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UNAFEI(アジ研)が国連の会議で貢献!

全体会合

国連犯罪防止・刑事司法会議とは?

これは国連主催の会議(略称「コングレス」)で,刑事司法分野では世界最大のものです。1955年以来,5年ごとに開催されます。国連と加盟国が今後実施すべき方策が議論され,最後に政治宣言の採択となります。13回目の今回は2015年4月12日から8日間,カタールのドーハで開催されました。149か国から司法大臣や検事総長を含む政府の代表,国際機関,NGO関係者など,計約4,000人の参加となりました。

コングレスとアジ研との関わり

国連アジア極東犯罪防止研修所(略称「アジ研」「UNAFEI(ユナフェイ)」)は,1962年に設立された国連の地域研修所であり,日本政府が運営しています。主な業務は,途上国の刑事司法実務家を対象とする国際研修や調査研究ですが,国連犯罪防止計画の策定や実施にも貢献し,研修テーマ選定でも国連プログラムの重点事項を考慮に入れています。

コングレスでは,全体会合のほか,ワークショップが同時並行で開催され,アジ研も企画・運営に関わりました。今回は,4つのワークショップのうち2つのワークショップ「1」「4」に関わったのです。

ワークショップ1

ワークショップ4

コングレス会場におけるアジ研出展ブース

ワークショップ1「女性犯罪者と非行少年の処遇と社会復帰」

アジ研は,特に女性犯罪者の処遇と改善更生に関して企画・運営を担当しました。刑務所は男性受刑者向けに作られているのが普通で,女性特有の問題に配慮しているとは言えません。2010年12月の国連総会で,「女性非拘禁者の処遇及び女性犯罪者の非拘禁措置に関する国連規則」(通称「バンコク・ルールズ」)が採択されており,ここでは各国の具体的な取組が以下の4点について話し合われたのです。

  1. 女性受刑者の身体及び心理ケアの促進
  2. 女性受刑者の教育・更生プログラムの充実
  3. 女性犯罪者の環境を考慮した社会内更生の促進
  4. 女性刑務官等の育成と働く環境の整備

ワークショップ4「犯罪予防・刑事司法への市民参加」

パネリストは17名と最大規模ですが,3つに分かれて議論されました。

  1. 新技術の活用(ツイッターやフェイスブック等)
    官から市民への情報発信・捜査協力・安全対策を提供でき,犯罪予防や市民の刑事司法への参加が可能となっています。
  2. 地域の力の活用
    ボランティアやNGOによる公判前調停・地域内調停・出所者への支援・パラリーガル,そして日本の保護司48,000人を含むボランティアの重要性が紹介されました。
  3. 新たな工夫
    危険地域となっている公的スペースの解放や人身取引被害者への支援に関する民間セクターの取組等について紹介されました。

最後には,犯罪予防や刑事司法への市民参加は,被害者への支援・修復的司法・法的支援・保護観察・犯罪者の社会復帰に重要な役割を果たすことが強調されました。

おわりに

ワークショップの議論は報告書にまとめられて全体会合で採択されました。

また,次回2020年の第14回コングレスの日本開催が決定されました。我が国は,1970年に京都で第4回コングレスを開催しており,2020年は,それから50年の節目の年です。オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される記念すべき年でもあります。法務省としても関係省庁と連携し,しっかりと準備を進めていきます。詳細については法務省ホームページをご覧ください。

コングレスに参加した日本政府代表団