。田中でございますが,国選弁護人と付添人で契約をする,あるいは指名して弁護人なり付添人になっていただく手続は一緒なんですけれども,実際に付添人をやろう,契約をしようと言っていただいている弁護士の年齢層ですけれども,実際に比較的若手の弁護士が熱心に数多く活動していただいているという印象がございまして,恐らくこれから契約の締結を呼びかけた時に,全国で契約していただける方のかなりの部分が,そういう若手の弁護士ではないかなと思っておりまして,そういう意味では恐らく結果としては,岡田委員がイメージしておられるような,そういう付添人が結果として選ばれていくのではないかなという想像はしております。 寺井理事 そのように確信しております。 岡田委員 ありがとうございます。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか,御意見,御感想,何でも結構ですが。   どうぞ,小林委員。 小林委員 先ほど少し言われたように,評価についてかなり御専門の田中委員ですとか,髙部委員とか,ある程度のことがあるというようなことをおっしゃっていたんですけれども,具体的に実際はどのような御努力がなされているかということについては,多分余り御存じというわけでもないような感じなのと,それからその他のメンバーについては,もっと分からないわけですので,できれば次に検討するときには,具体的なお話をぜひ事例として集めていただければと思います。 寺井理事 分かりました。 山本委員長 お願いいたします。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 試験観察の問題について,確かに田中委員の御指摘を受けて,今いろいろお話を承って,私自身も確かに試験観察の関係でどういう形で評価をするのかというのは,少なからず難しい問題があるなというのは思いました。思ったけれども,しかしやはり心の中で少し残るのは,何もしない人が3万円取るのってちょっと何か嫌だな,アンフェアだなという気持ちが少しあるので,ただ制度全体の流れの中でそういう問題を表に出すことが正しい対応かと言われれば,それは私も引っ込めますが,ただ若干そこら辺のところについては,そうは言いながらも,ケアはある程度はお立場上,それなりにしていただかざるを得ない面があるのかなという印象を今回の一連のお話を承りながら思ったということだけ,ちょっと付け加えさせていただいてよろしゅうございますか。 寺井理事 国選弁護人制度が新しく法テラスで始められて1年経ち,今,髙部委員が御指摘の点も,国選弁護の面でも感ずることが多々ありますので,今の御意見をしっかりと受けとめて,今後きちっと検証してまいりたいと思っております。ありがとうございました。 山本委員長 どうぞ,小林委員。 小林委員 今伺って,何もしないで申し立てを請求するのはどうかということなんですけれども,私がお願いしましたように,具体的にどういうような内容のものがあるかということを聞いていただくなり,アンケートをとっていただくと,何もしないのに請求することに対するプレッシャーにもなるんではないかなという気がちょっといたしました。 寺井理事 センターが刑事弁護の活動内容とか付添人活動の内容に介入してはならないという大原則がありまして,なかなかセンター側からの調査が限られておることは事実でございます。ただ,報酬を支払うという立場,しかも国民の税金から貴重な報酬を支払うという,そういう点から考えれば,御指摘の点,よく理解できますので,ほかの関係機関とも相談しながら研究してまいりたいと思います。 山本委員長 なかなかその点,難しい,センターとの関係では問題があると思いますけれども,それは我々評価委員会は,国民の立場から見てセンターの活動をいろいろ見させていただくという立場ですので,その国民の立場に立って,いろいろな御意見を言わせていただいて,センターの方にもいろいろお考えいただくということかなというふうに思いますので,よろしくお願いいたします。   ほかに御意見等はよろしゅうございますか。よろしいでしょうか。   それでは,大体御意見をいただけたのではないかと思います。これまでの御発言を踏まえますと,幾つかの御要望等は出たところでありますけれども,今回のその諸規程類の策定変更につきましては,基本的には認可して差し支えないというのが,委員の皆様の大勢の御意見であったというふうに伺いましたが,このようなことでよろしゅうございましょうか。 (「異議なし」という声あり) 山本委員長 それでは,この業務方法書等の変更に関する当委員会の意見は,認可して差し支えないと,こういう形で法務大臣に御意見を申し上げたいというふうに思います。   なお,今回の変更部分に関しまして,誤記の訂正等技術的な修文があるかもしれませんが,その場合については,委員長の私と事務局の方に御一任をいただければというふうに存じます。   それでは,本日の議事につきましてはこれで終わりですが,今後の委員会の開催予定について,事務局の方から御説明をお願いします。 井上課長 まず,本日御意見をいただきました規程類につきましては,最初に委員長から御説明ありましたように,最高裁判所の意見を聞くという手続と財務省との協議というものと,今,並行して執り行っておりますので,それが調い次第,正式な認可に進めてまいりたいと思っております。   それから,次回以降の評価委員会の開催予定でございますが,次回につきまして現在具体的にいつという予定はございません。今後,必要に応じまして,委員長と御相談しながらまた開催をさせていただくことになりますが,1つ御提案がございまして,前にいろいろ委員の皆様方からお話を伺っておりましたスタッフ弁護士の方と話をしてみたいなという声が少なからずございました。   それで,次回の正式な評価委員会が開催される間の期間を利用いたしまして,一種の勉強会の形になりますけれども,任意参加で司法支援センターの方の御協力もいただいて,とりあえずなるべく近くてそんなに遠くないところで,スタッフ弁護士が配置されているところで,この秋のうちに2回ぐらいそのような機会を企画して,もし日程が合って御参加の御意向があれば参加していただきたい。日程はなるべく合うように調整いたしますけれども。   また,その様子も見まして,冬以降もスタッフ弁護士もどんどん配置数が増えてまいりまして,バリエーションも増えてまいりますので,今後引き続きそういうことは企画していきたいと思っておりますけれども,とりあえず秋のうちに少し企画してみたいと思いますので,後日御連絡差し上げますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 ということですので,ぜひ御参加,御協力をいただければと存じます。   それでは,本日の評価委員会,この程度にさせていただきたいと思いますが,その議事録の作成について,事務局の方から最後に御説明をお願いします。 井上課長 議事録につきましては,これまでと同様に事務局におきまして原案を作成の上,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただくということでやっていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 それでは,以上をもちまして,第10回日本司法支援センター評価委員会を終了させていただきます。   本日はどうもありがとうございました。 -了-