法制審議会 第158回会議 議事録 第1 日 時  平成21年2月4日(水)    自 午後2時00分                         至 午後4時20分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   1 主権免除法制の整備に関する諮問第85号について   2 非訟事件手続法及び家事審判法の改正に関する諮問第87号について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 (開会宣言の後,法務事務次官から次のようにあいさつがあった。) ○小津事務次官 法務事務次官の小津でございます。   本日は,法務大臣がやむを得ない所用のため,この会議に出席できませんので,大臣から託されておりますあいさつを代読させていただきます。   法制審議会第158回会議の開催に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,公私ともに御多用中のところ御出席をいただき,誠にありがとうございます。また,この機会に,皆様方の日ごろの御尽力に対し,厚く御礼を申し上げます。   さて,本日は二つの議題について御審議をお願いしたいと存じます。   議題の第1は,主権免除法制の整備に関する諮問第85号についてでございます。   この諮問事項につきましては,平成20年9月の諮問以後,主権免除法制部会において調査審議が続けられ,その結果,「外国等に対する民事裁判権に係る法制の整備に関する要綱案」が取りまとめられ,本日,部会長から報告されると承知しております。   この諮問事項は,早急にその法整備を図り,適切な措置を講ずる必要がございますので,委員の皆様方には,できる限り速やかに御答申をいただきますようお願い申し上げます。   続きまして,議題の第2は,新たな課題として,非訟事件手続法及び家事審判法の改正に関する諮問第87号についての御審議をお願いしたいと存じます。   本諮問は,その制定以来,実質的な改正がほとんど行われていない非訟事件手続法及び家事審判法につき,現代社会に適合した内容に改める必要があることから,そのために留意すべき事項について御検討をお願いするものでございます。   それでは,これらの議題についての御審議をよろしくお願い申し上げます。 (法務事務次官の退出後,委員の異動紹介があり,引き続き,本日の議題につき次のように審議が進められた。) ○青山会長 審議に入ります前に,本日の会議における議事録の作成方法についてお諮りしたいと存じます。  まず,現在の法制審議会における議事録の作成方法につきまして,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○深山関係官 法制審議会における議事録の作成方法について御説明申し上げます。  法制審議会における議事録の作成方法につきましては,昨年3月に開催されました第156回会議におきまして,原則として発言者名を明らかにした議事録を作成することとし,会長において,委員の意見を聴いた上で,審議事項の内容,部会の検討状況や報告内容にかんがみて,発言者名を明らかにすることにより自由な議論が妨げられるおそれがあると認める場合には,発言者名を明らかにしない議事録を作成することができること,また,議事録の作成方法に関する議論につきましては,非顕名として取り扱うことがそれぞれ決定されております。  したがいまして,皆様方には本日の会議の議事録につきまして,原則どおり発言者名を明らかにしたものとすることでよいかどうかをまず最初にお決めいただく必要があるものと思います。  以上でございます。 ○青山会長 ありがとうございました。  ただいま深山関係官から御説明がありましたように,本日の会議につきまして,議事録の発言者名を顕名とするかどうかということでございますが,会長の私としましては,答申及び諮問事項の内容等にかんがみまして,発言者名を明らかにした議事録を作成することでよいのではないかと考えますが,いかがでございますでしょうか。           (「異議なし」という者あり) ○青山会長 それでは,本日の会議につきましては,発言者名を明らかにした議事録を作成することといたします。  本日の審議に入りたいと存じます。  先ほどの法務大臣あいさつにもございましたように,本日の議題は二つございます。  それでは,第1の議題であります主権免除法制の整備に関する諮問第85号につきまして,御審議をお願いしたいと存じます。  まず,主権免除法制部会における審議の経過及び結果につきまして,部会長を務められました上原部会長から御報告をお願いしたいと思います。 ○上原部会長 主権免除法制部会長の上原でございます。  諮問第85号につきまして,本年1月16日に開催されました主権免除法制部会第6回会議において,「外国等に対する民事裁判権に係る法制の整備に関する要綱案」を決定いたしました。 そこで,その審議の経過及び要綱案の概要につきまして御報告をいたします。  初めに,要綱案の決定に至る審議の経過につきまして御報告いたします。  諮問第85号は,平成20年9月3日に発せられました。その内容は,「外国を当事者とする裁判手続及び外国の財産に対する保全処分又は民事執行に関する裁判権からの免除の範囲等について法制を整備する必要があると思われるので,締結に向けた作業が進められている「国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約(仮称)」を踏まえて検討の上,その要綱を示されたい」というものでございます。  かつては,私人が自国の裁判所で外国国家に対して民事裁判をすることはできないというのが国際的に支配的な立場でありました。しかし,その後,一定の場合には外国に対して民事裁判をすることができるという例外を認める立場が有力になりまして,国内法でいかなる場合に外国に対して民事裁判権を行使できるかという点について規律する国も出てまいりました。  我が国では,いかなる場合に我が国の裁判所で外国に対する民事裁判をすることができるのかという点について定めた法律はございません。最高裁判所は,平成18年7月21日の判決において,外国がその私法的ないし業務管理的な行為については原則的に我が国の民事裁判権から免除されないという,いわゆる制限免除主義を採用することを明らかにいたしました。この事件は,日本の企業が外国政府に対して,コンピューターの売買代金から生じた貸金債務の支払を求めたものです。しかし,我が国の裁判所で外国に対する民事裁判をすることができる範囲については,なお不明確な点が残っております。  そうした中で,平成16年12月に国連総会において,制限免除主義に立ち,国が他の国の民事裁判権に服すべき範囲等,別の方向から表現すれば,私人が自国の裁判所で外国に対する民事裁判をすることができる範囲等を明らかにする条約が採択されました。この条約は,国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約,略称,国連国家免除条約といいますが,我が国も平成19年1月に署名をいたしました。  そこで,我が国としましては,本条約を締結するに当たって,その意味内容を明確化するとともに,本条約の非締約国との関係においても,関係する外国や私人にとって外国がいかなる場合に我が国の民事裁判権に服するのかについて明らかにして法的安定性を高めるべく,この点について規律した国内法を整備する必要性が生じました。  こうした状況の中で,平成20年9月に法制審議会に対して前述のとおりの諮問がされ,これを受けて主権免除法制部会が設置されたものでございます。  当部会では,平成20年9月の第1回会議から諮問についての審議を行い,本年1月16日に開催されました第6回会議におきまして「外国等に対する民事裁判権に係る法制の整備に関する要綱案」の決定をいたしました。  以上が要綱案の決定に至る審議の経過でございます。  次に,要綱案の内容につきまして,その概要を御説明申し上げます。  要綱案は,国連国家免除条約を踏まえまして,制限免除主義の観点から,外国が我が国の民事裁判権に服する場合等を具体的に定めております。  第1の「総則」では,1の適用範囲におきまして,要綱案が刑事裁判権を対象としないことを明らかにしています。  2の定義におきましては,要綱案が規律する対象とする外国等に,外国国家のほかに連邦国家の州なども含まれるということを明らかにするために,「外国等」という言葉の定義を設けております。  第2の「裁判権からの免除の原則」では,外国等は,後ほど御説明いたします第3以下に定めがある場合を除き,原則として我が国の裁判権から免除されることとしております。これは先ほど申し上げましたとおり,国連国家免除条約や要綱案が採用する制限免除主義が,もともと国は他の国の裁判権に服することはないという原則に一定の例外を定めるものであり,この例外に当たらない場合は,国は他の国の裁判権に服することはないという趣旨を確認するものであります。   次は,第3の「裁判手続について免除されない場合」についてです。   そのような場合としまして,外国等が我が国の裁判権に服すべき場合,すなわち我が国の裁判所で外国等に対して民事裁判をすることができる場合を列挙しております。なお,外国等の所有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続につきましては,後ほど御説明いたします第4で別途規律をしております。したがって,第3のところでは,それらの手続を除いた裁判手続について規律しております。   まず,その1から3までにおきましては,外国等が同意などをしたような場合に,その外国等は我が国の裁判権に服すべきこととしております。具体的に申し上げますと,1の外国等の同意では,外国等が特定の事項又は事件について我が国の裁判権に服することに明示的に同意した場合には,その事項又は事件について我が国の裁判権に服すべきこととしております。   2及び3の同意の擬制の①,②では,外国等が自ら我が国の裁判権を利用する場合,つまり原告として訴えを提起したり,裁判手続に参加したり,あるいは被告として反訴を提起した場合等には,我が国の裁判権に服することに同意したものと扱うということにしております。   次に,4から12までにおきましては,外国等が同意等をしなかった場合でも我が国の裁判権に服するべき場合を列挙しております。具体的には,以下の場合に原則として我が国の裁判権に服すべきこととしております。   4の商業的取引は,外国等と私人との間の商業的取引に関する裁判手続について規定をしております。   5の労働契約は,外国等と私人との間の労働契約に関する裁判手続について規定しております。   6の人の死傷又は有体物の滅失等は,主として日本国内で行われた外国等の不法行為などに関する裁判手続について規定しております。   7の不動産に係る権利利益等は,主として日本国内にある不動産に関する裁判手続について規定しております。   8の財産の管理又は処分に係る権利利益は,信託財産であるとか破産者の財産など,我が国の裁判所が関与する財産の管理又は処分に関する裁判手続について規定をしております。   9の知的財産権は,外国等が日本国内においてした知的財産権の侵害等に関する裁判手続について規定しております。   10の法人等の構成員としての資格等というのは,外国等が構成員となっている日本の法人等における構成員としての資格等に関する裁判手続について規定をしております。   11の船舶でありますが,外国等の船舶の運航に関する裁判手続等について規定しております。   12の仲裁合意ですが,仲裁合意の存否や効力をめぐる裁判手続,仲裁判断の取消しを求める裁判手続などについて規定しております。   以上,第3の4から12までを御説明いたしました。   続きまして,第4の「外国等の財産に対する保全処分及び民事執行の手続について免除されない場合」について説明いたします。ここでは,いかなる場合に我が国において外国等の財産に対する保全処分及び民事執行の手続を行うことができるのかということについて,既に御説明をいたしました第3とは別に規律しております。   まず,1の外国等の同意等では,外国等がその財産に対する保全処分又は民事執行に明示的に同意した場合,あるいはその財産を担保として提供したような場合には,保全処分や民事執行をすることができるといたしております。   次に,2の特定の目的に使用される財産では,民事執行の対象となる外国等の財産の性質に着目して,その明示的な同意等がない場合でも,それに対する民事執行をすることができるか否かを規律しております。具体的には,外国等の所有する商業用財産のようなものについては,その明示的な同意等がない場合でもこれに対して民事執行することができるとする一方で,外交使節団の任務の遂行のために使用されるような財産であるとか文化遺産等については,その明示的な同意等がない限りはこれに対して民事執行をすることができないとしております。   さらに,3の日本国以外の国の中央銀行等の取扱いでは,外国等の中央銀行等の所有する財産については,その明示的な同意等がない限り,これに対して民事執行することができないこととしております。   最後に,第5の「補則」では,所要の手続的な事項や補則的な事項を定めております。   具体的には,1の訴状等の送達では,外国等に対する訴状等の送達の方法についての手続的なルールを定めております。   2の外国等の不出頭の場合の取扱いでは,外国等に対するいわゆる欠席判決は,訴状等を送達してから4か月後でなければすることができないことなどを定めております。   また,3の勾引及び過料に関する規定の適用除外では,外国等に対しては勾引及び過料といった制裁の規定を適用してはならないことを定めております。   最後に,4の条約等に基づく特権又は免除との関係では,この要綱案は,条約及び確立された国際法規に基づき規律される外交等の特権,免除に影響を与えるものではないということを確認的に定めたものでございます。   以上,簡単ではございますが,要綱案の概要につきまして御説明を申し上げました。   御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○青山会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの部会長の御報告及び要綱案の全般的な点につきまして,まず,御質問があれば承りたいと思います。   御質問がなければ,次に御意見を伺いたいと思いますが,何か御意見ございますでしょうか。   御意見もないようでございますので,報告原案につきまして採択に移りたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。   特に御異議もないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   それでは,諮問第85号につきまして,主権免除法制部会から報告されましたただいまの「外国等に対する民事裁判権に係る法制の整備に関する要綱案」のとおり答申することに賛成の方は挙手をお願いいたします。           (賛成者挙手) ○青山会長 念のために,反対の方はいらっしゃいますでしょうか。 ○中川参事官 採決の結果を御報告申し上げます。   議長を除くただいまの御出席の委員の数は17名でございますところ,原案に賛成の委員は17名全員で,反対の委員の方はいらっしゃいませんでした。 ○青山会長 ただいま御報告のとおり,採決の結果,全員賛成でございましたので,主権免除法制部会から報告されました「外国等に対する民事裁判権に係る法制の整備に関する要綱案」は,原案のとおり採択されたものと認めます。   採択されました審議結果報告につきましては,この会議終了後,直ちに法務大臣に対して答申することといたします。   どうもありがとうございました。   上原部会長には短期間で精力的な作業をしていただきましてありがとうございました。お疲れさまでございました。   続きまして,二つ目の議題であります非訟事件手続法及び家事審判法の改正に関する諮問第87号に入りたいと思います。   まず初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○金子官房参事官 諮問を朗読させていただきます。   諮問第87号   非訟事件手続法及び家事審判法の現代化を図る上で留意すべき事項につき,御意見を承りたい。 ○青山会長 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経過及びその理由等につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○倉吉幹事 それでは,非訟事件手続法及び家事審判法の改正に関する諮問第87号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等を御説明申し上げます。   まず,非訟事件手続法でございますが,この非訟という言葉は法律家でなければ,およそなじみのない言葉でございます。若干補足いたしますと,非訟と申しますのは,文字どおり訴訟にあらずということでございまして,民事の法律関係に関する事項につきまして,裁判所が通常の訴訟手続にはよらないで簡易な手続で処理をして公権的な判断をするといった一群の事件類型でございます。紛争性の高いものからおよそ紛争性がないものまで,様々なものがあるというのが実際でございます。   非訟事件手続法は,第一編に総則という規定がございますが,この規定があらゆる非訟事件に適用されるという意味で,非訟事件の手続を定める基本法となっているわけでございます。   しかしながら,非訟事件手続法は,当事者能力の規定すら置かれていないなど,手続の基本法として備えるべき規定を十分に備えておりません。このために,解釈上,民事訴訟法を準用するなどして,その不足部分を補っているという状況にございます。さらに,証拠調べなど手続の根幹にかかわる事項についての規定の中に,その趣旨がいささか不明確で解釈上の疑義が生じているものも見受けられるところでございます。したがいまして,手続の基本法として十分なものとすべく,必要な手当てを施す必要があるということになるわけでございます。   加えまして,この法律は,明治31年という随分以前に制定されましたが,その後の我が国の社会経済情勢の変化に伴いまして,非訟事件として処理される事件が多様化し,この法律が制定された当時にはおよそ想定されていなかった類型の事件にもこの非訟事件手続法が適用又は準用されるという事態になってまいりました。例えば,戦後の家事審判法の制定,借地非訟制度及び労働審判法の創設などによりまして,それまで訴訟事件として処理されていたものが非訟事件として処理されるようになったり,新たな事項が非訟事件として処理されることとなるという事態になったわけでございます。しかし,非訟事件手続法は,その制定から今日に至るまで,実質的な改正がほとんど行われておらず,これらの変化に的確に対応できる内容にはなっていない状況にございます。   さらに,この法律の第一編の総則と第二編の民事非訟事件の規定は片仮名で,しかも文語体で表記されているため,国民に分かりにくいという問題もあるわけでございます。   したがいまして,非訟事件手続法については,国民にとってより利用しやすく,現代社会に適合した内容とし,その表記等も改める必要があると考えております。   次に,家事審判法についてでありますが,この法律は,御承知のとおり,家庭裁判所における家事審判及び家事調停の手続を定める基本法でございます。   家事審判法は,昭和22年に制定されたわけですけれども,その後,保全処分の見直しなどが一部改正されたことがありますけれども,全体について改正が行われたことはございません。この間,家庭裁判所における実務では,家事審判事件及び家事調停事件を適切に運営すべく,その手続の進め方等につきまして,様々な工夫や研究が行われておりまして,このことが実務に裨益するところは極めて大きなものがございました。ただ,他方で,現在の家事審判法を前提とした運用の改善を図るということには限界があるのではないかという御指摘もあるところでございます。   また,この間,家事審判法と同様に,家庭をめぐる紛争を扱う手続である人事訴訟手続については,平成15年に人事訴訟法が制定されまして,その手続が改められたところでございます。   さらに申し上げますと,家事審判法の定める家事審判及び家事調停は,最初に申し上げました非訟事件ということになるわけですが,非訟事件手続法第一編総則の規定を包括的に準用しているわけであります。このため,非訟事件手続法を改正するのであれば,その際に家事審判法も併せて改正する必要があるという関係にございます。   したがいまして,家事審判法についても,国民にとってより利用しやすく,現代社会に適合した内容のものに改める必要があるということになります。   そこで,非訟事件手続法と家事審判法の現代化を行うに当たり留意すべき事項につきまして,法制審議会の御意見を伺う必要があると考えた次第でございます。   諮問第87号につきましての御説明は以上のとおりでございます。十分御審議の上,御意見を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 ○青山会長 それでは,ただいま説明がありました諮問第87号につきまして,御質問と御意見を伺いますけれども,まず御質問がございましたら御発言をお願いいたします。   御質問がないようでございますので,それでは,ここで諮問第87号の審議の進め方を含めて御意見を伺いたいと存じます。   御意見がございましたらどうぞよろしくお願いいたします。 ○野村委員 ただいま事務局の御説明を伺いましたけれども,日常生活に非常に大きく関係する事柄を扱っていますけれども,二つの法律はともに裁判所の実務に深く関係して,専門的,技術的な内容を含んでおりますので,検討に当たりましては機動的かつ集中的に審議をする必要があるということで,新たに専門の部会を設置して調査審議をしたらどうかと思います。そして,その結果の報告を受けて,更にこの総会で審議をするというのが適当ではないかと考えます。 ○青山会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。 ○浜田委員 今後の審議の進め方につきましては,野村委員と同じように考えます。それが第1点でございます。   あと1点お願いがございます。非訟事件手続法は,過料に処す場合の手続を定めています。会社法を始めとして,もろもろの組織法の最後の編は罰則にあてられており,その中には過料の規定も並べられています。もろもろの組織は,情報公開がきちんとなされ,説明義務が果たされ,会議がきちんと開催され,登記がなされ,公告がなされるということがあって初めて動くものであるということを支える規定であると思うのですが,実際には,例えば中小会社などの組織の運営管理は,あまりそのようにはなされていません。過料の制裁が現実に加えられるようになれば,事情は変わってくるのではないかと思います。例えば,戦後の会社法制におきましては,役員の改選登記は,任期が来たのに改選登記をしていないということが登記所でチェックすればすぐ分かるものですから,登記官から裁判所に通知するという体制が敷かれるようになりましたところ,役員の改選登記だけは良く守られるようになりました。過料は100万円以下ですけれども,それを支払うよりは改選登記をしたほうが良いという受け止め方が徹底されるようになりました。このような例を見ましても,過料の制度がせっかくあるのですから,もう少しこれを生かす方向がないものかと思われます。私どもが学生に講義をするときにも,このような場合には過料の制裁の規定があると説明するのですが,それが実際にはどのような運用状況にあるのか,実態が良く分かりませんし,余り活用されていないようにも見受けられます。   今回,非訟事件手続法を見直すのであれば,過料の制裁に関しても,実際に運用していこうという立場から見直していくよいチャンスとして生かしていただければ有り難く思います。 ○青山会長 はい,ありがとうございました。   今,野村委員と浜田委員から審議の進め方の問題と,それから浜田委員はそのほかに,非訟事件手続法,家事審判法の審議を進めるならば,具体的な内容としてこの過料について考えていただきたいという御意見でございました。   どうぞ,西田委員。 ○西田委員 私も,浜田委員と全く同じ問題意識を持っております。ただ,今回は漢文調片仮名の部分の現代用語化と家事審判法との関連の修正であろうかと存じますので,もし野村委員御指摘のように部会を設けるとしても,浜田委員の問題意識にまで踏み込むことは恐らく時間的に余裕がないかと存じますが,この過料の制裁の運用については,田中二郎先生以来,極めてその手続が不明確,不備であるということはもう多々指摘されてきたところでありまして,恐らくドイツのように秩序違反法のような行政制裁法という形で,恐らく非訟事件手続法から独立した基本法として更に整備する必要があると存じます。   したがって,今回は難しいかと思いますが,近い将来に行政制裁法というその基本法として,そういう過料事件の手続,規定を整備拡充するという方向及び問題意識は皆様で共有していただければと存じます。 ○青山会長 先ほど途中まで言いましたけれども,まず,審議の進め方として,特別な部会をつくって審議をするかどうかについてまずお諮りしまして,そしてその後で具体的な内容について更に意見をお聞きするということにさせていただきますが,非訟事件手続法,家事審判法は非常に専門的な事項にわたるので,特別な部会を設けて審議をしていただき,その結果を受けてまた総会で審議をするということで進めたいということが2人の委員から提案されたわけでございますけれども,そういう方向で部会をつくるということでよろしゅうございますでしょうか。           (「異議なし」という者あり) ○青山会長 それでは,諮問第87号につきましては,新たに部会を設けて調査審議することに決定いたします。   次に,新たに設置する部会に属すべき総会委員や臨時委員,あるいは幹事に関してでございますが,これらにつきましては,会長に御一任いただきたいと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。           (「異議なし」という者あり) ○青山会長 次に,部会の名称でございますが,諮問事項との関連から,ただいまの諮問第87号につきましては,「非訟事件手続法・家事審判法部会」という名称にしたいと思いますが,いかがでございますでしょうか。   特に御異議もないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   それでは,もとに戻りまして,その部会において非訟事件手続法,家事審判法について審議を進めていただく際に何か御注意いただくべき点があれば,先ほどの過料の点以外の点でも結構でございますが,こういう点について注意をしてほしいとか,こういう改正を目指してほしいという御意見があれば,どうぞ御発言をお願いしたいと思います。 ○櫻田委員 私も希望と申しますか,事項でございますが,国際関係の裁判管轄でございます。民事訴訟については現在審議中ということだろうと思いますが,この家事事件につきましても,国際裁判管轄を考えていただきたいというのが,特に調停委員などをしておりますと,現場での大変な問題だろうと思いますので,そういう点がどうなっていくのだろうかということで,今回は恐らく無理だろうと思いますが,その国際裁判管轄の問題,それから,もう一つは外国の裁判の承認の問題でございます。これもドイツなどでは法制上規定されているわけですから,日本でもそういうのが必要になるのではないかなと考えておりますし,ひょっとすると審議の内容にも響いてくることがあるのではないかと考えておりますので,その辺をできましたらお考えいただきたいと思います。 ○青山会長 どうぞ,倉吉幹事。 ○倉吉幹事 それでは,事務当局限りの今の状況を御説明したいと思います。   最初に浜田委員と西田委員からの御指摘の点でございますが,結論から申し上げると,事務当局としては西田委員と同じ考えです。   非訟事件手続法は,第一編に総則,第二編に民事非訟事件となっておりまして,第三編が公示催告事件,そして第四編が先ほど御指摘のあった過料事件という構成になっております。第三編と第四編は改正をしたときに平仮名口語体に変わっております。第一編と第二編だけが片仮名文語体のままだと。これは単純に片仮名を平仮名に改め,文語体を口語体に改めただけでは駄目で,抜本的にそこの手続を改めないときちんとした改正にならないというのがあったからでございます。   そういうこともありまして,これだけでも大変な作業でございまして,とりあえず今回は第一編と第二編ということでやらせていただきたいと思っております。第四編の過料については,運用の問題も多々あろうかと思いますので,西田委員の御指摘も含めて重く受け止めて事務当局としては取り組んでまいりたいと思っております。   それから,櫻田委員から御指摘のありました国際裁判管轄ですが,これは今,民事訴訟のほうは現在検討中でございまして,家事事件についてはまだ今回の調査審議で手をつけるというのはちょっといささか問題も大きくて難しいかなと思っております。   それから,外国裁判の承認につきましても,いろいろなところで国際的にも問題になっているところでありまして,事務当局としても検討は続けていかなければならないと思っておりますが,今回の諮問ではちょっと御容赦願いたいと思っているところでございます。   以上でございます。 ○青山会長 ほかに何か御意見ございますでしょうか。 ○野村委員 現代語化の点なのですけれども,分かりやすさということが非常に重要な要素だと思うのですが,法律家にとっての分かりやすさと,それから国民にとっての分かりやすさというのは,多少違うのかなと思っておりまして,明治時代のいろいろつくられてきた用語で確かに分かりにくいのはたくさんありますけれども,ある程度法律家の中で定着していて,それを置き換えると中身が少しぼやけてくるというようなところもあろうかと思いますので,その辺のバランスというようなものをお考えいただければと思います。 ○青山会長 ほかに何かございますでしょうか。   どうぞ,城口委員。 ○城口委員 家事審判法の関係なのですけれども,実務をやっていると,これの調停にしろ,審判にしろ,効力の具体化といいますか,いろいろな決まったものについて具体的に満足させるような制度が非常に弱いように思って,弱い夫婦関係などで,妻の立場がなかなか守られず,実質的には審判を得たけれども,あるいは調停調書に作成はされたけれども,その内容が具体化されないというような事態が非常に多いのです。何かそういった内容を具体的に満足させるよりよい方法がないものかと思うのです。当事者の履行にのみ任せる,あるいは債務名義を得て強制執行をするなどと言っても,その執行を行おうとする対象が非常に不明確であったりなかったり,満足をすることが困難,あるいは不可能であるというような事態が常につきまとっているわけです。   したがって,給与支払を受ける者,あるいは個人事業を行う者などに対する何か具体的なもっと強力な方法がないだろうかという問題についての検討も加えられたら有り難いなと思っています。 ○青山会長 はい,ありがとうございます。   それでは,諮問第87号につきましては,先ほど御決定いただきましたように特別の部会をつくって審議をしていただくということにいたしまして,その部会での審議に基づきまして,またこの総会において更に御意見を伺う機会があると思いますので,よろしくお願いしたいと思います。   それでは,ここで休憩をとりたいと思います。           (休     憩) ○青山会長 それでは,審議を再開いたします。   前回の総会におきまして,委員の方から,現在調査審議中の部会についても適宜,中間報告をしていただき,そこで意見を述べる機会を設けてほしい旨の御発言がございました。   今日は,被収容人員適正化方策に関する部会の川端部会長,それから民法成年年齢部会の鎌田部会長にお越しいただいておりますので,この二つの部会におけるこれまでの審議状況等の御報告をしていただき,その後,委員の皆様から御意見をお伺いしたいと存じます。   まず,被収容人員適正化方策に関する部会における審議の過程,経過につきまして,川端部会長から御報告をお願いいたします。 ○川端部会長 被収容人員の適正化方策に関する部会の部会長を務めております川端でございます。   同部会の審議経過について中間報告を致したいと存じます。   平成18年7月26日,法務大臣から被収容人員適正化方策に関する諮問第77号が諮問されました。   この諮問は,被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から,刑事施設に収容しないで行う処遇を充実・強化する方策を検討することを趣旨とするものでございます。   そして,法制審議会第149回会議において,この諮問については,まず部会において審議すべき旨決定され,そのための部会として被収容人員適正化方策に関する部会を設けることが決定されました。以下,簡単に「部会」と申し上げます。   部会では,「社会奉仕を義務付ける制度の導入の当否」,「その他の社会内処遇や中間処遇の在り方」,「刑執行終了者の処遇の在り方」,「保釈の在り方」などのそれぞれ大きなテーマに関し,欧米諸国の関連諸制度の調査検討を含め,これまで18回にわたり,幅広く議論してまいりました。   そして,これまでの部会における議論の状況を踏まえまして,昨年10月の第17回会議において,保護観察の一内容として社会奉仕活動を行う制度と,刑の一部の執行猶予を可能とする制度について,それぞれの具体的な制度案をたたき台としつつ,より具体的な議論を行っていくこととされました。そこで,本年1月29日に開催されました第18回会議におきまして,事務当局から,「刑の一部の執行猶予制度に関する参考試案」と「社会貢献活動を特別遵守事項とする制度に関する参考試案」の二つの参考試案が示され,今後,当面は,これをたたき台として議論を行っていくこととなりました。   それでは,各参考試案につきまして,簡単に御説明させていただきます。   まず,「刑の一部の執行猶予制度に関する参考試案」でございます。   第1の「初入者に対する刑の一部の執行猶予制度」は,比較的軽い罪を犯し,現行制度で実刑が言い渡される場合と執行猶予が言い渡される場合の中間の刑責を有するとともに,一定期間の施設内処遇と相応の期間の社会内処遇を実施することが再犯防止・改善更生に有用かつ必要な者に対し,その刑責を果たさせつつ,施設内処遇と社会内処遇を連携させて再犯防止・改善更生を図ることを趣旨とするものでございます。   また,第2の「薬物使用者に対する刑の一部の執行猶予制度」は,参考試案第1の対象とならない薬物使用者に対し,その刑事責任の範囲内において,まず刑事施設において薬物への傾向性改善の処遇を行った上,引き続き,その効果を維持・強化するため,薬物の誘惑のあり得る社会内において,相応の期間にわたり適切な社会内処遇を十分に受けさせることを可能とし,その刑責を果たさせつつ,施設内処遇と社会内処遇を連携させて再犯防止・改善を図ることを趣旨とするものでございます。具体的には,例えば懲役1年6月,うち懲役6月につき2年間その執行を猶予するとの判決を言い渡した場合には,懲役1年6月のうち,まず1年について実刑として施設内処遇を実施し,残る懲役6月については,2年間の執行猶予として社会内処遇を実施するということとなります。   続きまして,「社会貢献活動を特別遵守事項とする制度に関する参考試案」でございます。   これは,保護観察処遇の選択肢を拡充し,保護観察対象者に社会貢献活動を特別遵守事項として義務付けることができるものとすることにより,その善良な社会の一員としての意識のかん養及び規範意識の向上を図り,その再犯防止・改善更生を図ることを趣旨とするものでございます。   以上,簡単ではございますが,被収容人員適正化方策に関する部会におけるこれまでの審議経過についての中間報告とさせていただきたいと存じます。   よろしくお願いします。 ○青山会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの川端部会長からの審議経過及びその内容につきまして,御質問や御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。   西田委員,どうぞ。 ○西田委員 2点質問いたします。   まず,刑の一部の執行猶予制度に関する参考試案の件でございますが,趣旨はよく分かりますが,部会名が被収容人員適正化方策に関する部会という,いわゆる過剰収容を緩和ないし解消したいという動機でつくられた部会だと私は了解しておりますが,そのための方策として,一つの社会内処遇というものを取り入れる。そういう形で早期に施設から社会に移して処遇すると。そのときの理念といいますか,それは過剰収容の解消なのか,それとも社会内処遇というものが極めてこれは適切な社会内処遇であると考えてこのような立法をするのか,その部分がいま一つ,この部会の名前と,それから実際に出てきた方向性というものがどういう関係にあるか,これが第1点でございます。   第2点は簡単なことで,参考試案の表題は,社会貢献活動となっておりますが,先ほど川端部会長自身が社会奉仕活動という言葉を使われました。普通,ソーシャルサービスオーダーということで,日本語としては社会奉仕活動とこれまで訳されてきたと思います。恐らくこれは更生保護法第51条の特別遵守事項の中の一つとして加えられることになろうかと思いますので,この社会貢献活動という文言は法律の中には残らないとは存じますけれども,奉仕から貢献というふうに変更された趣旨をお伺いしたい。 ○川端部会長 ただいまの西田委員からの御質問でございますが,詳細につきましては後で事務当局から御説明させていただきます。第1点は名称との関連ですが,諮問第77号は,被収容人員の適正化だけではなくて,再犯防止も目的としておりますので,それに合わせて,被収容人員の適正化を図ると同時に,再社会化という意味での再犯防止の視点も加えて検討するということで審議を進めてきております。   それから,第2点の社会奉仕活動の名称の問題につきましても,部会でもいろいろ議論をいたしましたが,社会奉仕という名称に対する我が国及び諸外国でのとらえ方,文化的背景なども考慮いたしまして,この名称が適切ではないだろうかというのが現時点での事務当局の意見でございます。 ○甲斐関係官 事務当局から御説明をさせていただきます。   1点目につきましては,今,部会長からお話がありましたように,諮問事項は被収容人員の適正化ということと再犯防止ということの二つがあいまって掲げられています。御指摘のように,部会の名称自体は被収容人員の適正化ということだけを取り上げていますので,あたかもそれが主な目的のように見えてしまうかもしれませんけれども,諮問の内容自体は二つがあいまってということになっております。したがいまして,部会で議論されたのは,刑事施設に収容しないで行う処遇を充実・強化することによって再犯を防止していくための方策としてどのようなものがあるだろうかということで議論をされたものと思っております。したがって,必ずしも,とにかく社会に出して減らせばいいということで議論がされたわけではなくて,どうやって社会内で再犯防止していくのがいいか,それによってまた併せて過剰収容を緩和していくことができるのかというような観点で御議論されたと思っております。   それから,2点目の社会貢献活動という名称でございます。これも当初はこの度,社会奉仕命令というものが導入できるかどうかということでずっと議論がされておりました。具体的な制度をたたき台として議論することになりまして,事務当局から今日御覧いただいた試案をお示ししたところでございます。これを作成するに当たりまして,今回の社会奉仕命令というか,そういった活動について,言わば保護観察の特別遵守事項の一つとする,要するにそれを義務付けるような形のものとして位置付けてはどうかというのが試案の内容でございます。そうしますと,社会奉仕という言葉自体が,一般に日本ではボランティアというようなことでとられている部分が多うございますけれども,他方で,こういった制度に組み込んで,ある意味義務付けていくということがボランティアという言葉の印象となじむのかどうかということが問題になりました。そういった点を強調するよりも,むしろ保護観察になった人がそういう活動をすることによって社会に貢献する,それがひいてはまたその対象者の再犯防止,社会復帰に役立つという観点をとらえて,社会貢献活動というような名前にしてはどうかということになったものでございます。 ○西田委員 重ねてもう1点だけお伺いいたします。   刑の一部執行猶予というのは,判決言渡しのときになされることになると思いますが,行刑の段階で改善更生の進捗状況を見て判断するのではなく,判決言渡し時に既に将来を予測して刑の一部執行猶予を言い渡すということが可能ではあるとしても,それはどういう情報によって,情状によって言い渡すのか,検察官が論告求刑のときに既に一部執行猶予の論告求刑をするのか,それとも主として裁判所がそれを判断するのか。現在,部会の御議論ではどのようなお考えなのか承っておきたいと思います。 ○甲斐関係官 今,似た制度として仮釈放という制度がありまして,懲役3年という実刑になれば,その実際の刑の執行の状況を見て,反省の度合いなどを勘案して地方更生保護委員会において仮釈放の可否を決定するということになるわけです。   これに対して,今回議論をされているのは,西田委員がおっしゃっているように,判決の段階で,一定の時点で,あとは刑の執行猶予というような形にしてはどうかということを判断していただくということになります。それを判決時において将来予測ができるのかということも御議論がされておりましたけれども,参考試案としてお示ししたものは,初入者に対するものも薬物使用者に対するものも同じでございますが,3年以下の懲役に処する場合に限っております。したがって,懲役10年に処するけれども,残りの最後の3年を執行猶予にするというような非常に遠いところを判断する制度を考えているわけではなくて,比較的短期のもので,その中で執行猶予部分を付けることが適当かどうかということを考えていくという制度でありますので,比較的近いところのことをイメージしているというのが1点でございます。   それから,それを判断するに当たっての情報という点でございますが,これも今のところの刑事訴訟手続の中で特別にこれのための情報収集の手続を設けるというところまでは話は進んでおりませんで,むしろ刑事訴訟の中でその被告人の情状に関する資料が検察官あるいは弁護人から提出されて,それに基づき,本人に刑責を果たさせつつ,改善更生のためにどういう刑を科すのが適当かということを判断していただくということになるだろうと思います。求刑をどういう形でやるのかというのは運用に属する事柄でございますので,まだそれがどういうふうになるかというのは決まっているわけではございません。けれども,現在の運用でも,普通は懲役3年なら3年を求刑しますという意見が述べられることが多いわけでございますが,執行猶予になるだろうという見込みなりが強い場合に,それを前提に,例えば,執行猶予を付ける場合には保護観察が適当だという意見をつけることもあろうかと思いますので,そこは運用の中でまた検討していくことになろうかと思います。 ○青山会長 よろしゅうございますでしょうか。   ほかの委員の方はいかがでしょうか。   どうぞ,城口委員。 ○城口委員 質問と意見みたいな感じになるかもしれませんけれども,一つは,初入者に対する刑の一部の執行猶予制度についてです。これは初入者に限定をするという特段の理由がおありなのかどうかというと,いろいろとやってみると累犯の人にもなかなか実刑にするか執行猶予にするか,あるいはその中間的なこういったような制度にするかというのは悩まれる事件が結構あり得るのではないかという気もするのですが,そういった累犯者には今後広げていく可能性があるのかどうかというのが1点です。   それから,裁判官が判断しようとすると,実刑にするか執行猶予を付けるかというのは非常に迷うところで,片や執行猶予と実刑とは当事者から見るとゼロと100ぐらいに違いがあるのです。そういうことで,中間的な制度を設けるということは非常に賛成の方向だと私は思うのですが,これが逆に裁判官が判断するに当たって,気持ちの上では一部実刑というか,実刑にしやすいという心理状態にならないか。逆に言うと実刑の場合が増える可能性はないのかどうかという,そういう点での検討はどんなふうになされるでしょうか。   第3は,今でもそうなのですけれども,再犯を防止するという観点から見ると,社会に出て次の仕事あるいは住居を確保するというような方,被告であった人は,非常に困難を極めていて,今行われているそういった点についての施策というか施設というのは極めて限定的で,期間的にも限定的ですし,方策的にも限定的にしか運用されていません。そういったようなことをもっと広げることを大胆に提言するという,そういう方策提言というのもこの中にもあってしかるべきかなという気がします。そのようなところを併せて御検討の対象となっているのかどうか,そういうようなことをお話しいただければ幸いです。 ○川端部会長 初入者に限定するという点ですが,これは先ほど御報告申し上げましたように,実刑と執行猶予の中間の刑責を有する者を対象にして新たな枠をつくるという趣旨でございますので,初入者ということになるかと思います。   実刑の言渡しがやりやすくなるのかどうかという点ですけれども,これは裁判官の判断の問題でございますので,これから部会においてその可能性がどうなるのかについて,裁判所からおいでの委員・幹事にいろいろお伺いしながら,更に検討していきたいと考えております。   それから,施設等に関しましては,当部会でどこまで検討できるか分かりませんが,これについても城口委員からの御意見があったことをお伝えして,さらにそれについても議論をさせていただきたいと考えております。 ○甲斐関係官 少しだけ補足をさせていただきたいと思いますが,この刑の一部の執行猶予制度をどういう場合に活用していくのかという点も,部会での一つの御議論だったと思います。そこで出てきたのは,まず,比較的軽い罪を犯した人について実刑にある意味せざるを得ない場合であっても,実刑になった後も相応の執行猶予期間を設けて社会内処遇の期間を設け,また再犯を犯さないようにするということにしてはどうかという議論でした。これは特に短期の刑罰になる場合に顕著でございまして,例えば道交法違反で無免許運転を何回も繰り返す,最終的にもう実刑になるわけですが,その場合でもせいぜい刑期は6か月というようなことになるわけです。そういった場合に,刑務所に収容して,仮釈放制度を活用するにしても,仮釈放期間で社会内処遇をとれる期間というのは,その6か月の中のさらに一部ということになりますので,非常に短くなるということになります。それではなかなか再犯防止という意味では不十分で,もう少し長い期間,社会内処遇がとれるようにしたほうがいいのではないかと思われます。逆に,ある程度長期間の刑を言い渡せる場合であれば,仮釈放でもってそれなりの期間をとる可能性も出てきますので,その必要性は前者の場合に比べれば比較的少ないのではないかという考慮が一つあったわけでございます。   先ほどのもう一つの薬物の話がございましたが,刑の一部の執行猶予制度を考えるに当たって,初入者に対する場合と,そのほかに非常に常習性の高い者についても同じようなものが効果的ではないかという議論がありました。その典型がいわゆる薬物使用者でありますので,それについては,累犯者であっても刑の一部執行猶予が適用になり得る余地を設けてはどうかということで,この二つの類型が切り出されたということでございます。   それから,2番目の実刑が増えるかどうかというのは,部会長がおっしゃられたように,これは実際の裁判官の御判断にもよろうかと思いますが,この制度を考えるに当たって,刑がどうなるかということについては,基本的な考え方としては,制度を入れる前あるいは入れた後で,刑事責任そのものの重さを何か変えるわけではないという基本的な前提で考えております。例えば,現行制度で一定期間の実刑判決を受けるような者について,この制度があった場合に,実刑として言い渡す刑期を現行制度より短くした上で,残りの刑期の執行を猶予し,他方で,全体の刑期を相応に長いものとして量刑を行い,全体として現行制度の場合と刑事責任の重さを変えるわけではないということでございます。つまりは,刑のありようを変更して,より適切に再犯防止を図っていってはどうかということでございますので,前提の考え方としてそういうものでございます。   3点目で御指摘いただいた点につきましては,今,再犯防止のためにいろいろな手当てをしていくことが重要であるということで法務省としても取り組んでいるところでございます。特に,刑を受けた者について就労支援をしていくということが非常に重要であるということが認識されていて,法務省としても関係機関と協力して,なるべくきちんと働いてもらえるようにして再犯を防止していくという取組を進めているというふうに聞いております。 ○青山会長 よろしゅうございますか。   それでは,猪口委員。 ○猪口委員 刑の一部執行猶予制度について,一つ質問があります。私はおおむねこの中間報告に大賛成なのです。何かちょっと分からないのが,被収容人員の適正化ということです。今の施設から見て,もう満員だから何とかという感じが非常に強くて,復帰支援というのと再犯防止と考えるわけなのですけれども,復帰支援に関して,日本の司法社会は昔ほどしっかりやっていないのではないかなという気がするのと,それから,再犯防止はどこまでできているのかというのがちょっと分からない。   それで,極端なアメリカの例を見ると非常にはっきりします。要するに再犯防止なんて無理だというので,犯罪を犯したらすぐに刑務所に入れちゃって,今もう人口3億のうち刑務所にいる人が300万に届かんというばかりになっています。日本の場合は人口1億ちょっとで刑務所に入っている人が10万にならないかぐらいかと思います。だから,そういう体制でやるというなら,再犯防止についても復帰支援についても頑張らなければ駄目だと思うのです。ただ,アメリカの場合は刑務所をつくることに対して,地域振興,総合サービス産業みたいにとらえていますから,給食とか病院とかスポーツとか教育研修みたいなのを全部入れたところなものですから,地域振興としてとらえるので,刑務所誘致というのが結構場所によっては積極的なのです。日本の場合は絶対嫌だというのがほとんどなので,この適正ということを言う前にも見解が激しいので,何とかこれも考えておかないと,再犯防止とか復帰支援だけで何かできるような問題でもないような感じがします。   だから,その辺の問題については,この中間報告の御趣旨は誠に結構で,このラインでいけたらいいなと思います。社会が変わっていることをかんがみて,被収容人員の適正化なんて,こんなのあっという間に変わるかもしれない感じがしないでもありません。何か法務省の所管をもう超えているといえば終わりなのですが,むしろ啓発的なものを入れたようなものを入れていってくれたらいいのではないでしょうか。それは被収容人員の適正化というか,施設をもうちょっと増やせというと,今度はみんな入りたがる人が増えたりしても困るし。ただ,私はやはり裁判所でしっかりこうだというふうに執行猶予がつかないといったときに,それが収容人数が上天井についているので入れられないという感じでどんどんやわらかくなるというのも正義の実現のためによくない感じもしますし,再犯防止も本当に人の意識とかを変えるのはきちんとできるのかというの,それから復帰支援というのはものすごく難しいと思うのですけれども,どんなふうにやっているのですか。酒飲んで運転したのを何回か重ねると言っているけれども,その復帰支援についても,そんなアルコールを飲むのを見ているのかといったって,だれがモニターできるかも分からないし,何か私はちょっとこの三つの変数というか,三つのこともどれもみんなやりにくくて,川端委員は大変かななんて思ったりしておるわけでございます。 ○川端部会長 非常に力強い激励をいただいた感じでうれしく思っております。非常に困難な問題について,いろいろな要素を加味しながら検討を加えて,充実した審議が続いてきているというのが実情かと思っておりますが,今後も,きちんとした成案を得ることができるよう,詰めた議論を進めてまいりたいと存じます。   過剰収容の状況ですが,若干減少化は見られるのですが,なお依然として続いているという状況がございます。この点につきましては後で事務当局から詳しく御説明いただければと思います。   それから,刑務所等の誘致に関しましては,こぞって反対という状況ではございませんで,最近ではむしろ地域の活性化などの観点から,地方自治体からの誘致もあるように仄聞いたしております。 ○甲斐関係官 刑事施設の収容人員の状況について御報告いたしますが,平成17年末におきましては,収容定員が7万6,043人であったのに対しまして,7万9,055人となっておりました。これは既決の者(受刑者)と未決の者(捜査あるいは公判中の者)と両方合わせての数でございまして,収容率としては104パーセントでございます。ただ,既決,受刑者の部分に限った収容率は116パーセントとなっておりまして,非常に高い水準であったわけでございます。   その後,部会長からもお話がありましたように,刑事施設の増設等もしていただきまして,平成20年末の収容人員,これは速報値でございますが,収容定員が8万7,754人に増加しております。それに対して収容人員が7万6,881人という数字になっておりまして,収容率としては先ほどの104パーセントから87.6パーセントまで下がっております。これも既決のところだけを見ますと97.6パーセントということで,ぎりぎり100パーセントは切る状況になっていると聞いております。ただ,これは全部をトータルして勘定した数字でございまして,刑務所によっては重い分類のところ,軽い分類のところ,いろいろございますので,やはりそこはばらつきがまだあって,まだまだ厳しい状況だというふうには聞いております。 ○青山会長 どうぞ,白木委員。 ○白木委員 今,部会長もお触れになりましたように,最近,民間刑務所というのができておりまして,私の記憶では確か全国に今四つあると思いますが,私はそのうちの一つ,島根県のあさひ社会復帰促進センターを拝見いたしましたが,すばらしい施設です。この施設の職員の半分は,いわゆる警備会社の職員で,あとの半分がいわゆる従前の刑務所職員ということのようですが,これができたことによって地域は大歓迎ということです。町なかではもちろんありませんけれども,職も増えるとか,それから,収容者がそれほど凶悪犯ではないという面ももちろんあるのですけれども,地域的にも大変大歓迎されているということで,私は大変感銘を受けて見てまいりました。   それから,私のほうからも質問させていただきたいのですが,まだそこまで議論がされていないのかもしれませんが,刑の一部の執行猶予が言い渡されると,まずは一部実刑が執行されるということなのですが,その一部実刑部分については仮釈放は認められないということなのですか。そういったことはまだ議論はされていないのでしょうか。 ○甲斐関係官 その点については,今後部会で御議論されることになると思いますが,この参考試案の考えとしては認め得る形になっております。したがいまして,実刑部分について特に情状がよければ仮釈放になって,その後,引き続き執行猶予部分に移っていくという可能性も否定はしていないということになります。 ○白木委員 そうすると,かなり複雑になるというか,仮釈放期間中に再犯を犯した場合に,執行猶予だけ取り消されて収容されるということになるのか,あるいは仮釈放部分だけ取り消されるのか,あるいは両方になるのか,かなりやっかいな判断をまた将来,裁判所は迫られるのかなという感じがいたしました。感想までです。 ○甲斐関係官 その取消しの関係をどうするかというのはまたよく整理をさせていただきたいと思いますが,仮釈放のときに再犯を犯せば,その部分でもう仮釈放は取消しになるであろうと。それから,それを無事過ぎて執行猶予部分に移ってから悪いことをまたやったということになれば,その時点で執行猶予が取り消されるという形になるのだろうと思いますが,その前後の部分はまたよく検討させていただきたいと思います。 ○白木委員 ありがとうございました。 ○青山会長 ほかに何か御意見はございますでしょうか。   どうぞ,八丁地委員。 ○八丁地委員 先ほども同じ御質問がございましたが,社会貢献活動というのは,少しなじまない感じがいたしました。先ほどの御説明を,奉仕というのはボランティアでのニュアンスが強い活動であり,義務付けをする活動は貢献であるという趣旨と私は理解しました。社会貢献活動を企業人の立場で考えますと,企業の社会的責任という言葉がすぐ出てきまして,個人の社会的貢献というのは語られることが少ないと思います。企業の社会貢献活動と申しますと,これはもう義務ではなくて,義務を果たした上で,さらにボランティアで自主的に行う活動をいい,企業の社会的責任の一部を形成します。基本的な法に準ずる活動と,ソーシャルコントリビューションと訳される社会貢献の活動と,もっと積極的にやる自発的な活動から,いわゆるCSR(Corporate Social Responsibility)の体系ができていると理解しております。ゆえに,部会長の言われた御趣旨ですと,私はサービスの意味での奉仕と言われたほうが分かりやすいのではないかと思います。 ○青山会長 ほかに何か御意見ございますでしょうか。   どうぞ,佐々木委員。 ○佐々木委員 社会貢献活動というのは,具体的にはどのような場所で,どのような内容を,そして監督があるのかないのかなど今の時点ではどのように考えられているのか教えていただけますか。 ○川端部会長 まず大枠からお話し申し上げますが,例えば,公共施設等を掃除するなどという活動と,介護施設での介護活動などが主な具体的なイメージとして提示されております。 ○甲斐関係官 これに類する活動というのは,実は現在既に行われております。今回の試案は,そのような活動を保護観察の特別遵守事項ということで位置付けてはどうかということで出しているわけですが,現在行われているものはそういうものではなくて,成人ではなく少年で保護観察になった者について,処遇の一つとして社会参加活動というものをやっております。そこで,スポーツをやったりすることももちろんあるわけですが,その中でいろいろな活動をしていて,例えば,今,部会長がおっしゃられた高齢者に対する介護活動でありますとか,清掃,環境の美化活動でありますとか,そういったことが行われているというふうに聞いております。平成19年度の実績としては,その参加人数が1,500人程度行われているというふうに聞いております。 ○佐々木委員 ほかの方からも御意見がありましたけれども,やはり貢献という言葉なのか奉仕なのかという言葉でもこれだけ意見が出ることでもありますし,それから,多分,確か先ほどの説明の中にも一部社会的な制裁という言葉が出たように聞こえたのですが,ちょっと聞き間違えかもしれませんが,社会の中でつまり何をすることが目的なのか。例えば,罪を犯した人が償うために掃除をするという考え方になると,掃除というのはすごいネガティブな仕事になるわけです。物の考え方として,どういう哲学に基づいてこの社会活動というものを取り入れるのかということは意外と重要ではないかなと思うのです。つまりは,今は罪を犯した人に対しての中で考えていますが,本来,法律なり法を超えて倫理的な人を国が育てるということであれば,先ほど来出ている基本なルールを守った上で社会貢献活動に参加するような人格が育てられれば,本来一番正しい方向だと思うのですが,そう思ったときの社会活動の在り方とか貢献活動の在り方ということを一方で子供たちや社会人に教育をしようとしている動きがある中で,制裁の一つというか,罰としてこの社会貢献活動を取り入れるというのは,私は反対ではありませんが,ちょっと今,私自身も明確にこれがいいというふうに言えないのが残念ですが,少し丁寧に言葉の使い方や仕組みを考えていったほうがよいのではないかなという気がするのです。   以前お話ししたかもしれませんが,私が取材をしたアメリカのティーンズコートという,軽犯罪をした子供たちが警察のデータからも罪を犯したことを抹消してもらうための実際の法律で守られた10代の裁判というのがありますが,これは社会奉仕と,それから陪審員として参加することの2種類が自分の犯罪レコードを消すための仕組みにもう組み込まれていて,奉仕活動をする場所も明確になっているし,マキシマムの時間も明確になっていて,時間数を選ぶというような仕組みなのです。これは10代の子供たちであるということと,軽犯罪を起こした人が二度と起こさないために社会に奉仕したりしながら学習するとか,陪審員の立場になってほかの罪を犯した人のことをよく聞いて,自分ももう一回考える機会を持つとか,いろいろな哲学によって多分できたと思うのです。   今回ももちろんそういう中で出てきていることだと思いますし,基本的な方向としていいと思うのですが,やはり奉仕か貢献かという言葉,ディスカッションに代表されるように,ちょっとここは丁寧に,この法律だけではなく社会全体,これからの日本人が子供も大人も含めてどのような人に育っていったらいいのかという意味での社会活動との整合性というのでしょうか,そのようなところまで少し思いをはせて,ちょっとここを丁寧な言葉遣いや仕組みづくりをしていただけるように御検討いただきたいと思います。 ○川端部会長 ただいまの点でございますが,社会貢献活動の目的につきましても部会では何度も議論を重ねておりますが,佐々木委員からの御指摘の点も踏まえ,更に検討させていただきたいと存じます。 ○青山会長 ほかに御意見ございますでしょうか。   はい,どうぞ,萩原委員。 ○萩原委員 この社会貢献といい,社会奉仕といい,言葉はいろいろあるのでしょうけれども,この案件も刑の一部の執行猶予制度に関することもそれぞれ大変大事な問題で,独立してそれぞれ考えていくべきものなのではないのかなと。そもそもこの収容するキャパシティーがいっぱいなのかどうかという問題と,この二つのものを本当に連結して考えていくべきなのかどうかという点について,若干疑問なしとしない。もともとその収容場所がないというなら,この問題についてどうするんだというのは独立して考えるべきではないのかと。そこにこういうやり方でやればある程度のキャパシティーの中におさまるではないかというような考え方で本当にいいのかと。私は別に解を持っていないのですけれども,そういう根本的な問題はこの部会の中で議論になったのでしょうか。その辺教えてほしいと思います。 ○川端部会長 ただいまの点でございますが,確かにこれはある意味で相対立する側面のある要素があり,両者の関係をどうするかにつきましては,諮問を受けて部会として議論を始めて来ている関係で,どうしても諮問事項の範囲内という大前提のもとで,その枠内でどういう具体的な案を出すことができるか,それを総会において御議論いただくにはどうすればいいかが主な関心事になったということもあろうかと思います。本日いろいろ御指摘をいただきましたが,成案を検討する段階で,御指摘の点も踏まえて,更に検討させていただきたいと存じます。 ○萩原委員 分かりました。 ○青山会長 よろしゅうございますでしょうか。   それでは,ただいま多くの委員からいろいろな意見や御注文がございましたので,川端部会長のもとで更に審議を進めて,成案ができたらまたここで御報告いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○川端部会長 本日はいろいろ御意見をいただきまして誠にありがとうございました。御意見を踏まえまして,再検討させていただきたいと存じます。 ○青山会長 どうも御苦労さまでございました。   それでは,続きまして,民法成年年齢部会における審議の経過につきまして,部会長を務めております鎌田部会長から御報告をお願いしたいと思います。 ○鎌田部会長 民法成年年齢部会におきまして部会長を務めさせていただいております鎌田でございます。   民法成年年齢部会におけるこれまでの審議状況等について御報告いたします。   民法の成年年齢の引下げにつきましては,昨年2月,法制審議会第155回会議において諮問が行われ,民法成年年齢部会が設置されました。民法成年年齢部会では昨年3月から12月までの間,約1か月に1回のペースで合計11回の会議を開催し,教育関係者,消費者問題の関係者等の専門家,有識者等から,成年年齢の引下げの是非や成年年齢を引き下げた場合の問題点等に関してヒアリングを行いました。また,部会のメンバーが高校や大学に赴き,高校生や大学生,さらには留学生とも意見交換を行った上,成年年齢の引下げや成年年齢を引き下げるためにどのような環境・条件整備が必要かなどについて議論を重ねてまいりました。昨年12月16日の第11回会議におきまして,民法の成年年齢の引下げについての中間報告書の取りまとめを行い,これについて翌17日から先月末を期限といたしまして,事務当局においてパブリック・コメントの手続を行ってまいりました。本日はこの中間報告書の概要について御紹介いたします。   中間報告書はこれまでの審議状況を紹介するものですが,その要旨を申し上げますと,成年年齢の引下げの当否につきましては賛否両論あり,意見の集約を見るには至っておりません。しかし,成年年齢を引き下げますと,若年者の消費者被害の拡大などの問題が生じるため,教育の改革など一定の施策を講じる必要があり,これらの施策は,若年者の将来,我が国の将来を見据えて政府全体で取り組むべきであるということについては意見が一致いたしました。すなわち,民法の成年年齢は親の同意なく一人で契約を締結することができる年齢でありますし,父母の親権に服する年齢を定めるものでもありますが,成年年齢を引き下げますと,これらの年齢も引き下げられることになります。   まず,契約を一人ですることができる年齢が引き下げられますと,親から独立した18歳,19歳の者が親の同意なく契約をすることができるようになりますが,一方において若年者の消費者被害が拡大するおそれがあります。また,親権に服する年齢が引き下げられますと,虐待などを行っている親の不当な親権行使から18歳,19歳の子が解放されることになりますが,一方においてニート,フリーターなど自立に困難を抱える若年者が親などの保護を受けられにくくなり,ますます困窮するおそれがあります。   このように,成年年齢の引下げは,メリットがある一方で幾つかの弊害も指摘されているため,若年者の消費者被害が拡大しないための施策及び若年者の自立を援助するための施策を充実させる必要があるものと考えられます。具体的な施策の内容については,これらの施策の立案を所管する関係府省庁において詰められるべきものではありますが,若年者の消費者被害が拡大しないための施策としては,例えば,若年者の社会的経験の乏しさにつけ込んで取引が行われないよう事業者に重い説明義務を課したり,事業者による取引の勧誘を制限すべきである,あるいは,若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には契約を取り消すことができるようにすべきである,さらには,法教育,消費者問題に関する教育,金融経済教育の充実など,消費者関係教育の充実を図るべきであるなどの意見が出されました。   また,若年者の自立を援助するための施策としましては,若年者がキャリアを形成できるような施策を充実させるべきである,シティズンシップ教育を導入,充実させるべきである,欧米諸国のように,若年者に必要な各種情報提供や困ったときに各種相談が受けられるようなワンストップサービスセンターを設置すべきであるなどの意見が出されました。   そして,これらの施策を実際に実行に移すことには様々な困難が想定されますが,これらの施策は成年年齢の引下げのいかんを問わず実施する必要があるものであり,将来の我が国を活力のあるものとするためにも,将来の我が国の若年者が一人前の消費者として,また一人前の社会人として自信を持って社会で活躍することができるように,政府全体で取り組む必要があるという点では意見が一致いたしました。   また,これらの施策と成年年齢の引下げの先後関係についても議論を行いました。成年年齢の引下げの民法改正を先に行い,その施行までに一定の猶予期間を置き,その間にこれらの施策を実行に移すべきとの意見があった一方で,これらの施策の充実が図られたこと,またはそれが確実になったことが確認できるまでは成年年齢を引き下げるべきではないという意見もありました。   次に,成年年齢の引下げの当否につきましては,先ほども御説明いたしましたとおり賛否両論に分かれました。特に,成年年齢を引き下げることによって若年者の社会参加,自立を促進することができるかどうかにつきましては意見が分かれました。なお,部会では民法の成年年齢と選挙年齢等との関係についても検討を行ったところ,憲法は民法上の未成年者に選挙権を付与することは禁止しておらず,選挙権を18歳にするために民法の成年年齢を引き下げる必然性はないということで意見が一致いたしました。ただし,社会的,経済的にフルメンバーシップを取得する年齢は一致することが望ましいという意見も出されております。   その他,部会では成年年齢の引下げをする場合の年齢や養子をとることができる年齢,婚姻適齢等についても検討を行い,中間報告書にもその議論の状況を記載いたしております。本日は時間の関係上,説明を割愛させていただきますが,適宜御参照いただければと思います。   最後に今後の予定でございますが,今月25日に第12回会議が予定されております。今後はパブリック・コメントの結果も踏まえまして,意見の一致を見ていない論点を中心に調査審議を行っていきたいと考えております。   以上をもちまして,民法成年年齢部会における審議状況の御報告とさせていただきます。 ○青山会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの鎌田部会長からの審議経過の報告につきまして,御意見あるいは御質問がございましたら,御発言をお願いいたします。   西田委員,どうぞ。 ○西田委員 様々な意見があるということはよく分かりまして,ありがとうございました。   ただ,国民投票法が18歳という年齢を定めたということが事の発端であるわけですが,国民投票法の投票権年齢は,憲法の改正に参加できるかどうかという年齢です。したがって,それは国民が主権者として憲法制定権力を行使できるかどうかということだろうと思います。私は,この報告書の中で一つ欠落している視点は,やはりタックスペイヤーという納税義務を果たしているかどうかという点が一つ欠けているのではないかという気がいたしました。やはり税金を払う,したがって参政権を持ち,国民投票における投票権を持つと,それが私は一つの視点ではないかと思います。ただ,そうなりますと,中学校を卒業して義務教育を終わって働いて税金を払っている人もいるではないかという御議論も当然あり得ます。しかし,それはもう相対的な問題であって,ほとんどの人が高校までは出るという時代になっている現状にかんがみますと,私は,参政権と国民投票権,それとタックスペイヤーの権利として認めるべきであるという観点を加味しますと,少なくとも参政権と国民投票権に関しては18歳でいいのではないかと。しかし,それらの年齢と,民法の成年年齢や消費者契約法等の年齢等とは必ずしも一致する必要はないのではないかと考えております。 ○青山会長 ほかに何か御意見ございますでしょうか。 ○佐々木委員 パブリック・コメントの手続が1月末で終わったということでしたが,その後のプロセスと今後の日程というか,大体いつごろまでに結論が決まるという流れなのでしょうか。 ○鎌田部会長 日程の詳細につきましては,事務当局とも相談をしながら決めていくことになると思いますが,パブリック・コメントには多くの御意見が寄せられていると伺っております。また,その内容につきましても,多岐にわたるということでございます。そういったパブリック・コメントの結果を整理した上,そこで出された御意見も踏まえて,さらに部会での審議を深めていかなければいけないと考えておりますので,すぐに,例えば年度内に結論を出すというのは,難しいと思っておりますが,最大限努力をして部会としての意見を取りまとめるようにしていきたいと考えております。 ○青山会長 ほかに御意見,御質問はございますか。   どうぞ,野村委員。 ○野村委員 この中に婚姻適齢の記述がありますけれども,そこで18歳に仮にしたというときに,それより若年者について裁判所の許可で婚姻を認めるということも意見としてあるということが書かれているのですけれども,参政権と民法上の成年年齢を一緒にするかどうかというのは別にするという案も十分あり得ると思うのです。仮に今のまま20歳というのを維持するというときに,親権についても,親権者が適切でないときに親の親権をはく奪するというのもありますけれども,十分その判断能力が備わっているという者について,18歳,19歳でも親権から解放するという制度も検討に値するのかなと思います。 ○青山会長 ほかに何か御意見,御質問ございますでしょうか。   どうぞ,川端委員。 ○川端委員 成年年齢は刑事法に関しても一定の意義を有しており,例えば未成年者飲酒禁止法とか未成年者喫煙禁止法とかがあるわけですが,そのような個別的な法の理念とか目的,それと連動する部分について,部会ではどのような御議論がなされているのでしょうか。その点についてお教えいただきたいと思います。 ○鎌田部会長 この点につきましては,基本的には自動的には連動しないと考えておりますので,先ほど申し上げましたように,あるいは中間報告書に書いてありますように,民法の成年年齢を仮に引き下げたからといって,飲酒年齢,喫煙年齢が当然に引き下げられるべきとは考えておりません。それぞれの制度目的に照らして,それを現在の20歳から仮に18歳なら18歳に引き下げることが妥当かどうかというのは,それぞれの法律の目的に照らして個別に判断していくべきことになると基本的には考えております。 ○川端委員 そういたしますと,刑事法に関しては,成年者ないし未成年者という名称を使っている場合,これから個別的に該当年齢を刑事法で決めなさいというような趣旨での御議論なのでしょうか。 ○鎌田部会長 当面我々としては,民法の範囲内で成年年齢の引下げの可否とそれによる影響というのを考えております。御指摘のように,民法以外の法律の中に成年というのを一つの基準にしているものがあったとしても,民法の成年年齢を引き下げれば,そのままほうっておけば自動的に引き下げられるわけですけれども,そのことが妥当かどうかというのはそれぞれの法律を所管する府省庁・部局において御検討いただいて,民法の成年が18歳になって,18歳に連動して引き下げることが妥当でなければ,そこは20歳というふうな形で書き換えていただく等々の対応をしていただくのが適切ではないかと私は考えておりますが,事務当局から何かございましたら,補足していただければと思います。 ○倉吉幹事 事務当局も,同じ考え方でございます。 ○青山会長 ほかに何か御質問あるいは御意見ございますでしょうか。   八丁地委員,どうぞ。 ○八丁地委員 成年年齢の引下げに関して,諸外国の経験について教えていただきたい。多くの国で政治参加という面での年齢引下げという契機であった中で,イギリスが1969年に引下げを検討した趣旨が,選挙年齢の問題とは別に,青少年の責任を醸成するための手段というのを強調して検討したという点でユニークだったという話を伺ったことがあります。そのような観点は,部会ではどのようにお考えになられているのでしょうか。 ○鎌田部会長 この点につきましては,部会の中ではかなり議論いたしまして,委員御指摘のように諸外国の成年年齢の引下げにはいろいろな要因がございますけれども,今日的に我が国で成年年齢の引下げを考えるときには,青少年の責任の醸成,あるいは自立の促進といった観点が非常に重要であると考えています。その場合に,精神訓話を述べていれば,あるいは成年年齢を引き下げれば自動的にそうなるかというと,そうではなく,イギリスなどでも様々な多角的な政策がとられておりますので,そういったものと組み合わせることによらなければ政策目的は達成されないだろう。そうだとすると何をすることが必要なのかと,そういった観点の議論を部会の中ではさせていただきました。 ○青山会長 ほかに何かございますでしょうか。 ○佐々木委員 18歳にした場合に,先ほどいろいろと自立の支援や消費者としての教育をということで,私からすると,2歳若くするだけで逆にいきなりそれほど教育をしなければならないのかというのがちょっと変な感じにも思えるのですが,今後で構わないのですけれども,仮に今の部会でディスカッションされているような手当てが,要するに条件整備というか環境を整えるということになった上で18歳に引き下げる場合,どのくらいの追加予算なり,どういったものがかかるということなのか。つまり18歳にするということの部会の例えば提案や条件に消費者教育はしなければいけないんだとか何かが入ってくるのであれば,そもそもどういう話をしているのかというのが少し見えるといいなと思ったのです。今,20歳の人が本当に自立をしていて,18歳になるとそれができなくてという話とも少し違うようにも思えるので,ちょっとそのあたりが,今後で構わないのですけれども,どのような規模のことを条件としてディスカッションされているのかを教えていただければと思います。 ○佐藤委員 私も同じようなことを考えていまして,20歳で成人になるということについて私たちはどういう教育を受けたのだろうかと。例えば高校のときに消費者教育を受けたけれども大学では受けてないので,ある意味では2年間ブランクではないかというような気もいたします。そうなるとそこの2年間の意味は何だろうかと。それから,家庭の問題とかは余り出てきませんけれども,実際は家庭の中で自立教育というのはされて,諸外国はそうだと思うのです。学校や地域ももちろんやっていますけれども,基本的には家庭の中で自立教育というのがされて,それが大人になるステップとして位置づけられていると思うのですけれども,そういう話も余り部会の中では話題になっていない。いろいろな問題が生じるというところは出てきていますけれども,これはせっかくのいい機会なので,市民の方も関心を持っているテーマですし,20歳であっても成人してないと言われているような今の日本の社会のいろいろな問題がここに出ていますので,そういう議論をもう少し幅広でやっていただけるようなことになったら,日本の課題を考えるきっかけにもなるし,若い人たちの力にもすごくなるのではないかなという印象を持ちました。 ○鎌田部会長 大変貴重な御意見をちょうだいしましたので,また今後の部会の審議に反映させていただきたいと思いますが,2点だけ簡単に触れたいと思います。大人とか成年とかいうものにはいろいろなイメージがあって,どの部分をとらえて大人というふうに評価するかということがありますけれども,大人総体をここで扱うわけにいきませんので,必然的に民法が直接関係する契約年齢でありますとか親権とか,こういうところに主として焦点を当てて議論をさせていただいております。ただ,佐藤委員御指摘のようなその周辺の社会的にフルメンバーシップを得ることとの関連ということは一応意識して議論させていただいております。   それから,佐々木委員御指摘の点も誠にもっともで,中間報告の中にも多少そういうふうなことを書いておいたと思うのですけれども,これは18歳に仮に引き下げるとして,18歳から20歳の人だけが問題なのかというとそうではなくて,実は消費者被害というのは20歳になった後に急増するという,これは成年年齢と連動しているのだと思いますけれども,そういう意味で,18歳から20歳の人だけを特にターゲットにしていろいろ手当てをする必要があるというよりも,むしろ今日の日本社会での若年者というものに対する手当てをどうしていくか,これを総合的に考えていく,その一環として成年年齢の問題を考えていきたい。ですから,ここで提案している施策は必ずしも18歳,19歳の人だけをターゲットにしてというよりも,若年者全体をターゲットにするものも併せて提案させていただいているつもりでございますけれども,御指摘の点につきましては,部会で更に議論を詰めた上で,またその情報を公開していけるようにしたいと思っております。 ○倉吉幹事 今の部会長のお答えに尽きているわけでございますけれども,事前にお配りいたしました中間報告書の最後のところに参考資料をつけております。これはヒアリングの結果についていろいろなところを書いているわけでして,特に今,佐藤委員の御指摘の点では,部会長の指揮のもと,非常に広範なヒアリングをしていただきまして,特に若年者の研究をしている社会学者や発達心理学者,それから精神科の先生,そういう人たちの経験談も交えた非常に貴重なお話を伺いました。その中で,最後の29ページのところですが,若年者が抱える問題点についてということで,現在の若者はこんな問題点を抱えているということを書いております。これは恐らく委員の皆様が20歳になったころの日本と今の日本はちょっと違う,そういう認識をやはり部会の中で委員のメンバー皆さん共有されたのかなということを感じましたので,1点だけ補足させていただきます。 ○青山会長 なお,法制審議会の部会はそれぞれ議事録が公表されておりまして,この民法成年年齢部会の議事録も,顕名でだれがどういう発言をしたということまでアップ・ツー・デートの形で出ておりますので,もし興味があれば御覧いただければと思います。   ほかに何かございますでしょうか。   それでは,どうもありがとうございました。ただいまいただいた意見は今後の鎌田部会長のもとで続行される民法成年年齢部会で是非積極的に御審議の参考としていただきたいと思います。 ○鎌田部会長 有益な御意見をちょうだいしましてありがとうございました。御意見を生かす形でさらに部会の審議を深めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○青山会長 どうもありがとうございました。   これで本日の予定はすべて終了となりますが,ほかにこの機会に御発言いただけることがございましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。   特にないようでございますので,本日はこれで終了いたしますが,本日の会議の内容につきましては,後日,御発言をいただいた各委員の皆様には,議事録案を送付させていただき,御発言の内容を確認していただいた上で,法務省のホームページに公開することにいたしますので,この点につきましてもどうぞ御協力のほどをお願いいたします。   最後に,事務当局から何か連絡事項がございましたらよろしくお願いいたします。 ○深山関係官 次回の総会の開催予定について御説明します。   法制審議会は,2月と9月の上旬に開くというのが通例になっていて,年2回は言わば定期的に開いていますが,それでいきますと,次の総会は,約半年後の9月の上旬ということになります。ただ,例年,臨時の総会を開くこともままありまして,現在のところ,臨時の総会を開くということが確定的に決まっているわけではないのですが,今の民法成年年齢部会の答申までの検討状況などにもよりますし,新たな諮問事項が出る可能性もあるというようなことを聞いている関係で,9月の上旬には必ずやりますけれども,その前に臨時の総会がある可能性もございます。今申し上げたとおり,諮問や答申の内容が固まっていない段階で確定的なことは申し上げられませんので,臨時の総会を行う場合にはなるべく早く委員の先生方の日程調整をさせていただきたいと思いますが,とりあえず,仮に臨時の総会がなければ,定例どおり9月の上旬に次の総会が行われることになるというようなことで,やや不明瞭で申し訳ないのですけれども,一応そのような予定でおりますのでよろしくお願いいたします。 ○青山会長 本日は中間報告をしていただきまして,非常に活発な御意見を賜ることができました。これは従来の法制審議会の総会にはなかった新しい試みであったと思います。お忙しい中でお集まりいただきまして熱心に御議論をしていただきました委員の方々に心から御礼申し上げます。   それでは,これで本日の会議を終了いたします。   どうもありがとうございました。 -了-