法制審議会民法成年年齢部会 第11回会議 議事録 第1 日 時  平成20年12月16日(火) 自 午後1時31分                        至 午後1時47分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  民法の成年年齢の引下げの当否について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○鎌田部会長 それでは,ただ今から法制審議会民法成年年齢部会の第11回会議を開催いたします。   まず,事務当局から配布されている資料について説明をしてもらいます。 ○佐藤幹事 それでは,事務当局から配布させていただきました資料について御説明させていただきます。   本日は席上配布資料はございませんので,第11回会議のために配布させていただきました資料の目録は,先日送付させていただきました資料目録のとおりでございます。   まず,部会資料について御説明いたします。   部会資料38は,事務当局が作成しました「民法の成年年齢の引下げについての中間報告書(案)」と題する資料でございます。前回の会議におきまして,部会資料37の中間報告書(第1次案)に基づきまして御議論いただきましたが,そこで出されました御意見等を踏まえまして,事務当局において修正したものがこの部会資料38でございます。   本日はこの中間報告書(案)を御決定いただきたいと思います。   その内容につきましては,既に御覧いただいていると存じますが,後ほど第1次案から修正を行いました部分を中心に御説明させていただきます。   次に,参考資料について御説明させていただきます。   参考資料24は,国立国会図書館調査及び立法考査局が作成しました「主要国の各種法定年齢」と題する資料でございます。既に主要国の各種法定年齢につきましては,参考資料2及び19として皆様にお配りしているところですが,この度,国立国会図書館におきまして,選挙権年齢,成人年齢,婚姻年齢及び刑事手続において少年として扱うことができる年齢について,我が国を始めイギリス,アメリカ等の主要国における各種法定年齢変遷の現状及びその変遷の経緯についてまとめたものでございます。   年明け以降も審議は続きますので,今後の審議の参考としていただきたく配布させていただいたものでございます。   以上で配布いたしました資料についての御説明を終了いたします。 ○鎌田部会長 ありがとうございました。   それでは,部会資料38としてお配りしております「民法の成年年齢の引下げについての中間報告書(案)」について御審議いただきたいと思います。   まず,事務当局から部会資料38について説明をしてもらいます。 ○佐藤幹事 部会資料38の中間報告書(案)について御説明いたします。   この中間報告書(案)は,先ほども申し上げましたとおり,前回部会で配布いたしました中間報告書(第1次案)をもととして,前回の部会で出されました御意見等を反映させたものでございます。   主な修正点について御説明いたします。   まずは,中間報告書(案)8ページでございますが,中間報告書(案)8ページのアの消費者保護施策の充実の内容について修正をしております。   前回の会議で,大村委員から消費者保護施策の中身について御提言いただきましたので,その内容を反映してございます。   具体的には,①については,若年者の社会的経験の乏しさにつけ込んで取引が行われないようにするため,事業者による取引の勧誘を制限すべきこと等を付け加えており,また,②については,未成年者取消権に代わる制度を創設する必要があるとして,幾つかの案を御提言いただきましたので,注8で詳しく説明させていただいております。   さらに,③から⑤の相談窓口の設置,広報活動の充実,特商法の改正の御提言もいただきましたので,記載させていただきました。   次に,10ページの(2)の若年者の自立を援助するための施策の充実についても修正をしております。   前回の部会において,宮本委員から欧米諸国におけるようなワン・ストップ・サービスセンターの設置や社会参画プログラムの提供について御提言がありましたので,その内容を反映させてございます。また,水野委員から,成年年齢を引き下げるために,児童福祉施設の人的,物的資源の充実や,子育てを社会全体で支える仕組みの充実が必要であるとの御提言がありましたので,その内容を反映させてございます。   次に,19ページから始まります第4の1の末尾の部分ですが,木村委員及び五阿弥委員の御提言を受け,これらの施策は成年年齢の引下げの如何を問わず実施する必要があるものであり,政府全体で取り組むことを強く要望したいと表現を改めております。   また,20ページの第4の2の施策の充実と成年年齢の引下げの先後関係についてですが,第1次案ではⅠ案からⅢ案に分けておりましたが,Ⅰ案とⅡ案はいずれも成年年齢の引下げの民法改正を先に行うものであり,一定の猶予期間を置き,その間に施策を実行に移すべきというものであります。施行までの期間について,異なった意見ではありますものの,実質的には違うものではないという御意見が出されましたので,これらをまとめて一つの意見として整理したものでございます。   また,今回のⅡ案につきましては,前回のⅢ案に対する複数の委員からの御指摘を踏まえまして各施策の充実が図られたこと,またはそれが確実になったことを確認することができるまでは成年年齢を引き下げるべきではないという形で表現を修正してございます。   また,21ページの第4の3の施策の実現の程度についてですが,岡田委員,大村委員,宮本委員の御意見を踏まえまして,修文をさせていただきました。   具体的には,教育関係については,本当に望む契約をするにはどうしたらよいかなどの自立した判断ができるように教育の充実を図る必要がある旨の記載を,消費者保護施策の充実については,相談窓口の設置,広報活動の充実及び特商法の改正については少なくとも実施し,消費者の軽率さや経験不足に乗じて取引を行った場合には,契約を取り消すことができるようにすべきであるという意見が出された旨の記載を,さらに,若年者の自立を援助するための施策の充実については,青少年育成施策大綱に盛り込み,政府全体の施策として積極的に実施される必要があるとの意見が出された旨の記載をしております。   最後に,24ページの第6の養子をとることができる年齢についてですが,前回の会議で現状維持の20歳とすべきであるとの意見で一致しましたので,そのように修正してございます。   以上が主な修正箇所でございまして,このほか多少の表現の変更はございますが,実質部分の変更はございません。   なお,部会資料38を送付いたしました後に出澤委員から御指摘を受けまして修正したい点がございます。   中間報告書(案)の39ページの参考資料2の4に,大学における留学生との意見交換会についてという記載がありますが,その下から8行目の部分でございますが,「自立心が足りない留学生が多い」とある部分につきましては,ここは留学生ではなくて,日本人大学生のことを指しますので,「留学生」という表現を「学生」と修正させていただきたく存じます。   以上です。 ○鎌田部会長 どうもありがとうございました。   中間報告書(案)につきましては,前回の部会における委員,幹事,関係官の御意見をできる限り反映させて作成したものではございますけれども,この場で,その他の御意見,御質問等がございましたら,お出しいただければと思います。   特に御意見,御質問等はございませんでしょうか。   特段の御意見や御質問がないようでありましたら,先ほど1字,文字の修正がございましたけれども,この案のとおりに中間報告書(案)を取りまとめることとしたいと思いますが,よろしいでしょうか。   どうもありがとうございました。   本日予定いたしておりました議事は以上でございます。今後の予定等につきまして,事務当局から説明をしてもらいます。 ○佐藤幹事 本日御決定いただきました民法の成年年齢の引下げについての中間報告書につきましては,早急にパブリック・コメントの手続を行わせていただき,その結果も踏まえて,年明け以降も引き続き御審議を賜りたいと存じます。   パブリック・コメントの期間につきましては,通常約1か月間とされているところですが,年末年始を挟みますので,部会長とも御相談させていただいた結果,来年1月末までとさせていただきたく存じます。   そして,次回部会につきましては,平成21年2月25日水曜日午後1時30分から,場所は本日と同じ法務省第1会議室において開催させていただきたく存じます。   審議内容は,事務当局からパブリック・コメントの結果につきまして御報告をさせていただいた上,民法の成年年齢の引下げについて引き続き御審議を賜りたいと存じます。 ○鎌田部会長 この機会に何か御発言がございましたらお出しいただければと思います。   どうぞ,出澤委員。 ○出澤委員 スケジュールの確認なのですが,早急にパブリック・コメントの手続に付していただくということですが,いつごろからかというのはまだ分かりませんか。 ○神吉関係官 御報告させていただきます。   本日,中間報告書をほぼ原案のとおり御決定いただきましたので,順調にいけば明日から電子政府のホームページに掲載をして,パブリック・コメントの手続に入るということになるかと思います。 ○出澤委員 来年2月25日の部会でパブリック・コメントの結果について御説明いただいて,更に審議をするということですが,その後はどういう手続になりますでしょうか。 ○佐藤幹事 その後は,そのパブリック・コメントでどの程度意見が出てくるか分かりませんので,とりあえず審議を2月25日以降も続けるということで,その後いつまでというところまでは,まだ予定は立っていないということでございます。 ○神吉関係官 補足して御説明させていただきますが,パブリック・コメントに寄せられた意見の量や内容を事務当局で精査いたしまして,次回の部会で今後の予定について委員・幹事の皆様に御相談させていただけるように検討したいと思います。 ○鎌田部会長 青山委員,どうぞ。 ○青山委員 事前に送っていただきました参考資料24というのは非常に詳細で,今後の審議に非常に役立つ資料だと思っておりますが,さらにこういう資料が予定されているのかどうかということを承りたいと思います。   というのは,これまでの審議の中で,20歳を18歳等に引き下げる場合の条件の整備ということがここでいろいろ問題になってきたのですが,この諸外国の調査の資料は,引下げに至った場合に,引下げの経緯等が詳しく書いてございまして,非常に参考になるのですが,それでは,私どもが審議しておりますような条件整備といいますか,代替措置といいますか,20歳以下の人たちの保護というようなことについて手当てがなされたのかどうか,それは非常に難しい調査かもしれませんけれども,もしそういう資料が手に入れば大変有り難いと思っておりますが,今後そういう資料が予定されているのかどうかということを,もし分かればお聞かせいただきたいと思います。 ○神吉関係官 現時点で,諸外国が成年年齢を引き下げたときにどういった施策をしたかということを今後調査するという予定はしておりません。第7回会議の際に諸外国の成年年齢等の調査結果ということで,諸外国が成年年齢を引き下げた理由等について御説明させていただいたかと思うのですけれども,その際に法務省から外務省を通じて,成年年齢を引き下げた際にどういったことが問題となったのか,その後どうしたのか等についても調査をさせていただいて,分かるところについてはその結果も記載させていただいたというところでございます。 ○鎌田部会長 ほかによろしいでしょうか。   それでは,法制審議会民法成年年齢部会第11回会議を閉会にさせていただきます。   どうもありがとうございました。 -了-