日本司法支援センター評価委員会 第12回会議 議事録 第1 日 時  平成20年7月14日(月)   自 午後4時02分                        至 午後6時48分 第2 場 所  法務省20階第1会議室 第3 議 題   1 日本司法支援センターの業務実績評価について   2 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について   3 国選弁護人の事務に関する契約約款の変更について   4 今後のスケジュールについて 議        事 山本委員長 それでは,定刻でございますので,ただいまから第12回日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと思います。   委員の皆様におかれましては,本日は御多忙のところ,また大変酷暑のところを御参集いただきまして,誠にありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。   本日は,委員10名全員の御出席をいただいておりますので,総合法律支援法施行令に規定する定足数であります過半数の出席要件を満たしております。   それでは,まず初めに,本評価委員会の委員の交代がございましたので,御報告いたします。   吉永みち子委員が退任され,新たに井野勢津子委員が就任されました。井野委員,ご挨拶いただけますでしょうか。 井野委員 お話をいただいて正直申し上げて,私がどの程度お役に立てるかわかりませんが,できる限り皆様のお力になれるように努力していきたいと思います。よろしくお願いいたします。 山本委員長 どうかよろしくお願いいたします。   それから,委員会の事務局を担当しております司法法制部の司法法制課長として本年4月に井上前課長にかわりまして小山課長が就任されましたので,ご挨拶をお願いいたします。 小山課長 課長の小山でございます。以前,参事官でこの問題に関与し評価委員の先生方にもごあいさつさせていただいておりましたけれども,引き続きよろしくお願いいたします。 山本委員長 よろしくお願いいたします。   それでは,本日の会議の開催の趣旨について申し上げます。本日の主な議題は3つということであります。第1に日本司法支援センターの業務実績の評価についてということであります。第2に日本司法支援センターの財務諸表の承認に当たっての評価委員会の意見についてということであります。それから,第3に国選弁護人の事務に関する契約約款の変更についての本評価委員会の意見についてということであります。各議題の詳細につきましては,事務局のほうからご説明をお願いいたします。 小山課長 それでは,私からご説明申し上げます。   業務実績の評価方法に係る基本方針の確認及び項目別評価表の策定についてですが,これは,本日,日本司法支援センターの自己評価と,その理由を入れた資料を用意いたしました。後ほど資料の確認をさせていただきますけれども,本日,日本司法支援センターから業務実績に関する資料の説明をいただきまして,それに対する各委員のご質問に回答していただく予定としております。それを踏まえまして,次回の評価委員会で各委員にご議論いただき,業務実績評価についての結論をいただきたいと考えております。   もう一つの議題であります法務大臣の財務諸表承認に際しての当評価委員会の意見につきましては,総合法律支援法により,日本司法支援センターは財務諸表を作成し,法務大臣の承認を受けなければならないとされておりまして,法務大臣がその承認をしようとするときは,あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされております。その関係で,昨年同様,法務大臣から支援センターの平成19年度の財務諸表を承認するに当たりまして,当評価委員会に対し,意見を求められておりますので,ご意見をいただきたいと思います。この議題につきましても,本日,支援センターから資料説明をいただいて,ご質問に回答していただく予定としております。そして,次回の評価委員会でご議論いただきまして,法務大臣の財務諸表の承認についてご意見の取りまとめをしていただきたいと考えております。   もう一つ,3つ目の議題でございますのが被告人国選弁護人の報酬額の算定方法の変更の関係で,国選弁護人の事務に関する契約約款の変更についてであります。この契約約款の変更は法務大臣の認可事項でございまして,認可に当たり,最高裁判所からの意見聴取の手続のほか,当評価委員会の意見を聴くこととされております。また,変更につきましては,財務大臣との協議も必要ということになっております。この点につきましては,本年6月30日付けで支援センターから法務大臣あてにこれらの認可申請がなされており,それを受けまして,7月7日付けで法務大臣から当委員会に求意見がなされております。そこで,本日は国選弁護人の事務に関するこの約款の変更につきましてもご検討いただき,当評価委員会としての意見をいただきたいと考えております。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,議事進行について何か委員の皆さん方から御意見はございますでしょうか。   以上のようなことでよろしゅうございますか。   それでは,事務局のご説明のとおりの形で議事を進めさせていただきます。   続きまして,本日の配付資料につきまして,事務局からご説明をお願いします。 小山課長 それでは,お手元にある資料を御覧いただきまして,配付資料目録のとおり資料がそろっておりますかどうか,確認いただきたいと思います。   資料1は平成19年度の項目別評価表の案でございます。昨年同様,項目ごとに中期計画,年度計画の内容と評価の指標を記載して,支援センターの自己評価とその理由を記載する体裁としております。なお,平成18年度の業務実績評価に対して,政策評価・独立行政法人評価委員会から随意契約に係る公表項目の妥当性についての評価を行うべきである,コンプライアンス体制の整備状況等についての評価を行うべきである,国選弁護関連業務の適切な実施を確保するため,契約弁護士の職務の独立性に配慮しつつ,類似の不祥事案の再発防止策について評価を行うべきであるとの意見をいただいておりますので,この意見も踏まえたものとしております。   また,項目別評価表に記載の自己評価とその理由につきましては,支援センターから説明をしていただく予定としております。   続きまして,資料2-1から2-6まででございます。これは平成19年度の日本司法支援センターの業務実績報告書,財務諸表,決算報告書,事業報告書,監事の意見,会計監査報告書でございます。これらにつきましても,後ほど支援センターからご説明をいただく予定としております。   最後になりますが,資料3は国選弁護人の事務に関する契約約款の改正に関するものでございます。変更内容につきましては,支援センターからご説明をいただく予定でございます。   そのほかに席上配付資料として評価の基本方針などもお配りしております。   資料は以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   本日は平成19年度の司法支援センターの事業実績報告,財務諸表,さらに国選弁護人の事務に関する契約約款の変更内容といったところが審議の内容,対象になるわけですが,その点についての本委員会の理解を深めるため,日本司法支援センターから,寺井理事長を初めとする皆様に御出席をいただき,ご説明をしていただきたいと考えておりますが,この点はよろしゅうございましょうか。   それでは,以上のような点につきまして,日本司法支援センターからご説明をいただくことといたしたいと思います。   それでは,議事に入りたいと思います。   まず,先ほどの議事の第1点及び第2点を併せてということですが,業務実績評価と財務諸表の承認についての議事を進めたいと思います。   本日は,これらの議題に関する資料につきまして,日本司法支援センターからご説明いただくとともに,各委員からご質問等をいただいて,次回,13回の委員会の場で議論をし,最終的な結論を得たいと考えております。その点で,本日はそのご説明を伺うという所が主たる所であります。もちろん,本日,各委員からお気付きの点は質問していただくことはもちろん結構なわけでありますけれども,ただ,時間の関係上,なかなか十分な質問の時間をとることは難しいかもしれません。その際にはもちろん評価の際にいろいろお気付きのご質問は,事務局を通してセンターにもお問い合わせをしていただいて,そのご質問にお答えをいただくということはもちろん前提になりますので,場合によっては時間の関係で,若干ご質問されたいところが制約されるかもしれませんが,あらかじめ御了解をいただきたいと思います。   それから,全部を説明していただいて質問という方法ですと質問がしにくいと思われますので,逐次,適当なところで区切りながらご説明をいただいてご質問するという形で,区切って進行していきたいというふうに考えておりますので,その点もよろしくお願いをいたします。   それでは,2-1から2-6までの業務実績評価に関する内容,それから資料1の自己評価及びその理由の欄についてセンターからご説明をいただきたいと思いますが,まず,それに先立ちまして,寺井理事長からごあいさつをいただければ幸いに存じます。 寺井理事長 ただいま御紹介いただきました寺井でございます。   本年4月10日付けで新体制が発足いたしまして,それに伴いまして私が2代目の理事長に就任させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。   ご承知のとおり,支援センターは2年前の4月10日に設立されまして,半年後の10月2日から業務を開始してまいりました。その後,19年度に日弁連等からの業務を委託されましたいわゆる2項事務並びに国からの委託であります国選付添人業務,これらを併せまして本日まで業務を遂行してまいりました。細かいことは後ほど報告させていただきますけれども,私どもとしては,おおむね順調に業務を遂行してきているものと考えております。   私ども法テラス本部は今年の2月に法テラスの認知度に関する調査を行いましたところ,回答された方々の8割が全く法テラスを知らないというお答えをいただきました。まだまだ国民の間に法テラスが知られていない,浸透していないというふうに考えています。国民の中にある潜在的なニーズを掘り起こしながら良質のサービスを提供していくという目的に向けまして,さらなる努力が必要であるということを深く実感しておりますので,本年度以降,その問題にしっかりと取り組んでまいる決意でございます。   また,今年の12月から犯罪被害者の訴訟参加が始まることが予定されており,来年の5月21日からは歴史的とも言われている裁判員制度の導入,それから大幅に拡大された被疑者国選弁護制度が始まることになります。法テラスはその意味で今年から来年にかけて極めて重要な段階に入っているということを役職員一同が自覚,認識しておる次第でございます。本日はただいまご紹介いただきましたような議題についてご審議いただきますが,評価委員の方々からのご意見を踏まえまして,今後ともさらなる努力を重ねて,国民,市民のために本当に役に立つ法テラス,をつくり上げるために全力を挙げてまいりたいと思っております。   簡単でございますが,評価委員の先生方に対するお礼とお願いを申し上げまして,私のあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。 山本委員長 どうもありがとうございました。   それでは,各項目につきましてセンターから順次御説明をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 石山課長 それでは,総務課の所管事項からご説明させていただきます。   資料1の項目別評価表の1ページの中期計画,年度計画の欄の(1)の総括の欄をご覧ください。   中期計画及び年度計画では,①としまして業務内容について国民への周知徹底を図ること,利用者の立場に立った業務遂行を常に心掛けることなどとされております。平成19年度におきましては,支援センターが地域に根ざし,身近で頼りにされる存在となることを目指して地域密着型の広報活動を展開いたしました。全国の各地方事務所においては,地元マスコミや交通広告等を利用したマスメディア広報のほか,4月10日の設立記念日におけるイベントの実施,街頭における広報物配布などを実施いたしました。また,地方公共団体等の関係機関に対し,広報物を配布するなどして支援センターの業務への理解の促進を図るなどしました。本部においては,各種広報物を作成して各地方事務所に提供するとともに,各地方事務所における広報活動に関する情報やノウハウを集約して共有できるような措置を講じました。さらに,支援センターのホームページを全面的にリニューアルし,同ホームページへのアクセス件数及びコールセンターの受電件数の増加を図りました。平成20年2月下旬には電話調査の手法による支援センターの認知度調査を実施いたしました。また,利用者の立場に立った業務を遂行するため,苦情取扱規程に基づき,サービス推進室において利用者から寄せられたご意見等を集約して,業務改善推進ワーキンググループに報告するなどし,このワーキンググループにおいて組織横断的に業務改善に向けた検討を行うなどしたほか,利用者に対する接遇マナーの向上を図るため,職員向けのニュースを発行するなどしました。さらに,ホームページに文字の拡大や読み上げ等の機能を備えるとともに,拡大文字のパンフレットを作成するなど高齢者や障害者に配慮した業務運営も行いました。   以上の取組を行いましたが,さきに延べた認知度調査の結果等によりますと,国民の支援センターに対する認知度はいまだ十分とは言えない状況にあり,努力,改善の余地があるのではないかと考え,自己評価はBとしております。   なお,平成18年度の業務実績評価において,総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からご指摘があったコンプライアンス体制の整備状況につきましては,これまでに監事監査規程,内部監査規程,役職員倫理規程等を策定するとともに,これら規程に基づき,毎年度本部,地方事務所及び支部に対する監事定期監査及び内部監査を実施するなどしておりますが,今後さらに内部統制,ガバナンス強化に向けて体制を整える必要があると考えております。   中期計画及び年度計画では,②としまして地方事務所単位で地方協議会を行い,関係機関等及び利用者の声を聴取して業務運営に反映させること。③といたしまして,地方協議会その他の会議を設ける場合には,その人選について特段の配慮をすることなどとされております。各地方事務所でいずれも平成19年度に1回以上の地方協議会を開催したほか,多重債務問題,消費者被害等のテーマ別の議論を行ったり,犯罪被害者団体等の利用者側に出席していただくなどしたことにより,前年度以上に活発な意見交換を行うことができました。これにより,支援センターの業務等に対する理解,協力が一層深まるとともに,連携関係の確保,強化を図ることができました。また,本部において今後もより一層利用者本位の姿勢で業務運営を行うため,法律家以外の各界の有識者から利用者である国民の立場に立った幅広い意見を聴取し,今後の業務運営に生かすことを目的としまして,顧問会議を設置することを検討し,今年度の設置に至りました。このようなことから,この項目につきましてはA評価といたしております。   続きまして,項目別評価表の5ページの(1)中期計画,年度計画の(1)の総括の欄をご覧ください。   中期計画及び年度計画では,業務運営体制の適時適切な点検,見直しにより,効率的かつ円滑に業務を遂行することなどとされております。支援センターにおいては,業務開始時から効率的かつ円滑な業務遂行を行うため,業務内容に応じてさまざまな雇用形態を導入したほか,常勤職員の給与については国家公務員の給与構造改革に準じた給与規程を策定するなどして,適正な人事配置及び人件費管理に努めました。また,物品の調達につきましては,その必要性,数量等十分に精査したほか,競争性を高めるための一般競争入札による契約手続を経たり,随意契約による場合も企画競争や複数の業者から見積書を徴するなどして,より安価な金額で契約することに努めました。   さらに,平成21年度における裁判員制度の開始や被疑者国選弁護対象事件の大幅拡大に伴う常勤弁護士の確保業務を集中的・効率的に行うため,事業企画本部に常勤弁護士総合企画室を設置するなど適時適切な業務運営体制の見直しを図りました。このようなことから,この項目につきましても,A評価といたしております。   総務課からは以上でございます。 坂本補佐 続きまして,情報提供課所管事項につきまして御説明させていただきます。   まず,項目別評価表2ページの中期目標,年度計画(2)情報提供関係機関連携強化をご覧ください。   中期計画及び平成19年度年度計画では,①としまして平均68以上の相談窓口設置機関,団体との連携協力関係の構築,②連携指数の上昇が記されております。平成19年度の実績としましては,①につきまして,各地方事務所において平均68以上の相談窓口設置機関,団体と連携協力関係を構築し,情報をデータベースに搭載しており,②としましては,中央レベル,地方レベルで関係機関の理解,協力を深めたことにより,利用者の負担が少なく,より緊密な連携方法である転送,予約が増加し,連携指数が上昇したことにより自己評価をA評価としております。   続きまして,項目別評価表6ページを御覧ください。   こちらの中期目標,年度計画(2)情報提供,犯罪被害者支援,関係機関連携強化の部分を御覧ください。   中期計画及び平成19年度計画では,①としまして,コールセンターを設置し,電話による情報提供を集中的・効率的に行う。②として関係機関に支援センターのデータベースの利用方法の周知徹底と積極的活用を促進すると記されております。平成19年度の実績としましては,①としまして,東京都内に設置したコールセンターにおいて,平成18年度の実績から推定した必要な業務量に応じた要員を配置するなどして,電話による情報提供を集中的・効率的に行っております。②としまして,中央レベル,地方レベルともに関係機関団体データベースの利用方法の周知徹底及び積極的な活用に関する理解を求めるよう努めたことによりA評価としております。   続きまして,項目別評価表8ページを御覧ください。   こちらの(1)情報提供のところですけれども,中期計画では①としまして,平成18年度から21年度までの間にFAQデータベース等の20%以上の増大,インターネットによる提供情報量の増大と検索機能,使いやすさの向上の両立,利用者アンケートを行い,満足度5段階評価で平均4以上の評価を得るとしております。19年度計画では,コールセンターに寄せられる問い合わせ等の分析によるFAQの作成,日常的な検索スピードのテスト,コールセンター,地方事務所におけるアンケート調査の実施と記されております。   平成19年度の実績としましては,業務開始以降,FAQを随時更新,増加し,年度末には約700問のFAQをホームページで公開しました。検索スピードについて日々職員等によるテストを行い,使い勝手のよさを維持したものの,利用者の満足度をより客観的・効果的に調査するため,平成19年7月からウェブによる利用者アンケートを行った結果,5段階評価でコールセンター,地方事務所平均で3.6,コールセンターにおけるメール対応に対する評価を除くと3.9の評価を得たことにより,B評価としております。これは平成18年度に行った調査では10段階評価で9.2の評価を得たためA評価としておりましたが,平成18年度ではコールセンターのオペレーター等のサービス提供者が情報提供直後にその場で満足度を聞く方式だったため,得点が高めに出やすく,データの客観性としてはやや劣るものでありましたので,より正確な評価を得る方式に変更したことにより,数字が下がったものであります。   今回の調査方式でも5段階評価で4以上の満足度を獲得できるようFAQやオペレーター等への研修をさらに充実させ,関係機関とより緊密な連携を図るなどして今後ともサービスの向上に力を入れ,利用者の満足度を高めてまいりたいと考えております。   さらにオペレーター等にアンケート調査の必要性を改めて周知する,地方事務所で面談による情報提供を行った場合には,その直後にアンケート用紙に記入してもらうなどウェブ以外の調査方法を検討することなどにより,有効回答率の低さを解消することも予定しております。また,中期計画の2としまして,地方事務所に来訪した利用者には,即日中の情報提供を行うとされており,19年度計画では,即日中の情報提供に加え,地方事務所の窓口への相談経験者を配置することと記されております。平成19年度の実績としましては,全地方事務所に相談経験者を配置し,地方事務所に来訪した利用者に対しては,即日中に情報提供を行い,支援センターで対応できない場合にはほかの関係機関を紹介するなどサービスの迅速化に努めたことにより,A評価としております。   以上です。 高際課長 続きまして,被害者支援業務につきましてご説明申し上げます。   項目別評価表の4ページをお開きください。   4ページの下段,(6)犯罪被害者支援のところをご覧ください。   中期計画では,1,地方事務所単位で平均12以上の犯罪被害者支援関係機関・団体と連携協力関係を構築するとされており,2つ目として関係機関との連携の在り方に関する実情を踏まえて,連携関係の強さを表す連携指数を平成18年度から平成21年度までの間に上昇させるとされております。19年度におきましては,このうち1つ目に該当いたします地方事務所における犯罪被害者支援関係の機関,団体との連携協力関係の構築が目標とされております。業務開始以降,全国の地方事務所におきまして,各都道府県警察等が事務局となり犯罪被害者支援を行っているさまざまな機関が参加している被害者支援連絡協議会への加盟の申し入れを行いまして,構成員である各機関との連携協力関係の構築に取り組んでまいりました。現在,同協議会が設置されていない1県を除く49の地方事務所が加盟をしておりまして,各機関に対し,支援センターが行う犯罪被害者支援業務の周知,またリーフレットの配布などを行うほか,担当者間での情報共有や意見交換の場を持つなど,連携強化に向けた取組を進めております。こうしたことからA評価としております。   続きまして,10ページをお開きください。   10ページから11ページで4つの目標について記しております。1つ目が地方事務所の職員に関する事項です。平成19年度計画では,地方事務所の窓口対応専門職員に犯罪被害者支援に精通している職員を配置する,窓口対応専門職員及び一般職員に対し,犯罪被害者支援に関する研修を実施するとされております。窓口対応専門職員につきましては,平成19年度において全国12の地方事務所に犯罪被害者支援担当の窓口対応専門職員を配置し,被害者等に対し,二次被害を与えないよう慎重に十分配慮した対応を行ってまいりました。それ以外の地方事務所におきましては,一般の窓口対応専門職員が被害者からの問い合わせに対応しております。それらの者への指導,フォローアップや関係機関,団体との連携など業務の実施に当たって一般職員が担う役割が大きいことから,平成19年度におきましては,被害者支援業務を担当する一般職員を業務のかなめと位置づけまして,業務研修を行い,またブロック別に担当職員を集め,対応上の課題等に関する意見交換を行うなど実践的な研修を実施してまいりました。   各地の窓口対応専門職員に対しては,職員研修の内容を収めたDVDを活用するなどして研修を行うほか,担当職員が日常の対応に関する指導,フォローアップを行っております。こうした取組により,地方事務所における被害者支援業務の質の向上が図られておりまして,今後,継続的に研修等を実施することにより,より適切な対応体制が確保できると見込まれます。こうしたことからA評価としております。   2つ目の目標でございます被害者支援に携わる者からの意見聴取に関する事項です。   中期計画及び平成19年度計画では,犯罪被害者支援に関し,犯罪被害者やその支援に携わる者の意見を聴取する機会を地方事務所単位で事業年度に1回以上設けるとされております。19年度においては,2月から3月にかけまして被害者支援に携わる関係機関,団体に対しアンケート調査を実施し,1,376の団体から回答をいただきました。調査の結果については,項目別評価表に記載のとおりでございますが,支援センターが被害者支援業務を行っていることについての認知率は91.4%,犯罪被害者支援ダイヤルの認知率は76.9%などいずれも着実に認知が高まっております。しかし,犯罪被害者支援ダイヤルが平日夜間及び土曜日も実施していることや電子メールによる問い合わせを受け付けていることなど具体的な業務内容の認知度はいまだ十分とは言えない状況でありまして,今後支援センターの犯罪被害者支援業務の特徴としてさらなる周知に努めていく必要があると考えております。   関係機関,団体からは業務の周知,広報の充実・強化,また実務担当者会議の実施などより緊密な連携関係を構築するための取組に期待している声が多く寄せられておりまして,今後関係機関との連携関係の強化に向けてより一層取り組んでまいりたいと考えております。   3つ目,精通弁護士の確保に関する事項です。   中期計画及び平成19年度計画では,地方事務所単位において犯罪被害者支援に精通している弁護士を確保するとされております。19年度におきましては,各地方事務所において弁護士会会長からの推薦を受けまして,平成20年3月1日現在,全国で1,261名の弁護士を精通弁護士名簿に登載しております。こうしたことからA評価としております。   なお,19年度の紹介実績は590件でして,前年度と比べまして年間ベースで3倍増の状況です。   4つ目,民事法律扶助制度の利用に関する事項です。11ページをご覧ください。   中期計画及び平成19年度計画では,損害賠償による被害回復を求める犯罪被害者に対しては,資力に乏しい場合の民事法律扶助制度の利用に関する適切かつ積極的な助言を徹底するとされております。支援センターにお問い合わせいただいた被害者等が損害賠償による被害回復を求める際には,資力に乏しい場合の民事法律扶助制度の利用について案内するよう取り組んでおります。また,コールセンターで精通弁護士紹介のご希望をお伺いした際には,被害内容,希望する支援内容とともに,民事法律扶助制度利用の希望についてもお伺いし,その旨も併せ,担当地方事務所へ適切に取次ぎを行っております。   さらに,資力に乏しい被害者が適切に法的支援を受けることができるよう地方事務所から精通弁護士へ案件を取り次ぐ際には,民事法律扶助の利用を希望していることについてもあわせて引継ぎを行っております。こうしたことからA評価としております。   被害者支援業務につきましては以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,取りあえずここで区切らせていただきまして,ただいままでのご説明に関しまして,ご質問がございましたらお願いいたします。   それでは,皆さんお考えの間,私から。今のご説明の4ページのところの犯罪被害者支援のところでの各支援機関との協力,連携強化の点でございますが,今ご説明を伺ったところは非常によく分かったんですが,ちょっとよく分からなかったのはこの中期計画の項目と年度計画及び実績との対応関係という点なんですが,中期計画の中ではこの連携指数というのが出ておりまして,この連携指数を平成18年度から21年度までの間に上昇させるというのが一応計画となっておるわけでありますが,このあたり,連携指数というようなものの設定とか,あるいはそれがどうなっているかというようなところはいかがでしょうか。 高際課長 被害者支援を行う機関・団体との連携指数につきましては,先ほど情報提供業務のほうでご報告申し上げました中に含まれております。その中で被害者支援を行う機関,団体のみを対象とした連携指数については,中期計画に入っておりますが,現在,被害者支援機関等との連携構築・強化に向け,正に日々取り組んでいるところでございまして,今回の年度計画及び実績のところで数値化ということはしておりませんけれども,最終的に中期計画の達成状況を御報告する際には,連携指数という形で御報告を申し上げたいと思っております。 山本委員長 分かりました。   ほかにいかがでございましょうか。どうぞ,小林委員。 小林委員 小林と申します。   1ページの法テラスの認知度の向上についてなんですけれども,去年だったと思うんですが,ちょっと私のアイデアとして本当に知っていただきたい方々によく知らせる手段として,年金を受け取る人たちに,どのぐらい費用がかかるか分からないんですが,毎回法テラスの説明を渡して差し上げるというのはどうかなということを申し上げたことがあるんですけれども,そういうようなことの検討というのは可能なのかどうかお聞きしたいと思います。 石山課長 ともかく法テラスの認知度を上げるということが最重要課題でございますので,特になぜ19年度は認知度が上がらなかったかといいますと,やはりまだ業務を開始して間もないということで,関係機関向けの広報活動にかなりの部分,力を注いでしまって,一般の方向けの広報活動というものがまだまだ十分ではなかったのかなと反省をしていますので,今委員からご指摘のあったような手段も含め,今後検討していきたいと考えているところでございます。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。   それでは,ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 岡田委員 岡田と申します。   関係機関というのがどの部分なのかちょっとお聞きしたいと思います。というのは,私が属している例えば調停委員,裁判所ですね,それとか消費生活センターではまだまだ送り込むところはあるんだけれども,送り込むに際して,十分に法テラスのことを理解していないから,もう一つ安心して送り込めないというのが,すごく強いんですよね。例えば簡易裁判所なんていうのは関係機関に入るんじゃないかというのが一つと,それから,情報提供者の中に消費生活相談員の資格者がいるわけですから,消費生活センターともっと密接な関係があっていいと思うんですが,どうも都内においてもそうだし,地方においてももう一つパイプがちゃんとつながっていないので,その辺ちょっとお聞きしたいと思います。 佐川次長 消費生活センターを含め,地方公共団体あるいは裁判所などの関係機関に法テラスに関する例えば説明会を開催してもらい,連携を深めることなどを20年度につきましては,積極的にやっていきたいと計画しているところでございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。   それでは,ほかにいかがでしょうか。どうぞ,小林委員。 小林委員 細かい話で申し訳ないんですが,10ページの①ですね。実績のところの3行目に二次被害を与えないよう十分配慮して対応した,と書かれているんですが,これはどのような配慮をなさっているのか教えていただけますか。 高際課長 コールセンターでも地方事務所でも同じように気をつけてやっておりますけれども,被害者の方がお電話をくださったときに,最初から私はこういう被害に遭ってこれに困っているのでこうしてくださいということを明確におっしゃる方はむしろまれではないかと思っております。特に,事件から余り時間がたっていない方ですと,かなり混乱されてかかってきますので,そのときに例えば必要な支援を見つけるためにこちらが立て続けに質問をしたり,こうこう,こういうことですかとまとめるような聞き方はしないように,それから,多少時間がかかってもじっくり一定の話はお伺いしましょう,というようなことを研修等を通じて徹底をしております。 山本委員長 よろしいでしょうか。   ほかにいかがですか。どうぞ,田中委員。 田中委員 田中でございます。   項目別評価表の5ページのところですが,事業企画本部に常勤弁護士総合企画室を設置したということが記載してあります。業務実績報告書の36ページに設置の目的が記載されていますが,この常勤弁護士総合企画室というのは,具体的な仕事としてどのようなことをしているのか,という点について少しお伺いしたいと思います。 岩瀬理事 今,田中委員からのご質問ですけれども,ご指摘の組織改編でそういう組織を設けましたが,それにつきまして内容的なことはこのあとの場面でいろいろご説明ができるかと思いますから,そのときに一括してお話してよろしいでしょうか。 山本委員長 よろしいでしょうか。   ほかにご質問はございますでしょうか。どうぞ,井野委員。 井野委員 すみません,顧客満足度といいますか,アンケートを実施されていて,実は有効回答数が非常に低いという実績のご報告をされているんですが,これいろんなアプローチでやっても多分,恐らくは有効回答率はそんなに上がってこないと思うんですね。ですので,顧客満足度というのを測るほかの何かやり方を考えられたほうがいいのかなというふうに思います。それがちょっと具体的に何かは分からないんですが,いろんなアプローチをやっても多分,恐らく余り改善はないのではないかなと思うんですが,そのあたりはいかがでしょうか。 佐川次長 それでは,私からお答えいたしたいと思います。   私どもの現在の方法は問い合わせ等をされた方に御自宅のウェブ等で満足度を答えていただくということですから,一定の数を確保するのは難しい問題がございます。そこで,そういう直接的なアンケート調査のほかに,ホームページを通じて寄せられるご意見,あるいはコールセンターへのお問い合わせ内容自体の分析も行っております。例えば,単なる関係機関の紹介だけでは,どうもサービスとして物足りないといったような声もございましたので,19年度の場合,そういう声に一部お答えするために弁護士による情報提供,私どもではこれをテレフォンアドバイザー制度と呼んでおりますが,そういうものも導入いたしました。ホームページ等に寄せられるさまざまなお声あるいは具体的な問い合わせの中で言われるご意見,そういうものもサービス改善に役立てていきたいと考えております。   この顧客満足度をどのように測るのかという問題は大変重要な問題だとの認識は持っておりますので今後,私どもが直接的に得る情報から推し量るのではない,別な客観的な満足度を測るやり方があるのかどうかも積極的に検討してまいりたいと思います。   以上です。 山本委員長 よろしいでしょうか。このあたりは企業でも大変大きな問題だと思いますので,是非,井野委員,ご提案があればよろしくお願いいたしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。小林委員,どうぞ。 小林委員 ぱらぱら質問して申し訳ないです。2ページの後半ですね。(2)の実績の1行目なんですけれども,地方事務所単位で平均68以上の相談窓口情報のデータ,平均というのは,これは年間ということでしょうか。平均の意味があまり分からなくて,実績報告書の29,30ページも読ませていただいたんですけれども,そのとおりしか書いていないので。そのとおりというか,各地方事務所平均,30ページですね。151.5,窓口数にして全国合計のあと,各地方事務所平均492.0件,これの意味がよく分からないので教えていただけますか。 坂本補佐 では,説明をさせていただきます。   同じ業務実績報告書30ページに資料38という形で添付をさせていただいているんですけれども,後ろの資料38をご覧いただきますと,地方事務所ごとにそれぞれ登載している窓口数が異なっておりまして,全部で50地方事務所ございますので,その50地方事務所の平均値で,窓口数にして2万4,559件,地方事務所平均492件という形で,地方事務所の平均として68以上のデータを登載したということで記載させていただいております。 山本委員長 よろしいですか。地方事務所ごとの平均ということなんでしょうかね。 小林委員 すみません,去年から多分続いている事柄だと思うんですけれども,関係する機関になっていただいているという意味のデータでしたか。 坂本補佐 そうです。 小林委員 ありがとうございます。 山本委員長 それでは,よろしゅうございましょうか。若干時間の関係もございますので,次の項目のご説明に移っていただきたいと思います。   次は常勤弁護士,法律扶助,国選弁護といったあたりのご説明ですが,よろしくお願いいたします。 松本室長 それでは,私から常勤弁護士に関する業務及び司法過疎業務についてご説明させていただきます。   先ほど委員からご質問がございましたけれども,常勤弁護士総合企画室は平成19年10月に事業企画本部の中に常勤弁護士及び司法過疎業務につきまして担当する室として独立に誕生いたしまして,本年4月より常勤弁護士総合企画部ということで独立した部ができ,その下で常勤弁護士総合企画室として同様の業務を行わせていただいております。そうしたことから,本日は常勤弁護士総合企画室からご報告をさせていただきたいと思います。   まず,1点目といたしまして,総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためとるべき措置といたしまして,項目別評価表の2ページ上段をご覧ください。   常勤弁護士の確保といった項目でございますが,常勤弁護士の確保に関しましては,中期計画ではまず,契約弁護士等の幅広い確保に加えて,常勤弁護士の確保に努めるとしており,19年の年度計画では常勤弁護士確保のために関係機関の協力を得て,常勤弁護士の業務内容,採用情報などについて司法修習生,弁護士等に対する説明を行うと記載しております。平成19年度におきましては,日本弁護士連合会,単位弁護士会,司法研修所,法科大学院,司法試験予備校等の協力を得まして,合計35回余りにわたり,延べ4,300名以上の司法修習生,弁護士,法科大学院生,司法試験合格者等を対象として説明会を実施し,常勤弁護士の業務内容や採用情報等に関する説明を行わせていただきました。   支援センターの各地の地方事務所での就職説明会におきましては,常勤弁護士も講師として参加させるなど,常勤弁護士の業務実態に関する理解を深められるような工夫も行いました。さらに,一定の法曹経験を有する弁護士からの応募者も確保するため,既登録弁護士約1万4,000名に対して常勤弁護士の採用案内等を送付し,応募を促す取組を行いました。   また,年度計画ではさらに2点目としまして,常勤弁護士については最初の任期を1年以内とするなどして司法修習終了直後の者等から常勤弁護士を採用する方式を検討するとも記載してございます。平成19年9月から司法修習を終了しました新人弁護士を常勤弁護士として採用する新制度を導入し,合計39名の常勤弁護士を確保いたしました。この新制度により採用する常勤弁護士につきましては,その任期を1年以内で理事長が個別に定める期間と定め,集合研修,OJT研修による実務指導などを実施し,比較的短期間に即戦力となるよう養成することといたしました。   このように多数回にわたる説明会の実施や新制度の導入等により,39名の新人弁護士を含む72名の常勤弁護士を確保することができましたことから,常勤弁護士の確保に向けた十分な取組ができたものと考え,A評価とさせていただいております。   次に,項目別評価表の4ページ上段をご覧ください。司法過疎対策と銘を打たせていただいております。   中期計画では,実質的ゼロワン地域において関係機関とも連携,協力しながら常勤弁護士による法律サービス提供が可能な体制を整備するとし,年度計画では①実質ゼロワン地域において管内人口,事件数等を考慮しつつ,地域事務所を設置し,常勤弁護士を常駐させる,②実質ゼロワン地域に近接する地方事務所等に配置する常勤弁護士を巡回させることにより,同地域において法律サービスを提供するための具体的な方策を企画,立案し,実施すると記載しております。   平成19年度の実績としまして,実質的ゼロワン地域に該当しました埼玉県の秩父,富山県の魚津,鹿児島県の奄美などの9か所に司法過疎対策としての地域事務所を設置し,常勤弁護士各1ないし2名を常駐させ,法律サービス全般の提供を行っております。   また,実質的ゼロワン地域であります旭川地裁の稚内支部,名寄支部,留萌支部及び紋別支部,さらに岐阜地裁御嵩支部におきまして,近接する旭川地方事務所及び岐阜地方事務所に配置しました常勤弁護士がそれぞれ巡回による法律サービス提供を行っており,実質ゼロワン地域の解消に大きく貢献することができたと考え,A評価とさせていただいております。   次に,大きく2点目としまして,業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置といたしまして,項目別評価表の7ページ上段をご覧ください。   民事法律扶助,国選弁護人確保と題づけられております。中期計画では,業務の効率化を図るため,所要の常勤弁護士を確保する。常勤弁護士に対する事件の配点等について所要の配慮措置を講ずることにより,常勤弁護士が業務に専念し,十分活動できる環境を整備するとし,19年度計画では①常勤弁護士採用の基盤整備のため,司法研修所等の関係機関に対し,司法支援センターの業務内容や常勤弁護士の意義等の説明を行う,②関係機関の協力を得て,司法修習生,法科大学院生,弁護士に対する説明会を実施する,③常勤弁護士が業務に専念し,十分に活動できる環境整備のための配慮,措置に関する方策を検討,立案,実施する,④常勤弁護士又は内定者に対する支援センター本部主催の実務研修を1回以上実施すると記載しております。   このうち①及び②につきましては,さきに申し上げましたとおり,多数回の説明を実施しましたほか,法曹養成指導者の理解,協力を得るため,司法研修所教官等に対しましても,積極的に説明を行いました。   ③につきましては,常勤弁護士の業務手順を解説いたしましたマニュアルを改定し,報告書面等の統合・簡素化を行いましたものを各常勤弁護士に配布しましたほか,常勤弁護士支援メーリングリストを整備することにより,常勤弁護士間の情報交換の場を提供するとともに,各分野の専門家である弁護士等にも加入していただき,常勤弁護士が適時適切なアドバイスを受けられるようにいたしました。   また,有償事件に関しまして,一定の基準のもとに柔軟な取扱いを可能とし,常勤弁護士が業務に専念できる体制整備に努めております。   また,④につきましては,各支援センター,法律事務所へ赴任いたしました常勤弁護士につきましては,常勤弁護士から提出される事例をもとにし,法曹三者の視点を取り入れました研修を実施したほか,裁判員裁判においては,これまでの刑事弁護とは異なる技術が必要とされる部分があることにかんがみ,裁判員裁判への対応に主眼を置きました研修を導入いたしました。さらに,司法修習終了直後に採用いたしました新人常勤弁護士に対しては,より綿密な指導,育成が必要でありますことから,1年間の任期にあわせ,継続的な内容としたスケジュールにより研修を実施することといたしました。   このように年間を通じました積極的な常勤弁護士確保に向けた取組を行うことができたほか,新制度の導入等により多くの常勤弁護士を確保することができました。また,業務の変化等に応じた環境整備に努めてきた上,常勤弁護士の経験に応じました研修メニューを取りそろえるとともに,間近となりました裁判員裁判にも対応できるような即効性のある研修も実施してきており,A評価とさせていただいております。   次に,項目別評価表の7ページ下段をご覧ください。   司法過疎対策についてでございますが,さきほどより述べさせていただいておりますとおり,より重要度の高い実質的ゼロワン地域に司法過疎地域事務所を新たに9か所設置しており,A評価とさせていただいております。   次に,提供するサービスその他業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置といたしまして,項目別評価表の12ページ一番上段をご覧ください。   司法過疎対策についてでございますが,中期計画では,司法過疎地域の事務所に配置された常勤弁護士の民事法律扶助業務,国選弁護業務,有償事件受任業務の合理的な配分を行うとし,19年度計画では,常勤弁護士が配置された実質的ゼロワン地域の地域事務所において民事法律扶助業務,国選弁護業務,有償事件,受任業務の合理的な配分を行うための具体的な方策を企画,立案,実施すると記載してございます。常勤弁護士の限られた労力の中で,ニーズに即したバランスの良い法律サービス提供を行うため,民事法律扶助事件,国選弁護事件,有償事件の配分についての目安を定めた上,地域の実情,ニーズに応じて事件を受任することといたしました。   平成19年度までに司法過疎対策として設置しました15か所の地域事務所における受任事件数の内訳は,平均しますと,項目別評価表に具体的に書かせていただいているとおりでございますが,事務所ごとに各地域の実情,ニーズを反映した実績となっており,常勤弁護士の限りある業務を合理的に配分できたものと考え,A評価とさせていただいております。   以上でございます。 外山課長 続きまして,民事法律扶助課から御報告させていただきます。   項目別評価表の3ページをご覧いただきたいと思います。   総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためにとるべき措置の中で,民事法律扶助の担い手の確保の問題,3ページの上段に記載しております。年度計画には受任者の確保体制を全国的に均一に確保するため,民事法律扶助の担い手となる弁護士,司法書士が少ない地域について常勤弁護士の常駐若しくは巡回又は契約弁護士,司法書士の確保を行うと定めております。平成19年度までに常勤弁護士を配置した支援センターの事務所は,合計56か所でありまして,そのうち平成19年度に常勤弁護士を新たに配置又は増員した地方事務所及び支部は37か所,地域事務所は9か所となっております。これは業務実績報告書の添付資料3に一覧でまとめさせていただいております。   各地の支援センター,法律事務所にはそれぞれ1ないし3名の常勤弁護士を常駐させております。また,旭川地方事務所に配置しました常勤弁護士におきましては,民事法律扶助の担い手となる弁護士が特に少ない地域である旭川地方裁判所稚内支部,名寄支部,留萌支部,紋別支部を巡回しまして,主として民事法律扶助事件を取り扱っております。これにつきましては,業務実績報告書の資料31に詳しく報告させていただいております。   契約弁護士,司法書士ですけれども,各地方事務所におきまして新規登録者に対する説明等を行うなど新規契約者の確保に努めました結果,業務実績報告書,資料11に一覧でまとめさせていただいておりますが,契約弁護士は一昨年度末より1,795名増加いたしまして,契約司法書士は711名増加しました。これは昨年度中の弁護士の増加数が1,908名であり,司法書士の増加数が424名であったということを考えますと,それぞれその増加数にほぼ見合う数字となっておりまして,その結果,契約率も昨年度より上昇しております。このように常勤弁護士につきましては,72名の常勤弁護士を確保するとともに,民事法律扶助の担い手となる弁護士などが少ない地域への巡回の範囲も拡大することができました。また,契約弁護士,司法書士についても順調に増加しているということからA評価としております。   続きまして,項目別評価表3ページの真ん中の段ですけれども,民事法律扶助に関するニーズ調査の件であります。   中期目標には,民事法律扶助のニーズを的確に反映した事業計画を立案できるよう利用者に対するアンケート調査などを実施するなどして,民事法律扶助のニーズの把握に努めると定められておりまして,年度計画でも利用者に対するアンケート等の調査を企画,立案すると定めております。平成19年度は学識経験者,民事法律扶助実務に詳しい弁護士,司法書士を加えたチームを編成いたしまして,調査計画を立案いたしました。この計画では,一般市民,法律扶助の利用者,アンケート調査では把握しにくい特定階層を対象とする3つの調査を実施し,平成21年度初めころまでに報告書を取りまとめるということとなっております。現時点で一般市民に対するアンケート調査票は,ほぼ完成をしまして,本年10月ころに調査を実施する予定となっております。   続きまして,項目別評価表の9ページをご覧いただきたいと思います。   サービスの質の向上等に関する措置の問題であります。   まず,1項目目が援助審査の合理化の点であります。年度計画には迅速な援助を提供するという観点から,援助審査の方法を合理化することなどにより,援助申込みから代理人選任までの期間を平成18年度と比較して短縮すると定めております。具体的には,より少人数の審査員による審査とする。審査の開催頻度を増加する。申込者を呼び出さず,書面のみでの審査を活用するという3つの方法のうち,1つ又は複数を採用することでありますが,支援センター業務開始以前から合理化を実施済みであった1地方事務所を除きまして,すべての地方事務所において平成18年度以降に何らかの合理化を行いました。その結果,平成18年度と平成19年度とでは援助件数が約11%増加しているにもかかわらず,法律相談援助から審査までの期間はほぼ変わらない状況になっております。ただ,法律相談援助から審査までの期間は全国平均で約10日となっておりまして,今後大幅な短縮は容易な状況ではなく,今後は援助件数増も踏まえました審査の合理化,効率化の在り方を検討しますとともに,法律相談援助から審査までの期間だけではなく,申込みから法律相談援助までの期間の短縮化も併せて検討し,結果として利用者により迅速に代理人を選任できるようにすることが必要ではないかと考えております。   続きまして,2項目目,犯罪被害者への充実した援助の点であります。   平成18年度は犯罪被害者からの援助申込み実績のない地方事務所がほぼ半数近くに及んでおりましたが,平成19年度は5地方事務所へと減少しております。資力に乏しい犯罪被害者の方を法律扶助制度へとつないでいく運用が徐々に浸透してきていると思われます。犯罪被害者のニーズは,その受けた被害の種類などにより多様なものがございます。例えば交通事故の遺族とDVの被害者とでは弁護士等に求めるサービスの内容も相当異なったものであろうかと思います。よって,それぞれのニーズにマッチした精通弁護士で,かつ契約弁護士である弁護士へつないでいくことが重要であると考えております。   続きまして,3項目目ですが,契約弁護士,司法書士に対する研修の点であります。中期目標には契約弁護士,司法書士を対象とする研修を実施し,民事法律扶助により提供される法的サービスの質の向上を図ると定められております。平成19年度におきまして,報告書に記載されておりますように,ほぼすべての地方事務所におきまして,民事法律扶助制度に関する何らかの研修を実施いたしました。制度内容についての理解が深まれば契約弁護士などが法律相談の場面で利用者のニーズに応じた適切なサービスを案内したり,自ら受任者として適切なサービスを提供することができるため,結果として質の高いサービスの提供につながるものと考えております。他方,契約弁護士等が提供するサービスの内容に関する研修につきましては,弁護士会,司法書士会で実施されているものもあることから,今後,相互に協力,連携しながらその実施を検討していくことが適切であると考えております。   以上の理由によりまして,この項目についてはB評価といたしております。 龍見課長 続きまして,国選弁護関連業務について御説明申し上げます。   項目別評価表の3ページの真ん中から下のあたりをご覧ください。   総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためにとるべき措置として,中期計画には捜査・公判を通じて一貫して弁護活動を担う弁護士を確保することとされております。また,年度計画では契約弁護士獲得のために各地において弁護士に対する説明会を実施すること,国選弁護事件の受け手となる弁護士が少ない地域について,常勤弁護士を常駐又は巡回させることとされております。平成19年度の実績といたしましては,支援センターは各地方事務所におきまして弁護士会主催の説明会等に参加するなどいたしまして,国選弁護関連業務の内容,支援センターと一般契約弁護士との間の契約内容についての説明を行いました。昨年11月の国選付添人に関する業務開始の際におきましても,これに先立ちまして,弁護士会主催の説明会に参加したり解説書を配布したりいたしました。   裁判員裁判制度の施行及び被疑者国選弁護の対象事件の範囲の拡大という大きな制度改正に対応するためには,制度の周知,制度への理解を求めることが重要でございまして,支援センターは各地方事務所におきまして,説明会の実施等を通じて一般国選弁護人契約弁護士の確保に努めてまいりました。全般的には契約者数は着実に増加しております。また,常勤弁護士につきましては,先ほど常勤弁護士総合企画室から説明がありましたように,新たに72名の常勤弁護士を確保して地方事務所及び支部37か所,地域事務所9か所に配置するなどしております。以上から自己評価としてはA評価といたしました。   続きまして,項目別評価表の7ページをご覧いただけますでしょうか。真ん中のあたりでございます。   業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置といたしまして,中期計画には,複数事件の包括的な委託の契約締結に努めることとされております。また,年度計画では一括契約について説明資料を作成し,弁護士に対する説明の際などに活用すること,一括契約に基づく事件処理の実務運用について関係機関との間で協議を行うことなどとされております。支援センターにおきましては,国選弁護関連業務の解説書の改訂版を作成しまして,全国の一般契約弁護士等に配布したり,各地方事務所におきまして裁判所,弁護士会等の間で一括契約に関する事件の配点等について協議したりしました。現行制度の定着に伴いまして,一括契約の活用は進んでおりまして,その件数は前年度と比較して著しく増加しております。そこで,自己評価としてはA評価といたしました。   次に,項目別評価表の9ページの真ん中から下の段をご覧いただけますでしょうか。   提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置として,中期計画には地方事務所ごとに国選弁護人等の選任体制に関する裁判所,検察庁,警察,弁護士会が参加する定期的な協議の場を1回以上設ける,地方事務所ごとに裁判所から指名通知要請を受けてから裁判所に国選弁護人等の候補者を通知するまでの目標時間を設定する,契約弁護士を対象とする研修を実施するとされておりまして,年度計画にも同様の事項が盛り込まれております。支援センターにおきましては,国選弁護人,国選付添人とも支部を含むすべての地方事務所におきまして関係機関との協議を行いました。また,すべての地方事務所において指名通知に関する目標時間を設定しております。おおむね所定の目標時間内に国選弁護人及び国選付添人の候補者の方の指名通知に至っております。さらに,国選弁護人契約弁護士等に対する研修につきましては,すべての地方事務所におきまして国選弁護の担い手の確保という観点から説明会の実施等による研修を行い,契約弁護士の方々の人数は着実に増加しております。したがいまして,自己評価としてはA評価といたしました。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ここまでで一応区切りまして,またご質問がございましたらご質問いただけますでしょうか。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 常勤弁護士の確保なり,あるいは司法過疎対策でセンターが前年度大変ご努力をされたという状況はよく説明でわかりました。そういうことに関連してですけれども,一つ今の過疎地対策なり,あるいは常勤弁護士の確保というのが目標に対しての計画に対する充足度というか,目標に対する達成度というのがどの程度になったのかということをご説明していただきたいということと,前年度評価がBであったのを自己評価がAになったという理由は,目標なり計画に対する達成度が十分に評価すべき内容になったから自己評価がAになったんですか,あるいはそうではなくて,単年度の努力の状況がAと評価すべきだというふうに判断されたのか,あるいはもう一つの段階とすると,いわゆる計画なり充足度について,それ以外の理由によってもう十分と評価すべきというような考え方が少し内容的に変わってきたのかというようなことも含めてご説明をいただきたいと思います。 松本室長 私からお答えさせていただきます。   まず,1点目といたしまして,達成度合いの点でございますけれども,常勤弁護士の確保目標といたしましては,俗に言われております平成21年度体制を踏まえまして,これに備えるために段階的には300名程度を獲得したいと最終目標として考えてございます。これを前提といたしますと,19年度までに獲得いたしました96名という人数は,まだまださらなる努力の必要があるものということは理解をしているところでございます。   ただ,先ほどご説明をさせていただきましたように,常勤弁護士の存在,また,その業務内容等につきまして,大分,司法修習生を初めとする皆さんの理解が深まってまいりましたこと等によりまして,常勤弁護士への応募数は確実に増えていっております。そういったことから,常勤弁護士の確保のための取組につきましては,平成18年度の時点ではまだまだ採用条件等も固まっていない段階で,いわゆるリクルート活動などを行っておりましたこともありまして,不十分でありましたところが,かなり充実させることができたものと考えまして,確保策についてはかなり前年度よりも進歩したということで考えさせていただきました。   また,人数といたしましても,平成18年度は24名にとどまっておりましたが,今年度は72名ということで3倍程度確保することができたということで,平成19年度の成果としては十分やることができたのではないかと考えております。   また,司法過疎対策につきましての達成度でございますが,これは法テラスのみが司法過疎対策を業務としておるわけではございませんで,日本弁護士連合会あるいは各単位弁護士会の定着支援,赴任支援といったことと相まって実質的なゼロワン地域はかなりの数の解消が達成されてきておりますし,その一つの中身といたしまして,法テラスとしましても9か所,昨年度は6か所にとどまっておりましたが,9か所司法過疎地域に事務所を設置することができたということで,平成19年度の達成度としては十分だったのではないかと考えております。そのようなことから評価につきましては,A評価とさせていただいたところでございます。   今後の常勤弁護士の確保及び司法過疎の解消につきましては,さらなる努力を要するところと自覚をしているところでございます。 山本委員長 嶋津委員,よろしいでしょうか。 嶋津委員 ご説明はわかりましたが,そこで去年も同じような論点で議論をされたんだと思うんですけれども,要するに常勤弁護士の確保なり,あるいは過疎地域対策,それはもちろん法テラス,過疎地域対策は法テラスだけではなく,総合的な弁護士会さんとかと相まってやっていくんだと思いますけれども,その常勤弁護士の確保もこの程度のスピードでやればそれでいいんだという評価をしてしまうことが適当なのか,あるいは過疎地域対策で去年6か所やって,今年9か所やったから,それでBがAに変わるという質的な変化と考えることができるのかというのは議論があるところではないかと思います。 山本委員長 ありがとうございます。   何かコメント,よろしいでしょうか。   それでは,ほかにご質問。どうぞ,岡田委員。 岡田委員 こちらの業務実績報告書の資料3のところを見て,私「えっ」と思ったんですが,常勤弁護士配置一覧という表,日本地図があるんですが,これを見るとやっぱり関東地域にものすごく集中していて,東北の方はすごく隙間がいっぱいあるんですよね。これはこれでいいのかなと。九州とか四国とか,あと大阪近辺,その辺は一応配置されているんですが,やっぱり北海道と東北がものすごく不足している,少ないような気がするという印象を受けたので,これに関して今どうなさっているのかというのが一つと,あともう一つは,秩父地域事務所がありましたけれども,たまたま秩父のほうの仲間の相談員が顔つなぎをしたいからつないでくれと言われて,さあ,どうしたものかと思いましたが,一応,私も黙ってこそこそと行くのもどうかと思いまして,本部へ連絡を入れましたら,本部の方が気持ちよく受けてくださって仲立ちをするだけじゃなくて,職員の方もお二人ほど来ていただいたんです。この地方の弁護士さんはすごく若くて情熱的な方だったんですが,そのときに地域事務所に関して,法テラスの業務といわゆる弁護士業務両方できるということに関して,「えっ」と私は思ったんですが,仲間の相談員はそういう疑問を感じないんですね。何で法テラスの業務とそれが違うかというと,熊谷ですかね,そことのエリアの問題等があって,この地域に関しての法テラスの業務はうちでやるけれども,それ以外では法テラスの業務はできませんと。ただ,一般の業務として受けることはできますということが外から見るとものすごく臨機応変に対応していただけるんだなと。ましてや弁護士がいないから,法テラスの地域事務所でありながらやってくださるんだなと,そのような解釈みたいなんですね。だから,何か規則に縛られた自分自身が「えっ」と疑問に感じたのを知らない人間はすんなりと受け入れたというところで発見をしたというのが一つと,あとはこの出会いをきっかけに相談員のほうから是非うちの勉強会に来てくれということで毎回来ていらっしゃるような感じなんですね。ですから,やはりそういう意味でパイプをつくるというのはただ待っていてもできないので,どちらかが近づこうという声を出すなり行動を起こさなければ駄目なのかなと思い,その意味では一つの参考になるかと思いお話しいたしました。 山本委員長 いかがでしょうか。 松本室長 では,私から。今ご指摘をいただきました北海道と東北地方につきましては,委員からご指摘をいただいたとおり,まだまだ配置が少なくなっております。法テラスはまだまだ新しい組織であるということもございまして,各地の受入れ状況を比較してみますと,少々まだ警戒感が強いところも残っておるようでございます。そのような場合には常勤弁護士の配置につきましては,若干抵抗があるところも残っているというように見受けられます。ただ,この点につきましては,常勤弁護士の配置が徐々に広がっているところから隣の県ではもう既に常勤弁護士が配置されていると。その活躍ぶりを見ると,それほど自分たちが警戒をすることはないのではないかと。若い弁護士が皆,頑張っているし,地元の方々もとても喜んでくださっていると,そういった活動についてのご理解がかなり深まってきているように見受けられます。そういったことから,当初は警戒感がありました地盤につきましても,徐々にではございますが,常勤弁護士の受入れをしたいということで表明をしていただいておるエリアも出てきておりますので,こういった地域の若干の偏りにつきましては,平成20年度,21年度に向けまして解消をしていくことができるのではないかという見通しを持っております。   それから,秩父,熊谷等の点でございますが,委員からご指摘をいただきまして,秩父におります弁護士のほうで消費者生活相談員の皆様と面談をさせていただいた上で,非常に太いパイプを築くことができたこと,非常にありがたく思っております。各地の常勤弁護士はそれぞれ精力的に, 関係機関として典型的に言われます裁判所,検察庁のみならず警察,市役所,区役所,町ですとか村の役場,それから消費者生活相談員の方々も含めて,あるいは精神科を持っております病院等できるだけトラブルを抱えた皆様と接点のあるところの皆様と連携をとり,そういった方々からの相談を受けるということを通して連携を深め,かつそのトラブルの総合的な解決の一助となりたいということで,幅広く活動をさせていただいているところでございますが,何分まだ各地には1名,多くても3名の赴任でございますので,まだまだそういった連携の点が行き届かないところがございます。ですので,もし連携をさせていただけるところがあればお声をかけていただければ,基本的に常勤弁護士はすぐに飛んでいってパイプをつくらせていただくということを方針にしておりますし,まだまだ微力ではございますが,各地のいろいろな関係機関の皆様とパイプをつなぐことによりまして,そういった方々に発見された市民の方々のトラブルを解決するために常勤弁護士も法律家としての力をお貸しするというようなことで,少しでも地元の問題の解決に役立っているのではないかと考えるところでございます。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。   では,吉川委員。 吉川委員 今のご発言というかご説明について1点だけ伺いたいんですが,エリアによっては警戒感があるとおっしゃったんですが,その警戒感というのはその地方にいる一般の開業弁護士が法テラスに来られると,自分のお客さんをとられてしまうというような意味での警戒を指しておっしゃったんでしょうか。 松本室長 お答えさせていただきます。   警戒感の中で最も強いものは今,委員からご指摘がありましたような警戒感であろうかと思います。また,常勤弁護士はどういった仕事ぶりをするのかというのがまだまだ一般の弁護士の先生,それから司法書士の方々にもなかなか見えてこないところがあるかと思いますので,そういう意味ではきちんとした仕事をしてくれるのかどうかといった点につきましても,若干本当かなというような疑わしいところがあったのではないかなと想像いたします。この点につきましては,先ほどもご説明させていただきましたような実際の常勤弁護士たちの姿を見ていただいて,そういった疑問,それから警戒感については解消させていただくのが一番であると考えているところでございます。 岩瀬理事 1点だけ補足しますと,今,室長のほうから話したところが実際のスタッフ,弁護士の仕事柄にそれがまた一般の開業弁護士に与える影響ということだと思いますが,それだけでなくて,結局この日本司法支援センターができる経過,そういったものに対していろんな考えがあった。とりわけ弁護士会の中にあったことは御承知のとおりかと思います。端的に言いますと,そういうセンターのようなものに対するいわば批判ですよね。それが無論これまでの経過の中で解消したところも大分あるわけですが,なお現時点においてもやはりなかなかそこまでの受入れ,それがスタッフ弁護士の受入れにも端的にあらわれていて,そういったことも含めて,先ほど室長のほうでは警戒感と申し上げたのではないかというふうに思います。 山本委員長 ほかに。どうぞ,髙部委員。 髙部委員 髙部です。   今の問題に関連するところなんですが,2ページ目の上段の末尾から3行目ぐらいのところからなんですけれども,常勤弁護士に係る規程,これ平成18年に設けられたものでお聞きしていたのかもしれないんですが,その任期を1年以内で理事長が個別に定める期間とされたということと,それが比較的短期間に即戦力となるように養成することとの関係が必ずしもよく理解できないということと,そもそも要は裁判員制度をにらんで対応するに当たって,その理事長が個別に定める1年以内の任期とされた理由が必ずしもちょっとこの文章からだけではよくわからないので,そのあたりのところをお教えいただけないでしょうか。 山本委員長 お願いします。 松本室長 お答えさせていただきます。   まず,常勤弁護士に関する規程につきまして,任期を1年以内で理事長が個別に定める期間ということにしました点でございますが,これにつきましては,基本的に司法修習を終了した直後の者につきまして充実した研修をさせ,その研修後に各法テラスの法律事務所に赴任をさせて,実際に独り立ちをさせるといったことを想定しておりますので,1年以内で個別に定めるとはなっておりますが,現実には任期は皆1年ということで現在運用をさせていただいております。   これにつきましては,この新制度を導入する前の時点では,法テラス独自におきましてこういった若手の司法修習を終了した直後の方たちを研修により養成して,弁護士として各地に独り立ちをさせてもよい状況まで実力を蓄えさせるだけの研修を行うだけの実力がまず司法支援センターになかったというところがございました。支援センター業務開始より1年を経過いたしまして,研修制度等もかなり充実させることができるようになってまいりました関係で,これまでは日弁連でお集めいただきました一般の養成事務所となっていただいておりました法律事務所に約1年間それぞれお育てをいただいて,1年後に出していただいていたわけでございますが,その養成の部分を法テラスが自分たちの力でやることも大分可能になったという観点から,この養成の時点から法テラスで行ってまいろうということで,これまで一般の法律事務所でお育ていただいておりました期間を参考に1年以内ということで定めさせていただいたということでございます。   この任期中に集合研修,OJT研修により比較的短期間に即戦力となるよう養成をするといいますのは,法テラスが初めて行ってきたことではございませんで,この新制度が誕生する前までは日弁連の御協力を得まして,各一般の法律事務所で後々法テラス法律事務所で勤務することになる常勤弁護士を是非とも育てようといってくださった事務所で約1年間ということでかなり密な研修を積ませていただいたところ,これを法テラスで自分の力で研修をさせるようになったということでございます。   実際のところは先ほども少しご説明させていただきましたが,年間を通じまして最終的に1年間終わったところで弁護士としての基礎的な力がすべてつくような形で研修カリキュラムを通年で組みまして,それをコンスタントにこなしていけるような研修メニューをこちらで企画し,実施いたしているところでございます。 髙部委員 もう一点だけご説明をいただかないと十分理解ができないのは,ここまで育てるよというのはいいんですよ。それをしたら1年の任期でしょう。自由に辞められるわけですよ。そうすると,地方に行ってくださいといったら,いや,随分お世話になりました,もう十分力つきましたから自分でやりますという話になったのでは何をやっているのかわからないなという感じがあって,任期が1年というのはどういう趣旨ですかということでお尋ねしていますので,そのあたりのところをお答えいただくわけにはいかないでしょうか。 岩瀬理事 1年という任期が取り入れられたのは,先ほど来の説明であるように,従来は常勤弁護士は3年,3年,3年という3年で更新を2度すると,そういう仕切りであったわけです。当初からつまり修習が終わった直後から法テラスで採用するのはその時点の事情としてはなかなか難しいということで,1年間は弁護士事務所で養成をしていただいて,そして,あとは先ほどの3年,3年の制度に乗せるような形で我々としては採用していくと考えたわけですが,その後の事情で我々も研修その他自主的にやる力もついてきましたしということで,従来弁護士会の養成事務所にゆだねた人を最初から新スキームとしてスタッフ弁護士として採用するという枠組みを取り入れた。したがって,そこは長期を予定しないで,当然1年ということで発足したわけです。   それで,今,髙部委員のほうのご懸念ですが,確かに1年やって,ハイというような,辞めますというようなことになった場合ということをご懸念されているのはわからないわけではありませんが,我々はもともとあなたは1年で採用するんじゃなくて,その先スタッフ弁護士として十分各地に展開して仕事をしてもらうんだと。それは採用の過程で繰り返し念を押してやっておりまして,現時点でそういうことで1年で辞めますということの意思表示をされたものはないと理解しておりますし,今後もそこは採用時に十分我々の気持ちを伝え,そういうことのないように運用してまいりたいと,そういうことになると思います。 寺井理事長 髙部委員のご意見は,むしろそれならば最初から任期を4年とした上で,1年はみっちりと法テラス本部で研修させる,そのような形にしたほうが確保しやすいんじゃないかというご提案も含まれているんでしょうか。 髙部委員 生意気なことを言うつもりは余りないのですが,ただ,要するにあえて1年ということに運用に当たって,いろいろな隘路があって大変なところがあるのでそうなっているのかな,普通なら3年にして1年は研修だよというふうに言うことだってあり得るよな,というのがあったので質問させていただいたような次第で,今お話を承りまして合点がいっておりますので,結構でございます。 寺井理事長 日弁連が自前で研修をさせた期間が1年でそのあと法テラスが採用するという,いわゆる従来スキームを新制度によって法テラスが直接研修させるスキームと併用する形に変えてきたという経過がありますが,貴重な御提案でありますので,現在続いております従来スキームとのバランスをとりながら検討させていただきたいと思っております。ありがとうございました。 山本委員長 よろしいでしょうか。   それでは,もしよろしければ時間もかなり経過してまいりましたので,センターから最後の説明ということになりますが,残された部分のご説明をお願いしたいと思います。 石山課長 それでは,項目別評価表の12ページをご覧ください。   12ページの中ほど,中期目標の欄の5,財務内容の改善に関する事項についてでございます。   まず,(1)総括といたしまして,中期目標では補助金,寄附金の自己収入増加に努めることとされております。平成19年度におきましては,補助金,寄附金収入は合計約1億3,000万円で,前年度より増加はいたしておりますが,予算額に比べますとまだまだ少ない状況となっております。   (2)の民事法律扶助の関係でございますけれども,中期目標では償還金収入の確保に努めることとされております。支援センターでは従前から一定の初期滞納者につきまして,コンビニエンスストアでの支払を求めるはがきを送付して督促を行っておりますが,平成19年度はこの督促の対象から漏れる初期滞納者への督促を全国一斉に行いました。また,償還督促についてのより包括的な要領を策定するための準備といたしまして,コンピューターシステムの改善,都市銀行での自動払込み手続の導入,電話による督促,支払督促など法的手続についてその効果と必要なコストに関する検討を開始したところでございます。   (3)の司法過疎対策についてでございますが,中期目標では①といたしまして,有償事件の受任等による自己収入額を増加させる。②といたしまして,地方公共団体その他関係機関,団体からの財政的支援の獲得に努めることなどとされております。平成19年度は司法過疎対策として新たに9か所の地域事務所を設置したほか,旭川地方裁判所管内の4支部に常勤弁護士を巡回させ,有償事件の法律サービス提供を行いました。また,有償事件の取扱いに関するルールをより柔軟なものといたしました。以上を踏まえまして,この項目につきましてはB評価といたしております。   続きまして,項目別評価表の13ページをご覧ください。   13ページの下段でございます。年度計画でいいますと9,その他法務省令で定める業務運営に関する事項についてでございます。   まず,(1)施設整備に関する計画についてでございますが,中期計画及び年度計画におきましては,平成21年度における被疑者国選弁護対象事件の大幅拡大に伴う業務量の拡大に応じて必要となる施設整備の拡充を図るなどとされております。地方事務所,地域事務所等施設の整備につきましては,物件選定時に平成21年度の業務量増大を視野に入れまして,これに対応可能な面積を確保するとともに,法律事務所開業後の事件数の推移等も踏まえ,必要に応じ,適宜レイアウト変更等の施設改修や物品整備等を行うなどきめ細かな対応を行ったもので,平成21年度の業務量増大に対応できる程度の面積,設備を確保するなど十分な対応ができたものと考えております。   続きまして,(2)人事に関する計画でございますが,中期計画及び年度計画におきましては,民事法律扶助事件及び国選弁護人確保業務対象事件の各増加に加えて,平成21年度における裁判員制度の開始及び被疑者国選弁護対象事件の大幅拡大を視野に入れ,常勤弁護士の増員を初めとする人的体制の拡充を図るなどとされております。常勤弁護士につきましては,先ほど来説明いたしておりますように,新たに72名の常勤弁護士を確保いたしております。また,司法過疎地域における地域事務所開設,その他の業務拡大に伴い,計画的に職員の採用を行って人的体制の整備を図っております。さらに,組織としてより質の高い法的サービスを提供すべく管理監督者研修や各種業務研修を実施しまして,人材の育成にも努めております。このほか職員の給与体系につきましては,国家公務員の給与構造改革に準じた給与規程を策定いたしまして,業務開始当初から適切な人件費管理に努めてまいりました。国家公務員の給与構造改革の趣旨を踏まえて,平成18年12月に策定した人事評価システムに基づく人事評価を行い,その評価結果を平成19年6月及び12月支給の勤勉手当に反映させるとともに,同20年1月の定期昇給にも反映させております。以上を踏まえまして,この項目につきましてはA評価としているところです。 岩崎室長 続きまして,受託業務室からご報告させていただきます。   まず,日本弁護士会から委託を受けております日弁連の法律委託援助業務につきましては,平成19年10月1日から業務を開始しておりまして,半年間で申し込み総件数は7,173件でありました。これは財団法人法律扶助協会が自主事業として行っていました刑事被疑者弁護援助,少年保護事件付添援助,難民認定法律援助及び犯罪被害者法律援助等について見ますと,平成18年度実績に比べまして大きく実績が伸びており,法テラスが業務を行うことにより広く全国に統一のサービスを提供するという受託の目的は一定の成果を上げたと考えております。   もう一つの受託業務であります中国残留孤児援護基金委託援助業務につきましては,平成19年度につきまして実績はございませんでした。   以上でございます。 渋谷課長 続きまして,財務会計課から評価表でいいますと13ページ上段にございます予算収支計画,資本計画の実施計画に関する事項と,それから,それのご評価をいただくに当たりまして,ある意味前提となりますことから,併せて決算報告書の概要及び財務諸表,事業報告書等の概要についてもご説明をさせていただければと思います。   それではまず,順番,先ほどご説明申し上げた趣旨から資料2-3に当たります決算報告書につきましてご説明をさせていただきたいと思います。   決算報告書につきましては,いわゆる財務諸表を構成するものではございませんが,国の予算がその運営資金の大半を占めている関係で,センターにおきましては官庁会計に準じた予算管理も求められており,予算の区分に対応させる形でこの決算報告書を作成して,その当初の計画と対比して執行状況を表すという書類になります。区分経理を採用している関係で,決算書類すべて法人単位,一般勘定,国選勘定という3種類のものからなっております。法人単位は一般勘定と国選勘定を合体させたものでございますので,ご説明につきましては,法人単位に即して概要をご報告させていただきます。   決算報告書法人単位のところをご覧いただきますと,収支の状況,前年度の繰越金6億1,200万円と併せて記載しております。単年で申しますと,収支全体で申しますと約9億5,000万円の収入超過ということになっております。この理由,主な原因につきましては,この注に記させていただきましたが,注の5でございますが,主要な原因は人件費が予算と決算額で大きく違いがあるということで,その予算を大きく下回った理由といたしましては,常勤弁護士の採用が少なかったことや,それに伴いまして,常勤弁護士つきの事務職員の採用も少なかったことなどによるものでございます。このような形で,人件費が少ないことと,それから経費節減等に努めたこと等もございまして,物件費も予算額を下回る形になっております。   先ほどご説明申し上げましたとおり,収入につきましても,補助金等収入で予定額を若干下回っているという部分がある関係で,トータルすると,先ほど申し上げたような形の結果になっているということでございます。   評価表の13ページに移らせていただきますと,今申し上げた次第でございまして,この19年度の決算におきまして,繰越金が発生している主たる原因といたしましては,人件費,物件費といったいわゆる一般管理費が予算額を下回ったことによるものでございます。先ほど申し上げたような理由で一般管理費が下回ったということの一方で,ご説明申し上げておりますとおり,事業につきましては,基本的に計画どおり各事業を遂行した上で,主として一般管理費の経費減による相当程度の繰越金が発生しているということになりますので,基本的には中期計画の予算の執行としては効率的な業務遂行が達成できたものであると積極的に評価させていただいて,自己評価としてはA評価とさせていただいたものでございます。   続きまして,財務諸表につきまして簡単に概要をご説明させていただきます。   なお,事業報告書につきましては,事業報告書の様式例で,独立行政法人の事業報告書の様式例というのは昨年度改定になりまして,それに当センターにおける事業報告書提出の趣旨等にかんがみて,その様式例にならうということから,前年度のものと比べて大分簡略なものになっておりまして,基本的に財務諸表の内容をご説明させていただくという内容になっております。したがいまして,これから申し上げます財務諸表に関するご説明が事業報告書のそのまま概要説明になるということで両者を併せてご説明させていただくことといたしたいと思います。   財務諸表におきましては,まず,貸借対照表であります。センターの事業からその民事扶助の立替金等に係るものが大半を占めているということは昨年と同様であります。18年度との主要な相違点について簡単に申し上げますと,まず,資産につきましては,その資産合計が前年度比約18%増となっております。これは運営費交付金債務の増加を主たる要因といたしました現金,それから預金の増並びに民事法律扶助立替金の増などが主な要因であります。負債につきましてご説明申し上げますと,これは負債につきましても前年度比約19%増となっております。これは運営費交付金債務の増額が主たる要因であります。この増加の理由は何よりも前年度の業務運営期間が半年間であったことであります。それと,運営費交付金の収益化につきましては,詳細を財務諸表に記させていただきましたが,まず,自己収入を優先的に充てることとしておりまして,その関係で資金の効率的な運用と経費の削減が行われたことが運営費交付金債務の残額が増えている原因と言えるかと考えます。   続きまして,隣の損益計算書に関して同様にご説明をさせていただきます。   損益計算書につきましても,費用収益とも前年度を上回る内容となっております。費用の増加につきましては,事業期間が延びたことに加え,採用職員数の増加に伴いまして,人件費が約77%増加したことが主な要因です。経常収益につきましても,約19%増加しておりますが,これは運営費交付金収益が前年度比35%増となったことや,国選弁護確保事業に関する政府受託収益が大幅に増加したことが主な要因であります。   なお,この損益計算書の中で最終的に若干の損金が出ていることにつきましては,いわゆる独立行政法人の会計基準に基づくファイナンスリースの会計処理によるものでして,これは最終的には損失が今後減っていき,最終リース期間満了時にはゼロ処理になるという技術的な要因によるものであります。詳細説明は財務諸表の中に記しております。   キャッシュフローについてご説明いたします。   キャッシュフロー,これは文字どおりお金の流れについて,この年度中のものを記したものでありまして,業務活動によるキャッシュフローについては,トータルでいきますと,前年度比約23%減となっております。これは業務運営期間が前年度よりも倍になったことに伴いまして,運営費交付金収入とその他収入部分が増加している一方で,扶助の立替金の支出等があわせて増加になった結果であります。大きな違いは投資活動によるキャッシュフローでありまして,これが前年度比約90%減となっております。これは前年度が業務開始初年度で,多数の地方事務所施設の整備を要したということに比べまして,当年度におきましては司法過疎地域事務所を設置するなどしたところではございますが,なお前年度に比べますと,その部分についての支出が大幅に減少していることによるものであります。   最後,財務活動によるキャッシュフローにつきましては,前年度比で約116%増になっております。これは職員増と,それから業務の増加に伴いまして,コンピューター端末等のリース契約が増えたことによりまして,リース債務の返済による支出が前年度を大きく上回ったことが理由であります。   最後に行政サービス実施コスト計算書について簡単にご説明申し上げます。   この行政サービス実施コスト計算書といいますのは,損益計算書に表れないコスト等につきましても,これを加算いたしまして,いわゆる行政サービス,センターでいいますと,そのセンターの提供するサービスのコストを計算したものでありまして,例えば引き当て外の賞与見積額等を加算したものであります。これにつきましては,自己収入が前年度に比べて増加したことが主たる原因で,前年度に比べますと,全体の実施コストは減少しているということになります。   駆け足になってしまいまして恐縮ですが,財務諸表と事業報告書の概要についての説明は以上とさせていただきます。 田中次長 最後に監事の監査結果報告及び独立監査人の監査報告について少し触れさせていただきます。   まず,資料2-5,平成19年度監事監査結果報告書の最後の部分,第5,監査の結果のなお書きの部分をご覧ください。   国選弁護人の記録謄写費用の支払に関し,契約約款に基づく算定額を超過する支払が一部において行われていたことについては,適切な再発防止策を講ずることを求めると記載されております。この点について若干ご説明をさせていただきます。   センターは,平成19年1月29日から同年11月26日までの約10か月間にわたりまして,国選弁護事件の記録謄写費用の算定において,契約約款に基づく算定額を超過する金額を算定し,支給いたしました。このような算定の実施件数は38件,契約約款に基づく算定額を超過する支払額は合計61万338円でありまして,監事監査結果報告書のご指摘はこの点に関するものでございます。   この運用を開始した当時の契約約款では,記録200枚までの謄写費用,金額に換算しますとおよそ4,000円でございますが,これにつきましては,事件一般に共通する活動諸経費の中で賄うべきものととらえまして,記録200枚を超える部分の謄写費用についてのみ1枚当たり20円の謄写費用を支給する定めとなっておりました。そして,記録の閲覧謄写に赴くための遠距離の移動につきましては,交通費や加算報酬の対象とはなっておらず,遠距離の移動に伴う費用や時間といったコストはそのまま国選弁護人の負担となりました。そのため,記録の閲覧,謄写に赴くために遠距離の移動を要する事案において,記録謄写費用に関する基準をそのまま適用するのでは当該弁護人の負担が大き過ぎるという批判があり,実際に国選弁護人からの不服申立てもありました。そして,このような状況を続けますと,登録弁護士の数がそもそも少ないために,近隣の本庁又は支部管内に登録している弁護士の応援を求めることによって必要な数の国選弁護人を確保している一部の支部においては,国選弁護事件の担い手の確保に大きな困難が生ずる可能性があるのではないかとの懸念を生ずるに至りました。   そこで,国選弁護人が記録の閲覧,謄写のために遠距離の移動を要するため,直接記録の閲覧,謄写に赴くのではなく,謄写業者に記録の謄写を依頼し,その写しを郵送してもらう謄写サービスを利用した場合につきましては,謄写費用全体,実費ですが,そこから200枚分の謄写費用,1枚当たり20円に換算しまして4,000円,それと郵送費用を控除した金額を記録謄写費用として算定し,支給する運用をいたしました。   なお,平成19年4月及び同年11月の契約約款の改正によりまして,記録閲覧,謄写を目的とする遠距離の移動の交通費及び加算報酬の支給対象が拡大したことに伴い,この運用につきましては,同年11月26日をもって廃止し,その後はこのような運用はしておりません。   センターが国選弁護人に対して支払う報酬及び費用は,全額が国からの委託費で賄われており,適正に予算を執行することの重要性は言うまでもないことから,契約約款を遵守した運用に努めるべきことは当然であり,今回の運用については適切ではなかったものと認識しております。センターにおいては,契約約款の重要性を再確認した上で,これを遵守し,報酬算定事務を適正に行うように努めるとともに,今後の同種事案の再発を防止するための施策等を検討し,追って最終的な対応をご報告したいと存じておるところでございます。   以上の点につきましては,監事からの先ほどのご指摘の部分でございますが,その他の点につきましては適正であるとのご意見をいただいております。また,資料2-6にあります独立監査人の監査報告書においても,適正である旨のご意見をいただいているところでございます。   センターからのご報告は以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいまのご説明につきましてご質問をお願いいたします。いかがでしょうか。特にないでしょうか。   宮野委員,何かもしございましたら。 宮野委員 では,まず財務諸表の貸借対照表で援助業務の立替金の金額に対して巨額な貸倒引当金が立てられているということで,この例えば破産更生債権等について,初年度の前期と比べると約18億円増えているわけですけれども,破産更生債権等の内容,債務者の数,債務者一人当たりの平均残高,そして,破産更生債権等の損失処理の時期についてお聞かせ下さい。 外山課長 お答えさせていただきます。   すみません,細かい数字等につきましては,追ってご回答させていただくということで,基本的な考え方だけお話しさせていただければと思うんですけれども,この破産更生債権を具体的にどのような基準で認定しているかということなんですが,もちろんこれ大元には独立行政法人の会計基準がございまして,それに従ってやっておりますが,具体的な判断基準としましては,事業年度末からさかのぼること1年間におきまして,本来償還すべき状態にありながら一度も,1円も償還のない債権につきまして破産更生債権というふうに判断をしております。破産更生債権のその後の処理ですけれども,民事法律扶助業務におきましては,免除という制度がございまして,この免除に該当する方につきましては,所定の手続を経て免除をするということで債権を処理していくということを考えております。これに該当しない方につきましては,基本的には償還を再開するよう促していくということで対処することになっております。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。 宮野委員 そうしたら,この免除の要件に該当するようになったらこれを免除して落とす。それまではその免除要件が満たさなかったら,いつまでもこれを上げておくと,こういうことなんですか。 外山課長 基本的にはおっしゃるとおりであります。 宮野委員 そうすると,これ例えば一般事業法人ですと,不良債権があれば回収のための調査・交渉を行い,不良債権の処理は,速やかに行われます。不良債権の損金処理は,税務上,一定の要件を満たさないと認められないことから,この有税処理を避けるために,不良債権が計上されたままになっている場合等はありますが,処理しない合理的な理由はあります。破産更生債権等の中には,債務免除規定を適用することができるのに免除申請がなされていないものが多数あるのではないか。債務免除規定を適用することができる被援助者の把握,免除申請が出されていない状況の把握の上,実務上,債務免除規定適用対象被援助者の一定額以下の残高に対しては,申請なくとも免除できるという日本司法支援センター内での処理手続要件というか,これを,償還免除規定の運用上免除要件の中に入れることができないのかと思うわけですね。これで,破産更生債権等の処理が促進されるのではないかと考えます。今回の平成19年度事業報告書で昨年はなかったと思いますけれども,国民あてのメッセージが載っています。国民向けの業務報告であれば,破産更生債権等は,発生すべくして発生し,その償還に努めている旨を発信し ,理解を求めることも必要と考えます。   破産更生債権等の不良債権の処理が進まない理由とその対処策をお聞かせ下さい。   それから,非常に回収の努力はいろいろされておられることは業務実績報告書を見て,その努力は評価できると思います。その回収率を前年度と比較して,どの程度今年はよくなったのか説明して下さい。 佐川次長 破綻している債権,財務諸表でいいますと,破産更生債権をどういうふうにこれから整理する方針なのかという問いが第1点だったと思います。現在は,法テラスにおいて破産更生債権という形で位置付けられる立替金につきましても,現在の業務方法書上の整理ですと,基本的には個別の被援助者からの免除の申請を待ってしか基本的には整理できないというスキームになっております。しかしながら,かなりの数のこういう被援助者の方はそもそも法テラスと連絡を絶たれたり,ないしはこちら側から立替金の整理のためへの事務的な協力の要請に対しても連絡をなさらないという方が多数おられます。そうなりますと,場合によっては強制的な法的な手続をとってでも回収というぐらいしか方針はないわけでございますが,その場合には相当数のコストがかかるということになりますので,現在,法テラスでは一定の額を内部の検討で定めて,それを下回る立替金残の案件については比較的簡便な方法で,すなわちコストパフォーマンスの観点から,被援助者からの免除の申請がなくても整理していくという方針をとるということを決めておりまして,現在その作業に着手しているところでございます。 宮野委員 それから,ちょっと気になるのがこの被援助者の転居先不明の状況把握ができていないのではないか,そのために破産更生債権等の処理が遅れているのではないかと懸念しておりますけれども,その辺はどうなんでしょうか。 佐川次長 法テラスの被援助者の方は,もともと資力に乏しい方で,確たる資産をお持ちでない方ですので,住所の変動性が高いあるいは時々離婚事件などはお名前も変わってしまうということなどから,こちらとの連絡がうまくつかないケースが多数ございます。そういう場合には戸籍の附票などを照会しながら住所を追うという作業もやっておりますが,これには相当の費用がかかるという点もございまして,その辺どういうふうに被援助者の方との連携を保ちながら,むしろそういう連絡が絶たれる前に早期に債権回収を図るか,ないしは適切な例えば免除へと誘導するといったことをこれからやっていきたいと考えている次第でございます。 山本委員長 回収率の点はいかがでしょうか。 佐川次長 回収率そのものについては,法テラスにおける直接のデータはございません。法律扶助協会時代に,例えばある年度に立てかえた立替金がその後の5年間で何%程度償還されているかというデータをとったものがございます。それによりますと70%程度だということは報告されておりますが,法テラスはまだ始まったばかりでございまして,そういう数字は持ち合わせておりませんが,おおむねその程度か,あるいはそれを若干下回る程度かなというような理解でございます。   なお,償還金そのものにつきましては,業務実績報告書の資料18に立替金等残高表がございます。こちらのほうで平成19年度の立替金がジュディケアの分,スタッフ弁護士の分を含めまして,トータルで75億8,000万円弱であったということが報告されております。ちなみに平成18年度,これは前半は法律扶助協会が実施しているものでございますが,この年度の償還額は約65億3,000万円程度だと記憶しておりますので,償還金の絶対額としましては,平成19年度は18年度に比して10億円強延びたというふうに言えるのではないかと思っております。 山本委員長 ありがとうございました。   どうぞ,知久委員。 知久委員 関連なんですけれども,今ご説明で償還すべきものが1円も返済していない人がここに入っているというご説明だったと思うんですけれども,一度とか二度返してとまってしまった部分というのは,ここには入っていないということでしょうか。 佐川次長 破産債権の中の定義は先ほど外山のほうが申し上げましたとおり,年度末におきましてそれをさかのぼること1年間の間に1円も返らなかった案件の立替金額の総計がこちらに載っていると,こういうことでございます。 知久委員 すみません。もう一度お聞きしますが,前の年度に一度か二度返済していて,その次の年度に1円も返済していない案件分は入っているということですね。 佐川次長 当該年度1年間に1円も返らなかったものが破産更生債権として計上されているということです。 山本委員長 前の年度に返ってきて,当該年度には返していなかったらここに入っているということですね。 佐川次長 そういうことです。 知久委員 入っているということなんですね。わかりました。 山本委員長 まださらに多分ご質問はあるとは存じますけれども,予定されている時間をかなり超過してまいっておりますので,先ほど申し上げましたとおり,あといろいろなご質問につきましては,事務局を通しまして法テラスにお問い合わせをいただいてお答えいただくという形で処理をさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。   どうぞ。 小林委員 委員の個々の先生方の質問に対する答えは,質問と答えを全員に知らせていただきますか。 山本委員長 よろしゅうございますか。そのようなことで,それでは,法テラスにもまたそういうことでお願いを申し上げるかもしれませんが,どうかよろしくお願いをいたします。   それでは,よろしゅうございましょうか。   これでこの業務実績評価及び財務諸表についての承認についての議題はこの程度にいたしたいと思います。日本司法支援センターからご出席いただいている皆様で,この点の関係でご出席の方はここでご退席をいただいて結構ですので,どうもありがとうございました。   あと,国選弁護人の事務に関する契約約款についての審議をいたしますので,その関係の方は大変長時間にわたって恐縮ですが,なおお残りいただいて若干のご説明をいただければと存じます。           (日本司法支援センター 退  席) 山本委員長 それでは,ちょっと時間もありませんので,引き続きこの国選弁護人の事務に関する契約約款の変更に係る議題について入りたいと思います。   この点について,まず日本司法支援センターからご説明をお願いいたします。 岩瀬理事 理事の岩瀬でございますけれども,私からお諮りいたします国選弁護人の事務に関する契約約款の改正案についてご説明申し上げます。   まず,その趣旨でございますが,国選弁護人に対して支払われる報酬及び費用は,この約款に定められる報酬及び費用の算定基準に基づいて算定されております。今回の改正案は,これまでの報酬基準の運用状況等を踏まえて,被告人国選弁護に関する報酬基準について見直しを図ることにより,予算の適正な執行を確保するとともに,裁判実務における運用に合致したものにすることを目的としております。   ご案内のとおり,来年度には裁判員裁判制度の施行,それから被疑者国選弁護の対象事件の拡大という大きな制度改正が予定されており,本年度は国選弁護人の確保に向けた体制整備のための重要な年度でございます。国選弁護人の確保という観点からも報酬基準については見直すべきところについては速やかに対応を図るのが望ましいと考えられましたので,年度中ではございますけれども,報酬基準の改正をお諮りする次第でございます。   次いで,その概要でございますが,本改正案は被告人国選のうち,簡易裁判所,地方裁判所の単独,それから地方裁判所の通常合議,それから地方裁判所の裁判員対象事件の各報酬基準を対象とするものであります。現行の報酬基準は,裁判所時代のいわゆる3開廷基準の考え方を参考にして公判期日3回を要する3開廷の事件を標準的なものとして,3段階で定額の加算をする方式を採用しております。ところが,現状の実務の運用を見ますと,審理が迅速化し,大半の事件は1回の公判期日で結審しており,また第1回公判期日から証人尋問等が実施されるため,審理時間が長くなる傾向にあります。こうした審理の迅速化傾向と弁護人の活動の実情を踏まえ,整理手続なしの事件については基礎報酬が3段階の定額方式となっているのを廃止するとともに,弁護人の事前準備の労力を評価できるよう報酬額の設定を改めることといたしました。   また,第1回公判期日から長時間にわたる実質審理が行われているという実務の運用に対応するため,整理手続なしの事件,それから整理手続ありの事件のいずれについても,第1回公判期日から審理時間による加算方式を導入することといたしました。   以上が改正案の骨子でございますが,具体的内容についてもう少し詳しく担当課長が説明いたします。 龍見課長 続きまして,本改正案の具体的な内容について補足説明させていただきます。   お手元の資料3のうちの「改正について」という6ページものの資料と,「改正案の概要」とあります赤字と青字のカラーになっています1枚物,これを併せてご覧いただきながらお聞きいただければと思います。   国選弁護人に支払う報酬と費用は,報酬基準に基づいて算定いたします。被告人国選弁護につきましては,公判における活動が弁護活動の中心と考えられますので,弁護人の労力を反映させた客観的な基準といたしまして,公判期日というものを一つの指標としております。手続の類型に応じた基準設定という観点につきましては,刑の軽重,手続が整理手続に付されたか否かの2つの要素に基づきまして,即決事件,簡裁事件,地裁の単独事件,地裁の通常合議事件,地裁の重大合議事件の5つの類型に区分しておりまして,それぞれの類型ごとに整理手続の有無により区分をしております。そして,無罪や縮小認定,示談成立等の成果があったときなどには一定の加算がされます。また,費用といたしましては,記録謄写費用などが支給されることとなっております。   今回の改正案は被告人国選のうち,簡裁と地裁事件の報酬基準の見直しを図るというものでございます。控訴審及び上告審,また第一審のうち即決事件につきましては,対象とはしておりません。また,本改正案につきましては,さまざまな報酬の項目のうち,基礎報酬と公判加算の設定の仕方を見直すというものでございまして,それ以外の加算報酬や費用の点については,特に対象とはしていないというものでございます。   続いて,改正案の具体的な内容についてでございますが,まず,簡裁事件,地裁単独,地裁通常合議及び地裁裁判員対象事件の整理手続なしの事件についてご説明申し上げます。   1つ目は基礎報酬の見直しでございます。現行の報酬基準は最高裁で定めたいわゆる3開廷基準の考え方を参考といたしまして,3開廷の事件を標準として策定しております。現行の報酬基準は標準的事件で想定される審理経過を踏まえまして,例えば最も多い事件類型でございます地裁の単独事件の基礎報酬につきましては,公判期日の回数が1回の場合は7万円,2回の場合は7万7,000円,3回の場合は8万4,000円と定めております。ところが,現在の実務の運用を見ますと,現行基準が想定した以上に審理の迅速化が進んでおります。従前でありますと,3回の公判期日を費やしたであろう事件の大半が1回の公判期日で集中的に行われているという実情にありまして,これに伴いまして,弁護人の準備がその分前倒し的に行われているわけでございます。現行の報酬基準におきましては,公判期日の回数などの客観的な指標に基づきまして報酬を算定しておりますので,現行基準を現在の実務にそのまま適用いたしますと,開廷回数が減ることに伴いまして,報酬の金額もそれだけ減ることになりますけれども,それでは弁護人の準備の前倒しにかかわる労力を必ずしも反映していないという結果を招くわけでございます。   そこで,1回の公判期日で終了するような事件でありましても,国選弁護人の労力に見合った報酬の支給が可能となりますように,基礎報酬額が3段階制になっているものを廃止するとともに,報酬額を改定してはどうかというものでございます。これによりますと,例えば第1回の公判期日において審理時間60分程度で審理を終えていたという場合を想定いたしますと,基礎報酬と公判加算については,基礎報酬額が7万7,000円,公判加算の額が5,800円の合計8万2,800円となるわけでございます。   2点目は公判加算の見直しでございます。お手元の「改正について」という資料の4ページの中ごろでございます。   現行の報酬基準におきましては,整理手続のない事件については,3回目までを定額といたしまして,4回目以降は審理時間に応じた公判加算をしておりますが,現在の実務におきましては,第1回の期日から証人尋問等を実施するなど公判期日1回当たりの審理時間が長くなる傾向が見られます。現行基準では公判期日3回までに対する報酬は,定額の基礎報酬のみでございますので,第1回公判期日で証人尋問を実施するなどした上,論告,弁論を含むすべての審理を終えた場合,どれだけ審理に長時間を要したとしても算定される報酬は基礎報酬のみでございまして,公判加算はされないということになっております。そこで,実務の運用にかんがみまして,弁護人の労力を反映したメリハリのある基準とするために基礎報酬の見直しと併せまして,公判加算の前倒しを図ることとし,公判加算につきましては,第1回公判期日から審理時間に応じて加算してはどうかというふうにした次第でございます。   ただし,第1回の公判期日における45分程度の活動は,基礎報酬で評価されていると考えられますことから,45分程度を超える部分について時間に応じて加算をしてはどうかというものでございます。   次に,簡裁,地裁単独,地裁通常合議,地裁裁判員対象の整理手続ありの事件についてご説明いたします。お手元のペーパーの5ページからでございます。   現行の報酬基準は,本格的な証拠調べは第2回の公判期日以降に行われることを想定いたしまして,1回目は定額の基礎報酬のみとし,2回目以降は審理時間に応じた公判加算をしております。ところが,現在の実務を見てみますと,公判前整理手続に付された事件につきましては,第1回公判期日から審理時間をとって,可能な限り証拠調べが行われておりまして,第1回期日から審理時間が長くなるという傾向にあります。そのため,第1回公判期日から集中的な審理を行いまして,そのため,第1回公判期日の審理時間がどれだけ長くなるような場合でありましても,それに見合った公判加算はされないということになっております。そこで,弁護人の労力を反映したメリハリのある基準とするために,第1回の公判期日から審理時間に応じて加算してはどうかというものでございます。ただし,第1回公判期日における45分程度の活動は基礎報酬で評価されていると考えられますことから,これにつきましても,45分程度を超える部分について,時間に応じて加算することとしてはどうかというものでございます。   以上,お諮りをいたしました改正案の内容とその理由について概略をご説明いたしました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいまのセンターからのご説明につきまして,ご意見,ご質問等がありましたらお願いをいたします。いかがでしょうか。   田中委員,もし何かございますれば。 田中委員 この報酬基準という問題が非常に難しいと思いますのは,やはり画一的に決めざるを得ないというところがあるということだろうと思います。実際の弁護人の活動というのは多様でありますし,活動内容にもかなり差があるものであるというふうに認識しています。また,ご説明のあった裁判員裁判について言えば,今後の見通しですけれども,恐らく公判に比肩し得るようなかなりきつい公判前整理手続などにおける事前準備の仕事を長いことしなければならないということも起こってくるであろうというふうに思います。現状では,段階的な報酬加算は公判を基準にして考えられていますが,その一方で,弁護活動としては公判前に相当厳しい準備があると,そういうような予想される事態をあれこれ考えていきますと,今後弁護人の立場から,この報酬ではいかがなものかという声が更にまた上がるやもしれませんし,そういう中でまた法テラスにおいて,関連機関との対応が必要になってくる場面も出てくるのではないかというふうに思ってはおります。   しかしながら,それはそれとして,今後の実務の運用とにらみ合わせながら考えていかなければならない問題でありまして,今回の報酬基準の改正について言えば,これは現状の実務の運用に沿って改善がなされたわけでありますし,整合性のあるものが一応できているというふうに思いますので,こういう形で一回やってみると。そしてまた,何か問題が出てくればそこでまた考えるというようなことでよろしいのではないかというふうに思っております。 山本委員長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。吉川委員,どうぞ。 吉川委員 ちょっと質問なんですけれども,この案については日弁連とは協議なさったんでしょうか。 田中次長 報酬基準の問題については,国選弁護人の収入に直結する問題でありまして,日弁連からも昨年の8月に正式な理事会を通して意見書などもいただいておりまして,法テラスの業務を開始したときから継続的な協議を進めておりまして,この改正案についても何度となく意見交換をした結果としてこういう案になっております。 山本委員長 よろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。   それでは,今,田中委員からご指摘いただいたように,将来のことはともかくとして,今回の改定それ自体は先ほどご説明がありました刑事裁判の進め方として,当初想定されていたものと実務の迅速化の影響を反映した,その意味では微修正と申し上げてもよろしいのかと思いますけれども,そのような形で実務運用あるいは弁護人の活動の実情を踏まえた改正ということで,弁護士会とも協議を経たものであるというお話もございました。そういう意味で,今回の契約約款の変更につきましては,本委員会としては認可をして差し支えないということで法務大臣に対して意見を申し上げるということでよろしゅうございましょうか。   それでは,異議なく,この点についてはご承認をいただきましたので,そのようにさせていただきたいと思います。   それでは,日本司法支援センターの皆様方にはここでご退席をしていただきたいと思います。どうも長時間にわたりまして,大変ありがとうございました。           (日本司法支援センター 退  席) 山本委員長 それでは,主要な議題は以上ですが,あと今後の評価を進めるに当たりまして,席上配付資料であります業務実績評価に係る基本方針について委員会で確認をしておきたいと思います。この平成19年6月15日の決定に係るこの業務実績評価に係る基本方針でございますが,この基本方針では一番最後のところですね,4のところで事業年度の評価結果等を踏まえ,本評価基準は必要に応じ,見直すものとするというふうにされておるわけでありますが,今年度の業務実績評価について,この基本方針に基づいて進めてよいかどうかということであります。この基本方針は,確認ですが,その1のところで各事業年度に係る実績の評価ということで評価の目的がそのように定められ,評価方法としては項目別評価と総合評価という2つのものがあると。項目別評価は項目別評価表に基づいて行うということで,3段階評価,A,B,Cの3段階の評価で行うということになっております。それから,総合評価は,そのような項目別の評価を踏まえて総合評価表に基づいて行うと。支援センターの実績全体について行うという形になっておるということです。2の部分は中期目標の話で,今年度は関係ないということで,とりあえずこの1の部分ということになりますが,このような形で本年度も評価を行うということでよろしゅうございましょうか。特にご意見等はございませんか。よろしいですか。   それでは,特にご意見はございませんようですので,昨年度同様,この机上配付に係る基本方針にのっとって今年度の業務実績評価も行うということにさせていただきたいと思います。   それから,もう一つ,項目別評価表でございますが,本日資料1として配付されていたものでございます。   この項目内容について,先ほどの法テラスからのご説明で大体全体像というのがお分かりいただけたと思いますが,この内容についてこのような資料1に記載したとおりのような内容でよろしいかどうかということですが,いかがでしょう。よろしゅうございましょうか。   特にご意見はございませんか。よろしいでしょうか。   それでは,この項目別評価表につきましても,この資料1に記載のものをもとに本委員会としての評価をするという形で,今後の作業を進めさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。   それでは,これで予定された議事は終えることができましたので,本日の委員会はこの程度にさせていただきたいと思いますが,事務局のほうから事務的な点についてお願いいたします。 小山課長 第1に議事録の作成についてでございますが,従前同様,当事務局におきまして原案を作成の上,各委員及び委員長に内容を御確認をいただいて公表するという手順を考えておりますが,それでよろしいでしょうか。   ありがとうございます。では,そのように進めさせていただきます。   次回は8月8日,午後3時から午後6時30分まで第13回の委員会を開催いたします。その際に財務諸表承認の件及び業務実績評価についてご検討いただくことになりますので,よろしくお願いいたします。   先ほど委員長からもご紹介が重ねてありました項目別評価表につきましては,お忙しい中,大変恐縮ではございますが,遅くとも7月28日ですので約2週間後の正午までに事務局あてメール又は郵送でご送付いただきたいと思います。事務局で各委員の評価等を整理させていただきまして,評価委員会の案としてお示ししたいと考えております。事前に次回評価委員会の前にお示ししたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。   また,先ほど来,委員長からもお話がございました支援センターに対する追加のご質問等がございましても,その点につきましても事務局に同様の適宜の方法でお伝え願えれば対応をさせていただきます。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今ご紹介がありました次回の委員会は平成20年8月8日,午後3時から6時半ということですので,よろしくお願いいたします。   それでは,これで第12回の評価委員会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。 -了-