日本司法支援センター評価委員会 第13回会議 議事録 第1 日 時  平成20年8月8日(金)  自 午後3時02分                       至 午後6時50分 第2 場 所  法務省5階訟務部門会議室 第3 議 題 1 平成19年度の業務実績の評価(項目別評価及び総合評価)   2 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について 議        事 山本委員長 それでは,定刻が過ぎましたので,ただいまから第13回日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと思います。   委員の皆様におかれましては,本日も御多忙中のところ,また酷暑の中,御参集いただきまして,誠にありがとうございます。本日はやや長丁場になるかもしれませんけれども,どうかよろしくお願いをいたします。   委員の御出席の状況ですが,本日は小林委員が御欠席ですが,委員9名の御出席をいただいておりますので,過半数の出席要件,定足数を満たしていることを確認させていただきたいと思います。   それでは,まず最初に本日の議題,それから議事進行の方法についてお諮りをしたいと思いますが,お手元の議事次第をごらんいただきますと,本日の議事としては大きく2つでございます。1つは平成19年度の業務実績の評価と,これが中心ということになりますが,もう一つ,法務大臣による日本司法支援センターの財務諸表の承認に当たっての評価委員会の意見についてということも,本日決定する必要があるということであります。   まず業務実績につきましては,前回の評価委員会の場で日本司法支援センターから御説明を受けて,各委員の御意見をちょうだいしたところでありますけれども,本日はこの委員会の場で意見交換をして,評価委員会としての評価に関する意見,それから評価理由の取りまとめをさせていただきたいと思います。大きく項目別評価と総合評価という2つの評価の点があるわけであります。   それから,財務諸表につきましては,やはり前回の委員会の場で日本司法支援センターの方から御説明を受けましたが,本日,それに基づいて各委員の御意見をちょうだいして,法務大臣が財務諸表の承認について御判断をされるに当たっての当評価委員会の意見の取りまとめということをさせていただきたいと思っております。   なお,本日は委員の間での議論が中心ということで,前回とは異なりまして,法テラスの方々には御出席をいただいておりませんが,もし委員の方から何か法テラスの方に御質問があるというような場合には,電話でその問い合わせをするという態勢も一応整えておりますので,御承知おきいただければと思います。   本日の議題及び議事進行の方法については,以上のように考えておりますが,よろしゅうございますでしょうか。   それでは,そのような形で進めさせていただきたいと思います。   それでは,議事に入ります前に,まず事務局のほうから資料の御説明をいただきたいと思います。 中川参事官 それでは,事務局の方から資料についての御説明をいたします。   まず,配付資料,それから机上資料とございますので,それぞれあるかどうかを御確認いただければと思います。   まず,配付資料といたしましては,資料1としてA3の大きな版,カラー版のものでございます。日本司法支援センターの平成19年度業務実績評価に関する項目別評価表と題する表でございます。これは,各委員に御回答いただきました項目別評価表の記載をもとに,事務局の方で項目ごとの評価とその理由をまとめた項目別評価表の案でございます。その各項目の評価表については,評価案について,多数意見に基づいて記載をさせていただいております。そして,評価理由(案)につきましても,各委員からの御指摘をできる限り反映したものとしております。本日は,この項目表の案に基づきまして,その評価と理由についてそれぞれ議論をしていただく際に参考にしていただくためにということで,準備したものでございます。そのような趣旨で資料1が作成してございます。   続きまして資料2,A4判のものですけれども,日本司法支援センターの平成19年度業務実績評価に関する総合評価表(案)というものでございます。これは,各委員に御回答いただいた項目別評価表の記載をもとに事務局において作成したものでございます。中身につきましても,本日,各委員に議論していただく際の参考にしていただくために準備したものでございます。   以上が配付資料目録でございます。   そのほかに,本日は机上配付資料として複数の資料を御用意しております。   まず,机上配付資料Aといたしまして,「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」と題する書面がございます。これは,昨年6月15日に当評価委員会でお決めいただいた評価の基本方針をまとめたものでございます。各事業年度の評価について,項目別にA,B,Cの3段階評価を行うとともに,総合評価を行うということが記載されてあります。   続きまして,机上配付資料Bといたしまして,「平成19年度業務実績評価に関する各委員意見集約表」という,またこれもA3判のものでございますが,御用意しております。これは,評価理由(案),評価(案)について,各委員の御意見が分かれた項目もございますので,そのような各項目についての委員の評価の分布と,各項目で委員から御指摘いただいた点をまとめたものでございます。   続きまして,机上配付資料Cは,前回の評価委員会の場や,その後各委員からいただいた御質問と,それに対する支援センターの回答につきまして,事務局で整理をしたものでございます。これも本日の議題の参考にしていただければということで御用意しております。   続きまして,机上配付資料Dでございますが,これは日本司法支援センターの平成19年度の自己評価でございまして,前回の評価委員会の場では資料1として配付させていただいたものでございます。   続いて,机上配付資料Eでございますが,これは,前回の評価委員会の場でも資料となりました日本司法支援センターの業務実績報告書並びにもう一つの分冊になっておりますが,財務諸表とその附属書類に関連するものを机上配付させていただいております。   最後に、机上配付資料Fでございますが,これは,今年の8月5日付で総務省から,日本司法支援センターの評価委員長あてに送られた書面でございます。中身につきましては,独立行政法人の役職員の給与の水準等に関するものについての平成19年度分の資料が公表されたということで,それについてのものでございます。   この日本司法支援センターの役員に対する報酬につきましては,法律に基づきまして,国家公務員の給与,民間企業の役員の報酬等,支援センターの業務の実績などの事情を考慮して,支給基準を定めなければならないとされております。また,職員の給与等につきましても,法律上,支援センターの業務実績を考慮し,かつ社会一般の情勢に適合したものとなるよう,支給基準を定めなければならないこととされております。   当評価委員会におきましては,他の独立行政法人の役職員の給与等の水準をも考慮していただいて,評価をしていただく必要がございます。その関係で,この机上配付資料Fを配付させていただいております。   もちろん,支援センターは独立行政法人そのものではありませんので,独立行政法人整理合理化計画の対象にはなっておりませんが,効率的業務運営が求められております。そしてまた,役員報酬や職員の給与等の水準が適正に保たれることが要請されるということは,独立行政法人と同様でございますので,そのような観点から評価をお願いできればと思います。   この資料の中身ですけれども,資料Fの1から11まで番号が振ってございますが,まず1枚めくっていただきまして,F-1と題する独立行政法人の役職員の給与等の水準をごらんください。この項目の2にありますとおり,「更なる給与水準の適正化に向けた取組」というものが行われております。そしてさらに,項目3では役員報酬についての支給状況というものが記載されておりますが,役員報酬につきましては前年度を下回る水準ということになっております。   続いてF-3の資料をごらんください。F-3の上から,主務省のところが,内閣府,総務省,その次に法務省とございまして,日本司法支援センターに関するデータが記載されてあります。ここで職員の給与水準ということですけれども,年齢という要素のみを勘案して,国家公務員の給与水準と比べた場合,あるいは年齢・地域・学歴という要素を考慮して,真ん中の表のところですね。対国家公務員指数というところで,84%程度にとどまっております。2つの欄とも同じく,84.3,84.7%ということで,下の水準になっているということでございます。   続いて役員報酬の点ですが,これはF-5の資料をごらんください。F-5のところにも,上から法務省の日本司法支援センターの記載がございますが,ここで法人の長の欄がゼロになっておりますが,これは前理事長の金平理事長が報酬をお受けにならなかったということで,ゼロになっております。そして,理事の報酬につきましては年間で約1,633万円ということになっております。   続きまして,F-8の資料をごらんください。給与,報酬等支給総額でございますが,これにつきましても,上から法務省の日本司法支援センターの欄をごらんいただきますと,平成19年度は総額で約27億2,480万円,前年度比で76.9%の増加になっております。報酬等のところは給与等を入れますと増えておりますが,これは被疑者国選弁護対象事件の範囲の拡大など平成21年度の業務量増大や,民事法律扶助の拡充に対応するための体制整備を伴う職員の増加が原因でございます。   以上のような給与等の水準及び役員報酬等の観点も参考にしていただきまして,評価を進めていただければと思います。   資料につきましては,以上のとおりでございます。 山本委員長 ありがとうございました。今の御説明に何か御質問ございましたら。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。   それでは,議事に入りたいと思います。   まず,業務実績評価でございますけれども,大きく項目別評価と総合評価に分かれるわけですが,まず項目別評価についてでございます。資料1でございますけれども,ここでの議論は,A,B,Cという評価結果と,それから評価理由の書きぶりが,このような書きぶりでよろしいかということを項目ごとに御確認を,御意見をいただいて進めていきたいというふうに思います。   一番左に,非常に細かい字ですが,1,2という順番を打っていまして,全体で24項目ございますが,順次1つずつ進めていって,問題のないところは簡単になると思いますが,進めていきたいと思います。   まず1番目,1ページ目の上の段ということになります。これは日本司法支援センターの認知度あるいはコンプライアンスの体制についての記載の部分でございます。   結論としてはBということで,認知度向上の取り組みについては評価できるけれども,結果が伴っていないと言いますか,実績としては認知度は十分に向上したとは言いがたいということ。それから,利用者の意見・要望については,それを業務改善につなげている点は評価できるけれども,高齢者・障害者に対する配慮について更なる工夫が期待されるということ。それから,コンプライアンス体制についても一定の努力がなされているけれども,監査の実施が一部の事務所にとどまっているということで,今後,より積極的に監査を進めることが期待される。また,国選弁護関連業務についても,一部費用の支出に不適切な面が見られたというようなことがあって,全体としてはBという評価でございます。   これについては,机上配付資料Bをご覧いただきますと,委員の大勢と言いますか,9名の方がBで,1名の方はより厳しくCにすべきだという御意見があったようでありますけれども,多くの委員の御意見はBであったということで,これが原案になっているわけであります。   まず,この点につきましていかがでしょうか。御意見をいただければと思いますが,特によろしゅうございますか。皆さん大体Bということですので,あるいは理由の書きぶりも何か御意見があれば。   特によろしければ,この部分は原案で基本的によろしいということで取りまとめさせていただいてよろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,最初の項目についてはそのようにさせていただきたいと思います。   次に,2番目の項目,1ページの下の段でございますが,これは地方協議会の開催と関係機関との連携・協力に係る項目でございます。これについては,評価はAというのが原案になっております。   その理由としては,本年度の年度計画としては,各地域で最低1回以上の地方協議会を開催するということでありますが,それは満たしていると。昨年度の開催回数を上回っていると。その開催の頻度に加えて,内容についてもテーマ別の協議・議論などが行われて,利用者の意見を反映させることになっていると。あるいはメンバーについても,法曹関係者以外に地方公共団体とか警察,福祉関係団体等々の利用者側の意見の反映,関係機関等の連携の確保という点が図られていると。それからまた,顧問会議の設置が検討されて,利用者の意見・要望等を反映させているというようなことで,全体的な取り組みを見てAという意見が多かったということで,このような結果になっております。   この点は,委員の御意見の分布を見ていただくと,Aとする意見が8名,それに対してBとする御意見は2名ございました。   この2番目の項目について御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。   岡田委員,もし何か御意見があれば。 岡田委員 まあいいです。 山本委員長 よろしいですか。 岡田委員 認識がちょっと私たちの認識と違うような気もするんですけどね,自治体のあれと。という感じがするんですが,まあ頑張っているかなと。 山本委員長 認識が違うというのは。 岡田委員 そんなに自治体とか,関係機関は分かるんですけれども,それ以外のところとのパイプが太くなったというふうな感じがちょっとしないんですよね。 山本委員長 そうですか。余り。地方協議会という…… 岡田委員 それもちょっと見えないんですけど,やってはいるんですね。 山本委員長 一応,それぞれそこで……。 岡田委員 そんな感じなんですよ。 知久委員 私は岡田委員とは逆の認識です。実際に現場を見に行ったときも,市町村にも色々な部署があって,そこに法テラスのチラシもあって,担当者が,何か相談があると法テラスにというような対応をしているのを結構見ています。 岡田委員 法テラスってやっているんですけど,特に福祉関係なんかそうなんですが,何でもかんでも法テラスに送り込んでいるというのがものすごく目につくんですよ。だから,消費生活センターなんかからすれば,法テラスの業務というのはきちっと分かっていますから,何でもかんでもは送らないわけですよね。送ったら戻ってきますから。 知久委員 担当者がFAQをお持ちになっていて,それを見ながら、そう言うときは法テラスにというような感じで紹介しているようですから,とりあえず法テラスに相談の電話を振ることが多いような気がしますけれども。振り方に問題があるので、法テラスに相談したら、それからまたどこかに相談が戻ってくるようなケースの方が多いかもしれないですね。 岡田委員 自治体にもよるでしょうけどね。私の周りでは,何でも,今まで持っていき場がなかったものをみんな法テラスへ送り込んでいるというのがすごく見えるという感じがするので,「えっ」という感じなので,これからかなと思って。だから,まずは法テラスの業務というのをきちっと自治体に,しかも消費生活センターよりも,福祉とかそういうところへ理解させないとと思うんですが,そちらから出向いて説明とかそういう機会はないみたいなので。 山本委員長 そういう意味では,余り業務内容の周知徹底というのが,現場まではなかなかまだ浸透していないんじゃないかということですかね。 岡田委員 浸透していないと思うんですね。だから,それってすごく効率的じゃないですよね。法テラスの仕事も増やすし,また送り込んで戻ってきたり,満足いく対応をされなければ,もう嫌だなって帰っちゃうという部分では,すごくマイナスになるかなという感じを持っているんです。 山本委員長 分かりました。そうすると,この理由の記載はいかがでしょうか。今の御意見と何らか,更なる業務内容についての周知を図っていくべきである。そうすると,この地方協議会というのが,上のレベルではあれなんだけれども,現場のレベルまでそれが十分浸透していないということがあるということですかね。 岡田委員 去年でしたか,弁護士会館でやったのがそれですかね。そのときに,相談員が何人か行っていたみたいなんですが,質問をする時間もなかったし,専ら一方的にコールセンターのPRばかりが目についたというようなことを何人からか聞いているので,そういう面ではどうなのかなという感じがしているんですけど。 山本委員長 それでは,最終的な評価としてはこれでいいのではないかという岡田委員のお話だったので,今のようなことは法テラスの方に,委員からの御意見として事務局の方からお伝えいただくというような形で,評価書についてはこのような形で。 岡田委員 そうですね。具体的に言いますと,練馬で去年でしたか,東京の弁護士を講師に呼んで,区役所で何か講義があったんですね,多重債務関係で。そうしたら,福祉の方から,送り込んだんだけど戻ってきたというクレームが来たみたいなんです。私はそこにいなかったんですけど。そしたら,その弁護士の先生が帰って全部チェックしたみたいなんですね,練馬から入ってきてるものを。そしたら全部該当しなかったというのを,練馬から行っている情報提供者から聞いたんですけどね。   だから,その辺も本来であれば,アフターフォローされたかどうか分からないんですけど,多分されているだろうと思うんですけど,そういう場合は練馬に対して,この前こういうのがあったけれども,実はこれはこうこうこういうことで,うちに該当しないというような,そういう対応をされると理解していくかなと。そうじゃないと,言いっ放しで,まあいいかという感じで通していくと,また同じことをやると思うんですよね。 山本委員長 それは確かに,まことにそのとおりだと思いますね。   それでは,第2の項目につきましては,評価結果,評価理由については基本的にはこのとおりでよろしいということで,ただ,今の岡田委員の御発言のような御指摘があったということは,法テラスの方にお伝えをいただくということで,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,2番目の項目については,以上のようにさせていただきたいと思います。   それでは,続きまして2ページの上の段になりますが,3番目の項目でございます。これは常勤弁護士の確保にかかわる項目ということになります。   これは原案はBでございまして,その評価理由の案としては,日弁連や弁護士会の協力を得て採用活動を行っている。あるいは司法研修所や法科大学院などでもその採用に向けた活動を行っていると。それから,新人弁護士の採用について新たな制度を導入したというようなさまざまな努力で,今年度は72名の常勤弁護士が確保できたということです。   問題は,この人数の評価の問題ということになりますが,原案では,この数字は中期計画に記載されている体制整備の観点,それから来年度に予定されている被疑者国選弁護対象事件の拡大や裁判員制度の実施という観点からすると,必ずしも十分であるとは言えないと。さらに,今後認知度を高めるための広報活動によって利用者が増加してくる,あるいは司法過疎地域の解消を図るという観点からも,更なる常勤弁護士の確保の取り組みというのが必要であるということで,結果的には,今年度頑張っていることは認めるとしても,やはり中期計画全体の達成度という観点から見れば,まだなお不十分なものであるという評価で,Bということに原案はなっているということでございます。   ただ,この点は,机上配付資料Bを見ていただきますと,Bの方が7名おられたわけですが,Aでよろしいではないかという委員の方も3名おられるということで,やや意見が分かれた点でございます。それから,常勤弁護士の確保というのは,言うまでもなく日本司法支援センターにとって非常に大きな課題でございますので,本委員会の評価としても慎重を期す必要がある部分ではないかというふうに思っていますので,ぜひ活発に御議論いただければと思います。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 私は実はAにしたんですが,これはやや甘いというふうに評価されるかもしれませんけれども,2つのことを申し上げたいと思います。   一つは,年度計画と評価との関係なんですが,年度計画の書きぶりが,これこれに対する説明を行うというのが一つで,もう一つが,司法修習終了直後の者等から常勤弁護士を採用する方式を検討するという年度計画の書きぶりになっておりまして,幾らの結果を求めるかということが必ずしも年度計画のほうに書き込まれていないんですよね。それに対して結果が十分出ていないということでのB評価というのはいかがなものかという点。年度計画の書きぶりをどうするかというのは,当評価委員会自身の問題でもあろうかと思いますので,そのあたりをどういうふうに考えるのか。今の点は,別にこの項目だけじゃなくてほかの項目についても言えることなんですが,それをどう考えるかというのが一つです。   それからもう一つは,もう少し内容的なことで,これは今後何回も常勤弁護士の問題は出てくるわけですけれども,司法支援センターが常勤弁護士と一般の契約弁護士とをどのように使い分けていくかということについてのポリシーの問題があって,いろんな国の法律扶助あるいは国選弁護士制度を見ますと,大抵の国は,一般の開業弁護士にやってもらうことを主たる弁護の方法として考えておって,いわゆるスタッフ弁護士,完全丸抱えの弁護士がやるというのは,できない部分の補完的な位置づけになっている国が多いんですね。どうも今の司法支援センターの場合について考えると,常勤弁護士がオールマイティーで,常勤弁護士がいないと何もできないというような考え方にやや陥りがちになっていて,そうなると,私に言わせるとちょっと,国選弁護のやり方についての考え方が違うんじゃないかなという感じもするんですね。   この辺については,当評価委員会でも余り議論していなかった点でございますので,このあたりについての議論もいただきたい。私は別に,AにしたからAにこだわるということではございません。司法支援センターの方でも最終的には300人が必要だというふうに言っているわけですから,まだそれに比べれば足りないということは事実でございますので,B評価にするということも別にやぶさかではございませんけれども,今申し上げたような点についての議論が必要かなというふうに考えておりますので,申し上げます。 山本委員長 ありがとうございます。そんな御指摘がありますが,まず第1点で御指摘された年度計画との関係ですが,これは事務局の方では何かございますか。基本方針の読み方にもよるんだろうと思うんですが,基本方針の文言というか,評価方法という点からすると,中期計画に定められた各項目について調査・分析し,中期目標の達成に向けたそれぞれの実施状況について評価を行うということになっておりまして,これまで各年度の評価も,一応中期目標の達成に向けた実施状況を評価するということで,直接,必ずしも年度計画を評価するという形にはなっていないようにも思われるわけなんですが,これはそういう理解でよろしゅうございますか。 吉川委員 来年から年度計画を書くときに,もしこういう実績を求めるというのであれば,もうちょっと具体的に年度計画に書いておいた方が,評価はやりやすいかなと。書いてあることと実績を見てどう評価するかというのが,もうちょっとやりやすいかなという気がするものですから,申し上げたんですけどね。 山本委員長 それは全くおっしゃるとおりだと思いますね。必ずしも,この年度計画を積み重ねていっても中期計画は達成できないんじゃないかというように思われることもないではないので,そこは本来ちゃんとつながっている。特に,来年度以降はそろそろ中期目標の最終的な達成というのが見えてくる年度ですので,そのあたりは来年以降はちょっと注意した方がよろしいのかもしれないですね。 田中委員 中期目標に向けて1本の貫く棒のようなものがあって,その棒を見て,今,現状がどの辺りにあるかというような視点から評価をしていくということだろうと思うんですね。それで,単年度ごとに,そこに書いてある書きぶりの部分が,一応形式的に達成されているかどうかということだけで見てしまうと,1本の貫く棒のような観点から見た場合には,最後に目標が達成できないという事態が生じてくるというようなことになると思うんです。ですから委員長がおっしゃったとおり,中期目標を見据えた形で評価するという,そういった手法が正しいのではないでしょうか。 山本委員長 どうぞ,井野委員。 井野委員 数値目標というか,余り人数にこだわり過ぎてもいけないのかなと。どういう人材が来ていただいているのかというのも,クォリティーの面から評価できる何か仕組みがあるといいなというふうに思います。200名でも,余りクォリティーの高い方に来ていただかなければ,中期目標というのは当然達成できないと思いますので,その点も考えて目標設定していくとよろしいんじゃないかと思います。 山本委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 今の吉川委員のお話は,2点とも私はもっともだと思うんですけれども,ポリシーとしての常勤と契約弁護士さんとの使い分けというのは,基本的に日本司法支援センターをつくったときから,日本司法支援センターとしても考えておられることだと思うんです。ですから,そういうことについては,関係する弁護士会との調整なんかも含めて,中長期的な目標もつくるし,それからその達成の度合いについても,お互いに意見交換しながら進めていくということなんじゃないかなと思います。   それから,マクロの数だけではないと思うんですね。やっぱり地域によっても,東京とか3大都市圏みたいに十分に民間の弁護士の方が充足している地域と,離島,過疎,辺地というような地域を多く抱えているような地域なんかによっても,事情が違うわけですから,私は,それは日本司法支援センターなり,あるいは法務省も関係するのかもしれませんが,お互いによく連絡をとり合って進めていく,そういう姿勢をポリシーとして司法支援センターは持っておられると思いますので,そういう意味で,進め方についても,私は司法支援センターの自己評価Aというのはまずいので,やっぱり謙虚に自己評価していく。両方な意味で謙虚に自己評価していくべきだろうと。やみくもに,数を確保したからAだとか,十分に確保したからAだということじゃなくて,そのやり方,地域的な配置,あるいは今,井野委員からもありましたように,クォリティーのことも含めて,謙虚に評価していくべき分野なんじゃないかなと,そのように思います。 山本委員長 どうぞ,田中委員。 田中委員 常勤弁護士の問題というのは,吉川先生が言われたように,現状を非常によく観察し,物事がどのように動いているかということについてよく分かっている人は,やはり大変難しい問題だという認識になっていくので,困難な状況の中で非常によくやっているなという評価になっていくのだろうと思います。   それはそれで,年度計画との関係で一つの意見だろうと思いますが,ただ一つ考えなければいけないのは,法テラス,日本司法支援センターというのは,日本国で大変大きな司法制度改革というものが実施された中で,民事関係については既にあるものを利用したという面もありますけれども,刑事関係について言えば,少なくとも裁判員制度,あるいは国選弁護等の関係では,アメリカのパブリック・ディフェンダーズ・オフィスのような専門的な刑事弁護を担当できる枠組みを制度的にきちんとつくりましょうと,本来はこういう大きなスキームだろうと思うんですね。そこが外れてしまうと,これは日弁連に属している弁護士さんを,個別的な契約関係で,この組織がどういうふうに利用するかというだけの問題になってしまうという,非常に小さな枠組みとしてとらえられてしまうということになる。   大変大きな司法制度改革の中で生まれた日本司法支援センターが,これから5年,10年,20年という歴史の中でどういう役割を果たしていくべきかと言えば,恐らく刑事関係については,日弁連・単位弁護士会の協力のもとに,すべての弁護士さんに日本司法支援センターを守り立てていただき,組織として日本の刑事弁護ないし刑事裁判を支えていくという,まさに日本の刑事司法にかかわる中枢的な役割を果たしていただく。そして,日本の刑事弁護,刑事裁判の課題を本当に大きな力で支えていく組織に生まれ育っていただきたいという,そういう位置付けなんだろうと思うのです。   そうすると,これはまさに常勤弁護士というものがどういうものでなければならないかというところに行き着くわけで,先ほど井野さんからも意見が出ておりますけれども,量の問題だけじゃなくて質の問題だというのも,そこに結び付くわけです。年度計画でも実務経験年数が10年未満の者の任期を3年,それから実務経験年数が10年以上の者の任期を2年とし,それぞれ2回まで更新可能とすることを基本とするというような形で,質の問題も考慮した常勤弁護士の確保ということもにらみつつ計画が立てられているということが,この書きぶりからもうかがわれるわけですから,そういう視点が重要であるということになります。嶋津委員も謙虚に評価すべきというふうな言い方をされましたけれども,そういった観点から総合評価をしていくべき筋合いのものではないかなというふうに思います。 山本委員長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   吉川委員は,今,田中委員からの御意見がございましたが。 吉川委員 別に反論とかそういうものはございません。   ただ,一つだけ考えなきゃいけないのは,常勤弁護士というのは数だけの問題じゃないということですね。この前の司法支援センターからの説明によっても,確保されている常勤弁護士の大半が弁護士経験の極めて少ない人なんですね。それで,そういう人たちをどんどん特訓して,裁判員制度が始まった後の刑事裁判に対応できるような弁護人を育てていくというのは,もちろんやっていかなきゃいけないんですけれども,それなりの刑事弁護の経験のある弁護士が裁判員裁判を担うということも必要。特に重大事件が多いわけですから,そういう観点で,弁護士一,二年の人が急に重大な殺人事件等を,特に1人でやるというようなことについては,若干の危惧もないわけではないので,量だけの問題じゃなくて,質といいますか,特に経験年数等についても配慮しなきゃいけないなというふうに思います。   結論としては,特に私はAにこだわるものではございません。 山本委員長 ありがとうございます。   そうすると,結論的な結果としてはBという原案でよろしゅうございましょうか。今の委員の皆さんほぼ共通しての御意見としては,人数の問題だけではなくて,質の問題あるいは地域の分布の問題,そういうようなことを考えながら常勤弁護士の確保を進めていかなければいけないという点においては,ほぼ一致した御意見があったかと思います。   質の問題は,去年もたしか御指摘がなされたかと記憶いたしておりますが,これはどこかに書き込んで……。申しわけありません,私も全体を忘れて。質の確保にも配慮しなきゃいけないというようなこと。 吉川委員 「所要の」と書いてありますね。だから,「所要の」という表現を若干工夫していただけると,そこらあたりのニュアンスが出てくるかなと思いますけど。 山本委員長 「所要の常勤弁護士」という,これが量だけをあらわすものではなくて,質も含めたということですかね。 吉川委員 ええ。そういうふうに受け取られかねないですね。 瀧澤部付 質も確保したという意味での所要というあたりでございましょうか。 山本委員長 そうですね。では,ここをもう少し明確化していくという,今の御意見を反映した形で明確化していくというようなことで。 嶋津委員 質というのは書きにくいでしょうね。何か別な言葉を使わないといけないでしょうね。 山本委員長 そうですね。質・量ともにというのであれば,あれかなという感じもしますが,表現ぶりは工夫を。 吉川委員 委員長にお任せします。 山本委員長 では,申しわけありませんが,事務局と御相談して工夫をしていきたいと思いますが,中身的には今のような御意見を反映するような形で,評価理由についてはもう少し明確化するということにさせていただければと思います。   という前提で,3番目の項目はよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,3番目についてはそのような形でまとめさせていただければと思います。   次に,同じページの下で4番目の事項であります。関係機関・団体との連携強化ということでございますが,これについては原案はAということで,相談窓口設置機関で68という数値目標が出ておりますけれども,これをかなり上回るような連携・協力関係を構築していると。それから,連携・協力関係の質について,連携指数の改善ということが挙がっていますけれども,これは前年度1.8であったのが2.0ということで改善がされていると。ただ,今後はその指数の更なる改善に向けた努力,質的な連携強化を図るということの努力が期待されるということになっていますが,最終的にはAということでございます。   これにつきましては,委員の御意見は,Aの評価の委員が8名,Bの評価は2名ということで,原案はAということになっております。   この点について御意見はいかがでしょうか。   先ほどの岡田委員の御意見は,この点にも関連しているということなんでしょうか。連携が必ずしも十分とられているとは……。 岡田委員 そうですね。結局,周りの意見を聞いていますと,コールセンターが必要じゃないというような受けとめ方をしている人がいるんですね。ただ,私は個人的にコールセンターの役割はすごく評価しているので,と思うんですけど,そこの部分をもう少し理解させなきゃいけないのかなと。コールセンターへ電話して,また事務所へ行くんであれば,近ければ事務所へ飛び込んだ方がいいと。それもいいと思うんですよね。ですが,そうは言っても,だからといってコールセンターは要らないよというふうにはいかないので,そこの辺もどんどん外に発信しないと,ただ内部で,コールセンターは必要だ,必要だ,つくったものはなくさないよと,そういう姿勢でいくと,ますます要らないという声が大きくなるかなという感じもちらっとするもので,それはあれなんですけど,でも私は評価に関しては。特にコールセンターのメールは,あれは私,すごく評価したいんです。コールセンターでメールで受けだしたのは,あれがこちらの自己評価書の方へ余り書いてなかったけど,データを見ても増えていますよね。だから,あの辺も大いにPRした方がいいと思うんですけどね。 山本委員長 なるほど。PRがなお不足しているんじゃないかという御指摘だと思います。   私自身も,これは実はBじゃないかというふうにあれしたんですが,私は,連携指数というのは,1.8から2.0というのは増えてはいるんですけれども,余り連携の質というのが向上しているというふうには言いがたいんじゃないかというふうに考えたものですので,そういう評価をしたわけですけれども,委員の皆さん,大勢はAでいいんじゃないかということで,今後更なる改善に向けた努力が期待されるということで,私もよろしいかなというふうに思っているところです。   ここは,そういうことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,4番目の連携についてはAということにさせていただきたいと思います。   次に,3ページ目の一番上ですが,5番目の項目,法律扶助の問題であります。法律扶助の担い手の問題でございますが,これは評価の原案はBということでございます。   これも先ほどの常勤弁護士の問題が関係しておるわけでありますけれども,一定の常勤弁護士の配置あるいは巡回相談,あるいは契約弁護士,司法書士の確保ということの努力は評価できるとしながら,いわゆるゼロワン地域がなお相当数残っていて,より多くの常勤弁護士を採用するということなどによって,全国的に均一な民事法律扶助サービスの実現に向けて更なる取り組みが期待されるということで,結論的にはまだ十分ではないというBの評価になっております。   これも,常勤弁護士の確保をどの程度評価するか,それからゼロワン地域の解消に向けた努力をどのように評価するかという全体と関係しているところでございますが,委員の皆さんの御意見はこれもかなり分かれております。Aとする委員の方が4名,Bとされる方が6名という,そういう意味ではかなり僅差でBが多数だということで,原案はBになっておりますけれども,かなり御意見が分かれたところかと思いますので,皆さんから御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 これも,私は弁護士なものだからやや甘いのかもしれませんので,評価委員会としては,できるだけ厳しめの評価を出す方がいいんだという観点からは,私はAにした結論を変えても構わないと思いますけれども,一つだけ申し上げた方がいいかなと思うのは,日弁連がひまわり事務所というのをやっているんですね。これが去年,確か ゼロワン地域のゼロ地域ゼロを達成したんですけれども,達成するのに10年ぐらいかかっているんです。   それで,司法支援センターがこの19年度に,初めは半年ですから,2年終了したという,1年半ですね。それだけの期間でゼロワンがまだ相当残っているという評価でBにするのは,やや過酷な評価かなというようなことを思って,Aにしたんですけれども,もっと頑張れよという意味を込めてBという評価にするのであれば,それでもいいかなというふうに思いますけれども,ゼロワンを解消するというのは結構大変な事業だろうと思います。 山本委員長 ありがとうございます。   ほかに御意見はどうでしょうか。   知久委員は何か御意見ございますか。 知久委員 前回,分布図の説明をうけましたが,あれがかなり気になっているところです。地元弁護士との折衝でなかなか難しい部分があるというような説明もありましたけれども,やはり全国均一という話になってくると手薄な部分が見えている以上A評価にはもう一歩というところですね。 山本委員長 やっぱり分布が偏っているという。 知久委員 規制がいろいろあって非常に難しいということもありますし,先ほどの地元の弁護士会との問題もあるでしょうから,一朝一夕には設置ができないということも分かりますが,それを目標に掲げている以上,説得しながら進めていっていただきたいという,頑張ってほしいという意味で,B評価とさせていただきたいと思います。 山本委員長 ありがとうございます。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 この前のパーティのときに,過疎地域に行っている弁護士さんの人とも話をさせてもらって,大活躍をしているというような状況。それからこの前,雑誌で,壱岐で司法支援センターの地域事務所で働いている弁護士さんの文章を読みましたけれども,日本全国,今,大格差時代と言われていますね。その一つの大きな格差,司法サービスが受けられるか受けられないかというのも大きな格差の問題だと思いますので,それに対して一生懸命取り組んでいただくということと,それから,状況についてはまだまだ達成途上であるというようなことから言うと,私は,Aという評価をすること自体は,それは国民に対してもう充足されているんだという誤解を与えかねないことですから,やはりこれはB,これからも努力するという姿勢は是非とっていただきたいと思います。 山本委員長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。   それではよろしゅうございますか。趣旨としては,吉川委員がまさに言われたように,頑張っていることは十分認めながらも,さらに頑張ってほしいと。国民利用者の立場から見れば,更なる努力,取り組みを期待するという激励の趣旨を込めたBという評価ではなかろうかというふうに思いますので,そのようなことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。それでは,この項目につきましてはBということで,評価理由についてはこのようなことでさせていただければと思います。   それでは,次に6番目,3ページの中段の項目でございますけれども,ニーズ調査に関係した,これはかなりピンポイントの項目でありますけれども,アンケート調査についてということであります。   評価案としてはAということで,これは具体的な検討が既に進められていて,年度計画として計画立案ということであれば,それはクリアしているということで,恐らく今年度には実際の調査がなされるのではないかということが記載されていたと思いますけれども,早期に調査を実施して,調査結果の分析,そして業務運営に反映させていくべきであるということでございますけれども,今年度の評価としてはAということにしてよろしいのではないかということが原案になっております。   これはほとんど異論がなくて,9名の委員がAということでいいんじゃないかという,お一人,Cという厳しい評価がございましたけれども,基本的にはAでよろしいのではないかということかと思います。Cの評価理由につきまして,事務局の方から。 中川参事官 机上配付資料Bで,Cのところの御意見ですけれども,実施されていないというところを重く見られているようであります。ですから,早期に実施をすべきであるという観点から,企画立案とはなっているんですけれども,早期に実現すべしという意味でCとおつけになられたんだと思います。 山本委員長 という厳しめの御意見を出されたということかと思いますが,Aでよろしいではないかということで,これはよろしゅうございましょうか。理由のところにそれは当然反映して,早期に実施すべきだということで反映しておりますので,それではこれは原案のとおりということにさせていただければと思います。   続きまして,同じページの下の7番目の項目でございますけれども,国選弁護の弁護人確保の体制の問題であります。原案はBということで,まず契約弁護士のことが書かれていますけれども,契約弁護士については,人数の増加ということで一応評価はできるけれども,なお一層の弁護士の確保が必要であるとともに,地域ごとのばらつきを是正するということも必要であるということが指摘されております。それから,常勤弁護士については先ほどと基本的には同じことで,取り組みについては評価はできるということですが,裁判員制度の実施や被疑者国選の拡大ということを考えると,いまだ十分とは言えないと。それから,ここに質の話が,質というか,「より多くの常勤弁護士の確保が必要であり」ということで,中堅・ベテラン弁護士の確保のための取り組みを一層推進すべきであるという指摘がここでされております。   ということで,契約弁護士,常勤弁護士ともに一応の評価はできるけれども,なお更なる努力が必要であるということで,結論はBになっているということでございます。   これについても,常勤弁護士等とほとんど,皆さんの御意見の分布は同様のことになっているかと思います。Aの評価の方が3名,Bの評価の方が7名おられるということで,原案になっているということであります。   これについてはいかがでしょうか。先ほど来のあれからすれば,Bの評価はやむを得ないというか,そういうことになるようにも思われますが。 吉川委員 その方が一貫しますよね。ここだけAにすると一貫性が……。 山本委員長 確かに。理由の書きぶりとかもこういう感じでよろしいでしょうか。ここで先ほど来問題になっている,とりわけ中堅弁護士の確保の必要性ということが指摘されているということで,先ほどの御議論の趣旨にもかなっているようにも思われます。   それでは,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 では,これは原案の形で決めさせていただければと思います。 嶋津委員 非常に細かいことですが,先ほどの吉川委員の御趣旨を含めると,「取組や」ということより,「取り組むとともに,中堅・ベテラン弁護士の確保のための取組を一層推進すべきである」というふうに書いた方がいいような感じがいたしますが。 山本委員長 後から2行目ですね。「新人弁護士の確保のための取組とともに」ですか。 嶋津委員 「確保のため取り組むとともに」ですが。 山本委員長 「取り組むとともに,中堅・ベテラン弁護士の確保のための取組を一層推進すべきである」と。よろしいでしょうか。文言の修正をお願いできればと思います。   それでは,続きまして4ページにいっていただきまして,4ページの上段,司法過疎対策の点であります。実質ゼロワン地域の解消の問題でありますが,これも評価の結論はBということであります。   これも先ほど来の問題と基本的には同じことで,司法過疎対応地域事務所は9か所設置されたということ,あるいは巡回サービスというのが行われているというのは,一定の成果として評価されるということですが,なお実質的ゼロワン地域が相当数残っているということ。それから,東北・北海道の対応が遅れている等,地域間のばらつきがあるということから,その解消のめどは立ったとまでは言えないということで,今後,日弁連等と連携・協力して,実質的ゼロワン地域の解消のための更なる取り組みが期待されるということで,Bということになっているということです。   この点も,人数の分布という点から申し上げれば3対7ということで,Bの御意見が多いということになっておるところであります。   この点についてはいかがでしょうか。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 質問なんですけど,要はゼロワン地域の関係についての解消の基本的なスタンスというのは,常勤弁護士の確保というラインで書かれているわけですけど,最後のところで,「日本弁護士連合会等と連携・協力し,そのような地域の解消のための更なる取組」ということが記載されているんですが,申し訳ないですが,具体的に言うとどういうことを想定されての話なのか,教えていただけませんか。   すみません。私は非常に無責任な話をしているというのは重々承知の上で申し上げいるんですが,なぜそう申し上げるかというと,今の吉川先生の話に啓発されて申し上げているんですけれども,吉川先生のお話を承っていると,それで思っているのは,ゼロワン地域の話って常勤弁護士しか解消できないじゃないのというふうにも思ったりしていたのですが,ひまわりの話もちょっと御指摘があったりしたので,どういう形でこの問題が絡んでいくのか,教えていただけたらという趣旨なんですけど。 坂田参事官 私の方から申し上げますと,日弁連としての取組は,もちろんひまわり基金を使った,そこに事務所を出す弁護士を支援するとかという会の取組はもちろんございます。法テラスの方の取組としては,補完的なものというふうに法律上も位置づけられておりますので,そういう努力を見ながら出していくということではあるのですが,実際,地域事務所を出すかどうかというところは,まずは地元の方のニーズがどういうふうになっているのかということ。それは,出すとすれば,地域の弁護士会の方が是非来てくださいと,積極的に事務所を出すということに協力しますよというような体制が構築されるのかどうかというところが非常に大きなこととしてございます。   そういう意味合いで,ひまわり基金としての取り組み以外にも,日弁連といいますか,弁護士会としてやり得ることはあるという意味合いなどなどが含まれているということでございます。 瀧澤部付 ちょっと補足をさせていただいてよろしいでしょうか。   一つは,今申し上げた,日弁連が昔から取り組まれているひまわり基金と連携・協力しつつ,法テラスの方は常勤弁護士を確保して,日弁連のひまわり基金では手が届かないところに地域事務所を出して司法過疎を解消していくと,これが総合法律支援法立案当時からの取り組みとして構想されていたものでございます。   それとともに,前回の評価委員会の場で委員から,地域的なばらつきがあるではないかという御指摘をいただいたところでございまして,これについては今申し上げたとおり,司法支援センターの方でも,その存在意義であるとか総合法律支援法の理念などをよく地元の弁護士会に御理解をいただいて,司法過疎地域の解消に向けて努力をしていくという,おおむねこの2つの取り組みというのが考えられるのではないかというところで,日本弁護士連合会等と連携・協力をしてということで,この理由欄に記載をさせていただいているところでございます。 髙部委員 そうだとすると,ちょっと言い過ぎかもしれないですけど,前半部分のところで,「今年度は常勤弁護士1名以上が常駐する司法過疎対応地域事務所が9か所設置されたほか,司法過疎地域の近隣の地方事務所に配置された常勤弁護士による巡回サービスが行われ,司法過疎対策としては一定の成果が上がっている」というのは,これは要するに,常勤弁護士の問題も含めたところについてだけ記載があって,日本弁護士連合会等との連携・協力による,例えばひまわりの関係の話も含めた協力の部分についての評価というのは,ここでは入っていないという理解でよろしいんですか。   何が言いたいかというと,前段部分の中で,いわゆる常勤弁護士の関係についての確保の問題も含めた取り組みとともに,日本弁護士連合会等との関係での協力のもとに,こういう形でいわゆるゼロワン地域の解消に向けた取り組みを行っているというのがまずあって,そして更なる連携・協力という形で記載した方がいいのかなと思うんですが,それは事実としてあるのかないのか。 瀧澤部付 もちろん,司法支援センターの方で地域事務所を設置するというのは,当然,こういった連携・協力関係のもとに実現できる話であると思いますので,どちらかというと年度計画の方に引っ張られまして,センターとしてできることと言いますと,所要の常勤弁護士を確保して司法過疎をなくしていくという取り組みということになるものですから,そこに焦点を絞って前半部分は書いておりますが,厳密に申し上げると,それは当然,日弁連等の御協力もいただいてということでございます。そもそも,常勤の確保についても日弁連等の御協力をいただかないとうまくいかないというところもございますので,それは言わずもがなというところで考えております。 髙部委員 そしたら提案なんですけど,「今年度は常勤弁護士1名以上が常駐する司法過疎対応地域事務所が9か所設置されたほか」の後に,ちょっとリダンダントになるんですが,「日本弁護士連合会等と連携・協力して,司法過疎地域の近隣の地方事務所に配置された常勤弁護士の」……。違うのか。その前のところですね。「今年度は」の後に「,」にして,「日本弁護士連合会等と連携・協力し,常勤弁護士1名以上が常駐する司法過疎対応地域事務所が9か所設置されたほか」というふうに入れた後,そのまま続けていただくということで,後半部分で急に連携・協力と出てくるので,ちょっと違和感があったものですから,今申し上げたようなことを言ったんですけど,あくまで提案ですけども。 山本委員長 実質は全くそのとおりなんだろうという感じはいたしますが,いかがでしょうか。今の髙部委員の修文の御提案は,それでよろしゅうございましょうか。 髙部委員 やめたほうがいいかな。 山本委員長 でも,確認的な意味という意味ではよろしいんではないかと思いますが。   それでは,今のような形で修文するということを前提に,さらに御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。 井野委員 質問なんですが,いついつまでに全部なくすとか,そういう目標というのは設定されているんでしょうか。例えば10年以内になくすとか,そういうところでは,期限はない目標であるという理解でよろしいでしょうか。 山本委員長 そうですね。中期目標ないし中期計画も,完全になくすというふうに書いてあるようには読めないですかね。 瀧澤部付 中期目標・中期計画を読む限りは,いつまでにというところまではちょっと読み切れないところではないかというふうに……。なるべく早い方がいいのは,それはそのとおりでございますが。 井野委員 先ほど,確か吉川委員もおっしゃっていたと思うんですが,これはそもそも非常に困難な目標であるという理解のもとでは,それなりのプログレスはあるのかどうかというのは,私は非常に分かりにくいので,何らかの期限を目指していただいた方がいいのかなという気がします。じゃないと,きちんとプログレスがあるのかどうか非常に分かりにくい目標になってしまっていると思うんですが,いかがでしょうか。 山本委員長 そもそも,実質ゼロワン地域というのをどういうふうに定義というか,あれするかというのもかなり難しいという,確か委員からの御質問に対する法テラスからの回答の中でそういうことが書かれていたような気が……。 瀧澤部付 机上配付資料Cの6ページあたりが該当部分になりますので,御参照いただければと思います。 山本委員長 そうですね。Cの6ページ,形式的ゼロワン地域というのは非常に明確に出ているわけですが,実質的ゼロワン地域というのは,前年度で概数として30数か所と把握していたが,現時点においては概数10数か所となっていると。これから司法過疎地域事務所の新設が必要と思われる数についても,概数として10数か所と考えているというのが,法テラス側の御回答でありますね。 田中委員 「中期計画の各項目」欄の「(5)司法過疎対策」の説明のところに,実質的ゼロワン地域にかぎ括弧が付けられていますけれども,その前の枕詞がヒントになるんじゃないですか。 山本委員長 実働弁護士がいないか1名しかいない地域,これは形式的ゼロワン地域ですね。そのうち,公共交通機関を用いて長時間を要することなく稼働できる範囲内に地裁本庁または2名以上の実働弁護士が事務所を開設している地裁支部が存在する地域を除外したものということですね。これが実質的ゼロワン地域の定義ということですが,どうも,その公共交通機関もバスが廃止されたりとかして日々変わるし,実際に活動されている方がお亡くなりになったりとか,引退されたりとかというようなことがあって日々変わっているので,なかなか明確に把握できないんだという御説明をされていたように思いますが。 瀧澤部付 形式的ゼロワンというのは,本当に弁護士さんがいるかどうかというところで見ていくということでございますが,実質ゼロワンは,例えば弁護士さんが3名おられた場合でも,お一人が高齢のため事実上活動できず,もう一人の方が病気のため活動できないという場合は,実質ゼロワンに入ってくるということでございまして,実働弁護士で見ていくということ自体,その発想が実質ゼロワンの一つの定義になっているところでございます。 山本委員長 井野委員の御意見としては,もう少し何年までに…… 井野委員 そうですね。今のお話を伺っても思うんですが,なかなか難しい取り組みだとは思うんです。それを評価理由の案でBということで,相当数残っているといったときに,非常にあいまいな基準で判断しているというふうに読めるんですね,私はこの分野は余り詳しくないんですが。   ですので,こういった形で評価するのであれば,もう少し何らかの客観的なものがあった方がいいのかなという,それが期限なのか,例えば今年30だったものを来年は15にしますとかという方が分かりやすいのかなというのは思いました。 吉川委員 先ほど申し上げたように,今度年度計画をつくるときに,法務省からも何か案をお示しいただいて議論したらどうでしょうか。僕なんか評価するときに,年度計画を見て,実績を見て,それを対比して採点しちゃうみたいなところがありまして,そうすると,これならクリアしているなというふうになっちゃう。年度計画の書きぶりをどうするかということでかなり評価が変わってくる可能性がありますので,来年からちょっとそこを考えた方がいいかなと思います。 山本委員長 それでは,今の井野委員,吉川委員の御提案で,来年の年度計画を考えていただく際に,もう少し具体的な書きぶりといいますか,目標となるような書きぶりができるようにお考えをいただくと。どこまでできるのかというのは,今のお話があったように難しいところは多分あるんだろうと思いますけれども,工夫をいただくということで。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 今の御説明を聞いている限りにおいても,年度計画でそれを記載するということは,言うべくして難しいんじゃないですか。中期計画で書いてあることは,恐らく中期計画は解消を目指すとはっきり書いてないけども,今のお話を聞いていても,天気予報で雲が動くように,何かそういう状況が変転するということであるならば,中期計画は解消を目指すということを含意しているんじゃないかと思うんですよね。年度計画でそれを何年以内というふうなことというのは,言うべくしてちょっと難しいんじゃないか。中期計画のときにもっと,今,井野委員が言ったみたいに,解消を目指すとはっきり書くべきなのか,何年以内にというか,そういうことは議論すべきものじゃないかなと,そういう感じがいたしますけどね。交通条件なんかまで含めると,まさに天気予報の高気圧,低気圧から動いたりなんかするような状況にも似ているようなことだと思うんで。 吉川委員 その点に関係するかどうか知りませんけど,私の記憶では,確か去年の採点のときの方がAが多かったように……。そうじゃなかったですか。かなりAが多かったような記憶だったんですが。 山本委員長 最終的な評価ですか。 吉川委員 ええ。そうじゃなかったですか。 山本委員長 私,勘定をしてみましたけれども,原案だと,先生おっしゃるようにAが一つ減っているということです。 吉川委員 その程度ですか。 山本委員長 ええ。私のもし計算が間違っていればあれですが,去年BがAになった項目は2項目あって,AがBに落ちた項目が3項目あって,差し引き1項目Bが増えているという計算になったと思います。 吉川委員 私の記憶違いかもしれませんが,去年はAがえらく多かったような気がして,それが今の年度計画との対比でそうなっちゃったのかなと思ったものですから。 山本委員長 確かに去年は初年度だったということで。   ということで,今のお話では,かなり難しいだろうという御指摘がありました。可能な範囲でということだと思いますが,年度計画のレベルでも明確化していただくし,次に中期計画を設定する場合には,この点はもう少し。 井野委員 そうですね。だから,結果を評価するのか取り組みを評価するのかというのがよく分からない。取り組みはすばらしいんだけど結果が出なかったときには,そこをどう考えるのかなんですよ。いろんな項目では違うと思うんですが,特に私は法曹の経験がないものですから,判断の評価のときにぶれてしまう傾向があるなと自分では思っています。 吉川委員 少なくとも,何々を検討するとか,何々を調査すると,そういう書き方だと,実績として何を要求しているのかというのがよく分からないんですね。検討したからいいじゃないかみたいな,そういう短絡的なものにもつながりかねないものですから,そういう意味での書きぶりはちょっと注意した方がいいと思いますね。 山本委員長 そうですね。だから,年度計画の書きぶりを,特に先ほど申し上げましたが,今後,来年,再来年,中期計画の最終的な中期目標の達成に直結してくるところなので,さすがに検討するとかということではないだろうということはあると思いますので,そこは考えていただくと。   ありがとうございました。貴重な御指摘をいただいたと思いますが,具体的な項目,8番目の項目については,結論的にはこのような形でよろしいでしょうか。先ほどの髙部委員の御指摘の修文を加えた形でということになりますが。 吉川委員 それもBにしないと一貫しませんね。 髙部委員 大体このあたりは同じような…… 吉川委員 前にも同じようなのがあったんです。 髙部委員 日弁連の連携・協力の結果としてここまでやってきているというのを本当ににじませる内容になっていると思うので,ここらあたりで御了解いただけないでしょうかという気もするんですが。 吉川委員 別に法テラスに味方しているわけでも何でもないので。ただ,実情から見て分かっているものですから,結構大変だなという意味で申し上げただけですから,それは頑張れという叱咤激励の意味のBというのはちっとも構わないんじゃないでしょうか。 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,この項目についてはそのような形でまとめさせていただければと思います。   それでは,引き続きまして9番目の項目,犯罪被害者支援ということでございます。被害者支援団体等との連携強化に関するものでありますが,これは原案はAということで,さまざまな形で協議の場を設ける等の連携・協力関係の強化の取り組みを行っている。実際にも支援センターの犯罪被害者支援については,認知度が高まっているというようなことがあるということでしたので,これは大方の委員の御意見はAということで,9名の委員の方がAということで,B評価は1名ということになっております。   これはいかがでしょうか。これは,おおむね委員の皆さんの御意見が一致しているということで,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,これはAということにさせていただきたいと思います。   引き続き,もう少しやって休憩をとりたいと思いますので,もう少しお願いできればと思いますが,5ページ目の10番目の項目でございます。効率的かつ円滑な業務運営に関する総括的な評価ということでございます。   これは原案はAということで,まず人件費の関係ですが,さまざまな雇用形態を導入して,また常勤職員の給与についても,先ほど御説明があった国家公務員の給与構造改革に準じた給与規程を作成するというようなことで,適正な人員配置,人件費管理が行われているということ。物件費についても,一般競争入札の導入によって安価な契約に努めており,随意契約による場合でも適正な契約に努めているということ。それから,業務運営体制についても点検・見直しが,常勤弁護士総合企画室の設置ということが例示されておりますけれども,適宜適切な業務運営体制の見直しが行われているということで,人件費,物件費,業務運営体制,いずれについてもAということで評価できるというのが原案かと思います。   ここは,委員の方で7名の方はAでよろしいではないかということですが,3名の委員はBという評価になっております。御議論をいただければと思います。 髙部委員 当時はちょっと気がつかなかったんですけど,改めてこの評価理由(案)を読んでいるときに,「随意契約による場合でも,より安価な金額での契約に努めている」という部分がよく分からないなと。つまり,随意契約は,あえて言えば,見積もりを二,三社からとっているからというような話はあり得るのかもしれませんけど,予算決算及び会計令の関係から言えばそういう形で対応されているのかなと思うんですけど,すべての契約は一般競争入札によっていないので,こういう書きぶりになっているんでしょうけど,あえて「随意契約による場合でも」という形で明確に書く必要があるのかどうかなという,語呂の問題としてちょっと違和感があって,「随意契約による場合でも,より安価な金額での契約に努めている」というのは具体的にはどういうこと。 山本委員長 これは,日本司法支援センターの業務実績報告書の原文だと,随意契約による場合も,企画競争や複数の業者から見積書を徴するなどして,より安価な金額で契約することを心がけているという部分に対応しているのではないかと思いますが。 髙部委員 御指摘いただいて恐縮なんですが,そもそも会計法と予決令の適用があるかどうかということについて,私はよく分からないんですけれども,基本的に,この問題に関しての取り組みの姿勢として,それに準じた対応をしなきゃいけないんでしょう。それって評価の対象になるのか。ある程度の手続って決まっていて,それをどうするのかというのはよく分からないんですけど。   「随意契約による場合でも,より安価な金額での契約に努めており」って,随意契約によっていたものの一部について,それを一般競争入札に切りかえることによって,より安価な金額での契約ができるように努めているというんだったら,まだ分かるんですけど。 瀧澤部付 支援センターは国ではございませんので,会計法,予決令,それからその下の旧大蔵省規則の名宛人そのものではないんですが,御存じのとおり,独立行政法人については,これも国ではございませんが,随意契約の適正化というのが一つの大きなテーマでございまして,国と同じような基準でやるようにということになっておりまして,各独法とも内部でそういった規程を設けてやっているやに承知しております。   司法支援センターの方は,前回お配りした資料に入っていなかったかもしれませんが,その後の委員からの御質問などで,どういう内部規程があるのかというような御質問をいただきまして,予決令と同じ,予決令だと,例えば物品購入の場合,何万円以下とか,役務提供の場合は何万円以下の場合は随契にしてもよろしいというような,これは余り安い契約に一般競争入札の原則を適用してしまうというのは,コスト倒れ等になる場合があるということで,そういう定めをしておるんだと思いますが,これは法テラスでは内規でそういった規定を定めて,国と同じような基準でやるという体制にはなっております。 髙部委員 だから,それは独立行政法人に準じた組織であるということで,国の対応に準じた取り扱いを行いますというのは,これはよく分からないんですが,ある意味当たり前のことなのかなという気がするんです。それが違うのか。僕が勘違いしているかもしれないんですけど。 中川参事官 委員の方で,この点は特に指摘をして評価すべきでないというのであれば,それは削除していただいても構いませんので,そういう御趣旨であれば…… 髙部委員 すみません。余りプリサイスリーにあれしては申しわけないので,はっきり言うとちょっと言い過ぎたかもしれません。言葉の意味は,随意契約は何でかなと思って,今,思いつきで申し上げたので申しわけありません。 中川参事官 法テラス側の記載した部分で,評価をしてほしいというところを最大限くみ取った内容にはなっておりますが,そこまで評価すべきではないでしょうというのであれば,それはその時点で,委員の御判断でここは削除していただいても,それは構いませんので。 髙部委員 委員長の方で適宜御対応いただくように。 山本委員長 今の髙部委員の御意見からすると,この随意契約のところはやめて,「物件費等についても,一般競争手続の導入より,より安価な金額での」…… 髙部委員 「一般競争手続の導入などにより」って「など」と入れる。 山本委員長 なるほど。「などにより,より安価な金額での契約に努めている」と。 髙部委員 今のはちょっとすみません。「などにより,より安価な金額での契約に努めており」と入れれば,より分かりやすいのかなという気がしたんですが。 山本委員長 いかがでしょうか。随意契約の部分は削除した方がいいんじゃないかということですが。   知久委員,どうぞ。 知久委員 私も,A評価としながらも、実はそこが非常に気になっていて,きちんとされているようだけれども,やはり随意契約については見直しをすべきではないかということを評価理由に入れていましたの、そこを髙部委員のご指摘のように直されるのであれば,あえてこの部分では触れないでおいて,ほかにまた出てきますので,その部分で検討するということでよろしいのではないかと思います。 山本委員長 いかがでしょうか。そういう形で,随意契約には触れない,「など」という形でということで。よろしゅうございましょうか,そういう形で修文。   どうぞ,井野委員。 井野委員 あと強いて言うと,私は,ここのポイントはB評価させていただいたのは,基本的に随意契約は,随意契約でなくてはならないときだけに厳格に基準を設定していただいて運用していただく方がよいのかなと思いまして,Bにさせていただいたんですが,一番安価な金額での契約というのは,やっぱり一般競争入札による場合が多いかなと。それが一般競争手続なのか随意契約なのかというところが,任意に運用してしまっていいのかなと,それは問題かなと思いまして,そういうコメントをつけました。 山本委員長 これは具体的な基準は,机上配付資料Cをごらんいただいて,法テラスからの回答についてまとめたものでございますけれども,Cの9ページに契約事務取扱細則の23条というのがあって,そこで,予定価格が250万円を超えない工事とか,160万円を超えない財産を買い入れる場合とかということが個別には列挙されているという形になっております。ですから,全く恣意的なものではないということにはなっているんだろうと思うんですが,これは基本的には国とかの基準に準拠したものだというふうに理解してよろしいんでしょうか。 瀧澤部付 ここにあります契約事務取扱細則23条,これは予決令と同じ書き方をしております。 山本委員長 そういう意味で,国が随意契約をする場合と基準は同じになっているということですかね。 井野委員 厳格に守られているということでよろしいですか。 瀧澤部付 厳格に守っているものと承知しております。 山本委員長 ただ,その要件が,契約の性質・目的が競争に適しないときとか,かなり一般的な要件になっているところがあるので,その判断が本当にどうかなという問題は,個々のあれを見てみないとなかなか分からないのかもしれないですけどね。かなり高額な契約でも実際には随契でやっている場合は,なくはないですよね,実際の例を見ると。 井野委員 細かく全部定義するというのは難しいと思うんですが,原則,例えば一般企業ですと競争入札原則で,随意契約は本当に例外的にという運用をしていますので,できる限りそういった形のものにしていただければ,節約になるかと思います。 山本委員長 特に,コールセンターの構築運営業務6億3,000万というのが随契になっているとか,こういうのはなかなかほかで難しいということなんでしょうか。 瀧澤部付 余り詳しく存じ上げませんが,ほかで受けてくれるところがなかったと。そこ1社しかないのでそこでと。 井野委員 そうですね。コールセンターは,私,見学した時,確かアクセンチュアか何かが入られていて,もしかするとアクセンチュアさんだけが持っているテクノロジーでという話なのかもしれないです。 小山課長 今後は入札でやれる方向で検討されると承知しております。今検討中でございますので。ただ,ノウハウの問題があってなかなか難しいということは聞いております。対抗できる業者がそれだけいるかという問題はあるそうです。 山本委員長 というような事情があるということですが。 井野委員 努力目標でその数字が……。ただ,ここは記載されないんだったら特には。 山本委員長 そうですね。ただ,後の方でまたもう一回随契が出てくると思いますので,そこでまた書きぶりをもう一度チェックをいただければと思いますが,ここ自体は,そうするとそういうことでよろしゅうございましょうか。評価はAということで,それから,先ほどの御指摘に基づく修文で,「物件費等についても,一般競争手続の導入などにより,より安価な金額での契約に努めている」ということで,随意契約についてはここでは触れないと。   どうぞ,宮野委員。 宮野委員 この評価は私もAとしたと思うんですけれども,評価理由のところで,「一般競争手続の導入により,より安価な金額での契約に努めており」とありますけれども,一般競争手続をこの年度でとった契約というのはあったんでしょうか。「導入により,より安価な金額での契約に努めており」とありますので,それがあったのか,あるいは今後もそういうものがあるのか。   というのは,業務実績報告書の別紙4として随意契約の一覧表がございまして,ここで会計規程第17条,これは随契によるものとするものが,5号までに当たるものが随意契約,これに当たらないものは一般競争入札が原則だろうと思うんです。それに照らして,この理由として,「一般競争手続の導入により,より安価な金額での契約に努めており」ということですから,これに触れるものがあったという認識で「努める」とお書きになっているのかどうかということです。 中川参事官 そこは法テラスの方に確認してみないと分かりませんので,後で,すぐ電話をして,聞いて確認するということでよろしいでしょうか。 山本委員長 ちょっと御確認いただいて……。 宮野委員 そうですね。これは確認ですね。 中川参事官 分かりました。すぐ確認いたします。 山本委員長 これは法テラスの回答書,机上配付資料Cの10ページのところで,随意契約が法テラスの契約の中で金額,件数ベースでどのくらいの割合になっているのかということについては,データの作成もしていないというふうに書かれていて,どの程度把握されているのか不安ではありますが,それは御確認をいただいて,先ほども申し上げたように,後の方でも随契の話が出てくる部分がございますので,そのときにそれも含めて御議論をいただければと思います。   それでは,5ページの10番目の事項はこれでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,次に6ページ目の11番目の点でございますけれども,コールセンター,情報提供業務の効率的な遂行の点でございます。これについては原案はAで,コールセンターによる一元的,集中的な情報提供業務が行われているということで,連携する機関等のデータベースについても,その積極的な活用に関する理解を求めているということで,全体として情報提供業務は効率的に遂行されているという評価になってございます。   これについても,大方の委員,9名の委員の方はAという評価でよろしいのではないか,1名の方はB評価ということになっております。いかがでしょうか。   吉川委員,何かご意見は。 吉川委員 私は実はその1名なんですが,若干この趣旨を誤解しておったような気がします。ここでの問題は,効率性の観点からの問題で,コールセンター1か所に集中してやっているから効率的なんだという意味から言えば,私もAでいいと思います。   私がなぜBにしたかというと,やっているにもかかわらず認知度がまだ低いというところに結びつけてしまいまして,それでもうちょっと努力が足らないんじゃないかというところでBにしたんですが,よく考えてみますと,ここは効率性の問題ですので,何か所でもやらないで1か所でやっているというところを評価するというんであれば,Aでいいと思います。 山本委員長 それでは,ここは原案どおりでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,次が7ページの上段の法律扶助,それから国選弁護の常勤弁護士による業務処理の効率化の問題でございます。12の点でありますけれども,これは原案はBということになっております。   これも先ほど来の問題でありますが,常勤弁護士について一定数の確保ができたけれども,いまだに十分な数の採用ということは言えないと。それから,関連事件の受任ができるようにした点というのは,業務の効率性という観点から評価できるけれども,まだ十分とは言えないと。常勤弁護士がその能力を十分に発揮して,利用者が必要とするサービスを効率的に提供できるように,今後も弁護士会等の協力を得て事件受任の工夫に取り組むべきであるということ。それから,常勤弁護士の業務の体制整備,支援という観点からは,評価できるということであります。   ということで,最終的な評価は,特に人数の確保という観点から,Bが多くてBということになっているかと思います。ここもやはり委員の御意見はかなり分かれている,先ほど来のあれで分かれているところでありまして,Aの委員が4名,Bの委員が6名ということになっているということでございます。いかがでしょうか。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 私,ここもAにしたんですが,結論自体はBでも構わないと思いますけれども,一つだけ申し上げておきたいのは,ここでは目標,それから年度計画自体が常勤弁護士を増やすということが目標でございますので,そこに焦点を当てて,まだ増やし方が足りないという評価でBというのは,それなりに納得できるんですが,ややコントロバーシャルなことを申し上げると,効率性の観点から常勤弁護士を増やすという発想には私は若干違和感があります。つまり,司法支援センターにおける常勤弁護士というのは,ある意味では補完的な役割を占めるべきものであって,常勤弁護士を使った方が安いから常勤弁護士をどんどん使おうという発想で,この司法支援センターを運営するというポリシー自体には若干違和感が,これは弁護士の独立性その他いろんな弁護士制度の観点からでございますけれども,違和感がございます。   もちろん,できるだけ国の費用を安く上げるということそのものには異論はございませんけれども,やはり常勤弁護士を増やすというのは,あくまでも市民にいいサービスを提供できる,それから過疎地域などでの対応がうまくいくという観点から,常勤弁護士を増やすというふうに結びつけるべきであって,安上がりだから常勤弁護士というのは若干違和感があります。   ただ,ここでは問題の立て方そのものが,常勤弁護士が増えているかという中期目標及び年度計画でございますので,その点からいうとまだ増えていないというのでBになるというのは,これは論理的にはやむを得ないかなというふうに思いますが,一言だけ議事録に,そういうふうに申し上げたことをとどめておいていただきたいと思います。   以上です。 山本委員長 ありがとうございます。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 辛口過ぎるのかもしれないですけど,「今年度に72名の常勤弁護士を確保したことは評価できるが」の後に,「前年度に確保できた常勤弁護士が24名にとどまった結果として」って,リップサービスとしてもちょっとしつこくありませんか。そのまま「72名の常勤弁護士を確保したことは評価できるが,いまだに十分な数の常勤弁護士を採用するまでには至っておらず」というのは,別のところではこういう記載になっているところを,ここだけ出てくるんですよ。何かにじませているという気持ちは分かるけど,にじみ過ぎていて,「えっ」と思っちゃうところがあるので,これは私の意見ですけど,そう思っています。   それから2つ目の話として,後段から4行目のところで,「支援センター独自で採用した常勤弁護士を養成することができる研修体制を確立させたことは評価できる」というのは,趣旨が必ずしもよく分からないんです。後の研修の関係の話があるんだから,それを合体させて,常勤弁護士に対して経験に応じた研修を行ったほか,独自の研修体制を導入し,また裁判員制度への対応を主眼に置いた研修を導入─そこのところはまだ日本語としてできていませんけど,ここを修文された方が趣旨がよく通るのかなと。   すみません,細かいことばかり言って恐縮なんですけど,最後はどんな評価理由になるのかというのは結構大事なのかなと思いまして,しつこく申し上げててすみません。 山本委員長 ありがとうございます。髙部委員から2点の修文の御提案があったかと思いますが,まず,上から5行目の「前年度に確保できた常勤弁護士が24名にとどまった結果として」という部分は不要ではないかと。削除の御提案だったかと思いますが,これについてはいかがでしょうか。特に御異論はないですか。削除ということでよろしゅうございましょうか。   それでは,特に御異論がないようであれば,この部分,「前年度に」から「結果として」というところまでは削除と。   それからもう1点,下から5行目ぐらいでしょうか,「支援センター独自で採用した常勤弁護士を養成することができる研修体制を確立させたことは評価できる」という部分,この一文はやめて,その後ろと合体させる形で,「常勤弁護士に対して経験に応じた研修を行ったほか」,ここに書くんだと「支援センター独自で採用した常勤弁護士のための研修体制」…… 髙部委員 「独自で採用した常勤弁護士」というのが,イメージ的に何を言われようとしているのかいまいちよく分からない。 山本委員長 確かにそうですね。要するに,趣旨としては新人の弁護士という,いきなり採用した弁護士についてということが言いたいんでしょうね。 髙部委員 多分そうなんだと思うんですけど,文章を読んで,それが僕の頭に入ってこない。 山本委員長 確かにそうですね。独自で採用したって当たり前ですよね。 髙部委員 「独自で」という言葉は,多分,研修体制というところにかかっている言葉なのかなというふうに善解したんですが。 山本委員長 趣旨はそのとおりなんでしょうね。支援センター独自の研修体制という,そういうことなんですかね。 髙部委員 だから,「裁判員裁判の対応など支援センター独自の研修体制を導入したことも評価できる」とか,後半部分で一緒にしてしまった方がすっきりするかなというイメージでいるんですけど。細かいことは委員長にお任せしますので。 山本委員長 それでは,細かい文言はお任せいただくとして,趣旨としてはそのような形で,2つの文章を合体させて前の文章の趣旨を明確化するという,これはよろしいでしょうか。趣旨はもともとそのとおりだというふうに思いますので。ありがとうございました。   ほかにこの点について御意見は。よろしいでしょうか。   それでは,吉川委員からかなり根本的な問題提起がされたかと思いますが,とりあえず評価としては,結論的にはBという原案で,ただ,今,髙部委員から御指摘があった2カ所について修文をして評価理由とすると,そういうことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,その次,真ん中あたり,13番目の項目ということになりますが,国選弁護における一括契約の問題であります。   これについては原案はAということで,一括契約についての広報というものが行われているということでありますが,それとともに実績としても大幅に,昨年度が104件だったのか,今年度は531件ということになったということですので,実際に事件数が大幅に増加したということで,これは評価できるということでAということかと思います。   これは大多数の,9名の委員の方がAでよろしいんじゃないかと。1名だけBという評価がございましたけれども,大勢Aということです。   いかがでしょうか。これはよろしゅうございましょうか。皆さん,大方Aということですので。   それでは,これは原案どおりということにさせていただきたいと思います。   それではここで,ちょっと時間が押していますので,恐縮ですが10分程度の休憩にさせていただきたいと思います。 (休憩) 山本委員長 それでは,そろそろ時間ですので,再開させていただきたいと思います。 中川参事官 先ほど宮野委員から御質問のあった件なんですが,今よろしいでしょうか。 山本委員長 どうぞ。 中川参事官 先ほど御質問のありました,平成19年度で一般競争入札を実施しているのかどうかという点ですが,確認しましたところ,9件やっているということでございます。もちろん,これは19年度からやっているわけでなくて,設立当初からずっとやっているわけですけれども,19年度も当然のごとく一般競争入札をやっていますということでございます。   なお,コールセンターの先ほどの件ですが,入札をしたんだけれども予定価格に見合うものがなかったということで,それで随契になったという経緯でございますので,当初から随契ということではないということでございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。 宮野委員 了解しました。 山本委員長 それでは,先ほどの続きということですが,7ページの一番下の段,14番目の項目になりますけれども,司法過疎地域の事務所の設置の点でございます。これは原案はBということで,繰り返し先ほどから出てきている,9か所の事務所の設置は評価できるけれども,地域間の偏りとか常勤弁護士の確保の状況という点を考慮すると,実質的ゼロワン地域の解消に向けて更なる事務所設置の実現が望ましいということで,結論はBということになっております。   これも,委員の皆さんの御意見は分かれて4対6ということで,Aとされる委員も4名おられるということで,基本的には同じ問題ということになろうと思いますが,いかがでしょうか。一貫性という観点からすれば,結論はBにならざるを得ないということかと思いますが,理由の書きぶりとかでもし御意見がございますれば。   いかがでしょうか。井野委員の先ほどの御指摘は,ここにも当てはまるということなんだろうと思いますが,このようなことでよろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,この部分は原案どおりとさせていただきたいと思います。   続きまして,8ページの15番目の項目でありますが,情報提供の質・量の向上という項目でございます。   これは原案はBということで,FAQの充実,公開等,利用者のニーズに応えた取り組みがされているということですが,なおいろんな工夫で,利用者が必要な回答に容易にたどりつけるような取り組みというものが期待されると。   それから,特に利用者の満足度についてですが,これは確か昨年度は,利用者からの電話があったときに,その場でその利用者に対して評価を聞くということで,当然,そうすると利用者は悪いことはなかなか言わないということもあって,その評価は高かったわけですが,今回,今年度はそういうような評価方法でなくて,事後的にインターネット等を利用して評価結果を出してもらう,アンケート用紙に記載してもらうということにしたために,回答率が低くなってしまったということに加えて,結果も満足いくものではないと。5段階評価で3.6ということだと思いますが,本来目標としていた4には達していないということで,結局,回答率を引き上げる努力,それから利用者の満足度が向上するような工夫というものがさらに必要だということになったかと思います。ですから,これは昨年度はA評価だったのが,今年度はBになったという項目でございます。   これも大方,9名の委員はBでよろしいんじゃないかということで,1名の方はAという評価ですが,大勢に従ってBが原案になっているということでございます。   いかがでございましょうか。特に御意見はございませんか。よろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,この項目も原案どおりBということにさせていただきたいと思います。   次に,その下の段,16番目の項目でありますけれども,利用者に対する迅速な質の高い情報の提供という観点でございますが,これは原案はAということで,地方事務所でも即日情報を提供する取り組み,予約優先制をとりながらも,予約がなく来られた利用者についても即日情報を提供する取り組みがされているということで,Aということが原案であります。   これは,全委員がAの評価でよろしいのではないかということで,特に御異論はなかったところでございますが,理由の書きぶりも含めてこれでよろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,これは原案どおりということにさせていただきます。   次に,9ページの上の段,民事法律扶助についての迅速で充実した援助の提供という観点であります。これは原案はBということです。   審査については,審査委員を少人数にするとか,書面審査を活用するとか,いろんな工夫がされているわけですが,援助件数が増加したということもあって,援助申し込みから審査実施までの期間は昨年度と余り変わっていないということで,年度目標で前年度に比較して短縮するということが目標だったわけですが,それは達成されていないということです。そういう意味で,今後,期間の短縮のための工夫・努力が期待されるということであります。   犯罪被害者については,新たに20の事務所で改善についての配慮が行われたということは評価できるけれども,なお被害者のニーズに即した専門的な知見を有する弁護士が迅速に選任されるという,弁護士会などと協議してそういう体制を整備していくということが必要だろうということです。   それから,契約弁護士,契約司法書士の研修の関係では,マニュアルの改定等の工夫がされて,それは評価できるけれども,さらに利用者のニーズに対応した分野ごとの研修というようなのが行われるように,更なる工夫が期待されるということで,ここはもう少し頑張ってくださいということで,Bという結論になっているということであります。   これもすべての委員がBでよろしいのではないかという御意見だったかと思いますが,御確認をいただければと思いますが,特にこれで問題はございませんでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,この部分も原案どおりということにしたいと思います。   次に,9ページ下の段,18番目の項目,国選弁護人の確保という点でありますけれども,これは原案はAということであります。   目標時間というのが設定されているわけでありますが,すべての地方事務所で目標時間内に国選弁護人の指名・通知が行われているということ。それから研修も行われている。それから,受任した弁護士について不祥事が起きたということがあったわけでありますが,それについては契約解除措置を講じ,不祥事案の再発防止が図られているということで,全体的な取り組みとしてはAということでいいのではないかということであります。   これは,Aとされる委員が7名であるのに対して,Bと評価された委員が3名おられる。若干御意見が分かれたところでありますが,いかがでございましょうか。 岡田委員 私,多分,Bとつけたと思うんですけど,この国選弁護人というのはとても関心があるというか,心配があるんですね。というのは,たまたま足立の消費者センターは7人いるんですが,その中の6人が模擬裁判を経験したんですが,検察官と弁護人との差が歴然としているらしいんです。   それで,その6人のうちの1人は無罪になったと,あとは全部有罪になったと言っていたんですが,それは有名な弁護士だったらしいんですね。大学の先生まで関西から傍聴に来ていたというんですが,その方は,パワーポイントとか何か,いろんなものを使わないんだけれども,やっぱりすごく説得力があったと。それ以外の歴然と差があったという人に言わせると,やっぱり検察官の方がいろんな研修をしていて技術的に全然違うと。一方で,弁護人というのは,何だかアメリカの映画を見ているような感じだったと,みんなが口をそろえて言うんです。   そういうふうなことを聞きますと,国選弁護人の選択ってものすごく責任があると思うんですね。その辺もちょっと質問したんですが,結局どこも評価をしていない,審査していないという部分で,送り込んだ国選弁護人に関して,少なくとも裁判所と法テラスあたりで何か話す機会を持って,これはふさわしくないというのであれば何らか方法をとらないと,ここに書いてある不祥事案の時だけというのは,先ほどから資質,資質というのが出てきているので,やっぱり税金を使って,なおかつ被告人,被疑者にとっては唯一のよりどころなので,その部分では,弁護士を増やすというのも大変なんだけれども,質というものを本当に真剣に考えてもらわなきゃ困るというふうに考えていまして,AはAでいいんですけど,そこの部分は触れないでいいのかというのがちょっと気になっているんですけど。   あと,よく分からないんですが,テレビで,法律事務所のところへ法テラスから電話ですよということで,国選弁護の依頼という場面を私はたまたま見たことがあるんですね。だから,ああそういう形でみんなやるのかなと思っていたら,聞いたら,毎日じゃないんだけど日にちが決まっていて,朝,受付か何かをやると。そうすると1時間も2時間も前からお年寄りの弁護士が列をつくっているという話も聞いていまして,お年寄りが悪いというわけじゃないんですけれども,そんな時間に来れる弁護士さんというのは時間があるんだなという感じと,また,中年の弁護士さんがたまたま今までのとおりで,じゃあ,国選でもと思って行ったら,もうとっくになかったという話も聞いているものですから,その辺でいろんな問題を含んでいるんじゃないか。大変厳しいことを言うんですが,そういう話を結構聞いているものですから,ちょっと気になっているんですけど。 山本委員長 ありがとうございます。質の確保という観点でどうかという御意見ですね。   田中委員,いかがでしょうか。 田中委員 私もBにしたように思います。去年はAにしたんですけれども,前回の時も,年度計画の(3)の「地方事務所ごとに,平成19年度に1回以上,国選弁護人契約弁護士を対象とする研修を実施する」という点について,形としては研修が実施されたとはいえ,研修の中身が,結局,独自の研修というよりは,契約弁護士が行うべきことを書いたものをお渡しするとか,パンフレットを配るといったかなり形式的なものであって,ソフトの部分が非常に脆弱ではないかという印象を持っておりました。しかしながら,最初の年でもあるし,困難な状況の中で,それ相応にやるべきことをやっているものとしてA評価をしたと思います。   ところが今回のように,国選弁護人契約弁護士が公判期日に出頭しないという,かなり基本的なレベルでの不祥事案が生じたということになってくると,国選弁護人としての活動の充実を図るための日本司法支援センター独自の研修という位置付けがこのままでよいのかなということを思うようになりました。   それからもう一つは,評価理由(案)のうち,「契約解除措置を講じており,不祥事案の再発防止が図られている。」という,ここが気になりました。といいますのは,3年間の契約締結拒絶期間を伴う契約解除の措置自体は,国選弁護人の事務に関する契約約款の37条でしょうか,それから法律事務取扱規程の5条に定められている措置なんですね。契約約款に基づく契約に違反した場合の措置に関する規定を日本司法支援センターが規定どおりに適用した一事例にすぎないという位置付けになるんだろうと思います。   ここにいう3年間の契約締結拒絶期間を伴う契約解除措置というのは,法テラスの側からすれば,法律事務取扱規程上は厳しい措置をとったという評価なんだろうと思いますし,厳しい措置をとったということで,不祥事案に対しては誠に適切な措置がとられた一例であるという,そういう位置付けからこの評価理由(案)が記載されているものと思われます。しかし,翻って考えてみますと,この件は,契約違反の行為に対して,当然のこととして法が適用されたという場面にすぎないと思うんですね。一般の裁判で言えば,悪いことをした者に対して,それ相応の罰を与えたというようなことと理屈としては同じような場面なんだろうと思うんです。   この点は,業務実績評価に関する総合評価表にかかわる全体的なまとめのところにも関係いたします。最後のまとめのところには,「国選弁護業務の適切な実施を確保するための取組を行った」というような表現があるんですけれども,契約解除措置を講じたことをもって国選弁護業務の適切な実施を確保するための取組を行ったと評価できるという位置付けをして,これを総合評価の中に特記することには違和感があります。   つまり,総合評価表(案)の大項目3に「契約解除措置をとるなどして,国選弁護関連業務の適切な実施を確保するための取組を行ったことは評価できる。」との記載があり,ここにいう 措置をとるなどしてというのは,恐らく解除の措置をとったほかに,「などして」の「など」の中に,そういう不祥事案が生じたことを契機として,日弁連との協議の場において,こういうことがあったよということを紹介し,日弁連の側においても,そういうことがあったんですかということで注意喚起が図られたと,そういうことがあったことを含める趣旨かと思われます。こういった趣旨も織り込まれた上で評価理由(案)では「契約解除措置を講じており,不祥事案の再発防止が図られている」と,こういう言葉になっているのかもしれませんけれども,一般企業の例で言えば,その人を解雇してその旨を周知したから不祥事案の再発防止が図られたとはいいません。このケースは,特段の不祥事案の再発防止のための取組が行われたというよりは,基本的には,もともと定められている契約約款の上での条項を適用して,そういう契約解除措置がとられたというだけのことではないのか,というように考えるべきかと思います。   そうすると,積極的に評価できる取組であるという書きぶりは,最終的なまとめとしてはおかしいし,この「国選弁護人確保」の評価としても,これで再発防止が図られているというふうに言ってしまうと,契約解除措置さえとられれば,不祥事案の再発防止の措置がとられたと我々が認めたことになってしまう。評価委員の評価として果たして,当然の規程を適用したことがそういうふうに書かれていていいのかな,という疑問もあって違和感があるということです。来年の5月21日の裁判員法の施行を控えて,こういう不祥事案があったということは,一つの間接事実として,どういうことが推認されるかというと,これまでの研修はソフトの部分が非常に脆弱であったのではないかということが推認されるんじゃないかと。研修も1年目は何とかそういうノミナルなものでもよかったけれども,これからはそうはいかないのではないかという姿勢をこの機会に示しておいた方がいいんじゃないかと,こういう趣旨からBということにして,岡田委員と同じ評価にしたんだろうと思っております。 山本委員長 ありがとうございます。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 私,実はAだったんですけど,岡田委員と田中委員のお話を聞いて啓発を受けまして,Bに意見を変えさせていただきます。 山本委員長 ほかの委員はいかがでしょうか。Bの委員の御意見ばかり……。   どうぞ,知久委員。 知久委員 最後の部分の契約解除等の措置ということで,これで,本当の改善になっているかどうか疑問でしたが,今のお話を聞いていて,やはりそうなのかなというところです。それであれば,もっと改善していくように,倫理面の研修の充実など,そういったものもさらに必要だという印象を受けますね。 山本委員長 吉川委員,どうぞ。 吉川委員 あえてやや反対の意見を申しますと,前から言っているように,年度計画との関係で,なぜ不祥事案の問題がこの理由の中に出てきたのかよく分からないんですけれども,不祥事に対する対応というようなことが,この項の目標なり,あるいは年度計画として達成されるべき事項なのかどうか。不祥事については,これはもちろん大事なことですから対応しなきゃいけないんですけれども,これを理由中に書くというのは,年度計画との関係で言えば,ややフライングかなという感じがするのが一つ。   それから,不祥事について言えば,これは極力ゼロにしなきゃいけないことは言うまでもないことなんですが,例えばイギリスなどにおいても毎年何万件とあるんですね,特に市民からの苦情というのは。これは市民の意識の高い,低いということによる日本とイギリスの違いというのがあるのかもしれませんけれども,不祥事がゼロでないとAがもらえないというほどの厳しい評価をしなきゃならないのかどうかということですね。それにどう対応したのかということで評価すべきであって,不祥事があったということが評価を下げる原因になるのかどうかというあたりについては,若干疑問かなというふうに思います。   一番最初のポイントに戻るんですが,ここに書かれている中期目標及び年度計画との関係で言うと,実績のほうで書かれていることに基づけば,目標なり年度計画は大体クリアされているんじゃないかなというふうに思いますので,私はAでいいんじゃないかと思います。   ただ,不祥事のことをここに書くということについては議論する必要があるかもしれませんね。不祥事はゼロであるべきだという主張はもちろんよく分かるわけで,不祥事があったにもかかわらずAでいいのかという問題は,確かに疑問は提起される可能性がありますので,それをどう扱うかというのは別に考えるべきだと思いますけれども,年度計画や中期目標との関係で言えば,目標はクリアしているというふうに私は思っております。 山本委員長 知久委員,どうぞ。 知久委員 司法書士は国選にはかかわっていませんが契約司法書士として法テラスに登録しています。司法書士会としても実際に倫理観を問われる会員がいて,例えば相談担当の日が決まっていても,自分の仕事を優先して行かなかったりすると,そこで待っている市民の方に御迷惑をかけることであって,あわてて他の司法書士が対応するということがあったのです。そうなると,たった1回そうだったとしても,そこで穴があくと法テラス全体のイメージが崩れるということがあるので,もちろん,そこではこのような措置がとられていいのですが,それに合わせて,倫理面の強化で研修を計画したとか,そういう事項が入ってくるとA評価でもいいと思うのですが。先ほど,契約解除措置をとったというだけでいいのかなというところが非常に疑問だと申しましたが、私自身はA評価としていますので,その辺の問題だと思うのですが。 山本委員長 そうですね。皆さんの御意見を伺うと,ポイントは,もちろん不祥事案というものがあったことは事実としてあるわけですが,直ちにだからBだということではなくて,先ほど田中委員は間接事実というふうにおっしゃったかと思いますけれども,不祥事案があって,それに対してこういう措置がなされていると。しかし,それに鑑みた研修の部分が十分ではないということではなかろうかと。研修については,年度計画についても研修を実施するということは明確になっていて,最終的な目標は,研修の実施などによって国選弁護人としての活動の充実を図るという,岡田委員が言われたような国選弁護人の質の確保ということにつながっていくということ,そこから見て現在の取り組みが果たしてAと評価するに値するのかという御疑問かなというふうに承りましたが。 吉川委員 私は,解説書の配布なんかでは研修という名に値しないという御指摘もある意味では分かるんですが,一般契約弁護士全員に実質的な研修をするというのは相当大変なことで,これを法テラスの責任において実行しなければ評価はBになるよというのは,ちょっと過酷な気がしますね。   確か契約弁護士は1万何千人だったと思いますが,その弁護士に実質的な研修,特に倫理研修なんていうのは,どこまでやれば十分なのかというのはよく分かりませんけれども,それによって,不祥事が起こらないような程度の研修を実施しなければ,法テラスとしても満足した評価をもらえないというのは,ちょっと過酷な気が私はしますね。 山本委員長 かなり御意見が分かれているように伺いましたが。 田中委員 御意見はごもっともだと思うんですけれども,従来ですと,司法研修所の前期・後期の修習という,集合研修の中で,教官が教室などで,法曹とはどういうものなのか,どういう職業なのかというようなことを基本から説明する時間というのがかなりあったわけですけれども,そういう機会が減少し,一方で,実務的なスキルの向上のためのいろんな習得の機会というのはそれなりにやらなければいけないということで,かなり研修の中身が時間的に限られてきているような,そういう状況にあるわけです。そういう中で,来年の5月21日の裁判員法の施行を控えて,中長期的に何をしていかなくてはいけないのかということにかかわる理念の問題でもあるのかと思うんですけれども,実は裁判員裁判で市民の方に6人入っていただいて裁判をする場合に,一番大事なことは何かというと,法廷における審理を充実させるということなんですね。法廷で,目で見て耳で聴いて分かるような,そういう裁判をすると。そこで市民である裁判員と裁判官とが集中して心証をとると,こういう待ったなしの真剣勝負の場ができ上がると,こういう世界に変わっていくわけですね。   そういう中で一番大事なのは何かというと,法曹が倫理観を持って,市民がきっちりと心証をとれるような活動をするということなんですね。そこには,従来プロだけでやっていた弁護活動あるいは裁判というものでは通用しないという,そういう状況の変化が当然出てくるわけです。そうすると何がポイントかというと,法曹倫理というものが,かなりの割合を占めてくるという,そういう状況が出てくるということです。それからもう一つは,偽証罪についての対応をきちんとしていかなければならないんじゃないかという問題,この二つが大きな問題として提起されているように思われます。   その一つの柱である法曹倫理というテーマについては,先ほど言った司法研修所の研修体制の変化とも相まって,どこかの段階できちんとやらなくちゃいけないということになるわけです。これまでは日弁連が,各単位弁護士会も含めていろいろ研修をやってまいりましたし,それで一応法曹倫理の研修もしたということになっているんですけれども,法曹倫理については,例えば法テラスが100人集めて何かやろうとか,全体の弁護士さんを対象に何かやろうといっても,これには無理なところがあります。俗な言い方をすると,一般研修とか集合研修のたぐいには,「一番来てほしい人」が参加しないというところに大きな問題があると言われていますけれども,それでは研修に参加しない人が裁判員裁判について弁護人にならないのかというと,やはり弁護人にならざるを得ない地域もあるでしょうし,弁護人として活動していただかなくちゃいけない時期もある。   そうなってくると,法テラス自身が,対象とする人数はともかくとして,複眼的な思考を持って,草の根的にできることをやっていくという,そういう基本的かつ柔軟な考え方を踏まえて,自由形の研修イメージを創意工夫をして具体的に実践していくことが肝要であろうかと思います。   実際にも,今研修を全くやっていないわけではなくて,やっているというふうには聞いてはいますけれども,必要とされる研修はやはりまだ十分ではないのではないか。そういう意味で,将来日本の刑事司法にかかわる中枢的な役割を担っていくべき法テラスとして,この研修の点をもう少し強調した方が,我々の評価の姿勢としても,法テラスを育てていくためにもいいのではないかと,こういうふうに思います。 吉川委員 不祥事を起こしたのは,スタッフ弁護士ですか。 髙部委員 契約弁護士じゃないですか。 吉川委員 契約の弁護士でしょうね。そうしますと,おっしゃることはよく分かるんです。それと,不祥事は何としてもなくさなきゃいけない,これは一人の弁護士として全くその点は同感なんですけれども,法テラスに何でもかんでもやらせるというのは,実際には無理だと思いますね。スタッフ弁護士や何かについては,法テラスが自分で研修も,それからそういう倫理問題も含めてきちんと監督しなきゃいけないと思いますけれども,これはある意味では弁護士会の責任ですね,そういう不祥事が起こるということは。   先ほど申し上げたように,これは残念ながらどこの国でもかなりの数発生しているんです。それをできるだけゼロに近づけるというのは弁護士全体の責任でやっていかなきゃいけないんですけれども,それを法テラスの責任だからまだやり方が不十分だというのは,特に2年目の法テラスにそこまで要求するのは,私は過酷に過ぎるんじゃないかというふうに思います。 嶋津委員 私,中座させていただかなくちゃいけないので私の意見だけ。   私もAをつけていまして,今,御議論をお聞きしていまして,確かに法テラスがこれからの国選弁護人の研修,全責任というのは難しいと思いますが,視点を変えてあれすると,司法制度改革に対して法テラスにもっと頑張ってくれというような意味で,私はAと書きましたけれども,今の御議論をお聞きしていて,もっと頑張ってくれという意味でのBというふうに評価しても,法テラスにとってマイナスになることはないんじゃないかなと,そういう気になりまして,意見を変更させていただきます。 山本委員長 ありがとうございます。   岡田委員,どうぞ。 岡田委員 私は,やっぱり質にすごくこだわりたいんです。弁護士さんは,今までだれかが評価してというのはなかったわけですけど,私は今回の裁判員裁判に関しては,もろ被告人とか被疑者がかかわってくるわけですから,その意味では今までの考え方は変えなきゃいけないと思うし,ある部分,法テラスでもちゃんとした人を送り込むんだよという,そういう認識を持たせることによって,送り込むということに関して,弁護士に対しても働きかけることはできるんじゃないか,弁護士会に対しても働きかけることができるんじゃないかなと思うんです。   じゃないと,今のようなあれですと,結局,お金のない人は,もしかして正当な弁護もやってもらえないで有罪になっちゃうということもあり得るわけで,今までもあったかもしれないけど,今までとはまた違うんじゃないかというふうにちょっと思っていまして,これは一般国民がそういうふうに思うんじゃないかというふうに思っています。 山本委員長 かなり御議論をいただいたかと思いますが,なお御意見は分かれているように見受けられます。最終的には多数決で結論をとらざるを得ないというふうには思いますが,私の伺った印象では,Bにすべきだという委員の御意見がかなり多いように見受けられましたが,いかがいたしましょうか。多数決をとりましょうか。 吉川委員 Bにした場合は,個別委員の集計の中にあるBのところに書かれているような理由になるわけですかね。 髙部委員 限らないんじゃないでしょうか。 山本委員長 理由については,結論が決まった後でもちろん協議をしていただくということになると思いますが,吉川委員は理由についてあれでしょうか。 吉川委員 私が一番こだわっているのは,冒頭に申し上げたように,中期目標及び年度計画との関係で言って,この不祥事やなんかの問題まで持ち出してBにするのは,ちょっと不意打ちというか,そういう感じがして,余り適当じゃないんじゃないかというふうに思うんですね。 山本委員長 そうすると,今までの御議論を伺った感じでは,問題は研修のところにあって,研修を踏まえて,さらに国選弁護人の活動の充実ということで,中期目標にしても年度計画にしても③の部分が問題であるということだと思いました。   どうぞ。 瀧澤部付 不祥事の点が入っている理由について若干補足をさせていただきますと,これは実は二次評価機関である総務省に置かれております政策評価・独立行政法人評価委員会の方から,この点について,一次評価機関である日本司法支援センター評価委員会できちんと評価をすべきであるというような意見を昨年度の評価に対していただいておりまして,法テラスの方でもそれを受けて,業務実績報告書の方にわざわざ書いてきたということでございまして,こちらの方でもそういうことも踏まえてということでございます。そういう観点を踏まえて御検討いただければと思います。 茂木部付 若干補足させていただきますが,この不祥事案については,こちらで去年取りまとめていただいた評価の結果を総務省の方にお送りいたしましたところ,総務省の方から二次評価機関としての意見一つとして返ってきたものでした。   この不祥事案がどうして総務省の方から指摘があったのかと申しますと,担当者に聞いたところ,法テラスのホームページを見ていたところ,そこにこの不祥事案の事例が掲載されていたと。こういう不祥事案があったのであるから,それに対する対応をとるというのは当然じゃないですかという御指摘だったわけです。総務省からそのような指摘があったということがございました。   それに対して私どもがどういうふうに説明させていただいたかと申しますと,研修の内容にもよると思うんですけれども,法テラスは,個々の契約弁護士の職務の独立性というものに対して配慮しなければならないということが,総合法律支援法に定められておりまして,弁護活動の内容そのものについては,法テラスが何か積極的に言えるような立場にはないと。弁護活動の内容というのは個々の弁護士さんそれぞれに様々でございまして,倫理の部分と弁護活動の内容にわたる部分と微妙なところがございます。ですので,積極的に弁護活動はこうあるべきというような研修というのは,基本的には難しいだろうと。   ただ,こういう不祥事案がありまして,こういう措置をとりましたという事実を周知するということは可能であろうという形で,法テラスの方はそういう形でのホームページ掲載であるとか通知であるとかということは行ったというところでございまして,研修の充実ということは確かに御指摘のとおりだと思いますけれども,そのときに評価をしていただくに当たっては,法テラスのそういう立場,個々の弁護士さんの弁護活動の独立性にも配慮しなければならないという立場も考慮して,それを侵さない限度でというようなニュアンスで御評価いただけるとありがたいというところでございます。 髙部委員 今おっしゃった御趣旨はよく分かるのですが,ただ別の部分で,要するに裁判員裁判の関係についての研修を行うなどという形で,新たな制度に関する関係での弁護士の研修は行うことが当然の前提になっているわけですから,弁護活動の独立性の問題と,それからスキルの面での研修を行うということとは,バッティングする部分が100%ないとは言わないけれども,相当程度,そういう意味では両立し得る関係にあるのかなという気はするのです。   ですから,これは嶋津委員が言われ,田中委員も言われ,岡田委員も言われていることで,結局のところ,要するにそういう形で不祥事問題に関する関係で,二次評価機関から結構厳しくごらんになっているということを踏まえれば,やっぱり当一次評価委員会としてもきっちりそこのところは見ていますということを,いずれにしてもメンションしないといけない立場にあるんだなというのは,今,お話を承ってそういう認識でおるところですけれども,そうだとすれば,そういうことがあったということについての評価をしなければならないということがあるのだとすれば,それはちゃんとそういう形で外に出したんだから,処分したんだから,だから評価できるんだというのは,ちょっとしんどいかなという気が……。さっき僕,田中委員からお話を聞いて,ああそうだなと思ったものですから,それで私は意見を変更したんで,私はそういうふうに思っておりますので,Bの意見を維持したいというふうに思っております。 山本委員長 ということで,もちろん個別の弁護活動に介入するようなことは,そもそも法テラスに許されないということは当然ですが,ただ,目標自体として研修を実施するということは書かれていて,国選弁護人としての活動の充実を図るという観点からの研修は当然必要だということは前提になっていて,委員の皆さんの御意見も,そこのところの研修を充実させるべきだという御意見で。   ただ,吉川委員が言われるように,もちろん,法テラスだけが責任を持っているということでは当然ないわけで,弁護士会を含めた全体の活動の中で,しかし法テラスもできることをすべきであって,しかし現状でやっていることというのは,まだ必ずしも十分とは言いがたいのではないかという御意見が多いように伺いましたが,いかがでしょうか。そのような形で取りまとめるということについては……。 吉川委員 私は反対です。だから採決してください。Aの理由のところは,「契約解除措置を講じている」と,そこで切ったらいいと思うんですね。再発防止が図られているというのは言い過ぎだろうと思いますので。 山本委員長 措置がとられているという形で。 吉川委員 ええ。恐らく,これは将来ずっとついて回る問題だと思います。法テラスに不祥事防止の義務を課すというのは実質的には非常に難しい。一般の契約弁護士の不祥事を法テラスが防止するというのは難しいし,これは今,茂木さんからも御指摘があったように弁護士会が大変なことになります,そういうことに法テラスが介入してくれば。 山本委員長 恐らくそういう趣旨ではない,義務を課すとかという趣旨ではないんだろうと思いますけどね。この不祥事案というものをどういうふうに位置づけるのかというのは,なかなか難しいところはあろうかと思いますが。   どうぞ,知久委員。 知久委員 こちらの業務実績報告書の中の46ページの真ん中あたりに,再発防止ということで御報告いただいている記載がありますが,この書きぶりを見ると,契約解除の措置をとった上で日弁連との協議の場において、措置事例を紹介して注意喚起をはかり、支援センターの国選弁護業務に対する理解と協力を求めたというような書きぶりがございますね。こういう表現にしていただいたらいかがでしょうか。いまのままですと,3番目の研修というところにどうしても結びついてしまって,先ほど,委員長や吉川委員がおっしやったように,だからといって法テラスに全面的に責任をというところまでを考えても,多分それは無理だと思いますので,やるとなれば地元の弁護士会,日弁連とのタイアップが当然必要になるところですから,どちらに持っていくかだと思いますので,いきなり採決にいく前に,もう一度その辺を御検討いただいたらどうでしょうか。 山本委員長 ということは,理由として,Bと評価するということを前提として,法テラスのすべきこととしては,日弁連に対する,弁護士会に対する注意喚起等の措置が今回はとられたわけですが,それは一応評価できるということを前提にして,それとは直接結びつけずに,しかし研修の必要性というのはあって,それは今のあれでは必ずしも十分ではないと。 知久委員 そういう表現でしたらいいですね。いきなりそこから研修というのは多分無理もあって,納得できない部分もあることでしょうから。法テラスの立場としては,研修もするけど,立場上そこまで個々の弁護士に対して不祥事を防止するということ無理もあるでしょうから,その部分は日弁連との連携強化という立場で図っていっていただくということをここで求めたということは,そこで再発防止に努めているというような評価はできると思います。ただこの書きぶりですと,ちょっとそこまでは読めないかなという気がいたしますので,その辺をどうとらえるか。岡田委員やほかの委員の方々のお話を聞いて,もちろんそれは非常に必要な部分ですし,やっていかなければならないことですが,どこまでをここで求めるのか,今,ご意見が分かれてしまっていますので。 山本委員長 おっしゃるとおりですね。先ほど田中委員も言われたように,契約解除措置というのだけでは,そもそも規程上そういうふうになっているので。 田中委員 通知もそう。所属弁護士会への通知も約款ないし規程上の措置になっているんですね。 山本委員長 ええ,通知も。そうすると,その措置事例を紹介して注意喚起を図るという,日弁連との協議の場において。その部分は評価できるということになるんでしょうか。 吉川委員 今,知久委員に教えていただいた46ページの今の表現を,もしAになるのであれば入れるほうがいいと思いますね。この辺が限度だと思いますよ,法テラスにできる。 山本委員長 わかりました。それでは決をとらせていただくことにしたいと思います。   評価案,最終的な評価結果についての決ということです。Aという委員とBという委員がおられましたので,それぞれについて決をとりたいと思います。   それでは,Aに賛成される委員の方。 (賛成委員挙手) 山本委員長 2名ですね。   Bに賛成される委員の方。 (賛成委員挙手) 山本委員長 5名ですね。   それでは,多数決に基づきまして,18番目の国選弁護人確保の評価結果についてはBとさせていただきたいと思います。   次に,その理由ですけれども,目標時間の点は多分これでいいんだろうと思いますが,その次の2つの文章ですね。研修の話と不祥事の話が書かれているわけですけれども,先ほどの知久委員のお話あるいは委員の皆さんのお話を伺う限りにおいては,不祥事については,先ほどのような経緯の御説明があって,書かないというわけにはいかないということで,委員会としても判断を示す必要があるということで,その契約解除措置の話だけでは十分でないということであるとすれば,日弁連との協議の場でそういう注意喚起を図ったというようなことを書くと。   他方,研修の方が,解説書の配布,説明会の実施などの方法で行われているが,それは必ずしも十分とは言えない。更なる充実した実質的な研修に向けた取り組みが期待されると。あるいは日弁連と弁護士会と協力しながらとかという文言になるかもしれませんけれども,そういう感じになるような気がいたしますが,いかがでしょうか,御意見をいただければと思います。 吉川委員 「不祥事を起こす弁護士が国選弁護人に選任されないような方策について検討すべきである」というのは,何をすればいいのかということですよね。 山本委員長 今の文言はどこの……。 吉川委員 個別の委員のBのところにある。 山本委員長 今のお話からいけば,そこまでは書かないと言いますか,それは先ほど来のお話で,法テラスだけの努力ではそこまでは無理だろうというようなお話で,それに向けたような研修を含めた努力ということなんでしょうね。   先ほどのようなことでよろしいでしょうか。さらに文言は事務局と詰めさせていただきたいと思いますが,今までの御意見を反映したような形でというふうに考えますけれども,知久委員,何かございますか。よろしいでしょうか。   吉川委員は。 吉川委員 特に,これ以上は申し上げることはありません。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。それでは,文言につきましてはさらに検討させていただくということで,御議論を反映した形にしたいと思います。ありがとうございました。   かなり時間をとりましたが,次に10ページに移りたいと思います。19の項目,犯罪被害者支援の問題でございます。これについては原案はAということで,かなりいっぱいの項目がありますが,それをまとめた評価の書きぶりということになっております。   基本的には,犯罪被害者支援の業務というのはかなり充実した形で行われているのではないかと。精通弁護士も十分確保されているし,紹介件数も前年度に比べて大幅に伸びている。民事法律扶助についても適切な業務運営が行われるような措置が図られているということで,もちろん,今年度には被害者参加制度とか損害賠償命令制度という新たな制度が導入されますので,こういった被害者支援の取組はさらに積極的に行われるということが期待されるということではありますが,評価としてはAということであります。   これは大方の委員,これは3項目に分けて委員の皆さんの意見を伺っていますけれども,基本的にはほとんどの項目で皆さんAというふうに評価されているということであろうかと思います。   いかがでしょうか。特に御異論はございませんでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,これは原案どおりということにさせていただきたいと思います。   次に,11ページ,20番目の項目で,司法過疎対策で,これも基本的には常勤弁護士の問題が中心になるということです。これについては評価はAということで,常勤弁護士のサービスの提供の仕方としては,合理的な受任事件の配分が行われ,地域の実情に応じた受任というのがなされているということで,その点は評価できるということで,ただ,今後も適切にその目安の見直しを行い,常勤弁護士の能力が十分に発揮され,利用者のニーズに応えていけるような体制の維持が期待されるということでありますけれども,評価としてはAということでございます。   これについては,委員7名の方がAという評価で,Bの評価が3名おられるということでございます。いかがでしょうか。   吉川委員,いかがでしょうか。 吉川委員 私はこれでいいと思います。 山本委員長 田中委員,よろしいでしょうか。 田中委員 これでいいと思います。 山本委員長 それでは,この点については特に御異論はないように見受けられますので,原案どおりということにさせていただきたいと思います。   次に21,11ページの2段目のところですが,関係機関との連携強化の点でございます。これは原案はAということで,地方協議会の話が書かれていますが,これは現実に結果としてコールセンターにおける認知媒体の調査で,関係機関から聞いたというのが,従来の28.9%から39.1%とかなり大幅に増加しているということで,実際にも周知の効果が出ているということで,Aという評価になっております。   これについては,Aが8名,Bとされる方が2名ということになっているということです。いかがでしょうか。   岡田委員,先ほどの。 岡田委員 いいです。「今後ともそのような取組の強化」云々というのが入っているから,いいです。 山本委員長 今後とも強化してほしいということは,そのとおりだと思います。   よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,これは原案どおりということにしたいと思います。   次に,11ページの一番下の項目であります。収入の確保,財務内容の改善という点であります。これは原案はBということであります。   まず,補助金・寄付金収入については必ずしも十分ではない,更なる努力を期待すると。地方公共団体からの寄付,補助金というのは十分ではない。また,しょく罪寄附による収入も十分ではないということ。それから,民事法律扶助の償還金については,回収率の改善に努めていることは理解できるけれども,むしろ前年度より回収不能の見込み金額の割合が増えて悪化しているということで,現在の回収率では十分とは言えないと。償還金確保に向けた施策についての早急な検討が必要であると。また,取れる人から取るということが十分でないということに加えて,もう取れないというようなものについても,償還免除等の制度があるにもかかわらず,それが十分に使われていないまま不良債権化しているということで,こういう不良債権の処理という観点も進めていくべきであるということ。それから,司法過疎地域の有償事件の取り扱いについても一定の評価はできるけれども,更なる努力の余地があるというようなことで,全体としてはBということになっております。   これは,Aとされる委員は一人もおられず,B評価が7名,さらに厳しくC評価が3人もおられる,かなり厳しい評価がされた項目ということで,理由の書きぶりもかなり厳しいものになっているように思われますが,結論的には多数の御意見を反映してBということでございます。これはいかがでしょうか。   宮野委員,いかがでしょうか。 宮野委員 私は評価Cの一人でございます。なぜCと評価したか。これは財務諸表,それから業務実績報告書などの数値から,だれもが滞納状況が悪いということが判読できるということから,これをそのまま評価委員会で通すというのは問題があるのではないか,そういうことで問題提起すると,こういうことでC。   去年はCという評価はしておりませんが,去年も問題となる滞納債権,滞納債権の定義づけもしますけれども,そのうち,破産更生債権等が50億円もあったと。これについては2年度目に入った19年度においてある程度改善される,あるいは措置されるだろうという期待があってそういう評価をしたわけですけれども,2年度に入ってそれがむしろ悪化してきていると。それを改善するという措置,この書きぶりがないということで,これはやはり評価は厳しくならざるを得ないだろう。   それから,私,ちょっと誤解があったのですけれども,中期計画の年度,もう1年しかないという思いがあってさらにCとなっているわけですが,更にもう1年あるわけですね。そういうことで,もう1年あれば改善はできるだろうと,こんなふうなことも考えて,それとあわせて,監事監査,それから内部監査,会計監査,これにおいて債権管理について不備があるという指摘がない。そんな感じもして,Bとしてもよろしいかなという感じはしております。   それで,現状認識についてちょっと述べさせてもらいますけれども,中期目標を見ますと,償還を要すべき者の滞納率を引き下げることによって償還金収入の確保に努めると,こうあります。この言葉も先ほど来言っているように,確保に努めるんだけど,具体的な目標値がないということで,極めて難しい表現になっております。   そこで,まず滞納債権とは何かということについてですけれども,貸借対照表では,法律扶助に係る立替金という勘定科目と,それから破産更正債権という勘定科目というふうになっております。さらに,立替金の中には貸倒れ懸念債権というのも入っております。そこで,滞納債権というのは,約定した期限を超えている,期限内に払っていない金額であろうという想定をして,貸倒懸念債権と破産更正債権等を合計したものを,ここでは滞納債権と言っております。それから,滞納という言葉を使ったのは,中期目標で滞納率という言葉があるので,滞納債権というふうに置きかえて見ております。   そうしますと,滞納債権が全体の法律扶助によって立て替えた金額の総額の,昨年度は65.6%であった。今年は68%ですと。そしてさらに去年と─去年というのは19年3月末,今年は20年3月末,この滞納債権の増減を見ますと,全体の総額の増加額について,そのうち90%が滞納債権であるということであります。これは滞納債権以外の債権が不良化し,滞納債権に振り替わっているわけですね。そういう体質が全然改善されておらないというふうな認識で,最初はCということにしたと。   なぜこれが改善されていないんだろうかということを考えてみれば,滞納債権の中をよく分析すれば,恐らく償還免除の対象となる債権とそうでない債権があるのだと思います。償還免除となる金額の把握ができていない,法テラスで。あるいはそれを償還免除の適用対象とならない金額が幾らかと,これも把握できていないのではないか。これができていれば長期の不良債権は処理できるはずなのに,なぜ処理できないのか。そこで債権管理が不十分なんだろうということでC評価したと。   だけど,監査の結果として,債権管理が不十分であるとの指摘がないと。私たちは,資料を見ているわけじゃないですから,監査の過程で指摘がなければ,債権管理が不十分であるという根拠はないということで,一応Bにしようかなと,こういうふうに思っております。   それで,今申しましたように,滞納率は前と比べて高くなっている,悪くなっていると。それから回収率も,これは比べて非常によくなっております。だけど,よくなったのは何だろうかということを考えますと,19年度,20年3月期の新規立替額は,18年度,19年3月期の新規立替額の倍増しているわけです。これは期間が6カ月増えたからです。ですから倍増,これは正しいだろうと。それが原因であると。   そしてさらに,実績のところで書いてありますように,法テラスとしてはかなり努力されておると。償還金収入のために,従前から行われている督促に加えて,19年度は滞納月数が1か月から2か月である援助者に対して,督促を11月から12月にかけて全国一斉に実施したということで,これは功を奏したと評価できると思います。   次に,滞納債権なんですけども,滞納債権は日本司法支援センターを利用する国民が増えれば当然に増えるということが考えられます。それから,滞納債権の増加については,19年度中の民事法律扶助に係る立替金残高増加のうち,先ほど申しましたように90%になっているということ。そうすると,したがって滞納率も悪化する傾向にある。これを改善するという措置がとられていない,記載がない。とっているのかもしれませんが記載がないということで,非常に懸念されるところであります。   滞納率の引き下げ,これが,今のこういう滞納債権の状態では,滞納率の引き下げが償還金収入の確保につながるという保証はないんです。なぜかというと,償還金収入が見込まれない償還免除の対象となる金額が,これは破産更正債権等ですね。多分そうだと思うんですけれども,これが今期70億円もあるわけですが,これを免除によっていくら減らしても,滞納率の引き下げにはなりますが,償還金収入増にはならない。だから,償還免除対象外の債権の把握が重要であって,それの回収に努力しなきゃいけない。これも実績のところには,当年度に発生した立替金については,先ほど申しましたように努力している。だけど,滞納債権に分類されるものについて,償還金収入のために何をやったかというのには触れていない。ということは,滞納債権について,そのまま放置されているのではないかと思われる懸念があります。   じゃあどうすればいいのかということで,手だてとしては,実績の欄に督促をやったと言っておりますけれども,ただ督促するだけではなくて,さらに督促する対象を滞納債権にまで広げてほしい。そして,督促だけじゃなくて,督促分に合わせて,債権免除制度の内容はどうなっているよと,それからこの制度を受けるための手続はどうですよということを付記して出してもらうと。そして,法テラスとしては,償還免除の規定,これは業務方法書に書いてあるわけですけれども,免除適用するために法テラスとして必要な資料があるわけですので,それらの情報を得るための回答を記載してもらって回答を求めると,こんなふうなことをやって償還免除をできるようにする。   それから,償還免除の対象とならない人たちに対しては,約定どおりに払うように,厳しく強く払い込むように促す,文書にする,こういうことをやっていただきたいなと,こう思っております。   それで,債権の件数ですけども,大体21万件。恐らく今年の末には30万となるかもしれません。そうすると,それに対してこのような手続をとると,20万件で往復で5,000万円近い支払になるだろうと。だから,今後,コストと効果との関係で,これも考えなきゃならないだろうと。   そこで,さらに不良債権1件当たりが大体11万4,000円くらいになっている。そうすると,平均で11万円ですから,相当高い残高で持っている被援助者がおられるんじゃないかと。こういう人たちに対して抽出してやれば,20万件あるいは30万件も全部出さなくてよいだろうと。こんなふうなことも考えながら対応策を練ってほしいなと,こんなふうに今思っております。また,滞納率の引下げの施策,償還金収入確保策の十分性については,恐らく二次評価機関では,貸借対照表とか業務実績報告書を見れば状況が分かるわけですから,十分性の指摘があったときに,評価委員会として対応しておく必要があるのではないか,こんなふうな思いでCとしましたけれども,前に述べたような理由で,Bというふうに,こんなふうに思っております。 山本委員長 ありがとうございます。具体的な御提案も含めてということですが,一種の執行猶予的なBだというようなことかもしれませんが,しかし残された時間はそれほど多くないということで,きっちりした対応をとるべきだということは,かなり強く打ち出した方がいいのではないかという御意見だったかと思います。   ほかの委員の御意見。どうぞ,岡田委員。 岡田委員 私はBでいいんですけど,「地方公共団体の理解と協力を得られるよう」云々と,法律で地方自治体も責任があるよという感じになっているんですが,ただ,足立と練馬にも法テラスから紙がぺらっと来たんですよね。ただ,センターに来たってお金を出せないですよ,上に上げてくれないと。だから,例えば区長会とか,県であれば知事の集まりとか,そういうところへ,今,国を挙げて多重債務対策をしているわけですから,もっと積極的にそういうところへ売り込んで,それで協力してくださいと言わないと,足立にしろ練馬にしろ,大変お世話になっているんです。というのは,我々がいますから分かっているから,法テラスの業務が分かっているから送り込むんです。だから,お金は出したいけれど,消費者センターとか課とか,そのレベルで,今の状況で自治体がたとえ10万でも出せないです。   ですから,言われたことは,是非上に上げてくれというふうに言われていて,それをどこかで私も,本部に言ったような気がするんですけど,もう少しそういう努力をしないと,手紙1本でお金を出せる行政というのは,よほどお金があって,消費者センターレベルで予算があるところです。   ですから,ただ努力しろと言っても,どうやったらいいのかお分かりになっていないのかなと。この時期を逃したらないんじゃないかと思うんです。今,多重債務をやっていて,現実,法律扶助を利用しているのは多重債務が圧倒的に多いわけですから,そこの辺もちょっと研究された方がいいのかなというふうに思います。 山本委員長 ありがとうございます。誠にもっともな御指摘かと思いますが,ほかにいかがでしょうか。   どうぞ。 井野委員 今,宮野委員がおっしゃったような対策というのは非常に重要なんですが,担当者の意識改革に何か働きかけるような施策,またペナルティーがないと,なかなか進まないんではないかなと。それは具体的にどういうふうにやったらいいのか,余り知恵はないんですけれども,そのあたりも法テラスと法務省の皆さんに考えていただいて,これをやらないと大変なことになるという危機感を皆さんに抱いてほしいなというふうに思います。 山本委員長 どうぞ,吉川委員。 吉川委員 別に異論を言うわけじゃないんですが,法律扶助というのは,多くの国で,お金を貸すんじゃなくて与えるんですよね。日本だけとは言いませんが,日本はお金を貸すんです。貸すから返してもらわなきゃいけない。ところが,貸している人たちの中には,もちろん生活保護を受けている方とか,非常に厳しい,何千円というお金が非常に厳しい人がたくさんいます。したがって今のような滞納がたくさん出ちゃうわけですね。だから,これは一般企業の財務諸表を見るような感覚で,滞納率が高いという評価をするのはちょっと酷だなという気がします。   私はむしろ,宮野先生がおっしゃったように,償還免除の制度をもっときちっと活用して,返せないものを早く処理しちゃうと,その手続をしっかりやってもらうという面で,もっとしっかりやってもらいたいということを…… 井野委員 ですから,その処理を進める部分でも,しなかったらしなかったで済んでしまうわけですよね。ですので,そこもきっちり取り組んでいただくというのが,非常に大きな動機づけにはなる。やっていただかないと,やらなかったらやらないでいいという状況がこれまであったんでしょうし,そこは本当に,そういう制度がせっかくあるわけですから,活用していただいて,早く処理していただくということが重要だと思います。 宮野委員 私が心配しているのは,余り言い過ぎると自分自身が困るんだけど,皆さんには申し訳ないんだけど,償還免除制度の要件というのが,生活保護を受けるとかいろいろなっているわけですね。このそれぞれに該当する人たちの債権が幾らか,こういう状況の把握ができているんだろうか。恐らくできていないんじゃないか。これは勝手な想像ですね。そういうこともあってCだったわけです。だけど一応Bにしまして,まず管理体制,仕組み,帳簿体系というんですか,こういうのをきちっと把握する必要がある。   そして,今,吉川先生がおっしゃったように,これは資力の乏しい人なんです。ですから当たり前なんですね,滞納債権が出るのは。だから,それはいいとして,それを免除制度を適用するためにどうしなければならないか,どのくらい,例えば今言ったように,どういう状況にあるか分 からない,生活保護を受けているかどうか分からない,分からないから調べなきゃいけない。長期間に滞納している人の債権について,この人は今どうなっているんだということを調べる。調べるためにどれくらいの時間がかかるか。その時間がかかる間は処理はできないだろうと思うんですね。その間は残る。だけど1年もかからないだろうと私は思うんですね。   だから,そこをどのくらいかかるかという期間を皆さんで検討していただいて,皆さんというのは法テラスの方で検討して,実務的にこのくらい時間がかかると,それが6か月だと。じゃあ6か月間は残っていてもいいなと。だけど,我々としては,そういう報告を受ければ基準ができますから,6か月超えているのになぜだめなんだと,こういうふうな評価の基準になるわけですので,これは是非そういう方針を打ち出してもらいたいなと,こう思っております。 井野委員 免除制度というのは事前なんですか,それとも事後に免除するんですか。 山本委員長 事後です。 井野委員 事後ですよね。ですので,であれば一定の要件を満たした方は,最初から寄付というか,返さなくていい状態の運用というのも考えられますよね。 宮野委員 これは申請によるんですね。申請を受けないと法テラスでは処理できない。 山本委員長 それは,法律上の制限もあってという部分もあることは確かですね。 井野委員 そういう申請を先にした上でこの補助を受けることは可能なんですか。 宮野委員 そういうことですよね。申請を受けて,そして…… 小山課長 法律でそういう制度はないと思います。 山本委員長 ないんだろうという感じはしますけどね。 宮野委員 規程を見ると,申請を受けて,地方事務所の所長が認定して,それを理事長が承認すると。それで処理するというふうになっていたと思うんだけども,専門でないのですみません。その辺はちょっと……。手順としてはそうなっています。 山本委員長 そういたしますと,理由の書きぶりといたしまして,かなり厳しめに今のところも書いているということで,今の償還免除の話については,「免除制度の適正な運用により」というような書きぶりになってございますが,今,委員の皆さんから,かなり具体的な提案を含めていろいろ出していただいたと思いますので,この点については事務局を通して法テラスの方にお伝えをいただいて,とりわけかなり厳しい御意見が多かったように思われますので,そういう状況も踏まえて,来年度以降,早急に抜本的な措置をとっていただかないと困ると。先ほど執行猶予というような言葉も使いましたが,困るということはお伝えをいただく必要があるのかなというふうに思います。   結論としては,宮野委員もBということでというお話がございましたので,最終的な結論としては原案のような形でよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,私の不手際でかなり時間が超過しておりまして申しわけございませんが,残っているあと2つですね,具体的な項目では。まず23の予算の収支計画等の観点です。これについては,原案はBということになっております。   全体としては,予算執行,許容の範囲内だけれども,民事法律扶助事業の経費について,決算額が予算額をかなり下回っているということ。原因もはっきりしないということのようですけれども,果たして適切に民事法律扶助のサービスが提供できているのかということ。それから,随意契約については,ここでは「公表項目は適切であるが,引き続き随意契約の適正化に努めることが期待される」ということになっていて,最終的な意見としてはBということでございます。   これはかなり御意見が分かれた,Aの方も4名おられるということですが,Bの方が多数であるということでした。これについてはいかがでしょうか。先ほどの随意契約の問題がここでも出てきますが,このような書きぶりというのはどうでしょうか。   宮野委員,ここは何かございますか。 宮野委員 特には……。 山本委員長 これでよろしいでしょうか。 宮野委員 よろしいです。 山本委員長 井野委員はどうですか。 井野委員 1点だけコメントさせていただきたいんですが,人件費が減ったということなんですが,これは別に経費減を目標にしたというより,たまたま採用数が目標より少なかったということだというふうに私は理解したので,必ずしも経費削減の努力によるものではないという理解です。かつ,一方では弁護士さんの一定数の確保ということを目標に掲げられているので,これは必ずしもポジティブな評価の対象にはならないのではないかなというのがコメントです。でも,それも含めて私もBにさせていただきます。 山本委員長 井野委員の御指摘を受けて,自己評価では,常勤弁護士が予定を下回ったことで人件費が減になったということを積極的に自己評価していたんですが,それはやめて,こういう一般的な書きぶりになったのかなというふうに思いますので,御意見は反映されているということだと思います。   それでは,よろしゅうございましょうか,ここは原案どおりということで。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,一番最後の項目です。業務運営,計画的な人的・物的体制の充実という点でありますが,これは評価はBということです。   そのスペースの物的な設備の施設の方は問題ないだろうということですが,やはり人的なところで常勤弁護士の数の問題で,更なる取組が必要であるということです。職員給与については,先ほど最初に中川参事官の方から御説明がございましたけれども,その能力を反映したものになるように工夫されているけれども,今後もこのような工夫を続けるべきであるということで,全体としてはBという評価です。   ここもかなり,Aとされる方は4名おられて意見が分かれたところではありますが,いかがでしょうか。 吉川委員 これも結局,Bになった大きな理由は常勤弁護士の話なんで,Bにしないと辻褄が合わないんじゃないでしょうか。 山本委員長 そうですね。一貫性の問題としてはおっしゃるとおりですね。理由も含めてこのようなことでよろしいでしょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,これは原案どおりということにさせていただきたいと思います。   私の不手際で予定よりかなり時間を超過してしまいましたが,これで一応,項目別評価表については取りまとめができたのではないかと思います。あと,具体的な表記等につきましては,形式的な修文等も含めまして私に御一任をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。   それでは,恐縮ですが,引き続きまして総合評価表についての各委員の御意見をいただきたいと思います。   これは基本的には,今の項目別評価表を取りまとめたものでありますので,多くのところで原案どおりの御支持をいただきましたので,それを反映しているかと思いますので,大きな問題はないのではないかというふうに思います。   1点だけ,先ほど評価が変わったところ,大項目で言えば,大項目3の3段落目の国選弁護関連業務の点です。ここでのまとめは,「国選弁護人確保業務に関して,国選弁護人に選任された複数の被告事件における公判期日の不出頭等を行った弁護士に対して,3年間の契約拒絶期間を伴う契約解除措置をとるなどして,国選弁護関連業務の適切な実施を確保するための取組を行ったことは評価できる」という表現ぶりになっておりますが,ここはいかがでしょうか。先ほどのあれからすると。ここは研修の話は全然触れない形になっていて,不祥事の話だけが書かれているという書きぶりになっておるわけですが,先ほどの議論からするとちょっとそごがあるような感じですかね。 吉川委員 これは当然変えなきゃいけないんじゃないでしょうか。 山本委員長 そうですね。そうすると,先ほどの項目別評価表の書きぶりに合わせたような形で,全体のところも修文し直すということで,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。   ほかの点については,問題ないということでよろしゅうございましょうか。   どうぞ。 中川参事官 大項目のあたりで,先ほど常勤弁護士のところで,大項目2で「今年度は72名を採用したことは評価できるが,前年度の採用数が十分でなかったことを踏まえ」とか,先ほどちょっと修文意見が出たところもありますので,若干字句等は修文を踏まえて少し手が入るかもしれません。その点はまた,最終的に項目表の意見欄が固まったところで,若干の修正があるという前提で御理解いただければと思います。 山本委員長 そのようなことでよろしゅうございましょうか。当然,項目別評価表の方を反映させて,こちらも修文するという場合があり得るということで,その中身については御一任をいただければと思いますが,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,今のような条件つきで,総合評価表につきましても御承認をいただいたということにさせていただきたいと思います。   あと,小山さんの方から。 小山課長 それでは,先ほど委員長からもございましたとおりで,項目別評価表と総合評価表は適切な修文を行いまして,その後公表手続に入りたいと思います。そして,本月末までに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知をいたしますので,よろしくお願いいたします。   以上です。 山本委員長 そのようなことでございますので,よろしくお願いいたします。   それでは,本日の議題の第2点でありますが,財務諸表の承認についてということであります。   机上配付資料Eをごらんいただきますと,平成19年度の支援センターの財務諸表等であります。この財務諸表の承認については,法務大臣から当評価委員会に意見が求められているわけでありまして,当評価委員会としての意見の取りまとめをさせていただきたいと思います。   中身については前回御説明があったところでありますが,いかがでしょうか。御意見をいただければと思います。   宮野委員から御発言いただければ。 宮野委員 財務諸表の方は監査を受けていて,無限定ということで,そこまで立ち入れないと。   ただ,この説明の増減説明というのがあるんですけれども,事業報告書というのがあるんですが,前にもらった資料では8ページ,勘定科目ごとの財務諸表の科目について,どういう取引を処理するという科目ごとのリストがあるんですけど,事業報告書の,このページが正しければ5枚目のところについていますけれども……。 山本委員長 後ろから9枚目ぐらいですか,財務諸表の科目となっているところ。 宮野委員 そうですね。財務諸表の科目,そのずっと下の方で4として財務情報というのがあるのかな。前の資料で見ているものですみません。財務情報4があって,財務諸表の概況というのがあって,その次のページで前年度の経常費用についての増減があって,26億9,500万円増というのがあるんですけれども,その増加要因をここに書いてあります。その増加要因の金額の合計をしますと64億4,000万の増加になるわけなんですね,この説明の合計をすると。そうすると,この差,減っている要因があるわけで,それの説明が必要なのではないかなというふうに思うんですけれども……。 山本委員長 今の,経常収益のところのですか。 宮野委員 じゃもう一度言いましょう。読みます。「平成19年度の経常費用は171億968万1,295円と,前年度比26億9,588万7,780円増となっている。これは,前年度の業務運営期間が半年間であったことから契約弁護士報酬が前年度比46億7,549万1,688円増となったことと,採用職員数増加に伴い,人件費が前年度比17億6,507万9,542円増となったことが主な原因である」と,こうなっておるわけですけども,主な原因の金額を合計すると64億円。前年度と比べて26億円増加しておりますと言って,26億円の増加の説明で46億円増の原因と17億円増の原因について書いているわけです。これを合計すると64億円増になって,26億円の増加の理由になっていないんじゃないかという,つまり減る要因が書いてない。64億円と26億円との差額38億円の減少要因の記載がない。この記載は,重要な金額と思われますので,必要なのではないか。 増減理由の説明が十分でないと思われるものが,他にも見られますので,検討していただけたらなという気がしています。   それから,この間,「平成19年度業務実績評価の取組について」が出ましたね。あれを見ますと,19年度の評価の拠り所とする「当面の取組方針」では,不良債権が増えたら,それの内容を説明しろという事項があるんですけど,それを説明した箇所がないと思っております。だから,これも検討してもらう必要があるのではないか。これは意見というよりも,そういう指摘をして直してもらうという問題だろうと思います。   これは,独立行政法人の中期目標期間終了時の見直し及び業務実績評価に関する当面の取組方針というのが19年7月に出ておりますね。その中で,業務実績評価に関する当面の取組方針というのが2番目にあって,その中の(3)に財務内容や主要な事務事業の改善等に資する評価というのがありまして,その中でリスク管理債権の適正化というのがあります。ここで貸付金の回収計画の策定,回収状況についての評価が行われているか,また,リスク管理債権額やその貸付金残高に占める割合が増加している場合において,その要因を業務実績報告書等で明らかにさせた上で,その適正化に向けて,取組やその効果についての評価が行われているかと,こういうふうな表現がありますので,これは不良債権が増えた理由,要因を書く必要があるんじゃないかと。それに対してどう対処するかというものを書くようになっている。指示が出ているわけですので,これが見当たらないように思いますので,見直していただければと,こう思っております。 山本委員長 ありがとうございます。いずれもごもっともな御指摘だと思いますが,どうでしょうか。 中川参事官 御指摘の点は,今回の報告書を直すというのは難しいかもしれませんので,次回からそのようなところに十分に配慮して…… 宮野委員 指摘を受けたらそう答えるようにしてください。 中川参事官 分かりました。それは伝えておきます。 宮野委員 評価委員が無視したと思われても困りますので,よろしくお願いします。 中川参事官 分かりました。 山本委員長 今のご指摘はもちろん議事録にとどまりますので,そのような御指摘があったということは法テラスの方にもお伝えいただいて,対応していただければと思います。   それでは,財務諸表それ自体につきましては,評価委員会としては承認して差し支えないという意見を法務大臣に申し上げるということで,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,そのように取り扱わせていただきます。   それでは,大変不手際で恐縮でしたが,時間超過しましたが,これで本日の評価委員会は終わらせていただきたいと思います。   事務局の方から。 小山課長 議事録の作成につきましては,従前と同様に事務局におきまして原案を作成の上,委員に内容を確認していただき,最終的には委員長に全体を確認いただきまして,公表するという手順を考えておりますが,よろしいでしょうか。   ではそのようにさせていただきます。 山本委員長 それでは,これで第13回の評価委員会を終了させていただきたいと思います。   本日は,長時間にわたって活発な御議論,ありがとうございました。 -了-