日本司法支援センター評価委員会 第18回会議 議事録 第1 日 時  平成21年12月2日(水)  自 午後 1時28分                        至 午後 2時18分 第2 場 所  法務省5階秘書課第2会議室 第3 議 題  日本司法支援センターの中期目標期間終了時における見直しについて 第4 議 事 (次のとおり) 議     事 山本委員長 それでは,定刻の少し前ですが,既に出席の委員の方々はおそろいですので,ただいまから第18回日本司法支援センター評価委員会を開催したいと思います。   委員の皆様におかれましては,御多忙中のところ御参集をいただきまして,誠にありがとうございます。本日は,井野委員が御欠席ということで,髙部委員は若干遅れられると伺っておりますが,総合法律支援法施行令に規定する定足数,過半数は満たしておりますので確認させていただきたいと思います。   さて,本日の議題でありますけれども,本日は「日本司法支援センターの中期目標期間終了時における見直しについて」ということで御審議をいただきたいと考えております。まず,この議題の趣旨につきまして,事務局から御説明をお願いいたします。 山﨑官房付 事務局の山﨑でございます。御案内のとおり,支援センターの第1期中期目標期間が本年度末に終了いたします。総合法律支援法第42条第1項は,「法務大臣は,支援センターの中期目標期間の終了時において,その業務を継続させる必要性,組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずるものとする。」と規定しており,その検討を行うに当たりましては同条第3項により評価委員会の意見を聴かなければならないとされている関係で,法務大臣から支援センターの組織,業務の見直し案に対する意見を求められています。   そこで本日は,法務大臣の見直し案につきまして各委員に御議論いただき,当評価委員会としての意見の取りまとめをしていただきたいと考えて,本議題をお諮りする次第であります。 山本委員長 引き続きまして,配付資料についても御説明をお願いします。 山﨑官房付 お手元に配付しました会議資料ですけれども,これは法務大臣が策定しました支援センターの組織,業務の見直し案です。内容につきましては後ほど御説明いたしますが,本日はこの見直し案について御意見をいただきたいと考えております。   次に,机上配付資料としてお配りした分ですけれども,まず,資料Aは,政策評価・独立行政法人評価委員会,いわゆる政独委が作成しました「日本司法支援センターの主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)」であります。今ほど申し上げました法務大臣の見直し案は,この政独委の勧告の方向性を受けて,それと整合するように策定されております。   次に,資料Bですけれども,これは勧告の方向性案と見直し案,この両者について項目ごとに対照させた表でございます。   次に,資料Cは平成15年8月1日付の閣議決定でありまして,「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」です。この閣議決定は,独立行政法人を対象としたものでありまして,支援センターが直接の対象となっているわけではありませんが,ここに記載されている中期目標期間終了時における組織・業務の見直しの手続の流れは,支援センターも他の独立行政法人と変わるところはありませんので,御参考までに配付させていただきました。   最後に,資料Dですけれども,これは総合法律支援法の関係部分を抜粋したものであります。   資料は,以上でございます。 山本委員長 それでは,早速議事に入りたいと思います。   まず,本日の会議資料である見直し案の内容について事務局から御説明をいただきますでしょうか。 山﨑官房付 それでは,会議資料または机上配付資料Bの対照表,これらを御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。   見直し案につきまして,大きく三つの部分に分かれております。第1は,冒頭にあります「日本司法支援センターの現状」と題する部分でありまして,ここには支援センターの目的,使命や,これまで実施してきた取組など,見直しの前提となる基礎的な事実関係について触れております。   次に,第2の部分ですが,これは「組織及び業務全般の見直しの基本的な方向性」と題する部分でありまして,今般の見直しに当たっての基本的な考え方や支援センターが今後目指すべき方向性について触れております。   第3が,「支援センターの組織及び業務全般の見直し」と題する部分です。ここには具体的な見直し内容が記載されております。見直し案のいわば本体部分ですので若干御説明申し上げたいと思います。   まず1番目,「1 組織の見直し」に関する項目であります。ここには(1)と(2)の小項目がありまして,(1)では,職員一般と常勤弁護士のそれぞれにつきまして真に必要な数の採用を行い,かつ,適正な配置を行うべき旨が述べられております。   (2)では,支部・出張所についての部分で,それぞれの業務量や,これを維持することによる費用対効果を踏まえた上で,廃止を含めた見直しを行うべき旨が記載されております。   次に「2 業務全般の見直し」に関する項目であります。ここには,各業務ごとに小項目が立てられております。以下個別に見てまいりますけれども,まず(1)情報提供業務の見直しであります。ここには,アからエとしまして,それぞれ見直し内容が記載されておるわけでございますが,まず,アの「コールセンターの利用促進」ですが,ここはコールセンターと地方事務所の役割を明確化して,コールセンターで対応可能なものについてはコールセンターが利用されるように,その利用促進を図るべきことが述べられております。また,イの「コールセンターの設置場所等」では,地方に移すことも含めて必要な検討を行うべきことが述べられております。そして,ウの「サービスの質の向上」では,サービスの質の向上を図るために利用者の意見を反映させる仕組みを構築するとともに,オペレーターの質の向上に努めるべきことが述べられております。そして,エの「関係機関との連携強化」では,ある意味,当然といえば当然でございますけれども,関係機関ときちんとした連携ができるように措置を講じる,そのようなことが述べられておるわけでございます。   次に(2)「民事法律扶助業務の見直し」の部分です。ここにはまずアとして,毎年度,地方事務所ごとに立替金債権の管理・回収計画の策定,検証を行い,償還の見込みがない立替金債権については,償却も含めてその処理を検討し,適切に対応すべきことが述べられております。次にイとして,書面審査を活用するなどの方法により,事務手続の効率化を図るべきことなどが記載されております。   次に(3)「国選弁護関連業務の見直し」であります。これにつきましては,国選弁護人等の報酬算定に対する不服申立への対応につきまして,事務手続の簡素化,合理化を図るべきことが記載されております。   次に,(4)「司法過疎対策業務の見直し」についてであります。ここには,アとして,司法過疎対策地域事務所の設置,廃止の要否につきまして,事後の検証を実施し得るよう,設置する際に考慮する要素を具体的に明らかにした上で,毎年,当評価委員会の評価を受けるべきことが述べられております。そしてイとして,司法過疎対策地域事務所を設置していない司法過疎地域につきましても,隣接地域の地方事務所に常勤弁護士を重点配置し,巡回を充実させるなど工夫を凝らして法律サービスを充実させるべきことなどが記載されております。   次に,(5)「犯罪被害者支援業務の見直し」であります。そこにはまずアとして,犯罪被害者に対する情報提供を担当する専門職員以外の一般職員に対する研修を行うなどして,質の高いサービスの提供を図るべきことが述べられております。次に,イとして,関係機関との連携協力関係を強化すべきことなどが記載されております。   最後に,「3 その他の見直し」でありますけれども,(1)では自己収入の確保について,寄附金等の獲得に努めるべき旨述べられており,(2)では一般管理費につきまして,その合理化,効率化に努めるべきことが述べられており,(3)では広報の関係でございまして,効率的で効果的な広報を実施すべきこと,そして(4)では,業務に係る不祥事を未然に防止する対策を講じるとともに,内部統制を強化してコンプライアンス体制の充実を図るべきことなどが記載されております。   簡略でございますけれども,見直し案の説明は以上でございます。 山本委員長 それでは,この見直し案についての審議に入りたいと思います。ただいまの御説明につきまして何か御質問あるいは御意見等,あるいは見直し案の前提となっている政独委の勧告の方向性についての御質問等でも結構ですので,御自由に御議論いただければと思います。 知久委員 順番はどこからでもよろしいですか。 山本委員長 どこからでも結構です。 知久委員 2番の「業務全般の見直し」の中の民事法律扶助業務の見直しということで,償還金の確保等ということで今回入っておりますけれども,毎回こちらの評価委員会でもかなり,この点については改善が必要ではないかということで述べてきております。法テラスの本部というよりは地方事務所ごとに管理すべきものではないかと思いますので,是非,利用者がふえる一方で,その償還金がそのまま,償還も免除もされないまま債権が残っていくというのは問題も生じますし,逆にそれによって予算が削られては困りますので,返してもらうのは返してもらう,だめなものは償還免除するという形できちんと手当していただいて,たくさんの方が利用できるように,その辺の検討をよく進めていただければと思いますのでよろしくお願いします。 山﨑官房付 正に御指摘のとおりでございまして,返してもらうべき償還金についてはどのように返してもらうのかというのは,この評価委員会においてもたびたびご指摘を受けておりますし,法テラスとしても,それを真摯に受けとめて,今後どのようにやっていこうかということは検討しておるところでございます。今お話にございましたように,本部ではもちろん,これまでもコンビニ督促でございますとか,そういう形で対応はしてきておるようですけれども,地方事務所でもそれぞれきちんとした取組が必要であろうというところは法テラスも十分認識しておるようでございます。他方で,これまでは何か統一的なやり方が必ずしも行われていたわけではないようであります。地方事務所ごとにそれぞれ工夫をしてということかもしれませんが,それなりの督促と申しますか,償還金を確保するための方策は講じてきているようですけれども,それはそれなりに効果の上がっているところ,上がっていないところ,差もあるようでございます。したがいまして,その辺については本部の方で地方ごとの償還率等をきちんと把握して,では,その償還が比較的うまくいっているところはどういう工夫をしているのかとか,うまくいっていないところは何が足りないのかとか,その辺を十分に検討し,全地方事務所にそのやり方について紹介をしたりして,それぞれ,地方ももちろん実情もあると思いますので,そういうものを踏まえながらやっていくつもりでおるようでございます。いずれにしましても委員の御指摘については法テラスにきちんと伝えたいと思います。 嶋津委員 今の点に関連してなのですが,先日,京都事務所を訪問させていただきまして,所長さんあるいは常勤弁護士の方と意見交換をしたのですが,そのときの一つのポイントである問題点はここの点だったと思うのですね。実際に民事法律扶助の要請が非常に高くて,認定をしたいのだけれども,本部から割り当てた予算が足りなくて認定ができない,どうしてくれるのだという強い抗議の文書を本部に京都の所長さんが投げかけたというお話を聞きました。こういうのをさらっと書いてしまうとあれなのですけれども,地域とか経済情勢によっては民事法律扶助のニーズがたくさん出てきたりする場合があるので,そういうことに対して機動的に対処してニーズに基づく認定が滞らないような配慮が必要なのではないか。そういう意味での業務の見直しというのも必要なのではないかと思うのですけれども,その点はいかがでしょうか。 山﨑官房付 まさしく今御指摘のあったことは焦眉の課題でございまして,法テラスにあっても地方事務所からそのような要望が多く寄せられているようで,どのように対処していくかというのは非常に重要な問題であると認識しております。   法律扶助を実施していくに当たっては,どうしても予算の縛りというのがある中でやっていかなければなりません。法テラスにおいてはもちろん年度当初に執行計画を立てて,それに基づいて,扶助の部分はこれくらい出るだろうと予測しながらやっていくのでしょうけれども,他方で経済情勢の変化によっては急激に事件数が伸びたりしてしまう。そうなると,当初予想に比べると違ってくるわけで,なかなか苦しい,そういうときにどうするかという問題がある。まずは,法テラスは法テラスで,予算の中で何とか扶助の需要には応えられるようにしなければいけないと考えて努力しているようでございますし,もちろん,どうしても足りなければ,予算をどのように獲得していくかということになり,これは法務省としても必要な対応をしていかなければならない問題であるとは考えております。   いずれにしましても,法律扶助というのはいわゆる国民の裁判を受ける権利の実質的な保障にかかわる問題ですので,その年々に予測される事件数の見通しをできる限り正確に立てながら,その分の予算をきちんと獲得できるように努力して,かつ執行計画もそれに見合うように立ててやっていく。そして,状況が変わってくれば迅速に対応できるようにするということではないかと考えておるところでございます。 嶋津委員 ですから,申し上げたいのは,需要に対して機動的に対処して国民の期待に応えるというようなものを,何も政独委に言われた部分だけではなくて,そういうものも業務の見直しの文章なりに反映しておくべきではないですかということを申し上げたいわけです。 山﨑官房付 業務の見直しの部分につきましては,効率化とか,どういうふうにやっていくかというところに中心がありまして,そういう視点がやや足りないのではないかという委員の御指摘はもっともかなとも思っております。 瀧澤部付 また中期目標等もありますので,そういったところに,その御趣旨を反映させていただくようなことも含めまして検討させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。 嶋津委員 これ以上言わないけれども。 山崎委員 5ページの「審査の適正を確保しつつ,書面審査を活用するなどの方法により,事務手続の効率化を図る」と,これをもう少し実質的にすべきとの御趣旨でしょうか。 嶋津委員 事務所の声はもう少し悲痛なものだったですよ。やはり機動的,弾力的に対応できるようにとか,そういう……。何も,この見直し方針というのは後ろ向きというのか,政独委のいう効率化だけではなくて,業務全体についてどういうふうな方向でやっていくのかということなのだから,前向きのことだってやはり書くべきなのではないですか。最終的にはこだわらないけれども,文章の表現でそういうことも読み取れるような,マイルドな表現でもいいですけれども,そういうことは書いておいてもいいのではないでしょうか。そうしないと,現場の所長さんなどの御意見を体したことになっていないのではないかなという感じがしますけれどもね。 山﨑官房付 その点は十分に受けとめさせていただいて,中期目標の策定の段階では十分に検討させていただきたいと思います。 小山課長 この見直し案については政独委との関係もありますので,引き取らせて検討させていただけませんか。御報告を申し上げますので。 嶋津委員 こだわらないですけれども,そういうことが読み取れるぐらいの表現はあってもいいと思います。 山本委員長 2ページの「基本的な方向性」の一番下あたりで,「利用者の視点からサービスの質の向上を図るとともに」という,ここで比較的積極的なことが書かれているわけですが,このあたり,今の嶋津委員の御指摘を踏まえて,もう少し膨らませるような形にできないでしょうか。確かに「ともに」の後がすごく,コストを切り詰めなければいけないという話がすっと書いてあるのだけれども,その前のところの積極的な部分をもう少し膨らませるというのは確かに考えていただいていいのではないかという感じがしますね。 吉川委員 それに関連してなのですが,この文書というか,法務大臣の見直しの意見になるのですかね,というのは,どういう拘束力があるのですか。つまり,これに書かれたことと,具体的に次の中期目標で中期計画を定めるときに,これに今のようなことが書いてないと,ある程度積極的に,もう少し扶助の充実を図るというような方向への目標というのは書きにくくなってしまう,できにくくなってしまうという拘束力が,この文書にはあるものなのですか。 山﨑官房付 ここに書いてないから中期目標でそこまで膨らませられないというものではないと理解しております。この見直しの内容自体は今の中期目標期間における業務を見ながら,こういうふうにしなさいよという大臣の決定という形になっていくため,これ自体はもちろん踏まえつつ中期目標を考えていくということにはなると思いますので,全く正反対のようなものになってはいけないとは思いますけれども,利用者視点のようなところをもっときちんと出していくというのは全然矛盾することではないと考えております。 吉川委員 つまり,私の印象では,政独委とうまく調整しようというような流れでこの文書ができているのかなという。つまり,余り書くと逆効果になるということを配慮されているように受け取ったのですけれども,ここらあたりどういうふうにできるのかですね。 瀧澤部付 確かに政独委の勧告の方向性に書かれていることは見直しの中できちんと触れないと,これは本当に勧告をされてしまう可能性もありますので,意識はしています。ただ,一方で,次の中期目標はこの見直しの結果ももちろん踏まえるということになりますけれども,今度新たに次の4年間で,過去の4年間いろいろとあって,ここはもっとこうしたらいいのではないか,ああしたらいいのではないかということは,いろいろと各委員の御意見もあろうかと思いますし,私ども考えているところもございますし,法テラスとして考えているところもございます。そういったところを酌み取って,次の4年間の長期ビジョンとして,御案内のとおり,大体ああいう形の構成,あの構成自体も評価がしやすいように少し変えていかなければいけないかなという議論もしておるところでございますが,幅広に,もちろん,サービスの質の向上という部分もきっちりと盛り込んでいかなければいけませんし,効率化は効率化で,当然,国費で運営させていただいているところもありますので,そこは必要なところはきちんと書いていかなければいけない。それからまた何よりも,基盤的な部分で総合法律支援の充実という,法律でも中期目標に盛り込むようにと言われている部分もしっかりと書いていかなければいけないというところでございまして,必ずしも,これはどちらかというと政独委の勧告の方向性を相当意識した文書にはなっておりますが,これに引っ張られて,先ほど官房付からも申し上げましたとおり,これに書いていないから盛り込まないということではなくて,もう少し中期目標では,それらしい,長期ビジョンにふさわしいものも当然盛り込んでまいりたいと考えております。 岡田委員 京都の地方事務所の話が出ましたけれども,法律扶助のお金をもっとという事務所というのは,積極的に法律扶助を利用している事務所だろうと思うのですね。ですから,もしかして積極的でないところは余り不満を持っていないかもしれないというふうに考えますと,一生懸命やっているところに対して,それはそれで評価してあげた上で,また,こういう回収の努力をしているところもあるということで,その部分でのお互いに競争するというのでしょうかね。だから,法律扶助を利用するということの競争に加えて回収の競争もするというような,そういう視点を持てば,きっと,一生懸命やっているところもそれなりに,自分のところも評価してもらっていると。一方で,余りやっていない,使っていないところは,これをやらなければいけないかなというような,そういう気持ちになってくれるのではないかなと思いますけれども。 山﨑官房付 その辺の,一生懸命やっているところ,あるいはもちろん回収の方も含めて,両者の視点を持ちながらという点を承りまして,その辺を踏まえて,今後,中期目標などでも考えてまいりたいと思います。 小林委員 二つありまして,一つは簡単なのですけれども,もう一つが今の話にかかわることで,吉川委員おっしゃっていたように,拘束力があるかということについてなのですが,形式上というか,そういう拘束力があるかどうかだけではなくて,中期計画とか目標をつくるときに,今までどうだったというのを必ず洗っていくと思うのですね。ですので,ここの今の見直しのところでもきちんと書いてあることがやはり大事で,書いてないと,何となく,人の心理で忘れるというか,余り強調されないまま意識から薄れていくおそれもないわけではないと思いますし,勧告の方向性に書いてあることを抜いてしまってはまずいとは思いますけれども,嶋津委員がおっしゃったように,具体的にもっと強調したい点を入れてまずくなければ,少し協力していただけるといいかなと思います。   それから,簡単な方なのですが,5ページの4行目,「生活保護受給者に係る立替金債権等」ということで「等」と書いてありますが,ほかに何があるのか,不勉強なので教えていただければと思います。問題のもとかと思うので,我々,了解していた方がいいかなと思いまして。 山﨑官房付 ここは具体的にこういうものという言い方はできないかもしれませんけれども,生活保護受給者に限らず,金銭的に見て,経済的に見て,今後償還の見込みがない方もおられると思うので,その辺も意識して「等」としたということでございまして,特にこういうカテゴリーがあるという意味では必ずしもございません。 小林委員 立替金債権のほかに何かあるということではなくて,生活保護受給者とは限らないと,そういうような御趣旨ですか。 瀧澤部付 はい,そうです。立替えの相手方が生活保護受給者,これは典型的な例として掲げておるということで,それ以外にも,本当にそれと同じレベルぐらいの経済力しかない方もいらっしゃるということを想定して,その部分が読めるようにということでございます。 小林委員 分かりました。ありがとうございます。 宮野委員 この立替金債権等ということが今出ましたけれども,この「等」は,常勤弁護士さんが担当した場合には立替金という処理ではなくて未収金として上がるのですね。「未収金が含まれる」という意味ととったのですが,違うのですか。 立替金債権だから。立替金債権及び未収金,未収債権,こういう意味なんでしょう。 山﨑官房付 はい。そういうことになるかと思います。 山本委員長 その次のところは「等」が入っていないですね。「償還の見込みがない立替金債権」と言い切っていますが,厳密に言えばここにも「等」が入るという趣旨でしょうか。 山﨑官房付 はい。 山本委員長 では,そこは修正していただくということで。   ほかにいかがでしょうか。 嶋津委員 問題提起ですけれども,コールセンターの利用促進のところで設置場所について,政独委が地方への移転を含めた検討をせよと書いているが,今の時点で本当にするのですか。 瀧澤部付 今すぐということではなくて,2年契約で今業務委託をしておりまして,平成21年度,22年度の2年契約でやっております。次に22年度末で,今の委託契約が期限を迎えますので,その後については,例えば入札のやり方を工夫して,地方にコールセンターを設けて委託というやり方であるとか,場合によっては,その当時に,もう法テラスの自前の職員だけで地方でできるという状態であれば,そういうやり方も含めて検討しておるというふうに承知しております。 嶋津委員 それはそういうことができるのだったらばあれですけれども,私は,政独委がこういうふうな言い方をするというのは,効率性のことだけを考えて言うというのは,方向性として間違っているのではないかと思うのですよ。だから,そういうことも含めて,もし法テラスが,いや,それはまだ時期尚早である,それから,周辺サービスも含めて地方に移すことは難しいというのだったら,法務省として抵抗の姿勢を少しは示さないといけないから,例えば反することがいけないのだったら,「設置場所も含めて必要な検討を行う」ぐらいで,「地方」なんて言葉は取るとか,そのぐらいの努力はしてあげてもいいのではないですか。 吉川委員 地方に移すというのは,確かに建物などは地方に行った方が安く上がるのでしょうけれども,人員の方が地方に移してしまって,今のコールセンターにおられる方と同等な,それ以上のいろいろな能力を持った人を集められるのかどうか,その辺はきちんと検証してやらないといけませんよね。当然,それは百も承知でいらっしゃると思いますけれども。 嶋津委員 少しは抵抗の姿勢を示してくださいよ。「地方」を取っちゃえばいいんじゃないですか。「設置場所も含めて検討する」というふうにしておけばいい。 瀧澤部付 この点は,議論のあったところで,その結果,案にあるような表現となっておりまして。 嶋津委員 それならば,この委員会では,「地方」は取れという意見を出してですね。そして,出たもので,「設置場所も含めて」になりましたというぐらいでいいんじゃないの,と私は思います。 山崎委員 今までそういう視点がなかったんですよね。従前は,費用対効果の視点が余りにも薄かったので,この費用対効果の視点を盛り込んで,コールセンターは本当に23区内である必要はあるのか,地方ではだめなのか,もう少し検討する必要があるということではないかと思います。検討の結果,やはり都内に設置する必要性があるという結論になった場合には,決然として,理由を挙げて主張をすればよいと考えます。先ほどの法律扶助の話でも,抽象論としては広げるのは賛成なのですけれども,一方で償還できない債権がどんどん増えていくことをどうとらえるかの問題も重要です。そういう意味では,予算を十分に取った上,適正に審査作業をするということにある意味,尽きるのかなと思います。むしろ我々として考えるべきことは,法律扶助の予算の規模,審査作業の適正化・効率化のためには,どのような要素を考慮すべきか,いずれかの段階で,少し具体的に提示をする必要があると思います。 吉川委員 今の点に絡むけれども,評価委員会の意見というのは,法務大臣は評価委員会の意見を聴かなければならないというわけだから,評価委員会はこういう意見だったけれども,法務大臣としては例えば「地方」を入れるという,そういう結論を出すことも可能なのだとすれば,ある意味で,評価委員会ではこういう意見があったというのは,どういう格好になるのか知りませんが,議事録になるのか,評価委員会の意見書になるのかどうか知りませんが,一つの意見として記録に残すということはあり得るのかなと思いますけれども,その辺はどうなんですか。このとおり評価委員会は了承したというスタイルにしないとまずいのか,あるいはこれをこう変えるということにしないとまずいのか。 山本委員長 それはそんなことはないのではないでしょうか。わざわざこの委員会の意見を聴くということになっているわけですから,常に法務省の原案みたいなものと同じ意見だとすれば,この委員会の意見を聴く意味は全くないですよね。ですから,それは当然違うことはあり得るという前提でこの委員会は開いているのだろうと私は認識しています。 吉川委員 それなら,今のような御意見も当然しかるべき方法で。 山本委員長 ただ,それはもちろん,この委員会の多数の委員が賛成されればという前提ですので,そこはもう少し御議論いただければと思いますが。 小林委員 お聞きしているうちにだんだん思い出してきたのですけれども,今のコールセンターの専門家の方々が本当に,地方に行った場合に引っ越してくださるかということは極めて重要な話だと思うのですね。もしだめな場合には現地調達とか,それこそ,日本全国から逆に募るということになるかと思うのですけれども,もし地方ということがあるとすれば,その点のアセスメントというのは結構厳しく行う必要があると思うのですね。   思い出しましたのが,私は当時の通産省におりましたけれども,筑波研究都市ができたときに,そこに組織が移るということになると従業員のほとんどが行かないということがあったのですね。それは全然専門ということではないのですけれども,その組織に長くいた人たちの中のかなり多くの人が行かないという事情があったりして,それだけでも困るということがありましたから,この組織の場合,専門性が極めて高いので,そこも十分考慮するときに要素に入れていかなければいけないことではないかなと思います。 岡田委員 仲間がコールセンターに何人かいるのですが,かけ持ちでやっていますので,朝から夕方までべったりではないですよね。ですから,多分地方に行ったらみんなやめると思うのですよね。そうしたら現地調達になるということで,これゼロからまたやらなければいけないとなると大変かなと思うのですけれども。 山本委員長 私が意見を申し上げるのは適切かどうか分かりませんが,今の御指摘は私の理解では,上のところに「サービスの質の確保に留意しつつ」という文言で,おそらくコールセンターにおけるサービスというのは基本的には人の問題だと思います。ちゃんとした人がコールセンターに勤務して対応することがサービスの質の根幹だと思いますので,その確保は当然それが大前提の問題になるのだろうと思いますので,それを地方で維持することが不可能なのだとすれば,それは地方に移すということは私は多分選択肢としてあり得なくなるだろうと。ただ,それが本当に東京でなければいけないのか。地方の意味ですけれども,大阪とか,あるいはもう少しの地方都市でも地方なので,そういうところであれば,消費生活相談員の方とかアドバイザーとかの方も,ある程度人数を確保できる余地はあり得て,そういったようなところと効率性というのを勘案しながら必要な検討を行うというぐらいの趣旨なのかなと。あくまでも含めてですから,もちろんほかにも選択肢はあるということが前提であるのかなというのが私の,別に政独委の肩を持つつもりはありませんけれども,この文書全体はそういうことかなというふうには思うのですけれどもね。いかがでしょうか。 小林委員 そのようにもちろん読めるのですけれども,そうでないふうにも読めますので,その辺は注意していただきたいという,そういう注釈でございます。 山本委員長 それは全く,もちろん,ひとり歩きするということはあると思いますけれども。 吉川委員 意見という形で今のような,つまりあくまでも能力のある人を確保することが非常に重要であるという意見があったので,何が何でも地方に移せということには必ずしもとらわれるべきではないという,そういう注意書きみたいなものを,この委員会の意見として,しかるべき方法が書ければ,それでいいのではないでしょうかね。 瀧澤部付 意見書という形で,特に,何が何でも地方移転ありきという前提でサービスの質をおろそかにするようなことがあってはいけないという御意見が,これは多分,各委員とも一致した御意見だと思いますので,そのあたりで引き取らせていただいてよろしゅうございますか。 山本委員長 いかがでしょうか。 瀧澤部付 こちらで苦慮しているところは,委員長におっしゃっていただいたところで,「検討する」とか「含め」とか,それから「サービスの維持」などを入れさせていただいているところです。 山本委員長 それでは,吉川委員の御指摘を踏まえて,委員会としてはそういう,正に質の確保といいますか,人の問題は非常に重要であるということは一致した意見だと思いますので,その点を踏まえて対応をいただければと思います。   ほかの点についてはいかがでしょうか。 岡田委員 地方事務所とコールセンターの役割分担という,ここはなかなか大変だと思うのですよね。双方を残すためには,特に地方事務所の理解というものが大事だと思うので,文章がいろいろな読み方ができるということになると,逆にトラブルになるかなという感じがするので,もし案が取れるということになれば,十分に説明されて理解を得なければいけないのではないかなと思います。当然,行政の考え方は同じことを2か所でやるというのは無駄だろうと。これは昔からそうですから,でも,どっちに行ってもそう言うんですよね。「あんたのところは無駄だ」と言っておきながら,こっちに来れば,こっちで「あんたのところは無駄だ」と言うので,その両方が十分に相互理解して,その上で両方残るような形に持っていっていきたいなと思います。 山﨑官房付 十分に説明していきたいと思います。 山本委員長 よろしくお願いいたします。   ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございましょうか。   それでは,今出た御意見,とりわけ,第2の2の「基本的な方向性」にかかわる部分だと思いますけれども,業務の効率化ということはもちろん重要なことですが,それとともに,より積極的な役割を支援センターが果たしていくことに対する期待といいますか,そういうような部分についてもう少し膨らませて書くという方向性が,一致した皆さんの御意見だったと思いますので,ここをもう少し文言をつけ足すような形でお願いできればと思います。   それから,具体的なところでは,細かいところではありますが,5ページの4行目から5行目にかけての「立替金債権」の後,「等」を加えるということであったかと思います。   4ページの,コールセンターの設置場所については,この委員会においては先ほどのような意見が一致した意見としてあったということを踏まえて対応していただくということであったかと思います。   大体,今のような私の整理でよろしゅうございましょうか。御意見は反映できているでしょうか。   それでは,当評価委員会といたしましては,今のような若干の修正を踏まえてということでありますけれども,その修正の内容については恐縮ですが私に一任していただいてよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 それでは,そういった趣旨の修正を加えた上で,この見直し案については基本的にはこれで差し支えないという意見を法務大臣に対して申し上げることとしたいと思いますが,それでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 山本委員長 ありがとうございました。それでは,そのようにさせていただきたいと思います。   本日も活発な御意見をちょうだいいたしまして大変ありがとうございました。評価委員会はこの程度にさせていただきたいと思いますが,事務局から何か御連絡はありますか。 山﨑官房付 議事録でございますけれども,委員の方々に確認していただいて,その後まとめるという従前と同様の取扱いとさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 山本委員長 それではこれで,本日は終了したいと思います。どうも,お忙しいところありがとうございました。 ―了―